JP4076202B2 - スペクトラム拡散信号受信機及び受信方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直接拡散方式により拡散された信号(スペクトラム拡散信号という)を受信するスペクトラム拡散信号受信機及び受信方法に係わり、特に、異なる電力で変調された送信データと制御データを互いに影響を与えない信号、例えば、互いに直交する信号として多重して送信側から送信されたスペクトラム拡散信号を受信するスペクトラム拡散信号受信機及び受信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スペクトラム拡散通信のうち、直接拡散方式を採用するWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式は、現在3GPP(3rd Generation Partnership Project)にて標準化が進められている第三世代移動通信方式の一方式である。 CDMA方式では図9に示すように、スペクトラム拡散信号送受信機である移動機は、パイロットデータを含む制御データを第1の変調部1aでBPSK変調し(図10参照)、しかる後、第1の拡散部1bで制御データ用の拡散符号で拡散変調する。又、移動機は送信データを符号化回路1cで畳み込み符号などの適当な符号に符号化し、しかる後、第2の変調部1dでBPSK変調し、ついで、第2の拡散部1eで送信データ用の拡散符号で拡散する。多重化部1fは、これら第1、第2の拡散部で拡散された制御データと送信データを図10に示すようにIQ複素平面のI軸成分(Iチャネル成分)、Q軸成分(Qチャネル成分)としてマッピングして多重し、無線送信部1gは多重した信号に周波数変換、高周波増幅を施してアンテナ1hより送信する。尚、Iチャネルはデータチャネル、Qチャネルは制御チャネルという。
【0003】
移動機から基地局への上り信号は図11に示すフレームフォーマットを有している。1フレームは10msecで、15スロットS0〜S14で構成されている。送信データ部はIチャネル(データチャネル)にマッピングされ、送信データ部以外の制御データ部分はQチャネル(制御チャネル)にマッピングされる。送信データ部を送信するデータチャネルの各スロットS0〜S14はnビットで構成され、nはシンボル速度に応じて変化する。n=5であれば、シンボルレートは7.5kbps(=5×15/10×10-3)、n=10であればシンボルレートは15ksps(=10×15/10×10-3)、n=20であればシンボルレートは30ksps...となる。
【0004】
制御データを送信する制御チャネルの各スロットは10ビットで構成され、シンボル速度は15kbps一定であり、パイロットPILOT、送信電力制御データTPC、トランスポート・フォーマット・コンビネーション・インジケータTFCI、フィードバック情報FBIを送信する。PILOTは受信側で同期検波したり、SIRを測定する際に利用するもの、TPCは送信電力制御に利用するもの、TFCIはデータのシンボル速度や1フレーム当たりのビット数等を送信するもの、FBIは基地局における送信ダイバーシティを制御するものである。
【0005】
以上のように、データチャネルと制御チャネルとでは伝送レートが異なる場合がある。かかる場合、拡散率(=シンボル周期/チップ周期)がデータチャネルと制御チャネルで異なる。例えば、(1) データチャネルの伝送レートが制御チャネルの伝送レート(=15kbps)より小さければ、データチャネルの拡散率が制御チャネルの拡散率より大きくなり、(2) データチャネルの伝送レートが制御チャネルの伝送レート(=15kbps)より大きければ、データチャネルの拡散率が制御チャネルの拡散率より小さくなる。ところで、拡散率が大きいほどプロセスゲインが大きくなる。そこで、WCDMA方式では拡散率が大きい方の送信電力を小さくしてトータルの送信電力を軽減する。すなわち、WCDMA方式では制御チャネルとデータチャネルをそれぞれ異なる電力でBPSK変調して拡散変調し、各拡散変調信号をIQ複素平面上にマッピングして多重化し、多重信号を送信する。
【0006】
例えば、データチャネルの拡散率が制御チャネルの拡散率より大きければ、図12に示すように、乗算部1h、1iを設け、乗算部1hはデータチャネルの第2変調部1dから出力するBPSK変調出力をβ倍(β<1)し、乗算部1iは制御チャネルの第1変調部1aから出力するBPSK変調出力をそのまま(1倍して)出力する。しかる後、第1、第2の拡散部1b,1eは乗算部出力信号を拡散変調し、多重化部1fは各チャネルの拡散変調信号を図13(a)に示すようにIQ複素平面にマッピングして多重し、無線送信部1gは多重信号に周波数変換、高周波増幅を施してアンテナ1hより送信する。このように、拡散率の大きなチャネルの送信電力を下げることによりトータルの送信電力をコントロール(低減)することが可能になる。
又、データチャネルの拡散率が制御チャネルの拡散率より小さければ、乗算部1hで第2変調部1dから出力するBPSK変調出力を1倍し、乗算部1iで第1変調部1aから出力するBPSK変調出力をβ倍する。多重化部1fは各チャネルの拡散変調信号を図13(b)に示すようにIQ複素平面にマッピングして送信する。この結果、拡散率の大きなチャネルの送信電力を下げることによりトータルの送信電力を低減することが可能になる。
【0007】
図14は、スペクトラム拡散信号送受信機である基地局の1チャネル分の受信部の構成図である。無線部2aは、アンテナATNにより受信した高周波信号をベースバンド信号に周波数変換する。直交復調部2bはベースバンド信号を直交検波して同相成分(I成分)、直交成分(Q成分)をAD変換して、サーチャ2cと各フィンガー部2d1〜2dnに入力する。サーチャ2cはマルチパスの影響を受けた直接拡散信号(DS信号)が入力されると、マッチトフィルタを用いて自己相関演算を行ってマルチパスを検出し、各パスにおける逆拡散開始のタイミングデータ及び遅延時間調整データをフィンガー部2d1〜2dnに入力する。各フィンガー部2d1〜2dnにおける制御チャネルの逆拡散部3aは、所定のパスを介して到来する直接波あるいは遅延波に制御チャネル用の拡散符号と同じ符号を用いて逆拡散処理を施し、逆拡散結果を積分し、しかる後、パスに応じた遅延処理を施し、制御データ信号を出力する。又、データチャネルの逆拡散部3bは、所定のパスを介して到来する直接波あるいは遅延波にデータチャネル用の拡散符号と同じ符号を用いて逆拡散処理を施し、逆拡散結果を積分し、しかる後、パスに応じた遅延処理を施し、送信データ信号を出力する。
【0008】
チャネル推定部3cは逆拡散された制御データ信号に含まれるパイロット信号を用いて通信路のフェージング特性を推定し、該フェージングの影響を補償するためのチャネル推定を行い、チャネル推定信号を出力する。チャネル補正部3d,3eはチャネル推定信号の複素共役信号を逆拡散された制御データ信号及び送信データ信号に乗算してフェージング補償を行う。RAKE合成部2eは各フィンガー部2d1〜2dnから出力する制御データ信号をそれぞれ合成して軟判定データ列として出力する。判定部2fは軟判定データを硬判定データにし、復号部2gは判定部から出力する硬判定データに誤り訂正復号処理を施して符号化前の制御データを復号して出力する。なお、判定部2fで硬判定データにすることなく軟判定データのまま復号部2gで軟判定誤り訂正処理を行なって制御データを復号して出力することもできる。電力比算出部2hは制御データのTFCIビットに含まれるレート情報(データのシンボル速度)より、データチャネルの信号電力Pdと制御チャネルの信号電力Pcの比(Pd/Pc=β2)を計算し、βを出力する。
【0009】
一方、RAKE合成部2iは各フィンガー部2d1〜2dnから出力する送信データ信号をそれぞれ合成して軟判定データ列として出力し、遅延付加部2jは、電力比が算出されるまでの時間分、該軟判定データ列を遅延して時間合わせを行なう。判定部2kはデータチャネルの軟判定データレベルを1/β倍し(送信側で送信データ信号のレベルをβ倍している)、しかる後、硬判定データにし、復号部2mは判定部2kから出力する硬判定データに誤り訂正復号処理を施して符号化前の送信データを復号して出力する。なお、判定部2kで硬判定データにすることなく1/β倍された軟判定データのまま復号部2mで軟判定誤り訂正処理を行なって送信データを復号して出力することもできる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のスペクトラム拡散信号受信機では、送信データ信号、制御データ信号が異なる電力で送信される場合、制御データに含まれるシンボルレート情報を基に電力比情報の導出を行い、この情報を基に送信データ信号レベルを変更し、しかる後誤り訂正復号処理を行っている。しかし、かかる方法では電力比情報を取得するまでに多くの処理遅延が発生する。例えば、WCDMA方式では前述のように、シンボルレート情報は1フレーム(10ms)にわたって送信されるため、電力比情報の獲得には最低でも10msが必要となる。また、シンボルレート情報はその信頼度つまり受信特性を向上させるために、符号化されておりこの復号のための処理時間も付加される。
音声通信のようなリアルタイム性が要求される情報は、通信における遅延つまり処理時間が短いことが要求される。また、干渉キャンセラのような干渉抑圧技術においても上記処理時間は短いことが望まれる。加えて処理遅延をデータチャネルに付加するためのメモリ等の回路が必要となり処理遅延量に比例して回路規模が増大してしまう。
【0011】
以上より、本発明の目的は、電力比算出の処理時間を短縮することである。
本発明の別の目的は、制御データと送信データの送信電力が異なる場合でも、正しく送信データ、制御データを復号できるようにすることである。
本発明の別の目的は、制御データと送信データの送信電力が異なる場合でも、干渉キャンセラに用いるレプリカを正しく発生できるようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のスペクトラム拡散信号受信機は、異なる電力で変調された送信データと制御データ IQ 複素平面の各軸成分として多重された信号を受信するものであり、 (1) 受信信号を逆拡散して制御データ信号及び送信データ信号を復調する逆拡散部、 (2) 逆拡散された制御データ信号に含まれるパイロット信号からチャネル推定値を導出するチャネル推定部、 (3) チャネル推定値を基に送信データ信号、制御データ信号のチャネル補正を行うチャネル補正部、 (4) チャネル補正後の送信データ信号及び制御データ信号の電力を算出し、送信データ信号と制御データ信号の電力比を算出する電力比算出部、 (5) 電力が小さい方の信号のレベルを前記電力比に基づいて大きくする信号レベル変更部、 (6) 信号レベル変更部でレベル変更された信号に基づいて復号処理を行なう復号部を備えている。
【0013】
第1のスペクトラム拡散信号受信機によれば、従来技術のように制御データに含まれるシンボルレート情報を基に電力比を導出せず、送信データ信号と制御データ信号の電力を求めて電力比を算出するため、電力比算出の処理時間を短縮できる。又、処理時間の短縮に伴い、処理遅延を付加するための回路規模を削減することができる。
又、第1のスペクトラム拡散信号受信機によれば、送信側において信号レベルをβ倍して電力を低減した方の信号のレベルを受信側において1/βし、これにより元の信号レベルに戻してから復号するため、制御データと送信データの送信電力が異なっても正しく復号処理することができる。
又、第1のスペクトラム拡散信号受信機における信号レベル変更部は、送信データ信号と制御データ信号の電力比が1より小さければ送信データ信号のレベルを増大し、電力比が1より大きければ制御データ信号のレベルを増大する。このため、送信データ信号と制御データ信号のいずれかの信号レベルを送信側で低減しても受信側で自動的に低減した方の信号レベルを基に戻して正しく復号処理することができる。
【0014】
本発明の第2のスペクトラム拡散信号受信機は、異なる電力で変調された送信データと制御データを互いに影響を与えない信号として多重して送信側から送信された信号を受信するものであり、(1) 受信信号を逆拡散して制御データ信号及び送信データ信号を復調する逆拡散部、(2) 制御データ信号に含まれるパイロット信号からチャネル推定値を導出するチャネル推定部、(3) チャネル推定値を基に送信データ信号、制御データ信号のチャネル補正を行うチャネル補正部、(4) チャネル補正後の送信データ信号及び制御データ信号の電力を算出し、送信データ信号と制御データ信号の電力比を算出する電力比算出部、(5) 電力が小さい方の信号のレベルを前記電力比に基づいて大きくし、電力が大きい方の信号のレベルは変更せず、これらレベル変更された信号に基づいて硬判定あるいは軟判定して制御データ及び送信データを出力する判定部、(6) 前記電力比に基づいて送信データのレプリカ信頼度RC1及び制御データのレプリカ信頼度RC2を変更する手段、(7) 判定部から出力する送信データに電力比に応じたレプリカ信頼度RC1を乗算して送信側の送信データのレプリカを発生し、判定部から出力する制御データに電力比に応じたレプリカ信頼度RC2を乗算して送信側の制御データのレプリカを発生する第1のレプリカ発生部、を備えている。
【0015】
第2のスペクトラム拡散信号受信機は、更に、電力比に基づいて送信信号のレプリカ信頼度RCを変更する手段、送信データ及び制御データのレプリカを送信側拡散符号を用いてそれぞれ拡散することにより送信信号を複製する手段、該複製された送信信号に前記電力比に応じたレプリカ信頼度を乗算して送信信号のレプリカを発生する第2のレプリカ発生部、を備えている。
以上のように、本発明の第2のスペクトラム拡散信号受信機では、電力比に基づいてレプリカ信頼度を変化させるようにしたから、すなわち、受信電力が大きいほどレプリカ信頼度を大きくしたから、発生するレプリカの信頼度を向上することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(A)本発明の送信から受信までの電力比算出フロー
図1は本発明の送信から受信までの電力比算出フローであり、データチャネルの伝送レートが制御チャネルの伝送レートより小さい、すなわち、データチャネルのプロセスゲインの方が大きいものとする。
スペクトラム拡散信号受信機の一例としてのCDMA受信機11において、乗算部11aはBPSK変調された制御データej θにゲインファクタ(=1)を乗算し、拡散部11bは乗算器出力信号に拡散符号
j ωを乗算して拡散変調信号ej( θ + ω )を発生し、伝搬路12に送出する。又、乗算部11a′はBPSK変調された送信データej θ′にゲインファクタβ(<1)を乗算し、拡散部11b′は乗算器出力信号に拡散符号ej ωを乗算して拡散変調信号
βej( θ′ + ω )を発生し、伝搬路12に送出する。
【0017】
伝搬路12に送出された拡散変調信号ej( θ + ω ),βej( θ′ + ω )は、この伝搬路でフェージングを受け(振幅変動α、位相変動φ)、それぞれ
αej( θ + ω + φ ),αβej( θ′ + ω + φ )
となってCDMA受信機13により受信される。図では乗算部12a、12a′を設け、拡散変調信号ej( θ + ω ),βej( θ′ + ω )にフェージング特性αej φを乗算することでフェージングの影響を表現している。
CDMA受信機13において、逆拡散変調部13aは送信側における制御データの拡散符号と同一の符号を用いて逆拡散し、逆拡散信号(制御データ信号)αej( θ + φ )を出力する。又、逆拡散変調部13a′は送信側における送信データの拡散符号と同一の符号を用いて逆拡散し、逆拡散信号(送信データ信号) αβej( θ′ + φ )を出力する。
【0018】
ついで、チャネル推定部である乗算部13bは逆拡散部13aから出力する制御データ信号αe( θ + φ )に既知のパイロットキャンセル信号e-j θを乗算してチャネル推定値αej φを算出し、チャネル補正部13c,13c′はそれぞれチャネル推定値の共役複素信号αe-j φを制御データ信号αej( θ + φ ),送信データ信号αβej( θ′ + φ )に乗算してフェージングの補償を行ない、α2j θ,α2βej θ′を出力する。
電力算出部13dはフェージング補正された制御信号α2j θとその複素共役信号α2-j θを乗算して制御信号の電力α4を出力する。又、電力算出部13d′はフェージング補正されたデータ信号α2βej θ′とその複素共役信号α2βe-j θ′を乗算してデータ信号の電力α4β2を出力する。電力比計算部13eはデータ信号電力Pdと制御信号電力Pcの比β2を次式
β2=Pd/Pc
により計算し、βを出力する。
【0019】
以上要約すれば、CDMA送信機11はBSPK変調後の制御データ及び送信データを拡散変調し、拡散変調信号は伝搬路12でフェージングの影響を受けてCDMA受信機13に入力する。CDMA受信機13は、制御データ信号に含まれるパイロット信号より導出したチャネル推定値を用いてチャネル補正処理を行なってフェージングを補償し、しかる後、制御データ信号および送信データ信号の電力を計算し、該信号電力より電力比を推定する。この電力比の推定には従来技術のように1フレーム分の処理時間を必要としない。例えば、シンボルレート15kbps(10ビット/スロット、すなわち、150ビット/フレーム)において、推定精度を向上させるためにXシンボル使用したとすると、電力比の推定に要する処理時間はX/15(ms)となり、電力比算出の処理時間を著しく短縮することができる。又、遅延付加に必要となる回路規模を削減することができる。
【0020】
(B)第1実施例
図2は本発明のスペクトラム拡散信号受信機の一例としてのCDMA受信機の1チャネル分の構成図である。尚、送信データの伝送レートが制御データの伝送レートより小さいものとする。すなわち、送信側では送信データのゲインファクタをβにし、制御データのゲインファクタを1にして送信しているものとする。
無線部21は、アンテナATNにより受信した高周波信号をベースバンド信号に周波数変換する。直交復調部22はベースバンド信号を直交検波して同相成分(I成分)、直交成分(Q成分)をAD変換して、サーチャ23と各フィンガー部241〜24nに入力する。サーチャ23はマルチパスの影響を受けた直接拡散信号(DS信号)が入力されると、マッチトフィルタを用いて自己相関演算を行ってマルチパスを検出し、各パスにおける逆拡散開始のタイミングデータ及び遅延時間調整データをフィンガー部241〜24nに入力する。
【0021】
各フィンガー部241〜24nにおける制御チャネルの逆拡散部24aは、所定のパスを介して到来する直接波あるいは遅延波に制御データの送信側拡散符号と同じ符号を用いて逆拡散処理を施して制御データ信号を出力する。又、データチャネルの逆拡散部24bは、所定のパスを介して到来する直接波あるいは遅延波にデータチャネルの送信側拡散符号と同じ符号を用いて逆拡散処理を施して送信データ信号を出力する。チャネル推定部24cは逆拡散された制御データ信号に含まれるパイロット信号を用いてチャネル推定を行い、チャネル推定信号を出力する。チャネル補正部24d,24eはチャネル推定信号の複素共役信号を逆拡散された制御データ信号及び送信データ信号に乗算してフェージング補償を行う。
【0022】
RAKE合成部25は各フィンガー部241〜24nから出力する制御データ信号をそれぞれ合成して軟判定データ列として出力し、RAKE合成部26は各フィンガー部241〜24nから出力する送信データ信号をそれぞれ合成して軟判定データ列として出力する。電力比算出部27は、(1) RAKE合成部25から出力する制御データ信号と該制御データ信号の複素共役信号を乗算して制御データ信号の電力 Pcを計算し、又、(2) RAKE合成部26から出力する送信データ信号と該送信データ信号の複素共役信号を乗算して送信データ信号の電力Pdを計算し、しかる後、(3) 両電力より電力比β2(=Pd/Pc)を算出し、βを出力する。
【0023】
遅延付加部28,29はそれぞれRAKE合成部25、26から出力する制御データの軟判定データ列及び送信データの軟判定データ列を電力比算出に要する時間分遅延し、復号部30は遅延付加部28から出力する軟判定データ列に軟判定誤り訂正復号処理を施して制御データを復号して出力する。
信号レベル変更部31は遅延付加部29から出力する軟判定データ列のレベルを1/β倍し、これにより、送信側でβ倍した送信データのレベルを元に戻す。以後、復号部32は信号レベル変更部31から出力する軟判定データ列に軟判定誤り訂正復号処理を施して送信データを復号して出力する。
以上では復号部30,32に軟判定データ列を入力したが、これら復号部30、32の前に硬判定部を設け、硬判定データ列を復号部に入力するように構成することもできる。
【0024】
以上第1実施例によれば、従来技術のように制御データに含まれるシンボルレート情報を基に電力比を導出せず、送信データ信号と制御データ信号の電力を求めて電力比を算出するため、電力比算出の処理時間を短縮できる。又、処理時間の短縮に伴い、処理遅延を付加するための遅延付加部28、29の回路規模を削減することができる。又、第1実施例によれば、送信側においてレベルをβ倍して電力を低減した方の信号のレベルを1/βし、これにより元の信号レベルに戻してから復号するため、制御データと送信データの送信電力が異なっても正しく復号処理することができる。
【0025】
(C)第2実施例
第1実施例では、送信データの伝送レートが制御データの伝送レートより小さいものと仮定し、送信側において送信データのゲインファクタをβ(<1)、制御データのゲインファクタを1とした。しかし、送信データが音声データであるか画像データであるか等により、送信データの伝送レートは制御データの伝送レートより大きくなったり、小さくなったりする。すなわち、送信データのゲインファクタがβになったり、制御データのゲインファクタがβになったりする。第2実施例はかかる場合において、制御データと送信データのいずれのゲインファクタがβであるか1であるかを判定してレベル変更して復号処理するものである。
【0026】
図3はかかる第2実施例のCDMA受信機の構成図であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付している。第2実施例において、第1実施例と異なる点は、
(1) 電力比(β2=Pd/Pc)が1より大きいか小さいかを判定する大小比較部41を設けた点、
(2) 電力比が1より小さく、Pd<Pcであれば、遅延付加部29から出力する軟判定送信データ列のレベルを1/β倍し、電力比が1より大きく、Pd>Pcであれば、軟判定送信データ列のレベルを1倍して出力する信号レベル変更部42を設けた点、
(3) 電力比が1より大きく、Pd>Pcであれば、遅延付加部28から出力する軟判定制御データ列のレベルをβ倍し、電力比が1より小さく、Pd<Pcであれば、軟判定制御データ列のレベルを1倍して出力する信号レベル変更部43を設けた点、
である。
【0027】
第2実施例によれば、送信側において制御データ、送信データのいずれか一方のレベルをβ倍して電力を低減しても、受信側で低減した方の信号レベルを1/βし、これにより元の信号レベルに戻してから復号するため、制御データと送信データの送信電力が異なっても正しく復号処理することができる。
【0028】
(D)第3実施例
スペクトラム拡散通信、例えば、W-CDMAでは、拡散符号間の非直交性によって生じるチャネル間干渉がシステム容量を制限する大きな要因となる。特に、動画伝送のような高速チャネルからの大きな干渉は、他の低速チャネルの容量を圧迫するため、これらの干渉を如何に抑圧するかが、低速チャネルの容量確保のために重要な課題となる。干渉キャンセラは、各受信チャネルの復調結果を用いて干渉信号のレプリカを生成し、これを受信信号から差し引くことにより干渉を抑圧するものである。
図4は干渉キャンセラを備えたCDMA受信機の1チャネル分の構成図であり、101は干渉キャンセラ、1021〜102nはフィンガー部、103はレーク合成部、104は復号部である。干渉キャンセラ101において、各受信チャネルに応じて設けられた干渉除去ユニット(ICU:Interference Cancellation Unit)1111〜111nは受信信号よりチップレートの干渉レプリカを生成して出力し、合成部112は各チャネルの干渉レプリカ信号を合成し、フィルタ113は合成された干渉レプリカ信号の帯域を制限し、遅延器114は干渉レプリカが生成される時間分受信信号を遅延し、減算部115は受信信号より合成干渉レプリカを差し引くことによって干渉抑圧処理を行う。
【0029】
各チャネルの干渉除去ユニット1111〜111nは干渉レプリカを発生すると共に、シンボルレプリカと呼ばれるシンボルレートを有する送信信号の複製(制御データ及び送信データの複製)を生成する。又、各干渉除去ユニット1111〜111nはパラレルに接続されており、全チャネルの処理を同時に行うことで処理時間を短縮している。
各フィンガー部1021〜102nにおいて、逆拡散部121はサーチャ(図示せず)から入力するパスタイミングに同期して逆拡散処理を行なって干渉キャンセルされた残差信号の逆拡散信号を出力する。合成部122は該逆拡散信号にシンボルレプリカを足し込んで送信側の送信信号を生成し、チャネル推定回路123はチャネル特性を推定し、チャネル補正部124はチャネル推定信号を用いて合成部より出力する信号にチャネル補正処理を施し、フェージングを除去する。レーク合成部103は各フィンガーより出力するチャネル補正された信号を合成して軟判定データ列を発生して復号部104に入力する。
【0030】
図5は受信信号から制御データ、送信データのレプリカ信号を発生する干渉除去ユニットにおけるシンボルレプリカ発生部の構成図で、特に制御データと送信データが異なる電力で送信された場合に適用できるものである。このシンボルレプリカ発生部は第2実施例のCDMA受信部と同様の構成を備えており、同一部分には同一符号を付している。異なる点は、
(1) 信号レベル変更部42の後段に、信号レベルに基づいて硬判定して硬判定送信データ列を出力する判定部44を設けた点、
(2) 信号レベル変更部43の後段に、信号レベルに基づいて硬判定して硬判定制御データ列を出力する判定部45を設けた点、
(3) 電力比に基づいて送信データのレプリカ信頼度RC1及び制御データのレプリカ信頼度RC2を変更する手段(変換テーブル)46を設けた点、
(4) 判定部44から出力する硬判定送信データ列に、電力比に応じたレプリカ信頼度RC1を乗算して送信側における送信データのレプリカを発生するシンボルレプリカ信号生成部47を設けた点、
(5) 判定部45から出力する硬判定制御データ列に、電力比に応じたレプリカ信頼度RC2を乗算して送信側における制御データのレプリカを発生するレシンボルプリカ信号生成部48を設けた点、
である。
【0031】
図6は変換テーブル46の例であり、電力比(=送信データ信号電力Pd/制データ信号電力Pc)に対応させてデータチャネル用重み係数(信頼度RC1)、制御チャネル用重み係数(信頼度RC2)が記憶されている。信号電力が大きい程、信頼度が大きくなるため重み係数を大きくする。従って、電力比(=Pd/Pc)が1より小さい場合、制御データの信号電力が送信データの信号電力に比べて大きくなるため、制御チャネル用重み係数RC2を大きくし、データチャネル用重み係数RC1を小さくする。逆に、電力比(=Pd/Pc)が1より大きければ、制御データの信号電力が送信データの信号電力に比べて小さくなるため、制御チャネル用重み係数RC2を小さくし、データチャネル用重み係数RC1を大きくする。
以上、第3実施例によれば、電力比に基づいてレプリカ信頼度を変化させるようにしたから、すなわち、受信電力が大きいほどレプリカ信頼度を大きくしたから、発生するシンボルレプリカの信頼度を向上することができる。
【0032】
(E)第4実施例
図7は受信信号から干渉レプリカを発生する干渉除去ユニットにおける干渉レプリカ発生部の構成図であり、特に制御データと送信データを異なる電力で送信した場合に適用できるもので、図5の第3実施例と同一部分には同一符号を付している。第4実施例の干渉レプリカ発生部において、第3実施例と異なる点は、
(1) 制御データのレプリカと送信データのレプリカをそれぞれ送信側拡散符号を用いて拡散し、IQ複素平面のIチャネル成分、Qチャネル成分としてマッピングすることにより多重して送信信号を複製する再拡散多重部51を設けた点、
(2) 電力比に基づいて送信信号のレプリカ信頼度RCを変更する手段(第2変換テーブル)52が設けられている点、
(3) 複製された送信信号に電力比に応じたレプリカ信頼度RCを乗算して送信信号のレプリカを発生する干渉レプリカ生成部53を設けた点、
である。
【0033】
図8は第2変換テーブル52の例であり、電力比(=送信データ信号電力Pd/制データ信号電力Pc)に対応させて送信信号用の重み係数(信頼度RC)が記憶されている。信頼度RCは電力比が小さい場合に小さくし、電力比が大きい場合に大きくしている。これは以下の理由によるものである。
制御チャネルは伝送レートが15Kbps一定であるため、拡散率は一定であるが、データチャネルの伝送レートは変化するため拡散率は可変である。伝送レートが高く、拡散率が小さければ拡散による利得(プロセスゲイン)が小さくなり、このためデータチャネルの品質を制御チャネルと同程度に保つ必要がある。これを制御するのがゲインファクタである。
【0034】
ところで、データチャネルの拡散率が小さければ、送信アンテナ端での電力を大きくしなければならない。これは、拡散率が変化しても同じ品質とするためである。特に、データチャネルの拡散率が小さいということは、伝送レートが高速であり、音声でなく画像等のデータを送信していることを意味する。一般的に音声に求められる通信品質に比べ画像等のデータには高い通信品質が求められる。このため、データチャネルの拡散率が小さいと、送信アンテナ端における電力を大きくする。以上より、データチャネルの拡散率が小さい場合(電力比=Pd/Pc>1)には、データチャネルの拡散率が大きい場合(電力比=Pd/Pc<1)に比べ、送信電力、すなわち、受信電力が大きくなる。このため、第2の変換テーブル52において、電力比=Pd/Pcが大きくなるほど信頼度RCを大きくし、電力比=Pd/Pcが小さくなるほど信頼度RCを小さくしている。
【0035】
以上、第4実施例によれば、電力比に基づいてレプリカ信頼度を変化させるようにしたから、すなわち、受信電力が大きいほどレプリカ信頼度を大きくしたから、発生するシンボルレプリカの信頼度を向上することができる。
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明は請求の範囲に記載した本発明の主旨に従い種々の変形が可能であり、本発明はこれらを排除するものではない。
【0036】
【発明の効果】
以上本発明によれば、従来技術のように制御データに含まれるレート情報を基に電力比を導出せず、送信データ信号と制御データ信号の電力を求めて電力比を算出するため、電力比算出の処理時間を短縮できる。又、処理時間の短縮に伴い、処理遅延を付加するための回路規模を削減することができる。
又、本発明によれば、送信側において信号レベルをβ(<1)倍して電力を低減した方の信号レベルを受信側において1/βし、これにより元の信号レベルに戻してから復号するため、制御データと送信データの送信電力が異なっても正しく復号処理することができる。
【0037】
又、本発明によれば、送信データ信号の電力Pdと制御データ信号の電力Pcの比(=Pd/Pc)が1より小さければ送信データ信号のレベルを増大し、電力比が1より大きければ制御データ信号のレベルを増大する。このため、送信データ信号と制御データ信号のいずれかの信号レベルを送信側で低減しても受信側で自動的に低減した方の信号レベルを基に戻して正しく復号処理することができる。
又、本発明によれば、電力比に基づいてレプリカ信頼度を変化させるようにしたから、すなわち、受信電力が大きいほどレプリカ信頼度を大きくしたから、発生するシンボルレプリカ、干渉レプリカの信頼度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の送信から受信までの電力比算出の処理フローである。
【図2】第1実施例のCDMA受信機の構成図である。
【図3】第2実施例のCDMA受信機の構成図である。
【図4】干渉キャンセラを備えた受信機の構成図である。
【図5】シンボルレプリカ発生部の構成図である。
【図6】変換テーブル例である。
【図7】干渉レプリカ発生部の構成図である。
【図8】第2変換テーブル例である。
【図9】移動機におけるCDMA送信機の構成図である。
【図10】 BPSK変調及びIQ複素平面へのマッピング説明図である。
【図11】上りリンクのフレームフォーマットである。
【図12】 WCDMAにおける移動機の送信部の構成図である。
【図13】複素平面上での多重信号説明図である。
【図14】基地局のCDMA受信機における1チャネル分のCDMA受信部の構成図である。
【符号の説明】
24a,24b・・逆拡散変調部
24c・・チャネル推定部
24d,24e・・チャネル補正部
27・・電力比計算部
30,32・・復号部
41・・大小比較部
42,43・・信号レベル変更部

Claims (5)

  1. 異なる電力で変調された送信データと制御データ IQ 複素平面の各軸成分として多重された信号を受信するスペクトラム拡散信号受信機において、
    受信信号を逆拡散して制御データ信号及び送信データ信号を復調する逆拡散部、
    逆拡散された制御データ信号に含まれるパイロット信号からチャネル推定値を導出するチャネル推定部、
    チャネル推定値を基に送信データ信号、制御データ信号のチャネル補正を行うチャネル補正部、
    チャネル補正後の送信データ信号及び制御データ信号の電力を算出し、送信データ信号と制御データ信号の電力比を算出する電力比算出部、
    電力が小さい方の信号のレベルを前記電力比に基づいて大きくする信号レベル変更部、
    信号レベル変更部でレベル変更された信号に基づいて復号処理を行なう復号部、
    を備えたことを特徴とするスペクトラム拡散信号受信機。
  2. 前記信号レベル変更部は、
    送信データ信号と制御データ信号の電力比が1より小さければ、送信データ信号のレベルを増大し、電力比が1より大きければ、制御データ信号のレベルを増大する、
    ことを特徴とする請求項1記載のスペクトラム拡散信号受信機。
  3. 異なる電力で変調された送信データと制御データ IQ 複素平面の各軸成分として多重された信号を受信するスペクトラム拡散信号受信機において、
    受信信号を逆拡散して制御データ信号及び送信データ信号を復調する逆拡散部、
    制御データ信号に含まれるパイロット信号からチャネル推定値を導出するチャネル推定部、
    チャネル推定値を基に送信データ信号、制御データ信号のチャネル補正を行うチャネル補正部、
    チャネル補正後の送信データ信号及び制御データ信号の電力を算出し、送信データ信号と制御データ信号の電力比を算出する電力比算出部、
    電力が小さい方の信号のレベルを前記電力比に基づいて大きくし、電力が大きい方の信号のレベルは変更せず、これらレベル変更された信号に基づいて硬判定あるいは軟判定して制御データ及び送信データを出力する判定部、
    前記電力比に基づいて送信データのレプリカ信頼度RC1及び制御データのレプリカ信頼度RC2を変更する手段、
    判定部から出力する送信データに電力比に応じたレプリカ信頼度RC1を乗算して送信側の送信データのレプリカを発生し、判定部から出力する制御データに電力比に応じたレプリカ信頼度RC2を乗算して送信側の制御データのレプリカを発生する第1のレプリカ発生部、
    を備えたことを特徴とするスペクトラム拡散信号受信機。
  4. 前記電力比に基づいて送信信号のレプリカ信頼度RCを変更する手段、
    前記送信データ及び制御データのレプリカを送信側拡散符号を用いてそれぞれ拡散することにより送信信号を複製する手段、
    該複製した送信信号に前記電力比に応じたレプリカ信頼度RCを乗算して送信信号のレプリカを発生する第2のレプリカ発生部、
    を備えたことを特徴とする請求項3記載のスペクトラム拡散信号受信機。
  5. 異なる電力で変調された送信データと制御データが IQ 複素平面の各軸成分として多重された信号を受信するスペクトラム拡散信号受信方法において、
    受信信号を逆拡散して制御データ信号及び送信データ信号を復調し、
    逆拡散された制御データ信号に含まれるパイロット信号からチャネル推定値を導出し、
    該チャネル推定値を基に送信データ信号、制御データ信号のチャネル補正を行い、
    チャネル補正後の送信データ信号及び制御データ信号の電力を算出し、送信データ信号と制御データ信号の電力比を算出し、
    電力が小さい方の信号のレベルを前記電力比に基づいて増大し、
    前記レベルを増大された信号に基づいて復号処理を行なう、
    ことを特徴とするスペクトラム拡散信号受信方法。
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