JP4046936B2 - インクジェット印刷用インク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット印刷に使用されるインクジェットインクに関する。より詳細には、本発明は、自己分散型顔料、特定のポリマー、及びグリコールエーテル溶剤を包含する染料又は顔料を利用して、基板に適用される時のインクの乾燥時間及びブラック−カラーのブリードを著しく低減するインクシステムに関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェットプリンタは、通常コンピュータに併用される他の型のプリンタに比べ、低コスト、高品質、及び比較的騒音の無いオプションを提供する。このようなプリンタは、プレナムから入るインクの出口を備えたチャンバー内にレジスタ素子を使用する。プレナムは、インク貯蔵用溜めに接続される。複数のこのようなレジスタ素子は、プリントヘッド内に、プリミティブと呼ばれる特定のパターンに配置される。各レジスタ素子は、ノズル板に於いてノズルと組み合わされており、インクはそこを通って印刷媒体に向かって吐出される。プリントヘッドと溜めの全集合体がインクジェットペンを構成する。
【0003】
作動に於いて、各レジスタ素子は導線を介してマイクロプロセッサに接続され、電流供給信号が1つ又はより多くの選択された素子を加熱する。その加熱はチャンバー内にインクの気泡を生じ、それがノズルを通じて印刷媒体に向かってインクを吐出する。このようにして、複数のレジスタ素子が所与のプリミティブの特定の順序で付勢されることによって、英数字が形成され、区画書込みが行われ、且つその他の印刷能が媒体上に提供される。
【0004】
インクジェットインクが、ボンド紙、コピー用紙、及びその他のセルロース系媒体を含む、種々の媒体上に印刷される時、乾燥にはある時間が必要とされる。印刷される用紙の表面上で、インクが未だ湿ってか又はべとべとしている間に、スメア(smears)及びはみ出し汚れ(smudges)が生ずることがある。さらに、プリンタそのものの速度は、インクの乾燥時間に左右される。インクの乾燥に長い時間がかかるほど、用紙が他の用紙を汚さない程十分に、その印刷面上でインクが乾燥できるように、プリンタは新たに印刷された用紙の放出をより遅らせなければならない。
【0005】
さらに、多くのインクジェット用インクは、ボンド紙、コピー用紙、及びその他の媒体上に様々な色で印刷される時、ブリード及びハローを呈することがある。ブリード及びハローは、印刷される用紙の表面上と用紙の内部との両方で色が混じる際に生じる。用語「ブリード(bleed)」及び「ハロー(halo)」は、本明細書で用いられる時は、次のように定義される。2つの異なるカラーのインクが互いに隣り合って印刷される時、2つのカラーの間の境界はきれいで且つ1つのカラーが他のカラーへ浸入しないことが望ましい。1つのカラーが他のカラーへと浸入すると、2つのカラー間の境界がぎざぎざになり、これがブリードと呼ばれるものである。これは、従来技術における用紙繊維に沿う単色インクという状況での「ブリード」と対照区別して使用される。染料ベースのインクが顔料ベースのインクに隣接して印刷されると、染料ベースのインクが顔料ベースのインクに浸入して、顔料型インクの形状に白っぽい縁を生じさせることがある。これがハローとして知られているもので、染料ベースのカラーインクが顔料ベースのブラックインクに隣接して印刷される時に最もしばしば観察される。
【0006】
ブリードに対する従来の解決方法は、その大部分が加熱プラテン(heated platen)又はその他の加熱源及び/又は特殊紙の使用を包含するものであった。加熱プラテンの場合、プリンタのコストが上がる。特殊紙では、ユーザが、普通紙よりコスト高い単一種類の用紙を使用することに限定される。ブリードを軽減する別法は、インクの紙中への浸透速度を高めることを包含する。しかしながら、浸透速度を上げることは、エッジ明瞭度(edge acuity)を減少する(インクの印刷品質を低下させる)。それにも関わらず、この方法はカラー文書の質に対する重要さが低いため、カラーインクの印刷に関しては許容されている。しかし、ブラックインクに関しては、印刷品質は重要である。それ故、代わりのブリード抑制メカニズムが必要とされる。
【0007】
米国特許第5,428,383号は、第1のインク組成物における沈殿剤としての、多価金属塩の使用を含むマルチカラーのインクジェット印刷におけるブリードを抑制する方法を教示している。沈殿剤は、第2のインク組成物中で着色剤と反応するように設計されている。
【0008】
米国特許第5,198,023号は、ブラックのイエローに対するカラーブリードという特定の課題に対する解決を開示しており、そこでは、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムなどの多価カチオンを、約1〜約10重量%の範囲内の濃度で、イエローカチオン系インクに加えることにより、イエローインクとブラックインクとの間のブリードを防ぐ。しかしながら、多量の多価カチオンをサーマルインクジェットインク組成物に添加すると、染料塩の沈殿が誘発され、インク組成物内での調整がさらに必要となることが確認された。米国特許第5,518,534号は、顔料が分散された第1のインクと有機酸又は鉱酸の塩を含有する第2のインクの使用を教示しており、該塩は第1のインクと反応して、インク間のブリードを軽減する。しかし、このケースでは、顔料が分散剤の存在を必要とし、且つ両インクとも同一のイオン特性を有さなくてはならない。
【0009】
また、ブリードを抑制する方法は、米国特許第5,730,790号でもまた開示されている。これは、インクジェットインクが、少なくとも1つの染料ベースのインク成分と少なくとも1つの顔料ベースのインクを含むよう調合される。染料ベースのインクはまた、カチオン界面活性剤を含み、且つ顔料ベースのインクは、負に帯電されたの分散剤を含む。
【0010】
インクジェットインク間のブリードを低減する他の方法は、米国特許第5,181,045号に開示されるpH感応性染料の使用に関するものである。該特許には、適切なpHを有する隣接インクへのブリードを防ぐpH感応性染料が開示されている。pH感応性染料を有するインクの移動を、隣接インクのpHと接触させて、染料をページ上で不溶性にすることによって防ぐ。この方法は、ブリードを完全に抑制するのに、約4又は5の単位のpH差を要する。従って、代表的な約8というpHを有するpH感応性染料からブリードを効果的に排除するためには、4を越えないpHが要求されよう。
【0011】
米国特許第5,679,143号は、上に引用した'045号のケースに基づいているが、pH感応性インク組成物とは対照的に、いわゆるターゲットインクジェットインク組成物に有機酸成分が添加される。その有機酸成分により、ブリード抑制に要するpH差が約3単位又はそれ以下に低減される。
【0012】
良好なブリード抑制を有する速乾性インクを製造すべく多くの試みが産業界で成されてきたが、普通紙上に印刷される時により速い乾燥時間を有すると同時に、耐水堅牢性、ブリード抑制、及びハロー制御などのその他の望ましい諸性質を保持するインクジェット印刷用インク組成物に対する要求は依然として存在する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、良好なブリード抑制とハロー制御をも有する速乾性インクジェットインクが提供され、それらは、ある種の着色剤、グリコールエーテル溶剤及び1つ又はより多くのポリマーを含むものである。
【0014】
本明細書における濃度は、別途指示されない限り、全て重量パーセントで表示される。全成分の純度は、インクジェットインクとして通常の業務実施に用いられる純度である。全ての参考文献類は、ここに参考として組み入れられる。
【0015】
ある種の特定のポリマーは、あるpH条件下、且つ、ある種のイオン及びグリコールエーテルの存在下で沈殿し、以前は広く用いられていなかった、広範な種類の着色剤、とりわけ自己分散性顔料の利用を可能にすることが見出された。これらの特定のポリマーの使用はまた、これらのポリマーが着色剤の分散性又は水可溶性に寄与しないという理由から融通性のある調合を可能にし、その結果、新しい種類のポリマーが、それらの分散能力とは無関係に、ブリード抑制に利用できる。自己分散性顔料の利用により、本発明のポリマーは、pH及び/又はイオン感応性であり、しかも分散能力をほとんど持たないように設計することができる。
【0016】
ブリード性能の強化に加えて、本発明のポリマーはまた、印刷媒体中へのブラックインクビヒクルの浸透をも促進し、より速い乾燥時間をもたらす。乾燥時間は、ポリマーを沈殿させるpHで緩衝されているか、又はポリマーと非相溶性であるイオンを含んでいるようなカラーインクが、顔料ブラックインクの下及び/又は上に直に印刷される時に、さらに強化される。ポリマーの沈殿は、より大きな集塊化粒子への顔料の凝集(flocculation)を惹起し、ビヒクルがより速い速度で紙中へ抜き取られるのを許容する。
【0017】
乾燥時間を改善する目的で界面活性剤を使用する場合、相伴うブリード抑制の改善がしばしば見られるが、これは、しばしば、印刷品質、より特定的にはエッジ明瞭度を犠牲する。一方、表面活性がより低いグリコールエーテルは、"少ない"量で使用される時、印刷品質を落とさずに乾燥時間を改善する。グリコールエーテル含有のブラックインクが適切なカラーインクで下刷りされる時は、特にこの効果が得られる。
【0018】
グリコールエーテルは、ポリマーに対する優れた溶解力でよく知られている。グリコールエーテルの存在によって得られる乾燥時間/ブリード抑制の利点に加えて、ここで説明するインクは、ペンがアイドリング状態にある間、水が蒸発し且つ不揮発成分が濃縮する際に、ポリマーの溶液状態を保持するというグリコールエーテルの能力から利益を受ける。
【0019】
何らかの特定の理論を持ち出すことなく、本出願人等は、ある種のポリマーをグリコールエーテルと組み合わせることにより、著しく低減された乾燥時間を有するインクを調合することができ、同様に、ペンの信頼性を下げることなく、インク間のブリードの軽減を支援する、と信ずる。
【0020】
ポリマー
本発明のポリマーは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであってよい。良好な乾燥時間への寄与に加えて、ポリマーは、pHの変化につれ、又はある種のイオンの存在によって、あるいはその両方により沈殿するよう選択される。一般に、高いpHから低いpHへの変化によって沈殿するポリマーは、酸性基と疎水基を含むモノマーから成り;低いpHから高いpHへの変化により沈殿するポリマーは、アミン官能性と疎水性部分とを含むモノマーを含む。本発明のポリマーの構造は:
【0021】
【化2】
Figure 0004046936
【0022】
式中、R1は独立して、H又はC1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝のアルキル、芳香族、又は環状鎖から選択され、且つハロゲン、エステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含んでよく、且つ好ましくは、H、CH3、ハロゲン又はハロゲン化メチル基であり;R2は、約5〜約7.5のpKaを有するカルボン酸基であるか、又は第一級、第二級、又は第三級アミン官能基の何れかである。R3は、C1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝の、アルキル、芳香族、又は環状鎖であり、これらはエステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含んでよい。
【0023】
本発明に有用なカルボン酸を含むタイプXのモノマーの例には、これらに限定されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-トリフルオロメチルアクリル酸及び2-ブロモアクリル酸が包含される。典型的には、酸性のR2モノマーを含むポリマーは、Na、K、Li、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、等の酸性塩としてインク中に存在することになる。本発明に有用な、第一級、第二級、又は第三級アミンを含むタイプXのモノマーの例には、これらに限定されるものではないが、2-(ジエチルアミノ)エチルアクリルレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリルレート、3-(ジメチルアミノ)プロピルアクリルレート、ブチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノエチルメタクリレート及びN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドが包含される。典型的には、第一級、第二級、及び/又は第三級アミンのR2モノマーのみを含むポリマーは、Cl、Br、I、硫酸塩、硝酸塩、等の塩としてインク中に存在するであろう。
【0024】
本発明に有用なタイプYの疎水性モノマーには、これらに限定されるものではないが、アクリル酸及びメタクリル酸のメチル及びエチルエステル、アクリル酸エチル-2-(ブロモメチル)、アクリル酸プロピル及びメタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル及びメタクリル酸ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル及びメタクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸シクロヘキシル及びそれらのアルキル誘導体、アクリル酸エチルヘキシル及びメタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸トリメチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、 アクリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸イソボルニル及びメタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ブトキシエチル及びメタクリル酸-2-ブトキシエチル、アクリル酸-2-エトキシエチル、ネオペンチルグリコールアクリルレートベンゾエート(neopentyl glycol acrylate benzoate)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリルレート、ヒドロキシブチルアクリルレート、クロトン酸のアルキルエステル、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、メチル-2-アクリルアミド-2-メトキシアセテート、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル及びスチレン、等が包含される。本発明のポリマーは、少なくとも2つのX-タイプ又はY-タイプのモノマーを含んでもよい。
【0025】
本発明のポリマーの平均分子量は、約1,000〜約20,000、好ましくは、約1,000〜約12,000、より好ましくは約3,000〜約10,000の範囲にある。前記モノマーは、水中で可溶化されると安定であり、しかもpHの変化により、又は適切なイオンとの接触により、顔料を効果的に沈殿且つ凝集させるポリマーを十分生成できる量で供給される。従って、上記モノマーの有効量がポリマー鎖の部分を構成する限り、他のモノマーを含むポリマーを選択してもよい。本発明のポリマーは、調合者により選択される他のモノマーに加えて、1つより多くのX-タイプ、Y-タイプのモノマー、又はその両方を含んでもよい
【0026】
好ましい実施の態様において、R2は、カルボン酸の部分(moiety)であり、従って、次の構造を有する:
【0027】
【化3】
Figure 0004046936
【0028】
式中、R1は独立して、H又はC1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝の、アルキル、芳香族、又は環状鎖から選択され、且つエステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含んでよく、好ましくは、H、CH3、ハロゲン又はハロゲン化メチル基であり;nは、0〜15、好ましくは、0〜約3であり、その限りにおいてその基が約5〜約7.5のpKaを有する。R3は、C1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝、アルキル、芳香族、又は環状鎖であり、これらはエステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含んでよい。
【0029】
これらのポリマーの、酸価で測定された酸度は、55〜400mgKOH/g(ポリマー);好ましくは、80〜350mgKOH/g(ポリマー);より好ましくは、80〜200mgKOH/g(ポリマー)の範囲である。ポリマーが酸性基のないX-タイプのモノマーを有し、且つR2基が第一級、第二級、及び/又は第三級アミン官能性を含む時、グラム当りの塩基性窒素のミリ当量(meq)として測定される、ポリマー中の塩基性窒素の量は、約1〜約7ミリ当量/gの間、好ましくは、約1.5〜約6.2ミリ当量/g、より好ましくは、約1.5〜約3.5ミリ当量/gの間の範囲にある。
【0030】
本発明に有用なポリマーに関する以下の例は、本発明の範囲を限定しようとするものではない。モノマー比は、重量パーセントで与えられる。分子量は、上記で与えられた範囲に一致する。例;a)8:92 アクリル酸:アクリル酸ブチル、酸価62mgKOH/g;b)10:90 メタクリル酸:アクリル酸ブチル、酸価65mgKOH/g;c)12:88 アクリル酸:アクリル酸エチル、酸価93mgKOH/g;d)14:86 メタクリル酸:アクリル酸エチル、酸価91mgKOH/g;e)16:60:24 アクリル酸:メタクリル酸メチル:アクリル酸ヘキシル、酸価125mgKOH/g;f)16:5:15:64 アクリル酸:メタクリル酸ブチルアミノエチル:オクチルアクリルアミド:メタクリル酸メチル、酸価125mgKOH/g;g)19:40:41 メタクリル酸:アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル、酸価124mgKOH/g;h)30:30:30 メタクリル酸:メタクリル酸メチル:メタクリル酸ベンジル、酸価195mgKOH/g;及びi)44:56 アクリル酸:アクリル酸エチル、酸価 325mgKOH/g。その他の組合せも又可能であろう。ある程度の修正は、当業者により、且つ、本発明の趣旨から逸脱しない限り、可能であろう。
【0031】
カルボン酸基(carboxylate groups)などの酸性基をもつポリマーは、pH感応性である。これらのカルボキシル化、又は別法で酸性化されたポリマーは、それらのpH依存の溶解性に基づいて溶液又は沈殿物の何れかの状態になる。pHが低下され、且つカルボン酸基がプロトン化された状態になると、そのポリマーの溶解性は低減する。ある点において、ポリマーは不安定になり始め、溶液から事実上離脱する。ここで使用される典型的なポリマーは、少なくとも1つ、好ましくは又、多数のカルボキシル基を有するものを包含し、これらは一般的に当分野で知られているアクリル系のモノマーとポリマーからなる。ポリマーの沈殿を助け、且つ、水性ベースのインク中の顔料の凝集を誘発するために、疎水性部分も又必要である。ポリマーが正味のアニオン電荷を有する場合、顔料も又、正味のアニオン又は非イオン電荷を有さなくてはならない。
【0032】
理論に囚われることなく、本発明は本質的に境界効果であるものを包含すると考えられる。当該2つのインクの思い切ったpH条件、あるいは、インクの1つにおける非両立的イオンの存在は、2つのインクの境界で所望の効果(ブリード抑制)を生じさせる。さらに、インクが相互に、上刷り及び/又は下刷りされる時に、ブリード抑制の改善並びに乾燥時間の改善も観察される。
【0033】
最後に言及すべきは、pHが例えば4である、第2のインクを使用することで、紙媒体のpHにより惹起されるいずれのpH変化と比べても、pH感応性ポリマーの溶解度におけるより大きな効果が得られる、ということである。インク中の紙誘発のpH変化は、pH4で緩衝される流体との接触に較べて小さい。従って、紙自体のpHがブリード抑制の改善に寄与すると考えられてはいるが、本発明においては、第1のインク中において、又は特定のポリマーと非相容性であるイオンの存在において、ポリマーの不溶化を引き起こすのに十分低いpHを有する第2のインクが、所望の効果、即ち、ブリード及びハローの軽減を達成するのに使用される。
【0034】
所与の特定例は、第1のインクより低いpHを有するインクを使用するものであるが、当初のインクより高いpHを有するインクを使用することも又可能である。この場合、pH感応性インクは、pHが増加されると沈殿するという特性を有するものとなろう。例えば、ポリマーが、ポリマー上のアミン基のプロトン化によって正の電荷を帯びることにより低いpHで可溶性である場合、ポリマーを、ポリマーの脱プロトン化を引き起こす高いpHで緩衝された、第2のインクと接触させることによりポリマーを沈殿させることが可能である。この系は、非イオン性によって、又はカチオン帯電部分で分散される顔料と、あるいは正味の正電荷を有するように変更された自己分散性顔料と共に機能するものである。
【0035】
ブリード及び乾燥時間に及ぼされる効果は、約1〜3単位のpH差で見られ得る。更なる、且つ完全に近いブリードの抑制の結果、ブリードについてのそれ以上の且つより完全な制御は、pH差が約4〜5の単位にさらに増大される結果、生ずる。しかしながら、これらの値は、ここに開示されるポリマーより、pHに対して、より感応性であるポリマーの使用を排除するものではない;より感応性を有するpH-ポリマーに関しては、完全に近いブリードの抑制は、4単位よりかなり少ない、小さいpH差で生ずる。
【0036】
グリコールエーテル溶媒
上述のポリマーに加えて、本発明のインク組成物は、溶媒として1つ又はより多くのグリコールエーテル、又はポリ(グリコール)エーテルを含む。適切なグリコールエーテルの例は、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルのより高分子の同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルのより高分子の同族体である。
【0037】
着色剤
本明細書における1つの実施態様においては、ブラック顔料を分散剤の支援でインク組成物中に分散させる。そのようなブラック顔料は、アニオン官能性を有する分散剤で分散される任意のブラック顔料、例えば、S. C. Johnson Polymer(ウィスコンシン州ラシーン)から市販されているJoncryl(登録商標)ポリマー、が含まれる。当然、アニオン電荷を呈するその他任意の分散剤も本発明の実施に用いることができる。ブラック顔料並びにアニオン分散剤に関するより完全な議論については、最近発行された、米国特許第5,181,045号及び米国出願Serial No.08/567,974号を参照されたい。
【0038】
次の顔料は、Columbianから入手可能なブラック顔料の例である:Raven 7000、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000及びRaven 3500。次の顔料は、Degussaから入手可能である:Color Black FW 200、Color Black FW 2、Color Black FW 2V、Color Black FW 1、Color Black FW 18、Color Black S 160、Color Black S 170、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4。
【0039】
カラーインクは、典型的に染料又は顔料を含有する。染料又は顔料は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、又はそれらの混合物であってよい。インクジェット印刷用として知られているカラー染料又は顔料はどれも本発明の実施に使用し得る。
【0040】
次の顔料は発明の実施において有用である、が、この一覧は、本発明を限定しようとするものではない。次の顔料は、BASFから入手可能である:Paliogen(登録商標) Orange、Heliogen(登録商標) Blue L 6901F、Heliogen(登録商標) Blue NBD 7010、Heliogen(登録商標) Blue K 7090、Heliogen(登録商標) Blue L 7101F、Paliogen(登録商標) Blue L 6470、Heliogen(登録商標) Green K 8683及びHeliogen(登録商標) Green L 9140。次の顔料は、Cabotから入手可能である:Monarch(登録商標) 1400、Monarch(登録商標) 1300、Monarch(登録商標) 1100、Monarch(登録商標)1000、Monarch(登録商標) 900、Monarch(登録商標) 880、Monarch(登録商標) 800及びMonarch(登録商標) 700。次の顔料はCiba-Geigyから入手可能である:Chromophtal(登録商標) Yellow 3G、Chromophtal(登録商標) Yellow GR、Chromophtal(登録商標) Yellow 8G、Igrazin(登録商標) Yellow 5GT、Igralite(登録商標) Rubine 4BL、Manastral(登録商標) Magenta、Monastral(登録商標) Scarlet、Monastral(登録商標) Violet R、Monastral(登録商標) Red B及びMonastral(登録商標) Violet Maroon B。次の顔料はDegussaから入手可能である:Printex U、Printex V、Printex 140U及びPrintex 140V。次の顔料はDuPontから入手可能である:Tipure(登録商標) R-101。次の顔料はHeubachから入手可能である:Dalamar(登録商標) Yellow YT-858-D及びHeucophthal(登録商標) Blue G XBT-583D。次の顔料はHoechstから入手可能である:Permanent Yellow GR、Permanent Yellow G、Permanent Yellow DHG、Permanent Yellow NCG-71、Permanent Yellow GG、Hansa Yellow RA、Hansa Brilliant Yellow 5GX-02、Hansa Yellow-X、Novoperm(登録商標) Yellow HR、Novoperm(登録商標) Yellow FGL、Hansa Brilliant Yellow 10GX、Permanent Yellow G3R-01、Hostaperm(登録商標) Yellow H4G、Hostaperm(登録商標) Yellow H3G、Hostaperm(登録商標) Orange GR、Hostaperm(登録商標) Scarlet GO及びPermanent Rubine F6B。次の顔料はMobayから入手可能である:Quindo(登録商標) Magenta、Indofast(登録商標) Brilliant Scarlet、Quindo(登録商標) Red R6700、Quindo(登録商標) Red R6713及びIndofast(登録商標) Violet。次の顔料はSun Chemから入手可能である:L74-1357 Yellow、L75-1331 Yellow、L75-2577 Yellow。
【0041】
本発明の実施に際し、水性カラー染料を用いてよい。水溶性染料の例には、スルホネート染料及びカルボキシレート染料、特に、インクジェット印刷に通常用いられるものが包含される。具体例としては、以下のものが含まれる:Sulforhodamine B(スルホネート)、Acid Blue 113(スルホネート)、Acid Blue 29(スルホネート)、Acid Red 4(スルホネート)、Rose Bengal(カルボキシレート)、Acid Yellow 17(スルホネート)、Acid Yellow 29(スルホネート)、Acid Yellow 42(スルホネート)、Acridine Yellow G(スルホネート)、Nitro Blue Tetrazolium Chloride Monohydrate又はNitro BT、Rhodamine 6G、Rhodamine 123、Rhodamine B、Rhodamine B Isocyanate、Safranine O、Azure B、Azure B Eosinate、Basic Blue 47、Basic Blue 66、Thioflacin T(Basic Yellow 1)、及びAuramine O(Basic Yellow 2)が包含され、これらは全てAldrich Chemical Companyから入手可能である。
【0042】
本発明のインク中に使用される好ましい着色剤の種類の1つは、自己分散性顔料である。ここでの使用に適するこのような顔料は、インクジェット印刷に使用される周知の、化学的に修飾された水−分散性である全ての顔料を含む。これらの化学的修飾によって、全ての有機顔料を包含する顔料前駆体に水−分散性が与えられる。
【0043】
自己分散性又は水溶性のために、ここに記載の顔料は、少なくとも1つの芳香基又はC1-C12アルキル基、及び、少なくとも1つのイオン基又はイオン化(ionizable)基を含む、1つ又はより多くの有機基の付加によって修飾される。イオン化基は、水性媒体中でそのイオン基を形成する基である。イオン基は、アニオン性でもカチオン性であってもよい。芳香基は、さらに置換されるか又は置換されなくてもよい。その例としてはフェニル基又はナフチル基があり、イオン基としては、スルホン酸、スルフィン酸、ホスホン酸、カルボン酸、アンモニウム、第四級アンモニウム、又はホスホニウム基である。
【0044】
選択されるプロセスにより、顔料はその性質上アニオン性であってもカチオン性であってもよい。市販品として、アニオン発色団は、通常、ナトリウムカチオン又はカルシウムカチオンと結合され、カチオン発色団は、通常、塩化物アニオン又は硫酸塩アニオンと結合される。
【0045】
修飾について、1つの好ましい方法とは、少なくとも1つの酸性官能基を含有するアリールジアゾニウム塩によるカーボンブラック顔料の処理である。アリールジアゾニウム塩の例としては、スルファニル酸、4-アミノ安息香酸、4-アミノサリチル酸、7-アミノ-4-ヒドロキシ-2-ナフタレンスルホン酸、アミノフェニルホウ素酸、アミノフェニルホスホン酸、及びメタニル酸から調製されたものが含まれる。
【0046】
アンモニウム、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基、及びプロトン化アミン基は、上述と同じ有機基に付着させ得るカチオン基の諸例を代表するものである。
【0047】
修飾カーボンブラック顔料に関する議論並びに官能基化基を付着する方法については、米国特許第5,707,432号;第5,630,868号;第5,571,311号;及び第5,554,739号を参照されたい。
【0048】
次の顔料は発明の実施に有用であるが、この一覧は本発明を限定しようとするものではない。Cabotから入手可能な次の顔料は、本発明における使用目的として、適当に表面修飾され得る:Monarch(登録商標)1400、Monarch(登録商標)1300、Monarch(登録商標)1100、Monarch(登録商標)1000、Monarch(登録商標)900、Monarch(登録商標)880、Monarch(登録商標)800、及びMonarch(登録商標)700。同様に、Columbianから入手可能な次の顔料も適当に表面修飾され得る:Raven 7000、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、及びRaven 3500。次の顔料は、Degussaから入手可能である:Color Black FW 200、Color Black FW 2、Color Black FW 2V、Color Black FW 1、Color Black FW 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4、Printex U、Printex 140U、Printex V、及びPrintex 140V。Tipure(登録商標) R-101はDuPontから入手可能である。Cabotから市販のCab-O-Jet(登録商標)200及びCab-O-Jet(登録商標)300は、表面修飾されており、そのまま使用され得る。
【0049】
インクジェットインクビヒクル
本発明のインク組成物は、着色剤類、ポリマー(群)、及びグリコールエーテル溶剤、さらに加えて、インクビヒクルの通常のその他のインク付随物を含む。インク類及びそれらの性質に関する議論については、"The Printing Manual"、第5版、Leach等著(Chapman及びHall、1993年)を参照されたい。米国特許第2,833,736号;第3,607,813号;第4,104,061号;第4,770,706号;及び第5,026,755号も又参照されたい。
【0050】
本発明の実施に有用なインクの代表的な調合は、着色剤(約0.001〜約10重量%)、1つ又はより多くのグリコールエーテル溶媒(約0.01〜約20重量%、好ましくは、約0.01〜約7重量%、より好ましくは、約0.01〜約4重量%)、任意に、1つ又はより多くの水溶性界面活性剤/両親媒性物質(0〜約5重量%、好ましくは、約0.1〜約2重量%)、及び水(残余)からなる。勿論、該インクは、インク組成物の約0.1〜約10重量%の、好ましくは、0.1〜約3重量%の量で存在するポリマー(群)を含む。
【0051】
インクを調合する際、1つ又はより多くの追加の共溶媒をビヒクルに添加することができる。本発明の実施に使用される共溶媒の種類としては、これらに限定するものではないが、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、カプロラクタム、ラクトン、ホルムアミド、アセトアミド、及び長鎖アルコールが含まれる。本発明の実施に使用される化合物の例としては、これらに限定するものではないが、炭素数が30又はより少ない第一級脂肪族アルコール、炭素数が30又はより少ない第一級芳香族アルコール類、炭素数が30又はより少ない第二級脂肪族アルコール、炭素数が30又はより少ない第二級芳香族アルコール、炭素数が30又はより少ない1,2-アルコール、炭素数が30又はより少ない1,3-アルコール、炭素数が30又はより少ない1,5-アルコール、N-アルキルカプロラクタム、非置換カプロラクタム、置換ホルムアミド、非置換ホルムアミド、置換アセトアミド、及び非置換アセトアミドが含まれる。本発明の実施において好ましく使用される共溶媒の具体例には、これらに限定するものではないが、1,5-ペンタンジオール、2-ピロリドン、2-エチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、3-メトキシブタノール、及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが含まれる。共溶媒の濃度は、約0.01〜約50重量%の範囲にあってよく、好ましくは約0.1〜20重量%である。
【0052】
水溶性界面活性剤をインクビヒクルの調合に使用することができる。これらの界面活性剤は、インク調合物に対する自由成分として添加され、別途、ここに記載のポリマーに結合されるものでも、又、その一部となる様意図されるものでもない。便宜上、界面活性剤の例を2つのカテゴリー、即ち:(1)非イオン性及び両性、及び(2)イオン性に分ける。前者の種類には、Union Carbideから市販のアルキルポリエチレンオキシドである、TERGITOL;Rohm & Haas Co.から入手可能なアルキルフェニルポリエチレンオキシド界面活性剤である、TRITON;BRIJ;PLURONIC(ポリエチレンオキシドブロックコポリマー);及びSURFYNOL(Air Products市販のアセチレン系ポリエチレンオキシド);POE(ポリエチレンオキシド)エステル;POEジエステル;POEアミン;POEアミド;及びジメチコンコポリオールが包含される。置換アミンオキシドなどの両性界面活性剤は、本発明の実施において有用である。プロトン化POEアミンなどのカチオン界面活性剤も又使用することができる。米国特許第5,106,416号は、上に挙げたほとんどの界面活性剤についてより十分に詳述している。非イオン性の両親媒性物質/界面活性剤は、イオン性界面活性剤よりさらに好ましい。本発明の実施において好ましく使用される両親媒性物/界面活性剤の具体例には、イソ−ヘキサデシルエチレンオキシド 20、SURFYNOL CT-111、TERGITOL 15-S-7、及びN,N-ジメチル-N-ドデシルアミンオキシド、N,N-ジメチル-N-テトラデシルアミンオキシド、N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアミンオキシド、N,N-ジメチル-N-オクタデシルアミンオキシド、N,N-ジメチル-N-(Z-9-オクタデセニル)-N-アミンオキシドなどの、アミンオキシドが包含される。両親媒性物類/界面活性剤の濃度は、0〜5重量%、好ましくは、0.1〜2重量%、の範囲にあってよい。
【0053】
本発明の要件に一致して、様々な種類の添加物をインクに使用して、特定の用途のためのインク組成物の諸特性を最適化することができる。例えば、当業者に周知のように、殺生物剤をインク組成物中に使用して微生物の成長を阻害し得る。殺生物剤の好ましい例には、Urarcide(商標)及びProxel(商標)、及びNuoCept(商標)がある。EDTAなどの金属イオン封鎖剤を含有させて重金属不純物の有害な影響を排除することができ、又、緩衝液を用いてインクのpHを調整することもできる。粘度調節剤及び他のアクリル又は非アクリル系ポリマーなどのその他の既知添加剤を添加してインク組成物の各種特性を所望されるように改善することができる。
【0054】
インクは、ビヒクルの各種成分を組合せ、且つここで議論した着色剤及びポリマーをそれらと混合することにより調合される。最終的なインク組成物の粘度は、約0.8〜約8mPa・s(cPs)、好ましくは、約0.9〜約4mPa・s(cPs)である。
【0055】
インクジェット印刷の方法もここで開示される。本発明のインクは、従来のインクジェット式又はバブルジェット式又は圧電式プリンタのどれにも使用され得る。好ましくは、当該インクは、サーマルインクジェットプリンタに使用される。インクは、典型的にプリンタのカートリッジに充填し、任意の媒体上に印刷される。印刷に適する媒体の例には、紙、繊維、木材、及びプラスチックが含まれる。
【0056】
実施例1
一連のブラックインクが設計された実験において、調製される。各々のインクの共通成分は、3%のアニオン自己分散性顔料、9%の2-ピロリドン、4%のLiponics EG-1(オキシアルキル化グリセリン)及び0.2%のProxel-GXL殺生物剤である。設計実験は、グリコールエーテルとして0.50%、1.25%及び2.00%のプロピレングリコールt-ブチルエーテル(PtB)、及びポリマー添加物として0.35%、0.525%及び0.70%のBalance 47(登録商標)を用いる3レベルの設計によるものである。Balance 47(登録商標)は、オクチルアクリルアミド、メタクリル酸ブチルアミノエチル、及びその他のアクリレートモノマー(そのうち少なくとも1つは酸性モノマーである)のコポリマーであり、ポリマーの140mgKOH/gの酸価を有し、National Starchから市販されている。ポリマーは、そのg当たり0.14gのKOHで中和される。各調合物の残余は水であり、pHは希釈KOHで8.5に調整される。インクは、Hewlett-Packard Professional Series(登録商標) 2000C型インクジェットプリンタ用に設計されたインクジェットペンに充填される。
【0057】
この実施例では、ブラックインクは100%濃度(density)で印刷され、次の組成のインクの25%カラー濃度で下刷りされる:7.5%の2-ピロリドン、8%の1,5-ペンタンジオール、5%のコハク酸、1.75%のTergitol 15-S-7、4%のKOH、Na-Direct Yellow 132染料(1:10,000の希釈時でAbs = 0.12)及び残余は水である。この結果、pH4で緩衝されるインクとなる。イエローインクを、Hewlett-Packard Professional Series(登録商標) 2000C型インクジェットプリンタ用に設計されたカラーインクジェットペンに充填する。100%濃度のブラックグラフィックを有し且つ25%のイエローインクで下刷りされたChampion DataCopy(登録商標)紙10頁を、毎分14頁の速度でHewlett-Packard Professional Series(登録商標) 2000C型インクジェットプリンタで印刷し、出力トレイに積み上げる。1つのページから次のページへのブロッティング(blotting)は、0がブロッティング無しを表し、5は最も深刻なブロッティングを表す、0〜5のスケールを使用して等級付けされる。得られる乾燥時間の評価値は、相互作用モデルを使って統計的に解析される。図1は、解析から得られる乾燥時間評価の応答曲面(response surface)を示している。個々のデータのA〜E点に対する乾燥時間評価値が表1に与えられる。応答曲面は、ブラックインク中のPtBと特定のポリマーの使用が乾燥時間を促進することを示すだけではなく、それらの組合せが特に有益であることも示す。
【0058】
同じインクとプリンタが、約0.254cm(約0.1インチ)サイズのブラックラインが印刷され、上記のイエローインクによる2つのイエローボックスがその側面に配置されるような画像を印刷するためにも又使用される。ブラック−イエローのブリード量は、側面のイエローボックスがある場合と無い場合のブラックラインの幅の(2.54×10-5mの長さ(mil)の単位での)差を測ることにより決定される。上述のブラックインク全てを使って、Gibert Bond(登録商標)、Champion DataCopy(登録商標)、Union Camp Jamestown(登録商標)、Hewlett-Packard Bright White(登録商標)、Stora Papyrus Multicopy(登録商標)及びStora Papyrus Natura(登録商標)の紙上にグラフィックが印刷される。ブリードを測定し6種の用紙全てにわたって平均し、相互作用モデルを使って統計的に解析される。図2は、その解析で得られるブラック−カラーのブリードの応答曲面を示す。個々のデータのA〜E点に対するブリード値が表1に与えられる。応答曲面は、ブラックインク中へのPtBと特定のポリマーの使用がブリード抑制を促進するだけではなく、それらの組合せが特に有益であることも示す。ハローは、全てのプリントサンプルについて極めて良好であると観察される。
【0059】
【表1】
Figure 0004046936
【0060】
実施例2
下表に与えられた調合に従って5種類のブラックインクが調製された;濃度は重量パーセントで表示される。これらは全て、3%のアニオン自己分散性顔料を含有する。
【0061】
【表2】
Figure 0004046936
【0062】
全てのインクは、KOHを使って8.5のpHに調整される。該インクをHP 2000cインクジェットペンに充填する。カラーインクは、実施例1におけるものと同一である。実施例1と同様の条件下で乾燥時間を測定する。PtB含有のインクは、PtBを含んでいないインクより顕著により迅速に乾燥する。
【0063】
【発明の効果】
乾燥時間とブリードを低減する方法は、インクジェット印刷の応用分野において、特に顔料ベースのインクを使用する場合に、その有用性を見出すことが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乾燥時間に対するインク中に存在するグリコールエーテル(この場合は、プロピレングリコールt-ブチルエーテル、PtB)及びpH感応性ポリマー(National Starchから市販のBalance 47(登録商標))のパーセンテージによる三次元プロットである。データのA、B、C、D及びE点を説明する表は実施例に示されている。
【図2】 ブラック−イエローブリードに対するブラックインク中に存在するグリコールエーテル(この場合、PtB)及びpH感応性ポリマー(Balance 47(登録商標))のパーセンテージの三次元プロットである。データのA、B、C、D及びE点を説明する表は実施例に示されている。
【0064】
以下に本発明の実施の態様を要約して示す。
1. 基板上で良好な乾燥時間を有するインクジェット印刷用インクであって、該インクは、着色剤と、少なくとも1つのpH感応性ポリマーと、乾燥時間を改善するためのグリコールエーテル溶剤の有効量とを含有し、前記ポリマーが、下記の基本構造:
【化4】
Figure 0004046936
(式中、R1は独立して、H又はC1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝のアルキル、芳香族、又は環状鎖から選択され、任意に、ハロゲン、エステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含み;R2は、約5から約7.5のpKaを有するカルボン酸基、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、又はそれらの混合物を含有する部分から成る群から選択され;且つR3は、C1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝のアルキル、芳香族、又は環状鎖であり、任意に、エステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含む)を有するモノマーを含む、インクジェット印刷用インク。
2. 前記R1が独立して、H、CH3、ハロゲン、ハロゲン化メチル基、又はそれらの混合物から成る群から選択される、上記1に記載のインクジェット印刷用インク。
3. 前記ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-トリフルオロメチルアクリル酸、2-ブロモアクリル酸、及びそれらの混合物から成る群から選択されるカルボン酸官能性を有するモノマーを含む、上記2に記載のインクジェット印刷用インク。
4. 前記ポリマーが、約55から約400mgKOH/g(ポリマー)という、酸価で測定された酸度を有する、上記1に記載のインクジェット印刷用インク。
5. 前記ポリマーが、アミン官能性を含み、且つ、2-(ジエチルアミノ)アクリル酸エチル、2-(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル、3-(ジメチルアミノ)アクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルアミノエチル、メタクリル酸2-アミノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、及びそれらの混合物から成る群から選択される、上記1に記載のインクジェット印刷用インク。
6. グラム当りの塩基性窒素のミリ当量(meq)として測定される、前記ポリマー中の塩基性窒素の量が、約1〜約7ミリ当量/gである、上記5に記載のインクジェット印刷用インク。
7. 前記ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸のメチルエステル又はエチルエステル、アクリル酸エチル-2-(ブロモメチル)、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸シクロヘキシルのアルキル誘導体、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸トリメチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ブトキシエチル、メタクリル酸-2-ブトキシエチル、アクリル酸-2-エトキシエチル、ネオペンチルグリコールアクリルレートベンゾエート(neopentyl glycol acrylate benzoate)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、クロトン酸のアルキルエステル、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、メチル-2-アクリルアミド-2-メトキシアセテート、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、及びスチレン、及びそれらの混合物から成る群から選択される疎水性モノマーからなる、上記2に記載のインクジェット印刷用インク。
8. 前記ポリマーが、下記の基本構造:
【化5】
Figure 0004046936
(式中、R1は独立して、H又はC1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝の、アルキル、芳香族、又は環状鎖から選択され、任意にエステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含み;nは、0〜約15、その限りにおいてその基が約5〜約7.5のpKaを有し;且つ、R3は、C1-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝、アルキル、芳香族、又は環状鎖であり、任意にエステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含む)を有するモノマーを含む、上記1に記載のインクジェット印刷用インク。
9. 前記グリコールエーテルが、エチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルのより高分子の同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルのより高分子の同族体、及びそれらの混合物から成る群から選択される、上記1に記載のインクジェット印刷用インク。
10. 前記インクが、印刷媒体上で第2のインクの上に上刷りされるか、又は印刷媒体上で第2のインクの下に下刷りされる、上記1に記載のインクジェット印刷用インク。
11. 前記グリコールエーテルが、プロピレングリコールt-ブチルエーテルである、上記9に記載のインクジェット印刷用インク。
12. 前記pH感応性ポリマーが、オクチルアクリルアミド、メタクリル酸ブチルアミノエチル、及びその他のアクリレートモノマー(そのうちの少なくとも1つは酸性モノマーである)のコポリマーであり、140mgKOH/g(ポリマー)という酸価を有する、上記1に記載のインクジェット印刷用インク。

Claims (12)

  1. 基板上で良好な乾燥時間を有するインクジェット印刷用インクであって、該インクは、自己分散性顔料からなる着色剤と、少なくとも1つのpH感応性ポリマーと、乾燥時間を改善するためのグリコールエーテル溶剤の有効量とを含有し、前記ポリマーが、下記の基本構造:
    Figure 0004046936
    (式中、Rは独立して、H又はC-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝のアルキル、芳香族、又は環状鎖から選択され、任意に、ハロゲン、エステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含み;R、5 7.5のpKを有するカルボン酸基、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、又はそれらの混合物を含有する部分から成る群から選択され;且つRは、C-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝のアルキル、芳香族、又は環状鎖であり、任意に、エステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含む)を有するモノマーを含んでおり、前記ポリマーは、該ポリマーを含まないインクと比べて、隣接して印刷されるインクとのブリード抑制においてより優れた効果をもたらし、前記ポリマーと前記グリコールエーテル溶剤とを組み合わせることにより、これらを含まないインクと比べて、乾燥時間を短縮するものであり、オクチルアクリルアミド、メタクリル酸ブチルアミノエチル、及びその他のアクリレートモノマー(そのうちの少なくとも1つは酸性モノマーである)のコポリマーである、インクジェット印刷用インク。
  2. 前記Rが独立して、H、CH、ハロゲン、ハロゲン化メチル基、又はそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
  3. 前記ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2-トリフルオロメチルアクリル酸、2-ブロモアクリル酸、及びそれらの混合物から成る群から選択されるカルボン酸官能性を有するモノマーを含む、請求項2に記載のインクジェット印刷用インク。
  4. 前記ポリマーが 55か 400mgKOH/g(ポリマー)という、酸価で測定された酸度を有する、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
  5. 前記ポリマーが、アミン官能性を含み、且つ、2-(ジエチルアミノ)アクリル酸エチル、2-(ジメチルアミノ)アクリル酸エチル、3-(ジメチルアミノ)アクリル酸プロピル、メタクリル酸2-アミノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、及びそれらの混合物から成る群から選択されるモノマーを含む、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
  6. グラム当りの塩基性窒素のミリ当量(meq)として測定される、前記ポリマー中の塩基性窒素の量が、1〜7ミリ当量/gである、請求項5に記載のインクジェット印刷用インク。
  7. 前記ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸のメチルエステル又はエチルエステル、アクリル酸エチル-2-(ブロモメチル)、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸シクロヘキシルのアルキル誘導体、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸トリメチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸-2-ブトキシエチル、メタクリル酸-2-ブトキシエチル、アクリル酸-2-エトキシエチル、ネオペンチルグリコールアクリルレートベンゾエート(neopentyl glycol acrylate benzoate)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、クロトン酸のアルキルエステル、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-(ブトキシメチル)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、メチル-2-アクリルアミド-2-メトキシアセテート、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、及びスチレン、及びそれらの混合物から成る群から選択される疎水性モノマーからなる、請求項1又は2に記載のインクジェット印刷用インク。
  8. 前記ポリマーが、下記の基本構造:
    Figure 0004046936
    (式中、Rは独立して、H又はC-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝の、アルキル、芳香族、又は環状鎖から選択され、任意にエステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含み;nは、0 15、その限りにおいてその基が5〜 7.5のpKを有し;且つ、Rは、C-C18の置換又は非置換、分枝又は非分枝、アルキル、芳香族、又は環状鎖であり、任意にエステル、エーテル、アミン又はアミド官能性を含む)を有するモノマーを含む、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
  9. 前記グリコールエーテルが、エチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルのより高分子の同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルのより高分子の同族体、及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
  10. 前記インクが、印刷媒体上で第2のインクの上に上刷りされるか、又は印刷媒体上で第2のインクの下に下刷りされる、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
  11. 前記グリコールエーテルが、プロピレングリコールt-ブチルエーテルである、請求項9に記載のインクジェット印刷用インク。
  12. 前記pH感応性ポリマーが 140mgKOH/g(ポリマー)という酸価を有する、請求項1に記載のインクジェット印刷用インク。
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