JP4043675B2 - 炭素材料の賦活装置、炭素材料の賦活方法及び電気二重層コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサの分極性電極などに用いられる炭素材料の賦活装置、炭素材料の賦活方法及び電気二重層コンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層コンデンサの分極性電極に適用される活性炭は、微細な孔を多数内含することで大きい比表面積を持つ多孔性の構造であり、この活性炭は炭素化合物からなる炭素材料を賦活して多孔質化することにより得られ、十分大きい静電容量を持つ活性炭を得るために様々な手法の炭素材料の賦活方法が研究されている。
そこで、大きい静電容量を持つ活性炭を得る方法として、電気的賦活方法が用いられている。電気的賦活方法では、セパレータの両面にそれぞれ正極用の分極性電極となる炭素材料シート及びこの炭素材料シートと同程度の厚さの負極用の分極性電極となる炭素材料シートを配置し、さらにこれら炭素材料シートの外面にそれぞれ外部接続用配線に接続された集電極を配置し、炭素材料シート内に電解液を含浸させた後、これら集電極に所定の電圧を印加し、炭素材料シートに電界を印加することにより炭素材料シートの賦活を行い比表面積を大きくすることで、そのまま電気二重層コンデンサとして完成させていた。ここで賦活電圧は、正極用の炭素材料シート及び負極用の炭素材料シートともにほぼ同程度の電圧に分圧されているが、シートに印加される電圧値はある程度高くないと賦活の進行が極端に遅く、印加時間がある程度長い方がより大きい静電容量の電気二重層コンデンサが得られることが確認されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電気二重層コンデンサの正極及び負極の分極性電極に適用される未賦活の炭素材料シートの容積比はほぼ1:1で且つ同材料からなり、電解液中で電解されたイオンの電荷量の絶対値は正極側及び負極側で互いに等しいの2枚の炭素材料シートはほぼ同じ電圧値に分圧され、またセル全体に印加される賦活電圧は電気二重層コンデンサの特性劣化電圧未満に制限されていたため、それぞれの炭素材料シートに印加される電圧は高くならず結果として十分大きい静電容量が得ることが困難だった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、賦活電圧による劣化を抑え、任意の静電容量を持たせることのできる炭素材料の賦活装置、炭素材料の賦活方法及び電気二重層コンデンサの製造方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の炭素材料の賦活装置(例えば図1参照)は、所定の静電容量の補助部材と、一方の面を補助部材に接し、他方の面に賦活対象の炭素材料を配置するセパレータと、前記補助部材及び前記セパレータを収納し、内部を電解液で満たした収納容器と、前記炭素材料及び前記補助部材間に電圧を印加する電源と、を備えることを特徴とする。
【0005】
この請求項1記載の炭素材料の賦活装置によれば、炭素材料及び補助部材間に印加される賦活電圧が素子劣化電圧未満に抑えても賦活対象の炭素材料により大きい電圧が印加されるため十分大きい静電容量に達するまで賦活することができるので、炭素材料の劣化並びに電解液の分解又は劣化によって賦活効果が低減することを防止できる。特に、補助部材を、上記未賦活の炭素材料よりも静電容量の高くすることで、炭素材料及び補助部材間に印加される電圧のうちの多くが、賦活対象の炭素材料に印加されるので、大きい静電容量を持つ分極性電極を得ることができる。一方、賦活対象の炭素材料シートの高電圧を印加し電気的賦活して炭素材料シートを形成するとこの炭素材料シート内部の細孔に存在する電解液が高電圧により劣化してしまうことがある。この炭素材料シートをそのまま電気二重層コンデンサとして使用すると劣化した電解液により発生される不純物が炭素材料シートを汚染し、結果として素子特性を下げることもある。このため、補助部材の静電容量を炭素材料シートの静電容量より小さくした方がいい場合もある。
なお、炭素材料に分圧される電圧は、電源の電流値又は電圧値並びに補助部材の静電容量に応じて制御され、補助部材の静電容量は、その種類、質量、体積、表面積に応じて設定されることができる。
【0006】
そして上記の課題を解決するため、請求項4記載の炭素材料の賦活方法は、絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記炭素材料シートおよび前記補助部材間に所定の電圧を印加して賦活するようにしている。
請求項4記載の炭素材料の賦活方法によれば、炭素材料シート及び補助部材間に印加される賦活電圧が素子劣化電圧未満に抑えても賦活対象の炭素材料シートにより大きい電圧が印加されるため十分大きい静電容量に達するまで賦活することができるので、炭素材料の劣化並びに電解液の分解又は劣化によって賦活効果が低減することを防止できる。
【0007】
そして請求項8記載の発明では、電気二重層コンデンサの製造方法において、絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の第1炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記第1炭素材料シートおよび前記補助部材間に電圧を印加して電気的賦活された第1炭素材料シートを形成し、絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の第2炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記第2炭素材料シートおよび前記補助部材間に電圧を印加して電気的賦活された第2炭素材料シートを形成し、前記電気的賦活された第1炭素材料シート及び前記電気的賦活された第2炭素材料シートをセパレータを介して配置するようにしたものである。
請求項8記載の発明では、第1炭素材料シート及び第2炭素材料シートをそれぞれ、別途電気的賦活するのでそれぞれ任意の電圧を印加することができ、最適の静電容量に設定することができる。電気的賦活に用いられる補助部材は、第1炭素材料シート用及び第2炭素材料シート用と別にしても同じでもよい。電気二重層コンデンサとして賦活された第1炭素材料シート及び賦活された第2炭素材料シートに挟まれるセパレータは、第1炭素材料シート又は第2炭素材料シートを電気的賦活したときに用いられるセパレータを用いてもよいし、電気的賦活時に用いられていないセパレータでもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本実施の形態の炭素材料の賦活装置及び炭素材料の賦活方法は、図1に示すように、絶縁体からなるセパレータ3を挟んで、一方に電気二重層コンデンサの分極性電極に用いられる電気的に賦活された炭素材料シートとなる未賦活の炭素材料シート(炭素材料)1を、他方に、炭素材料シート1を賦活するための対極となる補助シート(補助部材)2を配し、前記賦活対象の炭素材料シート1および補助シート2の上にそれぞれ、金属箔からなる同じ表面積の集電極4、4を配し、前記セパレータ3、賦活対象の炭素材料シート1、補助シート2、および集電極4、4とを、収納容器(セル)6で覆い、この収納容器6の内部には電解液5を充填した上で、前記集電極4、4を、電気回路11を通じて収納容器6外部の定電流源(電源)12に接続することで、賦活対象の炭素材料シート1及び補助シート2間に電圧を印加するものである。ここで補助シート2は、炭素材料シート1と同様に炭素化合物又は様々な方法で賦活された活性炭或いはこれらの混合物から構成されていてもよい。シート1、2が集電極4と接触する面積並びにセパレータ3と接触する面積は全て同じになるように設定されている。また、この集電極4、4は、本実施の形態の炭素材料の賦活方法により得られる電気二重層コンデンサの集電極である必要はない。
【0009】
ここで、賦活対象の炭素材料シート1と非賦活対象の補助シート2は、同材料を用いるが、図1に示すように、賦活対象の炭素材料シート1に対し、補助シート2の量を十分多くする。したがって、炭素材料シート1は補助シート2より薄い構造になり、定電流源12から集電極4,4間の炭素材料シート1及び補助シート2に一定時間電流を流すと、正負両極側の炭素材料の電位は図2に示すように、炭素材料シート1並びに補助シート2の容量に応じて分圧される。詳述すると、電解液中で電解される電荷の量の絶対値は、炭素材料シート1側と補助シート2側でほぼ等しいため、両者に分圧される電圧の比は、両者の容量の比に依存され、容量のより小さい側により大きい電圧が分圧されることになる。このように、より静電容量の小さい炭素材料シート1により絶対値が大きい電圧が印加されるという相乗効果により補助シート2の単位体積当たり印加される電圧(絶対値)に対する炭素材料シート1の単位体積当たり印加される電圧(絶対値)の比率は、補助シート2全体に印加される電圧(絶対値)に対する炭素材料シート1全体に印加される電圧(絶対値)の比率より大きい。このためセル全体の賦活電圧を上げることなく炭素材料シート1の賦活をより促進させて電気的に賦活された炭素材料シート1とし、静電容量を大きくすることができる。
【0010】
このようにして、電気二重層コンデンサの正極側分極性電極および負極側分極性電極となる複数の電気的に賦活された炭素材料シート1を、それぞれ補助シート2を用いて電気賦活して、電気的に賦活された炭素材料シート1からなる正極側分極性電極および負極側分極性電極をセパレータで挟み、両外側にアルミニウム等でなる集電極を設け、これを絶縁容器で覆い、電気的に賦活された炭素材料シート1内を十分電解液で満たした後封止して電気二重層コンデンサを製造する。このとき賦活後に電気的に賦活された炭素材料シート1内に残された電解液を排出し、新しい電解液で電気的に賦活された炭素材料シート1内を満たしてもよい。
【0011】
本実施の形態の炭素材料の賦活装置及び炭素材料の賦活方法によれば、炭素材料シート1に分圧される電圧は、定電流源12の電流値又は電圧値並びに補助部材シート2の静電容量に応じて制御され、補助部材シート2の静電容量は、その種類、質量、体積、表面積に応じて設定されることができる。
また、賦活用分極性電極として、賦活対象の炭素材料シート1よりも静電容量の大きい非賦活対象の炭素材料2を用いることで、両集電極4,4間に印加される電圧の大部分が、賦活対象の炭素材料1に印加されるので、大きい静電容量を持つ電気的に賦活された炭素材料を得ることができる。また、両集電極4,4間に印加される電圧が比較的小さくても賦活対象の炭素材料シート1を賦活することができるので、電気的に賦活された炭素材料シート1及び電解液5が劣化を起こすことを防止するによって賦活効果が低減することを防止できる。
【0012】
また、電気二重層コンデンサとしては使用する必要のない補助シート2は、複数の炭素材料シート1の賦活用に繰り返し用いることができるので、図1の炭素材料シート1を除くシステムを賦活装置として連続して炭素材料シート1の賦活に用いることができる。補助シート2は炭素材料シート1の賦活前に賦活されたものであっても、賦活されてないものであってもよいが電気的賦活により劣化しにくいものが望ましい。補助シート2に炭素材料を用いると補助シート2は炭素材料シート1の賦活時に賦活している状態なので比表面積が大きいため電解液5中の不純物を吸着しある程度洗浄する作用も兼ね備えている。なお賦活装置における電解液5は賦活するに従い経時劣化するので適宜交換、洗浄した方が望ましい。
【0013】
なお、上記の実施の形態では、賦活対象の炭素材料シート1の対極側には、補助シート2を配して電気的賦活を行ったが、本発明はこれに限定されることはなく、賦活対象の炭素材料シート1の対極側は、炭素材料以外の材料からなってもよいし、そのような材料と例えば、賦活対象の炭素材料1よりも大きい静電容量を持つ炭素材料以外の材料や、と炭素材料との混合物であってもよい。
また、電気二重層コンデンサの正極側および負極側の分極性電極となる電気的に賦活された炭素材料は、電気的賦活時にいずれも正極側で賦活したが、電解液の種類、炭素材料の種類に応じて、炭素材料シートの電気的賦活を負極側で行い、この電気的に賦活された炭素材料シートを、電気二重層コンデンサの正極および負極に使用してもよい。この場合、賦活対象の炭素材料シートを負極側に配し、補助シートを正極側に配して、炭素材料シートの電気的賦活を行う。
その他、具体的な詳細などについても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0014】
【実施例】
本発明の炭素材料の賦活方法にて、炭素材料シートを賦活し、電気二重層コンデンサの正極側分極性電極および負極側分極性電極としてコンデンサAを作製した。コンデンサAの正極側および負極側の分極性電極(A+,A−)となる、賦活対象の炭素材料シートは、ともに炭素化合物98wt%、PTFE(ポリエチレンテレフタラート)2wt%の混合物であり、それぞれ賦活用セル内で、賦活対象の炭素材料シートをセパレータの正極側に、補助シートをセパレータの負極側に配し、両炭素材料シートの外面にそれぞれ集電極(賦活用電極)を配し、さらにPC(プロピレンカーボネイト)溶媒に電解質TEMABF4(トリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボーレイト)を溶解した2mol/lの電解液でセル内部を満たした。セル内の容積は、0.6cm3とし、それぞれ、次の同条件下で、別々に賦活した。
この炭素材料の賦活条件は、賦活対象の炭素材料シートと補助シートの質量比を1:3とし、定電流源により5mAの定電流を60000秒流し続け、正負両極間の賦活電圧は最大で3.5Vとした。
【0015】
また、比較対照のため、正極側および負極側の炭素材料シートの質量比を1:1とした実施例とセパレータで互いに離間された同材料からなる正負両極側の炭素材料シートを賦活対象とし、同材料の電解液で満たして封止したセルの炭素材料シートに賦活電圧を加えて、正負両極側の炭素材料シートの賦活を同時に行い、このセルをそのまま正極側分極性電極B+および負極側分極性電極B−とした電気二重層コンデンサB(従来の炭素材料の電気的賦活方法)も用意した。炭素材料の電気的賦活時の正負両極間の最大印加電圧は、コンデンサAの場合と同様に、3.5Vとした。なお、賦活用の炭素材料シートの容積を実施例及び比較例ともに等しくするため、セルの容積を0.3cm3とした。このため定電流源により5mAの定電流を30000秒流し続けた。
【0016】
表1に、コンデンサA用セルおよびコンデンサBの炭素材料シートの電気的賦活時の、正負両極における電位配分を示す。
【0017】
【表1】
【0018】
表1に示すように、コンデンサAの正極側電極(A+)となる炭素材料シートおよび負極側電極(A−)となる炭素材料シートの賦活においては、賦活対象の炭素材料シートの電位上昇量は、補助シートの電位降下量の1.6倍程度である。
【0019】
表2は、上記の方法により電気的に賦活された炭素材料を正極および負極として電気二重層コンデンサ(コンデンサA、コンデンサB)を作製して3.5Vで充電したときの電位配分を示す。
コンデンサAとコンデンサBとの間に、電位配分の差はほとんど見られない。
【0020】
【表2】
【0021】
表2に示すように、コンデンサAとコンデンサBとの間に、正負両極間の電位配分の差はほとんど見られない。
【0022】
表3に、コンデンサAと、コンデンサBの特性を示す。
【0023】
【表3】
【0024】
表3の結果から、コンデンサAはコンデンサBよりも内部抵抗が僅かに大きいが、コンデンサAはコンデンサBに比べて静電容量が単位重量当たりで11%、単位体積当たりで14%大きく、また、蓄積される電力量が単位体積当たりで14%大きいのに対し、内部抵抗の差は僅かなので、静電容量および蓄積される電力量の大きなコンデンサAが優れている。
したがって、本発明の炭素材料の賦活方法により賦活した活性炭を、電気二重層コンデンサの正極側および負極側の分極性電極として使用することで、炭素材料の賦活時に正負両極間に印加する電界を高電圧にして劣化することなく、静電容量の大きな電気二重層コンデンサを得ることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、炭素材料及び補助部材間に印加される電圧を抑えて賦活対象の炭素材料により大きい電圧が印加されるため十分賦活することができるので、電解液が分解したり劣化を起こすことによって賦活効果が低減することを防止できる。また電気二重層コンデンサの正、負極用の分極性電極となる炭素材料の電気的賦活をそれぞれ単極ごとに高電界下で行うことができるので、大きい静電容量を持つ活性炭を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素材料の賦活方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の炭素材料の賦活方法の一例による、賦活対象の炭素材料(炭素材料シート)および補助部材(補助シート)の電位変化を示す図である。
【符号の説明】
1 炭素材料(炭素材料シート)
2 補助シート(補助部材)
3 セパレータ
4 集電極
5 電解液
6 収納容器(セル)
11 電気回路
12 電源(定電流源)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサの分極性電極などに用いられる炭素材料の賦活装置、炭素材料の賦活方法及び電気二重層コンデンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層コンデンサの分極性電極に適用される活性炭は、微細な孔を多数内含することで大きい比表面積を持つ多孔性の構造であり、この活性炭は炭素化合物からなる炭素材料を賦活して多孔質化することにより得られ、十分大きい静電容量を持つ活性炭を得るために様々な手法の炭素材料の賦活方法が研究されている。
そこで、大きい静電容量を持つ活性炭を得る方法として、電気的賦活方法が用いられている。電気的賦活方法では、セパレータの両面にそれぞれ正極用の分極性電極となる炭素材料シート及びこの炭素材料シートと同程度の厚さの負極用の分極性電極となる炭素材料シートを配置し、さらにこれら炭素材料シートの外面にそれぞれ外部接続用配線に接続された集電極を配置し、炭素材料シート内に電解液を含浸させた後、これら集電極に所定の電圧を印加し、炭素材料シートに電界を印加することにより炭素材料シートの賦活を行い比表面積を大きくすることで、そのまま電気二重層コンデンサとして完成させていた。ここで賦活電圧は、正極用の炭素材料シート及び負極用の炭素材料シートともにほぼ同程度の電圧に分圧されているが、シートに印加される電圧値はある程度高くないと賦活の進行が極端に遅く、印加時間がある程度長い方がより大きい静電容量の電気二重層コンデンサが得られることが確認されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電気二重層コンデンサの正極及び負極の分極性電極に適用される未賦活の炭素材料シートの容積比はほぼ1:1で且つ同材料からなり、電解液中で電解されたイオンの電荷量の絶対値は正極側及び負極側で互いに等しいの2枚の炭素材料シートはほぼ同じ電圧値に分圧され、またセル全体に印加される賦活電圧は電気二重層コンデンサの特性劣化電圧未満に制限されていたため、それぞれの炭素材料シートに印加される電圧は高くならず結果として十分大きい静電容量が得ることが困難だった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、賦活電圧による劣化を抑え、任意の静電容量を持たせることのできる炭素材料の賦活装置、炭素材料の賦活方法及び電気二重層コンデンサの製造方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の炭素材料の賦活装置(例えば図1参照)は、所定の静電容量の補助部材と、一方の面を補助部材に接し、他方の面に賦活対象の炭素材料を配置するセパレータと、前記補助部材及び前記セパレータを収納し、内部を電解液で満たした収納容器と、前記炭素材料及び前記補助部材間に電圧を印加する電源と、を備えることを特徴とする。
【0005】
この請求項1記載の炭素材料の賦活装置によれば、炭素材料及び補助部材間に印加される賦活電圧が素子劣化電圧未満に抑えても賦活対象の炭素材料により大きい電圧が印加されるため十分大きい静電容量に達するまで賦活することができるので、炭素材料の劣化並びに電解液の分解又は劣化によって賦活効果が低減することを防止できる。特に、補助部材を、上記未賦活の炭素材料よりも静電容量の高くすることで、炭素材料及び補助部材間に印加される電圧のうちの多くが、賦活対象の炭素材料に印加されるので、大きい静電容量を持つ分極性電極を得ることができる。一方、賦活対象の炭素材料シートの高電圧を印加し電気的賦活して炭素材料シートを形成するとこの炭素材料シート内部の細孔に存在する電解液が高電圧により劣化してしまうことがある。この炭素材料シートをそのまま電気二重層コンデンサとして使用すると劣化した電解液により発生される不純物が炭素材料シートを汚染し、結果として素子特性を下げることもある。このため、補助部材の静電容量を炭素材料シートの静電容量より小さくした方がいい場合もある。
なお、炭素材料に分圧される電圧は、電源の電流値又は電圧値並びに補助部材の静電容量に応じて制御され、補助部材の静電容量は、その種類、質量、体積、表面積に応じて設定されることができる。
【0006】
そして上記の課題を解決するため、請求項4記載の炭素材料の賦活方法は、絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記炭素材料シートおよび前記補助部材間に所定の電圧を印加して賦活するようにしている。
請求項4記載の炭素材料の賦活方法によれば、炭素材料シート及び補助部材間に印加される賦活電圧が素子劣化電圧未満に抑えても賦活対象の炭素材料シートにより大きい電圧が印加されるため十分大きい静電容量に達するまで賦活することができるので、炭素材料の劣化並びに電解液の分解又は劣化によって賦活効果が低減することを防止できる。
【0007】
そして請求項8記載の発明では、電気二重層コンデンサの製造方法において、絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の第1炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記第1炭素材料シートおよび前記補助部材間に電圧を印加して電気的賦活された第1炭素材料シートを形成し、絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の第2炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記第2炭素材料シートおよび前記補助部材間に電圧を印加して電気的賦活された第2炭素材料シートを形成し、前記電気的賦活された第1炭素材料シート及び前記電気的賦活された第2炭素材料シートをセパレータを介して配置するようにしたものである。
請求項8記載の発明では、第1炭素材料シート及び第2炭素材料シートをそれぞれ、別途電気的賦活するのでそれぞれ任意の電圧を印加することができ、最適の静電容量に設定することができる。電気的賦活に用いられる補助部材は、第1炭素材料シート用及び第2炭素材料シート用と別にしても同じでもよい。電気二重層コンデンサとして賦活された第1炭素材料シート及び賦活された第2炭素材料シートに挟まれるセパレータは、第1炭素材料シート又は第2炭素材料シートを電気的賦活したときに用いられるセパレータを用いてもよいし、電気的賦活時に用いられていないセパレータでもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本実施の形態の炭素材料の賦活装置及び炭素材料の賦活方法は、図1に示すように、絶縁体からなるセパレータ3を挟んで、一方に電気二重層コンデンサの分極性電極に用いられる電気的に賦活された炭素材料シートとなる未賦活の炭素材料シート(炭素材料)1を、他方に、炭素材料シート1を賦活するための対極となる補助シート(補助部材)2を配し、前記賦活対象の炭素材料シート1および補助シート2の上にそれぞれ、金属箔からなる同じ表面積の集電極4、4を配し、前記セパレータ3、賦活対象の炭素材料シート1、補助シート2、および集電極4、4とを、収納容器(セル)6で覆い、この収納容器6の内部には電解液5を充填した上で、前記集電極4、4を、電気回路11を通じて収納容器6外部の定電流源(電源)12に接続することで、賦活対象の炭素材料シート1及び補助シート2間に電圧を印加するものである。ここで補助シート2は、炭素材料シート1と同様に炭素化合物又は様々な方法で賦活された活性炭或いはこれらの混合物から構成されていてもよい。シート1、2が集電極4と接触する面積並びにセパレータ3と接触する面積は全て同じになるように設定されている。また、この集電極4、4は、本実施の形態の炭素材料の賦活方法により得られる電気二重層コンデンサの集電極である必要はない。
【0009】
ここで、賦活対象の炭素材料シート1と非賦活対象の補助シート2は、同材料を用いるが、図1に示すように、賦活対象の炭素材料シート1に対し、補助シート2の量を十分多くする。したがって、炭素材料シート1は補助シート2より薄い構造になり、定電流源12から集電極4,4間の炭素材料シート1及び補助シート2に一定時間電流を流すと、正負両極側の炭素材料の電位は図2に示すように、炭素材料シート1並びに補助シート2の容量に応じて分圧される。詳述すると、電解液中で電解される電荷の量の絶対値は、炭素材料シート1側と補助シート2側でほぼ等しいため、両者に分圧される電圧の比は、両者の容量の比に依存され、容量のより小さい側により大きい電圧が分圧されることになる。このように、より静電容量の小さい炭素材料シート1により絶対値が大きい電圧が印加されるという相乗効果により補助シート2の単位体積当たり印加される電圧(絶対値)に対する炭素材料シート1の単位体積当たり印加される電圧(絶対値)の比率は、補助シート2全体に印加される電圧(絶対値)に対する炭素材料シート1全体に印加される電圧(絶対値)の比率より大きい。このためセル全体の賦活電圧を上げることなく炭素材料シート1の賦活をより促進させて電気的に賦活された炭素材料シート1とし、静電容量を大きくすることができる。
【0010】
このようにして、電気二重層コンデンサの正極側分極性電極および負極側分極性電極となる複数の電気的に賦活された炭素材料シート1を、それぞれ補助シート2を用いて電気賦活して、電気的に賦活された炭素材料シート1からなる正極側分極性電極および負極側分極性電極をセパレータで挟み、両外側にアルミニウム等でなる集電極を設け、これを絶縁容器で覆い、電気的に賦活された炭素材料シート1内を十分電解液で満たした後封止して電気二重層コンデンサを製造する。このとき賦活後に電気的に賦活された炭素材料シート1内に残された電解液を排出し、新しい電解液で電気的に賦活された炭素材料シート1内を満たしてもよい。
【0011】
本実施の形態の炭素材料の賦活装置及び炭素材料の賦活方法によれば、炭素材料シート1に分圧される電圧は、定電流源12の電流値又は電圧値並びに補助部材シート2の静電容量に応じて制御され、補助部材シート2の静電容量は、その種類、質量、体積、表面積に応じて設定されることができる。
また、賦活用分極性電極として、賦活対象の炭素材料シート1よりも静電容量の大きい非賦活対象の炭素材料2を用いることで、両集電極4,4間に印加される電圧の大部分が、賦活対象の炭素材料1に印加されるので、大きい静電容量を持つ電気的に賦活された炭素材料を得ることができる。また、両集電極4,4間に印加される電圧が比較的小さくても賦活対象の炭素材料シート1を賦活することができるので、電気的に賦活された炭素材料シート1及び電解液5が劣化を起こすことを防止するによって賦活効果が低減することを防止できる。
【0012】
また、電気二重層コンデンサとしては使用する必要のない補助シート2は、複数の炭素材料シート1の賦活用に繰り返し用いることができるので、図1の炭素材料シート1を除くシステムを賦活装置として連続して炭素材料シート1の賦活に用いることができる。補助シート2は炭素材料シート1の賦活前に賦活されたものであっても、賦活されてないものであってもよいが電気的賦活により劣化しにくいものが望ましい。補助シート2に炭素材料を用いると補助シート2は炭素材料シート1の賦活時に賦活している状態なので比表面積が大きいため電解液5中の不純物を吸着しある程度洗浄する作用も兼ね備えている。なお賦活装置における電解液5は賦活するに従い経時劣化するので適宜交換、洗浄した方が望ましい。
【0013】
なお、上記の実施の形態では、賦活対象の炭素材料シート1の対極側には、補助シート2を配して電気的賦活を行ったが、本発明はこれに限定されることはなく、賦活対象の炭素材料シート1の対極側は、炭素材料以外の材料からなってもよいし、そのような材料と例えば、賦活対象の炭素材料1よりも大きい静電容量を持つ炭素材料以外の材料や、と炭素材料との混合物であってもよい。
また、電気二重層コンデンサの正極側および負極側の分極性電極となる電気的に賦活された炭素材料は、電気的賦活時にいずれも正極側で賦活したが、電解液の種類、炭素材料の種類に応じて、炭素材料シートの電気的賦活を負極側で行い、この電気的に賦活された炭素材料シートを、電気二重層コンデンサの正極および負極に使用してもよい。この場合、賦活対象の炭素材料シートを負極側に配し、補助シートを正極側に配して、炭素材料シートの電気的賦活を行う。
その他、具体的な詳細などについても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0014】
【実施例】
本発明の炭素材料の賦活方法にて、炭素材料シートを賦活し、電気二重層コンデンサの正極側分極性電極および負極側分極性電極としてコンデンサAを作製した。コンデンサAの正極側および負極側の分極性電極(A+,A−)となる、賦活対象の炭素材料シートは、ともに炭素化合物98wt%、PTFE(ポリエチレンテレフタラート)2wt%の混合物であり、それぞれ賦活用セル内で、賦活対象の炭素材料シートをセパレータの正極側に、補助シートをセパレータの負極側に配し、両炭素材料シートの外面にそれぞれ集電極(賦活用電極)を配し、さらにPC(プロピレンカーボネイト)溶媒に電解質TEMABF4(トリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボーレイト)を溶解した2mol/lの電解液でセル内部を満たした。セル内の容積は、0.6cm3とし、それぞれ、次の同条件下で、別々に賦活した。
この炭素材料の賦活条件は、賦活対象の炭素材料シートと補助シートの質量比を1:3とし、定電流源により5mAの定電流を60000秒流し続け、正負両極間の賦活電圧は最大で3.5Vとした。
【0015】
また、比較対照のため、正極側および負極側の炭素材料シートの質量比を1:1とした実施例とセパレータで互いに離間された同材料からなる正負両極側の炭素材料シートを賦活対象とし、同材料の電解液で満たして封止したセルの炭素材料シートに賦活電圧を加えて、正負両極側の炭素材料シートの賦活を同時に行い、このセルをそのまま正極側分極性電極B+および負極側分極性電極B−とした電気二重層コンデンサB(従来の炭素材料の電気的賦活方法)も用意した。炭素材料の電気的賦活時の正負両極間の最大印加電圧は、コンデンサAの場合と同様に、3.5Vとした。なお、賦活用の炭素材料シートの容積を実施例及び比較例ともに等しくするため、セルの容積を0.3cm3とした。このため定電流源により5mAの定電流を30000秒流し続けた。
【0016】
表1に、コンデンサA用セルおよびコンデンサBの炭素材料シートの電気的賦活時の、正負両極における電位配分を示す。
【0017】
【表1】
【0018】
表1に示すように、コンデンサAの正極側電極(A+)となる炭素材料シートおよび負極側電極(A−)となる炭素材料シートの賦活においては、賦活対象の炭素材料シートの電位上昇量は、補助シートの電位降下量の1.6倍程度である。
【0019】
表2は、上記の方法により電気的に賦活された炭素材料を正極および負極として電気二重層コンデンサ(コンデンサA、コンデンサB)を作製して3.5Vで充電したときの電位配分を示す。
コンデンサAとコンデンサBとの間に、電位配分の差はほとんど見られない。
【0020】
【表2】
【0021】
表2に示すように、コンデンサAとコンデンサBとの間に、正負両極間の電位配分の差はほとんど見られない。
【0022】
表3に、コンデンサAと、コンデンサBの特性を示す。
【0023】
【表3】
【0024】
表3の結果から、コンデンサAはコンデンサBよりも内部抵抗が僅かに大きいが、コンデンサAはコンデンサBに比べて静電容量が単位重量当たりで11%、単位体積当たりで14%大きく、また、蓄積される電力量が単位体積当たりで14%大きいのに対し、内部抵抗の差は僅かなので、静電容量および蓄積される電力量の大きなコンデンサAが優れている。
したがって、本発明の炭素材料の賦活方法により賦活した活性炭を、電気二重層コンデンサの正極側および負極側の分極性電極として使用することで、炭素材料の賦活時に正負両極間に印加する電界を高電圧にして劣化することなく、静電容量の大きな電気二重層コンデンサを得ることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、炭素材料及び補助部材間に印加される電圧を抑えて賦活対象の炭素材料により大きい電圧が印加されるため十分賦活することができるので、電解液が分解したり劣化を起こすことによって賦活効果が低減することを防止できる。また電気二重層コンデンサの正、負極用の分極性電極となる炭素材料の電気的賦活をそれぞれ単極ごとに高電界下で行うことができるので、大きい静電容量を持つ活性炭を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭素材料の賦活方法の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の炭素材料の賦活方法の一例による、賦活対象の炭素材料(炭素材料シート)および補助部材(補助シート)の電位変化を示す図である。
【符号の説明】
1 炭素材料(炭素材料シート)
2 補助シート(補助部材)
3 セパレータ
4 集電極
5 電解液
6 収納容器(セル)
11 電気回路
12 電源(定電流源)
Claims (8)
- 所定の静電容量の補助部材と、
一方の面を補助部材に接し、他方の面に賦活対象の炭素材料を配置するセパレータと、
前記補助部材及び前記セパレータを収納し、内部を電解液で満たした収納容器と、
前記炭素材料及び前記補助部材間に電圧を印加する電源と、
を備えることを特徴とする炭素材料の賦活装置。 - 請求項1記載の炭素材料の賦活装置において、
前記炭素材料に分圧される電圧は、前記電源の電流値又は電圧値並びに前記補助部材の静電容量に応じて制御されることを特徴とする炭素材料の賦活装置。 - 請求項1又は2記載の炭素材料の賦活装置において、
前記補助部材の静電容量は、その種類、質量、体積、表面積に応じて設定されることを特徴とする炭素材料の賦活装置。 - 絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記炭素材料シートおよび前記補助部材間に所定の電圧を印加して賦活することを特徴とする炭素材料の賦活方法。
- 請求項4記載の炭素材料の賦活方法において、
前記炭素材料シートに分圧される電圧は、前記所定の電圧並びに前記補助部材の静電容量に応じて制御されることを特徴とする炭素材料の賦活方法。 - 請求項4又は5記載の炭素材料の賦活方法において、
前記補助部材の静電容量は、その種類、質量、体積、表面積に応じて設定されることを特徴とする炭素材料の賦活方法。 - 請求項4〜6のいずれかに記載の炭素材料の賦活方法において、
前記炭素材料シートは、ある程度賦活された活性炭を含むことを特徴とする炭素材料の賦活方法。 - 絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の第1炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記第1炭素材料シートおよび前記補助部材間に電圧を印加して電気的賦活された第1炭素材料シートを形成し、
絶縁体からなるセパレータを挟んで設けられた賦活対象の第2炭素材料シート及び補助部材を電解液に満たし、前記第2炭素材料シートおよび前記補助部材間に電圧を印加して電気的賦活された第2炭素材料シートを形成し、
前記電気的賦活された第1炭素材料シート及び前記電気的賦活された第2炭素材料シートをセパレータを介して配置することを特徴とする電気二重層コンデンサの製造方法。
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