JP4060147B2 - 窯業系建築板並びにその印刷方法及び印刷ロール - Google Patents

窯業系建築板並びにその印刷方法及び印刷ロール Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,目地部によって区画した複数の意匠凸部にインク印刷を行った意匠模様を形成してなる窯業系建築板並びにその印刷方法及び印刷ロールに関する。
【0002】
【従来技術】
図14に示すごとく,建築物の外壁に施工する建築板9においては,例えば,施工した際に横方向に位置する横目地部922と,縦方向に位置する縦目地部923とにより区画した複数の意匠凸部921を有するものがある。そして,この複数の意匠凸部921には,種々のロール印刷を行って,建築板9が自然に近い深みのある外観や,高級感のある外観等を呈するよう工夫している。このような建築板9としては,例えば,特許第2995534号公報に示されたものがある。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の建築板9においては,ロール印刷によるインクの意匠模様901は,その印刷の容易さより,複数の意匠凸部921に跨って形成している。すなわち,上記意匠模様901は,複数の意匠凸部921の間を連続して形成されたものとなる。そのため,この建築板9は,印刷により製造したものとわかってしまうことがほとんどであり,上記複数の意匠凸部921が焼成レンガや,天然石等の外観意匠性に代表されるような自然な深みのある外観意匠性を呈するには不十分である。
【0004】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,インク印刷されたものとはわかり難く,焼成レンガや,天然石等の外観意匠性に代表されるような自然な深みのある外観意匠性を呈することができる窯業系建築板並びにその印刷方法及び印刷ロールを提供しようとするものである。
【0005】
【課題の解決手段】
第1の発明は、一方の端部から他方の端部まで連続して形成した連続目地部と、該連続目地部に交錯する方向に形成した交錯目地部とによって区画した複数の意匠凸部を有し、
該意匠凸部には、印刷ロールによるインク印刷を行った意匠模様を形成してなる窯業系建築板において、上記意匠凸部には、上記連続目地部に近接する端部まで上記意匠模様が形成してあり、
かつ、 該意匠模様は、 当該意匠凸部と上記連続目地部を介して隣り合う隣接意匠凸部までは連続して形成されてなく、上記印刷ロールは、その軸方向において、上記窯業系建築板における連続目地部を介して区画される複数の意匠凸部列に、それぞれインク印刷を行うための複数の印刷ロール領域に区画してあると共に、上記印刷ロール領域には、
これに隣接する隣接印刷ロール領域との境界線の近傍までインクを保持させると共に、
該インクにおける上記境界線の近傍の端部には、 当該インクが上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク端部を形成されたことを特徴とする窯業系建築板。(請求項1)
【0006】
本発明の窯業系建築板においては,上記意匠凸部とこれに上記連続目地部を介して隣接する隣接意匠凸部との間は,上記意匠模様が連続していない。そのため,上記意匠凸部と上記隣接意匠凸部とにより,外観意匠性が突如変化した,メリハリのある外観を呈することができる。
それ故,上記窯業系建築板は,インク印刷されたものとはわかり難く,焼成レンガや,天然石等の外観意匠性に代表されるような自然な深みのある外観意匠性を呈することができる。
【0007】
第2の発明は,一方の端部から他方の端部まで連続して形成した連続目地部と,該連続目地部に交錯する方向に形成した交錯目地部とによって区画した複数の意匠凸部を有し,該意匠凸部には,印刷ロールによるインク印刷を行った意匠模様を形成してなる窯業系建築板であって,
上記意匠凸部には,上記連続目地部に近接する端部まで上記意匠模様が形成してあり,かつ,該意匠模様は,当該意匠凸部と上記連続目地部を介して隣り合う隣接意匠凸部までは連続して形成されていない窯業系建築板の印刷方法において,
上記印刷ロールは,その軸方向において,上記窯業系建築板における連続目地部を介して区画される複数の意匠凸部列に,それぞれインク印刷を行うための複数の印刷ロール領域に区画してあると共に,
上記印刷ロール領域には,これに隣接する隣接印刷ロール領域との境界線の近傍までインクを保持させると共に,該インクにおける上記境界線の近傍の端部には,当該インクが上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク端部を形成し,
上記窯業系建築板をその上記連続目地部の形成方向に沿って上記印刷ロールに送入すると共に,上記意匠凸部に上記印刷ロール領域に保持したインクを付着させて,上記意匠模様を印刷することを特徴とする窯業系建築板の印刷方法にある(請求項2)。
【0008】
本発明においては,上記窯業系建築板にインク印刷を行うに当たり,上記複数の印刷ロール領域に区画した印刷ロールを用いる。そして,この印刷ロールによってインク印刷を行って,上記意匠凸部の端部まで形成した意匠模様が,上記隣接意匠凸部までは連続して形成されていない窯業系建築板を製造する。
そして,本発明において,注目すべき点は,上記印刷ロール領域の端部まで保持したインクに,上記波状インク端部を形成していることにある。
【0009】
すなわち,一般に,上記印刷ロールに形成した印刷ロール領域と上記窯業系建築板における意匠凸部とを,上記印刷ロールの軸方向にずれなく対応させてインク印刷を行うことは困難である。つまり,このことは,上記意匠凸部の端部までインク印刷を行い,これに隣り合う隣接意匠凸部にはインク印刷を行わないでおくことが困難であることを意味する。
【0010】
そこで,本発明においては,上記波状インク端部を形成しており,例えば,上記窯業系建築板の送入の際に,上記インク印刷を行わない隣接意匠凸部が,上記インクを保持させた印刷ロール領域に近づく方向にずれて送入された場合でも,上記隣接意匠凸部には,上記波状インク端部におけるインクの一部が付着される。そのため,この隣接意匠凸部には,波状に,あるいはまだらにしかインクが付着することがない。そのため,上記隣接意匠凸部にインクが付着しながらも,この付着がほとんど目立たないようにすることができる。
【0011】
また,上記送入のずれが発生した場合に,上記連続目地部と上記隣接意匠凸部との間に形成された傾斜部にインクが付着することもある。この場合でも,傾斜部において,波状に,あるいはまだらにしかインクが付着することがなく,この付着がほとんど目立たないようにすることができる。
【0012】
一方で,上記送入の際に,上記インク印刷を行わない隣接意匠凸部が,上記と反対の方向,すなわち上記インクを保持させた印刷ロール領域より離れる方向にずれて送入された場合でも,上記インク印刷を行う意匠凸部における上記連続目地部の近傍の端部には,上記波状インク端部により波状にインクが付着される。そのため,上記意匠凸部における連続目地部の近傍の端部に,インクの付着がない無インク部分が形成されることを抑制することができる。そのため,インクの付着が少ないながらも,上記意匠凸部には,上記連続目地部の近傍の端部まで意匠模様を形成することができる。
【0013】
上記のようにして,上記窯業系建築板が上記印刷ロールの軸方向におけるいずれかの方向にずれて送入されたとしても,上記意匠凸部における上記連続目地部の近傍の端部まで上記インクを付着させて上記意匠模様を形成し,この意匠模様が上記隣接意匠凸部までは連続して形成されていない窯業系建築板を製造することができる。
それ故,本発明の印刷方法によれば,インク印刷されたものとはわかり難く,焼成レンガや,天然石等の外観意匠性に代表されるような自然な深みのある外観意匠性を呈することができる窯業系建築板を製造することができる。
【0014】
第3の発明は,上記窯業系建築板の印刷方法に用いる印刷ロールであって,
該印刷ロールの印刷ロール領域には,これに隣接する隣接印刷ロール領域との境界線の近傍まで,上記意匠模様を形成するための多数の凹部よりなるインク保持部を有すると共に,該インク保持部における上記境界線の近傍の端部には,当該インク保持部が上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク保持端部を有していることを特徴とする窯業系建築板の印刷ロールにある(請求項6)。
【0015】
本発明においては,上記印刷方法の発明に用いる印刷ロールにおける印刷ロール領域に,上記インク保持部及び上記波状インク保持端部を形成している。そして,これらに保持させたインクを上記窯業系建築板に付着させることにより上記意匠凸部における上記連続目地部の近傍の端部まで上記意匠模様を形成し,この意匠模様が上記隣接意匠凸部までは連続して形成されていない窯業系建築板を製造することができる。
それ故,本発明の印刷ロールを用いれば,上記印刷方法の発明に示した優れた作用効果を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
上記第1の発明において,上記インク印刷は,上記窯業系建築板を,その連続目地部の形成方向に沿って印刷ロールに送入して行うことが好ましい。この場合には,上記窯業系建築板を容易に量産することができる。
【0017】
また,上記第2の発明においては,上記波状インク端部よりもさらに上記境界線に近い部分には,インク量を少なくした少量インク部を形成すると共に,該少量インク部の先端部には,当該少量インク部におけるインクが上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した少量波状インク端部を形成していることが好ましい(請求項3)。
【0018】
この場合には,上記窯業系建築板を上記印刷ロールに送入する際に,例えば,上記インク印刷を行わない隣接意匠凸部が,上記インクを保持させた印刷ロール領域に近づく方向にずれて送入された場合でも,上記隣接意匠凸部には,上記少量波状インク端部におけるインクの一部が付着される。そのため,この隣接意匠凸部には,上記インクが薄く,かつ波状に,あるいはまだらにしか付着することがない。そのため,上記隣接意匠凸部にインクが付着しながらも,この付着が一層目立たないようにすることができる。
【0019】
また,上記送入のずれが発生した場合に,上記連続目地部と隣接意匠凸部との間に形成された傾斜部にインクが付着した場合でも,この傾斜部において,上記インクが薄く,かつ波状に,あるいはまだらにしかインクが付着することがなく,この付着が一層目立たないようにすることができる。
【0020】
また,上記印刷ロールの印刷ロール領域を区画する上記境界線は,上記窯業系建築板の連続目地部の中心線に対応するよう設けることが好ましい(請求項4)。この場合には,上記窯業系建築板を上記印刷ロールに送入する際に,上記窯業系建築板が上記印刷ロールの軸方向におけるどちらの方向にずれて送入されても,上記意匠凸部における上記連続目地部の近傍の端部まで上記意匠模様を形成すると共に,この意匠模様が上記隣接意匠凸部までは連続して形成されていない窯業系建築板を容易に製造することができる。
【0021】
また,上記連続目地部の幅は,部分的に広くなった幅広部と部分的に狭くなった狭小部とにより変化しており,上記狭小部の幅は4〜6mmであることが好ましい(請求項5)。
上記優れた作用効果を呈する窯業系建築板の印刷方法は,上記連続目地部における狭小部の幅が4〜6mmと狭いときに,特に有効である。すなわち,上記窯業系建築板が上記印刷ロールの軸方向に対してずれて送入されるずれの範囲は,一般に左右に4.5mm程度までの範囲と考えられる。そのため,上記のように狭小部が狭いときに特に有効である。
【0022】
上記第3の発明においては,上記波状インク保持端部よりもさらに上記境界線に近い部分には,上記インク保持部よりも上記凹部の密度が低い少量インク保持部を形成していると共に,該少量インク保持部の先端部には,当該少量インク保持部における凹部が上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した少量波状インク保持端部を形成していることが好ましい(請求項7)。
【0023】
この場合には,上記窯業系建築板を印刷ロールに送入する際に,上記インク印刷を行わない隣接意匠凸部が,上記インクを保持させた印刷ロール領域に近づく方向にずれて送入された場合でも,上記隣接意匠凸部には,上記少量波状インク保持端部におけるインクの一部が付着される。そのため,この隣接意匠凸部には,上記インクが薄く,かつ波状に,あるいはまだらにしか付着することがない。そのため,上記隣接意匠凸部にインクが付着しながらも,この付着が一層目立たないようにすることができる。
【0024】
【実施例】
以下に,図1〜図13を用いて,本発明の窯業系建築板並びにその印刷方法及び印刷ロールにかかる実施例につき説明する。
図1に示すごとく,本例において製造する窯業系建築板1は,一方の端部11から他方の端部11まで連続して形成した複数の連続目地部22と,この複数の連続目地部22にそれぞれ交錯する方向に形成した複数の交錯目地部23とによって区画した複数の意匠凸部21を有する。上記連続目地部22及び交錯目地部23のいずれもは,上記意匠凸部21より凹んだ凹状溝により形成されている。そして,上記複数の意匠凸部21には,以下のインク印刷を行った意匠模様301が形成してある。
【0025】
本例において製造する窯業系建築板1は,各意匠凸部21に,上記連続目地部22に近接する端部211まで上記意匠模様301を形成しているが,この意匠模様301は,各意匠凸部21と上記連続目地部22を介して隣り合う隣接意匠凸部210までは連続して形成していないものである。すなわち,本例において製造する窯業系建築板1は,互いに隣接する意匠凸部21同士の間で上記意匠模様301が不連続である不連続意匠模様302を有するものである。
【0026】
そして,本例においては,上記インク印刷を以下の印刷ロール4を用いて行う。
図5に示すごとく,本例の印刷ロール4は,グラビアロール5とオフセットロール6とを用いて構成してある。そして,上記インク印刷は,グラビアロール5に保持したインク3をオフセットロール6に転写し,このオフセットロール6に上記窯業系建築板1を圧接させてインク印刷を行うグラビアオフセット印刷である。
【0027】
図3に示すごとく,本例で用いるグラビアロール5は,その軸方向において,上記窯業系建築板1における連続目地部22を介して区画される複数の意匠凸部列201(図1参照)に,それぞれインク印刷を行うための複数の印刷ロール領域51に区画してある。なお,上記複数の意匠凸部列201は,それぞれ複数の意匠凸部21によって形成されている。
【0028】
そして,上記グラビアロール5の印刷ロール領域51には,これに隣接する隣接印刷ロール領域510との境界線52の近傍まで,上記意匠模様301を形成するための多数の凹部よりなるインク保持部40が形成してある。このインク保持部40における上記境界線52の近傍の端部には,当該インク保持部40が上記境界線52に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク保持端部41が形成してある。
こうして,グラビアロール5の各印刷ロール領域51には,複数のインク保持部40による柄模様401が形成してある。
【0029】
そして,図3に示すごとく,上記グラビアロール5を用いて上記窯業系建築板1にインク印刷を行うに際しては,上記印刷ロール領域51における上記インク保持部40にインク3を保持させて,上記印刷ロール領域51には,これに隣接する隣接印刷ロール領域510との境界線52の近傍までインク3を保持させる。このとき,上記波状インク保持端部41にもインク3は保持されており,上記印刷ロール領域51には,上記インク3が上記境界線52に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク端部31が形成される。
【0030】
そして,図4,図5に示すごとく,上記グラビアロール5に上記オフセットロール6を接触させて,グラビアロール5に保持したインク3を,ほぼそのままオフセットロール6に転写する。このとき,オフセットロール6には,上記グラビアロール5の境界線52に対応する境界線62の近傍において,上記波状インク端部31も転写される。
【0031】
そして,図4に示すごとく,インク3を保持した上記オフセットロール6に対して,上記窯業系建築板1を送入する。このとき,この窯業系建築板1は,その上記連続目地部22の形成方向に沿って上記オフセットロール6に対して送入する。これにより,上記窯業系建築板1の各意匠凸部21に,上記グラビアロール5の各印刷ロール領域51に保持したインク3を付着させて,上記意匠模様301を印刷する。そして,上記不連続意匠模様302を有する窯業系建築板1を製造する。
【0032】
なお,本例にいう上記隣接意匠凸部210は,上記複数の意匠凸部21のうちの特別な意匠凸部21をいうのではなく,上記意匠模様301を印刷する意匠凸部21の部分に,上記連続目地部22を介して隣り合う意匠凸部21の部分をいう。そして,図1に示すごとく,上記不連続意匠模様302は,複数の意匠凸部21の部分とこれらにそれぞれ隣り合う各意匠凸部21の部分との間に形成されている。
【0033】
以下に,これを詳説する。
図2に示すごとく,上記窯業系建築板1においては,その長手方向に複数の中心線221を設定し,この中心線221に沿って上記連続目地部22を形成している。本例では,この連続目地部22の幅は,部分的に広くなった幅広部222と部分的に狭くなった狭小部223とにより変化させている。本例の幅広部222の幅は8〜16mmの範囲内で変化しており,本例の狭小部223の幅は4〜6mmの範囲内で変化している。
【0034】
そして,上記中心線221は,上記狭小部223の幅方向における中心を通るよう設定されており,上記中心線221から上記意匠凸部21の端部211及び上記隣接意匠凸部210の端部212までの幅Wは,少なくとも2mm以上となっている。
また,上記窯業系建築板1においては,上記交錯目地部23に交錯する方向,すなわち上記連続目地部22の形成方向において,補助目地部231が形成されている部分もある。
【0035】
また,図3に示すごとく,本例のグラビアロール5の各印刷ロール領域51においては,上記波状インク保持端部41よりもさらに上記境界線52に近い部分には,上記インク保持部40よりも上記複数の凹部の密度が低い少量インク保持部42が形成してある。そして,この少量インク保持部42の先端部420には,当該少量インク保持部42における凹部が上記境界線52に近づいたり離れたりして波状に変化した少量波状インク保持端部421が形成してある。
【0036】
そして,同図に示すごとく,上記窯業系建築板1にインク印刷を行う際には,上記印刷ロール領域51における上記少量インク保持部42に上記インク3を保持することにより,上記波状インク保持端部41に保持したインク3による波状インク端部31よりもさらに上記境界線52に近い部分には,インク量を少なくした少量インク部32が形成される。そして,図4に示すごとく,この少量インク部32は,上記オフセットロール6に,ほぼそのまま転写される。
【0037】
さらに,図3に示すごとく,上記印刷ロール領域51における上記少量波状インク保持端部421に上記インク3を保持することにより,上記少量インク部32の先端部320には,当該少量インク部32におけるインク3が上記境界線52に近づいたり離れたりして波状に変化した少量波状インク端部321が形成される。そして,図4に示すごとく,この少量波状インク端部321も,上記オフセットロール6に,ほぼそのまま転写される。
【0038】
こうして,図3に示すごとく,上記各印刷ロール領域51における柄模様401は,上記インク保持部40及び上記少量インク保持部42により形成されている。また,柄模様401は,上記窯業系建築板1の表面に形成する意匠模様301の形状に沿って形成されており,互いに隣接する各印刷ロール領域51における柄模様401はそれぞれ異なっている。
【0039】
また,図4に示すごとく,上記グラビアロール5における上記境界線52及び上記オフセットロール6における上記境界線62は,上記窯業系建築板1の連続目地部22の中心線221に対応するよう設けてある。すなわち,上記グラビアロール5における各印刷ロール領域51の形成間隔は,上記連続目地部22により上記窯業系建築板1に上記各意匠凸部列201を形成した間隔とほぼ同じ間隔になっている。
これにより,上記窯業系建築板1を上記印刷ロール4に送入する際に,窯業系建築板1が印刷ロール4の軸方向におけるどちらの方向にずれて送入されても,上記不連続意匠模様302を容易に形成することができる。
【0040】
また,図5は,窯業系建築板1の印刷装置8を示す。同図に示すごとく,上記グラビアロール5の外周表面501には,インク3を貯留したインク貯留部53よりインク3を掻き出してこれを当該グラビアロール5の柄模様401に保持させるインクロール54が当接している。また,グラビアロール5の外周表面501には,上記柄模様401に保持されなかった不要なインク3を掻き落とすためのドクターブレード55が設けてある。
【0041】
また,上記オフセットロール6の外周表面601には,インク3を窯業系建築板1に付着させた後の不要なインク3を付着させて除去するクリーニングロール56が当接しており,このクリーニングロール56には上記除去した不要なインク3を掻き落とすためのドクターブレード57が設けてある。
【0042】
また,同図に示すごとく,上記窯業系建築板1は,コンベアー7を用いて上記オフセットロール6に送入され,上記窯業系建築板1は,コンベアー7とオフセットロール6との間に挟まれて,オフセットロール6に圧接されるようになっている。本例のコンベアー7は,ロール71にゴム製のベルト72を掛けて構成したベルトコンベアーである。これにより,インク印刷時に発生する窯業系建築板1の横ずれ(窯業系建築板1が上記オフセットロール6の軸方向に対してずれること)を防止している。
【0043】
また,上記オフセットロール6の外周表面601の硬度は,30〜50度にすることが好ましい。本例では,このオフセットロール6の外周部はゴムにより形成してあり,その外周表面601の硬度は約40度としている。上記硬度が30〜50度であることにより,上記インク印刷を容易に行うことができる。
なお,上記硬度の単位である度は,JIS規格におけるJIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」に従うものであり,本例では,JISスプリング式硬さ試験機A形を用いて上記硬度の測定を行った。
【0044】
また,上記グラビアロール5におけるインク保持部40及び少量インク保持部42を形成する複数の凹部は,1インチ(25.4mm)当たり150線として形成してある。そして,インク保持部40の凹部の深さは,40〜50μmの範囲で変化しており,上記少量インク保持部42の深さは,10〜15μmの範囲で変化している。また,上記波状インク保持端部41及び上記少量波状インク保持端部421は,波状に上記凹部を形成している。
【0045】
次に,上記窯業系建築板1を製造する方法につき詳説する。
図6に示すごとく,本例の窯業系建築板1は,セメント質原料(セメント,ケイ酸原料等)に,木質原料(木繊維,木チップ等),添加剤及び水等を混合して混合原料とし,これを成形型の成形板上に散布して成形(フォーミング)したものである。そして,この窯業系建築板1の意匠凸部21には,部分的に深く凹んだり突出したりして形状が複雑に変化した多数の微小な凹凸が形成されている。
【0046】
そして,上記印刷ロール4によるインク印刷を行う前には,上記成形後の窯業系建築板1に,下地処理としてシーラー液を塗布し,上記連続目地部22及び上記交錯目地部23の目地色の塗装を行って乾燥させる。さらに,中塗りとして各意匠凸部21に,この意匠凸部21の下地色の塗装を行って乾燥させる。
【0047】
また,本例では,図5に示すごとく,上記印刷ロール4によりインク印刷を行う直前に,上記窯業系建築板1に一層深みのある外観を表現するために,上記意匠模様301に類似する抽象的な意匠模様の抽象柄インク印刷を行う。この抽象柄インク印刷は,上記意匠模様301のインク印刷と同様に,グラビアロール50,オフセットロール60,インク貯留部53,インクロール54,ドクターブレード55,クリーニングロール56及びドクターブレード57を用いて,グラビアオフセット印刷により行う。
【0048】
ところで,上記不連続意匠模様302を形成するに当たり,従来の印刷方法を実施したのでは,以下のような不具合が生ずる場合があった。
すなわち,上記窯業系建築板1を上記オフセットロール6に送入する際には,窯業系建築板1の連続目地部22の中心線221が,当該オフセットロール6の境界線62の位置に来ることを目標にして,送入を行う。しかし,窯業系建築板1をオフセットロール6に送入する際に発生する横ずれ(例えば,最大で2〜3mmずれることがある。)及び窯業系建築板1の寸法誤差により(例えば,最大で1〜1.5mmの寸法誤差がある。),窯業系建築板1の連続目地部22の中心線221が,上記境界線62から最大で左右に4.5mmぐらい横ずれを起こすことがあった。
【0049】
そして,図7のA部分に示すごとく,インク印刷を行わない隣接意匠凸部210の部分が,上記インク3を保持させた印刷ロール領域51の部分に近づく方向にずれて送入された場合には,インク印刷を行う意匠凸部21にインク3が付着されるだけでなく,上記隣接意匠凸部210の端部212にも,インク3が明確に付着されてしまっていた。この場合には,上記隣接意匠凸部210の端部212にも意匠模様301が形成されてしまい,上記不連続意匠模様302を形成することができなかった。そして,この場合には,上記意匠模様301がインク印刷により形成されたものであることがわかってしまっていた。
【0050】
一方で,図7のB部分に示すごとく,インク印刷を行わない隣接意匠凸部210の部分が,上記と反対の方向,すなわち上記インク3を保持させた印刷ロール領域51の部分より離れる方向にずれて送入された場合には,インク印刷を行う意匠凸部21における上記連続目地部22の近傍の端部211には,上記インク3の付着がない部分が形成されてしまっていた。この場合には,印刷を行った意匠凸部21における意匠模様301が不自然になり,この意匠模様301がインク印刷により形成されたものであることがわかってしまっていた。
【0051】
本例の印刷方法は,上記窯業系建築板1が上記印刷ロール4の軸方向に対して左右のどちらにずれて送入されても,上記不連続意匠模様302を形成できる方法である。
すなわち,図8に示すごとく,本例においては,上記グラビアロール5の波状インク保持端部41に保持したインク3を,上記オフセットロール6に転写して上記波状インク端部31を形成している。また,上記グラビアロール5の少量波状インク保持端部421に保持したインク3を,上記オフセットロール6に転写して上記少量波状インク端部321を形成している。
【0052】
そして,図10に示すごとく,上記窯業系建築板1の送入の際に,例えば,上記インク印刷を行わない隣接意匠凸部210の部分が,上記インク3を保持させた印刷ロール領域51の部分に近づく方向にずれて送入された場合でも,上記隣接意匠凸部210には,上記少量波状インク端部321におけるインク3の一部が付着される。
そのため,この隣接意匠凸部210には,波状に,あるいはまだらにしかインク3が付着することがなく,かつ少量のインク3が付着されるのみである。そのため,上記隣接意匠凸部210に対するインク3の付着がほとんど目立たないようにすることができる。
【0053】
また,図12に示すごとく,上記送入のずれが発生した場合に,上記連続目地部22と上記隣接意匠凸部210との間に形成された傾斜部213にインク3が付着することもある。この場合でも,傾斜部213において,波状に,あるいはまだらにしかインク3が付着することがなく,この付着がほとんど目立たないようにすることができる。
【0054】
一方で,図11に示すごとく,上記送入の際に,上記インク印刷を行わない隣接意匠凸部210の部分が,上記と反対の方向,すなわち上記インク3を保持させた印刷ロール領域51の部分より離れる方向にずれて送入された場合でも,上記インク印刷を行う意匠凸部21における上記連続目地部22の近傍の端部211には,上記波状インク端部321により波状にインク3が付着される。そのため,上記意匠凸部21における連続目地部22の近傍の端部211に,インク3の付着がない無インク3部分が形成されることを抑制することができる。そのため,インク3の付着が少ないながらも,上記意匠凸部21には,上記連続目地部22の近傍の端部211まで上記意匠模様301を形成することができる。
なお,図9は,上記送入の際に,上記横ずれがほとんど発生しなかった場合の意匠凸部21の部分におけるインク3の付着状態を示す。
【0055】
上記のようにして,上記窯業系建築板1が上記印刷ロール4の軸方向におけるいずれかの方向にずれて送入されたとしても,図1,図2に示すごとく,上記意匠凸部21における上記連続目地部22の近傍の端部211まで上記インク3を付着させて上記意匠模様301を形成し,この意匠模様301が上記隣接意匠凸部210までは連続して形成されていない不連続意匠模様302を有する窯業系建築板1を製造することができる。
それ故,本例の印刷方法によれば,インク印刷されたものとはわかり難く,焼成レンガや,天然石等の外観意匠性に代表されるような自然な深みのある外観意匠性を呈することができる窯業系建築板1を製造することができる。
【0056】
本例においては,上記連続目地部22によって区画された複数の意匠凸部列201のいずれに対してもインク印刷を行い,上記意匠模様301を形成した。これに対し,図13に示すごとく,上記意匠模様301は,意匠凸部列201の1つおきに形成することも勿論可能である。この場合でも,上記不連続意匠模様302により,窯業系建築板1は,焼成レンガや,天然石等の外観意匠性に代表されるような自然な深みのある外観意匠性を呈することができる。
なお,上記窯業系建築板1は,建築物の外壁に施工するときには,上記連続目地部22の形成方向を横方向に向けて施工する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における,窯業系建築板を示す説明図。
【図2】実施例における,窯業系建築板における不連続意匠模様を示す拡大説明図。
【図3】実施例における,印刷ロールにおけるグラビアロールを示す説明図。
【図4】実施例における,印刷ロールにおけるオフセットロール及び窯業系建築板を示す説明図。
【図5】実施例における,窯業系建築板の製造装置を示す説明図。
【図6】実施例における,インク印刷前の窯業系建築板を示す説明図。
【図7】実施例における,従来の印刷方法によりインク印刷を行った窯業系建築板を示す説明図。
【図8】実施例における,グラビアロールの境界線の近傍に,波状インク保持端部及び少量波状インク保持端部を形成した状態,及びオフセットロールの境界線の近傍に,波状インク端部及び少量波状インク端部を形成した状態を示す説明図。
【図9】実施例における,窯業系建築板の送入の際に,横ずれがほとんど発生しなかった場合の意匠凸部におけるインクの付着状態を示す説明図。
【図10】実施例における,窯業系建築板の送入の際に,インク印刷を行わない隣接意匠凸部の部分が,インクを保持させた印刷ロール領域の部分に近づく方向にずれて送入された場合の意匠凸部の部分における端部及び傾斜部へのインクの付着状態を示す説明図。
【図11】実施例における,窯業系建築板の送入の際に,インク印刷を行わない隣接意匠凸部の部分が,インクを保持させた印刷ロール領域の部分より離れる方向にずれて送入された場合の意匠凸部の部分におけるインクの付着状態を示す説明図。
【図12】実施例における,図10におけるA−A線矢視断面説明図。
【図13】実施例における,他の窯業系建築板を示す図で,意匠模様を意匠凸部列の1つおきに形成した窯業系建築板を示す説明図。
【図14】従来例における,窯業系建築板を示す説明図。
【符号の説明】
1...窯業系建築板,
11...端部,
201...意匠凸部列,
21...意匠凸部,
210...隣接意匠凸部,
22...連続目地部,
221...中心線,
23...交錯目地部,
3...インク,
301...意匠模様,
302...不連続意匠模様,
31...波状インク端部,
32...少量インク部,
321...少量波状インク端部,
4...印刷ロール,
401...柄模様,
40...インク保持部,
41...インク保持端部,
42...少量インク保持部,
421...少量波状インク保持端部,
5...グラビアロール,
51...印刷ロール領域,
510...隣接印刷ロール領域,
52...境界線,
6...オフセットロール,
62...境界線,

Claims (7)

  1. 一方の端部から他方の端部まで連続して形成した連続目地部と、該連続目地部に交錯する方向に形成した交錯目地部とによって区画した複数の意匠凸部を有し、
    該意匠凸部には、印刷ロールによるインク印刷を行った意匠模様を形成してなる窯業系建築板において、上記意匠凸部には、上記連続目地部に近接する端部まで上記意匠模様が形成してあり、
    かつ、 該意匠模様は、 当該意匠凸部と上記連続目地部を介して隣り合う隣接意匠凸部までは連続して形成されてなく、上記印刷ロールは、その軸方向において、上記窯業系建築板における連続目地部を介して区画される複数の意匠凸部列に、それぞれインク印刷を行うための複数の印刷ロール領域に区画してあると共に、上記印刷ロール領域には、
    これに隣接する隣接印刷ロール領域との境界線の近傍までインクを保持させると共に、
    該インクにおける上記境界線の近傍の端部には、 当該インクが上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク端部を形成されたことを特徴とする窯業系建築板。
  2. 一方の端部から他方の端部まで連続して形成した連続目地部と,該連続目地部に交錯する方向に形成した交錯目地部とによって区画した複数の意匠凸部を有し,該意匠凸部には,印刷ロールによるインク印刷を行った意匠模様を形成してなる窯業系建築板であって,
    上記意匠凸部には,上記連続目地部に近接する端部まで上記意匠模様が形成してあり,かつ,該意匠模様は,当該意匠凸部と上記連続目地部を介して隣り合う隣接意匠凸部までは連続して形成されていない窯業系建築板の印刷方法において,
    上記印刷ロールは,その軸方向において,上記窯業系建築板における連続目地部を介して区画される複数の意匠凸部列に,それぞれインク印刷を行うための複数の印刷ロール領域に区画してあると共に,
    上記印刷ロール領域には,これに隣接する隣接印刷ロール領域との境界線の近傍までインクを保持させると共に,該インクにおける上記境界線の近傍の端部には,当該インクが上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク端部を形成し,
    上記窯業系建築板をその上記連続目地部の形成方向に沿って上記印刷ロールに送入すると共に,上記意匠凸部に上記印刷ロール領域に保持したインクを付着させて,上記意匠模様を印刷することを特徴とする窯業系建築板の印刷方法。
  3. 請求項2において,上記波状インク端部よりもさらに上記境界線に近い部分には,インク量を少なくした少量インク部を形成すると共に,該少量インク部の先端部には,当該少量インク部におけるインクが上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した少量波状インク端部を形成していることを特徴とする窯業系建築板の印刷方法。
  4. 請求項2又は3において,上記印刷ロールの印刷ロール領域を区画する上記境界線は,上記窯業系建築板の連続目地部の中心線に対応するよう設けてあることを特徴とする窯業系建築板の印刷方法。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項において,上記連続目地部の幅は,部分的に広くなった幅広部と部分的に狭くなった狭小部とにより変化しており,上記狭小部の幅は4〜6mmであることを特徴とする窯業系建築板の印刷方法。
  6. 請求項2〜5のいずれか一項に記載の窯業系建築板の印刷方法に用いる印刷ロールであって,
    該印刷ロールの印刷ロール領域には,これに隣接する隣接印刷ロール領域との境界線の近傍まで,上記意匠模様を形成するための多数の凹部よりなるインク保持部を有すると共に,該インク保持部における上記境界線の近傍の端部には,当該インク保持部が上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した波状インク保持端部を有していることを特徴とする窯業系建築板の印刷ロール。
  7. 請求項6において,上記波状インク保持端部よりもさらに上記境界線に近い部分には,上記インク保持部よりも上記凹部の密度が低い少量インク保持部を形成していると共に,該少量インク保持部の先端部には,当該少量インク保持部における凹部が上記境界線に近づいたり離れたりして波状に変化した少量波状インク保持端部を形成していることを特徴とする窯業系建築板の印刷ロール。
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