JP4035577B2 - 回転軸シール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸シールに関し、特にカーエアコン用コンプレッサ等に於ける高圧流体を密封するのに用いられる回転軸シールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の回転軸シールとしては、図12に示すようなものが知られている。即ち、この回転軸シールは、コンプレッサのケース等のハウジング31と、回転軸32の間に介装され、流体収納室内の液体や気体を密封する。
【0003】
その構造は、アウターケース34にゴム製シール部材35が接着され、さらに、螺旋溝付きの第1シールエレメント36・第2シールエレメント37を、第1インナーケース38・ワッシャ39・第2インナーケース40等を介して、アウターケース34内に(かしめにて)一体化されている。
【0004】
ゴム製シール部材35は、流体収納室33側へ突設されたリップ部42を備え、リップ部42は、その付け根の流体収納室33側に周方向の窪部44を有すると共に、流体収納室33側へしだいに縮径するリップ先端部41を有しており、帯状面接触状に回転軸32にこのリップ先端部41の先端が接触して密封作用をなす。即ち、静止時は流体収納室33の圧力、及びリップ先端部41自身のゴム弾性力によって、流体が完全に密封される。
【0005】
そして、回転軸32の回転時には、リップ先端部41と回転軸32の摺接部から僅かな漏れを発生するが、第1・第2シールエレメント36,37の螺旋溝(スクリュ溝)のハイドロダイナミック効果により上記漏れを(図12の左方向へ)押しもどし、回転軸シール全体としては密封を行いえる構造である。
【0006】
具体的に述べると、図13(イ)に示すように、回転軸32に装着されたゴム製シール部材35に於て、リップ先端部41の(回転軸32との)接触部43には、ゴムの弾性による緊迫力F11が、回転軸32の外周面に対して働く。そして、図13(ロ)に示すように、流体収納室33の加圧状態で(流体の圧力Pにより)加圧されたゴム製シール部材35に於て、接触部43には、(加圧による)自封力F12と、(常時作用する)緊迫力F11が働き、結果、接触部43には、回転軸32の外周面に対して、全体力F13(=F11+F12)が働く。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来のシールに於て、流体収納室33の圧力が高い場合、(図13(ロ)中に矢印P方向に高圧力が作用して)リップ先端部41が大きく変形し、回転軸32と面接触状態となり、密封性(シール性)が不安定となり、かつ、第1シールエレメント36の密封性(シール性)にも影響し、さらに、リップ先端部41の回転軸32との接触部位が早期に大きく摩耗して、流体漏れが発生するという問題がある。
【0008】
さらに、リップ部42の付け根に窪部44を有しているため、圧力の受圧面積が大きくなると共に(他の部分に比べ)ゴム量が少ない。従って、リップ部42の付け根が高圧により大きく変形し、リップ部42表面からアウターケース34まで連続的に応力が発生するため、リップ部42の付け根に亀裂が生じたり、ゴム製シール部材35のアウターケース34からの剥離が生じたりし、さらに、リップ先端部41の回転軸32との接触部位が一層大きくなり、シール寿命を低下させるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、特に(CO2 等の高圧冷媒を使用する)高圧下で使用され、リップ先端部の変形が少なくて、早期摩耗を防止して、耐久性に優れ、かつ、面接触を防止した密封性の安定した回転軸シールを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ハウジングと回転軸の間に介装され、金属製アウターケースと、該アウターケースに内装され上記回転軸に摺接する第1シールエレメントと、該第1シールエレメントより流体収納室側に配設されて上記回転軸に摺接するリップ先端部を有するゴム製シール部材とを、備えた回転軸シールに於て、上記ゴム製シール部材の背面を保持するサポート金具を具備し、該サポート金具は、上記回転軸の回転軸心に直交する平板部と、回転軸心を中心とする短円筒状の円筒部と、を有し、上記平板部の外周端は上記アウターケースの内周面に当接し、かつ、上記回転軸への装着状態に於て上記円筒部の内周面は第1シールエレメントに密着して配設され、さらに、該円筒部の上記流体収納室側の先端部を折曲部にて折曲げて該先端部の外周面を先端へしだいに縮径する勾配受け面とし、上記ゴム製シール部材の上記回転軸への非装着状態にて、上記ゴム製シール部材のリップ先端部の背面を上記サポート金具の上記勾配受け面にて保持すると共に、上記サポート金具と上記ゴム製シール部材との間に隙間部を設け、かつ、リップ先端部は回転軸の仮想の回転軸心に対して所定の傾斜角度に傾斜して配設され、さらに、上記サポート金具の上記勾配受け面は仮想の回転軸心に対して上記所定の傾斜角度と同一の角度に傾斜し、上記ゴム製シール部材の上記回転軸への装着状態に於て、上記流体収納室の圧力増加に伴って、上記ゴム製シール部材が該隙間部に侵入するよう弾性変形して、上記リップ先端部が、回転軸より離間する方向に引張られるよう構成したものである。
【0011】
また、リップ先端部を有するリップ部の付け根の流体収納室側に、アール部を設け、該流体収納室の圧力増加による上記リップ部の付け根の弾性変形を、緩和するよう構成したものである。
【0012】
また、所定の傾斜角度を10°〜45°としたものである。また、サポート金具の勾配受け面の先端角部にアール状面取り部を形成したものである。また、ゴム製リップ先端部のJIS硬度を、87〜96に設定したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
【0014】
図1は本発明に係る回転軸シールを示し、例えば、流体収納室33側に高圧の冷媒(CO2 等)が作用するカーエアコンコンプレッサ等に使用される。
【0015】
即ち、この回転軸シールは、コンプレッサのケース等のハウジング31と、回転軸32(の外周面)との間に介装され、高圧の冷媒等の流体を密封するのに用いられる。
【0016】
具体的構成は、図1に示すように、内鍔部2,3を有する金属製アウターケース1と、このアウターケース1の円筒部4の外周面と内鍔部2の両面に接着・溶着・焼付等によって固着一体化されたゴム製シール部材5と、螺旋溝6…付きの第1シールエレメント7・第2シールエレメント8と、第1インナーケース9と、ワッシャ10と、第2インナーケース11と、サポート金具12と、から成る。
【0017】
ゴム製シール部材5は、ハウジング31の内周面に弾発的に接して密封作用を成すため(自由状態では)凹凸波状に外周面が形成された円筒部被覆部5aと、一方の内鍔部2の内外両面を被覆する断面U字形の内鍔外被部5bと、この断面U字形の内鍔外被部5bの内周側から流体収納室33側へ突設されたリップ部13と、から構成されている。
【0018】
このリップ部13は、さらに、短円筒部13aと、流体収納室33側へしだいに縮径するリップ先端部13bとから成り、リップ部13は略同一の肉厚で、(図1のように)断面“へ”の字状に折曲がった形状である。このリップ先端部13bの先端角部14は、(流体収納室33の)未加圧状態では回転軸32(の外周面)に線接触状態で接して密封作用をなす。
【0019】
ところで、このゴム製シール部材5と、ゴム製シール部材5の背面を保持するよう付設された受持部材21と、の間に隙間部Sを設けている。具体的に述べると、このゴム製シール部材5の内鍔外被部5bの反流体収納室側部乃至内径部、及び、短円筒部13aと、リップ先端部13bと、に隙間部Sを有すると共に一部密着して支持するように、サポート金具12が、第1シールエレメント7とこのゴム製シール部材5との間に、介装されている。なお、この場合、受持部材21は、サポート金具12と第1シールエレメント7とから成る。
【0020】
図2と図1に示すように、回転軸32の軸心Lに対して、リップ先端部13bは10°〜45°の傾斜角度を有するので、これに対応させてサポート金具12は、上記軸心Lに対して、10°〜45°の傾斜角度θを成すように勾配受け面Aを先端に有する。
【0021】
具体的には、サポート金具12は、軸心Lに直交する平板部15と、軸心Lを中心とする短円筒状の円筒部16と、から成り、断面略L字形であるが、その円筒部16の(流体収納室33側の)先端部16aを、先端へしだいに縮径するように折曲部17にて前記傾斜角度θをもって折曲げて、該先端部16aの外周面を前記勾配受け面Aとしている。
【0022】
折曲部17は、シール部材5の短円筒部13aとリップ先端部13bの折曲内隅部よりも先端側で、密着する。即ち、サポート金具12の円筒部16は、リップ部13の短円筒部13aと、リップ先端部13bの一部と、隙間部Sを有して密着(支持)しておらず、サポート金具12の先端部16a(の勾配受け面A)が、リップ先端部13bと密着(支持)している。
【0023】
そして、図2(ロ)に示すように、サポート金具12の勾配受け面Aの先端角部にアール状面取り部20を形成するのが、良い。即ち、流体収納室33(図1参照)の加圧(運転)状態に於て、流体の高い圧力が作用したとき、サポート金具12の先端角部がリップ部13のリップ先端部13bに食い込んでリップ先端部13bに亀裂が入るのを、有効に防止できる。
【0024】
なお、図1に示したように、ゴム製シール部材5が予め接着等で一体化されたアウターケース1であって、他方の内鍔部3を形成しないストレート状態(円筒状態)で、サポート金具12、第1シールエレメント7、第1インナーケース9、ワッシャ10、第2シールエレメント8、第2インナーケース11を順次嵌込み、その後、かしめ加工にて内鍔部3を形成して、全体を一体化する。
【0025】
サポート金具12、第1・第2インナーケース9,11、ワッシャ10、及び、アウターケース1の材質は鋼等の金属とし、かつ、第1・第2シールエレメント7,8はPTFE等のふっ素系樹脂とし、さらに、シール部材5は耐冷媒性を考慮してHNBRを用いるが、特に好ましいのは、受圧時の変形を防止するため(配合によって)JIS硬度を87〜96に設定したものが良い。JIS硬度が87未満であると変形が多くなり、逆に96を越すと弾性がやや不足する。
【0026】
そして、ゴム製シール部材5は、流体収納室33の圧力増加に伴って、主として短円筒部13aが縮径する方向に弾性変形して、隙間部Sに侵入するよう弾性変形する。本発明では、このような弾性変形を巧妙に利用して、リップ先端部13bが、回転軸32より離間する方向に引張られるよう構成している。
【0027】
具体的に述べると、先ず、図4(イ)に示すように、回転軸32への非装着状態(自由状態)のゴム製シール部材5に於て、ゴム製シール部材5(リップ部13)とサポート金具12との間には隙間部Sが設けられ、サポート金具12の勾配受け面Aにて、リップ先端部13bの背面を保持している。
【0028】
そして、図4(ロ)に示すように、流体収納室33側より、(高圧流体等の)圧力Pが、ゴム製シール部材5(リップ部13)に作用すると、リップ部13の短円筒部13aが、隙間部Sに侵入するよう弾性変形する。即ち、リップ部13には、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に弾性変形する移動力Fx と、軸心Lと垂直方向に弾性変形する押圧力Fy と、が作用する。
【0029】
このとき、移動力Fx により、リップ部13のリップ先端部13bが、回転軸32から離間する方向に、勾配受け面A上に沿って引張られる。即ち、リップ先端部13bの先端角部14には、回転軸32から離間する方向に引張力F1 が働く。
【0030】
そして、このゴム製シール部材5を回転軸32へ装着すると、図5(イ)に示すように、流体収納室33の未加圧時、リップ部13が勾配受け面Aから離間し、隙間部Sが拡大し、ゴム製シール部材5(リップ部13)が弾発付勢した状態で、回転軸32(の外周面)に線接触する。即ち、リップ先端部13bの(回転軸32との)接触部22(先端角部14)には、回転軸32に対して、ゴムの弾性による緊迫力F3 が作用する。
【0031】
そして、図5(ロ)に示すように、流体収納室33の加圧(運転)状態に於て、高圧流体の圧力Pにより、リップ先端部13bの接触部22(先端角部14)には、回転軸32に対して、(加圧による)自封力F4 が作用すると共に、(上述の)緊迫力F3 と、(上述の)引張力F1 とが作用する。即ち、リップ先端部13bの接触部22(先端角部14)には、回転軸32に対して、全体力F5 (=F3 +F4 −F1 )が働く。
【0032】
従って、従来例(図12)に示す(回転軸32への非装着状態では隙間部Sが存在しない)場合に比べ、回転軸32に作用する力が(引張力F1 分)小さくなり、リップ先端部13b(の接触部22)の接触面圧が低下して、摩耗が低減される。
【0033】
さらに、リップ先端部13bを有するリップ部13の付け根の流体収納室33側に、アール部18を設け、流体収納室33の圧力増加によるリップ部13の付け根の弾性変形を、緩和するよう構成している。即ち、アール部18を設けたことで、従来(図13)に比べ、窪部(44)がなく、アール形状を有し、流体収納室33側の圧力の受圧面積が減少し、さらに、リップ部13の付け根のゴム量が増加している。
【0034】
従って、流体収納室33の圧力が増加した使用状態に於て、(加圧の)応力が分散されて、リップ部13の付け根の弾性変形が緩和され、リップ部13の付け根の亀裂や、ゴム製シール部材5(内鍔外被部5b)のアウターケース1(内鍔部2)からの剥離を生じ難くし、さらに、リップ先端部13b(の接触部22)の接触面圧を一層低下して、摩耗が低減される。
【0035】
また、リップ先端部13bに圧力Pが作用した際、裏面側(内径側)から、サポート金具12の勾配受け面Aによって受持(サポート)され、変形防止が図られ、高圧力下でのリップ先端部13bの密封(シール)性能を良好に維持できる。
【0036】
上述のように、図2では、軸心Lに対して、10°≦θ≦45°なる式を満たす傾斜角度θの勾配受け面Aを、サポート金具12に形成して、リップ先端部13bの傾斜角度と略一致して、これを裏面(背面)側から確実に保持(サポート)して、受圧(符号P参照)時の変形を防止できる。リップ先端部13bの傾斜角度を10°〜45°に維持することによって、優れたシール性(密封性)を発揮できる。
【0037】
ところで、図3に示した本発明との比較例は、従来のオイルシールに於て提案されている実公平2−47311号公報記載のバックアップリング45を、ゴム製シール部材5のリップ部13の保持に適用したものである。即ち、このバックアップリング45ではその先端45aが直角90°に曲がりかつ極めて短い寸法である。
【0038】
次に、図6と図7は、本発明の比較例を示す。図1,図2と比較すれば明らかな如く、次の構成が相違している。
【0039】
即ち、図1の第1シールエレメント7を省略し、その分、十分な肉厚寸法Tのサポート金具12とすると共に、このサポート金具12は(図1の折曲部17等を省略して)先端面をシール部材5のリップ先端部13bの裏面(背面)側に密着受持する形状として、勾配受け面Aを形成したものである。
【0040】
この勾配受け面Aが、回転軸の軸心Lをなす傾斜角度θは前実施の形態と同様の数値範囲に設定される。それ以外も、同一符号は同様の構成であるので、説明を省略する。なお、この場合、受持部材21は、サポート金具12から成る。
【0041】
次に、図8に、本発明の別の実施の形態を示す。図8(イ)は、図1と比較すれば明らかな如く、次の構成が相違してくる。
【0042】
即ち、アウターケース1の内鍔部2の端面2aを、リップ部13の短円筒部13aの外周面23よりも、外径側(径方向の外側)に位置させ、ゴム製シール部材5(リップ部13と内鍔外被部5b)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成されている。このように、ゴム製シール部材5が、流体収納室33の圧力増加に伴って、回転軸32の軸心L方向に弾性変形して、リップ先端部13bが、回転軸32より離間する方向に引張られるよう構成されている。
【0043】
そして、図8(ロ)は、図1と比較すれば明らかな如く、次の構成が相違してくる。即ち、流体収納室33の未加圧状態に於て、ゴム製シール部材5の内鍔外被部5bと、サポート金具12の平板部15と、の間に、隙間部Sを設け、ゴム製シール部材5(リップ部13と内鍔外被部5b)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成されている。このように、ゴム製シール部材5の背面を保持するよう付設された受持部材21(サポート金具12・第1シールエレメント7)と、ゴム製シール部材5と、の間に隙間部Sを設け、流体収納室33の圧力増加に伴って、ゴム製シール部材5が隙間部Sに侵入するよう弾性変形して、リップ先端部13bが、回転軸32より離間する方向に引張られるよう構成されている。また、内鍔外被部5bと平板部15の間に、複数個の突起部24…を設け、内鍔外被部5bと平板部15の間の隙間部Sを確保できるようにしてもよい。
【0044】
さらに、図8(ハ)は、図1と比較すれば明らかな如く、次の構成が相違してくる。即ち、流体収納室33の未加圧状態に於て、(ゴム製シール部材5の)内鍔外被部5bとリップ部13(短円筒部13a)の連設結合部25に対向する(サポート金具12の)平板部15と円筒部16の連設結合部26を、反流体収納室33側へ折り曲げて、(ゴム製シール部材5の)連設結合部25と(サポート金具12の)連設結合部26との間に、隙間部Sを設け、ゴム製シール部材5(リップ部13)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成されている。このように、ゴム製シール部材5の背面を保持するよう付設された受持部材21(サポート金具12・第1シールエレメント7)と、ゴム製シール部材5と、の間に隙間部Sを設け、流体収納室33の圧力増加に伴って、ゴム製シール部材5が隙間部Sに侵入するよう弾性変形して、リップ先端部13bが、回転軸32より離間する方向に力を加えられるよう構成されている。
【0045】
また、図8(ニ)は、図1と比較すれば明らかな如く、次の構成が相違してくる。即ち、流体収納室33の未加圧状態に於て、ゴム製シール部材5の短円筒部13aと、サポート金具12の円筒部16と、が接触しないように、短円筒部13a(内鍔外被部5bとリップ部13の連設結合部25)を、円筒部16から離間させて隙間部Sを設け、ゴム製シール部材5(リップ部13)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成されている。このように、ゴム製シール部材5の背面を保持するよう付設された受持部材21(サポート金具12・第1シールエレメント7)と、ゴム製シール部材5と、の間に隙間部Sを設け、流体収納室33の圧力増加に伴って、ゴム製シール部材5が隙間部Sに侵入するよう弾性変形して、リップ先端部13bを、回転軸32より離間する方向に引張る力が働くよう構成されている。
【0046】
なお、(図8(イ)〜(ハ)に示すように)流体収納室33の未加圧状態に於て、ゴム製シール部材5の短円筒部13aと、サポート金具12の円筒部16と、が接触している場合、円筒部16、又は、その接触部(内鍔外被部5bとリップ部13の連設結合部25)に、低摩擦樹脂被膜等をコーティングして、摩擦力を低減させ、ゴム製シール部材5(リップ部13と内鍔外被部5b)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成してもよい。
【0047】
なお、図8(イ)〜(ニ)に示す、各々の(独自の)構成を、様々に組合せて、ゴム製シール部材5(リップ部13と内鍔外被部5b)が、流体収納室33の圧力増加に伴って、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成してもよい。
【0048】
次に、図9と図10に、本発明のさらに他の実施の形態を示す。図4と図5と比較すれば明らかな如く、次の構成が相違してくる。
【0049】
即ち、図4(イ)に示すリップ部13とサポート金具12(円筒部16)との間の隙間部Sがなく、(ゴム製シール部材5の)内鍔外被部5bとリップ部13(短円筒部13a)の連設結合部25と、サポート金具12と、の間に隙間部Sを設けている。
【0050】
具体的に述べると、図9(イ)に示すように、回転軸32への非装着状態(自由状態)のゴム製シール部材5に於て、内鍔外被部5bとリップ部13の連設結合部25と、(サポート金具12の)平板部15と円筒部16の連設結合部26と、の間には隙間部Sが設けられ、リップ部13の短円筒部13aとリップ先端部13bは、サポート金具12の円筒部16と勾配受け面Aにて、密着支持されている。
【0051】
そして、図9(ロ)に示すように、流体収納室33側より、(高圧流体等の)圧力Pが、ゴム製シール部材5(リップ部13)に作用すると、リップ部13が、隙間部Sに侵入するよう(連設結合部25が連設結合部26に接触するよう)弾性変形する。即ち、リップ部13には、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に弾性変形する移動力Fx が作用する。
【0052】
このとき、移動力Fx により、リップ部13のリップ先端部13bが、回転軸32から離間する方向に、勾配受け面A上に沿って引張られる。即ち、リップ先端部13bの先端角部14には、回転軸32から離間する方向に引張力F1 が働く。
【0053】
そして、このゴム製シール部材5を回転軸32へ装着すると、図10(イ)に示すように、流体収納室33の未加圧時、リップ部13が勾配受け面Aから離間し、隙間部Sが拡大し、ゴム製シール部材5(リップ部13)が弾発付勢した状態で、回転軸32(の外周面)に線接触する。即ち、リップ先端部13bの(回転軸32との)接触部22(先端角部14)には、回転軸32に対して、ゴムの弾性による緊迫力F3 が作用する。
【0054】
そして、図10(ロ)に示すように、流体収納室33の加圧(運転)状態に於て、高圧流体の圧力Pにより、リップ先端部13bの接触部22(先端角部14)には、回転軸32に対して、(加圧による)自封力F4 が作用すると共に、(上述の)緊迫力F3 と、(上述の)引張力F1 とが作用する。即ち、リップ先端部13bの接触部22(先端角部14)には、回転軸32に対して、全体力F5 (=F3 +F4 −F1 )が働く。
【0055】
従って、従来例(図12)に示す(回転軸32への非装着状態では隙間部Sが存在しない)場合に比べ、回転軸32に作用する力が(引張力F1 分)小さくなり、リップ先端部13b(の接触部22)の摩耗が低減される。また、図4と図5に示す場合に比べ、回転軸32への非装着状態では、ゴム製シール部材5の短円筒部13aが、サポート金具12の円筒部16に、密着支持されているため、非常に安定性のあるものとなる。
【0056】
次に、図11に、本発明のさらに別の実施の形態を示す。即ち、図9と図10に示すような、リップ部13の短円筒部13aとリップ先端部13bが、サポート金具12の円筒部16と勾配受け面Aにて、密着支持されると共に、図8(ロ)〜(ニ)に示すような各々の(独自の)構成を組合せている。
【0057】
具体的に述べると、図11(イ)に示すように、流体収納室33の未加圧状態に於て、ゴム製シール部材5の内鍔外被部5bと、サポート金具12の平板部15と、の間に、隙間部Sを設け、ゴム製シール部材5(リップ部13と内鍔外被部5b)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成されている。このように、ゴム製シール部材5が、流体収納室33の圧力増加に伴って、回転軸32の軸心L方向に弾性変形して、リップ先端部13bが、回転軸32より離間する方向に引張られるよう構成されている。なお、内鍔外被部5bと平板部15の間に、複数個の突起部24…を設け、内鍔外被部5bと平板部15の間の隙間部Sを確保できるようにしてもよい。
【0058】
また、図11(ロ)に示すように、流体収納室33の未加圧状態に於て、(ゴム製シール部材5の)内鍔外被部5bとリップ部13(短円筒部13a)の連設結合部25に対向する(サポート金具12の)平板部15と円筒部16の連設結合部26を、反流体収納室33側へ折り曲げて、(ゴム製シール部材5の)連設結合部25と(サポート金具12の)連設結合部26との間に、隙間部Sを設け、ゴム製シール部材5(リップ部13)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成されている。
【0059】
なお、(図11(イ)(ロ)に示すように)ゴム製シール部材5の短円筒部13aと、サポート金具12の円筒部16と、の接触面に、低摩擦樹脂被膜等をコーティングして、摩擦力を低減させ、ゴム製シール部材5(リップ部13と内鍔外被部5b)が、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成してもよい。
【0060】
もちろん、図11(イ)(ロ)に示す、各々の(独自の)構成を、様々に組合せて、ゴム製シール部材5(リップ部13と内鍔外被部5b)が、流体収納室33の圧力増加に伴って、回転軸32の軸心L方向(図1参照)に変形しやすいよう形成してもよい。
【0061】
なお、図示省略するが、リップ先端部13bの先端角部14が、未加圧状態で、回転軸32に締め代なしの線接触乃至微小に離間し、かつ、流体収納室33の加圧状態で、上記先端角部14が、回転軸32に接触するよう形成してもよく、回転軸32に装着した際、リップ先端部13bの接触部22(先端角部14)には、(図5参照の)緊迫力(F3 )は作用しない。従って、従来例(図12)と比べると、締め代がないことと、隙間部Sを有することと、の相乗効果により、リップ先端部13bが回転軸32表面に接触する面圧が低下して、摩耗が一層低減される。
【0062】
【発明の効果】
本発明は上述の構成により次のような著大な効果を奏する。
【0063】
(請求項1によれば、)流体収納室33の圧力が増加した使用状態で、リップ先端部13bの回転軸32への接触面圧が低下し、リップ先端部13bの摩耗を低減させる。
【0064】
特にリップ先端部13bが回転軸32に摺接する接触面圧の増大を防ぎ、発熱・摩耗を防止できて、長寿命である。
また、リップ先端部13bの背面に勾配受け面Aが確実に密着して保持して、リップ先端部13bの受圧時の変形を防止するので、優れたシール性能及び耐久性を発揮する。
【0065】
(請求項2によれば、)流体収納室33の圧力が増加した使用状態で、リップ部13の付け根の亀裂や、ゴム製シール部材5(内鍔外被部5b)のアウターケース1(内鍔部2)からの(接着)剥離を、生じ難くした耐久性の優れたものとなる。
【0066】
さらに、リップ先端部13bの回転軸32への接触面圧を一層低下して、リップ先端部13bの摩耗が低減される。
【0067】
(請求項3によれば、)リップ先端部13bの背面に勾配受け面Aが確実に密着して保持して、リップ先端部13bの受圧時の変形を防止するので、一層優れたシール性能及び耐久性を発揮する。
【0068】
(請求項4によれば、)リップ先端部13bの背面に、サポート金具12の先端角部が食い込んで、亀裂を発生することを有効に防止し、ゴム製シール部材5の寿命が延びる。
【0069】
(請求項5によれば、)ゴム硬度が高いため、サポート金具12との相乗効果によって、シール性能及び耐久性が、一層良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示す半截正面図である。
【図2】 要部拡大断面図である。
【図3】 比較例を示す要部拡大断面図である。
【図4】 要部作用説明図である。
【図5】 要部作用説明図である。
【図6】 本発明の比較例を示す半截正面図である。
【図7】 比較例の要部拡大断面図である。
【図8】 本発明の別の実施の形態を示す要部断面図である。
【図9】 本発明のさらに他の実施の形態を示す要部作用説明図である。
【図10】 要部作用説明図である。
【図11】 本発明のさらに別の実施の形態を示す要部断面図である。
【図12】 従来例の半截正面図である。
【図13】 従来例の要部作用説明図である。
【符号の説明】
1 アウターケース
5 ゴム製シール部材
7 第1シールエレメント
8 第2シールエレメント
12 サポート金具
13 リップ部
13b リップ先端部
14 先端角部
15 平板部
16 円筒部
16 a 先端部
17 折曲部
18 アール部
20 アール状面取り部
21 受持部材
31 ハウジング
32 回転軸
33 流体収納室
L 軸心
A 勾配受け面
θ 傾斜角度
S 隙間部
Claims (5)
- ハウジング(31)と回転軸(32)の間に介装され、金属製アウターケース(1)と、該アウターケース(1)に内装され上記回転軸( 32 )に摺接する第1シールエレメント(7)と、該第1シールエレメント(7)より流体収納室(33)側に配設されて上記回転軸(32)に摺接するリップ先端部(13b)を有するゴム製シール部材(5)とを、備えた回転軸シールに於て、
上記ゴム製シール部材(5)の背面を保持するサポート金具( 12 )を具備し、該サポート金具( 12 )は、上記回転軸( 32 )の回転軸心(L)に直交する平板部( 15 )と、回転軸心(L)を中心とする短円筒状の円筒部( 16 )と、を有し、上記平板部( 15 )の外周端は上記アウターケース(1)の内周面に当接し、かつ、上記回転軸( 32 )への装着状態に於て上記円筒部( 16 )の内周面は第1シールエレメント(7)に密着して配設され、さらに、該円筒部( 16 )の上記流体収納室( 33 )側の先端部( 16 a)を折曲部( 17 )にて折曲げて該先端部( 16 a)の外周面を先端へしだいに縮径する勾配受け面(A)とし、
上記ゴム製シール部材(5)の上記回転軸(32)への非装着状態にて、上記ゴム製シール部材(5)のリップ先端部(13b)の背面を上記サポート金具( 12 )の上記勾配受け面(A)にて保持すると共に、上記サポート金具(12)と上記ゴム製シール部材(5)との間に隙間部(S)を設け、かつ、リップ先端部(13b)は回転軸(32)の仮想の回転軸心(L)に対して所定の傾斜角度(θ)に傾斜して配設され、さらに、上記サポート金具(12)の上記勾配受け面(A)は仮想の回転軸心(L)に対して上記所定の傾斜角度(θ)と同一の角度に傾斜し、
上記ゴム製シール部材(5)の上記回転軸(32)への装着状態に於て、上記流体収納室(33)の圧力増加に伴って、上記ゴム製シール部材(5)が該隙間部(S)に侵入するよう弾性変形して、上記リップ先端部(13b)が、回転軸(32)より離間する方向に引張られるよう構成したことを特徴とする回転軸シール。 - リップ先端部(13b)を有するリップ部(13)の付け根の流体収納室(33)側に、アール部(18)を設け、該流体収納室(33)の圧力増加による上記リップ部(13)の付け根の弾性変形を、緩和するよう構成した請求項1記載の回転軸シール。
- 所定の傾斜角度(θ)を10°〜45°とした請求項1又は2記載の回転軸シール。
- サポート金具(12)の勾配受け面(A)の先端角部にアール状面取り部(20)を形成した請求項1,2又は3記載の回転軸シール。
- ゴム製リップ先端部(13b)のJIS硬度を、87〜96に設定した請求項1,2,3又は4記載の回転軸シール。
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