JP4064775B2 - 炉心監視方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉の炉心流量操作時又は制御棒操作時に時々刻々変化する原子炉の最大線出力密度、最小限界出力比(以下、この2つの値を熱的特性と称す)を定期的又は運転員の要求により実施される出力分布計算結果と炉内核計装実測値から、出力分布計算が実施されていない時刻における熱的特性を計算し、熱的特性が許容値又は運転制限値を超えた場合に警報を発し、炉心流量操作又は制御棒操作を停止させるように構成した炉心監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉の起動時又は炉心の反応度調整のための制御棒パターン調整時には、炉心流量の増減操作、制御棒の引抜き/挿入操作を実施している。これらの操作において原子炉の熱的特性は時々刻々変化するが、この熱的特性を一定時間毎又は運転員の要求により実施される出力分布計算により運転制限値を満足していることを確認しながら操作する必要がある。
【0003】
一般的な起動、制御棒パターン調整の手順を図14に示す。
すなわち、操作開始から制御棒操作炉心流量操作、操作停止、出力分布計算、熱的特性確認を必要に応じて繰返し行い、目標出力と照合する。
【0004】
出力分布計算においては、中性子の挙動を計算する核計算と炉心内の流量分布、ボイド率分布を計算する熱水力計算を結合した炉心三次元シミュレータにより、炉内の中性子束を計測する核計装系及び原子炉圧力、制御棒パターン、炉心流量等のプラントデータ実測値から、炉心を構成する各燃料集合体の熱的特性を計算する。このため、出力分布計算には時間を要し、炉心流量操作、制御棒操作時に適宜、操作を中断しながら熱的特性を確認する必要がある。
【0005】
また、炉内の局所の中性子束レベルを測定する局所出力領域モニタ(Local Power Range Monitor;以下、LPRMと称す)の存在する4つのストリングに囲まれる16体の燃料集合体の熱的特性を、4つのストリングに含まれる検出器集合体のLPRM指示値より予測する方法が、従来から用いられている。以下、検出器集合体の位置をストリングという。
【0006】
図15により従来のLPRM指示値から熱的特性を算出する方法を説明する。
この方法では4つのストリングに属する検出器集合体B1〜B4のLPRM指示値の平均の上昇率から、4つのストリングに囲まれる16体の燃料集合体A1〜A16のうち、最も厳しい限界出力比と、各LPRM高さ毎に16体の燃料集合体A1〜A16のうち最も厳しい線出力密度を、比例計算により算出している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の炉心監視方法では、熱的特性が最も厳しくなる燃料集合体がストリングに隣接している燃料集合体A1、A4、A13、A16を除く燃料集合体であるような場合、検出器集合体B1〜B4のLPRM検出器が熱的特性が厳しい燃料集合体と離れた状態となっている。また、16体中熱的特性が最も厳しい燃料集合体が燃料集合体A1、A4、A13、A16のいずれかである場合には、上記熱的特性の計算には、この熱的特性が最も厳しい燃料集合体から離れて位置する検出器集合体のLPRMの指示値をも用いることになる。すなわち、熱的特性が最も厳しいのが燃料集合体A1の場合、検出器集合体B2〜B4が離れているため、熱的特性とLPRM指示値の相関が弱く、精度良い熱的特性の算出が困難である。
【0008】
上述したように、従来の炉心監視方法で、沸騰水型原子炉の炉心流量操作時、又は制御棒操作時における熱的特性を監視するためには、計算時間がかかりその都度(図14に示される1サイクル毎に)操作を停止する必要がある。また、局所出力領域モニタ指示値から容易に熱的特性を評価する場合、精度良く熱的特性を評価することができず、大きな余裕を取る等の課題がある。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、局所出力領域モニタの指示値と直前に実施された出力分布計算結果を基に、炉心流量操作時及び制御棒操作時の原子炉の熱的特性をより速やかに精度よく、連続的に監視でき、また、燃料の健全性を維持し、起動、パターン調整に要する時間を短縮できる炉心監視方法および炉心監視システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、原子炉の炉心流量操作又は制御棒操作を自動で行う出力上昇過程の炉心監視方法において、軸方向にほぼ等間隔で4個所に配置される局所出力領域モニタの存在するストリングに隣接する4体の燃料集合体のなかで局所出力領域モニタの高さ、又は前記局所出力領域モニタに隣接するノード、或いは燃料有効長の1/4毎の最大の線出力密度及び最小の限界出力比を、出力分布計算結果と局所出力領域モニタの指示値の変化率とから (1) 式及び (2 式により算出し、全ストリングまわりの複数の燃料集合体の算出された線出力密度の最大値及び算出された限界出力比の最小値の少なくとも一方が運転制限値を逸脱した場合に、自動操作停止信号、制御棒操作系に対する制御棒操作禁止信号、流量制御系に対する流量操作禁止信号のうちの少なくとも1つを発することを特徴とする。
MFLPDAT(K,ISTR) = MFLPDIN(K,ISTR)
× (1+(1/FK(K)) × (LPRMAT(K,ISTR)/LPRMIN(K,ISTR)-1)) … (1) 式
ここで、
MFLPDAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の最大の線出力密度と運転制限値の比
LPRMAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのLPRM指示値
MFLPDIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の出力分布計算による最大の線出力密度と運転制限値の比
LPRMIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K での出力分布計算時のLPRM指示値
FK(K) :高さ位置 K での線出力密度算出の安全係数
MFLCPAT(ISTR) = MFLCPIN(ISTR)
× (1 + (1/FC) × (LPAVAT(ISTR)/LPAVIN(ISTR)-1)) … (2) 式
ここで
MFLCPAT(ISTR) :限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
MFLCPIN(ISTR) :出力分布計算による限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
LPAVAT(ISTR) :ストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
LPAVIN(ISTR) :出力分布計算時のストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
FC :限界出力比算出の安全係数
【0011】
請求項2の発明は、原子炉の炉心流量操作又は制御棒操作を自動で行う出力上昇過程の炉心監視方法において、軸方向にほぼ等間隔で4個所に配置される局所出力領域モニタの存在するストリングに隣接する4体の燃料集合体、及びこの4体の燃料集合体に対称な位置に装荷されている燃料集合体のなかで局所出力領域モニタの高さ、又は前記局所出力領域モニタに隣接するノード、或いは燃料有効長の1/4 毎の最大の線出力密度及び最小の限界出力比を、出力分布計算結果と局所出力領域モニタの指示値の変化率とから(1) 式及び (2) 式により算出し、全ストリングまわりの複数の燃料集合体及びその対称位置の燃料集合体の算出された線出力密度の最大値及び算出された限界出力比の最小値の少なくとも一方が運転制限値を逸脱した場合に、自動操作停止信号、制御棒操作系に対する制御棒操作禁止信号、流量制御系に対する流量操作禁止信号のうちの少なくとも1つを発することを特徴とする。
MFLPDAT(K,ISTR) = MFLPDIN(K,ISTR)
× (1+(1/FK(K)) × (LPRMAT(K,ISTR)/LPRMIN(K,ISTR)-1)) … (1) 式
ここで、
MFLPDAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の最大の線出力密度と運転制限値の比
LPRMAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのLPRM指示値
MFLPDIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の出力分布計算による最大の線出力密度と運転制限値の比
LPRMIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K での出力分布計算時のLPRM指示値
FK(K) :高さ位置 K での線出力密度算出の安全係数
MFLCPAT(ISTR) = MFLCPIN(ISTR)
× (1 + (1/FC) × (LPAVAT(ISTR)/LPAVIN(ISTR)-1)) … (2) 式
ここで
MFLCPAT(ISTR) :限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
MFLCPIN(ISTR) :出力分布計算による限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
LPAVAT(ISTR) :ストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
LPAVIN(ISTR) :出力分布計算時のストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
FC :限界出力比算出の安全係数
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記限界出力比の算出に際して、出力分布計算時の炉心流量と限界出力比算出時の炉心流量から限界出力の炉心流量依存の関係を多項式で近似し、この近似多項式を用いて最小限界出力比算出時に前記限界出力比を補正することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1または2において、前記線出力密度の算出に際して、出力分布計算時と線出力密度算出時の制御棒位置に基づく線出力密度の変化率を局所出力領域モニタの指示値変化率と制御棒位置の関数として、線出力密度を算出することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記ストリングに隣接する4体の燃料集合体、又はそれらの対称位置を含めた燃料集合体の線出力密度の算出に際して、局所出力領域モニタの存在しない高さの線出力密度を、出力分布計算結果と着目している高さの上下の局所出力領域モニタの指示値の変化率の内挿値によって算出することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記局所出力領域モニタが故障又はバイパス状態の場合には、対称位置で同一の高さに存在する局所出力領域モニタの指示値変化率を故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタの指示値変化率として代用することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は前記局所出力領域モニタが故障又はバイパス状態の場合には、前記局所出力領域モニタが存在する全ストリングを回転対称で展開した場合に、前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタを含むストリングに近接する複数のストリングの故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタと同じ高さの局所出力領域モニタの平均の指示値上昇率か、あるいは回転対称で展開した場合に、前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタを含むストリングに近接する1本のストリングの前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタの同じ高さの局所出力領域モニタの指示値上昇率を、前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタの指示値変化率として代用することを特徴とする。
【0018】
原子炉の炉心は通常、1/4 対称性、更に1/8 対称性をもつように構成され、炉心を構成する燃料集合体の種類及び体数によって対称性が維持できない場合においても非対称となる部分が少なくなるように燃料装荷パターンを決定する。
【0019】
また、制御棒操作も対称位置制御棒を1本ずつ又は複数本同時に行い、制御棒パターンも対称になるように決定される。これは、対称性を持たせることにより、炉心の径方向ピ−キングが低減され熱的特性が改善されることと、対称位置の複数の燃料集合体の燃焼履歴及び対称位置の制御棒の中性子照射履歴が同一になるため、燃料及び制御棒の管理が容易になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1から図4により本発明に係る炉心監視方法の実施の形態を説明する。
図1は1300MWe 級沸騰水型原子炉の炉心配置の一例を概略的に示す平面図で、炉心内には、図2(b)に示すように炉内の中性子束レベルを測定する局所出力領域モニタ検出器(LPRM検出器)4が軸方向にほぼ等間隔で4個所に配置されている検出器集合体1が設置されるストリングが存在する。
【0021】
図1及び図2(a)に示すように4体の燃料集合体2の中央に1本の十字形の制御棒3が炉心下部(図示せず)から挿入される構造になっており、LPRM検出器4を4個含む検出器集合体1は、燃料集合体2が16体、制御棒3が4本に1本の割合で炉心径方向に等間隔で設置される。
【0022】
図2(a)は図1における炉心の一部を拡大した燃料集合体2、制御棒3、検出器集合体1の位置を示しており、図2(b)は図2(a)における検出器集合体1内の軸方向の構成を示している。検出器集合体1内には、図2(b)に示したようにLPRM検出器4が軸方向にほぼ等間隔に下部からLPRM−A、LPRM−B、LPRM−C、LPRM−Dの4個が配置される。
【0023】
また、LPRM検出器4の校正及び軸方向の中性子束分布を連続的に測定するための移動式炉心内計装系中性子検出器(Traversing Incore Probe;以下TIPと称す)が内部を移動するTIP校正用導管5で構成される。
【0024】
燃料集合体2内の核燃料物質が充填されている燃料有効長を24分割(または25分割)し、この長さをノードと称する。図2(b)に例示された検出器集合体1においては、LPRM検出器4は、燃料有効長下端から第3ノードと第4ノードのほぼ中央の高さにLPRM検出器Aが、第9ノードと第10ノードのほぼ中央の高さにLPRM検出器Bが、第15ノードと第16ノードのほぼ中央の高さにLPRM検出器Cが、第21ノードと第22ノードのほぼ中央の高さにLPRM検出器Dが位置する。
【0025】
LPRM検出器は、その位置での中性子束レベルを測定しており、このため、これに隣接する燃料集合体でそのLPRM検出器の高さ位置の燃料棒単位長さ当たりの出力、つまり、線出力密度はこのLPRM検出器の指示値の上昇率にほぼ比例し、また、隣接する燃料集合体の出力はそのストリングに属する4つのLPRM検出器の指示値の平均上昇率にほぼ比例する。
【0026】
この相関を用いることにより炉心三次元シミュレータとLPRM検出器及びプラントデータ実測値から求められた出力分布計算結果を基準にして、ストリングまわりの燃料集合体の熱的特性をLPRM検出器の指示値の上昇率から容易に算出することができる。
すなわち、ストリングまわりの線出力密度及び限界出力比を以下の式で表すことができる。
【0027】
(線出力密度)
MFLPDAT(K,ISTR)=MFLPDIN(K,ISTR)×(1+(1/FK(K))×(LPRMAT(K,ISTR)/LPRMIN(K,ISTR)−1))…(1)
ここで、
MFLPDAT(K,ISTR):ストリング位置ISTR、高さ位置Kでのストリングまわり4体の燃料集合体中の最大の線出力密度と運転制限値の比
LPRMAT(K,ISTR):ストリング位置ISTR、高さ位置KでのLPRM指示値
MFLPDIN(K,ISTR):ストリング位置ISTR、高さ位置Kでのストリングまわり4体の燃料集合体中の出力分布計算による最大の線出力密度と運転制限値の比
LPRMIN(K,ISTR):ストリング位置ISTR、高さ位置Kでの出力分布計算時のLPRM指示値
FK(K) :高さ位置Kでの線出力密度算出の安全係数、である。
【0028】
(限界出力比)
MFLCPAT(ISTR)=MFLCPIN(ISTR)×(1+(1/FC)×(LPAVAT(ISTR)/LPAVIN(ISTR)−1))…(2)
ここで
MFLCPAT(ISTR):限界出力比の運転制限値と、ストリング位置ISTRまわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
MFLCPIN(ISTR):限界出力比の運転制限値と、出力分布計算によるストリング位置ISTRまわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
LPAVAT(ISTR):ストリング位置ISTRに属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
LPAVIN(ISTR):出力分布計算時のストリング位置ISTRに属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
FC:限界出力比算出の安全係数、である。
【0029】
本発明に係る炉心監視方法では、(1)式、(2)式を用いることにより、予め計算された MFLPDIN(K,ISTR),LPRMIN(K,ISTR)あるいはMFLCPN(ISTR),LPAVIN(ISTR)の値を用いて、制御棒操作、炉心流量操作時の出力分布計算が実施されていない時点での熱的特性を算出することができる。この方法を、図14に示した従来の場合と対比して、図3に示す。図3に示すようにこの方法では、各サイクルで、時間を要する出力分布計算を伴わずに、以前に計算した出力分布計算の結果と、LPRM検出器の指示値を使い(1)式、(2)式を用いて瞬時の演算を行うことによって、熱的特性の計算の都度制御棒や炉心流量の操作を停止する必要がない。すなわち、図3に実線C1で示した、出力分布計算が行われない時点での制御棒操作あるいは炉心流量操作時のLPRM指示値に基づく簡易な計算による熱的特性の計算のサイクルは、連続的に繰り返し行われ、他方、図3に破線C2で示した出力分布計算による熱的特性の計算のサイクルは、一定時間毎の頻度であるいは要求により行われる。
【0030】
ここで、(1)式、(2)式において、各ストリングまわりの燃料集合体4体の中で熱的特性が最も厳しいものを計算しているが、これは先述の燃料装荷パターン、制御棒パターンの対称性により、対称位置の燃料集合体の熱的特性は互いに等しくなるため、ストリングまわりの4体の中で厳しいものを監視すれば十分であるためである。
【0031】
すなわち、図1では符合1で表される52体の検出器集合体に1から52の番号を付しているが、図中の番号1の検出器集合体を例にとると、X−Y座標系で表示される検出器集合体を例にとると、燃料集合体座標27−04、29−04、27−06、29−06に位置する4体の燃料集合体の熱的特性は、対称軸a−a',b−b'で回転対称の場合、燃料集合体座標03−42、03−40、05−42、05−40の4体、41−66、39−66、41−64、39−64の4体、及び65−28、65−30、63−28、63−30の4体の燃料集合体の熱的特性に等しい。
【0032】
このような対称性を考慮すると、図1に示した検出器集合体のみにより、炉心の径方向最外周に位置する燃料集合体の一部を除いて炉心中の全燃料集合体の熱的特性を算出することができる。また、最外周の燃料集合体出力は、中性子の洩れのため低く、熱的特性が厳しくなることはない。
【0033】
このことより、本発明に係る炉心監視方法でストリングまわりの燃料集合体の熱的特性を算出し、その中で一番厳しいものを取出し、それが運転制限値を逸脱していないことを確認できれば、制御棒操作、炉心流量操作を停止する必要はない。
【0034】
次に図4により本発明に係る炉心監視方法を実施するための炉心監視システムのシステム構成を説明する。
図4において、符号6で示す原子炉圧力容器内に、炉心を包み冷却材流路を形成するシュラウド9が設置されている。炉心は燃料集合体2、検出器集合体1及び炉心下部から挿入される制御棒3により構成されている。シュラウド9上には炉心で発生した蒸気と炉水を分離する気水分離器8、蒸気を乾燥させる蒸気乾燥器7が設置されている。
【0035】
原子炉圧力容器6の下部にはインターナルポンプ11が設置されており、インターナルポンプ11はその回転速度により炉心を流れる冷却材流量、すなわち炉心流量を調整する。また、原子炉圧力容器6の下部を貫通して下方に制御棒3の位置を調整する複数本の制御棒駆動機構10が設けられている。制御棒操作系14は制御棒駆動機構10を介して制御棒3の位置を調整する装置である。再循環流量制御系13はインターナルポンプ11の回転数を変更することにより炉心流量を調整する装置である。
【0036】
出力上昇時及び制御棒パターン調整時に、炉心監視装置16は、炉心の熱的特性が運転制限値を逸脱した時に、再循環流量制御系13、制御棒操作系14に操作禁止指令信号を送信することにより、それぞれ炉心流量操作、制御棒操作を停止させる。プラントデータ18は、原子炉の炉心流量、制御棒パターン、炉心圧力、主蒸気流量、給水温度等のセンサ−値のデータ群であり、これらは、時々刻々更新されるものである。
【0037】
炉内計装系12は、炉心内中性子束計装である複数のLPRM検出器の信号を平均化し、熱出力相当に校正した平均出力領域モニタ(Average Power Range Monitor;APRM)の信号を処理する装置であり、炉内計装系12からの信号を基に、プロセスコンピュータ15で出力分布計算が、炉心監視装置16で熱的特性の計算がそれぞれなされる。また、炉内計装系12は、炉内の中性子束レベルが異常値を示した場合、警報及び全制御棒急速挿入によりプラントを停止させる信号を発信する機能も有する。
【0038】
プロセスコンピュータ15では、プラントデータ18、炉内計装系12からの実測値データを受信し、内蔵されている炉心三次元シミュレータにより出力分布計算を実施し、各燃料集合体の熱的特性、ボイド率分布等の計算を行う。なお、この出力分布計算は、一定時間毎もしくは運転員の要求により実施される。
【0039】
自動出力調整系17は、起動時、制御棒パターン調整時、停止時の炉心流量操作、制御棒操作の手順があらかじめ装荷されており、この手順に従って再循環流量制御系13または制御棒操作系14にそれぞれ炉心流量操作、制御棒操作指令信号を自動で発信し、それぞれ炉心流量、制御棒を自動的に手順に従って調整するものである。
【0040】
炉心監視装置16は、プロセスコンピュータ15による出力分布計算結果と出力分布計算時のプラントデータ及びLPRM検出器の指示値をプロセスコンピュータ15から受信し、時々刻々更新されているプラントデータ18、炉内計装系12からのLPRM検出器の指示値を絶えず受信し、(1)、(2)式によりストリングまわりの燃料集合体の熱的特性を連続的に算出する。
【0041】
算出された熱的特性が運転制限値を逸脱した場合には、運転員に警報を発信し、自動操作停止信号を自動出力調整系17に、炉心流量操作、制御棒操作の禁止指令をそれぞれ再循環流量制御系13、制御棒操作系14に送信して、炉心流量の調整や制御棒操作を停止させるものである。実際、かかる調整・操作は出力を増加させる効果を有するものであり、熱的特性が運転制限値を逸脱した状況が回避できるまで中止される。
【0042】
次に本発明に係る炉心監視方法の具体的な実施例を説明する。
(実施例1)
本発明の実施例1は、図4のシステム構成図に示される炉心監視システムにおいて、一定時間毎もしくは運転員の要求によりプロセスコンピュータ15で行われる出力分布計算結果を基に、炉心監視装置16は、(1)式、(2)式に従って出力分布計算がなされていない時刻での炉心流量操作、制御棒操作が行われている最中の最大線出力密度、最小限界出力比を算出し、これらの熱的特性が運転制限値を逸脱した場合に警報を発し、炉心流量、制御棒操作を停止するものである。
【0043】
ここで、炉心監視装置16がプロセスコンピュータ15から受信する出力分布計算時のストリングまわりの線出力密度は、各ストリングのLPRM検出器の高さに応じて、燃料有効長さ24分割で下部より、LPRM−Aでは第3ノードと第4ノード、LPRM−Bでは第9ノードと第10ノード、LPRM−Cでは第15ノードと16ノード、LPRM−Dでは第21ノードと第22ノードのそれぞれほぼ中間の高さに設置され、それぞれの高さの線出力密度を受信する。
【0044】
又は、それぞれ上下に隣接するノードの線出力密度の高いノードの値、すなわち、LPRM−Aでは第3ノードと第4ノードの高い方の線出力密度を受信するか、もしくは各LPRM検出器に燃料有効部を6ノードずつ4分割した領域の1つをそれぞれ対応させて、6ノード内での最大を受信しても良い。炉心監視装置16は、受信した線出力密度を基準にして、LPRM検出器の指示値変化率から線出力密度を算出する。
【0045】
(実施例2)
本発明の実施例2は、前記実施例1において、基準となる出力分布計算による熱的特性をプロセスコンピュータ15から受信する場合、各ストリングに隣接した燃料集合体4体、及びこれらの燃料集合体位置に対称な位置に装荷されている燃料集合体の中で、最も厳しい限界出力比及び各LPRM検出器の高さに応じた線出力密度を受信して熱的特性を算出するものである。
【0046】
炉心の燃料装荷パターンが完全な対称性を確保できない場合には熱的特性は対称位置の燃料で差が生じるが、本実施例2においては、制御棒操作の対称性から、制御棒操作、炉心流量操作による熱的特性の変化率は、対称位置でほぼ等しくなるという性質を利用する。
【0047】
本実施例2では、ストリングに隣接した燃料集合体及び対称位置に装荷されている燃料集合体の中で、最も厳しい限界出力比及び線出力密度をLPRM指示値上昇率より算出する。これを全ストリングで実施すれば、炉心最外周の一部を除く全燃料集合体で最も厳しい限界出力比、線出力密度が求められる。
【0048】
(実施例3)
本発明の実施例3は、前記実施例1または2において、限界出力比算出過程において、炉心流量の変化に起因する限界出力の変化を考慮した限界出力比の補正を行うものである。
【0049】
限界出力比は、沸騰遷移を起こす限界出力と燃料集合体の出力の比で定義される。燃料集合体内の冷却材流量が増加すると冷却能力が増加するために限界出力が増加する。図5に燃料集合体内流量と限界出力の関係を示す。ここで、燃料集合体内流量の1.0 は、定格炉心流量時の燃料集合体1体当たりの集合体内流量に相当する。
【0050】
図5に示される関係からわかるように、冷却材流量が増加するにつれて限界出力が増加する効果を考慮しない場合、(2)式により計算される限界出力比は、炉心流量増加時は実際よりも過大評価し、また炉心流量減少時は過小評価することになる。
【0051】
そこで本実施例3においては、一定時間毎又は運転員の要求により実施される出力分布計算時と、炉心監視装置16が熱的特性を算出する時点、すなわち限界出力比算出時のそれぞれの時点での炉心流量(燃料集合体内流量)に基づき、炉心流量と限界出力の相関を多項式、あるいは関数で近似する。すなわち、炉心流量と対応する限界出力を求め、この関係から、図4に描かれるような曲線あるいはプロット折れ線を近似する多項式あるいは関数を求める。
【0052】
次に、この近似多項式あるいは近似関数を用いて、出力分布計算時の炉心流量に相当する限界出力と最小限界出力比算出時の炉心流量に相当する限界出力との比を求め、この比を前記(2)式右辺に乗じて限界出力比を算出することで、限界出力比を補正し、炉心流量変化に起因する限界出力の変化を反映した限界出力比を得ることができる。
【0053】
(実施例4)
本発明の実施例4は、前記実施例1または2において、線出力密度算出過程において、制御棒の位置の変化に起因する、線出力密度とLPRM検出器の指示値のそれぞれの上昇率(変化率)の関係の変化に考慮した線出力密度の補正を行うものである。
【0054】
前述した通り、LPRM検出器近傍の線出力密度は、そのLPRM検出器の指示値上昇率(変化率)にほぼ比例するが、制御棒の位置によってその線出力密度とLPRM検出器の指示値の変化率の関係が多少変化する。図5は、ストリングに隣接した1本の制御棒を全挿入状態(制御棒位置0)から全引抜き状態(制御棒位置200 )まで引抜いた場合のストリングに隣接する4体の燃料集合体のうち、LPRM−Aの高さ位置の最大の線出力密度の上昇率(変化率)とLPRM−Aの指示値上昇率(変化率)の比と制御棒位置の関係を示したものである。
【0055】
図5から明らかなように、制御棒全挿入位置(0)から約3/4 まで引抜けた制御棒位置(150 )までは、線出力密度上昇率とLPRM指示値上昇率の比はほぼ1.0 であり、制御棒位置が150 から全引抜き位置の200 の間で、この比が若干低下することが認められる。すなわち、LPRM検出器の指示値上昇率に対して線出力密度の上昇率が小さくなる。
【0056】
このようにして求められた各LPRM検出器の高さ位置における線出力密度上昇率は、図5のようなグラフによって、LPRM指示値上昇率と、制御棒位置との関数として求められる。図5に示すLPRM−Aの場合では、制御棒位置が0から150の範囲では、LPRM指示値上昇率は線出力密度とほぼ等しくなっている。
【0057】
本実施例4では、前記実施例1または2において、ストリングに隣接した燃料集合体4体の各LPRM検出器の高さ位置での最大の線出力密度を求める際に、一定時間毎又は運転員の要求により実施される出力分布計算時と、この出力分布計算時に続く、炉心監視装置16が熱的出力を算出する時点すなわち最大線出力密度算出時の、それぞれにおけるストリングに隣接する制御棒の位置に基づき、線出力密度の上昇率(変化率)を、このLPRM検出器の指示値の上昇率(変化率)と制御棒位置の関数として求める。すなわち、例えば図5に描かれるような、制御棒位置と、線出力密度の上昇率とLPRM検出器指示値の上昇率との比の関係を示す曲線またはプロット折れ線を近似して、線出力密度の上昇率を、LPRM検出器の指示値の上昇率と、制御棒密度の上昇率とを2つのパラメータとして表される関数を求める。
【0058】
こうして求められた関数を用いて、前記(1)式により算出された線出力密度を補正する。例えば、制御棒位置と、上述した2時点にかけてのLPRM検出器指示値の上昇率から、上述の関数を用いて実際の線出力密度上昇率を算定し、この上昇率を前記(1)式右辺に乗じて線出力密度を算出することで、最大線出力密度を補正し、制御棒挿入位置変化に起因するLPRM検出器指示値の変化を反映した最大線出力密度を得ることができる。
【0059】
図5はLPRM−Aの高さ位置における、線出力密度上昇率とLPRM指示値上昇率の比と、制御棒位置との関係を求めたものであるが、同様にしてLPRM−B、C、Dの高さ位置についても本図に対応する関係を求めることにより、より適切な補正が施された線出力密度が得られる。
【0060】
(実施例5)
本発明の実施例5は実施例1または2において、LPRM検出器の高さに隣接しないノード位置での線出力密度を算出する場合に、線出力密度が軸方向に連続であることを利用して着目ノードの上下に位置するLPRM検出器の指示値上昇率を着目ノードの高さで内挿した値を用いて、着目ノード位置での線出力密度を算出するものである。
【0061】
図2(b)に示される検出器集合体として、LPRM−Aは燃料有効長下部より第3ノードと第4ノード、LPRM−Bは第9ノードと第10ノード、LPRM−Cは第15ノードと16ノード、LPRM−Dは21ノードと22ノードのそれぞれほぼ中間の高さに設置されている。
【0062】
LPRM検出器がこのような配置を有する場合に、以下簡単な例として、線出力密度が軸方向に局所的に一定割合で変化すると仮定して、内挿演算に線出力密度変化率を適用した場合を考慮する。LPRM−A及びLPRM−Bの各ノード位置での線出力密度変化率がそれぞれa,bと算出されたとき、この2つのLPRMのノード位置の中点である6ノードと7ノードの中間の高さ位置での線出力密度変化率は
a+(b−a)/2=(a+b)/2
と算出される。同様に、7ノードと8ノードの中間の高さ位置での線出力密度変化率は
a+2(b−a)/3=(a+2b)/3
と算出される。
【0063】
なお、下部の第1ノード、第2ノード及び上部の第23ノード、第24ノードは下部、上部にLPRMが存在しないが、これらのノードでは炉心下部及び上部からの中性子の洩れのため出力が低く、これらのノードの高さで線出力密度が炉心内の最大になることはないので監視は不要である。
【0064】
これにより、4体のLPRM検出器により、着目ノード位置で直接LPRM検出器により検出を行うことなく、着目した高さ位置での線出力密度を精度よく求めることができる。
【0065】
(実施例6)
LPRM検出器は、運転中に電離ガスの漏れ、断線等により故障もしくは検査等のため信号を故意に遮断するバイパス状態になることがある。このような場合、炉心監視装置16は故障又はバイパス状態にあるLPRMの適切な指示値を炉内計装系12から受信できず、そのLPRMを含むストリングに隣接した燃料集合体の熱的特性を算出できないことになる。
【0066】
図1に示す通り、ストリングはc−c'を対称軸にして存在するため対称軸c−c'上のストリングを除くストリングに含まれるLPRMが故障又はバイパス状態の場合は必ず同じ高さ位置で対称なLPRMが一つ存在することになる。
【0067】
本発明の実施例6は、前記実施例1ないし5のいずれかにおいて、このようなLPRMの対称性を利用し、故障又はバイパス状態にあるLPRMの同じ高さで対称位置にある他のLPRMの指示値の上昇率を代用して、故障又はバイパス状態にあるストリングまわりの熱的特性を計算するものである。本実施例は燃料装荷パターン、制御棒パターンの対称性より、対称位置のLPRM指示値上昇率はほぼ等しくなることを利用したものである。
【0068】
本実施例6では、1番のストリングのLPRM−Aが故障又はバイパス状態にあるとき、これとc−c'を対称軸にして対称な17番のストリングのLPRM−Aの指示値は、炉内計装系12を介して炉心監視装置16に受信され、炉心監視装置16はこの指示値を1番のストリングのLPRM−Aの指示値の代用値として取扱い、計算を行う。
【0069】
これにより、一部のストリングのLPRM検出器が故障又はバイパス状態にあるときであっても、そのLPRMを含むストリングに隣接した燃料集合体の熱的特性を精度よく算出することができる。
【0070】
(実施例7)
上述の実施例6においては、対称軸c−c'上のストリングのLPRMには、対称位置のLPRMが存在しないため、この対称軸上のストリングのLPRMが故障又はバイパス状態の場合に代用値を求めることができない。また対称位置の複数のLPRMが同時に故障又はバイパス状態の場合は、代用値を求めることができない。
【0071】
本発明の実施例7は前記実施例6におけるこのような場合にも対応できるようにしたもので、まず図1の対称軸a−a'、b−b'に対しストリング位置を回転対称で展開する。図7にストリングを展開した炉心平面図を示す。図7で四角桝目は、制御棒及び制御棒隣接の4体の燃料集合体すなわち制御棒セルを表す。図7において、各番号は、四角桝目の左上角部におけるストリングの番号である。○印のついたストリング(番号1番〜52番)は、検出器集合体1の存在するストリング(実ストリング)を示している。それ以外は、実ストリングを回転対称で展開したときの実ストリング番号を示している。
【0072】
図7から、例えばストリング番号6Aのストリングに近接する展開されたストリングは23A,34A,26A,24Aのストリングである。すなわち、ストリング番号6Aは23A,34A,26A,24Aのストリングに囲まれており、なおかつそれらは、一番近い位置のストリングになる。このため、ストリング番号6のLPRMが故障もしくはバイパス状態にある時は、これら対称展開した時に近接する1つないし4つのストリングの同一高さのLPRMの指示値上昇率の平均を代用するものである。すなわち、ストリング番号6Aと対称位置にあるストリング6Bに隣接するストリング26B,34BのLPRM検出器の指示値変化率と、ストリング番号6Aと対称位置にあるストリング6Cに隣接するストリング23C,24CのLPRM検出器の指示値変化率との平均を求め、ストリング6AのLPRM検出器の指示値変化率の代用として用いる。
【0073】
また、本実施例の変形例として、原子炉の対称性を利用し、ある検出器集合体が存在するストリング位置に対称なストリング位置にも検出器集合体が配置されているような場合には、このどちらかの検出器集合体のLPRM検出器が故障もしくはバイパス状態にある場合に、このLPRM検出器と同一高さで対称位置にあるLPRM検出器の指示値をもとに、熱的特性の計算を行うことも想定される。
以上説明した7つの実施例においては、適宜複数の実施例を組み合わせて適用することも可能である。
【0074】
次に、本発明に係る炉心監視方法の作用として、オフラインの炉心三次元シミュレータを用いて本発明による炉心監視方法の応答を求めた結果について説明する。
【0075】
図8(a)〜(i)に、出力上昇途中の炉心状態1〜9を示す。制御棒パターンは1/4対称であるため、各図は炉心の1/4 の領域について示しており、出力及び流量は定格熱出力、定格炉心流量を100 %として示している。
【0076】
出力分布計算は図8(a)に示す炉心状態1で実施され、ここでのオフライン炉心三次元シミュレータによる出力分布計算結果を基準にして、図8(b)〜(f)に示す炉心状態2〜6での炉心監視方法による熱的特性計算値とそれぞれの炉心状態に対応するオフライン炉心三次元シミュレータによる出力分布計算結果を比較する。
【0077】
また、同様に図8(f)に示す炉心状態6で出力分布計算が実施されたものとして、図7(g)〜(i)に示す炉心状態7〜9での炉心監視方法による熱的特性計算値とそれぞれの炉心状態に対応するオフライン炉心三次元シミュレータによる出力分布計算結果を比較する。
【0078】
図1の検出器集合体番号26に位置するLPRM指示値上昇率から算出したそれぞれのLPRM高さ位置の線出力密度の計算結果を図9ないし図12に示す。なお、図9ないし図12では線出力密度の代わりにそれと同じ意味を持つ線出力密度と運転制限値の比を示しており、また横軸の炉心状態1〜9は前述の図8(a)〜(i)にそれぞれ対応する。また、ここで実線は本発明の炉心監視方法による応答から求められる比を示したものであり、点線は炉心三次元シミュレータによる実際の線出力密度から求められる比を示している。
【0079】
なお、図9は、LPRM−Aの高さに相当し、線出力密度はストリングまわりの4体の燃料集合体の第3ノード、第4ノードの線出力密度の最大を示している。同様に図10は、LPRM−Bの高さに相当し、線出力密度はストリングまわりの4体の燃料集合体の第9ノード、第10ノードの線出力密度の最大、図11は、LPRM−Cの高さに相当し、線出力密度はストリングまわりの4体の燃料集合体の第15ノード、第16ノードの線出力密度の最大、図12は、LPRM−Dの高さに相当し、線出力密度はストリングまわりの4体の燃料集合体の第21ノード、第22ノードの線出力密度の最大を、それぞれ示している。
【0080】
なお、図9ないし図12に示す本発明に係る炉心監視方法による線出力密度の算出は、(1)式に従い、実施例4で述べた制御棒位置による補正は含まれていない。図9ないし図12から、炉心状態1〜9において、炉心監視は、線出力密度をLPRMの指示値上昇率より精度良く求めていることが分かる。なお、図9に示したLPRM−Aの高さ位置では、炉心状態3〜6で炉心監視方法で算出された線出力密度が若干過大評価しているが、実施例4で述べた制御棒位置の関係を補正することで、更に精度を向上することができる。
【0081】
図13は、同様に図1の検出器集合体番号23に隣接する4体の燃料集合体のうち、最小の限界出力比の推移を示したものである。なお、図12では、限界出力比の代わりに、限界出力比の運転制限値と限界出力比の比を示している。ここで実線は本発明の炉心監視方法によって算出した限界出力比から求められる比であり、点線は炉心三次元シミュレータによる実際の出力分布計算結果である。
【0082】
ここで、本発明の炉心監視方法による限界出力比の算出は(2)式により実施したものであり、LPRM指示値の加重平均はLPRM−A〜D全て同じウエート(重み)としており、また、図5に示す関係を用いて炉心流量の変化による限界出力の変化を補正したものである。図13から、本発明の炉心監視方法によれば、炉心状態に応じて精度良く限界出力比を算出していることが認められる。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、制御棒操作、炉心流量操作時で出力分布計算がなされていない時刻における炉心の熱的特性を瞬時に簡便に求めることができるとともに、直前に実施された出力分布計算結果と、絶えず更新されるプラントデータ、LPRM検出器指示値から精度良く、連続的に熱的特性を監視できる。
【0084】
また、熱的特性が運転制限値を逸脱した場合には、制御棒、炉心流量の自動操作を禁止し、燃料健全性を維持できるとともに、起動、制御棒パターン調整時に熱的特性確認のために操作を停止して出力分布計算を実施する必要がないため、起動、パターン調整に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための1300MWe級沸騰水型原子炉の燃料集合体、制御棒、検出器集合体位置を示す炉心を概略的に示す平面図。
【図2】(a)は図1における炉心の要部を拡大して示す平面図、(b)は(a)における検出器集合体の軸方向を概略的に示す立面図。
【図3】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態における、起動、制御棒パターン調整の手順を示す系統図。
【図4】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態を説明するためのシステム構成図。
【図5】同じく、燃料集合体内流量と限界出力の関係を示す特性図。
【図6】同じく、LPRM−A高さ位置でのストリングに隣接する制御棒位置と線出力密度上昇率とLPRM−A指示値上昇率の比を示す特性図。
【図7】図1の検出器集合体位置をa−a',b−b'で回転対称で展開した時の炉心平面図。
【図8】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態における起動途中の炉心状態を説明するためのもので、(a)から(i)はそれぞれの炉心状態における1/4 炉心平面図。
【図9】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態における第1の特性図。
【図10】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態における第2の特性図。
【図11】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態における第3の特性図。
【図12】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態における第4の特性図。
【図13】本発明に係る炉心監視方法の実施の形態における第5の特性図。
【図14】一般的な起動、制御棒パターン調整の手順を示す系統図。
【図15】従来のLPRM指示値から熱的特性を算出するための炉心を部分的に示す平面図。
【符号の説明】
1…検出器集合体、2…燃料集合体、3…制御棒、4…LPRM検出器、5…TIP校正用導管、6…原子炉圧力容器、7…蒸気乾燥器、8…気水分離器、9…シュラウド、10…制御棒駆動機構、11…インターナルポンプ、12…核計装系、13…再循環流量制御系、14…制御棒操作系、15…プロセスコンピュータ、16…炉心監視装置、17…自動出力調整系、18…プラントデータ。

Claims (7)

  1. 原子炉の炉心流量操作又は制御棒操作を自動で行う出力上昇過程の炉心監視方法において、軸方向にほぼ等間隔で4個所に配置される局所出力領域モニタの存在するストリングに隣接する4体の燃料集合体のなかで局所出力領域モニタの高さ、又は前記局所出力領域モニタに隣接するノード、或いは燃料有効長の1/4毎の最大の線出力密度及び最小の限界出力比を、出力分布計算結果と局所出力領域モニタの指示値の変化率とから (1) 式及び (2) 式により算出し、全ストリングまわりの複数の燃料集合体の算出された線出力密度の最大値及び算出された限界出力比の最小値の少なくとも一方が運転制限値を逸脱した場合に、自動操作停止信号、制御棒操作系に対する制御棒操作禁止信号、流量制御系に対する流量操作禁止信号のうちの少なくとも1つを発することを特徴とする炉心監視方法。
    MFLPDAT(K,ISTR) = MFLPDIN(K,ISTR)
    × (1+(1/FK(K)) × (LPRMAT(K,ISTR)/LPRMIN(K,ISTR)-1)) … (1) 式
    ここで、
    MFLPDAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の最大の線出力密度と運転制限値の比
    LPRMAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのLPRM指示値
    MFLPDIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の出力分布計算による最大の線出力密度と運転制限値の比
    LPRMIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K での出力分布計算時のLPRM指示値
    FK(K) :高さ位置 K での線出力密度算出の安全係数
    MFLCPAT(ISTR) = MFLCPIN(ISTR)
    × (1 + (1/FC) × (LPAVAT(ISTR)/LPAVIN(ISTR)-1)) … (2) 式
    ここで
    MFLCPAT(ISTR) :限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
    MFLCPIN(ISTR) :出力分布計算による限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
    LPAVAT(ISTR) :ストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
    LPAVIN(ISTR) :出力分布計算時のストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
    FC :限界出力比算出の安全係数
  2. 原子炉の炉心流量操作又は制御棒操作を自動で行う出力上昇過程の炉心監視方法において、軸方向にほぼ等間隔で4個所に配置される局所出力領域モニタの存在するストリングに隣接する4体の燃料集合体、及びこの4体の燃料集合体に対称な位置に装荷されている燃料集合体のなかで局所出力領域モニタの高さ、又は前記局所出力領域モニタに隣接するノード、或いは燃料有効長の1/4 毎の最大の線出力密度及び最小の限界出力比を、出力分布計算結果と局所出力領域モニタの指示値の変化率とから(1) 式及び (2) 式により算出し、全ストリングまわりの複数の燃料集合体及びその対称位置の燃料集合体の算出された線出力密度の最大値及び算出された限界出力比の最小値の少なくとも一方が運転制限値を逸脱した場合に、自動操作停止信号、制御棒操作系に対する制御棒操作禁止信号、流量制御系に対する流量操作禁止信号のうちの少なくとも1つを発することを特徴とする炉心監視方法。
    MFLPDAT(K,ISTR) = MFLPDIN(K,ISTR)
    × (1 + (1/FK(K)) × (LPRMAT(K,ISTR)/LPRMIN(K,ISTR)-1)) … (1) 式
    ここで、
    MFLPDAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の最大の線出力密度と運転制限値の比
    LPRMAT(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのLPRM指示値
    MFLPDIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K でのストリングまわり4体の燃料集合体中の出力分布計算による最大の線出力密度と運転制限値の比
    LPRMIN(K,ISTR) :ストリング位置 ISTR 、高さ位置 K での出力分布計算時のLPRM指示値
    FK(K) :高さ位置 K での線出力密度算出の安全係数
    MFLCPAT(ISTR) = MFLCPIN(ISTR)
    × (1+(1/FC) × (LPAVAT(ISTR)/LPAVIN(ISTR)-1)) … (2) 式
    ここで
    MFLCPAT(ISTR) :限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
    MFLCPIN(ISTR) :出力分布計算による限界出力比の運転制限値と、ストリング位置 ISTR まわり4体の燃料集合体中の最小の限界出力比の比
    LPAVAT(ISTR) :ストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
    LPAVIN(ISTR) :出力分布計算時のストリング位置 ISTR に属する4つのLPRM−A〜Dの指示値の加重平均値
    FC :限界出力比算出の安全係数
  3. 前記限界出力比の算出に際して、出力分布計算時の炉心流量と限界出力比算出時の炉心流量から限界出力の炉心流量依存の関係を多項式で近似し、この近似多項式を用いて最小限界出力比算出時に前記限界出力比を補正することを特徴とする請求項1または2記載の炉心監視方法。
  4. 前記線出力密度の算出に際して、出力分布計算時と線出力密度算出時の制御棒位置に基づく線出力密度の変化率を局所出力領域モニタの指示値変化率と制御棒位置の関数として、線出力密度を算出することを特徴とする請求項1または2記載の炉心監視方法。
  5. 前記ストリングに隣接する4体の燃料集合体、又はそれらの対称位置を含めた燃料集合体の線出力密度の算出に際して、局所出力領域モニタの存在しない高さの線出力密度を、出力分布計算結果と着目している高さの上下の局所出力領域モニタの指示値の変化率の内挿値によって算出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の炉心監視方法。
  6. 前記局所出力領域モニタが故障又はバイパス状態の場合には、対称位置で同一の高さに存在する局所出力領域モニタの指示値変化率を故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタの指示値変化率として代用することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の炉心監視方法。
  7. 前記局所出力領域モニタが故障又はバイパス状態の場合には、前記局所出力領域モニタが存在する全ストリングを回転対称で展開した場合に、前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタを含むストリングに近接する複数のストリングの故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタと同じ高さの局所出力領域モニタの平均の指示値上昇率か、あるいは回転対称で展開した場合に、前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタを含むストリングに近接する1本のストリングの前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタの同じ高さの局所出力領域モニタの指示値上昇率を、前記故障又はバイパス状態の局所出力領域モニタの指示値変化率として代用することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の炉心監視方法。
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