JP4023760B2 - ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents
ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4023760B2 JP4023760B2 JP00377099A JP377099A JP4023760B2 JP 4023760 B2 JP4023760 B2 JP 4023760B2 JP 00377099 A JP00377099 A JP 00377099A JP 377099 A JP377099 A JP 377099A JP 4023760 B2 JP4023760 B2 JP 4023760B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- brazing
- aluminum alloy
- content
- corrosion resistance
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Prevention Of Electric Corrosion (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、とくに自動車用熱交換器、例えばラジエータ、ヒータコアなど、ろう付けにより接合される熱交換器の流体通路構成材(チューブ材)、ヘッダープレート材として適し、フッ化物系フラックスを用いるろう付けにおけるろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラジエータやヒーターコアなど、自動車用熱交換器のチューブ材やヘッダープレート材には、JIS3003合金などのAl−Mn系合金を芯材とし、芯材の一方の面にAl−Si系のろう材をクラッドし、他方の面のAl−Zn系合金やAl−Zn−Mg系合金からなる犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金の3層クラッド材が使用されている。
【0003】
Al−Si系のろう材は、チューブとフィンとの接合、チューブとヘッダープレートとのろう付けのためにクラッドされるものであり、ろう付けは、一般的には不活性ガス雰囲気中でフッ化物系フラックスを用いて行うろう付けが適用されるが、真空ろう付けが行われる場合もある。犠牲陽極材はチュ−ブの内面を構成し、熱交換器の使用中に作動流体と接して犠牲陽極効果を発揮し、芯材の孔食発生や隙間腐食を防ぐ。チュ−ブ外面に接合されるフィンは、犠牲陽極効果を発揮して芯材を防食するもので、Al−Mn系合金にCu,Mg、Zn、Sn、Inなどを添加したアルミニウム合金が適用される。
【0004】
近年、自動車の軽量化の観点から、自動車用熱交換器の軽量化およびコスト低減が強く要求され、チュ−ブ材など熱交換器構成材料をさらに薄肉化することが必要となっている。このため、チューブ材やヘッダープレート材に各種元素を添加して強度を高めることが試みられているが、添加成分の含有は耐食性を低下させる原因となり、また、材料の薄肉化に伴ってろう付けが難しくなって、熱交換器の製造性、耐久性に問題が生じることから、ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用材料の開発が強く要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の要求を満足させる熱交換器用アルミニウム合金材料を得るために、3層クラッド材における芯材、犠牲陽極材およびろう材の組成、およびそれらの組合わせと、とくにフッ化物系のフラックスを用いるろう付けにおけるろう付け性と耐食性との関係について、多角的に実験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、熱交換器、とくに自動車用熱交換器のチューブ材、ヘッダープレート材として好適に使用することができるろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の請求項1によるろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、芯材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドし、他方の面にAl−Si系のろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、芯材は、Mn:0.6〜2.0 %、Cu:0.3〜1.0 %、Si:0.06 〜1.0 %を含有し、Feの含有量を0.4 %以下、Mgの含有量を0.04%以下に規制し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材は、Zn:0.5〜4.0 %、In:0.005〜0.1 %、Sn:0.01 〜0.1 %のうちの1種または2種以上を含有し、さらにSi:0.3%を越え1.0 %以下を含有し、Feの含有量を0.5 %以下、Mgの含有量を0.04%以下に規制し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、ろう材は、Si:6〜14%、Fe:0.06 〜0.7 %を含有し、Mgの含有量を0.04%以下、Caの含有量を0.006 %以下に規制し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金で構成されることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1において、ろう材が、さらにBi:0.01 〜0.4 %を含有することを特徴とし、本発明の請求項3によるアルミニウム合金クラッド材は、請求項1または2において、芯材が、さらにTi:0.06 〜0.35%を含有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のアルミニウム合金クラッド材における芯材、犠牲陽極材およびろう材の合金成分の意義およびその限定理由について説明する。
(1)芯材
芯材中のMnは、強度を向上させるとともに、芯材の電位を貴にして、犠牲陽極材との電位差を大きくして耐食性を高めるよう機能する。好ましい含有範囲は0.6 〜2.0 %であり、0.6 %未満ではその効果が小さく、2.0 %を越えて含有すると、鋳造時に粗大な化合物が生成し、圧延加工性が害される結果、健全な板材が得難い。
【0009】
Cuは、強度を向上させるとともに、芯材の電位を貴にし、犠牲陽極材、ろう材との電位差を大きくして、耐食性を高めるよう機能する。さらに、芯材中のCuは、ろう付け加熱時に犠牲陽極材中およびろう材中に拡散して、なだらかな濃度勾配を形成する。その結果、芯材側の電位は貴となり、犠牲陽極材の表面側およびろう材の表面側の電位は卑となって、犠牲陽極材中およびろう材中になだらかな電位勾配が形成され、腐食形態を横拡がりの全面腐食型にする。Cuの好ましい含有量は0.3 〜1.0 %の範囲であり、0.3 %未満ではその効果が小さく、1.0 %を越えると、芯材の耐食性が低下し、また、融点が低下して、ろう付け時に局部的な溶融が生じ易くなる。Cuのさらに好ましい含有量は0.3 〜1.0 %の範囲である。
【0010】
Siは、強度を向上させる効果を有する。Siの好ましい含有範囲は0.06〜1.0 %であり、0.06%未満ではその効果が十分でなく、1.0 %を越えると、耐食性を低下させ、また融点が低下して局部溶融が生じ易くなる。
【0011】
不純物としてのFeは、アルミニウム母材に対してカソードとなり、耐食性を低下させるため、0.4 %以下に規制するのが好ましい。また、Feの含有量の極めて少ない高純度のアルミニウム地金はコストが高く実用的でないから、さらに好ましいFeの含有量は0.01〜0.4 %とする。
【0012】
Mgは、ろう付け性低下の観点から0.04%以下に制限するのが好ましい。0.04%を越えて含有すると、フッ化物系のフラックスを使用する不活性ガス雰囲気ろう付けの場合、Mgがフラックスと反応してMgF2 などの化合物を生成するため、フラックスの絶対量は不足し、ろう付け性が低下する。Mgのさらに好ましい含有量は0.02%以下の範囲である。
【0013】
Tiは、芯材の耐食性をより一層向上させる効果を有する。すなわち、Tiは、濃度の高い領域と低い領域との分かれ、それらが板厚方向に交互に分布して層状となり、Ti濃度の低い領域が高い領域に比べて優先的に腐食することにより腐食形態が層状となる結果、板厚方向への腐食の進行が妨げられ、耐孔食性が向上する。Tiの好ましい含有量は0.06〜0.35%の範囲であり、0.06%未満では効果が十分でなく、0.35%を越えると、鋳造時に粗大な化合物が生成して材料の圧延を阻害し、健全なクラッド材が得難くなる。
【0014】
なお、芯材中には、不純物として、Zn、Cr、Zrなどの成分が含まれていても良い。但し、Znは芯材の電位を卑にし、犠牲陽極材およびろう材との電位差を小さくして耐食性を低下させるので、0.2 %以下に規制するのが好ましく、CrおよびZrは、組織の微細化などの目的で添加することもできるが、加工性を害するので、それぞれ0.3 %以下に制限するのが好ましい。
【0015】
(2)犠牲陽極材
犠牲陽極材中のZnは、犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果を保持し、クラッド材の腐食を全面腐食型にして、芯材の孔食や隙間腐食を防止するよう機能する。Znの好ましい含有範囲は0.5 〜4.0 %であり、Znの含有量が0.5 %未満ではその効果が十分でなく、4.0 %を越えると、自己耐食性が低下して犠牲陽極材の腐食消耗が激しくなり、犠牲陽極効果が長期に持続されない。また、0.4 %を越えて含有してもその効果が飽和する。
【0016】
Inは犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対し犠牲陽極効果を確実に付与するために役立つ。Inの好ましい含有量は0.005 〜0.1 %の範囲であり、0.005 %未満ではその効果が小さく、0.1 %を越えて含有すると、効果が飽和するとともに、犠牲陽極材の自己耐食性が低下し、また圧延加工性が劣化する。
【0017】
Snは犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材に対し犠牲陽極効果を確実に付与するために役立つ。Snの好ましい含有量は0.01〜0.1 %の範囲であり、0.01%未満ではその効果が小さく、0.1 %を越えて含有すると、効果が飽和するとともに、犠牲陽極材の自己耐食性が低下し、また圧延加工性が劣化する。
【0018】
Siは、強度を高めるよう作用する。Siの好ましい含有量は0.3 %を越え1.0 %以下の範囲であり、0.3 %以下ではその効果が十分でなく、1.0 %を越えると犠牲陽極材の自己耐食性が低下する。
【0019】
不純物としてのFeは、アルミニウム母材に対してカソードとなり、自己耐食性を低下させるから、Feの含有量は0.5 %以下の規制するのが好ましい。また、Feの極めて少ない高純度のアルミニウム地金はコストが高く実用的でないから、Fe:0.01 〜0.5 %の範囲とするのがさらに好ましい。
【0020】
犠牲陽極材中のMgは、フッ化物系のフラックスを使用してろう付けを行う場合、フラックス成分のフッ素(F)と反応してMgF2 などの化合物を生成するため、フラックスの絶対量が不足して、ろう付け性が低下するので、0.04%以下に規制するのが好ましい。より好ましくは0.02%以下に規制する。
【0021】
なお、犠牲陽極材中には、Mn、Cu、Cr、Zr、Tiなどの元素が、発明の効果を損なわない範囲で少量含まれていても良いが、MnおよびCuは、犠牲陽極材の電位を貴にし、芯材との電位差を小さくして犠牲陽極効果を低下させるので、それぞれ0.3 %以下に制限するのが好ましい。また、Cr、ZrおよびTiは、結晶粒の微細化などの目的で添加する場合もあるが、加工性を害するので、それぞれ0.3 %以下に制限するのが好ましい。
【0022】
(3)ろう材
ろう材中のSiは、ろう材の融点を下げ、ろうの流動性を高めるよう機能する。Siの好ましい含有量は6 〜14%の範囲であり、6 %未満ではその効果が十分でなく、14%を越えると、ろう材の融点が高くなり、ろう材製造時の加工性が低下する。
【0023】
Feは、ろう材の組織を微細化し、ろうの流動性を高める効果を有する。Feの好ましい含有量は0.06〜0.7 %の範囲であり、0.06%未満ではその効果が小さく、0.7 %を越えて含有すると、その効果が飽和するとともに、アルミニウム母材に対してカソードとなり、Al−Fe系の化合物の生成量も多くなって、耐食性が低下する。
【0024】
ろう材中のMgは、フッ化物系のフラックスを使用してろう付けを行う場合、ろう付け加熱過程において、ろう材表面に濃縮し易く、フラックス成分のフッ素(F)と反応してMgF2 などの化合物を生成するため、フラックスの絶対量が不足して、ろう付け性が低下するので、0.04%以下に規制するのが好ましい。より好ましくは0.02%以下に規制する。
【0025】
Caは、ろう材表面に緻密な酸化物を形成するため、ろうの濡れ性および拡がり性が低下して、ろう付け性を阻害する。ろう付け性の低下は、Caの含有量が0.006 %を越えると顕著となるから、Caの含有量は0.006 %以下に規制するのが好ましい。さらに好ましくは0.004 %以下とする。
【0026】
Biは、ろう材の融点を下げ、ろうの濡れ性および拡がり性を改善する。Biの好ましい含有量は0.01〜0.4 %の範囲であり、0.01%未満ではその効果が小さく、0.4 %を越えると、その効果が飽和するとともに、ろう材の自己耐食性が低下する。Biのさらに好ましい含有範囲は0.1 〜0.4 %である。
【0027】
ろう材には、ろう付け性を改善するために、少量、例えば0.1 %以下のBe、Sr、Li、Naのうちの1種以上を含有させることもできる。ろう材の電位を卑にして、芯材に対してろう材に犠牲陽極効果を与え、クラッド材の耐食性を向上させるために、Zn、InおよびSnなどの1種以上を含有させても良い。但し、Zn、InおよびSnは、含有量が多くなると、自己耐食性が低下して、ろう材の腐食消耗が激しくなり、犠牲陽極効果が長期に持続されなくなるから、Znの含有量は4 %以下、InおよびSnの含有量はそれぞれ0.1 %以下に規制するのが好ましい。また、Mn,Cu、Ti、Cr、Zr、Niなども、ろう材の強度を向上させるために、発明の効果を損なわない範囲で添加しても良いが、添加量が多くなると自己耐食性が低下するので、総量を1 %以下に制限するのが好ましい。
【0028】
本発明の熱交換器用アルミニウム合金クラッド材は、芯材、犠牲陽極材およびろう材を構成するアルミニウム合金を、例えば半連続鋳造により造塊し、必要に応じて均質化処理したのち、それぞれ所定厚さまで熱間圧延し、ついで、各材料を組合わせ、常法に従って、熱間圧延によりクラッド材とし、最終的に所定厚さまで冷間圧延し、必要により焼鈍を行う工程を経て製造される。
【0029】
本発明のアルミニウム合金クラッド材を、ラジエータ、ヒータコアなど、自動車用熱交換器のチューブ材とするには、クラッド板を曲成し、突き合わせ部を溶接またはろう付けすることによりチューブ形状とする。犠牲陽極材層が内皮層を構成して作動流体と接し、ろう材層が外皮層となる。外皮層にはアルミニウム合金フィン材をろう付けして熱交換器を組立てる。
【0030】
【実施例】
実施例1
連続鋳造により、表1に示す組成を有する芯材用アルミニウム合金を造塊し、均質化処理後、厚さ25mmに面削して芯材用素材とした。また、表2に示す組成を有するろう材用合金および表3に示す組成を有する犠牲陽極材用合金を、芯材用合金と同様にして造塊し、面削後、熱間圧延を行って、それぞれ厚さ3mmの板材とした。このろう材および犠牲陽極材を芯材の両面に重ね合わせ、熱間圧延して厚さ3mmのクラッド材を得た。その後、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延を施して、厚さ0.25mmの3層クラッド材(調質H14)とした。
【0031】
得られたアルミニウム合金クラッド材(試験材)について、以下の方法に従って、ろう付け後の強度を測定し、ろう付け性および耐食性を評価した。結果を表4〜5に示す。
(1)ろう付け後の強度
クラッド材に、ろう付け条件と同様、フッ化物系フラックス(濃度1%)を塗布して窒素ガス中で、ろう付け温度の600℃(材料温度)に5分間加熱した後、冷却して引張試験を行い、引張強さを測定した。
【0032】
(2)ろう付け性
クラッド材を、幅20mm、長さ40mmに切断し、図1に示すように、ろう材4、犠牲陽極材5および芯材6からなるクラッド材2を3003合金材(厚さ1mm、幅25mm、長さ40mm)3の上に載せて、逆T字型継手1に組合わせ、ろう付け条件と同様、フッ化物系フラックスを塗布した後、窒素ガス雰囲気中で600℃の温度に5分間加熱し、図2に示すように、加熱により逆T字型継手1の隅角部に溶融形成されたフィレット部7、8の断面積A1 およびA2 を測定し、ろう付け加熱前のろう材の断面積A0 との比から流動係数K(K=(A1 +A2 )/A0 )を求める。流動係数Kが大きいほど、ろう材の溶融した割合が多く、ろうの流動性が良好で、ろう付け性に優れていることを示す。通常の自動車用熱交換器用3層クラッド材のろう付けでは、流動係数Kが0.20未満の場合、フィレット切れ(フィレット未成形部発生)などのろう付け不良が生じ易くなるから、流動係数Kが0.20未満または実際にフィレット切れが生じたものをろう付け性不十分(×)、流動係数Kが0.20以上をろう付け性良好と評価した。
【0033】
(3)耐食性
クラッド材の外面側(ろう材側)の耐食性は、前記ろう付け加熱後の逆T字型継手について、内面側(犠牲陽極材側)をシールした後、JIS H8681に従ってCASS試験を2週間実施し、試験後のクラッド材の一般部(フィレット部以外の部分)の最大腐食深さを測定し、また、フィレット部については、フィレット面積の50%以上が腐食により消滅したものを耐食性不十分(×)と評価し、消滅面積がフィレット面積の50%未満のものを耐食性良好と評価した。
【0034】
内面側(犠牲陽極材側)の耐食性は、クラッド材単板にフッ化物系フラックス(濃度1%)を塗布して窒素ガス中で、ろう付け温度の600℃(材料温度)に5分間加熱した後、外面側(ろう材側)をシールし、Cl- :100ppm、SO4 2-:100ppm、HCO3 - :100ppm、Cu2+:10ppmを含む水溶液中に浸漬して、80℃の温度に8時間保持し、その後室温まで放冷しながら16時間放置するというサイクルを2か月間繰り返した後、最大腐食深さを測定した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
表4および表5にみられるように、本発明に従う試験材はいずれも、ろう付け後に145MPa以上の優れた引張強さを示し、腐食試験における外面一般部の最大腐食深さは0.10〜0.17mm、内面側の最大腐食深さは0.08〜0.15mmであり優れた耐食性をそなえている。ろう付け性についても、良好な接合部が形成された。また、本発明のクラッド材は、加工性良好であり、製造上何ら問題を生じることがなかった。
【0041】
比較例1
連続鋳造により、表6に示す組成を有する芯材用アルミニウム合金、表7に示す組成を有するろう材用アルミニウム合金および表8に示す組成を有する犠牲陽極材用アルミニウム合金を造塊し、実施例1と同一の条件により、厚さ0.25mmのアルミニウム合金クラッド材(H14)を作製した。得られたクラッド材(試験材)について、実施例1の方法に従って、ろう付け後の引張強さを測定し、ろう付け性および耐食性の評価を行った。結果を表9〜10に示す。
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
【表9】
【0046】
【表10】
【0047】
表9〜10にみられるように、本発明の条件を外れた試験材は、ろう付け後の強度、ろう付け性、耐食性のいずれかが劣っている。試験材No.34 およびNo.41 は、芯材のMn量が少ないため、ろう付け後の強度が低い。試験材No.35 およびNo.42 は、芯材のMn量が多いため、加工性が劣り健全な板材の製造ができなかった。試験材No.36 およびNo.43 は、それぞれ芯材のCu量が少ないため、ろう付け後の強度が低く、腐食試験において、外面側に貫通孔が生じ、内面側の最大腐食深さも大きい。試験材No.37 およびNo.44 は、それぞれ芯材のCu量が多いため、ろう付け時の加熱において、芯材に局部溶融が生じた。試験材No.38 およびNo.45 は、芯材のSi量が少ないため、ろう付け後の強度が低い。試験材No.39 およびNo.46 は、芯材のSi量が多いため、ろう付け時の加熱において、芯材に局部溶融が生じた。試験材No.40 およびNo.50 は、芯材のMg量が多いため、ろう付け性が劣り、ろう付けにおいて十分なフィレットが形成されず、フィレット切れが生じた。
【0048】
試験材No.47 は、芯材のFe量が多いため、耐食性が劣り、外面側および内面側で貫通孔が生じた。試験材No.48 は、芯材のTi量が少ないため、外面側および内面側の最大腐食深さが本発明のTi含有芯材からなるクラッド材に比べて大きくなっている。試験材No.49 は、芯材のTiの含有量が多いため、圧延が困難となり、健全なクラッド材が製造できなかった。試験材No.50 は、芯材がJIS3003合金に相当し、Cuの含有量が少ないため、ろう付け後の強度が低い。またFe量が多いため耐食性が劣り、内面側に貫通孔が生じた。さらにMg量が多いため、ろう付け性が劣り、ろう付けにおいてフィレット切れが生じた。
【0049】
試験材No.51 は、ろう材のSi量が少ないため、流動係数が小さく、ろう付け性が劣る。試験材No.52 は、ろう材のSi量が多いため、圧延加工性がわるく、健全なクラッド材が製造できなかった。試験材No.53 は、ろう材のFe量が少ないため、流動係数が小さく、ろう付け性が劣る、試験材No.54 は、ろう材のFe量が多いため、耐食性が劣り、外面側のフィレット部の腐食が顕著であった。試験材No.55 は、ろう材のMg量が多いため、また試験材No.56 は、ろう材のCa量が多いため、ろう付け性が劣り、全くフィレットが形成されず、未接合状態となった。
【0050】
試験材No.57 は、ろう材のBi量が少ないため、Biを含有する本発明のクラッド材に比べて流動係数が小さく、ろう付け性が劣る。試験材No.58 は、ろう材のBi量が多いため、外面側のフィレット部の自己腐食が激しい。試験材No.59 およびNo.60 は、それぞれ犠牲陽極材のSi量およびFe量が多いため、また試験材No.62 は犠牲陽極材のZn量が多いため、試験材No.63 は犠牲陽極材のIn量が多いため、試験材No.64 は犠牲陽極材のSn量が多いため、いずれも耐食性が劣り、内面側の犠牲陽極材の腐食消耗が激しく、犠牲陽極効果が長期に持続しない。試験材No.61 は、犠牲陽極材のMg量が多いため、ろう付けにおいて全くフィレットが形成されず、未接合状態となった。また、犠牲陽極材のZn、In、Snの含有量が少ないため、犠牲陽極効果が十分に発揮されず、内面側に貫通孔が生じた。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、ろう付け後の強度が高く、ろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が提供される。このクラッド材は、自動車用アルミニウム合金製熱交換器の流体通路を構成するチューブ材として特に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のろう付け性の評価試験において使用する逆T字型継手(試験前)を示す断面図である。
【図2】本発明のろう付け性の評価試験において使用する逆T字型継手(試験後)を示す断面図である。
【符号の説明】
1 逆T字型継ぎ手
2 アルミ合金クラッド材(耐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材)
3 3003合金材
4 ろう材
5 犠牲陽極材
6 芯材
7、8 フィレット部
Claims (3)
- 芯材の一方の面に犠牲陽極材をクラッドし、他方の面にAl−Si系のろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、芯材は、Mn:0.6〜2.0 %(重量%、以下同じ)、Cu:0.3〜1.0 %、Si:0.06 〜1.0 %を含有し、Feの含有量を0.4 %以下、Mgの含有量を0.04%以下に規制し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材は、Zn:0.5〜4.0 %、In:0.005〜0.1 %、Sn:0.01 〜0.1 %のうちの1種または2種以上を含有し、さらにSi:0.3%を越え1.0 %以下を含有し、Feの含有量を0.5 %以下、Mgの含有量を0.04%以下に規制し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成され、ろう材は、Si:6〜14%、Fe:0.06 〜0.7 %を含有し、Mgの含有量を0.04%以下、Caの含有量を0.006 %以下に規制し、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成されることを特徴とするろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- ろう材が、さらにBi:0.01 〜0.4 %を含有することを特徴とする請求項1記載のろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
- 芯材が、さらにTi:0.06 〜0.35%を含有することを特徴とする請求項1または2記載のろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP00377099A JP4023760B2 (ja) | 1999-01-11 | 1999-01-11 | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP00377099A JP4023760B2 (ja) | 1999-01-11 | 1999-01-11 | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000202680A JP2000202680A (ja) | 2000-07-25 |
| JP4023760B2 true JP4023760B2 (ja) | 2007-12-19 |
Family
ID=11566422
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP00377099A Expired - Fee Related JP4023760B2 (ja) | 1999-01-11 | 1999-01-11 | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4023760B2 (ja) |
Families Citing this family (20)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP4577634B2 (ja) * | 2000-09-07 | 2010-11-10 | 三菱アルミニウム株式会社 | 熱交換器用ろう材被覆アルミニウム合金押出チューブ |
| JP4485671B2 (ja) * | 2000-09-11 | 2010-06-23 | 古河スカイ株式会社 | 熱交換器用防食アルミニウム合金ろう材および熱交換器用高耐食性アルミニウム合金複合材 |
| JP4993440B2 (ja) * | 2006-06-07 | 2012-08-08 | 住友軽金属工業株式会社 | ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材 |
| JP4993439B2 (ja) * | 2006-06-07 | 2012-08-08 | 住友軽金属工業株式会社 | ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材 |
| JP4111456B1 (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-02 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート |
| JP2009030814A (ja) * | 2007-07-24 | 2009-02-12 | Showa Denko Kk | 熱交換器用チューブおよび熱交換器 |
| JP5388084B2 (ja) * | 2007-07-27 | 2014-01-15 | 三菱アルミニウム株式会社 | 強度および耐孔食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
| JP5396042B2 (ja) * | 2008-07-14 | 2014-01-22 | 株式会社Uacj | ろう付性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート |
| JP2011068933A (ja) * | 2009-09-24 | 2011-04-07 | Kobe Steel Ltd | 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
| EP2418042A1 (en) * | 2011-01-17 | 2012-02-15 | Aleris Aluminum Koblenz GmbH | Aluminium brazing sheet material for tubes |
| JP6186239B2 (ja) * | 2013-10-15 | 2017-08-23 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金製熱交換器 |
| EP3176273B1 (en) | 2014-07-30 | 2018-12-19 | UACJ Corporation | Aluminium alloy brazing sheet |
| JP7042023B2 (ja) | 2014-12-11 | 2022-03-25 | 株式会社Uacj | ろう付方法 |
| JP6186455B2 (ja) | 2016-01-14 | 2017-08-23 | 株式会社Uacj | 熱交換器及びその製造方法 |
| JP6283069B2 (ja) * | 2016-07-05 | 2018-02-21 | 三菱アルミニウム株式会社 | 熱交換器 |
| JP6312968B1 (ja) | 2016-11-29 | 2018-04-18 | 株式会社Uacj | ブレージングシート及びその製造方法 |
| JP7053281B2 (ja) | 2017-03-30 | 2022-04-12 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法 |
| JP6916715B2 (ja) | 2017-11-08 | 2021-08-11 | 株式会社Uacj | ブレージングシート及びその製造方法 |
| US11571769B2 (en) | 2018-09-11 | 2023-02-07 | Uacj Corporation | Method of manufacturing a brazing sheet |
| CN111187954B (zh) * | 2020-02-27 | 2021-06-01 | 西安石油大学 | 一种改善污水储罐水/气界面保护效果的铝合金牺牲阳极材料及其制备方法 |
-
1999
- 1999-01-11 JP JP00377099A patent/JP4023760B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2000202680A (ja) | 2000-07-25 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP6243837B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金製ブレージングシート、ならびに熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け体およびその製造方法 | |
| EP1090745A1 (en) | Aluminum alloy clad material for heat exchangers exhibiting high strength and excellent corrosion resistance | |
| JP2008303405A (ja) | 熱交換器ヘッダプレート用アルミニウム合金材料および熱交換器用ろう付け体 | |
| JP2000202680A (ja) | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP3910506B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
| JP2000204427A (ja) | ろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JPH11293372A (ja) | 熱交換器用高強度高耐食アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP4030006B2 (ja) | アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
| JP4623729B2 (ja) | 犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材および熱交換器 | |
| JP4993440B2 (ja) | ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP5632175B2 (ja) | ろう付け性に優れた高強度熱交換器用アルミニウム合金クラッド材および熱交換器 | |
| JP4424568B2 (ja) | 造管性および耐食性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
| JP3360026B2 (ja) | 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートのろう付け方法 | |
| JPH11315335A (ja) | ろう付け管形成用アルミニウム合金ブレージングシートおよびろう付け管 | |
| JP2000167688A (ja) | ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP3222768B2 (ja) | ろう付け性に優れたアルミニウム合金クラッド材およびその製造方法 | |
| JPH1180870A (ja) | 強度および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JPH11315337A (ja) | ろう付け管形成用アルミニウム合金ブレージングシートおよびろう付け管 | |
| JP3243188B2 (ja) | 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP4236187B2 (ja) | 自動車熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP3876180B2 (ja) | アルミニウム合金三層クラッド材 | |
| JPH11293371A (ja) | 強度および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP4440550B2 (ja) | アルミニューム製熱交換器 | |
| JP3243189B2 (ja) | 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 | |
| JP2000202682A (ja) | アルミニウム合金ろう材および該ろう材を皮材とするろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051229 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070921 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070928 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20071001 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012 Year of fee payment: 3 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012 Year of fee payment: 4 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111012 Year of fee payment: 4 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121012 Year of fee payment: 5 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131012 Year of fee payment: 6 |
|
| S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
| R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |
