JP4058629B2 - 光ファイバアレイ用基板の製造方法 - Google Patents

光ファイバアレイ用基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数本の光ファイバを接続する光デバイスに用いられるものであり、複数本の光ファイバを収容して位置決めするための溝部が形成されている光ファイバアレイ用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信網の大容量化及び高速化の要求が高まり、光ファイバアレイ型の光デバイスが注目されている。一般に、このような複数本の光ファイバのアライメントには直線状のV溝を有する基板が用いられており、その作製には、板状材料の研削・研磨加工、ガラス材料やプラスチック材料のプレス加工、またはシリコン単結晶板状材料の異方性エッチング加工等の方法により作製されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−13913号公報(第3−5頁、第2−3図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の研削・研磨加工方法により光ファイバアレイ用基板に要求される厳しい寸法精度を満足するためには、高い角度精度のV溝を一本ずつ精密に研削し、互いのV溝を所要の間隔及び高さに仕上げる必要があるので、加工工数が多くかつ煩雑であり、良品率が上がらずコスト高になるという問題がある。
【0005】
また、上記の研削・研磨加工方法で作製された光ファイバアレイ用基板の場合、直線状のV溝の表面が粗くなること、V溝の形状が非常にシャープになり過ぎるため光ファイバを装着する際に光ファイバを傷つけること、光ファイバアレイ用基板自身にも傷や欠けが発生しやすく、そのため抗折強度が低下して折れる虞等が生じる。その上、労力をかけて仕上がったV溝を、加工中やその後の洗浄工程中に傷つけてしまう場合もあり、さらには、V溝の底部及び頂上部に研削工程等でクラックが入り、抗折強度が小さくなっており、光ファイバアレイ用基板を取り扱う場合には、しばしば破損し、歩留まりの低下により生産効率が低く、大量生産に不適であるという問題もある。
【0006】
また、ガラス材料やプラスチック材料のプレス加工方法により作製された光ファイバアレイ用基板は、そのままでは寸法公差が大容量で高速の光通信に使用するための規格を満たさず、所定の寸法公差に入るまでV溝を精密研磨仕上げする必要がありコスト削減が不十分であるという問題がある。
【0007】
さらに、シリコン単結晶板状材料の異方性エッチング加工方法により作製された光ファイバアレイ用基板は、材料そのものが高価な上に、加工設備も高価であり、その上、加工に要する時間も長くなるので、工業的量産には不適であるという問題がある。
【0008】
さらに、図8(A)に示すように、従来の光ファイバアレイ用基板1は、光ファイバ固定用V溝2のうち、外側のV溝2a、2bを形成する外側の山部2d、2eが内側の山部2cと形状が大きく異なるので、光ファイバアレイ用基板1に熱硬化性接着剤を使用して光ファイバ4を固着する際や、光ファイバアレイとなった後に、外側の光ファイバ4a、4bと内側の光ファイバ4cとでV溝2内に支持されている山部2d、2eと山部2cとの熱容量の差により、熱履歴に差が生じ、光ファイバアレイの信頼性が劣る要因になるという問題がある。
【0009】
さらに、 図8(B)に示すように、従来の光ファイバアレイ用基板1では、光ファイバ4を板5で押さえて接着剤6で固定する際、接着剤の量が少ない場合は、すべての光ファイバを固定するのに接着剤6がいき渡らず全ての光ファイバ4が完全に固定されないという問題点がある。逆に接着剤6の量が多過ぎる場合は、図8(C)に示すように、基板1の側面から接着剤6がはみ出してしまい、所定の寸法を満たすために、はみ出した接着剤6aを後に拭き取るか光ファイバアレイ用基板1の側面を研磨しなければならないといった手間のかかる作業を要するため、接着剤量を厳しく管理しなければならないという問題点がある。
【0010】
また、特許文献1には、ガラス母材を加熱・軟化させて1/10の寸法に線引き(延伸成形と同じ意味)する光ファイバアレイ用基板の作製方法が記載されているが、実際には延伸成形の際に母材を軟化変形させるので、形状の維持及び寸法精度の制御が困難であり、V溝の形状が変形し、特に、外側のV溝の形状が大きく変形する他、それぞれのV溝の高さにばらつきが生じて一様にならず、高い精度が要求される用途に用いられる光ファイバアレイ用基板としては使用に耐えないものである。具体的には、従来の延伸成形方法により成形される基板は、V溝を形成した母材の表面が加熱されて軟化するときに若干引き延ばされ、その中央部分が数μm凹状に変形する。この変形によって中央部のV溝が、周辺部のV溝に対して高さが数μm低くなり、このようなV溝に光ファイバを並べると、光ファイバのコア中心の高さが数μmばらつくことになるので、高精度のV溝基板を作製が極めて困難であるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、高速大容量光通信用途に対応可能な高精度を有し、かつ装着される光ファイバにダメージを与えることがない光ファイバアレイ用基板生産効率が高く大量生産するために適した光ファイバアレイ用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、ガラス、又は非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなり、複数の光ファイバ固定用の溝部が形成されている光ファイバアレイ用基板であって、前記基板の溝部に平行な側面の断面形状が凸R形であることを特徴とする。
【0013】
本発明で基板の側面の断面形状が凸R形であるとは、連続的で不規則な凹み等がないR状の凸形であれば使用可能であり、寸法管理の便宜上、部分円柱面等が適している。このように基板の側面の断面形状が凸R形とすることで、約90°の角張ったコーナーがなくなることから、応力集中部分がなくなり、基板の抗折強度が向上する。また、同様に取り扱い時にぶつけたり、落とした場合でもカケやクラックが発生し難くなる。また、コーナー部分のカケやキズによる不良の発生も激減し、光デバイスを組み立てる際の歩留まりを向上させることができる。
【0014】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、基板の内部に前記溝部に略平行な孔部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明は、基板の内部に溝部に略平行な孔部を有することで、光デバイスを組み上げる際に、この孔部にガイドピンを挿入させることや、接着剤、半田等を嵌入させることで、相手側の光ファイバアレイ用基板や導波路に対して最小の掴み代で容易かつ強固に組み付けることができる。さらに光ファイバを熱硬化型接着剤等で接着硬化させる際に、光ファイバアレイ用基板全体の温度の均質化が容易となり、接着剤硬化時の応力が光ファイバの一部に集中することもなく、光学特性を劣化させることもない。
【0016】
本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板に設ける孔部としては、略楕円形の孔、略円形の孔、または略円形の複数個の孔等が使用可能であり、本体を貫通する断面積がほぼ一定の孔部であることが好ましい。
【0017】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板では、孔部の断面形状が略楕円形等であると、光ファイバを熱硬化型接着剤で接着硬化させる際、基板全体の温度の均質化がさらに計られ、光ファイバの一部に接着剤硬化時の応力集中がなくなり、光学特性を劣化させることもない。
【0018】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板では、孔部の断面形状が略円形であり、複数の該孔部を有することで、光デバイスを組み上げる際に、それぞれの孔部に断面形状が円形で所定直径のガイドピンを挿入することで、相手側の光ファイバアレイ用基板や導波路に対して容易かつ安定して正確に組み付けることができる。
【0019】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、光ファイバ固定用の外側の溝部を形成する外側の山部の少なくとも光ファイバとの接点より先端側が、内側の山部の光ファイバとの接点より先端側と略同形状であることを特徴とする。
【0020】
光ファイバ固定用の外側の溝部を形成する外側の山部の上側が内側の山部の上側とが異なる高さである場合や、前記光ファイバ固定用の外側の溝部を形成する外側の山部の外側にある底部の高さが溝部を形成する稜線と光ファイバとの接点の高さより低い位置にない場合には、光ファイバと溝部との接点よりも上の部分における外側の山部の形状が内側の山部の形状と異なり、光ファイバアレイ用基板に熱硬化性接着剤を使用して光ファイバを固着する際や、光ファイバアレイとなった後に、外側の光ファイバと内側の光ファイバとで溝内に支持されている山部の熱容量の差により熱履歴に差が生じ、光ファイバアレイの信頼性が劣る要因になる。本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板では、光ファイバ固定用の外側の溝部を形成する外側の山部の上側が内側の山部の上側とほぼ同じ高さに位置し、前記光ファイバ固定用の外側の溝部を形成する外側の山部の外側にある底部の高さが溝部を形成する稜線と光ファイバとの接点の高さより低い位置にあるので作製した光ファイバアレイは溝内に支持されている外側の光ファイバと内側の光ファイバとの間で山部の熱容量の差による熱履歴の差が大きく生じることがない。
【0021】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は光ファイバ固定用の外側の溝部を形成する外側の山部が内側の山部と略同形状であるので、作製した光ファイバアレイは溝内に支持されている外側の光ファイバと内側の光ファイバとの間で山部の熱容量の差による熱履歴の差がほとんど生じることがない。
【0022】
さらに、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、前記外側の山部の外側に、所定容積の溝部を設けているので、その溝部が光ファイバ固定用の溝部の外側に光ファイバを固着する際に用いる接着剤の溜まりしろとなり、光ファイバを接着剤で固着させる際、接着剤量が少々多くなっても光ファイバアレイ用基板の側面から接着剤がはみ出る心配がなく、接着剤量を厳しく管理する必要がない。従って接着固定させる作業が容易になり、歩留まりを上げることができる。
【0023】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、溝部を形成する山部の頂上が平面であることを特徴とする。
【0024】
光ファイバを装着して位置決めするための光ファイバ固定用溝部が形成されている光ファイバアレイ用基板の山部の頂上が平面であるので、溝部に光ファイバを装着するときや光ファイバアレイ用基板の端面を研磨するときに固定用溝の山部に欠け等の欠陥が発生することがなく、さらには、欠けによって発生する微細な破片の生成もなくなる。
【0025】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、山部の頂上と溝部に装着された光ファイバの中心を結ぶ線との距離が52.5μm以内であることを特徴とする。
【0026】
石英系光ファイバの直径は125μmであり、山部の頂上が溝部に装着された光ファイバの中心を結ぶ線から上方向に52.5μmを超える距離となる場合は、山部の頂上から石英系光ファイバの外周が山部の頂上よりも10μm未満の突出または溝部中に位置するので、溝部に装着され固定される光ファイバの高さを一定に保持するため上から押し当てる平面板の表面粗さや平面度によっては、光ファイバを溝部の側面に押し当てて固定することができなくなり、結果として光ファイバの高さにばらつきが発生することがある(後述の図4を参照)。他方、山部の頂上が溝部に装着された光ファイバの中心を結ぶ線から下方向に52.5μmを超える距離となる場合は、直径が125μmである石英系光ファイバの外周が溝部に10μm未満しか嵌入しておらず、石英系光ファイバに対して溝部が浅くなりすぎて溝部に光ファイバを装着して固定するときに光ファイバがV溝に収まらずに外れてしまう可能性が高くなる。従って、光ファイバをV溝に収容する上で、山部の頂上が溝部に装着された光ファイバの中心を結ぶ線から下方向に約40μm以内であることが好ましい。このように本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板では、光ファイバを溝部に装着して安定して固定する上で、山部の頂上と溝部に装着された光ファイバの中心を結ぶ線との距離が52.5μm以内であることが重要である。また、光ファイバの中心を結ぶ線と下方向の距離は、40μm以内であることが好ましい。
【0027】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、ガラス、又は非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなることが重要である。ガラス、又は非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなる光ファイバアレイ用基板は、光ファイバと研磨特性が近いので、光ファイバを固着した後に、光ファイバの端面を容易に高精度に研磨仕上げすることができる。また、紫外線等に対して透明なガラスからなる光ファイバアレイ用基板は、V溝に光硬化性樹脂を塗布して光ファイバを配置し、光ファイバアレイ用基板を透過させて紫外線等を照射させることにより、光ファイバを固着させることが可能である。
【0028】
ファイバアレイ用基板は、母材を延伸成形することより作製されてなることが好ましい。本発明は、切削等によって直線状の溝部を加工した母材を熱軟化させ、延伸成形させることで直線状の溝部が熱軟化し、光ファイバアレイ用基板に傷や欠けの発生が少なく折れ難くなる。さらに光ファイバを光ファイバアレイ用基板に装着する際に、光ファイバにも傷がつき難い。
【0029】
これは、成形される光ファイバアレイ用基板に比べて数十倍以上の大きな断面寸法の母材を延伸成形するため、予め母材に施す直線状の溝部に要求される寸法精度が光ファイバアレイ用基板に比べて数十倍緩和され、特別な加工装置等を使用することなく簡単に母材を加工することができるので、加工にかかる手間やコストを著しく低減することができる。さらに延伸成形時に縮小比を変化させることで、直線状の溝部間隔を自在に変えることもできる。
【0030】
また、延伸成形によって作製された光ファイバアレイ用基板の表面は、ファイヤポリッシュされた滑らかな表面であり、後に光ファイバを装着するときに、光ファイバ表面に傷がつき難く、さらに基板表面に切削等で発生した傷もなくなり、光ファイバアレイ用基板自体が折れるなどのトラブルもほとんどなくなる。
【0031】
また、母材から延伸成形して作製された本発明の光ファイバアレイ用基板は、電気炉内で熱軟化し引き延ばされ、その後、急冷されるため、表面に10MPa程度の応力値を有する圧縮応力層が形成されている。そのために強度が増し、光ファイバが溝部分を繰り返し移動する場合でも十分な強度を有している。
【0032】
このように圧縮応力層により機械強度を強化させることによって、たとえ光ファイバアレイ用基板が多少のキズ等を有するものであっても、激しい熱ショックがかかった際や、取り扱い時に外力がかかった際にも破損が起こらず、欠けることもなく、容易に取り扱うことが可能となる。
【0033】
母材から延伸成形して作製された好ましい光ファイバアレイ用基板は、基板内部にある前記溝部に略平行な孔部の大きさが、溝部が形成されている一面に垂直方向(高さ)の10%以上となっているものである。
【0034】
10%未満の場合は、孔部内を高圧にしても延伸成形時に溝部を有する一面の凹みを十分に解消することができない。
【0035】
より好ましい光ファイバアレイ用基板は、基板内部にある溝部に略平行な孔部の内径は、基板断面で溝部が形成されている表面に水平方向の大きさが、複数の溝部が形成されている幅寸法の20%以上となっているものである。
【0036】
基板断面において、孔部の内径は溝部を有する一面に平行で溝部の幅方向において、複数の溝部全体の幅寸法(例えば、0.250mmピッチの8芯光ファイバ用の場合、0.250×8=2.0mm)の20%以上が必要になる。また、孔部が複数個の場合は、溝部の幅方向と平行なそれらの内径の合計が20%以上である。20%未満の場合、溝部を有する一面の十分な範囲に亘って凹みを補正することができず、結果として溝部の高さのばらつきを小さくすることができない。
【0037】
本発明に係る光ファイバアレイ用基板の製造方法は、一面に複数の直線状の母材溝部が設けられたガラス、又は結晶化ガラスからなる母材を準備し、該母材を送り込み手段の固定部に固定し、該母材を加熱炉に送り込むことにより母材を所定の温度に加熱し、該母材の下方を引張手段で延伸成形して母材と略相似形の成形体を得、該成形体を所定長さに切断する光ファイバアレイ用基板の製造方法において、前記母材溝部に平行な側面の断面形状が凸R形である母材を準備することを特徴とする。
【0038】
本発明で母材の側面の断面形状が凸R形であるとは、連続的で不規則な凹み等がないR状の凸形であれば使用可能であり、寸法管理の便宜上、部分円柱面等が適している。延伸成形を行う際に、母材の側面が平面であると不均一に加熱されることにより平面内に大きい温度分布が生じて成形体の断面形状が変形する。そこでこのように母材側面の断面形状を凸R形とすることで、母材の側面が均一に加熱され易くなり、軟化した際に表面張力が母材の側面に働いた場合でも、成形体の精密な寸法安定化が可能となり先記の高精度な基板を高い効率で製造することができる。また、延伸成形を行う際に、母材側面の断面形状を凸R形とすることで、成形体の側面間の最大寸法を管理することで、寸法管理が可能となり先記の高精度な基板を高い効率で製造することができる。さらに、先記の基板と同様に約90°の角張ったコーナーがなくなることから、応力集中部分がなくなり、母材の抗折強度が向上する。また、同様に取り扱い時にぶつけたり、落とした場合でもカケやクラックが発生し難くなる。また、コーナー部分のカケやキズによる不良の発生も激減し、母材当たりの延伸成形される基板の歩留まりを向上させることができる。
【0039】
また、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法は、内部に前記母材溝部に略平行な母材孔部を有する母材を準備することを特徴とする。
【0040】
本発明の製造方法は、予め延伸成形される母材の内部に、長さ方向に沿った母材孔部を形成しておき、延伸成形により本発明の光ファイバアレイ基板を効率的に作製することができるものである。本発明では、母材内部に断面が略円形等の母材孔部を設けてあることが重要であり、断面が略楕円、断面が略円または略円の複数個の母材孔部であれば使用可能であり、一端に開口して母材本体内で断面積がほぼ一定の母材孔部であることが光ファイバアレイ用基板の孔部の寸法制御する上で好ましい。
【0041】
また、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法は、延伸成形時に母材孔部の内径を変化させることを特徴とし、延伸成形時に母材孔部内の気圧を制御することが好ましい。
【0042】
予め内部に断面積がほぼ一定の貫通する母材孔部を有する母材を準備し、延伸成形時に母材孔部を任意の大きさに変化させることで、溝部が形成された表面の凹みを修正することができる。特に、延伸成形中に母材孔部内を大気圧よりも高圧に加圧することで、内孔径が大きくなり、溝部を有する一面の孔部に直線距離で最も近い部分を中心にして凹みを修正することができる。さらに減圧することで逆に内孔径を小さくすることもできる。このため、光ファイバアレイ基板の高さを自在に変えることができ、溝部の高さのばらつきを小さくすることができ、寸法精度のよい光ファイバアレイ基板を作製することができる。
【0043】
また、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法は、一面に設けられ成形後に光ファイバ固定用となる外側の溝部を形成する外側の山部の少なくとも光ファイバとの接点より先端側が、内側の山部の光ファイバとの接点より先端側と略同形状である母材を延伸成形するので、光ファイバ固定用の外側の溝部が変形することなく中央部の溝部と同様に高い精度が要求される用途に耐え得る光ファイバアレイ用基板が得られる。また、母材の一面に設けられ成形後に光ファイバ固定用となる外側の溝部を形成する外側の山部が、内側の山部と略同形状であることが好ましい。
【0044】
さらに、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法は、延伸成形時の母材断面に対して成形体断面の縮小比を変化させることにより光ファイバ固定用の溝部の幅を任意に変化させるので、光ファイバアレイ用基板の溝部の間隔を変えることができ、装着される光ファイバに要求される様々な間隔についても金型等の新しい設備が必要なく、簡単に早く安価に作製することができる。また、延伸成形時に母材の温度を調整して粘度を制御することにより、溝部の形状及び間隔を微小に変化させることもできる。
【0045】
本発明の製造方法では、光ファイバアレイ用基板に比べて断面積が数十倍以上の大きな寸法の母材を延伸成形するので、予め母材に施す直線状の溝部に要求される寸法精度が光ファイバアレイ用基板に比べて数十倍緩和され、特別な加工装置等を使用することなく簡単に加工することができるので、加工にかかる手間やコストを低減することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板の一例を、図を用いて説明する。
【0047】
図1は本発明に係る光ファイバアレイ用基板の説明図であって、10は透明なホウケイ酸ガラスからなり、8本の光ファイバを整列させて固定する光ファイバアレイ用基板を、10a、10bは断面形状が凸R形の側面を、11は光ファイバアレイ用基板10の内部に形成された孔部を、12は光ファイバ固定用の8本のV溝をそれぞれ示している。
【0048】
光ファイバアレイ用基板10は、間隔が0.250mmで8個のV溝12が設けてあり、図1(A)、(B)に示すように、側面10a、10bは、光ファイバアレイ用基板10の中心に曲率中心Mが位置する部分円柱面である。また、図1(C)のように側面10a、10bのそれぞれの曲率中心Mが光ファイバアレイ用基板10内に位置するもの、図1(D)のように側面10a、10bのそれぞれの曲率中心Mが光ファイバアレイ用基板10外に位置するもの等が使用可能であり、図示は省略するが、曲率が単一のR面だけでなく複合R面でもよい。
【0049】
また、V溝12に略平行な孔部11として、図1(B)のような断面形状が略楕円形のもの、図1(C)のような溝部に略平行な断面形状が略円形の3個の孔部をV溝12下方の中央部分に集中して配設したもの、図1(D)のような溝部に略平行な断面形状が略円形の3個の孔部をV溝12下方の中央部に1個と両端にそれぞれ一つずつ配設したものがある。
【0050】
図1(B)、(C)は共に延伸成形される際に孔部11を加圧することによりV溝12を有する一面が修正されて実質的に凹みが形成されておらず、また、図1(D)は延伸成形される際に中央部の孔部を加圧し、両端の2個の孔部をそれぞれ減圧することによりV溝12を有する一面が修正されているものである。測定は光ファイバアレイ用基板10の端面が測定用顕微鏡に対して真正面から観測できるよう固定し、CCDカメラを備えた顕微鏡を介して見た画面上で、光ファイバを固定する直線状のV溝12の形状を画像認識させて、各直線状V溝12間の間隔を測定した。その結果、V溝12間の間隔は図1(B)〜(D)共に、250μm±0.3μmであり、V溝12の高さのばらつきは図1(B)が±0.6μm以内。図1(C)が±0.5μm以内。図1(D)が±0.5μm以内であった。
【0051】
また、他の光ファイバアレイ用基板20は、図2(A)に示すように、側面20a、20bは、光ファイバアレイ用基板20の中心に曲率中心が位置する部分円筒面であり、上面にV溝22と、V溝22を構成する頂上に平面22bが形成された山部22aと、V溝22の外側に形成された側溝部23とからなり、外側の山部22c、22dの頂点は内側の山部22aの頂点と同じ高さにあり、図1(B)の拡大図で示すように、側溝部23の底部23aの高さはV溝22の稜線と光ファイバ14との接点22eよりも低い位置にある。また、V溝22に略平行な断面形状が略円形の孔部21が設けられている。
【0052】
図2(B)に示すように、光ファイバアレイ用基板20の側面寸法の測定を行った。測定方法は光ファイバアレイ用基板20の端面が測定用顕微鏡に対して真正面から観測できるよう固定し、CCDカメラを備えた顕微鏡を介して見た画面上で、光ファイバ14を固定する直線状のV溝22の形状を画像認識させて、各直線状V溝22の谷の角度、及びV溝22間の間隔を測定した。その結果、V溝22の谷の角度は96°で、V溝22間の間隔は127μm±0.3μm、V溝22の高さのばらつきは±0.5μm以内であった。また、側溝部23は、谷の角度は98°であった。
【0053】
また、光ファイバアレイ用基板20は、図2(C)に示すように、断面を約250倍に拡大して見たところ、V溝22の山部22a頂上に形成された平面22bの長さは約10μmであった。
【0054】
また、他の光ファイバアレイ用基板30は、図3(A)に示すように、側面30a、30bは、光ファイバアレイ用基板30の中心に曲率中心が位置する部分円筒面であり、上面にV溝32と、V溝32を構成する頂上に平面32bが形成された山部32aと、V溝32の外側に形成された側溝部33とからなり、外側の山部32c、32dの形状は内側の山部32aと略同じ寸法形状に形成されているものである。また、V溝32に略平行な断面形状が略円形の孔部31が設けられている。
【0055】
図3(B)に示すように、光ファイバアレイ用基板30の側面寸法の測定を行った。測定方法は光ファイバアレイ用基板30の端面が測定用顕微鏡に対して真正面から観測できるよう固定し、CCDカメラを備えた顕微鏡を介して見た画面上で、光ファイバ14を固定する直線状のV溝32の形状を画像認識させて、各直線状V溝32の谷の角度、及びV溝32間の間隔を測定した。その結果、V溝32の谷の角度は96°で、V溝32間の間隔は127μm±0.3μm、V溝32の高さのばらつきは0.5μm以内であった。また、側溝部33は、谷の角度は98°であった。
【0056】
また、光ファイバアレイ用基板30は、図3(C)に示すように、断面を約250倍に拡大して見たところ、V溝32の山部32a頂上に形成された平面32bの長さは約20μmであった。
【0057】
また、図4(A)に示すように、光ファイバアレイ用基板35は、V溝12間の間隔Pが127μm±0.3μmであり、V溝12に間隔Pで固定された光ファイバ14の中心14aを結ぶ線と山部12aの平面12bとの距離Lが52.5μm以内の20μmである。
【0058】
また、図4(B)に示すように、光ファイバアレイ用基板36は、V溝12の谷の角度が96°であり、V溝12の間隔Pが250μmのV溝12に固定された光ファイバ14の中心14aを結ぶ線と山部12aの平面12bとの距離Lが52.5μm以内の30μmである。
【0059】
次に、本発明に係る光ファイバアレイ用基板の製造方法の一例を、図を用いて説明する。
【0060】
発明者らは、本発明に係る光ファイバアレイ用基板の一例として、予めホウケイ酸ガラス製の円柱材を加工して、図5(A)に示すように部分円柱面である側面41a、41bを残して互いに平行な二つの平面41c、41dを形成したガラス板41を作製した。その後、一面41cに加工を施すことにより、図5(B)に示すように、一面42cに、成形後に光ファイバ固定用のV溝となる直線状で谷の角度が90°である8本の母材溝部42e及びその外側に母材側溝部42fの加工を施し、母材溝部42eに略平行な断面形状が略円形の母材孔部42dを設けた凸R形の側面42a、42bを有する母材42を準備した。
【0061】
次に、母材42を、図6に示すような延伸成形装置50に取り付けて、パイプ51から母材孔部42d内を加圧しながら電気炉52によって加熱し、電気炉52からでてきた延伸成形部42gを図示しない駆動ローラーで引っ張り、図示しないレーザー光によって延伸成形部42gの側面の直径を測定しながら一定の外径に制御することで、所定寸法の直線状の溝部を有する光ファイバアレイ用基板の断面を有する長尺体43を形成する。
【0062】
この延伸成形の時に、図7(A)、(B)に示すように、測定器60のレーザー光Lによって延伸成形部42gの側面の幅(部分円柱面の直径)Wを受光部の信号60aにより測定するが、延伸成形部42gの側面の断面形状が凸R形であり、特に部分円柱面であると、延伸成形中に延伸成形部42gが多少斜めになった場合でも、幅(部分円柱面の直径)Wが正確に測定されるため、幅(部分円柱面の直径)W寸法を正確に制御することで光ファイバアレイ用基板の寸法を正確に制御することができる。
【0063】
これに対して、図7(C)に示すように、断面形状が略矩形で延伸成形部42hの側面が平面の場合には、延伸成形中に延伸成形部42hが多少でも斜めになると、図7(D)に示すように、幅Wが大きくW+ΔWに変動するので、正確な寸法情報が得られず、制御が困難でなり、歩留まりが極端に低下する。
【0064】
その後、形成部をカッター53により長さ250mmに切断し成形体として長尺材43を得る。このようにして得られた長尺材43を所定の長さに精密切断することにより、先記の図2(A)に示すような光ファイバアレイ用基板20の作製を行った。
【0065】
このように作製した光ファイバアレイ用基板20のV溝12の表面粗さを測定したところ、表面粗さのRa値が、0.04μmであった。これは、熱軟化によって光ファイバアレイ用基板の表面がファイヤポリッシュされ、表面が滑らかになったことを示している。
【0066】
次に、光ファイバアレイ用基板の表面に急冷法(クエンチング)によって圧縮応力層を形成する場合、炉から出てきた所定の断面寸法・形状を有する光ファイバアレイ用基板用の長尺材43に冷風や冷媒を吹き付けて急冷することによりガラス表面に圧縮応力層を発生させる。
【0067】
また、イオン交換により強化する場合、約250mmの光ファイバアレイ用基板の長尺材をイオン交換槽内の約400°Cに保持されたKNO3の溶融塩中に約10時間浸漬する。その後、洗浄によりKNO3を除去し、機械強度として3点曲げによる抗折強度が未処理のものに比べて2倍以上に増加した光ファイバアレイ用基板長尺材を得る。このイオン交換処理では、ガラスを除冷温度よりも低い温度でガラス中のアルカリイオン(Na+)を、それよりもイオン半径の大きいアルカリイオン(K+)で置換することにより、ガラス表面に100MPa程度の圧縮応力層を発生させて実用強度を増大させることができる。
【0068】
次に、図6に示すように、延伸成形装置50の図示しない駆動ローラーの回転速度を変えることで、同じ母材42からV溝の間隔が127μmと250μmの2種類の光ファイバアレイ用基板35及び36を作製した。
【0069】
先記の図4(A)に示すような、V溝12間の間隔Pが127μm±0.3μmで山部12aの平面12b部分が10μm、V溝12に固定された光ファイバ14の高さのばらつきは±0.5μm以内である光ファイバアレイ用基板35を作製することができた。
【0070】
また、同じ母材32から、本発明に係る光ファイバアレイ用基板の他の例として、図4(B)に示すようなV溝12の谷の角度が96°で、V溝12の間隔Pが250μm±0.3μm、山部12aの平面12b部分が20μm、V溝12に固定された光ファイバ14の高さのばらつきは±0.5μm以内である光ファイバアレイ用基板36を作製することができた。
【0071】
次いで、本発明に係る他の実施の形態として、 表1に示す結晶化ガラスからなり、上記実施の形態と同様な寸法形状を有する母材を作製し、このような母材を用いて光ファイバアレイ用基板の作製を行った。
【0072】
【表1】
Figure 0004058629
【0073】
この場合も、上記実施の形態と同様なV溝の間隔が127μmと250μmである2種類の結晶化ガラス製の光ファイバアレイ用基板をV溝の間隔Pが250μm±0.3μm、V溝に固定された光ファイバの高さのばらつきが±0.5μm以内である高い寸法精度で作製することができた。また、結晶化ガラス製の光ファイバアレイ用基板は、ガラス製のものに比べて抗折強度が向上していたが、その研磨性は石英系光ファイバに近い優れたものであった。
【0074】
なお、上記実施の形態では、光ファイバ固定用の溝部の外側に側溝部を形成することにより外側の山部の形状を内側の山部と略同じ寸法に形成しているが、これに限らず、V溝の外側を全て平らに下げた形状としてもよい。また、谷の角度が90°であるV溝を有する母材から、V溝の谷の角度が98°及び96°の光ファイバアレイ用基板を作製しているが、光ファイバアレイ用基板のV溝の角度は90°や100°でもよく、また、光ファイバ固定用の溝部の断面形状もV溝に限らず、矩形状その他の形状でもよい。
【0075】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、ガラス、又は非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなり、複数の光ファイバ固定用の溝部が形成されている光ファイバアレイ用基板であって、前記基板の溝部に平行な側面の断面形状が凸R形であるので、角張ったコーナーがなくなることから、応力集中部分がなくなり、基板の抗折強度が向上する。また、同様に取り扱い時にぶつけたり、落としたりした場合でも、カケやクラックが発生し難くなる。また、コーナー部分のカケやキズによる不良の発生もなくなり、デバイスを組み立てる際の歩留まりを向上させることができる。
【0076】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、前記基板の内部に前記溝部に略平行な孔部を有するので、光デバイスを組み上げる際に、孔部にガイドピン等を挿入することで、相手側の光ファイバアレイ用基板や導波路に容易且つ安定して組み付けることができる。さらに光ファイバを熱硬化型接着剤等で接着硬化させる際に、基板全体の温度の均質化が容易となり、接着剤硬化時の応力が光ファイバの一部に集中することもなく、光学特性を劣化させることもないため、従来にない高い信頼性を有する光デバイスを作製することができる。
【0077】
発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、光ファイバ固定用の外側の溝部を形成する外側の山部の少なくとも光ファイバとの接点より先端側が、内側の山部の光ファイバとの接点より先端側と略同形状であり、好ましくは母材の一面に設けられ成形後に光ファイバ固定用となる外側の溝部を形成する外側の山部が、内側の山部と略同形状であるので、作製した光ファイバアレイは外側の光ファイバと内側の光ファイバとで溝内に支持されている山部の熱容量の差による熱履歴に差が大きく生じることがなく、光信号の安定性及び信頼性の高いものとなる。
【0078】
発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、側の山部の外側に、所定容積の溝部を設けたので、この溝部が光ファイバ固定用の溝部の外側に光ファイバを固着する際に用いる接着剤の溜まりしろとなり、光ファイバを接着剤で固着させる際、接着剤量が少々多くなっても光ファイバアレイ用基板の側面から接着剤がはみ出る心配がなく、接着剤量を厳しく管理する必要がない。従って接着固定させる作業が容易になり、歩留まりを上げることができる。
【0079】
本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、ガラス、又は非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなり、溝部を形成する山部の頂上が平面であるので、溝部に光ファイバを装着するときや光ファイバアレイ用基板の端面を研磨するときに固定用溝の山部に欠け等の欠陥が発生することがなく、欠けによって発生する微細な破片の生成もなくなる。
【0080】
本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は山部の頂上と溝部に装着された光ファイバの中心を結ぶ線との距離が52.5μm以内であるので、光ファイバを溝部に装着して安定して固定することが可能となる。
【0081】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、ガラス、又は非晶質ガラス中に結晶を析出させた結晶化ガラスからなるので、光ファイバの端面を容易に高精度に研磨仕上げすることができ、反射減衰量等の光学特性に優れた光ファイバアレイを作製することが可能となる。
【0082】
本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、母材を延伸成形することより作製されてなるので、切削によって直線状の溝部を加工した母材を熱軟化させ、延伸成形させることで直線状の溝部部分が熱軟化し、光ファイバアレイ用基板に傷や欠けの発生が少なく折れ難くなり、光ファイバを装着する際に、光ファイバに傷がつき難い。さらに、過去にない高い生産効率で、上記特性を備える光ファイバアレイ用基板が得られ安価となる。
【0083】
また、本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板は、表面に圧縮応力層が形成されてなるので、多少のキズ等を有するものであっても、激しい熱ショックがかかった際や、取り扱い時に外力がかかった際にも破損が起こらず、欠けることもなく、容易に取り扱うことが可能となり、信頼性が高くなる。
【0084】
以上のように、光ファイバを装着して各々位置決めする複数の直線状の溝部を有し、光ファイバを各々の溝部に装着した際に、光ファイバ相互のコア同士の間隔や高さにばらつきが生じず、光ファイバアレイ用基板に傷や欠けの発生が少なく折れ難くなり、厳しい要求寸法精度及び信頼性を満足することができる。
【0085】
本発明に係る光ファイバアレイ用基板の製造方法は、母材溝部に平行な側面の断面形状が凸R形である母材を準備するので、延伸成形時にレーザー光線等によって延伸成形部の凸R形側面の幅(直径)を測定しながら一定値に制御することで、所定寸法の直線状の溝部を有する光ファイバアレイ用基板の断面を有する延伸形成部を形成する。この時に側面が凸R形で延伸成形中に延伸形成部が多少斜めになった場合でも、幅(直径)が正確に測定されるため、正確に測定された幅(直径)寸法を制御することが可能となり、光ファイバアレイ用基板の断面を有する延伸形成部の寸法を正確に制御することができる。そのために高精度の光ファイバアレイ基板を大量かつ安価に作製することができる。
【0086】
また、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法は、内部に前記母材溝部に略平行な母材孔部を有する母材を準備して延伸成形するので、延伸成形時に孔部を任意の大きさに変化させることで、延伸成形によってV溝を有する面が熱軟化されるときに若干引き延ばされ、面の中央部分が数μm凹状に変形することを修正することができる。そのため、V溝の高さのばらつきを1μm以下におさえることができ、高精度な光ファイバアレイ用基板を作製することができる。
【0087】
また本発明に係る光ファイバアレイ用基板の製造方法は、一面に設けられ成形後に光ファイバ固定用となる外側の溝部を形成する外側の山部の少なくとも光ファイバとの接点より先端側が、内側の山部の光ファイバとの接点より先端側と略同形状である母材を延伸成形するので、光ファイバ固定用の外側の溝部形状が変形することなく中央部の溝部と同様であり、高い精度が要求される用途に耐え得る光ファイバアレイ用基板が再現性よく安定して得られる。
【0088】
さらに、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法は、延伸成形時の母材断面に対して成形体断面の縮小比を変化させることにより光ファイバ固定用の溝部の幅を任意に変化させるので、光ファイバアレイ用基板の溝部の間隔を変えることができ、装着される光ファイバに要求される様々な間隔についても金型等の新しい設備が必要なく、簡単に早く安価に作製することができる。
【0089】
また、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法は、延伸成形によって縮小されるので、母材に要求される寸法精度が緩和され、加工にかかる手間やコストを大幅に低減することができ、高精度な光ファイバアレイ用基板を短時間で大量に生産することが可能となる。
【0090】
以上のように、本発明の光ファイバアレイ用基板の製造方法によれば、高速大容量光通信用途に対応可能な高精度及び高強度を有し、かつ安価な光ファイバアレイを実現することができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本説明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板の説明図であって、(A)は基板の中心に曲率中心が位置する部分円筒面である光ファイバアレイ用基板の断面図、(B)は基板の中心に曲率中心が位置する部分円筒面であり、断面形状が略楕円の孔部をもつ光ファイバアレイ用基板の断面図、(C)は側面のそれぞれの曲率中心が基板内に位置し、V溝の中央付近に3個の断面形状が略円の孔部をもつ光ファイバアレイ用基板の断面図、(D)は側面のそれぞれの曲率中心が基板外に位置し、V溝の中央付近に1個、V溝の両端に一つずつの断面形状が略円の孔部をもつ光ファイバアレイ用基板の断面図。
【図2】 本発明の製造方法によって作製した他の光ファイバアレイ用基板の説明図であって、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は(B)のV溝部拡大写真。
【図3】 本発明の製造方法によって作製した他の光ファイバアレイ用基板の説明図であって、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は(B)のV溝部拡大写真。
【図4】 本発明の製造方法によって作製した光ファイバアレイ用基板の説明図であって、(A)はV溝の間隔Pが127μmの光ファイバアレイ用基板の説明図、(B)はV溝部間の間隔Pが250μmの光ファイバアレイ用基板の説明図。
【図5】 母材の説明図であって、(A)は母材の材料の説明図、(B)は母材の説明図。
【図6】 母材を延伸成形する説明図。
【図7】 母材から成形された延伸成形体の寸法測定の説明図。
【図8】 従来の光ファイバアレイ用基板の説明図。
【符号の説明】
10、20、30、35、36 光ファイバアレイ用基板
10a、10b、20a、20b、30a、30b 側面
11、21、31 孔部
12、22、32 V溝
12a、22a、32a 山部
22c、22d、32c、32d 外側の山部
12b、22b、32b 平面
14 光ファイバ
14a 光ファイバの中心
23、33 側溝部
41 ガラス板
41a、41b ガラス板の側面
41c、41d ガラス板の平面
42 母材
42a 母材の一面
42b、42c 母材の側面
42d 母材孔部
42e 母材溝部
42f 母材側溝部
42g、42h 延伸成形部
43 長尺材
50 延伸成形装置
51 パイプ
52 電気炉
53 カッター
60 測定器
60a 受光部の信号
L レーザー光

Claims (7)

  1. 一面に複数の直線状の母材溝部が設けられたガラス、又は結晶化ガラスからなる母材を準備し、該母材を送り込み手段の固定部に固定し、該母材を加熱炉に送り込むことにより母材を所定の温度に加熱し、該母材の下方を引張手段で延伸成形して母材と略相似形の成形体を得、該成形体を所定長さに切断する光ファイバアレイ用基板の製造方法において、前記母材溝部に平行な側面の断面形状が凸R形である母材を準備することを特徴とする光ファイバアレイ用基板の製造方法。
  2. 内部に前記母材溝部に略平行な母材孔部を有する母材を準備することを特徴とする請求項に記載の光ファイバアレイ用基板の製造方法。
  3. 延伸成形時に母材孔部の内径を変化させることを特徴とする請求項に記載の光ファイバアレイ用基板の製造方法。
  4. 延伸成形時に母材孔部内の気圧を制御することを特徴とする請求項に記載の光ファイバアレイ用基板の製造方法。
  5. 一面に設けられ成形後に光ファイバ固定用となる外側の溝部を形成する外側の山部の少なくとも光ファイバとの接点より先端側が、内側の山部の光ファイバとの接点より先端側と略同形状である母材を延伸成形することを特徴とする請求項からの何れかに記載の光ファイバアレイ用基板の製造方法。
  6. 一面に設けられ成形後に光ファイバ固定用となる外側の溝部を形成する外側の山部が内側の山部と略同形状である母材を延伸成形することを特徴とする請求項からの何れかに記載の光ファイバアレイ用基板の製造方法。
  7. 延伸成形時の母材断面に対して成形体断面の縮小比を変化させることにより光ファイバ固定用の溝部の幅を任意に変化させることを特徴とする請求項からの何れかに記載の光ファイバアレイ用基板の製造方法。
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