JP4049855B2 - 無人エンジン始動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の無人エンジン始動装置に関し、特に、始動時間を始動時の条件により可変させる自動車用の無人エンジン始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車用の無人エンジン始動装置は、自動車の運転者が携帯用の無線リモコン装置を携帯して始動信号を送信し、自動車側の無線機でその始動信号を受けてエンジンの始動を行う無線による遠隔式エンジン始動装置と、自動車側だけでタイマーを組み込んでエンジンの始動を行うタイマー式エンジン始動装置が知られている。
【0003】
例えば、無線による遠隔式エンジン始動装置の場合には、自動車の運転者が携帯するリモコン装置からの無線の始動信号を受信すると、自動車のイグニッションキーと並列に接続されたイグニッション回路がオンされ、次いでスタータ回路のリレー回路が設定された時間だけオンしてエンジンスタータとしてのセルモータが回され、エンジンが始動される。
【0004】
タイマー式の場合には、タイマー設定された時間になると、始動信号が発生し、その始動信号を受けて上記の無線による遠隔式エンジン始動装置と同様なイグニッションキーの並列回路をオンしてセルモータでエンジンの始動を行う。
【0005】
バッテリーの放電能力の関係から、1回のセルモータの回せる時間には限りがあり、スタータ回路へ通電する時間となる始動時間は安全を見て例えば2秒程度に設定されている。そして、エンジン始動信号が発生すると、それに基づき始動時間だけセルモータが回され、その1回の通電でエンジンがかからなかったら、再度同一の始動時間だけセルモータが回される(リトライされる)ようになっている。
【0006】
ところで、一般的に運転者が自分でキーを回して自動車のエンジンの始動を行う場合でも、バッテリー電圧が低い時や外気温が低い時には、セルモータが長く回されないとエンジンがかからないことが多い。このセルモータを回す時間は、バッテリーの経年劣化や温度低下によりバッテリー自体の電圧発生能力が低下するためと、外気温の低下によりガソリンや軽油の気化が十分でなかったり発火温度に達しづらかったりすることによって増加する。
【0007】
そこで、運転者がイグニッションキーによりエンジンを始動する場合には、セルモータの音等から経験によりエンジンの始動状況を把握して、セルモータの回転が鈍らない、すなわち、バッテリー電圧の低下が顕著でないようなら、そのまま始動時間を長めにしてエンジンを始動させている。また、セルモータの回転が鈍り、電圧の低下が著しいようなら、一旦セルモータへの通電は中止してバッテリーの電圧を回復させてから再度のセルモータへの通電を行うようにしている。さらに、エンジンが始動した場合には、それにより発生するエンジン音を確認後セルモータへの通電を中止する等の調整を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の無人エンジン始動装置では、1回のセルモータへの通電でエンジンが始動しなかったら、再度の通電(リトライ)が行われるものの、1回の始動時間は一定であることから、バッテリー電圧や温度の環境によってはエンジンが始動まで至らないのに一定時間に達したために通電が中止されたり、エンジンが始動しているのに一定時間に達していないため、セルモータへの通電が継続されたりすることがある。
【0009】
すなわち、人間の運転者の場合にはセルモータの始動時間に細かい調整を行うのでエンジンの始動が可能な場合でも、無人エンジン始動装置ではエンジンの始動ができない場合があり、逆に、すぐにエンジンが始動しても一定時間はセルモータを回すことから始動系のギヤ等へ負担がかかり、始動系の機構を損傷させるおそれがある。
【0010】
さらに、多くの場合、仮にある時間通電してもエンジンが始動しない場合、リトライ時に同じ時間通電しても始動しない可能性の方が多いことがわかった。その結果、リトライを繰り返すと、無駄にバッテリーを消費することになり、過放電状態となるおそれもある。そのため、数回リトライしてもエンジンが始動しない場合には、エラーとしてその後は始動処理をしないようにする必要がある。しかし、そのように回数によりリトライを制限しても、例えば長年の使用によりバッテリー自体が劣化したり、何らかの原因によりすでに放電状態にある場合には、少ない回数のリトライによっても過放電状態となり、いわゆるバッテリー上がりを招くおそれもある。
【0011】
本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記した問題を解決し、自動車のバッテリー電圧や温度の環境が悪くても、自動車のエンジンの始動が順調に行われ、自動車の始動系に損傷を与えず、しかも、バッテリーを過放電状態或いはそれに近い状態にすることもなく、さらに、自動車との困難な接続を必要としない無人エンジン始動装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明に係る無人エンジン始動装置では、自動車のエンジン始動の動作を制御する回路にエンジン始動処理を行なわせる主制御回路備えた無人エンジン始動装置において、その無人エンジン始動装置の周囲の温度を検出するための温度検出手段と、温度と始動時間を関連づけた始動時間情報を記憶する記憶手段を備え、前記主制御回路は、始動命令信号を受信した際の前記温度検出手段の出力と前記記憶手段にアクセスして得た始動時間情報に基づいて始動時間を決定し、その決定した始動時間によりエンジン始動処理を行い、前記決定した始動時間でエンジン始動ができない場合、所定の基準時間だけ加算して新たな始動時間を決定し、その決定した始動時間によりエンジン始動処理を行うようにし、かつ、前記新たな始動時間でエンジン始動が成功した場合に、前記新たな始動時間に基づいて、前記記憶手段に記憶された始動時間情報の変更を行う機能を備えるように構成した(請求項1)。
【0013】
ンジン始動ができなかった場合に、再度同一の始動時間だけ通電してもエンジン始動が成功しない確率が高い。そこで、所定の基準時間だけ加算した長い時間だけ通電することにより、確実にエンジン始動を成功させるようにする。なお、新たな始動時間を決定する際に、再度温度を測定してもよいし、しなくてもよい。そして、当然のことながら再度温度を測定した場合には、記憶手段にアクセスして係る新たな温度に応じた始動時間を抽出し、その始動時間に対して所定の基準時間を加算することになる。
【0014】
また、新たな始動時間でエンジン始動が成功した場合に、前記新たな始動時間に基づいて、前記記憶手段に記憶された始動時間情報の変更を行う機能を備えたので、次回のエンジン始動では1回で始動する可能性が高くなるので好ましい。
【0015】
また、1回の始動処理でエンジン始動が成功した場合に、前記記憶手段に記憶された始動時間情報の時間を短くするような更新を行う機能をさらに備えるとよい(請求項2)。このようにすると、必要以上に通電してバッテリーを無駄に消耗することが減少する。
【0016】
上記した各請求項に記載の発明を前提とし、自動車のバッテリー電圧を検出するバッテリー電圧検出手段をさらに備え、前記始動時間の決定は、前記無人エンジン始動装置の周囲の温度とバッテリー電圧に基づいて行うようにするとよい(請求項3)。つまり、同じ温度であっても、バッテリー電圧が異なると始動するために必要な通電時間も異なる。そこで、請求項3のようにバッテリー電圧も加味して始動時間を決定すると、より精度よく、状況に応じた始動時間が設定でき、スムーズなエンジン始動が確保できる。
【0017】
そして、そのようにバッテリー電圧も加味して始動処理する装置の場合には、さらに前記主制御回路は、前記決定した始動時間でエンジン始動ができない場合、少なくとも再度バッテリー電圧を測定し、得られたバッテリー電圧と前記無人エンジン始動装置の周囲の温度に応じた始動時間に対し、さらに所定の時間だけ加算して新たな始動時間を決定し、その決定した始動時間によりエンジン始動処理を行う機能を備えるように構成するとよい(請求項4)。すなわち、1回エンジン始動処理をすると、いくらかの電圧降下は生じる。従って、係る降下量を予測して始動時間を長くするようにしてもよい。バッテリーの劣化度が異なると電圧降下の程度も異なる。そこで、請求項4のように毎回バッテリー電圧を測定すると、確実にその時のバッテリー電圧を知ることができ、それに基づいて状況にあった始動時間を設定することにより、少ないリトライで無理や負荷を与えることなくエンジン始動が可能となる。
【0018】
さらにまた、前記バッテリー電圧検出手段にて検出したバッテリー電圧に基づいてバッテリーが正常か異常かを判断し、異常の場合には始動処理を中止する機能を備えると好ましい(請求項5)。このように、バッテリー電圧を監視しておくと、その時のバッテリーにあったリトライ数が確保でき、過放電状態になることもなくなる。
【0019】
さらにまた、エンジンが始動を確認した場合に、始動処理を停止する機能をさらに備えるようにするとなおよい(請求項6)。係る構成にすると、始動した後にセルモータが回り続けることによるバッテリーの無駄な消費や、各系統に必要以上の負荷を与えることを可及的に抑制できる。
【0020】
上記した請求項1,3のように構成すると、無線式の無人エンジン始動装置のエンジン始動信号を受信したり、タイマー式の無人エンジン始動装置で設定された時間に達した場合には、周囲の温度或いは、その周囲の温度とバッテリー電圧の検出が行われ、係る検出結果に基づいて記憶手段に格納された始動時間情報の中から該当する始動時間を抽出する。そして、その抽出した始動時間にて1回目のセルモータへ通電が行われ、始動処理される。周囲の状況に応じた始動時間により始動処理されるので、1回でエンジン始動が成功する可能性が高いとともに、必要以上に通電してバッテリーを無駄に消費したり、始動した後でセルモータを回し続けることによる損傷等が防止される。
【0021】
また、温度検出手段は、無人エンジン始動装置の周囲の温度を計測するようにしているので、装置内での配線ですみ、容易に設置が行え、自動車購入後に後付けで設置する場合でも簡単に行える。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る無人エンジン始動装置の好適な一実施の形態の構成を示し、図2は、これのリレー接点回路を自動車の電気回路に接続する構造を示している。図1に示すように、受信機1は、図示省略する運転者の携帯する無線リモコン送信機からの無線信号のエンジン始動信号を受信し、受信したエンジン始動信号を後述する主制御回路(CPU)6で処理可能な信号にして送出するようになっている。
【0023】
そして、本形態では、検出手段として自動車の室内の温度を検出する温度センサ2と、バッテリー電圧を検出する電圧センサ3と、エンジン始動を検出する自動検出回路5を備え、各検出手段はそれぞれ主制御回路6に与えられるようになっている。そして、主制御回路6は、各検出手段から与えられた検出出力に基づいて、記憶手段たる記憶装置4に格納された始動時間情報に基づいて所定の時間だけエンジン始動処理を行うようになっている。つまり、リレー駆動7に対して制御命令を送り、それに基づいてリレー駆動回路7は、各リレー8,9,10を所定のタイミングで開閉するようになる。
【0024】
次に、具体的な始動処理を行う機構について図2に基づいて説明する。よく知られているように、自動車のセルモータ11はマグネットスイッチ12とイグニションキースイッチ13を介してバッテリー14に接続されており、通常はこのキースイッチ13をキーで操作することでエンジン始動などの制御を行う。
【0025】
周知のように、イグニションキースイッチ13には、各部への電源供給を停止する位置(図中OFF)と、各種電装品を駆動可能なアクセサリ位置(図中ACC)と、点火回路に電源を供給してアイドリング運転を継続するためのイグニッション位置(図中IG)と、エンジンの停止状態からマグネットスイッチ12に通電することによりセルモータ11に通電してエンジンを始動させる始動位置(図中ST)とがある。ACC接点には各種電装品15(ACC負荷)が接続され、IG接点には点火回路16(IG負荷)がそれぞれ接続される。本発明の遠隔式エンジン始動装置のACCリレー接点8aとIGリレー接点9aとSTリレー接点10aとがイグニションキースイッチ13の各接点と並列に接続されている。
【0026】
そして、主制御回路6は、リレー駆動回路7を介して前述のACCリレー接点8aとIGリレー接点9aとSTリレー接点10aに対応するACCリレー8とIGリレー9とSTリレー10を制御駆動する。つまり、各リレー8〜10を既定のタイミングで駆動し、セルモータ11を駆動する制御を行う。なお、係る処理は従来と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0027】
一方、温度センサ2は、装置本体(筐体)内に一体的に組み込まれている。従って、この温度センサ2は、無人エンジン始動装置を設置した周囲の温度を計測するようになる。つまり、始動装置を車室内においた場合には、車室内の温度となり、エンジンルーム内に設置した場合には係るエンジンルーム内の温度となる。そして、装置本体内に一体的に組み込まれて閉ループとなっているので、配線が不要で簡単に設置できる。すなわち、例えば自動車に搭載されている水温センサの出力を利用しようとすると、その水温センサの出力を引き出してきて本装置に接続・配線する必要があるが、自動車購入後に後付けで設置することを鑑みると、係る配線処理は非常に複雑で煩雑となる。しかも、水温センサに接続した際に、水温センサの防水が損なわれるおそれもある。しかし、本装置では、上記したごとく温度の検出に関しては閉ループであるので、上記した問題はない。
【0028】
電圧センサ3は、無人エンジン始動装置が搭載された自動車のバッテリーの電圧を検出し、後述する主制御回路6で処理可能な信号にして送出するバッテリー電圧検出手段である。この電圧センサの接続は図2に示されるようにバッテリー電源14からの配線が無人エンジン始動装置内に経由していることから無人エンジン始動装置の内部で行えるため、別途配線をする必要がなく上記した水温センサに接続する場合に比べて、遙かに簡単な処理ですみ、自動車購入後に別途本発明の無人エンジン始動装置を購入して取り付ける場合でも煩雑さはない。
【0029】
記憶装置4は、バッテリー電圧と温度に応じた始動時間Tについての始動時間情報を格納するもので、例えばEEPROM等により構成される。そして、具体的に格納するデータとしては、例えば図3に示すようなグラフ状に形成したものとしたり、テーブル状に形成したり、適当な関数で表現できる場合には、係る換算式を格納するなど各種の形態をとれる。
【0030】
そして、図3について説明すると、温度による始動時間の変化の曲線を、さらに、電圧帯により異なる曲線で表わしたグラフである。つまり、バッテリー電圧の区分をX1v〜X2v,X2v〜X3v,…,X(n+1)v〜Xnvと分類し、各バッテリー電圧ごとに始動時と温度の関係を示す特性を表わすようにしている。この内容が記憶手段4に記憶され、始動時間の決定時には、その時の温度と電圧値で該当する内容が読み出されて主制御回路6で始動時間が決定されるための基となるデータとなる。なお、X1vは、セルを回すことのできる最小電圧であり、Xnvは、バッテリー電圧が上昇しうる最大電圧とし、それらの間を等分することにより、各電圧帯の境界値を設定している。なお、図3に示すバッテリー電圧帯の区分数は、記憶装置4の記憶容量と主制御回路6で処理が可能な範囲内でより細かく設定することで、始動時間もより細かく設定できる。
【0031】
また、このように電圧をパラメータとしていると、後述のように電圧センサ3により検出された電圧値が記憶内容の正常な値にない場合には、バッテリーによるエンジン始動は不可能と考えてエンジン始動処理を中止するような機能を設けたため、一次検索としてその時のバッテリー電圧が予め登録されたバッテリー電圧帯に属するか否かを判断し、いずれのバッテリー電圧帯にも属さない場合には、バッテリー異常と判定できる。従って、判定アルゴリズムを適宜変更することにより、温度をパラメータとしてバッテリー温度と始動時間の関係を示す特性で表わすようにしてももちろんよく、その他各種の対応をとれる。もちろん、図3に示すようなデータ構造であっても、正常範囲の電圧か否かを別途判定するようにしてももちろんよい。
【0032】
始動検出回路5は、セルモータにより回されていたエンジンが始動したことを検出し、後述する主制御回路6で処理可能な信号にして送出する始動検出回路である。この始動検出回路は、エンジンの始動により自動車の発電機が発電を始めた場合にその発電した電圧そのものを検出するか、その発電した電圧によるバッテリー電圧の上昇を検出すること等の電圧値の変化で始動を検出する回路である。そして、係るバッテリー電圧の上昇により判断する場合には、電圧センサ3の検出出力に基づいて判断することができる。さらに、この始動検出回路は、上記のように電圧の変化によるものに限らず、各種の構造を採ることができるのはもちろんである。
【0033】
主制御回路6は、エンジン始動命令を受け取ったならば、その時の電圧センサ3から与えられるバッテリー電圧と、温度センサ2から与えられる周囲の温度に基づいて、所定のエンジン始動処理を行う。すなわち、まず、バッテリー電圧が正常な範囲にあるか否か確認して、正常な値でなければエンジン始動処理を中止して、バッテリーを過放電から保護する。また、バッテリー電圧が正常な範囲内にある場合には、バッテリー電圧と温度に基づいて始動時間を決定し、その決定した始動時間だけ通電し、セルモータを回転させる。さらに、始動検出回路5の検出出力を受け、エンジンが始動できなかった場合には、再度始動処理(リトライ)を行う。さらに、本形態では、実際の使用状況に合わせて、記憶装置4に格納した始動時間情報を更新する機能も備えている。そして、具体的な機能としては、図4,図5に示すフローチャートのようになっている。そのフローチャート中、ステップ12までが、エンジン始動動作の機能を表わし、それ以降がエンジン始動後のデータ更新のフローチャートを表わしている。
【0034】
図4に示すように、受信機1を介してエンジンの起動信号を受信すると、無人エンジン始動装置のエンジン始動処理が開始されてエンジンの電源がオンされ始動待ちの状態になる。そして、まず電圧センサ3と温度センサ2で検出されたバッテリー電圧と、周囲の温度を取得する(ST1)。
【0035】
次いで、取得したバッテリー電圧が正常範囲か否かを判断する(ST2)。具体的には、駆動可能な最小電圧であるXv1よりも、取得したバッテリー電圧が小さいか否かを判断する。そして、小さい場合には、そのままセルを回してもバッテリーの電圧不足でエンジンが始動できないばかりか、バッテリーが過放電状態となり劣化するおそれもあるため、エンジン始動処理を中止する(ST3)。なお、エラー通知機能を設けておき、このように処理が中止された場合には、エラーの表示や携帯リモコン装置へのエラー送信を行うようにするとよい。
【0036】
一方、ステップ2の判断でバッテリー電圧が正常範囲にある場合には、ステップ4に飛び、今回のエンジン始動処理が初回であるか再処理(リトライ)であるかの判定を行う。なお、係る判定は、例えば判定用のフラグを設けておき、エンジン始動命令を受信したならば係るフラグを「0」にし、ステップ4以降の所定のタイミング(例えば、後述するステップ9の処理時や、ステップ10でNoとなり、ステップ1に戻るとき等)で、フラグを1に更新するように設定すると、係るフラグが「0」ならば初回の始動処理でフラグが「1」ならば2回目以降と簡単に判別できる。
【0037】
そして、判定結果が初回の場合は、ステップ5に飛び、記憶装置4にアクセスし、バッテリー電圧と温度に応じた始動時間Tを読み出す。次いで、そのようにして読み出した始動時間Tを今回のセルモータを回転させるスタータ回路の始動時間Tと決定し、係る時間Tを無人エンジン始動装置に設定する。
【0038】
その後、ステップ9に進み、ステップ6で設定した始動時間Tだけスタータ回路のセルモータを駆動させるべく通電を行う。これにより、エンジン始動が試みられる。そして、始動検出回路5の検出出力が有るか否かを判断し、始動を検出したらステップ11に進む。また、始動時間Tだけセルモータを駆動させても始動を検出しない場合には、ステップ1に戻って再始動(リトライ)が行われる。なお、本形態では、再始動する都度温度とバッテリー電圧を取得するようにしているが、例えば始動開始から所定回数のリトライを行った場合でも、周囲の温度の変化はあまり大きくはならない場合が多いので、2回目以降はバッテリー電圧のみを測定するようにしてもよい。
【0039】
本形態ではリトライする都度、バッテリー電圧と周囲の温度を計測することにより、再始動する際の状況・状態に応じた始動時間の設定ができる。また、再始動処理時にも、毎回バッテリー電圧が正常か否かが判断されるため(ST2)、何回かリトライしてバッテリー電圧が最小駆動可能電圧以下に降下した場合には、リトライを停止し、バッテリーの保護を図るようにしている。換言すれば、バッテリー電圧が一定の基準より小さい値に低下しない限り、リトライは繰り返し行われるため、その時のバッテリーの劣化の状態に応じて(満充電状態であっても、劣化しているバッテリーほど、早く電圧が降下する)リトライ数が制限される。よって、リトライ数を固定にした場合の弊害である、リトライしすぎて過放電にしたり、バッテリーに余裕があるにもかかわらずエンジン始動処理を中止し、始動できる可能性を潰すおそれもなくなる。
【0040】
なお、バッテリー電圧に基づいて予めリトライ数を変更設定する考えもあるが(もちろん本発明においてそれを実行してもよい)、上記したように、バッテリー電圧が降下する際の特性・カーブはバッテリーの劣化が進むほど同一の消費量であっても早く低下するので、初回に計測したバッテリー電圧に基づいてリトライ数を決定すると、程度は異なるもののやはり上記のリトライ数の固定と同様の問題を生じる。これに対し、本形態のようにバッテリー電圧をその都度見ることにより、バッテリーの劣化の状態に関係なく最適なリトライ数を確保できる。
【0041】
また、上記のようにステップ10からステップ1に戻るルートをとった場合、始動処理が2回目以降であるので、ステップ4の分岐判断でステップ7に飛ぶ。そして、ステップ5と同様に記憶装置4にアクセスし、その時のバッテリー電圧と検出温度に応じた始動時間Tを読み出す。ところで、前回の始動処理で始動できないということは、それまでに決定した始動時間Tでは始動できなかったため、同一の時間だけ通電しても始動しない可能性の方が高い。そこで、始動時間Tの更新を行う。つまり、ステップ7で取得した始動時間Tに予め定めた基準時間ΔTを加算した値を新たな始動時間Tに決定する(ST8)。なお、本形態では、係る基準時間ΔTは、温度やバッテリー電圧並びにリトライ回数などに関係なく一定の値をとるようにしたが、各条件の変更に応じて加算するΔTの値も変更するようにしてもよい。そして、係る更新した新たな始動時間Tに基づいてセルモータを駆動することになる(ST9)。
【0042】
上記のようにして、始動時間を長くしつつリトライを繰り返すことにより、バッテリー等に無理な負荷を与えることなくエンジンの始動を図る。そして、エンジンの始動を検出した場合、上記したようにステップ10の分岐判断でステップ11に飛び、その時の実際の始動時間T′を測定する(ST11)。この始動時間T′の測定は、例えばセルモータを駆動開始(通電開始)時は、主制御回路6はわかっているので、その時から始動検出回路5より検出信号を受け取るまでの時間を計測することにより簡単に求められる。
【0043】
その後、エンジンを始動させるためのスタータ回路の動作を停止させる(ST12)。つまり、本形態では、エンジンが始動した場合には、設定した始動時間Tが経過する前であっても、ステップ12に行き始動動作を停止することになり、バッテリーの無駄な消費並びにエンジンが始動した状態でセルモータを駆動し続けることにともなう各種系統への影響をなくすようにしている。但し、本発明では、必ずしもエンジンが始動した場合に始動処理を停止する必要はなく、設定した始動時間Tだけ駆動し続けてももちろんよい。
【0044】
このようにしてエンジンの始動が行われたならば、次に、記憶装置4への記憶データの更新処理を行う。すなわち、エンジン始動が、初期制御(1回)で行われたか、リトライで始動したかを判断する。この判断は、例えば上記したステップ4の判断で用いるフラグを利用するようにすると、ステップ10でNoとなったときにフラグを「1」にするようにすれば、係るフラグの「1/0」に基づいて判断できる。また、このステップ13の判断は、係るフラグを用いるものに限ることはなく、例えば、始動処理した際の温度とバッテリー電圧並びに始動時間Tはわかっているので、記憶装置4にアクセスしてその温度とバッテリー電圧に基づいた始動時間を抽出し、それが現在の始動時間Tと等しいか否かを判断する。そして、等しければ1回で始動でき、異なっていればステップ8でΔT加算されたことになるので、リトライによる始動成功と判断できる。このように各種の方法を採ることができる。
【0045】
そして、リトライで成功した場合には、ステップ14に飛び、記憶装置4に格納されている始動時間情報を+ΔT1だけシフトした新たな始動時間情報に更新する(図6参照)。そして、本形態では、すべての電圧帯に対する特性について一律にΔT1だけ平行移動するようにしている。
【0046】
一方、1回目でエンジン始動された場合には、ステップ15に飛び、記憶されたデータの始動時間Tと実際の始動時間T’との差が1秒より大きいか否かの判断を行う。そして、1秒より小さければなにもせずに終了する。また、1秒より大きければ、ステップ16に飛び、上記したステップ14とは逆にすべての電圧帯に対する特性について−ΔT2だけシフトした新たな始動時間情報を記憶装置4に更新データとして記憶する(図7参照)。
【0047】
なお、上記した始動時間情報を更新する際のシフト量をΔT1と−ΔT2としたが、それらは同じでも異なっていてもよく、さらには、ステップ8にて加算した基準時間ΔTと同じであっても異なっていてもよい。
【0048】
上記のようにして、自動車のエンジンの始動時に、エンジンのかかりが悪い場合には、始動時間をバッテリーにダメージを与えないようにして長くし、エンジンのかかりが良い時には、始動時間を短くできるので、エンジンの始動が順調に行われ、自動車の始動系に損傷を与えない無人エンジン始動装置を、自動車との困難な接続を必要とせずに提供することができる。
【0049】
また、上記した実施の形態では、リモコンによる遠隔操作による始動装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限ることはなくタイマー式のエンジン始動装置でもよい。その場合には、受信機1がなくなり、タイマーにより予めセットされた時間がきたならば図4,図5に示すフローチャートを主制御回路6が実行するようにすればよい。
【0050】
さらにまた、上記した実施の形態では、温度とバッテリー電圧に基づいて始動時間を決定したが、温度にのみ基づいて始動時間を決定するものでもよい。その場合には、図3に示す記憶装置4に格納するデータは、電圧に対するパラメータがなくなるので、適当な1本の線となる。
【0051】
また、そのように温度に基づいて始動時間を決定するようにした場合には、バッテリー電圧に基づく始動処理停止処理はできなくなるので、予め定めたリトライ数(温度による調整可能)に基づいて処理するようになる。なお、バッテリー電圧と温度に基づいて行う上記した実施の形態においても、バッテリー電圧による始動中止の判断を行わず、予め定めたリトライ数(温度及びまたはバッテリー電圧による調整可能)による制限を設けるようにしてもよい。
【0052】
さらにまた、リトライ時における加算する基準時間は、上記した実施の形態における基準時間ΔTと同じでもよいし、電圧降下を考慮して長めに設定してもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車の温度、或いはその温度とバッテリー電圧を検出して適した始動時間を得ることができるので、自動車のエンジン始動が順調に行うことができる。しかも、自動車の始動系に損傷を与えることもなく、また、温度検出手段は始動装置の周囲の温度を測定するものでよいので始動装置と一体に構成することができ自動車との困難な接続を必要としないので、設置が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る無人エンジン始動装置の好適な一実施の形態の全体の構成図である。
【図2】図1に示す装置のリレー接点と自動車の始動回路系の関係を示す回路図である。
【図3】記憶される始動時間と温度と電圧の関係を示す図である。
【図4】主制御回路の機能を示すフローチャート(その1)である。
【図5】主制御回路の機能を示すフローチャート(その2)である。
【図6】エンジン始動の再始動(リトライ)時の始動時間のシフトを説明する図である。
【図7】実際のエンジン始動が記憶された始動時間より早い場合の始動時間のシフトを説明する図である。
【符号の説明】
1 受信機
2 温度センサ
3 電圧センサ
4 記憶装置
5 始動検出回路
6 主制御回路
7 リレー制御回路
8 ACCリレー
9 IGリレー
10 STリレー
13 イグニッションキースイッチ
14 バッテリー電源

Claims (6)

  1. 自動車のエンジン始動の動作を制御する回路にエンジン始動処理を行なわせる主制御回路備えた無人エンジン始動装置において、
    その無人エンジン始動装置の周囲の温度を検出するための温度検出手段と、
    温度と始動時間を関連づけた始動時間情報を記憶する記憶手段を備え、
    前記主制御回路は、始動命令信号を受信した際の前記温度検出手段の出力と前記記憶手段にアクセスして得た始動時間情報に基づいて始動時間を決定し、その決定した始動時間によりエンジン始動処理を行い、前記決定した始動時間でエンジン始動ができない場合、所定の基準時間だけ加算して新たな始動時間を決定し、その決定した始動時間によりエンジン始動処理を行うようにし、
    かつ、前記新たな始動時間でエンジン始動が成功した場合に、前記新たな始動時間に基づいて、前記記憶手段に記憶された始動時間情報の変更を行う機能を備えたことを特徴とする無人エンジン始動装置。
  2. 1回の始動処理でエンジン始動が成功した場合に、前記記憶手段に記憶された始動時間情報の時間を短くするような更新を行う機能をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の無人エンジン始動装置。
  3. 前記自動車のバッテリー電圧を検出するバッテリー電圧検出手段をさらに備え、前記始動時間の決定は、前記無人エンジン始動装置の周囲の温度とバッテリー電圧に基づいて行うようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の無人エンジン始動装置。
  4. 前記主制御回路は、前記決定した始動時間でエンジン始動ができない場合、少なくとも再度バッテリー電圧を測定し、得られたバッテリー電圧と前記無人エンジン始動装置の周囲の温度に応じた始動時間に対し、さらに所定の時間だけ加算して新たな始動時間を決定し、その決定した始動時間によりエンジン始動処理を行う機能を備えたことを特徴とする請求項3に記載の無人エンジン始動装置。
  5. 前記バッテリー電圧検出手段にて検出したバッテリー電圧に基づいてバッテリーが正常か異常かを判断し、異常の場合には始動処理を中止する機能を備えたことを特徴とする請求項3または4に記載の無人エンジン始動装置。
  6. エンジンが始動を確認した場合に、始動処理を停止する機能をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の無人エンジン始動装置。
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