所定の画像領域上で記録ヘッドを複数回走査させて画像記録を行うシャトルスキャン方式のインクジェットプリンタの場合は、シングリング (shingling)印刷技法によって各ドットの重ね順を変えて打滴することができるが、1回の走査で画像記録を行うシングルパス方式のインクジェットプリンタの場合は、カラーインク(例えば、C,M,Y)の打滴順序は各色のヘッドの配置順序によって一意に決まってしまう。このため、シングルパス方式の場合、カラーインクのヘッド並び順によっては、意図する色の濃度が出づらくなってしまうという課題がある。
かかる課題について図21を例に説明する。図21は、記録媒体上で隣接する画素A,Bにインクを打滴した様子を模式的に示した断面図である。ここでは、画素Aにシアン(C)とマゼンタ(M)を、画素Bにシアン(C)のインクを、C→Mの順に打滴することを考察する。図中の点線は、各画素の中心位置を示しており、φDはドット径である。図21では、各ドットのドット径φDが画素間距離(画素ピッチPp )の約3倍となっている。記録媒体への着弾順に下から上へとドットが重なっている様子が表されている。
すなわち、図21(a)は、画素AにCインク→画素AにMインク→画素BにCインクの順(「着弾順1」という)で打滴した様子を表している。図21(b)は、画素AにCインク→画素BにCインク→画素AにMインクの順(「着弾順2」という)で打滴した様子を表している。
シャトル方式の場合は、記録画素単位でカラーインクの着弾順を制御できるので図21(a)に示した着弾順1、(b)に示した着弾順2のどちらの形態も取り得るが、シングルパス方式の場合は、ヘッドの並び順によって着弾順が一意に規定されるため、図21(b)に示した着弾順2しか取ることができない。
図21(b)に示した着弾順2において、仮に、CインクがMの補色の光(すなわち、グリーンの光)を反射しづらい(透過しやすい)性質を有し、MインクがCの補色の光(すなわち、レッドの光)を反射しやすい(透過しづらい)ときには、図示の領域Q(最上層にMインクが存在している領域)において、Cインクの色が見えにくいという問題が発生する。
なお、以下の説明において便宜上、「αの補色の光」のことを「α波長領域の光」と記載する。例えば、「M波長領域の光」とはグリーンの光である。
今、2色のインクα,β(ただし、α,βはC,M,Yの何れか)を打滴することを考える。
αのインクのみを打ったときのα波長領域の反射濃度をOD_α(α)、β波長領域の反射濃度をOD_β(α)とし、βのインクのみを打ったときのα波長領域の反射濃度をOD_α(β)、β波長領域の反射濃度をOD_β(β)とする。
ここで、0<OD_β(α)<<OD_α(α)、0<OD_α(β)<<OD_β(β)の条件を満たしているものとする。なお、「X<<Y」の表記は、YがXに比べて十分大きいことを表すものである。
理想的な色材(いわゆる「ブロック色素」)では、OD_β(α)=OD_α(β)=0となるが、現実の色材では副吸収があるため、OD_β(α)やOD_α(β)は0より大きな値になる。
今、OD_β(α)>OD_α(β) …式[1]
となっているものとし、これらのインクα, βを重ね打ちすることを考察する。
先にαを打滴し、後にβを打つとすると、式[1] より、後に打たれたβは、α波長領域の光を返しやすい(つまり、α領域の濃度が小さい)という特徴があるので、βを重ねていけばいくほど、下にあるαの濃度が下がってくるという問題が起こる。
このような現象は特に顔料系のインクを用いた場合に顕著であり、同一種の顔料インクを用いた場合でも、その顔料の粒子径が変わると、上述した濃度の減少の割合も変わってくる。また、そのインクの隠ぺい力の分光特性でも上述した濃度の減少割合は変わってくる。
図22に、シアンとマゼンタのそれぞれの単色サンプル、及び2色を互いに重ねたサンプルの濃度測定結果を示す。横軸がシアン濃度、縦軸がマゼンタ濃度である。この場合は、Mの色材がC波長領域の光を表面反射しやすいため、C→Mの順に重ねると、Cのみの打滴より、Cの濃度が下がっていることが分かる(図中の曲線矢印参照)。
これは色材の分光特性に大きく依存するものであり、特許文献1,2では、上記のような課題が考慮されていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、インクの分光特性を考慮して最適な打滴順を決定する方法を提供し、同じインク、同じ打滴量の条件下でより高濃度(広い色再現域)の画像を形成することができる画像形成方法及び装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、複数色のカラーインクを重ねて画像を形成する際のカラーインクの打滴順序を決定する方法であって、第1色αのインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおける第2色βと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_β(α)とし、前記第2色βのインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおける前記第1色αと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_α(β)とするとき、前記第1色αのインクについてOD_β(α)の情報を取得する工程と、前記第2色βのインクについてOD_α(β)の情報を取得する工程と、OD_β(α)及びOD_α(β)のうち小さい方の値を示す色のインクを先に打滴し、大きい方の値を示す色のインクを後に打滴するように打滴順序を決定する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、各色のカラーインクを単色で使用したときの他色インクの補色領域の反射濃度を把握し、その反射濃度の大小関係に基づいてカラーインクの打滴順序が決定される。すなわち、OD_β(α)>OD_α(β)の関係を満たす場合には、先に前記第2色βのインクを打滴し、後に前記第1色αのインクを打滴するものとする。また、OD_α(β)>OD_β(α)の関係を満たす場合、先に前記第1色αのインクを打滴し、後に前記第2色βのインクを打滴するものとする。
このような打滴順序を採用することにより、先に打たれた色の濃度の低下が少なく、より高濃度の(広い色再現域の)画像を形成することが可能になる。
なお、反射濃度の情報は、実際にサンプルを打滴してその反射濃度を測定することによって取得してもよいし、予め実験等によって把握した値を情報として取得(ユーザーインターフェースを利用して数値を入力したり、通信インターフェースを介してデータを読み込んだりするなどの手段によって取得)してもよい。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様に係り、前記第1色α及び前記第2色βは、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の3色の中から選ばれた2色であることを特徴とする。
少なくともC,M,Yの3色のカラーインクを使用するインクジェット記録装置について3色の打滴順を決定するための手法として本願発明を適用することができる。
請求項3に係る発明は、請求項2記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様であり、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の3色のカラーインクについて、シアンインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおけるマゼンタと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_M(C)、マゼンタインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおけるシアンと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_C(M)、マゼンタインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおけるイエローと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_Y(M)、イエローインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおけるマゼンタと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_M(Y)、イエローインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおけるシアンと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_C(Y)、シアンインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおけるイエローと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_Y(C)、とするとき、OD_C(M)>OD_M(C)、OD_M(Y)>OD_Y(M)、OD_Y(C)>OD_C(Y)の各不等式が示す関係を全て満たす場合、又は、OD_C(M)<OD_M(C)、OD_M(Y)<OD_Y(M)、OD_Y(C)<OD_C(Y)の各不等式が示す関係を全て満たす場合に、|OD_C(M)−OD_M(C)|、 |OD_M(Y)−OD_Y(M)|、|OD_Y(C)−OD_C(Y)|を求め、これらの値のうち大きい方から上位2組の色の組み合わせを抽出する工程と、前記抽出された上位2組の色の組み合わせが満たす前記不等式の関係に基づいて、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の3色のカラーインクの打滴順序を決定する工程と、を含むことを特徴とする。
C,M,Yの3色のカラーインクの中から任意に選んだ2色の組み合わせ(3種類)の各組について、請求項1で述べた手法にしたがって打滴順を決定した場合、これら各組の打滴順を総合して3色の打滴順が一意に決定される場合と、各組の打滴順の関係がいわゆる「三すくみ」の関係となって3色の打滴順を一意に決定できない場合とが生じる。
請求項3では、この「三すくみ」の関係にある場合における3色の打滴順を決定するための処理方法を提案する。すなわち、各組の反射濃度の評価に用いた3つの不等式のうち、濃度差(反射濃度の差の絶対値)が大きい上位2組の結果を用いて(濃度差が最も小さい組の結果を無視して)、3色の打滴順を決定する。濃度差が最も小さい組の結果を無視することによる濃度への影響は相対的に最も小さくなるため、上位2組の結果から妥当な打滴順序を得ることができる。
請求項4に係る発明は請求項1乃至3の何れか1項記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様に係り、前記打滴サンプルの単位面積当たりの打滴量は、打滴可能な最大ドット密度で打滴したときの単位面積当たりの打滴量であることを特徴とする。
打滴サンプルの打滴条件については、請求項4に示したように、装置条件から規定される打滴可能な最大の記録密度(最大ドット密度)で打滴したときサンプルについて反射濃度を測定する態様が、打滴順序を決定するうえで正確さが向上する観点で好ましい。
請求項5に係る発明は、複数色のカラーインクを重ねて画像を形成する際のカラーインクの打滴順序を決定する方法であって、第1色αのインクに第2色βのインクを重ねて打滴したときに得られる打滴サンプルにおける第1色αと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_α(α→β)、同打滴サンプルにおける第2色βと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_β(α→β)とし、第2色βのインクに第1色αのインクを重ねて打滴したときに得られる打滴サンプルにおける第1色αと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_α(β→α)、同打滴サンプルにおける第2色βと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_β(β→α)とするとき、前記第1色αのインクに前記第2色βのインクを重ねた打滴サンプルの反射濃度OD_α(α→β)、OD_β(α→β)の情報を取得する工程と、前記第2色βのインクに前記第1色αのインクを重ねた打滴サンプルの反射濃度OD_α(β→α)、OD_β(β→α)の情報を取得する工程と、OD_α(α→β)、OD_β(α→β)、OD_α(β→α)及びOD_β(β→α)の値に応じて、第1色αのインクと第2色βのインクの打滴順序を決定する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、2色のインクの重ね打ちによる色(2次色)のサンプルの反射濃度を把握して、その反射濃度の大小関係に基づいてカラーインクの打滴順序が決定される。すなわち、2色の組(α,β)について、α→βの順で打滴して得られるサンプルと、β→αの順で打滴して得られるサンプルの反射濃度(各色α,βのそれぞれの補色領域の反射濃度)の情報を得て、その反射濃度の値に基づいて打滴順を決定する。
打滴順を入れ換えた2つのサンプルのうち、より高い濃度の再現が可能な打滴順を選択することにより、広い色再現域の画像を形成することが可能になる。また、実際に2色を重ねたサンプルで反射濃度を判定しているので、より適性の打滴順序を決めることができる。
請求項6に係る発明は、請求項5記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様であり、OD_α(β→α)>OD_α(α→β)且つOD_β(β→α)>OD_β(α→β)の条件を満たす場合には、先に第2色βのインクを打滴し、後に第1色αのインクを打滴するように打滴順序を決定することを特徴とする。
請求項6に示した不等式の条件は、β→αの順で打滴した方がα→βの順で打滴するよりも、αの補色領域の濃度、βの補色領域の濃度ともに大きくなっていることを示している。このような条件を満たす場合は、β→αの順で打滴することが好ましい。
請求項7に係る発明は、請求項5記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様であり、OD_α(α→β)>OD_α(β→α)且つOD_β(α→β)>OD_β(β→α)の条件を満たす場合には、先に第1色αのインクを打滴し、後に第2色βのインクを打滴するように打滴順序を決定することを特徴とする。
請求項7に示した不等式の条件は、α→βの順で打滴した方がβ→αの順で打滴するよりも、αの補色領域の濃度、βの補色領域の濃度ともに大きくなっていることを示している。このような条件を満たす場合は、α→βの順で打滴することが好ましい。
請求項8に係る発明は、請求項5記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様であり、OD_α(β→α)>OD_α(α→β)且つOD_β(α→β)>OD_β(β→α)の条件を満たす場合、第1色αのインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおける第1色αと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_α(α)とし、前記第2色βのインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおける前記第2色βと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_β(β)とするとき、前記第1色αのインクについてOD_α(α)の情報を取得する工程と、前記第2色βのインクについてOD_β(β)の情報を取得する工程と、を含み、{OD_α(α)−OD_α(α→β)}の値と{OD_β(β)−OD_β(β→α)}の値のうち小さい方の値を示す打滴順で打滴するように打滴順序を決定することを特徴とする。
請求項8に示した不等式の条件は、それぞれ先に打たれた(下にある)色の濃度が小さくなっていることを示している。このような条件を満たす場合は、α,βそれぞれを単色で打滴した場合の濃度と比較して、その色が下に打たれたときの濃度の変化値(実際には、減少値)が小さい方の順序で打滴することが好ましい。
請求項9に係る発明は、請求項5乃至8の何れか1項記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様であり、前記第1色α及び前記第2色βは、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の3色の中から選ばれた2色であることを特徴とする。
少なくともC,M,Yの3色のカラーインクを使用するインクジェット記録装置について、3色の打滴順を決定するための手法として本願発明を適用することができる。
請求項10に係る発明は、請求項9記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様であり、請求項9記載のカラーインクの打滴順決定方法を用いて、CとM、MとY、YとMの各組について2色間の打滴順序を決定する工程と、CとM、MとY、YとMの各組の2色間の打滴順序の結果からC,M,Yの3色間の打滴順序を一意に決定できない場合に、前記各組の2色間の打滴順序を入れ換えて打滴したときの反射濃度の変化値を求める工程と、これら各組の反射濃度の変化値のうち大きい方から上位2組の色の組み合わせを抽出する工程と、前記抽出された上位2組の2色の組み合わせについて決定されていた打滴順序の結果に基づいて、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の3色のカラーインクの打滴順序を決定する工程と、を含むことを特徴とする。
C,M,Yの3色のカラーインクの中から任意に選んだ2色の組み合わせ(3種類)の各組について、請求項5乃至8で述べた手法にしたがって打滴順を決定した場合、これら各組の打滴順を総合して3色の打滴順が一意に決定される場合と、各組の打滴順の関係が「三すくみ」の関係となって3色の打滴順を一意に決定できない場合とが生じる。
請求項10では、この「三すくみ」の関係にある場合における3色の打滴順を決定するための処理方法を提案する。すなわち、各組について決定された打滴順で打滴したときと、その逆の打滴順で打滴したときとの濃度の変化値(減少値)が大きい上位2組の結果を採用して(濃度の変化値が最も小さい組の結果を無視して)、3色の打滴順を決定する。打滴順を入れ換えた場合の濃度の変化値が最も小さい組の結果を無視することによる濃度への影響は相対的に最も小さくなるため、上位2組の結果から妥当な打滴順序を得ることができる。
請求項11に係る発明は、請求項5乃至10の何れか1項記載のカラーインクの打滴順決定方法の一態様であり、前記打滴サンプルの単位面積当たりの打滴量は、打滴可能な最大ドット密度で打滴したときの単位面積当たりの打滴量の1/2であることを特徴とする。
打滴サンプルの打滴条件については、特に限定されないが、請求項11に示したように、単位面積当たりの打滴量がそれぞれ、単位面積に想定される最大の打滴量(最大ドット密度で打滴したときに実現される打滴量)の1/2とする態様が好ましい。
なお、上記した請求項1乃至11の何れか1項に記載のカラーインクの打滴順決定方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する態様も可能である。かかるプログラムは、単独のアプリケーションソフトウエアとして構成されてもよいし、画像編集ソフトウエアや設計支援ソフトウエアなど、他のアプリケーションの一部として組み込まれてもよい。上記のプログラムをCD−ROMや磁気ディスクその他の情報記憶媒体(外部記憶装置)に記録し、該情報記憶媒体を通じて当該プログラムを第三者に提供したり、インターネットなどの通信回線を通じて当該プログラムのダウンロードサービスを提供したりすることも可能である。
請求項12に係る発明は、請求項1乃至11の何れか1項記載のカラーインクの打滴順決定方法を用いて打滴順序を決定し、当該決定された打滴順序に従って各色のインクを打滴することによってカラー画像を形成することを特徴とする画像形成方法を提供する。
これにより、広い色再現域の画像を形成することが可能になる。
また、請求項1乃至11の何れか1項記載のカラーインクの打滴順決定方法を用いて決定された打滴順序に基づき、記録媒体の搬送方向の上流側から下流に向かって各色のインク吐出ヘッドが前記打滴順序の色順に並んで配置されていることを特徴とする画像形成装置を提供する。
記録媒体とインク吐出ヘッドとを相対的に移動(走査)させながら画像の記録を行う構成のうち、特に、所定の画像領域について1回の走査で画像記録を行うシングルパス方式の画像形成装置の場合は、各色のインク吐出ヘッドの並び順(配置順)がそのまま各色の打滴順となる。したがって、請求項1乃至11の何れか1項記載のカラーインクの打滴順決定方法を用いて決定された打滴順序に基づいて、各色のインク吐出ヘッドの配置順を設計することが好ましい。これにより、広い色再現域の画像形成が可能な装置を実現できる。
このような画像形成装置におけるインク吐出ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズルを配列させたノズル列を有するフルライン型のインクジェットヘッドを用いることができる。この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺のインク吐出ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のインク吐出ヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってインク吐出ヘッドを配置する態様もあり得る。
「記録媒体」は、インク吐出ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、中間転写媒体、配線パターン等が形成されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
記録媒体とインク吐出ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)インク吐出ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対してインク吐出ヘッドを移動させる態様、或いは、インク吐出ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
請求項13記載の発明に係る画像形成装置は、複数色のカラーインクを吐出するためのノズル列を備えたインク吐出ヘッドと、記録媒体の記録領域を複数回走査するように前記インク吐出ヘッドを前記記録媒体に対して相対移動させる走査手段と、第1色αのインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおける第2色βと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_β(α)とし、前記第2色βのインクを単色で使用したときに得られる打滴サンプルにおける前記第1色αと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_α(β)とするとき、前記第1色αのインクについてOD_β(α)の情報及び前記第2色βのインクについてOD_α(β)の情報を取得する濃度情報取得手段と、前記濃度情報取得手段で取得したOD_β(α)とOD_α(β)のうち小さい方の値を示すインクを先に打滴し、大きい方の値を示すインクを後に打滴するように打滴順序を決定する打滴順決定手段と、前記打滴順決定手段で決定した打滴順序に従って前記記録媒体上でカラーインクが重なるように前記インク吐出ヘッドの打滴動作を制御する打滴制御手段と、を備えたことを特徴とする。
また、請求項14記載の発明に係る画像形成装置は、複数色のカラーインクを吐出するためのノズル列を備えたインク吐出ヘッドと、記録媒体の記録領域を複数回走査するように前記インク吐出ヘッドを前記記録媒体に対して相対移動させる走査手段と、第1色αのインクに第2色βのインクを重ねて打滴したときに得られる打滴サンプルにおける第1色αと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_α(α→β)、同打滴サンプルにおける第2色βと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_β(α→β)とし、第2色βのインクに第1色αのインクを重ねて打滴したときに得られる打滴サンプルにおける第1色αと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_α(β→α)、同打滴サンプルにおける第2色βと補色の関係にある色領域の反射濃度をOD_β(β→α)とするとき、前記第1色αのインクに前記第2色βのインクを重ねた打滴サンプルの反射濃度OD_α(α→β)、OD_β(α→β)の情報並びに前記第2色βのインクに前記第1色αのインクを重ねた打滴サンプルの反射濃度OD_α(β→α)、OD_β(β→α)の情報を取得する濃度情報取得手段と、前記濃度情報取得手段で取得したOD_α(α→β)、OD_β(α→β)、OD_α(β→α)及びOD_β(β→α)の値に応じて、第1色αのインクと第2色βのインクの打滴順序を決定する打滴順決定手段と、前記打滴順決定手段で決定した打滴順序に従って前記記録媒体上でカラーインクが重なるように前記インク吐出ヘッドの打滴動作を制御する打滴制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項13又は14における「濃度情報取得手段」は、実際にサンプルを打滴してその反射濃度を測定する濃度測定手段を含んで構成されていてもよいし、操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル等に代表される入力装置を用いたユーザーインターフェース、或いは、通信インターフェース、若しくはこれらの組み合わせであってもよい。
なお、請求項13,14に係る発明は、打滴順を適宜制御可能なシャトルスキャン(マルチパス)方式の画像形成装置に好適である。
本発明によれば、インクの分光特性を考慮して、より高濃度の再現が可能な打滴順を決定するようにしたので、同じインク且つ同じ打滴量でより広い色再現域の画像を形成することが可能となる。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔第1の実施形態:単色の反射濃度から打滴順を決める方法〕
シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の3色のインクについて、単色の反射濃度から打滴順を決定する方法は以下の(手順1−1)〜(手順1−3)による。
(手順1−1)C,M,Yの各インク(単色)のレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)領域の反射濃度、つまり、C波長領域,M波長領域,Y波長領域のそれぞれの反射濃度を測定する。ここで測定する反射濃度は、打滴可能な最大密度(最大の記録解像度)で打滴したときの反射濃度である。なお、「反射濃度」は、通常用いられる3色濃度で定義し、分光感度として、ステータスAを用いる。この定義は、「ISO 5/3-1984 : Photography-Density Measurements-Part3 : Spectral conditions 」による。
(手順1−2)C,M,Yの中から任意に選んだ2色について、互いの波長領域の反射濃度の大小を比べる。例えば、CインクとMインクを選択した場合には、CインクのM波長領域の反射濃度と、MインクのC波長領域の反射濃度の大小を比べる。
図21で説明したとおり、OD_β(α)>OD_α(β)となっている場合は、先にαを打滴すると、その上にβを重ねていくほど、インクの最表面で、α波長領域の光が表面反射してしまい、αの濃度が下がってくる。したがってこの場合はβ→αの順に打滴するものとする。一例として、図1にCインクとMインクの比較例を示す。
図1のように、CインクのM波長領域の反射濃度OD_M(C)とMインクのC波長領域の反射濃度OD_C(M)の大小を比較し(ステップS10)、OD_C(M)>OD_M(C)の関係を満たしていたら、C→Mの順に打滴するものとする(ステップS12)。その一方、ステップS10の判定において、OD_C(M)<OD_M(C)の関係を満たしていたら、M→Cの順に打滴するものとする(ステップS14)。
図2(a)は、OD_M(C)<OD_C(M)の関係を満たす場合の反射の模式図、図2(b)は、OD_M(C)>OD_C(M)の関係を満たす場合の反射の模式図である。図中符号C,Mはそれぞれ記録媒体上に打滴されたシアン(C),マゼンタ(M)のインクを表し、Cインク,Mインクからの矢印の長さは反射光の光量を表している。
CインクとMインクの組み合わせ以外の、他の2色の組み合わせ(「MとY」、「YとC」)においても、同様に、打滴順を決めることができる。
CとM、MとY、YとCの各組についてそれぞれ打滴順を決めると、全ての組み合わせは図3の表に示した8通り((a) 〜(h))となる。同表で(b) 〜(g) の場合については、CMYの打滴順(シングルパスの場合、各色のヘッド配置順)はそれぞれ表中に示したとおり一意に定まる。
しかし、図3の表に示した(a),(h)の場合は、CとM、MとY、YとCの各組で決めた打滴順がいわゆる「三すくみ」の関係になっているため、上記の手法ではC, M, Yの打滴順が一意に決まらない。このときは、以下に示す(手順3)の手法に従って打滴順を決定する。
(手順1−3)上記した「三すくみ」の場合には、評価に用いた3つの不等式のうち、差が大きい上位2つの結果から打滴順を定めるものとする。表記の便宜上、OD_α(β)−OD_β(α)=Δ(αβ)と表すことにする。例えば、図に示した表の(a) において、各組(CとM、MとY、YとC)の不等式における左辺と右辺の差Δ(CM)、Δ(MY)、Δ(YC)について、Δ(CM)>Δ(MY)>Δ(YC)となっていたとすると、差が大きい上記2組である、CとM、MとYの結果を採用し(すなわち、差の最も小さいYとCの結果を無視して)、打滴順は下から(記録媒体に近い方から)C→M→Yと決定する。
一例として、表の(a) の場合について、打滴順の決定フローを図4に示す。図示のように、まず、Δ(CM)、Δ(MY)、Δ(YC)を求め(ステップS20)、これらのうち最小のものを判断する(ステップS22)。ステップS22でΔ(CM)が最小であると判定したら、CとMの結果を無視して残り2組の結果を採用し、打滴順をM→Y→Cの順とする(ステップS24)。また、ステップS22でΔ(MY)が最小であると判定したら、MとYの結果を無視して残り2組の結果を採用し、打滴順をY→C→Mの順とする(ステップS26)。或いはまた、ステップS22でΔ(YC)が最小であると判定したら、YとCの結果を無視して残り2組の結果を採用し、打滴順をC→M→Yの順とする(ステップS28)。
なお、本発明においては、ブラックの打滴順は特に限定しないものとする。
以上説明したように、単色の反射濃度において、他の色の波長領域の反射濃度が大きい色材を後で打滴する。シングルパス方式のインクジェット記録装置の場合には、CMYヘッドの並び順に関して、単色の反射濃度において、他の色の波長領域の反射濃度が大きい色材を吐出するためのヘッドを後(下流側)に配置する。これにより、同じインク、同じ打滴量で、より高濃度(広い色再現域)の画像を形成することが可能になる。
〔第2の実施形態:重ね打ちによる2次色の反射濃度から打滴順を決める方法〕
シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の3色のインクについて、2色の重ね打ちによる2次色の反射濃度から打滴順を決定する方法は以下の(手順2−1)〜(手順2−3)による。
(手順2−1)C,M,Yインクのうち任意の2色(α,βとする)について、α→βの順で打滴したサンプルと、β→αの順で打滴したサンプルの反射濃度(α波長領域、β波長領域)を測定する。ただし、各サンプルにおける単位面積当たりの打滴量は、単位面積に想定される最大打ち込み量の1/2とする。
(手順2−2)上記の手順2−1で得られた値について、横軸にα波長領域の濃度(OD_α)、縦軸にβ波長領域の濃度(OD_β)をとってプロットすると、その相対的な位置関係は図5の(A)〜(D)の何れかになる。図中黒丸印(●)は、α→βの順で打滴したサンプルの測定値を示し、黒三角印(▲)は、β→αの順で打滴したサンプルの測定値を示す。
図5(A)の場合は、β→αの順で打滴した方が、α→βの順で打滴するよりもα波長領域、β波長領域の濃度とも大きくなっているので、この場合は、β→αの順で打滴するものとする。
図5(C)の場合も、(A)と同様の考え方で、このときはα→βの順で打滴するものとする。
図5(B)の場合は、それぞれ先に打たれた(下にある)色の濃度が小さくなっている。このときは単色(αのみ、又はβのみ)の濃度と比べて、その色が下に打たれたときの濃度の変化値(減少値)が小さい方の順序で打滴するものとする。例えば、
OD_α(α)−OD_α(α→β)>OD_β(β)−OD_β(β→α)…式[2]
となった場合には、β→αの順で打滴する。
図5(D)の場合は、それぞれ後に打たれた(上にある)色の濃度が小さくなっている。このような状況になることは、通常考え難いが、仮にこのような状況になった場合は、単色(αのみ、又はβのみ)の濃度と比べて、その色が上に打たれたときの濃度の変化値(減少値)が小さい方の順序で打滴するものとする。例えば、
OD_α(α)−OD_α(β→α)>OD_β(β)−OD_β(α→β)…式[3]
となった場合には、α→βの順で打滴する。一例として、C(シアン)とM(マゼンタ)の場合の打滴順決定フローを図6に示す。
図6に示したように、まず、C→M,M→Cの順でそれぞれ打滴したときのC,Mの濃度が図5に示した(A)〜(D)のどのパターンに該当するかを判定する(ステップS30)。判定の結果(A)のパターンに該当する場合には、M→Cの順に打滴するものとする(ステップS32)。また、ステップS30の判定の結果、(C)のパターンに該当する場合は、C→Mの順に打滴するものとする(ステップS34)。
ステップS30の判定の結果、(B)のパターンに該当する場合は、ステップS36に進む。ステップS36では、OD_C(C)−OD_C(C→M)とOD_M(M)−OD_M(M→C)の大小関係を比較し、小さい方を判定する。当該判定の結果、OD_C(C)−OD_C(C→M)の方が小さければ、C→Mの順に打滴するものとする(ステップS38)。また、ステップS36における判定の結果、OD_M(M)−OD_M(M→C)の方が小さければ、M→Cの順に打滴するものとする(ステップS40)。
ステップS30の判定の結果、(D)のパターンに該当する場合は、ステップS42に進む。ステップS42では、OD_C(C)−OD_C(M→C)とOD_M(M)−OD_M(C→M)の大小関係を比較し、小さい方を判定する。当該判定の結果、OD_C(C)−OD_C(M→C)の方が小さければ、M→Cの順に打滴するものとする(ステップS44)。また、ステップS42における判定の結果、OD_M(M)−OD_M(C→M)の方が小さければ、C→Mの順に打滴するものとする(ステップS46)。
(手順2−3) 上記の手順2−1、2−2で説明したことを、CとM、MとY、YとCの各組で行い、CとM、MとY、YとCの打滴順を決定する。その結果、取り得る打滴順は、図7の表に示される8通り((a) 〜(h) )である。
3色の打滴順が一意に決定される場合(図の表に示した(b)〜(g) の場合)は、その順に従って打滴を行うものとする。
(手順2−4) 図7の表に示した(a),(h) のように、打滴順が一意に決まらない場合(「三すくみ」の場合)については、3 つの組のうち、どれか1 つの結果を無視して打滴順を決めることになる。このときは、手順2−3で決めた打滴順で打滴したときと、その逆の打滴順で打滴したときとの、濃度からの変化値(減少値)が大きい2組の結果を採用するものとする。例えば、図7の(a) の場合には、以下の手順<1.>〜<3.>に従って打滴順序を決める。
なお、ΔOD_α(αβ)=OD_α(α→β)−OD_α(β→α)と表すことにし、ここで2色の組み合わせは、(α,β)=(C,M),(M,Y),(Y,C)である。
<1.>まず、ΔOD_C(CM),ΔOD_M(CM),ΔOD_M(MY),ΔOD_Y(MY),ΔOD_Y(YC),OD_C(YC)の各値を求める。
<2.>次に、OD_C(CM)とOD_M(CM)で大きい方の値(これをΔOD(CM)とする)、OD_M(MY)とOD_Y(MY)で大きい方の値(これをΔOD(MY)とする)、OD_Y(YC)とOD_C(YC)で大きい方の値(これをΔOD(YC)とする)、をそれぞれ求める。
<3.>上記の<2.>で求めたΔOD(CM),ΔOD(MY),ΔOD(YC)で値が大きい2組の結果を採用する。例えば、
ΔOD(CM)>ΔOD(MY)>ΔOD(YC)…式[4]
となった場合は、CとM、MとYの打滴順を考慮し、C→M→Yの順で打滴するものとする。
一例として、図7の(a) の場合のときの打滴順決定フローを図8に示す。
図8に示したように、まず、ΔOD(CM),ΔOD(MY),OD(YC)を求め(ステップS50)、これらの中で最小のものを判定する(ステップS52)。ΔOD(CM)が最小の場合は、他の上位2組の打滴順を優先して、M→Y→Cの順に打滴するものとする(ステップS54)。ステップS52の判定において、ΔOD(MY)が最小の場合は、他の上位2組の打滴順を優先して、Y→C→Mの順に打滴するものとする(ステップS56)。ステップS52の判定において、ΔOD(YC)が最小の場合は、他の上位2組の打滴順を優先して、C→M→Yの順に打滴するものとする(ステップS58)。
図7の(h)の場合についても、上述の(a) の場合と同様の考え方で処理することができる。なお、本発明においては、ブラックの打滴順は特に限定しないものとする。
以上説明したように、CMYの任意の2色の組について、互いに重ねたときの濃度がより大きくなるように、インクの打滴順(重ね順)を決定する。
シングルパス方式のインクジェット記録装置の場合は、上記の手法によって決定した打滴順にしたがってヘッドの配置順が設計される。すなわち、記録媒体の搬送方向について上流側から打滴順番の色順に下流に向かって各色のヘッドが配置される。これにより、同じインク、同じ打滴量で、より高濃度(広い色再現域)の画像を形成することことが可能になる。
もちろん、上記手法によって決定した打滴順は、シングルパス方式のインクジェット記録装置に適用される場合に限定されず、シャトルスキャン方式のインクジェット記録装置にも適用可能である。
上述した各実施形態によるカラーインクの打滴順決定方法はコンピュータを用いて実施することができる。すなわち、上述したカラーインクの打滴順決定方法のアルゴリズムをコンピュータに実行させるプログラム(打滴順決定処理プログラム)を作成し、このプログラムによってコンピュータを動作させることにより、当該コンピュータをカラーインクの打滴順決定装置として機能させることができる。
図9はコンピュータのシステム構成例を示すブロック図である。コンピュータ10は、本体12と、ディスプレイ(表示手段)14及びキーボードやマウスなど入力装置(各種の指示を入力するための入力手段)16から構成される。本体12内には中央演算処理装置(CPU)20、RAM22、ROM24、入力装置16からの信号入力を制御する入力制御部26、ディスプレイ14に対して表示用の信号を出力する表示制御部28、ハードディスク装置30、通信インターフェース32、及びメディアインターフェース34などを有し、これら各回路はバス36を介して相互に接続されている。
CPU20は、全体の制御装置及び演算装置(演算手段)として機能する。RAM22は、データの一時記憶領域やCPU20によるプログラム実行時の作業用領域として利用される。ROM24は、CPU20を動作させるブートプログラムや各種設定値・ネットワーク接続情報などを記憶する書き換え可能な不揮発性の記憶手段である。ハードディスク装置30には、オペレーティングシステム(OS)や各種のアプリケーションソフト(プログラム)やデータ等が格納される。
通信インターフェース32は、USB(Universal Serial Bus)やLAN、Bluetooth(登録商標)など所定の通信方式に従って外部機器や通信ネットワークに接続するための手段である。本例では、通信インターフェース32を介して光学濃度計37を接続することができる。光学濃度計37は、打滴サンプルの反射濃度を測定し、その測定値のデータを出力する。メディアインターフェース34は、メモリカードや磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクに代表される外部記憶装置38の読み書き制御を行う手段である。
単色インクの反射濃度や2次色の反射濃度の情報は、光学濃度計37を用いて実際に反射濃度を測定することによって取得してもよいし、予め実験等によって把握した値を入力装置16から入力したり、通信インターフェース32やメディアインターフェース34を介して取得したりしてもよい。
本発明によるカラーインクの打滴順決定処理プログラムは、ハードディスク装置30、或いは外部記憶装置38に格納されており、必要に応じて当該プログラムが読み出され、RAM22に展開されて実行される。或いは、通信インターフェース32を介して接続される不図示のネットワーク上に設置されたサーバによってプログラムが提供される態様も可能であるし、インターネット上のサーバによって本プログラムによる演算処理サービスを提供するという態様も考えられる。
オペレータは、ディスプレイ14上に表示される不図示のアプリケーションウインドウを見ながら入力装置16を操作して演算条件や初期値などの設定を入力することができるとともに、演算結果をディスプレイ14上で確認することができる。
次に、本発明のカラーインクの打滴順決定方法によって決定された打滴順序の結果を利用して設計されたインクジェット記録装置の例を説明する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図10は本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。ここでは、C→M→Yの順で打滴すべき旨の決定結果に基づいて設計された装置例を述べる。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図10では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図10のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図10に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図15中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図10上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図10の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図11参照)。
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序は、図1乃至図9で説明したカラーインクの打滴順決定方法による決定結果に従う。
図10に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置ずれなどの吐出不良をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。この印字検出部124は打滴サンプルの光学濃度を測定する手段として兼用することもできる。
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図10には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
図12(a) はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図12(b) はその一部の拡大図である。また、図12(c) はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図、図13は1つの液滴吐出素子(1つのノズル151に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図12(a) 中の13−13線に沿う断面図)である。
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図12(a),(b) に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図12(a) の構成に代えて、図12(c) に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図12(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図13に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
圧力室152の一部(図13において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に供給される。
上述した構造を有するインク室ユニット153を図14に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図14に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13 、151-14 、151-15 、151-16 を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26 を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36 を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16 を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
〔制御系の説明〕
図15は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(元画像のデータ) から印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図15において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ174に記憶される。
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180においてディザ法や誤差拡散法などを用いたハーフトーン化処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられる印字データ(すなわち、画像バッファメモリ182に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
印字検出部124は、図10で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。なお、この印字検出部124に代えて、又はこれと組み合わせて他の吐出検出手段(吐出異常検出手段に相当)を設けてもよい。
他の吐出検出手段としては、例えば、ヘッド150の各圧力室152内又はその近傍に圧力センサを設け、インク吐出時或いは圧力測定用のアクチュエータ駆動時などに、この圧力センサから得られる検出信号から吐出異常を検出する態様(内部検出方法)、或いは、レーザ発光素子などの光源と受光素子から成る光学検出系を用い、ノズルから吐出された液滴にレーザ光等の光を照射し、その透過光量(受光量)によって飛翔液滴を検出する態様(外部検出方法)などがあり得る。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124或いは図示しない他の吐出検出手段から得られる情報に基づいてヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
上記構成のインクジェット記録装置110によれば、インクの分光特性を考慮して、より高濃度の色再現が可能な打滴順序で記録が行われるようにヘッド配置順が設計されているため、広い色再現域の画像を形成することができる。
上記各実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、図16(a),(b)に示したように、記録媒体(記録紙116その他の印字媒体)216の幅Wm に足りない長さのラインヘッド(以下、印字ヘッド250という。)を用いて、複数回走査して画像形成する場合にも本発明は適用可能である。
なお、図16(a),(b)の印字ヘッド250内に描いた両向き矢印250Aはノズル並び方向とノズル列の長さを模式的に表しており、白抜き矢印252は印字ヘッド走査方向を表している。図16(a)は、1回目の走査の様子を示し、同(b)は走査位置を変えて実施されるN回目(Nは2以上の整数)の走査の様子を示している。
図示のとおり、印字ヘッド250は、その長手方向(ノズル並び方向)が記録媒体216の幅方向に沿って配置され、不図示のヘッド走査手段(キャリッジ、走行ガイドなどの支持機構及びこれを駆動するためのモータ等の駆動手段を含む。)によって印字ヘッド走査方向(白抜き矢印252方向)及び記録媒体216の幅方向(図16において横方向)に移動可能に支持されている。
記録媒体216の幅方向に対する印字ヘッド250の位置(走査位置)を変えながら、印字ヘッド走査方向252に複数回の走査を実施することによって、記録媒体216上に画像が形成される。
なお、ここでは、印字ヘッド250を移動させる例を説明するが、記録媒体216に対して印字ヘッド250を相対的に移動させて走査を行えばよく、記録媒体216側を移動させる態様、或いは印字ヘッド250と記録媒体216の両方の移動を組み合わせて走査を行う態様も可能である。
図16(a),(b)に示したとおり、各走査において、印字ヘッド250はそれぞれ異なる位置を走査するが、これら各走査によって相対的に記録媒体216上を移動したノズルを、図17に示すように、仮想的な記録媒体幅(Wm)のラインヘッド255上の対応する位置のノズルとみなすことによって、印字ヘッド250を記録媒体216の幅Wm に対応する長さのノズル列255Aを有する仮想的なラインヘッド255の一部とみなすことができる。すなわち、この仮想的なラインヘッド(フルライン型ヘッド)255について、既述のフルライン型のヘッド150の実施形態と同様に本発明を適用可能である。
〔シャトルスキャン方式への適用例〕
次に、シャトルスキャン方式のインクジェット記録装置への適用例について説明する。図18は、シャトルスキャン方式のインクジェット記録装置に用いられる印字ヘッドユニットの要部斜視図である。図10で説明したインクジェット装置10の印字部12に代えて、図18の印字ヘッドユニット300が設けられる。
図18に示したように、印字ヘッドユニット300は、キャリッジ310上に黒インク用のヘッドモジュール(以下、「Kヘッド」という)312K,シアンインク用のヘッドモジュール(以下、「Cヘッド」という)312C,マゼンタインク用のヘッドモジュール(以下、「Mヘッド」という)312M,イエローインク用のヘッドモジュール(以下、「Yヘッド」という)312Yが配設されて成る。キャリッジ310は、記録媒体の搬送方向と直交する方向(図の白抜き矢印A方向)に沿って延在するガイド部材(ガイドレール又はキャリッジシャフトともいう)314によって支持されており、不図示のモータを含むキャリッジ駆動手段によってガイド部材314に沿って往復移動可能となっている。
図19は、印字ヘッドユニット300をインク吐出面側から見た様子を示す模式図である。同図では、各色のヘッド312K,312C,312M,312Yがそれぞれ1列のノズル列を有している例が示されているが、各ヘッドにおいて、複数のノズル列を有していてもよい。また、本例では、色別にヘッドモジュールを設けたが、1つのヘッドから複数色のインクを吐出できるように、色別に複数のノズル列を形成する態様も可能である。
シャトルスキャン方式の場合は、図21で説明したように、記録媒体に対するインクの重ね順(打滴順)を制御することができるため、キャリッジ310上での各色のヘッド312K,312C,312M,312Y(或いはノズル列)の並び順は特に限定されない。
システムの構成は図15で説明した例と同様である。ただし、本発明によるカラーインクの打滴順決定方法によって決定された打滴順序の情報がROM175等の記憶手段に記憶され、当該打滴順序に従って記録媒体216上でカラーインクが重なるように各色のヘッド312K,312C,312M,312Yの打滴動作が制御される。
また、印字検出部124は、打滴サンプルの濃度を測定する手段として兼用される。濃度測定用の打滴サンプルを印字するための印字データはROM175に格納されており、必要に応じて当該濃度測定用の印字データが読み出されて印字が行われる。印字結果の打滴サンプルを印字検出部124で読み取り、濃度情報を取得することにより、上述のアルゴリズムに従ってカラーインクの打滴順が決定される。
すなわち、図15の印字検出部124は、本発明における「濃度情報取得手段」として機能し、システムコントローラ172又はプリント制御部180、若しくはシステムコントローラ172とプリント制御部180の組み合わせが本発明における「打滴順決定手段」並びに「打滴制御手段」として機能する。
図18及び図19で説明した印字ヘッドユニット300を備えたインクジェット記録装置によれば、図20(a),(b)に示すように、印字ヘッドユニット300を移動させながらインクを吐出して画像を形成する。なお、図20(a),(b)中、図16(a),(b)と同一又は類似する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図20(a),(b)において、印字ヘッドユニット300は、その長手方向(ノズル並び方向)が記録媒体216の送り方向(白抜き矢印254で示したメディア送り方向)に沿って配置され、メディア送り方向と略直交する方向に印字ヘッドユニット300が走査される。
印字ヘッドユニット300による走査と、記録媒体216の移動との組み合わせによって、記録媒体216と印字ヘッドユニット300との相対位置を変えながら、複数回の走査を行うことにより、記録媒体216上に画像が形成される。
このように、インクの分光特性を考慮して、より高濃度の色再現が可能な打滴順序で記録が行われるように打滴制御を行うことにより、広い色再現域の画像を形成することができる。
〔変形例1〕
異なるインクセットを用いてプリントする場合は、各々のインクセットに関して、上記第1の実施形態又は第2の実施形態で説明した方法に従ってインクの分光吸収を求めて打滴順序を規定する。そして、シングルパス方式の場合は、規定された打滴順序に従って各色のヘッドの並び順を変更させるように、ヘッドを移動させる機構及びその移動制御手段を備える態様も考えられる。
或いはまた、規定された打滴順序で打滴されるように、記録媒体がノズル列に対して複数回搬送されるように搬送系を制御する態様も考えられる。
〔変形例2〕
シングルパス方式において、図3及び図7で説明した「三すくみ」の特性を示す場合には、C,M,Yのヘッドのうち、どれか1つのヘッドを2組設ける態様もある。例えば、図3の(a)の場合は、上流側からC→M→Y→Cの順でヘッドを配置することによって、CとMに関してはC→Mの順、MとYに関してはM→Yの順、YとCに関してはY→Cの順で打滴する。更に好ましくは、2組設けるヘッドは、単色の濃度が最も低いものとする。
110…インクジェット記録装置、112…印字部、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、124…印字検出部、133…ベルト、150…ヘッド、151…ノズル、152…圧力室、158…アクチュエータ、172…システムコントローラ、175…ROM、180…プリント制御部、300…印字ヘッドユニット、310…キャリッジ