JP4042019B2 - ハイブリッド駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力源としてエンジンとモータを用いるハイブリッド駆動装置に関し、特に、エンジンとモータの動力をカウンタシャフトを介して車輪に伝達するハイブリッド駆動装置におけるギヤ比設定変更に係るカウンタシャフトの配置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
動力源として燃焼機関(本明細書においてエンジンという)と電動機(同じくモータという)を用いるハイブリッド駆動装置は、2系統の動力を車輪に伝達することから、種々のパワートレイン構成を採ることができる。こうした中で、エンジンからの出力とモータからの出力を、それぞれ任意のギヤ比を設定してディファレンシャル装置に伝達する点に優れた配置構成の駆動装置として、特開平8−183347号公報に開示の技術がある。この駆動装置では、第1の軸線上にエンジン及び発電機、第2の軸線上にモータ、第3の軸線上にカウンタシャフト、第4の軸線上にディファレンシャル装置を配置し、エンジンと発電機をプラネタリギヤからなる差動歯車装置を介してカウンタシャフトに連結し、モータとディファレンシャル装置を直接カウンタシャフトに連結した構成が採られていることから、エンジンとカウンタシャフトを連結する歯車列と、モータとカウンタシャフトを連結する歯車列それぞれのギヤ比を、独立させて任意に設定することができる。更に、この駆動装置では、機構のコンパクト化の狙いから、カウンタシャフトのモータ側軸端部を、発電機とモータのそれぞれのコイルエンド間に介挿する形で配置している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エンジンに関して、燃費重視の車両、あるいは加速重視の車両等、車両により要求が異なることは珍しくないが、その場合、前者はエンジンから車輪までのトータルギヤ比を高めに、後者は低めに設定する必要がある。上記従来のハイブリツド駆動装置では、このような車両要求の違いにより、エンジン側トータルギヤ比のみを変更しようとする場合、原理的には、カウンタシャフト側のドリブンギヤ(第3ギヤ)の噛合径の変更(すなわちモータ側トータルギヤ比の変更)を伴わずに、エンジン側ドライブギヤ(第1ギヤ)の噛合径の変更と、それに伴うカウンタシャフトの軸位置の移動だけで対応可能であるが、前記のようにカウンタシャフトのモータ側端部がモータのコイルエンドと軸方向においてオーバーラップしているため、事実上は、カウンタシャフトの軸心位置の移動は、モータのコイルエンドとカウンタシャフトの軸端支持部との干渉の点から制約され、結果的にギヤ比の選択性が制限される。したがって、事実上はドリブンギヤに同時に噛合するモータ側ドライブギヤの径や、場合によってはモータ軸位置までも変更せざるを得えないことになり、幅広い車両要求に対する設計の自由度が低かった。
【0004】
そこで、本発明は、エンジン軸とモータ軸の軸心間距離を変更することなく、カウンタシャフトの軸心位置の移動のみでエンジン側及び必要に応じてモータ側のトータルギヤ比を任意に設定変更することができるハイブリッド駆動装置を提供することを主たる目的とする。次に、本発明は、カウンタシャフトの軸心位置の移動に際して、その支持部の部分的改変のみで、関連する他の機構や装置全体の支持部材の改変を伴うことなく対応可能なハイブリッド駆動装置を提供することをより具体的な目的とする。更に、本発明は、上記の目的を機構のコンパクト化を図りながら達成することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、第1の軸線上に配置されたエンジンと、第2の軸線上に配置されたモータと、第3の軸線上に配置され、エンジンとモータの動力を車輪に伝達するカウンタギヤ機構のカウンタシャフトとを備えるハイブリッド駆動装置において、前記カウンタシャフトは、モータに対して径方向に重ならない軸線方向位置関係に配置され、前記カウンタシャフトの支持部に、カウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動を許容する軸心調整手段が設けられたことを特徴とする。
【0006】
次に、本発明は、第1の軸線上に配置されたエンジンと、第2の軸線上に配置されたモータと、第3の軸線上に配置され、エンジンとモータの動力を車輪に伝達するカウンタギヤ機構のカウンタシャフトとを備えるハイブリッド駆動装置において、前記カウンタシャフトは、軸線方向の位置関係上で、モータ側に延びる軸端部が、モータの端部より手前で終端し、前記カウンタシャフトの支持部に、カウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動を許容する軸心調整手段が設けられたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、第1の軸線上に配置されたエンジンと、第2の軸線上に配置されたモータと、第3の軸線上に配置され、エンジンとモータの動力を車輪に伝達するカウンタギヤ機構のカウンタシャフトとを備えるハイブリッド駆動装置において、前記カウンタシャフトは、軸線方向の位置関係上で、エンジンとモータとの間に配置され、前記カウンタシャフトの支持部に、カウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動を許容する軸心調整手段が設けられたことを特徴とする。
【0008】
上記の構成において、前記支持部は、ケーシング部材の厚肉部に形成されてカウンタシャフトの支持ベアリングを収容する凹部で構成され、前記軸心調整手段として、前記厚肉部は凹部の形成位置の変更を可能とする径方向肉厚を有する構成とするのが有効である。
【0009】
より具体的には、上記の構成において、前記厚肉部は、前記軸心調整手段として、前記カウンタギヤ機構のギヤ比設定の変更に伴うカウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動に合わせた凹部の形成位置の変更を可能とする径方向肉厚を有する構成とするのも有効である。
【0010】
更に、上記の構成において、前記厚肉部は、前記カウンタシャフトの軸端方向からみて長円形状とされていると有効である。
【0011】
上記の構成において、前記カウンタシャフトは、エンジン側ドライブギヤとモータ側ドライブギヤに共に噛合する共通のドリブンギヤを有する構成を採るのも有効である。
【0012】
また、上記の構成において、前記カウンタシャフトを車輪に駆動連結するディファレンシヤル装置を備え、カウンタシャフトの前記ドリブンギヤは、ディファレンシヤル装置を駆動すべくカウンタシャフトに設けられたドライブピニオンギヤよりもエンジン側に配置された構成を採るのも有効である。
【0013】
また、上記の構成において、パーキング機構を備え、該パーキング機構のパーキングギヤがエンジンと同軸線上に設けられた構成とするのも有効である。
【0014】
また、上記の構成において、エンジンと同軸線上かつモータと径方向に重なる軸線方向位置に更に発電機を備え、前記カウンタシャフトは、軸線方向の位置関係上で、エンジンと発電機の間に配置された構成とすることもできる。
【0015】
また、上記の構成において、エンジンと同軸線上に、更に発電機と、該発電機とエンジンとを駆動連結するプラネタリギヤと、該プラネタリギヤの一要素を係止するワンウェイクラッチを備え、それらは前記軸線上の位置関係で、前記エンジン側ドライブギヤ、プラネタリギヤ、ワンウェイクラッチ及び発電機の順に配置された構成を採るのも有効である。
【0016】
【発明の作用及び効果】
本発明の請求項1に記載の構成では、車両要求の違いにより、ギヤ比設定の変更、すなわちエンジン軸上のドライブギヤとカウンタシャフト上のドリブンギヤの径比の変更に伴いカウンタシャフトの軸心位置を移動する必要がある場合でも、カウンタシャフトがモータに対して径方向に重ならない軸線方向位置関係にあるので、カウンタシャフトとモータの径方向位置関係上での干渉に制約されることなく軸心位置移動を行なうことができ、それによりモータの軸心位置を変更することなく対応することができ、ギヤ比の選択性を幅広くして、設計の自由度を高めることができる。また、車両要求の違いによりカウンタシャフトの軸位置を移動する必要がある場合でも、それに対応した支持部材用の別途の構成素材を個々に用いることなく、軸心調整手段による対応が可能であるため、支持部材用の素材を共通化することで、コストを低減できる。
【0017】
次に、請求項2に記載の構成では、同様に車両要求の違いにより、ギヤ比設定の変更に伴いカウンタシャフトの軸位置を移動する必要がある場合でも、カウンタシャフトのモータ側に延びる軸端部が、軸線方向の位置関係上で、モータの端部より手前で終端していることで、カウンタシャフトとモータとが径方向位置関係において干渉することがないので、カウンタシャフトの軸位置をモータの軸心位置を変更することなく自由に移動することができ、それによりギヤ比の選択性を幅広くして、設計の自由度を高めることができる。また、車両要求の違いによりカウンタシャフトの軸位置を移動する必要がある場合でも、それに対応した支持部材用の別途の構成素材を個々に用いることなく、軸心調整手段による対応が可能であるため、支持部材用の素材を共通化することで、コストを低減できる。
【0018】
また、請求項3に記載の構成では、同様に車両要求の違いにより、ギヤ比設定の変更に伴いカウンタシャフトの軸位置を移動する必要がある場合でも、カウンタシャフトがエンジンとモータの間にあることで、カウンタシャフトとモータ及びエンジンが径方向位置関係において干渉することがないので、モータの軸心位置を変更することなく、しかもエンジンとの干渉にも制約されずにカウンタシャフトの軸位置を自由に設定することができ、それによりギヤ比の選択性を幅広くして、設計の自由度を高めることができる。また、車両要求の違いによりカウンタシャフトの軸位置を移動する必要がある場合でも、それに対応した支持部材用の別途の構成素材を個々に用いることなく、軸心調整手段による対応が可能であるため、支持部材用の素材を共通化することで、コストを低減できる。
【0019】
また、請求項4に記載の構成では、車両要求の違いによりカウンタシャフトの軸位置を移動する必要がある場合でも、軸心調整を可能とする厚肉部の範囲内での凹部の加工位置の変更のみで対応できるため、支持部材を構成するケーシング部材の素材を共通化して、コストを低減できる。
【0020】
また、請求項7に記載の構成では、エンジンとモータの動力を車輪に伝達するのに、共通のドリブンギヤを用いて行うことができる。
【0021】
また、請求項8に記載の構成では、従来の構成に対して、カウンタシャフトの軸方向位置がエンジン側にずれることになるが、そのずれ方向が車両に対する搭載位置関係上から自ずと位置が規制されることでエンジンとディファレンシヤル装置の間に従来生じていたデッドスペース方向となるため、カウンタシャフトをモータと径方向にオーバラップさせない配置を採りながら、装置のコンパクト性を確保することができる。
【0022】
また、請求項9に記載の構成では、車両要求の違いによりエンジン側トータルギヤ比を変更しようとする場合でも、パーキングギヤが軸位置の変更のないエンジン軸上に配置されるので、パーキングギヤを始めとするパーキング機構関連部品を変更する必要がなくなる。
【0023】
また、請求項10に記載の構成では、駆動装置に発電機を具備させる場合において、カウンタシャフトと発電機との干渉も防ぐことができるので、ギヤ比の選択性に更に幅を持たせ、設計の自由度を一層高めることができる。また、エンジン軸とモータ軸の軸心間距離をカウンタシャフトに制約されることなく、実質上発電機とモータの外形が接する位置まで極力接近させた配置を採ることができるので、軸横断方向の装置外形のコンパクト化も可能となる。
【0024】
また、請求項11に記載の構成では、駆動装置に発電機とエンジンとをつなぐプラネタリギヤを具備させる場合において、エンジン側及びモータ側ドライブギヤとドリブンギヤとのギヤ列をエンジンに最も近い側に配置して、ギヤ列よりエンジン側に突出する部材をなくすことでカウンタシャフトを全体にエンジン側に寄せることができ、それにより外径を発電機より小さく構成することができるプラネタリギヤとそれに付随するワンウェイクラッチを発電機側で発電機コイル内空間に収めることができるため、軸方向のコンパクト化も可能になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。まず図1〜図3は、本発明をフロントエンジン・フロントドライブ(FF)車用の横置式のハイブリッド駆動装置として具体化した第1実施形態を示す。図1に軸方向断面を示すように、この装置は、クランクシャフト後端のみを図示するエンジン1と、モータ2と、発電機3と、一部のみを図示するディファレンシャル装置6とを主要な構成要素とし、駆動連結関係上でそれらの間に、差動歯車装置を構成するシングルピニオン構成のプラネタリギヤ5と、カウンタギヤ機構4が介挿された構成とされている。
【0026】
この装置では、エンジン1と同軸線上に、発電機3と、発電機3とエンジン1とを駆動連結するプラネタリギヤ5と、プラネタリギヤ5の一要素を係止するワンウェイクラッチ5Aが配設されており、それらは軸線上の位置関係で、エンジン側ドライブギヤ (後に詳記する)41、プラネタリギヤ5、ワンウェイクラッチ5A及び発電機3の順に配置されている。発電機3は、上記のようにエンジン1と同軸線上で、かつモータ2と径方向に重なる軸線方向位置に配置されており、カウンタシャフト40は、軸線方向の位置関係上で、エンジン1とモータ2及び発電機3の間に配置されている。
【0027】
図2にエンジン側から見た図1のA−A断面で軸の実際の位置関係を示すように、この駆動装置は、エンジン1と発電機3の軸(本明細書において、エンジン軸という)が第1の軸線I上に、モータ2の軸が第2の軸線II上に、エンジン1とモータ2の動力を車輪に伝達するカウンタギヤ機構4のカウンタシャフト40が第3の軸線III上に、エンジン1とモータ2と車輪との間に介在させるディファレンシャル装置6の軸が第4の軸線IV上に互いに並行にそれぞれ配置された4軸構成とされている。
【0028】
図1に戻って更に詳述すると、前記の各構成要素を収容するケーシング部材9は、エンジン1の図示しないクランクケースに連結されるハウジング9Aと、それに連結されたケース9Bと、ケース端面を覆うリヤカバー9Cとで構成されている。ハウジング9Aは、ドライブプレート室R1とギヤ室R2を端壁91で隔てて画定する構成とされ、ケース9Bは、ギヤ室R2をモータ室R3と発電機室R4に対して端壁92で隔て、モータ室R3と発電機室R4を周壁93で隔てて画定する構成とされ、リヤカバー9Cは、モータ室R3と発電機室R4の開放側端面を覆う構成とされている。
【0029】
エンジン1のクランクシャフトにドライブプレートを介して前端を連結する出力軸10は、両軸端部を端壁91と端壁92に支持してギヤ室R2内に配置され、後端をプラネタリギヤ5のキャリア51に連結させて発電機3とカウンタギヤ機構4とに駆動連結されている。発電機3は、発電機室R4の周壁にステータ31を回り止め嵌合させて配置され、そのロータ軸30は、後端をリヤカバー9Cに支持し、前端寄りをプラネタリギヤケース9Dを介して端壁92に支持した配置とされ、ロータ軸30の前端は、プラネタリギヤ5のサンギヤ52に連結させてエンジン1とカウンタギヤ機構4とに駆動連結されている。そして、プラネタリギヤ5は、プラネタリギヤケース9D内に配置され、プラネタリギヤ5のリングギヤ53が、出力軸10の外周に回転自在に支持させたエンジン側ドライブギヤ41に連結されている。プラネタリギヤ5の一要素を係止するワンウェイクラッチ5Aは、ロータ軸30の外周に配置され、そのアウタレースをプラネタリギヤ5のキャリア51に連結させ、インナレースをプラネタリギヤケース9Dを介してケース9Bに固定して配置されている。
【0030】
この駆動装置には、図示しないパーキング機構が配設されており、パーキング機構のパーキングギヤ54がエンジン1と同軸線上に設けられている。この形態では、パーキングギヤ54は、プラネタリギヤ5のリングギヤ53の外周に一体形成されている。
【0031】
モータ2は、モータ室R3の周壁にステータ21を回り止め嵌合させて配置され、そのロータ軸20は、後端をリヤカバー9Cに支持し、前端寄りを端壁92に支持した配置とされ、前端にはギヤ室R2内に両端を端壁91と端壁92に支持させて配置したモータ側ドライブギヤ42が連結されている。
【0032】
カウンタギヤ機構4は、前記両ドライブギヤ41,42と、それらに共通に噛合するカウンタシャフト40上のドリブンギヤ43と、ディファレンシャル装置6に駆動連結するための同じくカウンタシャフト40上のドライブピニオンギヤ44とで構成されている。カウンタシャフト40は、両端を端壁91と端壁92に支持して、ギヤ室R2内に配置されている。そして、本発明の特徴に従い、カウンタシャフト40は、モータ2に対して径方向に重ならない軸線方向位置関係に配置されている。詳しくは、カウンタシャフト40は、モータ2側に延びる軸端部が、モータ2の端部であるコイルエンドより手前で終端している。この実施形態の駆動装置では、エンジン1とモータ2も軸線方向の位置関係上で互いに重ならない配置とされているため、カウンタシャフト40は、軸線方向の位置関係上で、エンジン1とモータ2との間に位置する。
【0033】
カウンタシャフト40を車輪に駆動連結するディファレンシヤル装置6も、そのデフケース60の両端を端壁91と端壁92に支持してギヤ室R2内に配置されている。そして、この形態では、カウンタシャフト40のドリブンギヤ43は、デフケース60に固定されたデフリングギヤ61に噛合するドライブピニオンギヤ44よりもエンジン側に配置されている。
【0034】
こうした構成からなるハイブリッド駆動装置では、モータ2と図示しない車輪は、カウンタシャフト40を介することによる歯車列のギヤ比分の減速関係はあるものの、動力伝達上は直に連結された関係となるのに対して、エンジン1と発電機3は、相互かつカウンタシャフト40に対してプラネタリギヤ5を介して動力伝達上は間接的に連結された関係となる。これにより、ディファレンシャル装置6とカウンタシャフト40とを介して車両の走行負荷を受けるリングギヤ53に対して、発電機3の発電負荷を調整することで、エンジン出力を駆動力と発電エネルギ(バッテリ充電)とに利用する割合を適宜調整した走行が可能となる。また、発電機3を電動機として駆動させることで、プラネタリギヤ5のキャリア51にかかる反力が逆転するため、その際にワンウェイクラッチ5Aによりキャリア51をケーシング部材9に係止することで、発電機3の出力をリングギヤ53に伝達することができ、モータ2と発電機3の同時出力による車両発進時の駆動力の強化(パラレルモードの走行)が可能となる。
【0035】
次に、本発明の主題とするエンジン側ギヤ比の変更について説明する。図1に示すように、この駆動装置では、エンジン側のギヤ比がエンジン側ドライブギヤ41とカウンタシャフト40のドリブンギヤ43の噛合径で設定されるのに対して、ドリブンギヤ43を共通とするモータ側のギヤ比がモータ側ドライブギヤ42とカウンタシャフト40のドリブンギヤ43の噛合径で設定されるところから、一般的にいえば、エンジン側のギヤ比のみを変更する場合、エンジン側ドライブギヤ41の噛合径のみを変更すれば足りることになるが、この形態の駆動装置では、カウンタシャフト40にデフリングギヤ61に噛合するドライブピニオンギヤ44も設けられていることから、エンジン軸、モータ軸及びデフ軸の軸心並びにデフリングギヤ61径を変えない前提の基では、ドリブンギヤ43の噛合径も併せて変更し、それに伴って、モータ側ドライブギヤ42とドライブピニオンギヤ44の噛合径もモータ側トータルギヤ比を維持するために変更される。なお、これら各ギヤ41,42,43,44の噛合径の変更関係は、モータ側ギヤ比のみを変更する場合についても同様である。そしてこの変更に伴い、カウンタシャフト40の軸心移動を行なうこととなるが、それに備えて、ケーシング部材9におけるカウンタシャフト40の支持部に、カウンタシャフト40の軸線位置の移動を許容する軸心調整手段が設けられている。この支持部は、ケーシング部材9の厚肉部に形成されており、本形態において、ハウジング9Aの端壁91とケース9Bの端壁92にそれぞれ設けられている。具体的には、支持部は、カウンタシャフト40の両端の支持ベアリング40a,40bを収容する凹部R21,R22で構成されている。軸心調整手段を構成する厚肉部91a,92aは、穴あけ加工等による凹部R21,R22の形成位置の移動を可能とする肉厚を有する。
【0036】
図2にケース9Bをギヤ室R2側の端面方向からみた形状を示すように、厚肉部92aは、凹部R22の周りに所定の径方向肉厚を確保すべく長円形状とされ、最大で最もモータ軸(第2の軸線II)及びデフ軸(第4の軸線IV)寄りの図に実線で示す位置から、最もエンジン軸(第1の軸線I)寄りの図に破線で示す位置まで凹部R22の穴あけ加工位置を変更可能とされている。この長円の長軸方向は、ギヤ比の選定次第で一概にはいえないが、例えば、図3に示すように、一定の中心軌跡X,Yに沿う方向に設定される。図の軌跡Xは、エンジン側ギヤ比の変更に伴うカウンタシャフト軸心の移動軌跡であり、軌跡Yは、モータ側ギヤ比の変更に伴うカウンタシャフト軸心の移動軌跡である。なお、図3において一点鎖線は中心軌跡X,Yの交点にカウンタシャフト軸心を設定した場合の各ギヤ41〜44,61の噛合径を示し、破線はモータ及び発電機のステータ21,31外径を示す。こうした厚肉部の構成は、図示を省略するが、ハウジング9A側の端壁91に形成する厚肉部91aについても同様である。
【0037】
かくして、この駆動装置によれば、車両要求の違いにより、ギヤ比設定の変更、すなわちエンジン軸上のドライブギヤ41とカウンタシャフト40上のドリブンギヤ43の径比の変更に伴いカウンタシャフト40の軸位置を移動する必要がある場合でも、カウンタシャフト40がモータ2に対して径方向に重ならない軸線方向位置関係にあり、エンジン1とモータ2の間にあることで、より具体的には、カウンタシャフト40のモータ側に延びる軸端部が、軸線方向の位置関係上で、モータ2の端部より手前で終端していることで、カウンタシャフト40とモータ2とが径方向位置関係において干渉することがないので、モータ2の軸心位置を変更することなく対応することができ、それによりギヤ比の選択性を幅広くして、設計の自由度を高めることができる。なお、実際の必要性は稀と考えられるが、必要であれば、エンジン軸線とモータ軸線の位置は固定のまま、両ドライブギヤ41,42とドリブンギヤ43の3者の噛合径を変更し、それに合せてカウンタシャフト40の軸心位置を変更することで、モータ側のギヤ比についても自由に設定変更することができる。
【0038】
しかも、カウンタシャフト40の軸心位置を移動するに際して、通常型成形されるハウジング9A素材やケース9B素材を、それに合せて個々に製造する必要がなく、厚肉部91a,92aの範囲内での凹部R21,R22の機械加工位置の変更のみで対応できるため、ハウジング9A素材やケース9B素材を共通化することができるので、コストを低減できる。
【0039】
また、従来の構成に対して、カウンタシャフト40のドリブンギヤ43は、ディファレンシヤル装置6を駆動すべくカウンタシャフト40に設けられたドライブピニオンギヤ44よりもエンジン側に配置されているので、カウンタシャフト40の軸方向位置がエンジン側にずれることになるが、そのずれ方向が車両に対する搭載位置関係上から自ずと位置が規制されることでエンジン1とディファレンシヤル装置6の間に従来生じていたデッドスペース方向となるため、カウンタシャフト40をモータ2と径方向にオーバラップさせない配置を採りながら、装置のコンパクト性を確保することができる。
【0040】
また、パーキングギヤ54が軸位置の変更のないエンジン軸上に配置されているので、カウンタシャフト40を軸心位置移動させても、パーキングギヤ54を始めとするパーキング機構関連部品を変更する必要がなくなる。
【0041】
また、本形態のように、駆動装置に発電機3を具備させる場合において、カウンタシャフト40と発電機3との干渉も防ぐことができるので、ギヤ比の選択性に更に幅を持たせ、設計の自由度を一層高めることができる。また、エンジン軸とモータ軸の軸心間距離をカウンタシャフト40に制約されることなく、実質上発電機3とモータ2の外形が接する位置まで極力接近させた配置を採ることができるので、軸横断方向の装置外形のコンパクト化も可能となる。
【0042】
更に、エンジン1と同軸線上に、発電機3と、プラネタリギヤ5と、ワンウェイクラッチ5Aを、それらの軸線上の位置関係で、エンジン側ドライブギヤ41、プラネタリギヤ5、ワンウェイクラッチ5A及び発電機3の順に配置したので、エンジン側及びモータ側ドライブギヤ41,42とドリブンギヤ43とのギヤ列をエンジン1に最も近い側に配置して、ギヤ列よりエンジン側に突出する部材をなくすことでカウンタシャフト40を全体にエンジン側に寄せることができ、それにより外径を発電機3より小さく構成することができるプラネタリギヤ5とそれに付随するワンウェイクラッチ5Aを発電機3側で発電機コイル内空間に収めることができるため、軸方向のコンパクト化も可能になる。
【0043】
次に、図4は前記第1実施形態に対してカウンタギヤ機構4部分のみを一部変更した第2実施形態をスケルトンで示す。この形態では、カウンタシャフト40上のドリブンギヤ43がデフリングギヤ61にも噛合し、デフドライブピニオンギヤをも兼ねる構成が採られている。その余の構成については、実質上第1実施形態と同様であるので、該当する要素に同様の参照符号を付して説明に代える。なお、図示の配置では、ワンウェイクラッチの図示は省略してあり、また、車輪7に駆動連結されたディファレンシャル装置6のデフリングギヤ61が軸線上の位置関係でドリブンギヤ43よりエンジン側に配置される形態とされているが、この配置を逆転させて第1実施形態の場合と同様に、ドリブンギヤ43をデフリングギヤ61よりエンジン側に配置することも当然に可能である。
【0044】
こうした形態を採った場合も前記第1実施形態の場合と同様に、車両要求の違いにより、ギヤ比設定の変更に伴いカウンタシャフト40の軸心位置を移動する必要がある場合でも、カウンタシャフト40がモータ2に対して径方向に重ならない軸線方向位置関係にあり、より具体的には、カウンタシャフト40のモータ側に延びる軸端部が、軸線方向の位置関係上で、モータ2の端部より手前で終端していることで、カウンタシャフト40とモータ2とが径方向位置関係において干渉することがないので、モータ2の軸心位置を変更することなく対応することができ、それによりギヤ比の選択性を幅広くして、設計の自由度を高めることができる。
【0045】
次に、図5は前記第1実施形態に対してエンジン1と発電機3の連結関係を変更した第3実施形態をスケルトンで示す。この形態では、第1実施形態におけるプラネタリギヤ5に代える構成として、エンジン1の出力軸10と発電機3のロータ軸30とを直結とし、発電機3のステータ31側をケーシング部材に対して回転可能に支持し、エンジン側ドライブギヤ41に直接連結させた構成とされている。その余の構成については、実質上第1実施形態と同様であるので、該当する要素に同様の参照符号を付して説明に代える。なお、この形態の場合も、図示の配置では、カウンタシャフト上で、デフリングギヤ61に噛合するピニオンギヤ44が軸線上の位置関係でドリブンギヤ43よりエンジン側に配置されているが、この配置を逆転させて第1実施形態の場合と同様に、ドリブンギヤ43をピニオンギヤ44よりエンジン側に配置することも当然に可能である。
【0046】
こうした形態を採った場合も第1実施形態の場合同様の効果を達成することができる。なお、この形態の場合は、モータ2と車輪7は、動力伝達上は直に連結された関係となるのに対して、エンジン1と発電機3は、相互かつカウンタシャフト40に対してステータ31を介して動力伝達上は間接的に連結された関係となる。したがって、この形態の場合も、ディファレンシャル装置6とカウンタシャフト40とを介して車両の走行負荷を受けるステータ31に対して、発電機3の発電負荷を調整することで、エンジン出力を駆動力と発電エネルギ(バッテリ充電)とに利用する割合を適宜調整した走行が可能となる。また、発電機3をアウタロータ形の電動機として駆動させることで、エンジン側ドライブギヤ41を駆動することができ、モータ2と発電機3の同時出力による車両発進時の駆動力の強化(パラレルモードの走行)が可能となる。
【0047】
以上、本発明を専らFF車用の横置方式の駆動装置として具体化した3つの実施形態に基づき詳説したが、本発明はこれらの実施形態に限るものではなく、リヤエンジン・リヤドライブ車用の駆動装置とすることも、またディファレンシャル装置を一体化しないフロントエンジン・リヤドライブ車用の縦置方式の駆動装置として具体化することも可能であり、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で種々に具体的構成を変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るハイブリッド駆動装置の軸方向断面図である。
【図2】 図1のA−A断面である。
【図3】 ケーシング部材の厚肉部の中心軌跡を示す説明図である。
【図4】 本発明の第2実施形態に係るハイブリッド駆動装置のスケルトン図である。
【図5】 本発明の第3実施形態に係るハイブリッド駆動装置のスケルトン図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 モータ
3 発電機
40 カウンタシャフト
40a,40b 支持ベアリング
41 エンジン側ドライブギヤ
42 モータ側ドライブギヤ
43 ドリブンギヤ
44 ドライブピニオンギヤ
5 プラネタリギヤ
5A ワンウェイクラッチ
54 パーキングギヤ
6 ディファレンシヤル装置
7 車輪
9 ケーシング部材
91a,92a 厚肉部
R21,R22 凹部
Claims (11)
- 第1の軸線上に配置されたエンジンと、
第2の軸線上に配置されたモータと、
第3の軸線上に配置され、エンジンとモータの動力を車輪に伝達するカウンタギヤ機構のカウンタシャフトと
を備えるハイブリッド駆動装置において、
前記カウンタシャフトは、モータに対して径方向に重ならない軸線方向位置関係に配置され、
前記カウンタシャフトの支持部に、カウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動を許容する軸心調整手段が設けられたことを特徴とするハイブリッド駆動装置。 - 第1の軸線上に配置されたエンジンと、
第2の軸線上に配置されたモータと、
第3の軸線上に配置され、エンジンとモータの動力を車輪に伝達するカウンタギヤ機構のカウンタシャフトと
を備えるハイブリッド駆動装置において、
前記カウンタシャフトは、軸線方向の位置関係上で、モータ側に延びる軸端部が、モータの端部より手前で終端し、
前記カウンタシャフトの支持部に、カウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動を許容する軸心調整手段が設けられたことを特徴とするハイブリッド駆動装置。 - 第1の軸線上に配置されたエンジンと、
第2の軸線上に配置されたモータと、
第3の軸線上に配置され、エンジンとモータの動力を車輪に伝達するカウンタギヤ機構のカウンタシャフトと
を備えるハイブリッド駆動装置において、
前記カウンタシャフトは、軸線方向の位置関係上で、エンジンとモータとの間に配置され、
前記カウンタシャフトの支持部に、カウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動を許容する軸心調整手段が設けられたことを特徴とするハイブリッド駆動装置。 - 前記支持部は、ケーシング部材の厚肉部に形成されてカウンタシャフトの支持ベアリングを収容する凹部で構成され、前記厚肉部は凹部の形成位置の変更を可能とする径方向肉厚を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記厚肉部は、前記カウンタギヤ機構のギヤ比設定の変更に伴うカウンタシャフトの軸心位置の径方向の移動に合わせた凹部の形成位置の変更を可能とする径方向肉厚を有する、請求項4記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記厚肉部は、前記カウンタシャフトの軸端方向からみて長円形状とされている、請求項4又は5記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記カウンタシャフトは、エンジン側ドライブギヤとモータ側ドライブギヤに共に噛合する共通のドリブンギヤを有する請求項1〜6のいずれか1項記載のハイブリッド駆動装置。
- 前記カウンタシャフトを車輪に駆動連結するディファレンシヤル装置を備え、カウンタシャフトの前記ドリブンギヤは、ディファレンシヤル装置を駆動すべくカウンタシャフトに設けられたドライブピニオンギヤよりもエンジン側に配置された、請求項7記載のハイブリッド駆動装置。
- パーキング機構を備え、該パーキング機構のパーキングギヤがエンジンと同軸線上に設けられた、請求項1〜8のいずれか1項記載のハイブリッド駆動装置。
- エンジンと同軸線上かつモータと径方向に重なる軸線方向位置に更に発電機を備え、前記カウンタシャフトは、軸線方向の位置関係上で、エンジンと発電機の間に配置された、請求項1〜9のいずれか1項記載のハイブリッド駆動装置。
- エンジンと同軸線上に、更に発電機と、該発電機とエンジンとを駆動連結するプラネタリギヤと、該プラネタリギヤの一要素を係止するワンウェイクラッチを備え、それらは前記軸線上の位置関係で、前記エンジン側ドライブギヤ、プラネタリギヤ、ワンウェイクラッチ及び発電機の順に配置された、請求項8記載のハイブリッド駆動装置。
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