JP4036768B2 - 焼却炉の燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴミを焼却処理する焼却炉の燃焼制御装置に関し、炉内保有ゴミ量を適正範囲に維持するため、特に、炉内で焼却処理するゴミの目標焼却量及び炉内にゴミを供給する給塵手段のゴミ供給量(例えば往復動作を繰り返してゴミ供給する給塵装置の1往復すなわち1サイクル当りのゴミ供給量)を表わす給塵効率に基づいて前記給塵手段の基準動作速度を求め、その基準動作速度に基づいて前記給塵手段の動作を制御する制御手段が設けられた焼却炉の燃焼制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記焼却炉の燃焼制御装置に関連する第1の従来技術では、廃熱ボイラの蒸気発生量、炉内の燃焼状況を監視するITV画像の輝度情報、後燃焼火格子下圧力と炉内圧との圧力差、後燃焼火格子温度、主煙道温度に基づいて、火格子速度、火格子ストローク長、後燃焼空気ダンパを制御して、蒸気発生量の安定と未燃ゴミの低減を実現するようにしていた(特許文献1参照)。
【0003】
また、第2の従来技術では、炉内にゴミを供給する給塵手段の動作速度とゴミ供給量の履歴から給塵効率(給塵装置1往復当りの実績ゴミ供給量)を推定し、その給塵効率に基づいて判断したゴミ質の変化に応じて適切な給塵速度に制御しながら、目標ゴミ焼却量を実現するようにしていた(特許文献2参照)。
【0004】
また、第3の従来技術では、ホッパ内をレーザ式距離計で計測して投入ゴミの容積を演算し、この投入ゴミの容積と別途計測した投入ゴミの重量からゴミの比重を求めてゴミの発熱量(炉内供給熱量)を推定し、この炉内供給熱量を一定に保つようにゴミ供給速度を制御していた(非特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−332121号公報(第2−9頁、図1−図12)
【特許文献2】
特開平7−269834号公報(第2−4頁、図1−図4)
【非特許文献1】
辻本進一,他2名,「焼却炉におけるごみ供給熱量制御」,学会誌「EICA」,2002年10月31日,第7巻,第2号(2002),p.75−78
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1の従来技術では、炉内へのゴミ供給速度を制御していないため、炉内の保有ゴミ量が過剰になったとき、火格子の速度とストローク長を制御してゴミ層の層厚バランスを変えることはできるものの、ゴミ供給速度が同じなら炉内の保有ゴミ量が減らないため、未燃ゴミが発生する不都合があった。すなわち、蒸気発生量が目標より低下すると、ゴミ送り速度が常に速くなるため、通気性の低いゴミに対しては、炉内保有ゴミ量が急増して、ますます通気性が低下し、燃焼が悪化するという問題点を抱えていた。
【0007】
第2の従来技術では、目標ゴミ焼却量と給塵効率から給塵手段の基準動作速度を求めて、給塵手段の実動作速度をその基準動作速度に制御していたため、発熱量の低いゴミに対して目標ゴミ焼却量を高く設定した場合に、炉の焼却処理能力を超えるゴミを供給してしまう可能性があった。
また、第3の従来技術においても、供給熱量一定制御のため、第2の従来技術と同様に、ゴミの発熱量が低い場合に、結果的に目標ゴミ焼却量が高く設定され、炉の焼却処理能力を超えるゴミを供給してしまう可能性があった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、炉内へのゴミの供給過剰や供給不足による燃焼状態の悪化を回避し、安定した燃焼を実現することが可能となる焼却炉の燃焼制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を実現するための焼却炉の燃焼制御装置の請求項1に係る発明は、炉内で焼却処理するゴミの目標焼却量及び炉内にゴミを供給する給塵手段のゴミ供給量を表わす給塵効率に基づいて前記給塵手段の基準動作速度を求め、その基準動作速度に基づいて前記給塵手段の動作を制御する制御手段が設けられたものであって、その特徴構成は、炉内でのゴミの燃焼状態を表わす燃焼指標に基づいて前記基準動作速度を補正して前記給塵手段の実動作速度を求め、ゴミ焼却量の実績値、もしくは、ゴミ焼却量の実績値とゴミの発熱量の推定値の両方に基づいて、炉内へのゴミ供給量が炉の焼却処理能力に対して適正範囲内に収まるように前記実動作速度を制限するにあたり、前記制御手段が、前記燃焼指標として、複数の燃焼パターンを設定し、前記複数の燃焼パターンの1つが継続して現れる場合に前記基準動作速度を補正する補正率を累積して増加もしくは減少させる累積補正率を求め、前記ゴミ焼却量の実績値もしくは前記ゴミ焼却量の実績値とゴミの発熱量の推定値の両方に基づいて設定した上限値及び下限値によって前記累積補正率を制限しつつ、当該累積補正率を用いて前記基準動作速度を補正して前記実動作速度を求める点にある。
【0010】
すなわち、燃焼指標に基づいて、炉内保有ゴミの不足が予想される時は、炉内のゴミが不足しないように基準動作速度を増加側に補正して給塵手段の実動作速度を速くし、一方、炉内保有ゴミの過剰が予想される時は、炉内のゴミが過剰にならないように基準動作速度を減少側に補正して給塵手段の実動作速度を遅くする。
さらに、ゴミ焼却量の実績値もしくはゴミ焼却量の実績値とゴミの発熱量の推定値の両方に基づいて、例えば、定格燃焼ペースに対して、過去1〜2時間におけるゴミ焼却量の実績値が大きい時は、上記給塵手段の実動作速度を低速になるように制限して、炉内へのゴミ供給量が炉の焼却処理能力の適正範囲上限を外れないようにし、一方、ゴミ焼却量の実績値が小さい時は、上記給塵手段の実動作速度を高速になるように制限して、炉内へのゴミ供給量が炉の焼却処理能力の適正範囲下限を外れないようにする。
【0011】
従って、目標ゴミ焼却量と給塵効率に基づいて求めた給塵手段の基準動作速度に対して、炉内のゴミの燃焼状態に応じた補正を行って実動作速度を求め、さらに、ゴミ供給量が炉の焼却処理能力に対して適正範囲内に収まるように、ゴミ焼却量の実績値等に基づいて上記給塵手段の実動作速度を制限するので、炉内へのゴミの供給過剰や供給不足による燃焼状態の悪化を回避し、安定した燃焼を実現することが可能となる焼却炉の燃焼制御装置が提供される。
【0013】
すなわち、上記複数の燃焼パターンは燃焼による発生熱量、炉内保有ゴミ量等の異なる燃焼状態を表わすものであり、例えば、蒸気発生量が目標を上回り、かつ、燃切点が乾燥帯側の上流に位置する燃焼パターンが継続して現れる場合は、ゴミ発熱量が上昇して燃焼速度が速いと判断して累積補正率を累積して増加させ、一方、蒸気発生量が低下し、かつ、燃切点が後燃焼側の下流に位置する燃焼パターンが継続して現れる場合は、ゴミ発熱量が下降して燃焼速度が遅いと判断して累積補正率を累積して減少させるように、この累積補正率に炉内の安定した燃焼状態あるいは燃焼状態の緩やかな変化を反映させて、適切な実動作速度を求めることができ、しかも、ゴミ供給量が炉の焼却処理能力に対して適正範囲内に収まるように、定格燃焼ペースに対するゴミ焼却量の実績値等に基づいて上記累積補正率に上限値と下限値の制限を設けるので、上記燃焼パターンの1つが継続した場合でも、給塵手段の実動作速度が適正速度から大きく外れることもない。
従って、複数の燃焼パターンと累積補正率の2つのパラメータを用いて、給塵手段の基準動作速度から実動作速度を簡便且つ適切に求めることが可能であり、焼却炉の燃焼制御装置の好適な実施形態が提供される。
【0014】
請求項2に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明において、前記制御手段が、前記基準動作速度を補正する際に、前記累積補正率に加えて、前記燃焼パターンの1つが現れたときに前記基準動作速度を補正する補正率を一時的に設定する一時補正率を用いる点にある。
【0015】
上記構成によれば、前記制御手段が、前記複数の燃焼パターンの1つが現われたときに一時補正率に一時的に値を設定し、その一時補正率と前記累積補正率の両方を用いて前記基準動作速度を補正して前記給塵手段の実動作速度を求める。すなわち、上記一時補正率は、前記累積補正率と異なり、複数の燃焼パターンの1つが1回現われただけで値が設定されるので、例えば蒸気量が上昇し過剰燃焼への急激な変化を示す燃焼パターンが現われ、給塵速度を急減させる必要がある場合に、値が累積して増加もしくは減少する前記累積補正率では対応できないが、上記一時補正率に一時的に大きな値を設定することで、上記急激な燃焼状態の変化に対応して給塵手段の実動作速度を確実に制限することができる。
従って、前記累積補正率に加えて一時補正率を用いることで、炉内の燃焼状態の急激な変化に対しても給塵手段の実動作速度を適切に設定することが可能となり、焼却炉の燃焼制御装置の好適な実施形態が提供される。
【0016】
請求項3に係る発明の特徴構成は、請求項1又は2に係る発明において、前記制御手段が、前記複数の燃焼パターンとして、炉内での発生熱量の評価指標と炉内のゴミ滞留量の評価指標とを組み合わせた二次元マトリックス情報を用いる点にある。
【0017】
炉内での発生熱量だけでは炉内のゴミの燃焼状態が適正か否かを判断することは難しく、例えば発生熱量が小さいときにこの発熱量小の原因が炉内のゴミの燃焼不良にあるのか、あるいは、炉内のゴミ滞留量が少ないことによるかが判断できないが、炉内での発生熱量と炉内のゴミ滞留量を組み合わせることで、例えば、炉内のゴミ滞留量が少なくないにもかかわらず、発生熱量が小さいときは、通気性低下等による炉内のゴミの燃焼不良と判断できる。
従って、前記複数の燃焼パターンとして炉内での発生熱量と炉内のゴミ滞留量の情報を組み合わせることで、炉内のゴミが適正な燃焼状態にあるか否かを適切に判断して、炉内の燃焼状態に応じて給塵手段の実動作速度を適切に設定することが可能となり、焼却炉の燃焼制御装置の好適な実施形態が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る焼却炉の燃焼制御装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ゴミピット20に集積されたゴミを掴み上げて搬送するバケット1と、このバケット1で掴み上げたゴミが投入されるホッパー2と、このホッパー2内のゴミを焼却炉3内に押し込み供給するために往復作動する給塵手段としてのプッシャ機構4と、プッシャ機構4によって炉内に供給されたゴミを搬送しながら焼却処理するストーカ式の焼却処理帯5と、この焼却処理帯5からの焼却灰を回収する灰ピット6とを備えると共に、炉内で発生した熱を回収する廃熱ボイラ7から蒸気が供給される蒸気タービン8と、この蒸気タービン8で駆動される発電機9を備え、また、焼却炉3からの排ガスをバグフィルター等を有する排ガス処理部10で処理した後、煙突11から排出するようにして、ゴミ焼却設備が構成されている。
【0019】
図面には示さないが、前記廃熱ボイラ7からの蒸気は、焼却炉3からの排ガスを送る煙道に配置された蒸気加熱器で加熱されて乾燥蒸気化した状態で蒸気溜めに貯留され、この蒸気溜めからの蒸気を前記蒸気タービン8に供給して前記発電機9の駆動を行った後に、復水して最終的には廃熱ボイラ7に戻すよう蒸気サイクルが構成されている。また、上記廃熱ボイラ7から蒸気タービン8に供給される蒸気路に、発生蒸気量を検出する蒸気量センサ14が設けられている。
【0020】
前記焼却処理帯5には、炉内でのゴミの搬送方向に沿って上手側(プッシャ機構4の側)から、供給されたゴミを乾燥させて着火点近くまで加熱する乾燥処理帯5aと、乾燥ゴミを燃焼させる燃焼処理帯5bと、燃焼したゴミを灰化させる後燃焼処理帯5cが順次配置されている。焼却処理帯5は、搬送方向の下手側ほど低いレベルとなるように、各処理帯5a、5b、5cは階段状に形成されている。夫々の処理帯5a、5b、5cは固定状態の固定火格子と、固定火格子に対して摺動自在な可動火格子とを備え、油圧シリンダ(図示せず)の作動により可動火格子を固定火格子に対して往復摺動させて焼却処理帯上のゴミを乾燥処理帯5a、燃焼処理帯5b、後燃焼処理帯5c夫々の方向に順次移送しながらゴミの撹拌を行う。そして、後燃焼処理帯5cで灰化したゴミは灰押し機構12の部位に落下し、灰出しコンベア13によって前記灰ピット6に搬送集積される。
【0021】
上記焼却処理帯5の下方にはゴミの燃焼を促進するための一次燃焼空気が供給される。具体的には、前記夫々の処理帯5a、5b、5cの下方に配置した複数の風箱23に複数の流路22が接続され、この各流路22には、図示しないブロアによって送風され必要に応じて加熱された空気が供給される。そして、この各流路22に供給された空気は風箱23から各処理帯5a、5b、5cを上方に通過することによりゴミの燃焼が促進される。
【0022】
また、前記焼却炉3内でのゴミの燃焼に伴い生成した燃焼ガスを二次燃焼させるために、前記焼却処理帯5の上方の炉内部に二次燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給手段27が設けられている。そして、前記焼却炉3からの排ガスの煙道に、上記二次燃焼された後の排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ26が設置され、さらに、前記焼却炉3の炉出口位置における排ガス温度即ち炉出口温度を計測する熱電対式等のガス温度センサ25が設けられている。
【0023】
前記焼却炉3のプッシャ機構4の位置とは反対の後燃焼帯側炉壁には、前記焼却処理帯5におけるゴミの燃切点の位置を検出するためのテレビカメラ15が設置されている。具体的には、図2に示すように、テレビカメラ15は、炉内においてゴミのガス燃焼末端を示す燃切点mkが位置する燃焼処理帯5bを撮像範囲とする。そして、後述の制御装置30(図3参照)内に設けた画像処理部によって、テレビカメラ15の画像データを炎と炎以外に二値化して燃焼火炎を抽出し、その燃焼火炎の下流側の末端を燃切点mkと判断する。
【0024】
図3に示すように、マイクロプロセッサや半導体メモリ等で構成された制御装置30が設けられ、この制御装置30に、前記蒸気量センサ14、前記テレビカメラ15、ガス温度センサ25、酸素濃度センサ26、及び、前記バケット1で掴み上げられて炉内に投入されるゴミの重量を検出する重量センサ24(図1参照)の各検出情報が入力されている。一方、制御装置30からは、前記バケット1及びプッシャ機構4等に対する駆動信号が出力されている。
【0025】
上記制御装置30内に、炉内にゴミを供給する前記プッシャ機構4の1サイクル当りのゴミ供給量を表わす給塵効率を算出する給塵効率算出手段Dが構成されている。給塵効率は、前記プッシャ機構4の動作速度とゴミ投入量の実績値から推定される。具体的には、ホッパー2から燃焼処理帯5にかけて滞留し、今後乾燥及び燃焼プロセスに入ると予想されるある一定のゴミ量を想定し、そのゴミ量を投入するのに必要な所定時間におけるプッシャ機構4によるゴミの投入重量(トン/時間)を、同じ所定時間におけるプッシャ機構4の動作速度(サイクル/時間)の移動平均値で除算して、給塵効率(トン/サイクル)を求めている。
【0026】
また、上記制御装置30内に、下式のように、炉内で焼却処理するゴミの目標焼却量(以下、目標焼却ペースという)及び前記給塵効率算出手段Dが算出した給塵効率に基づいて前記プッシャ機構4の基準動作速度Vk(サイクル/時間)を求め、その基準動作速度Vkに基づいて前記プッシャ機構4の動作を制御する制御手段Cが設けられている。尚、式中の係数Kは、例えば1.1〜1.3の範囲の値に設定する。
【0027】
【数1】
Vk=K・目標焼却ペース(トン/時間)/給塵効率(トン/サイクル)
【0028】
さらに、前記制御手段Cは、炉内でのゴミの燃焼状態を示す燃焼指標に基づいて前記基準動作速度Vkを補正して前記プッシャ機構4の実動作速度Vjを求め、さらに、ゴミ焼却量の実績値に基づいて、炉内へのゴミ供給量が炉の焼却処理能力に対して適正範囲内に収まるように上記実動作速度Vjを制限する。以下、説明する。
【0029】
上記プッシャ機構4の実動作速度Vjを制限する制御構成について説明すれば、前記制御手段Cが、前記燃焼指標として、複数の燃焼パターンを設定し、その複数の燃焼パターンの1つが継続して現れる場合に累積して増加もしくは減少する累積補正率H1と、前記複数の燃焼パターンの1つが現れたときに一時的に値が設定される一時補正率H2を求め、前記ゴミ焼却量の実績値に基づいて設定した上限値及び下限値によって前記累積補正率H1を制限しつつ、当該累積補正率H1及び前記一時補正率H2を用いて前記基準動作速度Vkを補正して前記実動作速度Vjを求めている。
【0030】
上記制御手段Cは、前記複数の燃焼パターンとして、蒸気量と燃切点mk等、炉内での発生熱量の評価指標と炉内のゴミ滞留量の評価指標とを組み合わせた二次元マトリック情報を用いる。具体的には、図4に示すように、炉内での発生熱量は前記蒸気量センサ14によって検出される発生蒸気量(適正値からの蒸気量偏差)を用い、炉内のゴミ滞留量は前記テレビカメラ15によって検出される燃切点mkの位置情報(燃焼処理帯5bの長さを100%としたときの先端からの位置であり、また適正位置に対して上流側か下流側かで表わす)を用い、No.1〜6の6つの燃焼パターンを設定している。従って、蒸気量偏差が負側から正側になるほど総発生熱量の多い高燃焼レベルとなり、燃切点mkの位置が下流側に位置するほど炉内ゴミ量が多い高負荷レベルとなる。
【0031】
そして、上記6つの燃焼パターンに対して、制御周期における前記累積補正率H1の増加又は減少のゲイン(%)と一時補正率H2のゲイン(%)の値を設定した一例を図5に示す。図5では、高燃焼レベルであるNo.1,2の燃焼パターンに対して、燃焼でゴミ量が急激に消費されてゴミ不足になることを防止するために、累積補正率H1のゲインとしてプラスの値を設定し、またゴミ送り量を急減させることで蒸気量を抑制するために、一時補正率H2のゲインとしてマイナスの大きな値を設定している。
【0032】
図6に上記燃焼パターン4から5への変化に対して累積補正率H1(%)と一時補正率H2(%)を求める場合の一例を示す。この例では、燃焼パターン4から5に変化した時点(時間0の時点)で一時補正率H2が20%に設定されるとともに、同一燃焼パターン5が継続する時は5分の制御周期で0%に戻り、一方、同一燃焼パターン5が継続する時は累積補正率H1は5分の制御周期で5%減少するので、この一時補正率H2と累積補正率H1を合計した補正率は図の太い実線で示すように、始め20%まで一時的に増加したのち5分経過時に−5%(95%)に減少する。そして、5分後にも同一燃焼パターン5が継続している時は、上記と同様に、一時補正率H2が20%に設定されるとともに累積補正率H1が減少し、合計の補正率はのこぎり波形で変化する。
【0033】
さらに、図6には、時間0の時点から6分後に燃焼パターン5から燃焼パターン4に変化した場合を破線で示している。この燃焼パターン4に対して、一時補正率H2は0%に設定されるため、燃焼パターン4が継続する時は、一時補正率H2は0%で固定され、一方、累積補正率H1は、燃焼パターン4に対するゲインが0%のため、現時点での累積補正率H1の値−6%がそのまま保持されるので、この一時補正率H2と累積補正率H1を合計した補正率は図の太い破線で示すようになる。
【0034】
次に、上記のように求めた累積補正率H1を実績焼却ペース(トン/時間)に基づいて上限及び下限値を設定して制限する。通常、ある範囲に設定されたゴミ発熱量に対して、定格焼却量を達成するように焼却炉は設計される。したがって、発熱量の上下限値で焼却処理能力100%、その他の時は、100から120%程度の処理能力を持つ。そのため、焼却ペースが定格焼却ペースから大きく乖離しないことが、安定燃焼維持にとって重要である。具体的には、図7に示すように、目標焼却ペース(トン/時間)に対する実績焼却ペース(トン/時間)の定格比(%)が適正範囲(95%〜105%)では、累積補正率上限を20%、累積補正率下限をマイナス20%と大きめの値にしているが、上記比が105%を超えて大きくなると、累積補正率下限は変化させず累積補正率上限をマイナス側にシフトさせ、逆に、上記比が95%よりも小さくなると、累積補正率上限は変化させず累積補正率下限をプラス側にシフトさせている。
【0035】
最後に、上記のように求めた累積補正率H1(%)と一時補正率H2(%)を用いて、下式により、前記基準動作速度Vk(サイクル/時間)を補正して実動作速度Vj(サイクル/時間)を求める。
【0036】
【数2】
Vj=Vk・〔(100+H1+H2)/100〕
【0037】
図8に給塵速度制御の制御フローを示す。
先ず、給塵速度(プッシャ機構4の動作速度)とゴミ投入量の実績値から給塵効率を演算し、この給塵効率と目標焼却ペースから基準給塵速度Vkを演算する(ステップ#1〜#2)。
次に、蒸気発生量と燃切点により燃焼パターンを判断し、この燃焼パターンに対して前記累積補正率H1を演算し、さらに、この演算した累積補正率H1に対して前記上限及び下限のリミット処理を実行する(ステップ#3〜#5)。
一方、上記燃焼パターンに対して前記一時補正率H2を演算し、この一時補正率H2と上記累積補正率H1を用いて前記基準給塵速度Vkを補正して実給塵速度Vjを演算し、操作量として制御出力する(ステップ#6〜#8)。
【0038】
図9に蒸気発生量の制御結果の一例を示すが、1週間の連続運転実績で、下式で表わされる蒸気発生量の1日変動(%)の標準偏差として、安定燃焼指標とされる5%を大幅に下回る3%以下(1.5〜2.8%)の良好な結果を得た。
【0039】
【数3】
蒸気発生量の変動(%)=(|実績値−目標値|/目標値)・100
【0040】
〔別実施の形態〕
上記実施形態では、前記制御手段Cが、炉内へのゴミ供給量が炉の焼却処理能力の適正範囲内に収まるように給塵手段4の実動作速度Vjをゴミ焼却量の実績値(実績焼却ペース)に基づいて制限するように構成したが、図8のステップ#5に記載しているように、ゴミ焼却量の実績値とゴミの発熱量の両方に基づいて上記給塵手段4の実動作速度Vjを制限するように構成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、炉内でゴミの燃焼状態を示す燃焼指標として、炉内での発生熱量と炉内のゴミ滞留量を組み合わせた二次元マトリック情報を用いて複数の燃焼パターンを設定したが、燃焼指標はこれに限るものではない。例えば、上記炉内での発生熱量と炉内のゴミ滞留量のいずれか一方を用いてもよく、あるいは、これ以外に、焼却炉出口における排ガス温度を検出するガス温度センサ25の検出情報や、二次燃焼後の排ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ26の検出情報等を上記燃焼指標として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴミ焼却装置の全体構成を示す模式図
【図2】焼却炉内の燃焼ゴミの燃切点を検出する状態を示す平面図
【図3】制御系のブロック回路図
【図4】燃焼パターンの一例を示す図
【図5】累積補正率と一時補正率の設定値を示す図
【図6】累積補正率と一時補正率の設定値の変化例を示すグラフ
【図7】累積補正率に対する上限及び下限値の設定例を示すグラフ
【図8】制御のフローチャート図
【図9】蒸気発生量の制御結果の一例を示す図
【符号の説明】
3 焼却炉
4 給塵手段
C 制御手段

Claims (3)

  1. 炉内で焼却処理するゴミの目標焼却量及び炉内にゴミを供給する給塵手段のゴミ供給量を表わす給塵効率に基づいて前記給塵手段の基準動作速度を求め、その基準動作速度に基づいて前記給塵手段の動作を制御する制御手段が設けられた焼却炉の燃焼制御装置であって、
    炉内でのゴミの燃焼状態を表わす燃焼指標に基づいて前記基準動作速度を補正して前記給塵手段の実動作速度を求め、ゴミ焼却量の実績値、もしくは、ゴミ焼却量の実績値とゴミの発熱量の推定値の両方に基づいて、炉内へのゴミ供給量が炉の焼却処理能力に対して適正範囲内に収まるように前記実動作速度を制限するにあたり、前記制御手段が、前記燃焼指標として、複数の燃焼パターンを設定し、前記複数の燃焼パターンの1つが継続して現れる場合に前記基準動作速度を補正する補正率を累積して増加もしくは減少させる累積補正率を求め、前記ゴミ焼却量の実績値もしくは前記ゴミ焼却量の実績値とゴミの発熱量の推定値の両方に基づいて設定した上限値及び下限値によって前記累積補正率を制限しつつ、当該累積補正率を用いて前記基準動作速度を補正して前記実動作速度を求める焼却炉の燃焼制御装置。
  2. 前記制御手段が、前記基準動作速度を補正する際に、前記累積補正率に加えて、前記燃焼パターンの1つが現れたときに前記基準動作速度を補正する補正率を一時的に設定する一時補正率を用いる請求項1記載の焼却炉の燃焼制御装置。
  3. 前記制御手段が、前記複数の燃焼パターンとして、炉内での発生熱量の評価指標と炉内のゴミ滞留量の評価指標とを組み合わせた二次元マトリックス情報を用いる請求項1又は2記載の焼却炉の燃焼制御装置。
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