JP4065733B2 - 流体分離フィルタ及び流体分離モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガスからのCO2回収などに代表される特定のガスを濃縮するプラント、混合溶剤からの特定物質の濃縮するプラント、アルコールからの脱水を行うプラント、水の純度を高める水処理プラントや淡水化プラント、工場排ガスや発電所から酸素や二酸化炭素等の特定ガスの分離を行う装置、食品関係又は医療関係の分離装置、水素ガスと酸素ガスを燃料として発電する燃料電池の酸素分離層や水素分離層、半導体製造装置から排出されるPFC分離装置、露光装置で使われる希ガス回収装置として好適に使用できる流体分離フィルタ及び流体分離モジュールに関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、各種の流体が混合された混合流体から特定流体だけを濾過分離するフィルタを始め、触媒担持体や電解隔壁等として多孔質体が用いられているが、安全かつ簡便なことからその適用範囲が拡がり、多孔質体を用いた特定の流体の分離濃縮技術は各種燃焼機関をはじめ、濃縮プラント、水処理プラント、食品工業や医療用機器の流体分離、燃料電池、更には廃棄物処理等の様々な分野において注目されている。
【0003】
このような多孔質体として、従来は高分子膜が使用されてきたが、近年は耐熱性、耐薬品性に優れたセラミック分離層が注目されている。特に、最近はオンサイトでガス処理を行なうことが多いため、小型のセラミック分離モジュールが求められている。
【0004】
従来、セラミック分離モジュールには、有機高分子膜などにおいて一般的に使われている中空糸をセラミックスに応用したものが多く用いられていた。このような中空糸構造のフィルタは、チューブ状のセラミック支持体の表面に耐食性、耐熱性を有する分離層を形成し、これを多数束ねたものであり、例えば、特開平11−156167号公報に記載されている。
【0005】
しかし、特開平11−156167号公報に記載された中空糸構造は、チューブ状のセラミック支持体の径を小さくすると強度が低くなって、ハンドリング時に破壊されやすいと共に、高効率の高圧領域で使用が困難であり、また、支持体同士が密着して流路を確保するのが難しく、小型化を図るのが困難であるいという問題があった。
【0006】
そこで、図6に示すように、分離層32を主面及び対向主面に形成したセラミック平板31を、スペーサ34を挟んで積層し、セラミック平板31間に流体の流路を設けるため、総流路長を大きくして小型化を図った流体分離フィルタが、特開平2−198611号公報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平2−198611号公報に記載された平板状支持体構造の流体分離フィルタでは、分離層32を透過した流体成分が、各セラミック平板31の内部を、長い距離にわたって移動し、各段毎に取出口部材35に達した後、通気孔36から一ヶ所に集められた後に回収されるため、回収効率が非常に悪いという問題があり、実用化を阻んでいた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、分離層を透過した透過流体の回収効率を高めた小型の流体分離フィルタ及び流体分離モジュールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多孔質セラミックスからなる平板状支持体の表面に設けられた分離層を透過した透過流体を、平板状支持体の側面から吐出させることによって、平板状支持体内の通過距離を短くし、透過流体の回収効率を顕著に高めることができるという知見に基づき、回収効率を高めた小型の流体分離フィルタを実現したものである。
【0010】
即ち、本発明の流体分離フィルタは、セラミック多孔質体からなる平板状支持体の主面及び対向主面に分離層を設けた複数の流体隔壁と、該流体隔壁間に設けられた複数のスペーサと、該スペーサと流体隔壁とで形成される流体の主流路と、隣接する2つの主流路を連結するための副流路と、前記平板状支持体の内部に前記分離層を透過した透過流体が流れる透過流体流路と、該透過流体が前記平板状支持体の側面から吐出する吐出部を具備することを特徴とする。
【0015】
また、前記スペーサが多孔質体からなり、前記流体流路を形成する前記スペーサの表面に分離層が設けられてなることが好ましい。これにより、複数の成分を含む流体から特定の成分がスペーサに設けられた分離層を透過して分離され、分離フィルタの外部に吐出され、フィルタの効率をさらに一層高めることができる。
【0020】
また、本発明の液体分離モジュールは、上記の流体分離フィルタと、該流体分離フィルタを収納するための容器と、前記液体分離フィルタに流体を供給するための流体導入口と、前記流体分離フィルタを通過した流体を外部に排出するための排出口と、透過流体を回収するための取出口とを具備することを特徴とするものであり、これにより、混合流体から選択的に特定成分を分離濾過させる分離層をシステムとして使用することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明を、図を用いて説明する。
【0022】
本発明の流体分離フィルタは、図1に示すように、セラミック多孔質体からなる複数の流体隔壁1がスペーサ2と交互に積層され、流体が流れる流路3が形成されている。
【0023】
流路3は、図1のa−a′部の断面図である図2に示したように、流体隔壁1とスペーサ2とで構成された主流路3aと、隣接する2つの主流路3a間を連結するための副流路3bで構成される。主流路3aは、流体隔壁1間に複数設けられ、お互いに略平行となっている。また、副流路3bは、流体隔壁1に設けられた連通孔として形成されている。流体は、図2の中の矢印で示したように、主流路3aと副流路3bを交互に流れる。
【0024】
流体隔壁1は、平板状支持体4と、平板状支持体4の主面5aに設けられた分離層6aと、対向主面5bに設けられた分離層6bとから構成され、分離層6a、6bは流体の主流路3aを形成し、流体隔壁1の一部には副流路3bとなる連通孔が設けられている。
【0025】
また、流体隔壁1の断面図である図3に示したように、平板状支持体4の内部4aには、気孔が連なって形成された透過流体流路が設けられ、側面7の少なくとも一部には透過流体の吐出する吐出部が設けられている。
【0026】
流路3を流れる流体の成分の一部は、図3の矢印で示したように、分離層6a、6bを透過すると平板状支持体4の表面部4bから内部4aへ浸透し、内部4aに設けられた透過流体流路を通って側面7に達する。そして、透過流体が側面7から吐出する。
【0027】
本発明によれば、上述のように、流体分離フィルタが流体隔壁1と、スペーサ2と、主流路3aと、副流路3bと、透過流体流路と、吐出部とを具備することが重要である。
【0028】
本発明の流体分離フィルタは平板構造であるため、中空糸構造に比べて、セラミック多孔質体中を移動する距離が長い。従って、透過流体の移動距離を短縮して透過効率を高めるため、透過流体を平板状支持体4の側面7から吐出させることが重要である。側面7から透過流体を吐出させると、透過流体流路が短縮でき、透過流量を増加させ、透過効率を高めることが可能となる。
【0029】
平板状支持体4の主面5a及び対向主面5bが他の多角形である場合、透過流体流路が多角形の辺の長さ以下であることが好ましい。例えば、図1のように平板状支持体4が四角柱(直方体)の場合、主面5a及び対向主面5bの形状が長方形で透過流体が4方向(4側面)に吐出することが可能であり、六角柱(8面体)の場合、主面5a及び対向主面5bの形状が6角形で、6方向(6側面)からの吐出が可能であり、吐出した透過流体を捕集する。
【0030】
また、平板状支持体4が円柱の場合、平板状支持体4の主面5a及び対向主面5bの形状が円である場合、透過流体流路が前記円形の半径以下であることが好ましい。このような構成にすることで、主面が多角形であっても円形であっても、いずれの場合でも透過流体が側面7に至るまでの透過流体流路を短くし、回収効率を高めるのに寄与することができる。
【0031】
また、全側面7の総面積に対する透過流体が吐出する側面7の面積の比率を高めることによって、透過効率を容易に高めることができる。即ち、全側面7の総面積(Sall)に対する透過流体が吐出する側面7の部位の面積(Sf)の比Sf/Sallを50%以上、特に70%以上、更には90%以上にすることが好ましい。さらに、平板状支持体4の固定やその他の理由で側面7の一部が使用できない場合もあるが、比Sf/Sallは100%又は100%に近いのが良い。
【0032】
平板状支持体4は、流体の主流路3aを形成し、複数の成分からなる流体と接しており、その一部の成分が分離層6を透過した透過流体は平板状支持体4の内部を流れるため、透過量を増やし、透過速度を高める上では、平板状支持体4内部の気孔率が、表面部4b、即ち主面5a及び対向主面5b付近での気孔率よりも大きいことが好ましい。
【0033】
具体的には、平板状支持体4全体の平均としての気孔率は、透過ガスが平板状支持体4中を透過しやすくするため、15%以上、特に20%以上、更には25%以上であることが望ましく、さらには、平板状支持体4の強度を確保し、ハウジングなどへ組み立てる際に、平板状支持体4が破損したり、操作中に平板状支持体4を構成する粒子が脱粒することを防止するためには、平板状支持体4の気孔率が60%以下、特に50%以下、更には40%以下であることが望ましい。
【0034】
また、平板状支持体4の内部4aの気孔率は、流体隔壁1の強度を確保し、ハウジングなどへ組み立てる際の破損、操作中に平板状支持体4を構成する粒子が脱粒すること等、支持体として機械強度の低下を抑制しつつ大きな透過係数を実現するため、上限が60%、特に55%、更には50%であることが好ましい。また、透過流体が十分な透過流体流路を確保し、より高い透過効率を得るためには、平板状支持体4の気孔率の下限を20%、特に25%、更には30%にすることが好ましい。
【0035】
平板状支持体4の表面部4bは、分離層を透過した流体の一部の成分からなる透過流体を効率良く透過させるとともに、1nm程度の細孔径を有する分離層を表面に形成するため、これらの分離層6にピンホールや欠陥が発生しないように、表面部4bの気孔率及び平均気孔径を制御するのが良い。具体的には、気孔率が8〜30%、特に10〜25%、更には12〜20%、平均気孔径が0.05μm〜1μm、特に0.1μm〜0.8μm、更には0.1〜0.5μmを例示できる。
【0036】
平板状支持体4の内部4aは、気孔が連なって透過流体経路を形成し、透過流体がスムーズに流れる。従って、多孔質である平板状支持体4の内部4aにおける透過流体の圧力損失を小さくし、高い透過速度を実現するためには、内部4aの気孔率及び平均気孔径を表面部4bよりも大きくすることが好ましい。
【0037】
平板状支持体4の厚みは、透過流体流路の断面積を大きくして透過流体量を増かさせるため、下限を0.2mm、特に0.4mm、更には0.6mmであることが好ましく、単位体積当たりの流体分離フィルタに含まれる分離層6の面積を大きくし、流路3の総延長を大きくしつつ小型化を図るため、上限を20mm、特に15mm、更には10mmであることが好ましい。
【0038】
平板状支持体4の材料としては、α−アルミナや安定化ジルコニアを主成分とするセラミックスやシリカ系ガラス(分相ガラス)、Si3N4、SiC等を用いることができるものの、耐熱性が高いこと、容易に作製できること、及び低コストの点でα−アルミナを主成分とするセラミックスが良い。
【0039】
分離層6は、Si、Ti、Zr、Alの少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは、酸化物として分離層6を形成する。これらのうち、アルコキシド状態では反応性が低く局所的な反応を進むことが抑制でき、Si−O−Siのネットワークを組むことで1nm以下の細孔径の作製が容易である観点からSiが更に良い。
【0040】
その際の流体によって平板状支持体4が加圧されていることが好ましい。このように平板状支持体4に圧力が加わると透過速度が高まり、更に透過効率を高めることが可能となる。具体的には、気体の場合、1.5atm以上、特に2atm以上、更には3atm以上であることが好ましい。
【0041】
また、平板状支持体4は薄いため、機械的損傷を防止するため、平板状支持体4の主面5aに加わる圧力と、対向主面5bに加わる圧力が略同一であることが好ましい。即ち、主面5aの接する流体の圧力が、対向主面5bと接する流体の圧力と略同一であれば良い。このように、平板状支持体4の上下面から均等な圧力によって支えられるため、特別の応力の発生を防止でき、クラックや破壊を防止することができる。
【0042】
スペーサ2は、密封性を高めるため相対密度が98%以上、特に99%以上であることが好ましい。これにより、流路3の供給ガスが流体分離層フィルタから漏れ出すことを防ぐことが出来る。なお、スペーサ2の相対密度は、スペーサ2を構成する材質等により適宜算出して求めることができる。
【0043】
また、スペーサ2の厚みは0.2〜20mm、特に0.5〜15mm、更には1〜10mmが好ましい。スペーサ2は流路を形成するとともに、その厚みをこのような範囲に設定することで、流体と分離層6との接触面積を大きくし、透過流体の回収効率を高め、且つ流体分離フィルタとしてクラックの発生防止に寄与することができる。
【0044】
スペーサ2は、耐食性を高めるため、所望のセラミックスを用いるのが良い。例えば、アルミナや安定化ジルコニアを主成分とするセラミックス、シリカ系ガラス(分相ガラス)、Si3N4、SiC等を好適に用いることができる。これらのうち、耐熱性、製造の容易性、低コストの点でα−アルミナを主成分とするセラミックスが良い。
【0045】
また、積層体を形成するため、平板状支持体4との密着性を高め、クラックや剥離の発生を効果的に防止するように、スペーサ2を平板状支持体4と略同一の材料で構成することが好ましい。
【0046】
本発明によれば、流体分離フィルタの使用環境や要求特性によって、スペーサ2に関して2通りの材料設計を行うことができる。即ち、第一に強度等の機械的信頼性や流体分離の信頼性が要求される場合であり、第二にフィルタとして高特性が要求される場合である。
【0047】
機械的信頼性や流体分離の信頼性が要求される第一の場合、スペーサ2の相対密度を98%以上、特に99%以上にすることが好ましい。このようにスペーサ2に緻密なセラミックスを用いると、流体分離フィルタの骨格が高強度、高靭性、高耐衝撃性等のような機械的信頼性の高い緻密セラミックスで構成されるため、壁面及び内部4aに比較的多孔質のセラミックスを用いても流体分離フィルタの機械的信頼性を高めることができ、また、流体がスペーサ2を透過してスペーサ2の側面から吐出するのを防止でき、流体分離の信頼性を高めることができる。
【0048】
フィルタとしての高特性が要求される第二の場合、スペーサ2の少なくとも流体と接する部位に分離層6を設けることが好ましい。平板状支持体4に加えてスペーサ2を通して流体分離を行うことができる。平板状支持体4で分離された透過流体は平板状支持体4の内部の比較的長い距離を移動するが、スペーサ2で分離された透過流体は、スペーサ2の厚み分の短距離を移動するだけなので分離効率が高く、その結果、スペーサ2に設けられた分離層6の面積にもよるが、さらに10〜200%もの分離効率を高めることができる。
【0049】
流体は、平板状支持体4の表面に設けられた分離層3と接していれば良く、その流れる方向、流量、或いは流速には特に制限がない。しかし、特定の成分を効率良く透過させるため、流路のあらゆる部位において流体が流動し、常に新鮮な流体が供給されることが好ましい。
【0050】
また、平板状支持体4は薄いため、機械的損傷を防止するため、平板状支持体4の主面5aに加わる圧力と、対向主面5bに加わる圧力が略同一であることが好ましい。即ち、主面5aの接する流体の圧力が、対向主面5bと接する流体の圧力と略同一であれば良い。このように、平板状支持体4の主面5a及び対向主面5bの上下面から均等な圧力によって支えられるため、平板状支持体4に加わる応力を低く抑えることができ、クラックや破壊を防止することができる。
【0051】
主流路3aは、特に制限はないものの、流体と分離層6とが広範な範囲で接触し、且つよどみがなく新鮮な流体が分離層6に供給されることが好ましい。そのため、主流路3aを図4(a)のように単純構造にしても良いが、(b)に示すような櫛型形状にすることが望ましい。このように、流路の距離を伸ばし、全ての流体を強制的に流すことにより、流路に大きなよどみの発生するのを防止し、分離層6に新鮮な流体を常時供給でき、その結果、分離効率をさらに高めるのに効果がある。
【0052】
以上のような構成を有する流体分離フィルタは、高い耐圧性を有する特徴があり、高圧で用いられる天然ガスからのCO2分離や石油コンビナート等の石油化学プロセスに、また単位体積当たりに占める膜面積が高いという特徴を有しているため、流体分離フィルタを設置する面積を大きく取れない用途、具体的には半導体製造ラインに使われるPFC分離装置、露光装置に使われる希ガス分離装置に使われる分離装置として好適に使用することができる。
【0053】
次に、流体分離フィルタの製造方法について説明する。
【0054】
まず、平板状支持体4を作製するため、所望の原料粉末を混合し、成形する。成形方法としては、プレス成形、押し出し成形、射出成形、冷間静水圧成形等の公知の成形手段を使用でき、コストと基板の反りを考慮すると粉末圧延法で作製することが望ましい。得られた成形体を焼成し、焼結体を得た。
【0055】
本発明によれば、気孔率及び平均細孔径が、表面部4bよりも内部4aで大きくなるように、平板状支持体4の厚みを好適に調整し、かつ成型温度、湿度の調整を行うと良い。
【0056】
次に、分離層6を作製する。分離層6は、ゾルゲル法、CVD法、スパッタ法などによって作製できるが、製造の容易さでゾルゲル法が好ましい。以下に、ゾルゲル法を用いた場合、特にSi、Ti、Zr、Alの元素のうちSiを含む分離層6の製造方法を取り上げて説明する。
【0057】
分離層6の原料としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラプロポキシシラン等のシリコンアルコキシドを用意する。
【0058】
この原料を用いて、まず、前駆体ゾルを作製する。即ち、シリコンアルコキシドをアルコール等の溶媒に溶解させ、水を加えて加水分解する。
【0059】
得られた前駆体ゾルを平板状支持体4の表面に塗布し、その後、焼成して分離層6を形成することができる。焼成は、大気中、350〜700℃、特に400〜600℃で熱処理することによりゲル内でSi−Oのシロキサン結合が進行し、強固な膜となるとともに、前記有機官能基が熱処理により分解、除去され細孔を生成する。
【0060】
焼成温度及び焼成時間に関しては、分離層6の平均細孔径の大きさによって異なるが、ガス分離の場合には、平均細孔径が0.2〜1.3nm、特に0.3〜1.0nm、さらには0.4〜0.8nmとなるように上記の焼成条件を調整することが好ましく、これによって分離特性の高い膜の作製ができる。
【0061】
また、焼成においては、分離層6が、平板状支持体4との界面に反応生成物を生じることがないように焼成条件を制御することが好ましい。具体的には400〜800℃の温度、好ましくは450〜600℃の焼成温度で行なう。平板状支持体4の表面に層状に被覆され、平滑な表面を形成することが望ましい。
【0062】
焼成温度及び焼成時間に関しては、分離層6の平均細孔径の大きさによって異なるが、ガス分離フィルタの場合、平均細孔径が0.2〜1.3nm、特に0.3〜1.0nm、更には0.4〜0.8nmとなるように上記の焼成条件を調整することが好ましい。例えば、水素ガスを他のガスから分離するためには0.25〜0.6nm、CO2とCH4とを分離するためには0.3〜0.8nm、N2ガスとCF4ガスとを分離するためには0.35〜1.0nmの平均細孔径に設定するのがよく、これによって分離特性を高めることができる。
【0063】
特に内部4aの気孔率及び平均細孔径を表面部4bよりも大きくするため、焼成温度での保持時間を短くする。
【0064】
なお、分離層6は、平板状支持体4の主面5a及び対向主面5bに被着形成するが、分離層6の厚みが0.01〜5μm、特に0.1〜4μm、さらには0.5〜3μmとなるようにゾルの粒径を調整する。
【0065】
なお、平板状支持体4と分離層6との間に中間層を設け、分離層6の密着性を高めることができる。中間層にはチタニア、ジルコニア、アルミナ等を用いることができ、そのため、原料としてはこれらのアルコキシドを準備すれば良い。
【0066】
スペーサ2は平板状支持体4を仕切るために用いられスペーサ2からガス漏れが発生しないように緻密体である必要がある。スペーサ2は平板支持体4同士間に設置され平板支持体と熱膨張係数が近いことが好ましい。これにより、耐熱性の高い流体分離層モジュールとなる。
【0067】
このようにして作製された平板状支持体4をスペーサ2と交互に積み重ねることによって積層体が作製される。積層される平板状支持体4とスペーサ2の枚数は必要とする膜面積によって変化する。また積層させた積層体の両端部には緻密体の平板を設ける。この平板は熱膨張係数をスペーサ2と近い材質を選ぶことが好ましい。具体的にはスペーサ2がアルミナの場合はアルミナを用いる。また、平板状支持体4とスペーサ2、スペーサ2と両端の緻密体との接続にはアルミナと熱膨張係数の近いガラスペーストを用いたガラス接合が好ましい。これにより全ての部材をセラミック性とすることが出来、耐熱性、耐食性に優れた流体分離フィルタを作製できる。
【0068】
本発明の流体分離モジュールは、図5に示したように、上記の流体分離フィルタ21が容器22の内部に複数配置され、容器22の内部に流体を供給するための流体導入口23と、流体分離フィルタ21を通過した流体を外部に排出するための排出口24と、透過流体を回収するための取出口25とを備えている。
【0069】
複数の成分を有する流体、例えばH2とCO2の混合ガスが、流体導入口23から容器22へ導入され、流体が流体分離フィルタ21と接し、流体の一部が流体分離フィルタ21の表面に設けられた分離層を透過し、流体分離フィルタ21内の分離層を透過した透過流体は側面27に移動し、取出口25から取り出される。
【0070】
上記の構成を有する本発明の流体分離モジュールは、高い耐圧性を有する特徴があり、高圧で用いられる天然ガスからのCO2分離や石油コンビナート等の石油化学プロセス等にも好適に用いることができる。また、透過、非透過のどちらのガスも回収が可能となる。
【0084】
【発明の効果】
本発明は、セラミック多孔質体からなる平板状支持体の主面及び対向主面に分離層を設けてなる流体隔壁を複数積層し、該流体隔壁間に流体が流れる流路を形成してなる積層体を作製することにより、流体処理量が大きく高圧領域に好適な流体分離フィルタを実現することができる。
【0085】
特に、スペーサに緻密なセラミックスを用いることによって、耐食性と機械的信頼性が更に高い流体分離フィルタを実現でき、また、スペーサに多孔質セラミックスを用いて、流体と接する部位に分離層を形成することによって、分離効率のより高い流体分離フィルタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の流体分離フィルタを示す概略斜視図である。
【図2】本発明の図1の流体分離フィルタのa−a′部の概略断面図である。
【図3】本発明の流体分離フィルタの一部を示す概略断面図である。
【図4】本発明の流路の一例を示す概略断面図で、(a)は平板形状の場合、(b)は櫛型形状の場合である。
【図5】本発明の流体分離モジュールを示す概略断面図である。
【図6】従来の流体分離フィルタを示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・流体隔壁
2・・・スペーサ
3・・・流路
3a・・・主流路
3b・・・副流路
4・・・平板状支持体
5a・・・主面
5b・・・対向主面
6、6a、6b・・・分離層
7・・・側面
Claims (2)
- セラミック多孔質体からなる平板状支持体の主面及び対向主面に分離層を設けた複数の流体隔壁と、該流体隔壁間に設けられた複数のスペーサと、該スペーサと流体隔壁とで形成される流体の主流路と、隣接する2つの主流路を連結するための副流路と、前記平板状支持体の内部に前記分離層を透過した透過流体が流れる透過流体流路と、該透過流体が前記平板状支持体の側面から吐出する吐出部を具備するとともに、前記スペーサが多孔質体からなり、前記主流路を形成する前記スペーサの表面に分離層が設けられてなることを特徴とする流体分離フィルタ。
- 請求項1に記載の流体分離フィルタと、該流体分離フィルタを収納するための容器と、前記流体分離フィルタに流体を供給するための流体導入口と、前記流体分離フィルタを通過した流体を外部に排出するための排出口と、透過流体を回収するための取出口とを具備することを特徴とする流体分離モジュール。
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