JP4075178B2 - 信頼性に優れたブラインドビア孔を有するプリント配線板用銅張板の製造方法 - Google Patents
信頼性に優れたブラインドビア孔を有するプリント配線板用銅張板の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張板の銅表面に、高出力の炭酸ガスレーザーを直接照射して孔あけした後に、得られたブラインドビア孔の内部の銅箔表面に付着残存する樹脂層を、好適には気相処理してから湿潤処理し、表裏の銅箔を平面的にエッチング除去するとともに孔周囲のバリをも除去し、ブラインドビア孔内部の殆どを銅メッキして作成するプリント配線板用銅張板の製造方法に関する。得られたプリント配線板は、小径の孔を有する、高密度の小型プリント配線板として、新規な半導体プラスチックパッケージ用等に主に使用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体プラスチックパッケージ等に用いられる高密度のプリント配線板は、ブラインドビア孔をメカニカルドリルで直接、或いは孔あけ前に、表層の銅箔を孔あけする部分だけエッチング除去し、その後絶縁層を炭酸ガスレーザーであけていた。メカニカルドリルであける場合、内層の銅箔厚みが薄い、または銅張板の厚みバラツキが大きいと、内層或いはすぐ下の銅箔の途中でドリルを止めるのが困難であり、時としてブラインドビア孔底部の銅箔を貫通して不良の原因となっていた。炭酸ガスレーザーで孔あけする場合、ブラインドビア孔側面及び底部の銅箔表面には1μm程度の樹脂層が残り、銅メッキ前にデスミア処理を施す必要があった。孔径が小さい場合や液の孔内部への接触が不十分な場合には、デスミア処理が不十分となり、銅メッキのブラインドビア孔底部への接着不良が発生し、信頼性に劣る結果となっていた。加えて、デスミア処理は、一般のデスミア処理に比べて2〜3倍の時間を要し、作業性が悪い、液が孔壁からしみ込む等の問題が見られた。
【0003】
また、炭酸ガスレーザーを照射する場合、直接炭酸ガスレーザーを銅箔面に照射すると、レーザー光が反射し、銅箔に孔があかないため、従来は、まず表層の銅箔を所定の大きさにエッチング等で除去し、これに低出力の炭酸ガスレーザーを照射して樹脂の露出した部分を加工してブラインドビア孔を形成していた。この場合、100μm以下の小径の孔を銅箔にエッチングであける場合、銅箔が厚いと孔径精度が悪い等の欠点が見られた。
更には、内層に銅箔がある場合、表層の銅箔をエッチング除去して低エネルギーで孔あけを行なっても、内層銅箔の孔あけができずに、ブラインドビア孔の側面に銅層があるビア孔を形成できなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題点を解決した、銅張板に小径のブラインドビア孔を形成し、内層銅箔とメッキ銅との接合性を向上したプリント配線板の製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
銅箔表面に孔あけ用補助材料として融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol以上の金属化合物粉、カーボン粉又は金属粉の1種或いは2種以上の成分を3〜97vol%含む樹脂組成物層を、塗料もしくはシート状で、好ましくは30〜200μmの厚みで配置するか、または銅箔表面を酸化金属処理した後、炭酸ガスレーザーの出力20〜60mJ/パルスから選ばれる高エネルギーの炭酸ガスレーザーで表層銅箔の孔あけをし、内層のビア孔底部銅箔表面まで照射してからレーザーを止める、或いは表層銅箔を孔あけしてから、ブラインドビア孔底部の銅箔を照射する時にエネルギーを5〜35mJ/パルス に落として1ショット銅箔表面を加工し、ブラインドビア孔を形成する。
ブラインドビア孔形成後、銅張板の表面を機械的に研磨してバリをとることも可能であるが、完全にバリを取るためには、好適には銅箔の両表面を平面的にエッチングし、もとの金属箔の一部の厚さをエッチング除去することにより、孔部に張り出した銅箔バリもエッチング除去することができる。こうすることにより、銅箔が薄くなり、その後の金属メッキでメッキアップして得られた表裏銅箔の細線の回路形成において、ショートやパターン切れ等の不良の発生もなく、高密度のプリント配線板を作成することができる。この表裏銅箔のエッチングによる薄銅化の後、孔内部の銅箔表面に付着する樹脂層を気相処理を行い、その後湿潤処理を行って除去する。もちろん、高密度のプリント配線板を作成する必要のない場合、ブラインドビア孔あけ後に機械研磨、或いはソフトエッチング処理を行い、その後、孔内部を銅メッキで80%以上充填して表層の銅箔と孔内部の銅箔の接続を行うことにより、接続の極めて優れたビア孔が得られる。また、加工速度はドリルであける場合に比べて格段に速く、生産性も良好で、経済性にも優れているものが得られた。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、炭酸ガスレーザーを用いて、少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張板に、特に小径のブラインドビア孔をあける方法及びその孔内部の銅箔表面に付着した好適な樹脂層の除去方法、及び孔内部への銅メッキに関する。孔あけ加工されたプリント配線板は、主に半導体チップの搭載用として使用される。両面銅張板、多層板の炭酸ガスレーザーによるブラインドビア孔あけにおいて、レーザーを照射する面に、酸化金属処理を施すか、融点900℃で、且つ結合エネルギー300kJ/mol 以上の酸化金属粉、カーボン、又は金属粉と水溶性樹脂とを混合した塗料を、塗布して塗膜とするか、熱可塑性フィルムの片面に、総厚み30〜200μmとなるように付着させて得られる孔あけ用補助シートを配置し、好適には銅箔面に接着させて、その上から炭酸ガスレーザーを直接表面に照射し、銅箔を加工除去することによる、ブラインドビア孔形成の方法、その内部の銅箔表面に付着した樹脂残存層の除去方法、及び孔内部への銅メッキの充填された銅張板、多層板を用いた、信頼性に優れたプリント配線板の製造方法に関する。
【0007】
本発明で使用する銅張板は、少なくとも2層以上の銅の層が存在する両面銅張板、或いは両面銅張多層板であり、基材補強されたもの、フィルム基材のもの、補強基材の無い樹脂単独のもの等が使用可能である。
【0008】
本発明のレーザー孔あけ用補助シートは、そのままでも使用可能であるが、孔あけ時に多層板の上に置いて、できるだけ密着させることが、孔の形状を良好にするために好ましい。一般には、シートを多層板の上にテープ等で貼り付ける等の方法で固定、密着して使用するが、より完全に密着するためには、得られたシートを、両面銅張板、多層板の表面に、樹脂付着した面を向け、加熱、加圧下に樹脂を溶融させて接着させるか、或いは樹脂表層面3μm以下を水分で事前に湿らした後、室温にて加圧下に接着させることにより、銅箔表面との密着性が良好となり、孔形状の良好なものが得られる。
樹脂組成物として、水溶性でない、有機溶剤に溶解可能な樹脂組成物も使用可能である。しかしながら、炭酸ガスレーザー照射で、孔周辺に樹脂が付着することがあり、この樹脂の除去が、水ではなく有機溶剤を必要とするため、加工上煩雑であり、又、後工程の汚染等の問題点も生じるため、好ましくない。
【0009】
基材としては、一般に公知の、有機、無機の織布、不織布が使用できる。具体的には、無機の繊維としては、E、S、D、Mガラス等の繊維等が挙げらる。又、有機繊維としては、全芳香族ポリアミド、液晶ポリエステルの繊維等が挙げられる。これらは、混抄でも良い。
【0010】
本発明の多層板で基材と共に使用される熱硬化性樹脂組成物の樹脂としては、一般に公知の熱硬化性樹脂が使用される。具体的には、エポキシ樹脂、多官能性シアン酸エステル樹脂、 多官能性マレイミドーシアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、不飽和基含有ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられ、1種或いは2種類以上が組み合わせて使用される。出力の高い炭酸ガスレーザー照射による加工でのスルーホール形状の点からは、ガラス転移温度が150℃以上の熱硬化性樹脂組成物が好ましく、耐湿性、耐マイグレーション性、吸湿後の電気的特性等の点から多官能性シアン酸エステル樹脂組成物が好適である。
【0011】
本発明の好適な熱硬化性樹脂分である多官能性シアン酸エステル化合物とは、分子内に2個以上のシアナト基を有する化合物である。具体的に例示すると、1,3-又は1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-、1,4-、1,6-、1,8-、2,6-又は2,7-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、4,4-ジシアナトビフェニル、ビス(4-ジシアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモー4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、ビス(4-シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4-シアナトフェニル)スルホン、トリス(4-シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4-シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラックとハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などである。
【0012】
これらのほかに特公昭41-1928、同43-18468、同44-4791、同45-11712、同46-41112、同47-26853及び特開昭51-63149号公報等に記載の多官能性シアン酸エステル化合物類も用いら得る。また、これら多官能性シアン酸エステル化合物のシアナト基の三量化によって形成されるトリアジン環を有する分子量400〜6,000 のプレポリマーが使用される。このプレポリマーは、上記の多官能性シアン酸エステルモノマーを、例えば鉱酸、ルイス酸等の酸類;ナトリウムアルコラート等、第三級アミン類等の塩基;炭酸ナトリウム等の塩類等を触媒として重合させることにより得られる。このプレポリマー中には一部未反応のモノマーも含まれており、モノマーとプレポリマーとの混合物の形態をしており、このような原料は本発明の用途に好適に使用される。一般には可溶な有機溶剤に溶解させて使用する。
【0013】
エポキシ樹脂としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、液状或いは固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂;ブタジエン、ペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンチルエーテル等の二重結合をエポキシ化したポリエポキシ化合物類;ポリオール、水酸基含有シリコン樹脂類とエポハロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル化合物類等が挙げられる。これらは1種或いは2種類以上が組み合わせて使用され得る。
【0014】
ポリイミド樹脂としては、一般に公知のものが使用され得る。具体的には、多官能性マレイミド類とポリアミン類との反応物、特公昭57-005406 に記載の末端三重結合のポリイミド類が挙げられる。
【0015】
これらの熱硬化性樹脂は、単独でも使用されるが、特性のバランスを考え、適宜組み合わせて使用するのが良い。
【0016】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、エポキシ化ブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量のelasticなゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン-イソプレンゴム、ポリエチレン-プロピレン共重合体、4-フッ化エチレン-6-フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。また、その他、公知の有機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。必要により、反応基を有する化合物は硬化剤、触媒が適宜配合される。
【0017】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、それ自体は加熱により硬化するが硬化速度が遅く、作業性、経済性等に劣るため使用した熱硬化性樹脂に対して公知の熱硬化触媒を用い得る。使用量は、熱硬化性樹脂100重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
【0018】
本発明で使用する補助材料の中の、融点900℃以上で、且つ、結合エネルギー300kJ/mol 以上の金属化合物としては、一般に公知のものが使用できる。具体的には、酸化物としては、酸化チタン等のチタニア類、酸化マグネシウム等のマグネシア類、酸化鉄等の鉄酸化物、酸化ニッケル等のニッケル酸化物、二酸化マンガン、酸化亜鉛等の亜鉛酸化物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、希土類酸化物、酸化コバルト等のコバルト酸化物、酸化錫等のスズ酸化物、酸化タングステン等のタングステン酸化物、等が挙げられる。非酸化物としては、炭化珪素、炭化タングステン、窒化硼素、窒化珪素、窒化チタン、窒化アルミニウム、硫酸バリウム、希土類酸硫化物等、一般に公知のものが挙げられる。その他、カーボンも使用できる。更に、その酸化金属粉の混合物である各種ガラス類が挙げられる。又、カーボン粉が挙げられ、更に銀、アルミニウム、ビスマス、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、パラジウム、アンチモン、ケイ素、錫、チタン、バナジウム、タングステン、亜鉛等の単体、或いはそれらの合金の金属粉が使用される。これらは一種或いは二種以上が組み合わせて使用される。平均粒子径は、特に限定しないが、1μm以下が好ましい。
【0019】
炭酸ガスレーザーの照射で分子が解離するか、溶融して飛散するために、金属が孔壁等に付着して、半導体チップ、孔壁密着性等に悪影響を及ぼさないようなものが好ましい。Na,K,Clイオン等は、特に半導体の信頼性に悪影響を及ぼすため、これらの成分を含むものは好適でない。配合量は、3〜97vol%、好適には5〜95vol%が使用され、好適には水溶性樹脂に配合され、均一に分散される。
【0020】
補助材料の水溶性樹脂としては、特に制限はしないが、混練して銅箔表面に塗布、乾燥した場合、或いはシート状とした場合、剥離欠落しないものを選択する。例えばポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエーテル、澱粉等、一般に公知のものが使用される。
【0021】
金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉と樹脂からなる組成物を作成する方法は、特に限定しないが、ニーダー等で無溶剤にて高温で練り、熱可塑性フィルム上にシート状に押し出して付着する方法、水に水溶性樹脂を溶解させ、これに上記粉体を加え、均一に撹拌混合して、これを用い、塗料として熱可塑性フィルム上に塗布、乾燥して膜を形成する方法等、一般に公知の方法が使用できる。厚みは、特に限定はしないが、一般には総厚み30〜200μmで使用する。
【0022】
それ以外に銅箔表面に酸化金属処理を施してから同様に孔あけすることが可能であるが、孔形状等の点からも上記補助材料を使用するが方が好ましい。
銅箔面に加熱、加圧下にラミネートする場合、塗布樹脂層を銅箔面に向け、ロールにて、温度は一般に40〜150℃、好ましくは60〜120℃で、線圧は一般に5〜30kg、好ましくは10〜20kgの圧力で樹脂層を溶融させて銅箔面と密着させる。温度の選択は使用する水溶性樹脂の融点で異なり、又、線圧、速度によっても異なるが、一般には、水溶性樹脂の融点より5〜20℃高い温度で貼り合わせる。
又、室温で密着させる場合、塗布樹脂層表面3μm以下を、ラミネート前に水分で湿らせて、水溶性樹脂を少し溶解させ、同様の圧力で貼り合わせる。水分で湿らせる方法は特に限定しないが、例えばロールで水分を塗膜樹脂面に連続的に塗布するようにし、その後、連続して銅張積層板の表面に貼り合わせる方法、水分をスプレー式に連続して塗膜表面に吹き付け、その後、連続して銅張積層板の表面に貼り合わせる方法等が使用し得る。
【0023】
基材補強多層板は、まず上記補強基材に熱硬化性樹脂組成物を含浸、乾燥させてBステージとし、プリプレグを作成する。次に、このプリプレグを所定枚数重ね、少なくとも片面に銅箔を配置して、加熱、加圧下に積層成形し、銅張積層板とする。銅箔の厚みは、好適には5〜18μmである。内層銅箔は、貫通孔を形成する場合、好適には12〜35μmである。ブラインドビア孔を形成する場合、好適には18〜70μmである。
【0024】
多層板は、基材補強した銅張積層板に回路を形成し、銅箔表面処理後、少なくとも片面に、Bステージの基材補強プリプレグ、或いは基材補強していない樹脂シート、樹脂付き銅箔、塗料塗布による樹脂層等を配置し、必要により、その外側に銅箔を置き、加熱、加圧、好ましくは真空下に積層成形した銅張多層板を使用する。
【0025】
銅張積層板或いは多層板の、炭酸ガスレーザーを照射する面の、少なくとも孔形成位置の銅箔表面に、融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol の金属化合物粉3〜97vol%、好ましくは5〜95vol%含む樹脂組成物を、熱可塑性フィルム上、総厚み30〜200μmとなるように付着させ、これを何も処理していない銅箔面に、テープ等で固定して密着させるか、加熱、加圧下に樹脂を溶融させて貼り付けて密着させるか、或いは水溶性樹脂組成物表層に水分を含ませ、室温で加圧下に貼り合わせて水溶性樹脂表層を溶解させて密着させる等の方法で配置し、この上から、目的とする径まで絞った、20〜60mJ/パルス から選ばれた高出力のエネルギーの炭酸ガスレーザー光を直接照射することにより、銅箔を加工して孔あけを行なう。
【0026】
炭酸ガスレーザーを、出力20〜60mJ/パルス照射して孔を形成した場合、孔周辺はバリが発生する。これは、本発明では特に問題でなく、加工によって生じた孔内部銅箔表面に残存する樹脂層を除去した後、銅メッキによって孔内部を80%以上銅メッキで充填することにより接続信頼性良好となる。
この表面銅箔は、細密な回路を形成しない場合には、機械研磨、或いはソフトエッチング等による整面で十分であるが、非常に高密度の回路を形成するためには、表層の銅箔を薄くする必要があり、好適には、炭酸ガスレーザー照射後、銅箔の両表面を平面的に薬液でエッチングし、もとの金属箔の一部の厚さを除去することにより、同時にバリも除去し、且つ、得られた銅箔は細密パターン形成に適しており、高密度のプリント配線板に適した孔周囲の銅箔が残存したブラインドビア孔を形成することができる。この場合、機械研磨も可能であるが、機械研磨よりはエッチングの方が、孔部のバリ除去、寸法変化等の点から好適である。
【0027】
本発明の孔部に発生した銅のバリをエッチング除去する方法としては、特に限定しないが、例えば、特開平02-22887、同02-22896、同02-25089、同02-25090、同02-59337、同02-60189、同02-166789、同03-25995、同03-60183、同03-94491、同04-199592、同04-263488号公報で開示された、薬品で金属表面を溶解除去する方法(SUEP法と呼ぶ)による。エッチング速度は、一般には0.02〜1.0μm/秒で行う。
【0028】
炭酸ガスレーザーは、赤外線波長域にある9.3〜10.6μmの波長が一般に使用される。出力 は20〜60mJ/パルス、好適には22〜55mJ/パルス にて銅箔を加工し、孔をあける。
【0029】
ブラインドビア孔をあける場合、最初から最後まで20〜60mJ/パルス から選ばれるエネルギーを照射することも可能であるが、まず表層及び内層の銅箔を除去する場合、より高いエネルギーを選んで銅箔を除去し、孔底部は銅箔の厚み等により、5〜35mJ/パルス から選ばれたエネルギーを照射して孔あけを行う。
孔あけは、孔内部に内層銅箔がある場合、ない場合で加工条件を変化させることが可能である。
【0030】
加工されたブラインドビア孔内部の銅箔表面には1μm位の樹脂層が残存する場合が殆どであり、この樹脂層を除去しないと銅メッキと銅との接続信頼性が悪くなる。そのためには、デスミア処理等の一般に公知の処理が可能であるが、液が小径の孔内部に到達しない場合には、樹脂の除去残が発生し、銅メッキとの接続不良になる場合がある。従って、より好適には、まず気相で孔内部を処理して樹脂の残存層を完全に除去し、次いで超音波を併用して孔内部を湿潤処理することが好ましい。気相処理だけでは、銅メッキ時のブラインドビア孔壁面の液の濡れ性が悪く、メッキが付着しないことがある。
気相処理としては一般に公知の処理が使用可能であるが、例えばプラズマ処理、低圧紫外線処理等が挙げられる。プラズマは、高周波電源により分子を部分的に励起し、電離させた低温プラズマを用いる。これは、イオンの衝撃を利用した高速の処理、ラジカル種による穏やかな処理が一般に使用され、処理ガスとして、反応性ガス、不活性ガスを使用する。反応性ガスとしては、主に酸素を使用し、化学的に表面処理を行う。不活性ガスとしては、主にアルゴンガスを使用する。アルゴンガス等を使用し、物理的な表面処理を行う。物理的な処理は、イオンの衝撃を利用して物理的に表面をクリーニングする。低圧紫外線は、波長が短い領域の紫外線であり、波長は、184.9nm,253.7nmがピークの短波長域の波長を照射し、樹脂層を分解除去する。その後、樹脂表面が疎水化されるため、小径孔の場合、超音波を併用して湿潤処理を行い、銅メッキを行うことが好ましい。湿潤処理としては、特に限定はしないが、例えば過マンガン酸カリ等の水溶液によるもの、ソフトエッチングによるもの等が挙げられる。
【0031】
銅メッキとしては、一般に公知の銅メッキを行うことが可能である。しかしながら、メッキ時間を長くして孔内部を充填すると作業性が悪く、孔充填に適したパルスメッキ(日本リロナール<株>製)等が好適に使用される。
【0032】
【実施例】
以下に実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。尚、特に断らない限り、『部』は重量部を表す。
実施例1
2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン900部、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン100部を150℃に熔融させ、攪拌しながら4時間反応させ、プレポリマーを得た。これをメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解した。これにビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エピコート1001、油化シェルエポキシ<株>製)400部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:ESCN-220F、住友化学工業<株>製)600部を加え、均一に溶解混合した。更に触媒としてオクチル酸亜鉛0.4部を加え、溶解混合し、これに無機充填剤(商品名:焼成タルクBST-#200、日本タルク<株>製)500部、及び黒色顔料8部を加え、均一攪拌混合してワニスAを得た。このワニスを厚さ100μmのガラス織布に含浸し150℃で乾燥して、ゲル化時間(at170℃)120秒、ガラス布の含有量が53重量%のプリプレグ(プリプレグB)を作成した。
厚さ7μmの電解銅箔(図1、a)を、上記プリプレグB(図1、b)1枚の上下に配置し、200℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形し、絶縁層厚み100μmの両面銅張積層板Cを得た。
一方、金属粉として銅粉(平均粒子径:0.8μm)800部に、ポリビニルアルコール粉体を水に溶解したワニスに加え、均一に撹拌混合した。これを厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム片面上に、厚さ60μmとなるように塗布し、110℃で30分間乾燥して、金属化合物含有量65vol%の補助材料Dを形成した(図1(1))。補助材料D(図1、k)を上記多層板の上に、樹脂面が銅箔側を向くように配置し、セロテープで固定してから、孔径100μmの孔を50mm角内に900個直接炭酸ガスレーザーで、出力40mJ/パルス で1ショツトかけて銅箔に孔をあけ、次に出力を30mJ/パルス にして1ショット、更にブラインドビア孔底部、すなわち裏面銅箔の樹脂側を、出力7mJ/パルス にて1ショット照射して70ブロックのブラインドビア孔(図1,c)をあけた(図1(2))。この多層板をプラズマ装置の中に入れ、酸素雰囲気中で10分、更にアルゴン雰囲気中で5分間処理を行い、ブラインドビア孔内部の残存樹脂層を除去するとともに、SUEP処理をして、表裏銅箔の表層を除去し、厚み5μとした。これを過マンガン酸カリ水溶液に入れ、超音波中で湿潤処理後(図1(3))、この板に電解銅メッキを施し、さらにパルス電解銅メッキ(日本リロナール<株>)法にて銅メッキを行なって90容積%以上ブラインドビア孔にメッキを充填した(図1(4))。この表面をソフトエッチングし、表裏に、既存の方法にて回路(ライン/スペース=100/100μmを200個)、ソルダーボール用ランド等を形成し、少なくとも半導体チップ部、ボンディング用パッド部、ハンダボールパッド部を除いてメッキレジストで被覆し、ニッケル、金メッキを施し、プリント配線板を作成した。このプリント配線板の評価結果を表1に示す。
【0033】
実施例2
融点58℃の水溶性ポリエステル樹脂を水に溶解した樹脂水溶液の中に、金属化合物粉(SiO2:57wt%、MgO:43wt%、平均粒子径:0.4μm)を加え、均一に撹拌混合した後、これを50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、厚さ15μmとなるように塗布し、110℃で25分間乾燥し、金属化合物含有量90vol%のフィルム状補助材料Eとした。
一方、エポキシ樹脂(商品名:エピコート5045)700部、及びエポキシ樹脂(商品名:ESCN220F)300部、ジシアンジアミド35部、2-エチル-4-メチルイミダゾール1部をメチルエチルケトンとジメチルホルムアミドの混合溶剤に溶解し、さらに焼成タルク(商品名;BST-#200)を800部、黒色顔料8部を加え、強制攪拌して均一分散し、ワニスを得た。これを厚さ100μmのガラス織布に含浸、乾燥して、ゲル化時間150秒、ガラス布含有量55重量%のプリプレグ(プリプレグF)を作成した。またガラス含有量43重量%のプリプレフGを作成した。
プリプレグFを1枚使用し、両面に18μmの電解銅箔を置き、190℃、20kgf/cm2、30mmHg以下の真空下で2時間積層成形して両面銅張積層板HFを作成した。絶縁層の厚みは100μmであった。
この両面に回路を形成し、黒色酸化銅処理を施した後、上下にプリプレグGを1枚置き、その外側に12μmの電解銅箔を配置し、同様に積層成形して多層板を得た。
上記補助材料E(図2,g)の樹脂組成物面を多層板側に向け、温度100℃のロールにて、線圧15kgfでラミネートし、密着性の良好な塗膜を形成した。
この上から、炭酸ガスレーザーの出力35mJ/パルス にて1パルス、20mJ/パルスにて1パルス、5mJ/パルスにて1パルス 照射し、孔径100μmのブラインドビア孔をあけた(図2(1)(2))。
表層の補助シートを剥離し、この表面をSUEP処理して銅箔厚み5μmとしてから(図3(3))、プラズマ装置の中に入れ、酸素気流中で10分、更にアルゴン気流中で5分処理を行い、その後過マンガン酸カリ水溶液にて超音波併用で湿潤処理を行なって、同様にパルス銅メッキを行い、ブラインドビア孔内部を95%以上銅メッキで充填し(図3(5)、同様にプリント配線板とした。評価結果を表1に示す。
【0034】
比較例1
実施例2の多層板を用い、表面に何も付着させずに炭酸ガスレーザーを直接照射してで同様に孔あけを行なったが、孔はあかなかった。
【0035】
比較例2
実施2の多層板を用い、表面の銅箔を孔径100μmでエッチング除去し、炭酸ガスレーザーのエネルギー15mJ/パルス にて孔あけを行なったが、ガラス繊維の毛羽が孔壁に見られ、且つ内層の銅箔は貫通できず、ブラインドビア孔は形成できなかった。
【0036】
比較例3
実施例2において、エポキシ樹脂としてエピコート5045単独を1,000部使用し、他は同様にして作成した多層板を用い、炭酸ガスレーザーの出力45mJ/パルス にて炭酸ガスレーザーで同様に3ショット照射し、ブラインドビア孔をあけた。これは内層の銅箔の中央部を突き破っており、[図4(2)]、これにSUEP処理をかけずに[図4(3)]、デスミア処理を2回繰り返してから通常の方法で銅メッキを行い[図4(4)]、プリント配線板を作成した。
【0037】
比較例4
実施例2の多層板を用い、ドリル径150μmのメカニカルドリルにて、回転数10万rpm、送り速度1m/min,にて同様に300μ間隔でブラインドビア孔をあけた。この孔の全部の断面を確認したが、図5(2)に示すような孔が13%存在した。他は内層銅箔を突き抜けて止まっていた。SUEP処理を行わずに、デスミア処理を1回行なってから、通常の方法で銅メッキを行い、プリント配線板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0038】
比較例5
実施例1において、気相処理及び湿潤処理を行なわずに通常の銅メッキを行い、同様にプリント配線板を作成した。評価結果を表1に示す。
【0039】
【0040】
<測定方法>
1) 孔あけ時間
ワークサイズ250mm角内に、孔径100μmの孔を900孔/ブロック として70ブロック(孔計63,000孔)作成した。
炭酸ガスレーザー及びメカニカルドリルで孔あけを行ない、1枚の銅張積層板に63,000孔をあけるに要した時間を示した。
2) 回路パターン切れ、及びショート
実施例、比較例で、孔のあいていない板を同様に作成し、ライン/スペース=100/100μm の櫛形パターンを作成した後、拡大鏡でエッチング後の200パターンを目視にて観察し、パターン切れ、及びショートしているパターンの合計を分子に示した。
3) ガラス転移温度
DMA法にて測定した。
4) ブラインドビア孔・ヒートサイクル試験
各ブラインドビア孔にランド径200μmを作成し、900孔を表裏交互につなぎ、1サイクルが、260℃・ハンダ・浸せき30秒→室温・5分 で、500サイクルまで実施し、抵抗値の変化率の最大値を示した。
【0041】
【発明の効果】
少なくとも2層以上の銅の層を有する銅張板の銅表面に直接、20〜60mJ/パルスから選ばれた高出力のエネルギーの炭酸ガスレーザーを照射して銅箔にブラインドビア孔を形成する際に、炭酸ガスレーザーが照射される銅張板の銅箔表面に、酸化金属処理を施すか、孔あけ補助材料として、少なくとも、融点900℃で、且つ結合エネルギー300kJ/mol以上の金属化合物粉、カーボン粉、又は金属粉を3〜97vol%含む樹脂組成物からなる、総厚み30〜200μmの樹脂皮膜或いは熱可塑性フィルム片面に樹脂層を付着させたシートを配置し、好適には銅箔面と接着させ、この上から20〜60mJ/パルスから選ばれた炭酸ガスレーザーエネルギーを直接照射してブラインドビア孔形成のための銅箔の孔あけを行ない、次いで5〜35mJ/パルス から選ばれるエネルギーでブラインドビア孔底部の銅箔表面を照射し、その後、孔内部を気相処理してから湿潤処理を行って銅箔表面に付着する樹脂層を除去してから孔内部の80%以上を銅メッキで充填することにより、表層銅箔と孔内部銅箔との接続信頼性に優れたものが得られ、メカニカルドリルで孔あけするのに比べて数10倍の加工速度で加工可能であり、生産性についても大幅に改善でき、且つ、気相処理前に銅箔の両表面を平面的にエッチングし、もとの銅箔の一部の厚さをエッチング除去することにより、同時に孔部に発生した銅箔のバリをエッチング除去でき、その後の銅メッキでメッキアップして得られた表裏銅箔の回路形成においても、ショートやパターン切れ等の不良発生もなく高密度のプリント配線板を作成でき、信頼性に優れたものを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の両面銅張板の炭酸ガスレーザーによるブラインドビア孔あけ(2)、及び銅メッキ(3)の工程図である。
【図2】実施例2の多層板の炭酸ガスレレ−ザーによるブラインドビア孔の孔あけ[(2)、(3)]の工程図である。
【図3】実施例の多層板の炭酸ガスレーザーによるSUEP(4)及び銅メッキ(5)の工程図である。
【図4】比較例3の多層板の炭酸ガスレーザーによるブラインドビア孔あけ及び銅メッキの工程図である。(SUEP無し)
【図5】比較例4の多層板のメカニカルドリルによるブラインドビア孔あけにおいて、ドリルが裏側に突き抜けた図である。
【符号の説明】
a 銅箔
b ガラス布基材熱硬化性樹脂層
c 炭酸ガスレーザーによるブラインドビア孔あけ部
d 気相処理され、湿潤処理されたブラインドビア孔
e ブラインドビア孔部に充填された銅メッキ
f 高出力の炭酸ガスレーザー
g 孔あけ補助材E
h ブラインドビア孔に最後に照射した炭酸ガスレーザー
i 発生した表面銅箔のバリ
j ブラインドビア孔底部
k 孔あけ補助材料D
l SUEPでエッチングされた銅箔表面
m 突き抜けたブラインドビア孔底部
n 突き抜けたブラインドビア孔底部への銅メッキ
o メカニカルドリル
p 裏面に突き抜けた孔
Claims (2)
- 銅箔を炭酸ガスレーザーで除去できるに十分な20〜60mJ/パルスから選ばれたエネルギーを用いて、炭酸ガスレーザーの照射によりブラインドビア孔をあける前に、銅箔表面に孔あけ用補助材料として融点900℃以上で、且つ結合エネルギー300kJ/mol以上の金属化合物粉、カーボン粉又は金属粉の1種或いは2種以上の成分を3〜97vol%含む樹脂組成物層を配置するか、または銅箔表面を酸化金属処理した後、炭酸ガスレーザーのパルス発振により、炭酸ガスレーザーを照射し、多層板の銅箔の少なくとも1層以上の銅箔に孔あけ加工し、ついでブラインドビア孔底部の銅箔表面に炭酸ガスエネルギー5〜35mJ/パルスから選ばれたエネルギーで照射してブラインドビア孔あけを行い、ついで孔内部の銅箔表面に付着する樹脂層を除去した後、孔の80容積%以上を銅メッキで充填して得られるブラインドビア孔を有する銅張板を用いるプリント配線板用銅張板の製造方法であって、ブラインドビア孔内部の銅メッキを行う前に薬液で表層の銅箔の一部を溶解して残存銅箔厚さ 3 〜 7 μ m とすると同時に孔部にはり出した銅箔をも溶解除去することを特徴とする孔信頼性に優れたプリント配線板用銅張板の製造方法。
- 該孔内部の銅箔表面に付着した樹脂層を除去するのに、まず気相処理を行い、その後湿潤処理を行うことを特徴とする請求項1記載のプリント配線板用銅張板の製造方法。
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