JP4013625B2 - インクジェットヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙上.にインク滴を吐出して記録を行うインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに用いられているインクジェットプリンタヘッドとして、圧電素子をインク流路の一部(すなわち圧力室)に隣接させ、圧電素子に所定の駆動パルスを印加することで圧力室の容積を変化させ、インク滴をノズルから吐出させるものが知られている。
【0003】
このインクジェットプリンタヘッドにおいては、圧電素子によって圧力室内のインクに圧力を付与した際、インクはノズルに向かう方向に移動すると同時に、圧力室からインク供給源側すなわち上流側にも移動しようとする。この吐出方向と逆方向に向かうインクの動きは、吐出効率を悪くするので、できるだけ制限する必要がある。また、インク吐出した後においては、圧力室内の圧力を減少させて、余分なインクが吐出されないように構成する必要がある。
【0004】
そこで、従来は、インクジェットプリンタヘッド内に構成されるインク流路のうち、圧力室、もしくはノズルにおける流路抵抗の比重を他の部分よりも高くすることにより、前記インク吐出後の圧力室内の圧力を減少させ、安定したインク滴の吐出を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の方法では、圧力室で十分な流路抵抗を得ようとした場合、圧力室の長さを十分に長くするか、あるいは圧力室の断面積を極めて小さくする必要があるため、次のような問題があった。
【0006】
まず、圧力室の長さを長くすることは、ヘッド全体の形状が大きくなる他、圧力の変動周期が長くなり、高速印字に対応できないという問題がある。次に、圧力室の断面積を極めて小さくした場合には、所定の体積のインク滴を得るために圧力室に大きな圧力を与えなければならず、圧力室内に非常に大きな負圧が発生し、そのことにより、吐出安定性が損なわれてしまう。
【0007】
また、ノズル側における流路抵抗の比重を高くした場合には、発生させた圧力に対する吐出容量の割合が小さくなり、その結果、吐出速度が上がり過ぎて、ノズル内のメニスカスが壊れ易くなってしまう。
【0008】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、高速印字に対応させることができ、吐出安定性を損なうことなく、かつ、適切な速度で吐出が可能なインクジェットヘッドを提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のインクジェットヘッドは、前記課題を解決するために、インクを収容するインク室と、該インク室からインクが供給される圧力室と、該圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動せしめるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッドであって、前記インク室と前記圧力室との間には、前記圧力室よりも流路の狭い絞り部が設けられており、その絞り部の流路抵抗を、その絞り部と前記圧力室と前記ノズルからなる流路全体の流路抵抗の50〜70%とし、前記絞り部の断面積は、前記圧力室の断面積に対して10〜20%に設定されており、前記インク室、前記圧力室、及び前記ノズルは、それぞれ異なる薄板材料に設けられた貫通孔によって形成されるとともに、これら複数の薄板材料と前記アクチュエータとが積層されてインクジェットヘッドが構成されており、前記アクチュエータは、前記圧力室となる貫通孔を塞ぐように前記圧力室が形成された薄板材料に隣接してその上方に積層されており、前記絞り部は、前記圧力室が形成された薄板材料にハーフエッチングによって、断面が半楕円形で前記アクチュエータと反対側の面に開口するように形成され、前記絞り部と前記インク室との連通は、前記圧力室が形成された薄板材料に前記アクチュエータとは反対側において隣接してその下方に積層された薄板材料に形成された貫通孔によってなされることを特徴とする。
【0010】
これにより従来のように圧力室の長さを必要以上に長くしたり、圧力室の断面積を極めて小さくしなくても十分な流路抵抗が得られ、その結果、アクチュエータによって圧力室内のインクに圧力を付与した際、ノズルに向かうインクの流れが効率よく生成され、また、インク吐出した後においては、圧力室内の圧力が減少されて余分なインクが吐出されるのが抑えられ、吐出効率の良い印字が高速で行われる。
また、前記絞り部の流路抵抗の割合を流路全体の流路抵抗の50〜70%とすることにより、圧力室の長さを必要以上に長くしたり、また、圧力室の断面積を極めて小さくする必要がないため、十分な流路抵抗が得られ、効率のよい高速印字が行われることになる。
さらに、前記絞り部の断面積は、前記圧力室の断面積に対して10〜20%に設定されているので、製造上の歩留まりが抑えられる。また、ヘッドをコンパクトに製造することができ、高速印字を可能にする。
【0011】
請求項2記載のインクジェットヘッドは、前記課題を解決するために、請求項1記載のインクジェットヘッドにおいて、前記絞り部の流路抵抗を前記流路全体の流路抵抗の60%としたことを特徴とする。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。以下の説明は、圧電式インクジェットヘッドに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0017】
図1、図2は、第1の実施形態におけるインクジェットヘッド1を示す概略図で、このインクジェットヘッド1は、キャビティプレート10と、圧電アクチュエータ20とから構成されている。
【0018】
キャビティプレート10は、複数の薄板材料10a〜10dを積層した構造からなり、各薄板材料10a〜10dにプレス加工またはエッチング加工で形成した開口および凹部を相互に連通してインク流路を形成している。インク流路には、共通のインク室12、そのインク室12に絞り部13を介して連通する複数の圧力室14、その各圧力室14に連通孔15を介して連通する複数のノズル16が形成される。
【0019】
複数の圧力室14は、キャビティプレート10の最上層の薄板材料10dに板厚方向に貫通して形成され、絞り部13は、同じ薄板材料10aに圧力室14の長手方向の一端に接続して、その板厚方向に壁面を貫通しないハーフエッチングにより形成されている。ノズル16は、最下層の薄板材料10aに板厚方向に貫通して形成され、中間の薄板材料10b、10cに板厚方向に貫通形成した連通孔15を介して圧力室14の長手方向の他端に接続している。共通のインク室12は、下から2番目の薄板材料10bに板厚方向に貫通して形成され、薄板材料10cに板厚方向に貫通形成した開口部27を通して絞り部13の圧力室14とは反対側の端部に接続している。
【0020】
このキャビティプレート10を構成する薄板材料10a〜10dは、例えば42%ニッケル合金鋼板(42合金)製で、50μm〜150μm程度の厚さに形成し、それぞれを接着剤にて重ね接合して積層した構造となっている。但し、金属に限らず、例えば、樹脂により形成してもよい。
【0021】
圧電アクチュエータ20は、例えば特開平3−274159号公報に記載されたものと同様に、圧電シートと圧力室14に対応した駆動電極が複数積層された構成となっており、各圧力室14に対応する圧電シートの部分が個々に変形するようになっている。
【0022】
このような構成において、圧電アクチュエータ20における駆動電極に、図示しない駆動装置により駆動パルスを供給すると、圧電効果による積層方向の歪みが発生する。そして、この歪みによる圧力にて、圧力室14の内容積が縮小されることにより、この圧力室14内のインクが、ノズル16から液滴状に吐出して、所定の印字が行われる。
【0023】
このときのインクの流路は、上流から共通インク室12、絞り部13、圧力室14、連通孔15、及びノズル16により構成される。そして、絞り部13からノズル16に至るインク流路内の各部の流路抵抗は、次のようになるように構成されている。
【0024】
ノズル部16:圧力室14:絞り部13=25:15:60
【0025】
また、インクの流れ方向に直交する(紙面と直交する)インク流路の断面積において、圧力室14の断面積に対し、絞り部13の断面積を、11.8%とするように構成している。
【0026】
より具体的には、ノズル16を、直径25μm、長さ75μm、テーパ角9°とし、圧力室14を、幅250μm、深さ50μm、長さ4000μmとしたとき、絞り部13を、幅67μm、深さ28μmの半楕円形で、長さ345μmに形成した。図1のA−A’線における絞り部の拡大断面図である図2に、絞り部13の断面を示す。
【0027】
このように、絞り部13の流路抵抗の割合を以上のように設定することにより、圧力室14を長くすることなく、良好に圧力制御を行うことができた。従って、インクジェットヘッド1の大型化を防止することができる。また、高速印字に対応することが可能である。更に、吐出効率を向上させることができる。また、絞り部13の断面積を以上のように設定することにより、製造上の歩留まりを抑えることができると共に、ヘッドをコンパクトに製造することができ、高速印字を可能にする。
【0028】
更に、本実施形態の絞り部13は、薄板材料10dにハーフエッチングにより凹状に形成するので、安価で効率良く絞り部を形成することができる。
【0029】
また、半楕円形の絞り部13の大きさを、幅72μm、深さ30μm、長さ457μmとした場合でも、安定して液滴吐出が可能であることが確認された。このときの、圧力室14に対する絞り部13の断面積比は13.6%、絞り部13からノズル16に至るインク流路の流路抵抗に対する絞り部13の流路抵抗は60.1%であった。
【0030】
また、絞り部13の断面形状を、長方形とし、幅50μm、深さ30μm、長さ387μmとした場合でも、安定して液滴吐出が可能であることが確認された。このときの、圧力室14に対する絞り部13の断面積比は12.0%、前記インク流路の流路抵抗に対する絞り部13の流路抵抗は60.4%であった。
【0031】
同様に、長方形の絞り部13の大きさを、幅70μm、深さ30μm、長さ672μmとした場合でも、安定して液滴吐出が可能であることが確認された。このときの、圧力室14に対する絞り部13の断面積比は16.8%、前記インク流路の流路抵抗に対する絞り部13の流路抵抗は60.1%であった。
【0032】
但し、長方形の絞り部13の大きさを、幅90μm、深さ30μm、長さ992μmとした場合には、液滴吐出が不安定になることが確認された。このときの、圧力室14に対する絞り部13の断面積比は21.6%、前記インク流路の流路抵抗に対する絞り部13の流路抵抗は60.1%であった。
【0033】
図3は、前記インク流路の流路抵抗に対する絞り部13の流路抵抗と、絞り部13の圧力室14に対する断面積比とをそれぞれ変えてインクを吐出した実験結果を示すものである。
【0034】
以上の結果から、絞り部13の上記流路に対する流路抵抗の割合は、50〜70%が好ましく、また、絞り部13の圧力室14に対する断面積の比は10〜20%に設定することが好ましいことが明らかになった。
【0035】
図4から図7は、第2の実施形態のインクジェットヘッド106を示す概略図で、このインクジェットヘッド106は、キャビティプレート120と、圧電アクチュエータ130と、圧電アクチュエータ130の駆動電極に駆動パルスを供給するためのフレキシブルケーブル140から構成されている。
【0036】
キャビティプレート120は、図5及び図6に示すように構成されている。すなわち、ノズル板123、マニホールド板124、125、スペーサ板126及び圧力室板14の5枚の薄板を接着にて重ねて接合して積層した構造である。ノズル板123には、微小径のインク吐出用のノズル122が、当該ノズル板123における第1の方向(長辺方向)に沿って2列の千鳥配列状に設けられている。
【0037】
マニホールド板124,125には、共通インク室131,133が、ノズル122の列の両側に沿って延びるように穿設されている。下側のマニホールド板124の共通インク室131は、上向き開放するように凹設され、上下に重なる共通インク室131,133が一体となって1つの共通インク室を形成している。
【0038】
また、圧力室板127には、その長辺(前記第1の方向)に沿う中心線に対して直交する第2の方向(短辺方向)に延びる細幅の圧力室128の多数個が穿設されている。そして、前記中心線を挟んで左右両側にて平行状の長手基準線127a、127bを設定すると、前記中心線より左側の圧力室128の先端128aは前記右側の長手基準線127a上に位置し、逆に前記長手中心線より右側の圧力室128の先端128aは前記左側の長手基準線127b上に位置し、かつこの左右の圧力室128の先端128aが交互に配置されているので、左右両側の圧力室128は一つおきに互いに逆方向に延びるように交互に配置されていることになる(図6参照)。
【0039】
この各圧力室128の先端128aは、前記ノズル板123における千鳥状配列のノズル122に、スペーサ板126、及びマニホールド板124,125に同じく千鳥状配列にて穿設されている微小径の貫通孔132,132を介して連通している。一方、各圧力室128の他端は、絞り部113、凹部128b、およびスペーサ板126に穿設された貫通孔129を介して、マニホールド板124,125における共通インク室131,133に連通している。なお、前記絞り部113、凹部128bは、図6および図7に示すように、圧力室板127の下面側にのみ開口するようにハーフエッチングにより凹み形成されている。また、最上層の圧力室板127の一端部に穿設された供給孔19aの上面には、インク供給源(図示しない)から供給されるインク中の塵除去のためのフィルタ29が張設されている。
【0040】
これにより、インクは、インク供給源から圧力室板127及びスペーサ板126の一端部に穿設した供給孔19a,19bを介して左右両マニホールド室131,133内に流入し、各貫通孔129を通って各圧力室128内に分配されたのち、この各圧力室128内から貫通孔132を通って、当該圧力室128に対応するノズル122に至るという構成になっている(図6および図7参照)。
【0041】
圧電アクチュエータ130は、前記実施形態と同様に圧電シートと圧力室128に対応した駆動電極が複数積層された構成となっている。
【0042】
絞り部113は、前記実施形態の絞り部13と同様の機能を有するもので、絞り部113からノズル122に至るインク流路の流路抵抗に対する絞り部113の流路抵抗の割合は50〜70%、および圧力室128に対する絞り部113の断面積の比は10〜20%にそれぞれ設定されている。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、絞り部の断面積をインク室の断面積の10〜20%にしたので、製造上の歩留まりを抑えることができると共に、ヘッドをコンパクトに製造することが出来、高速印字を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態における圧電式インクジェットヘッドの断面図でである。
【図2】 図1のA−A’線における絞り部の拡大断面図である。
【図3】 インク流路の流路抵抗に対する絞り部の流路抵抗と、絞り部の圧力室に対する断面積比とをそれぞれ変えてインクを吐出した実験結果を示すものである。
【図4】 本発明の他の実施形態における圧電式インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図5】 図4のヘッドのキャビティプレートの分解斜視図である。
【図6】 図5の一部拡大図である。
【図7】 図4のヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
10 キャビティプレート
126 絞り部
127 圧力室
128 ノズル
20 圧電アクチュエータ

Claims (2)

  1. インクを収容するインク室と、該インク室からインクが供給される圧力室と、該圧力室に連通するノズルと、前記圧力室内の圧力を変動せしめるアクチュエータとを備えたインクジェットヘッドであって、
    前記インク室と前記圧力室との間には、前記圧力室よりも流路の狭い絞り部が設けられており、その絞り部の流路抵抗を、その絞り部と前記圧力室と前記ノズルからなる流路全体の流路抵抗の50〜70%とし、
    前記絞り部の断面積は、前記圧力室の断面積に対して10〜20%に設定されており、
    前記インク室、前記圧力室、及び前記ノズルは、それぞれ異なる薄板材料に設けられた貫通孔によって形成されるとともに、これら複数の薄板材料と前記アクチュエータとが積層されてインクジェットヘッドが構成されており、
    前記アクチュエータは、前記圧力室となる貫通孔を塞ぐように前記圧力室が形成された薄板材料に隣接してその上方に積層されており、
    前記絞り部は、前記圧力室が形成された薄板材料にハーフエッチングによって、断面が半楕円形で前記アクチュエータと反対側の面に開口するように形成され、
    前記絞り部と前記インク室との連通は、前記圧力室が形成された薄板材料に前記アクチュエータとは反対側において隣接してその下方に積層された薄板材料に形成された貫通孔によってなされることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記絞り部の流路抵抗を前記流路全体の流路抵抗の60%としたことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッド。
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