JP4077332B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、官能基を有する特定の含フッ素ポリマーと150℃以上の結晶融点またはガラス転移温度を有するポリアミドからなるブレンド物であって、熱可塑性樹脂組成物の機械的特性と化学的特性を改善することができる相溶性改質剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアセタール、ポリアミド、芳香族ポリエステル、ポリアリーレンサルファイド、ポリケトン類およびポリエーテルケトン類、ポリアミドイミド、ポリエーテルニトリルなど結晶性の耐熱性熱可塑性樹脂(これらは、150℃以上の結晶融点をもつ)は機械的特性にすぐれ、しかも成形性がよいため、自動車、産業機械、OA機器、電気・電子機器などの分野における機能性部品に用いられているが、耐薬品性、摺動性などにおいてより高度な市場要求があり、しかもこれらの樹脂は一般に脆性であるため特に耐衝撃性の向上が望まれている。また、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホンおよびポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドなど非晶性の耐熱性熱可塑性樹脂(これらは150℃以上のガラス転移温度をもつ)は透明性、寸法安定性、耐衝撃性などを活かす用途に広く用いられているが、一般的に耐薬品性、耐溶剤性、成形性に問題がある。
【0003】
一方、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などのフッ素樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、耐候性、摺動性、柔軟性、電気的性質などにすぐれ、自動車、産業機械、OA機器、電気・電子機器などの分野で広く用いられている。しかし、結晶性の耐熱性熱可塑性樹脂に比べて機械的特性や荷重たわみ温度で示されるような物理的な耐熱性に劣るばあいが多く、また非晶性の耐熱性熱可塑性樹脂に比べて寸法安定性が劣るため使用範囲が限定されている。
【0004】
前記の非フッ素系の耐熱性熱可塑性樹脂の欠点を含フッ素ポリマー(樹脂状とエラストマー状のものを含む)との複合で改質したり、逆に、主として樹脂状の含フッ素ポリマーを非フッ素系の耐熱性熱可塑性樹脂との複合で改質し、新規な材料をうる試みが盛んに行なわれている。
【0005】
まず、混練り機で単純に溶融ブレンドする例として、たとえば特許文献1にはポリアリーレンサルファイドの特徴である耐熱性、耐薬品性などを損なわずに耐衝撃性、耐クラック性、熱衝撃強度を改善する目的で市販の含フッ素エラストマーを添加することが開示されている。また、特許文献2、特許文献3では、PVDFなどの含フッ素ポリマーの耐候性、耐薬品性、耐摩耗性、耐汚染性を損なわずに線膨脹係数を低減し、さらに機械的物性、成形加工性を改良する目的で、異方性溶融相を形成するポリマーすなわち液晶性ポリマー(芳香族ポリエステルなど)の添加が行なわれている。液晶性ポリマーとPTFEのブレンドの例としては特許文献4および特許文献5がある。特許文献6ではポリアミドの吸水性、吸湿性の改善にPVDFのブレンドが効果的であることが開示されている。
【0006】
さらに、ガラス線維、ウォラストナイトなどの繊維状強化剤やタルク、ガラスビーズなどの無機充填材を配合して成形収縮率を低減した芳香族ポリサルホン組成物に、フッ素系重合体を配合することで金型からの離型性を改良した例が、特許文献7に記載されている。
【0007】
また、種々の合成樹脂に対して、PTFE粉末を配合し、摺動特性を改良する試みは広く一般的に行なわれている。
【0008】
しかし、含フッ素ポリマーは表面エネルギーが小さいため、一般に他材料との親和性が乏しいという問題がある。そのため、含フッ素ポリマーと他材料とを溶融ブレンドすると相分離を生じるが、その界面接着力は実質的にないに等しく、界面の剥離が起きやすいとともにブレンド中にも含フッ素ポリマーが他材料中で分散しにくく、凝集を起こして添加効果を充分に発揮することが困難であった。
【0009】
こうした欠点である異種ポリマー同士の親和性を向上させるため、第3成分としていわゆる相溶化剤を添加することがしばしば行なわれている。特許文献8では、ポリアリーレンサルファイドの流動性を損なわずにその耐衝撃性を改良するため熱可塑性含フッ素エラストマーをブレンドした組成物が開示されており、該公報中で親和性改良のためフルオロ脂肪族基含有ポリマーを添加するとより効果的であることが述べられている。また特許文献9ではポリアリーレンサルファイドと、PVDFを含む熱可塑性樹脂をブレンドする際、エポキシ基を有するビニル重合体とメチルメタクリレート重合体またはアクリロニトリル/スチレン共重合体からなるグラフトポリマーを相溶化剤として添加する方法が開示されている。
【0010】
また前記の特許文献2の請求項2、特許文献10および特許文献11などではPVDFと異方性溶融相形成性ポリマーのブレンドに対して、それぞれアクリルポリマー、ポリ酢酸ビニルおよびポリビニルメチルケトンの添加が単純ブレンドよりも効果的であることが述べられている。
【0011】
特許文献12には、N−ビニルピロリドンまたはメチル(メタ)アクリレートとのいずれか一方と、エチレン系不飽和モノマーまたは重縮合モノマーまたはラクタムのいずれか一種とから構成されるブロックポリマーを、ポリアミドとPVDFのブレンドに対する相溶化剤として用いる例が記載されている。
【0012】
また特許文献13および特許文献14にはポリフェニレンエーテルとPVDFのような含フッ素ポリマーのブレンドに際し、ポリフェニレンエーテルとポリスチレン、PVDFとアクリル系ポリマーが各々相溶性に優れることを利用してポリスチレンとアクリル系ポリマーからなる共重合体を相溶化剤として使用することが開示されている。
【0013】
しかし、特許文献8での相溶化剤におけるフルオロ脂肪族基は炭素数が20以下の低重合度のものであるためか親和性改良の効果は不充分なものである。またその他の公報では実質的にすべて、PVDFとアクリルポリマーのようなカルボニル基含有ポリマーとの親和性が優れることを利用して合成された非フッ素系相溶化剤を用いる例であり、含フッ素ポリマーがPVDFに限定される。またこのような相溶化剤を用いた親和性改良方法では、相溶化剤自身の耐薬品性や耐熱性が主成分のポリマーよりも劣るため、成形品の物性が低下するという問題がある。
【0014】
また、いわゆる動的加硫によって含フッ素ポリマーと熱可塑性樹脂からなる組成物の分散性を改良する試みもある。特許文献15では、橋かけ可能な含フッ素エラストマーと150℃以上の結晶融点またはガラス転移温度を有する熱可塑性ポリマーのブレンドに際して、溶融ブレンド中に含フッ素エラストマーの加硫を行なうことによって、含フッ素エラストマーの分散性が向上し熱可塑性エラストマーがえられることが開示されている。特許文献16でも、ポリフェニレンサルファイドの含フッ素エラストマーによる耐衝撃性の改良に動的加硫法を利用し、フッ素ゴムの微分散を達成している。
【0015】
しかしこれらの動的加硫法では、含フッ素エラストマーの加硫が他材料との溶融ブレンド中で行なわれ経済的に有利な面があるが、通常の加硫手法で使用される加硫剤その他の添加剤に基づく不純物が組成物中に残り、成形品の耐薬品性などの性質が低下するという問題がある。
【0016】
一方、反応性官能基含有含フッ素ポリマーを利用した組成物の報告もある。特許文献17、特許文献18、特許文献19には、末端に官能基を導入したフルオロポリエーテルや、官能基および炭素数2〜20のポリフルオロアルキル基を含有したポリマー、官能基含有含フッ素エラストマーなどとマトリックスポリマーとのブレンド例がある。しかし、これらはいずれも2種類の官能基含有ポリマーがマトリックスポリマー中に分散しながら相互に反応して網目構造を形成し、該網目構造とマトリックスポリマーとを物理的に結合させる仕組みであり、マトリックスポリマーとの化学的な親和性や反応性を直接利用するものではない。
【0017】
したがって、必ず相互に反応する2種以上の官能基の組み合わせが必要であり、かつそれらが網目構造を形成する条件を整えなければならない。またフルオロポリエーテルは通常、オイル状物質としてえられ、高価でもあり、しかも添加効果はマトリックスポリマーの潤滑性改良といった限定されたものでしかない。さらにポリフルオロアルキル基を含有したポリマーもポリマーと規定しがたい低分子量のものが例示されているにすぎない。
【0018】
【特許文献1】
特開昭57−202344号公報
【特許文献2】
特開平1−165647号公報
【特許文献3】
特開平2−110156号公報
【特許文献4】
特公平4−5693号公報
【特許文献5】
特開昭63−230756号公報
【特許文献6】
特開昭50−7850号公報
【特許文献7】
特開昭60−23448号公報
【特許文献8】
特開昭62−218446号公報
【特許文献9】
特開平3−62853号公報
【特許文献10】
特開平1−197551号公報
【特許文献11】
特開平1−263144号公報
【特許文献12】
特開昭64−11109号公報
【特許文献13】
特開平1−98650号公報
【特許文献14】
特開平1−110550号公報
【特許文献15】
特開平3−185042号公報
【特許文献16】
特開平3−172352号公報
【特許文献17】
特開昭63−105062号公報
【特許文献18】
特開昭63−254155号公報
【特許文献19】
特開昭63−264672号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、含フッ素ポリマーと熱可塑性樹脂をブレンドする際、含フッ素ポリマーは一般に親和性が乏しいために特性の安定したブレンドをうることは困難であり、それを用いた成形物の物性を低下させる。また親和性改良のために種々の添加剤の検討もなされているが、組成物の耐熱性や耐薬品性などを低下させないような含フッ素ポリマーと熱可塑性樹脂の組成物はえられていないのが現状である。
【0020】
本発明の目的は、種々の耐熱性の熱可塑性樹脂およびそれとよく親和し均一な分散状態を形成しうる官能基含有含フッ素ポリマーからなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
(a)官能基含有含フッ素ポリマー0.1〜99%(重量%、以下同様)と
(b)150℃以上の結晶融点またはガラス転移温度を有する耐熱性熱可塑性樹脂1〜99.9%と(c)他の含フッ素ポリマーを混合してえられるブレンド物からなるものであって、該官能基含有含フッ素ポリマー(a)として、式(I):
【0022】
【化7】
【0023】
[式中、Xは式:
【0024】
【化8】
【0025】
(式中、X1およびX2は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、フッ素原子、
【0026】
【化9】
【0027】
(Rは炭素数1〜20の2価の炭化水素基または炭素数1〜20の2価のフッ素置換有機基、B1は水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基またはエポキシ基、pは0または1、qは0または1)、−OCO−R−B1(RおよびB1は前記と同じ)または−COO−R−B1(RおよびB1は前記と同じ)で表わされる構造単位);
Yは式:
【0028】
【化10】
【0029】
(式中、Y1およびY2は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、フッ素原子、塩素原子、
【0030】
【化11】
【0031】
(Rfは炭素数1〜14の2価のフッ素置換有機基、B2は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジルオキシ基、rは0または1、sは0または1、tは0または1、uは1〜3の整数)または
【0032】
【化12】
【0033】
(B3は水素原子、フッ素原子または塩素原子、vは1〜10の整数)で表わされる構造単位);
A1およびA2はいずれも主鎖の末端部分;
ただし、
XおよびYはそれぞれ2種以上の構造単位からなっていてもよく、
XがCH2=CHF、CH2=CF2またはフルオロアルキル−α−置換アクリレート(置換基は水素原子、フッ素原子またはメチル基)に基づく構造単位を含むばあいYは存在させなくてもよく、
YがCF2=CF2またはCF2=CFClに基づく構造単位を含むばあいXは存在させなくてもよく、
XおよびYのいずれもヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を含まないばあいA1およびA2の少なくとも一方はヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を含む]で表わされ、官能基濃度が主鎖の末端部分および側鎖部分を合わせて含フッ素ポリマー全体の重量に対して2〜2000μmol/gである官能基含有含フッ素ポリマーから選ばれた少なくとも1種であって、かつ主鎖がエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドまたはビニリデンフルオライド系共重合体で構成されている官能基含有含フッ素樹脂であり、該耐熱性熱可塑性樹脂がポリアミドおよび/または芳香族ポリエステルアミドであり、含フッ素ポリマー(c)が式(I)において主鎖および側鎖の末端にヒドロキシ基、エポキシ基およびグリシジル基を含まない含フッ素ポリマーであるものが用いられる。
【0034】
前記ブレンド物としては、
(1)官能基含有含フッ素ポリマー(a)とポリアミドおよび/または芳香族ポリエステルアミド(b)との単なる混合物、
(2)官能基含有含フッ素ポリマー(a)とポリアミドおよび/または芳香族ポリエステルアミド(b)との反応生成物、または
(3)これら(1)と(2)との混合物
の形態が好ましい。
【0035】
また前記改質される熱可塑性樹脂組成物としては、官能基含有含フッ素ポリマー(a)とポリアミドおよび/または芳香族ポリエステルアミド(b)とからなる組成物、官能基を有しない含フッ素ポリマーとポリアミドおよび/または芳香族ポリエステルアミド(b)とからなる組成物が好ましく例示できる。
【0036】
前記官能基含有含フッ素ポリマー(a)の官能基としては、エポキシ基および/またはグリシジル基が好ましい。
【0037】
また、官能基を有しない含フッ素ポリマーがエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体であって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体である組合せ、
官能基を有しない含フッ素ポリマーがエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体であって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体である組合せ、
官能基を有しない含フッ素ポリマーがポリビニリデンフルオライドであって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するポリビニリデンフルオライドである組合せ、
官能基を有しない含フッ素ポリマーがビニリデンフルオライド系共重合体であって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するビニリデンフルオライド系共重合体またはポリビニリデンフルオライドである組合せ
が好ましくあげられる。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、従来、特殊な方法でしか均一な成形品をうることができなかった耐熱性熱可塑性樹脂と含フッ素ポリマーとの樹脂組成物において、特定の相溶性改質剤を存在させることにより、容易に均質な成形品を与えることができる組成物が提供できる。
【0039】
官能基含有含フッ素ポリマーは前記式(I)で表わされるものであり、主鎖の末端部分および、存在すれば側鎖の末端部分のうちの少なくとも1つにヒドロキシ基またはエポキシ基(グリシジル基を含む)を含むこと、ならびに含フッ素ポリマー(I)または、(I)をうるための官能基導入前の前駆体ポリマーがラジカル重合によって製造されることに特徴を有するものである。以下、詳述する。
【0040】
本発明における官能基含有含フッ素ポリマーは、その基本構造単位として前記
【0041】
【化13】
【0042】
で表わされるXと
【0043】
【化14】
【0044】
で表わされるYとを有する。
【0045】
構造単位Xを生ずるモノマーとしては、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのオレフィン類;たとえばCH2=CHF、CH2=CF2、CH2=C(CF3)2、CH2=CZ(CF2)wZ(Zは水素原子またはフッ素原子、wは1〜8の整数。たとえばCH2=CHCF2CF2CF2CF3、CH2=CHCF2CF2CF2CF2CF2CF3、CH2=CFCF3、CH2=CFCF2CF3、CH2=CFCF2CF2CF2H、CH2=CFCF2CF2CF2CF2CF2Hなど)などのフルオロアルケン類;たとえばCH2=CHOCH2CH3、CH2=CHOCH2CH2CH2CH3、
【0046】
【化15】
【0047】
などのアルキルビニルエーテル類;たとえばCH2=CHOCH2CF2CF2H、CH2=CHOCH2CF2CF2CF2CF2H、CH2=CHOCH2CH2CF2CF2CF2CF2CF2CF3などのフルオロアルキルビニルエーテル類;たとえばCH2=CHOCH2CH2CH2CH2OHなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル類;たとえばCH2=CHCH2OCH2CH2CF2CF3などのフルオロアルキルアリルエーテル類;たとえばCH2=CHCH2OCH2CH2OHなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル類;たとえばCH2=CHOCOCH3、CH2=CHOCOC(CH3)3、
【0048】
【化16】
【0049】
などのアルキルまたはアリールビニルエステル類;たとえばCH2=CHCOOCH3、CH2=C(CH3)COOCH3、CH2=CFCOOCH3などの置換基が水素原子、フッ素原子またはメチル基であるアルキル−α−置換アクリレート類;たとえばCH2=CHCOOCH2CF2CF2CF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF2H、CH2=CFCOOCH2CF2CF3などの置換基が水素原子、フッ素原子またはメチル基であるフルオロアルキル−α−置換アクリレート類;たとえばCH2=CHCOOCH2CH2OH、CH2=C(CH3)COOCH2CH2OH、CH2=C(CH3)COOCH2CF2CF2CH2OHなどの置換基が水素原子、フッ素原子またはメチル基であるヒドロキシ(フルオロ)アルキル−α−置換アクリレート類;CH2=CHCH2C(CF3)2OH;CH2=CHCH2OH;
【0050】
【化17】
【0051】
などがあげられる。
【0052】
構造単位Yを生ずるモノマーとしては、たとえばCF2=CFH、CF2=CF2、CF2=CFCl、CF2=CZ(CF2)wZ(Zおよびwは前記と同じ。たとえばCF2=CHCF3、CF2=CFCF3、CF2=CFCF2CF3、CF2=CFCF2CF2Hなど)などのフルオロアルケン類;たとえばCF2=CFCH2CH2OH、CF2=CFCF2CH2OH、CF2=CFCF2CF2CH2CH2OH、
【0053】
【化18】
【0054】
などの式:
【0055】
【化19】
【0056】
(RfおよびB2は前記と同じ、xは1〜3の整数)で表わされる化合物;たとえばCF2=CFOCF3、CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)yCF2CF2CF3(yは0または1〜3の整数)、CF2=CFOCF2CF2CF2CF3などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;たとえばCF2=CFOCF2CF2CH2OH、CF2=CFOCF2CF2CF2CH2OH、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2CH2OH、CF2=CFOCF2CF2CH2Br、CF2=CFOCF2CF2CH2OCF2CF2CH2F、CF2=CFOCF2CF2CH2I、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2Iなどの式:CF2=CF−O−Rf−(CH2)z−B2(RfおよびB2は前記と同じ、zは1〜3の整数)で表わされる化合物;たとえばCF2=CFCF2OCF2CF2CF3などのパーフルオロ(アルキルアリルエーテル)類などがあげられる。
【0057】
構造単位XおよびYはそれぞれ2種以上の構造単位からなっていてもよい。また、XがCH2=CHF、CH2=CF2またはフルオロアルキル−α−置換アクリレート類(置換基は水素原子、フッ素原子またはメチル基)に基づく構造単位を含むばあいはYを存在させなくてもよく、YがCF2=CF2またはCF2=CFClに基づく構造単位を含むばあいはXを存在させなくてもよい。
【0058】
主鎖−X−Y−の末端部分を表わすA1およびA2は、たとえば−OCOR1、−OR1、−R1、COOH、水素原子、ハロゲン原子(R1は炭素数1〜10のアルキル基またはフルオロアルキル基)などの開始剤または連鎖移動剤の切片であるが、これらに限られるものではない。ただし、構造単位XおよびYのいずれにもヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を含む構造単位が含まれていないばあいは、A1およびA2の少なくとも一方はヒドロキシ基、エポキシ基またはグリシジル基を含んでいなければならない。
【0059】
官能基含有含フッ素ポリマー(a)の基本成分は、式(I)に示す構造を有するものであり、ラジカル重合により形成される。式(I)から明らかなように、主鎖部分にエーテル結合をもたない。主鎖の結合部分にエーテル結合、たとえばパーフルオロオキシアルキレン単位をもつ含フッ素ポリマーは前記特開昭63−105062号公報、特開昭63−254155号公報および特開昭63−264672号公報のほか特公平3−42446号公報にも記載されているが、このフルオロポリエーテルは通常イオン重合で製造され、高価であるうえ、高分子量のものをえにくく室温または高温時にグリース状かオイル状となり、これ単独で熱可塑性樹脂と均一なブレンド物を形成することは難しく、えられたブレンド物の物性を低下させる結果となる。また、フルオロポリエーテルに側鎖を導入することは困難である。
【0060】
式(I)で表わされる官能基含有フッ素ポリマー中の官能基(ヒドロキシ基またはエポキシ基(グリシジル基もこれに含む。以下同様))は前記の官能基含有モノマーを使用することによっても製造できるが、たとえばつぎに示す方法によっても導入できる。
【0061】
たとえば、導入すべき官能基を有するラジカル重合開始剤を用いて基本成分の重合を行なう方法(開始剤法)である。たとえば、ハイドロパーオキシドを開始剤として用いると、主鎖末端にヒドロキシ基を導入できる。
【0062】
また、特定の連鎖移動剤を使用して官能基を含有させることもできる(連鎖移動剤法)。たとえば、メタノールやメルカプトエタノールを連鎖移動剤として用いると主鎖末端にヒドロキシ基が導入される。
【0063】
また、他の好ましい方法は、重合後に高分子反応によってポリマー末端ないし側鎖に官能基を導入する方法(高分子反応法)である。高分子反応法には、重合後にポリマー末端の開始剤切片が容易に目的とする官能基に変換できるようなラジカル重合開始剤を用いて重合を行なったり、同様に、重合後にポリマー主鎖や側鎖の末端を目的とする官能基に容易に変換できるような連鎖移動剤やコモノマーを用いて重合を行なったりすることも含まれる。
【0064】
高分子反応法としては、たとえばヨウ素を含む含フッ素エラストマーや熱可塑性含フッ素エラストマーのような、ヨウ素化化合物を連鎖移動剤に用いて重合したポリマーの末端ヨウ素を目的とする官能基に変換する例があげられる。具体的には、特開昭52−40543号公報に示される、ポリマー鎖末端に0.001〜10重量%好ましくは0.01〜5重量%のヨウ素を結合し、VDFとこれと共重合しうる少なくとも1種の他の含フッ素モノマーからなる共重合体を主組成とする含フッ素エラストマー、また、特公昭57−4728号公報に示される、ハードセグメントとしてのフッ素樹脂のブロックを少なくとも1個とソフトセグメントとして含フッ素エラストマーのブロックを少なくとも1個有する、フッ素樹脂/含フッ素エラストマーの重量比が5/95〜60/40である直鎖状、分岐状あるいは放射状のブロック共重合体である熱可塑性含フッ素エラストマーなどが好適である。末端ヨウ素化含フッ素ポリマーのヨウ素は反応性に富み、エポキシ基やヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、イソシアネート基などの官能基に公知の有機化学的手法により変換することができる。アリルアルコールを付加した後、アルカリにより脱HIすると末端エポキシ基となり、あるいはエチレンを付加し、さらにジメチルスルフォキサイドと反応させると末端ヒドロキシ基となる。
【0065】
また、特開昭62−12734号公報に記載されているように、式:
【0066】
【化20】
【0067】
(式中、R2はFまたはCF3、aは0〜2の整数、bは0〜2の整数、R3はハロゲン原子)で示されるハロゲン含有モノマーのうちR3がCl、Br、Iから選ばれるもの0.05〜20モル%と、構造単位Xおよび、要すれば構造単位Yを生ずるモノマー80〜99.95モル%とを共重合することによって側鎖にハロゲンを含有させ、末端ヨウ素化含フッ素ポリマーの例と同様に官能基に変換すれば、側鎖型の官能基含有含フッ素ポリマーが製造できる。
【0068】
なお、高分子反応を利用して官能基を導入する方法としては、たとえばPolym.Mater.Sci.Eng.,49,518(1983)のように、ビニリデンフルオライドを含むフッ素エラストマーを塩基で脱フッ化水素して生成した二重結合に求核性の官能基を付加させる方法も採用できるが、定量的に官能基を導入しにくい欠点がある。
【0069】
以上の各方法で導入された官能基含有含フッ素ポリマーは、慣用の有機化学的手法を高分子反応に適用して所望の官能基へさらに変換することは当然可能である。たとえば末端および/または側鎖ヨウ素化含フッ素ポリマーのヨウ素をヒドロキシ基に変換した後、さらにエピクロルヒドリンを反応させるとグリシジルオキシ基にも変換することができる。
【0070】
なお、開始剤法、連鎖移動法、共重合法、高分子反応法などの官能基導入方法は互いに組み合わせることも可能である。また、官能基導入のための反応は、ポリマーの一般的な重合反応槽に限らず、押出機のような溶融混練装置中でも行なうことができる。
【0071】
式(I)において、つぎのようなX、Yの組合せで主鎖にCH2単位を含むポリマーは熱可塑性樹脂との混練温度が広範囲に選択でき、熱可塑性樹脂との相溶性が含フッ素ポリマーのなかでも比較的優れるため好ましい。
【0072】
すなわち、1つは(ポリマーP1と呼ぶ)、式(I)におけるXの少なくとも1成分としてCH2=CF2(フッ化ビニリデン:VDF)を使用したポリマー(その他は式(I)と同じ)であり、他の1つは(ポリマーP2と呼ぶ)、Xが炭化水素系オレフィンの少なくとも1種を含み(VDFは含まない)、YとしてCF2=CF2(テトラフルオロエチレン:TFE)、CF2=CFCl(クロロトリフルオロエチレン:CTFE)またはCF2=CFCF3(ヘキサフルオロプロペン:HFP)の少なくとも1種を含む共重合体であって(その他は式(I)と同じ)、いずれもその主鎖および側鎖の末端の少なくとも1つがヒドロキシ基またはエポキシ基を有するものである。
【0073】
主鎖にCH2単位を含むこれらのポリマーのうち、さらに好ましいものは、熱可塑性樹脂との混練時の熱安定性(耐熱性)が高いものである。官能基を有する主鎖や側鎖の末端は、通常その他の部分に比べ耐熱性が劣り、混練時にある程度分解しても効果が認められる限りやむをえないが、少なくとも、該官能基含有フッ素ポリマーの主鎖や側鎖の主要部分に関しては低くても170℃、好ましくは250℃以上の耐熱性を有するべきである。耐熱性は主として、使用するモノマーの種類とその組成比に依存する。ポリマーP1およびポリマーP2では、Xとして炭化水素系オレフィンを使用するばあい、CH2=CH2、CH2=CHCH3、CH2=C(CH3)2を除くその他のアルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステルなどの炭化水素系オレフィンのポリマー中における割合を20モル%以下にとどめることが推奨される。それらは、本発明における官能基含有フッ素ポリマーを与えるモノマーのうち、最も熱的に不安定な部分となりうるからである。
【0074】
本発明における耐熱性はチッ素気流中における熱天秤の測定(10℃/分昇温)で1%重量減の温度を意味する。
【0075】
ポリマーP1およびポリマーP2のうちでも、前述のように耐熱性が充分であっても、さらにフッ素系ポリマー特有の耐油性や耐薬品性の特徴を本発明の相溶性改質剤に与えるために、特に好ましい官能基含有含フッ素ポリマーを以下にあげる。
【0076】
すなわち、ポリマーP1では、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、およびVDFを必須とし、TFE、CTFE、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(アルキルアリルエーテル)、CH2=C(CF3)2、CF2=CZ(CF2)wZ(Zおよびwは前記と同じ)、CH2=CZ(CF2)wZ(Zおよびwは前記と同じ)、CF2=CFRf(CH2)x−B2、およびCF2=CFORf(CH2)z−B2(Rf、B2およびx、zは前記と同じ)で示されるフルオロアルケンなどの含フッ素オレフィンから選ばれた少なくとも1種、および、場合によってはさらにCH2=CH2、CH2=CHCH3、CH2=C(CH3)2から選ばれる少なくとも1種の炭化水素系オレフィンを共重合してえられるポリマーについて、その主鎖および側鎖の末端の少なくとも1つがヒドロキシ基またはエポキシ基を有するものである。
【0077】
ポリマーP2では、CH2=CH2、CH2=CHCH3、CH2=C(CH3)2から選ばれた少なくとも1種の炭化水素系オレフィンを含み、TFEまたはCTFE、CF2=CFCF3(ヘキサフルオロプロペン:HFP)の少なくとも1種を含み、および、場合によってはさらにパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(アルキルアリルエーテル)、CH2=C(CF3)2、CF2=CZ(CF2)wZ(Zおよびwは前記と同じ)、CH2=CZ(CF2)wZ(Zおよびwは前記と同じ)、フルオロアルキルビニルエーテル、CF2=CFRf(CH2)x−B2、CF2=CFORf(CH2)z−B2(Rf、B2およびx、zは前記と同じ)で示されるフルオロアルケンなどの含フッ素オレフィンから選ばれた少なくとも1種を含むポリマーについて、その主鎖と側鎖の末端の少なくとも1つがヒドロキシ基またはエポキシ基を有するものである。
【0078】
本発明における官能基含有含フッ素ポリマーの分子量は、通常数百万以上の高分子量といわれるPTFEを除く一般的な含フッ素樹脂や含フッ素エラストマーと同程度であり、数平均分子量で2,000〜1,000,000である。低すぎる分子量は耐熱性、耐薬品性を損なうため、組成物中の官能基含有含フッ素ポリマー成分を少なくする必要が生じる。高すぎる分子量は成形性を損なう。好ましい数平均分子量は、熱可塑性樹脂の種類や組成物の目的によって異なるが10000〜500000程度である。本発明における含フッ素ポリマー中の官能基濃度は、熱可塑性樹脂とブレンドする際に分散状態を改良するために最小限必要な量を含んでいればよいが、分子末端のみに官能基を有するばあい、比較的低分子量の含フッ素ポリマーでないと官能基濃度が少なすぎ効果が不充分となる。官能基含有コモノマーで、あるいは高分子反応で側鎖に官能基を配したばあいは分子量によらず比較的官能基濃度を自由に選ぶことができる。しかし、製造上の制限や、組成物の耐熱性・耐薬品性などの特性上の理由により過剰な官能基濃度は望ましくない。分子末端と側鎖を合わせ、官能基濃度は含フッ素ポリマー全体の重量に対して2〜2000μmol/gのものが使用できるが、特に2〜1000μmol/gのものが好ましい。
【0079】
本発明における官能基含有含フッ素ポリマー(a)は、使用するモノマーの種類とその組成比によって樹脂、エラストマーのいずれの性状でもありうる。樹脂、エラストマーの区別は後者が室温より低いガラス転移温度を有する程度の意味であり、ブレンドの目的によっていずれかが選択できる。熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良やエラストマー性状のブレンド物をうる目的のばあい、エラストマー性の官能基含有含フッ素ポリマーを用いる。
【0080】
本発明において、官能基含有含フッ素ポリマー(a)は結晶融点またはガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂(b)とブレンドされる。熱可塑性樹脂(b)としては、たとえばポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミド、芳香族アゾメチン、ポリアリーレンサルファイド、ポリサルホンおよびポリエーテルサルホン、ポリケトンおよびポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリメチルペンテン、ポリエーテルニトリルなどがある。なかでも熱可塑性樹脂単体でも耐熱性が高く、官能基含有含フッ素ポリマー(a)との混合後の組成物の耐熱性を低下させないような樹脂、または、耐衝撃性や耐薬品性を改良するための通常の耐衝撃性改良剤や耐薬品性改質剤は耐熱性低下のために使用できないような樹脂、たとえば芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレンサルファイド、ポリケトン、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどは本発明の好ましい対象である。
【0081】
さらに、一般的に耐熱性、耐薬品性を損なわずに耐衝撃性の改良が強く望まれているポリアリーレンサルファイドや、自動車部品用材料として使用される際に、耐溶剤性、特に耐ガソホール性などの改良が望まれているポリアミドおよび添加により含フッ素ポリマーの成形性、機械的物性の向上が期待できる芳香族ポリエステル、そのなかでも特に高弾性率で成形加工性や寸法安定性に優れているため、含フッ素ポリマーとの相溶性を向上させることによって、含フッ素ポリマーの機械的物性、成形性、寸法安定性、荷重たわみ温度の大幅なる向上を期待できる異方性溶融相を形成する液晶ポリエステルが特に好ましい対象としてあげることができる。
【0082】
また、本発明において官能基含有含フッ素ポリマー(a)と熱可塑性樹脂(b)との反応性を考慮したばあい、ポリフェニレンサルファイドはメルカプト基を、ポリアミドはカルボキシル基、アミノ基を、芳香族ポリエステルはヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基を含み、本発明における官能基含有含フッ素ポリマー中のヒドロキシ基あるいはエポキシ基(グリシジル基も含む)との反応の可能性が高くその意味でも好ましい対象である。
【0083】
本発明における官能基含有含フッ素ポリマーにおける官能基は、エポキシ基(グリシジル基も含む)、ヒドロキシ基である。これら官能基は、耐熱性熱可塑性樹脂(b)が芳香族ポリエステルのばあいは主鎖のエステル結合や末端のヒドロキシ基、カルボキシル基、ポリアミド(PA)のばあいは主鎖のアミド結合や末端のカルボキシル基、アミノ基、ポリアリーレンサルファイドのばあいは、末端のメルカプト基との反応性が高い。つまり、これらの反応性に富む官能基が含フッ素ポリマーに導入され、部分的にでも熱可塑性樹脂の主鎖または末端と反応し、相溶性が改善されるか、あるいは官能基の導入が含フッ素ポリマーの極性を高め、特に化学反応を起こさずとも熱可塑性樹脂との界面親和性が向上し、分散性を向上させると考えられる。また、熱可塑性樹脂の一部が含フッ素ポリマーと化学反応を起こし、反応生成物がいわゆる相溶化剤として作用することも考えられる。
【0084】
したがって本発明の相溶性改質剤において、官能基含有含フッ素ポリマー(a)と熱可塑性樹脂(b)のブレンド物は、
(1)官能基含有含フッ素ポリマー(a)と熱可塑性樹脂(b)との単なる混合物
(2)官能基含有含フッ素ポリマー(a)と熱可塑性樹脂(b)との反応生成物
(3)これら(1)と(2)との混合物
の形で存在しうるものと推定される。このように、ブレンドのメカニズムは明瞭でないが、このことによって本発明が限定されるものではない。
【0085】
本発明における官能基含有含フッ素ポリマーとの親和性あるいは反応性を高めるため、熱可塑性樹脂(b)を常法に従い変性することも本発明から排除されるものではない。
【0086】
また、本発明の相溶性改質剤には、熱可塑性樹脂(b)と官能基含有含フッ素ポリマー(a)以外のポリマー成分を含むことができる。
【0087】
好ましい成分は式(I)において、主鎖および側鎖の末端にヒドロキシ基、エポキシ基を含まない含フッ素ポリマーである。特に好ましいものとしては、
(1)PTFE(TFEと共重合可能な含フッ素オレフィンを1重量%未満含む共重合体を含む)や、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(通称PFA)、TFE/HFP共重合体(通称FEP)、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/HFP三元共重合体のようなパーフルオロ系フッ素樹脂またはエラストマー、
(2)通称ETFEやECTFEの名で知られるエチレン対TFEおよび/またはCTFEのモル組成比が2対3〜3対2であり、かつそれらと共重合しうる第3の含フッ素モノマーがエチレンとTFEおよび/またはCTFEモノマー全量に対して0〜15モル%含まれる樹脂状共重合体、あるいはエチレンが約40〜90モル%、TFEおよび/またはCTFEが約0.1〜20モル%、第3の含フッ素モノマーが約10〜60モル%の組成のエラストマー状共重合体。第3の含フッ素モノマーとしては、CH2=CZ(CF2)wZ、CF2=CZ(CF2)wZ、CF2=CFO(CF2)wZ(Zおよびwは前記と同じ)、CH2=C(CF3)2で示される少なくとも1種が用いられる。
【0088】
(3)PVDFおよびVDF系共重合体(VDFとTFE、CTFE、HFP、CH2=C(CF3)2または(CF3)2C=Oなどの含フッ素オレフィンから選ばれた少なくとも1種の含フッ素オレフィンとの樹脂状あるいはエラストマー状共重合体)。なお、VDF/HFP共重合体、VDF/CTFE共重合体、VDF/TFE/HFPまたはCTFEの三元共重合体は、通常VDFが約20〜80モル%、かつTFEが約40モル%未満、HFPが約10〜60モル%、CTFEが約15〜40モル%の範囲でエラストマーとなる。
【0089】
(4)その他として、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ(フルオロアルキル−α−置換アクリレート)(置換基は水素原子またはメチル基、フッ素原子、塩素原子)などの含フッ素樹脂またはエラストマー
があげられる。
【0090】
すなわち前記の官能基含有含フッ素ポリマー(a)、熱可塑性樹脂(b)および官能基を含まない含フッ素ポリマーの3成分の組成物においては、その組成物中の熱可塑性樹脂(b)の一部分と官能基含有含フッ素ポリマー(a)との混合物が相溶性改質剤として作用し、分散性を向上させると考えられ、単なる官能基を含まない含フッ素ポリマーと熱可塑性樹脂(b)とのブレンド物ではえられない機械的物性、耐薬品性などの向上がえられる。
【0091】
したがってこれらの組成物中において、官能基含有含フッ素ポリマー(a)と官能基を含まない含フッ素ポリマーは互いに相溶性の高いものが好ましい。
【0092】
たとえば前述(1)のパーフルオロ系フッ素樹脂またはエラストマーや(2)のETFE、ECTFEなどのポリマーを熱可塑性樹脂と混合するばあい、その混合する含フッ素ポリマーそれぞれの構造とよく類似する構造の末端または側鎖に官能基を導入した構造の官能基含有含フッ素ポリマーを混合するのが分散性の向上に最も好ましい。
【0093】
また、前述(3)のPVdFまたはVdF系共重合体を熱可塑性樹脂と混合するばあい、PVdF、VdF系共重合体のうちから選ばれた重合体の末端または側鎖に官能基を導入した官能基含有含フッ素ポリマーを混合するのが最も好ましい。
【0094】
熱可塑性樹脂(b)と官能基含有含フッ素ポリマー(a)とのブレンドまたは、前記組成にさらに官能基を含まない含フッ素ポリマーを加えた3成分でのブレンドは少なくとも熱可塑性樹脂の結晶融点またはガラス転移温度以上の溶融・流動状態で行なうことが必要である。ブレンド中、官能基含有含フッ素ポリマーも溶融状態であることが望ましいが、溶融粘度が高いか架橋性である理由で非溶融性を保持していてもよい。
【0095】
本発明の相溶性改質剤は、主鎖末端および/または側鎖上に官能基を有し、分子量2,000〜1,000,000である含フッ素ポリマー(a)と150℃以上の結晶融点またはガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂(b)を混合してなるものであって、その組成は(a)0.1〜99重量%、(b)1〜99.9重量%である。
【0096】
このうち(a)0.1〜40重量%、(b)60〜99.9重量%とするばあいには、多くの熱可塑性樹脂の欠点である耐衝撃性、摺動性、耐薬品性、成形性などの性質がフッ素ポリマーによって改質できる。また、(a)40〜99重量%、(b)1〜60重量%とするばあいには、フッ素ポリマーの強度、荷重たわみ温度、成形性、寸法安定性が熱可塑性樹脂によって改質できる。樹脂組成物の重量比で、(a)が0.1重量%未満のばあいおよび(b)が1重量%未満のばあいには、前記改質効果は不満足なものになる。
【0097】
官能基含有含フッ素ポリマーの組成物中での含量およびその種類は官能基の種類、位置、濃度、基本成分、分子量などで異なるので、一様に決定できるものでなく、前記の範囲内でブレンドする熱可塑性樹脂の種類やブレンドの目的に応じて選択する。
【0098】
本発明において相溶化する好ましい樹脂組成物は、主鎖末端または側鎖上にヒドロキシ基またはエポキシ基を含有する含フッ素ポリマーとポリアリーレンサルファイド、ポリアミドまたは芳香族ポリエステルもしくはポリカーボネートからなる組成物である。
【0099】
ポリアリーレンサルファイドは耐熱性、耐薬品性、機械的特性に優れているが耐衝撃性が劣る性質がある。
【0100】
ポリアリーレンサルファイドに、官能基含有含フッ素ポリマー(a)のうち特に数平均分子量が2,000〜200,000の含フッ素エラストマーを混合することによって耐衝撃性が改良された組成物をうることができる。
【0101】
官能基含有含フッ素エラストマーの官能基としてはヒドロキシ基、エポキシ基(グリシジル基も含む)があげられる。いずれも分散性、耐衝撃性を向上させる。
【0102】
良好な官能基濃度は含フッ素エラストマーやポリアリーレンサルファイドの種類および混合組成比などによっても異なるが含フッ素エラストマー全体に対し2〜2000μmol/g、特に2〜1000μmol/gあれば充分効果的である。
【0103】
前記官能基含有含フッ素エラストマーとしては、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレン系共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−三フッ化塩化エチレン系共重合体、プロピレン−四フッ化エチレン系共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、四フッ化エチレン−フッ化ビニリデン−プロピレン系共重合体、エチレン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、およびパーフルオロアルキルアクリレート系エラストマー、四フッ化エチレン−アルキルビニルエーテル系共重合体、四フッ化エチレン−アルキルビニルエステル系共重合体のそれぞれの末端または側鎖に官能基を導入したものが使用できるが、なかでもフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、プロピレン−四フッ化エチレン系共重合体にヒドロキシ基またはエポキシ基(グリシジル基も含む)を導入したものが特に好ましい。
【0104】
官能基含有含フッ素エラストマーとポリアリーレンサルファイドの組成は、官能基含有含フッ素エラストマー0.1〜40重量%とポリアリーレンサルファイド60〜99.9重量%の範囲で使用できるが特に好ましくは官能基含有含フッ素エラストマー5〜30重量%、ポリアリーレンサルファイド70〜90重量%である。
【0105】
官能基含有含フッ素エラストマーが5重量%未満のばあいでは充分な耐衝撃性の改良が行なえず、逆に30重量%を超えると機械的強度の低下が著しくなる。
【0106】
パーフルオロ系フッ素樹脂(PTFE、FEP、PFAなど)やETFE、ECTFE、PVdF、VDF系共重合体樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気特性などに優れているが、結晶性の耐熱性熱可塑性樹脂(b)に比べて機械的特性や荷重たわみ温度で示される物理的耐熱性に劣るばあいが多い。
【0107】
これらの含フッ素樹脂に換えて本発明で使用する末端または側鎖に官能基を導入した官能基含有含フッ素樹脂に芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートをブレンドすることによって、あるいは、前記含フッ素樹脂と芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートのブレンド物に本発明の相溶性改質剤を用いることによってフッ素樹脂単体がもつ機械的特性や荷重たわみ温度を改良することができる。
【0108】
このように芳香族ポリエステルやポリカーボネートをブレンドするばあい、使用する官能基含有含フッ素ポリマーの官能基はヒドロキシ基、エポキシ基(グリシジル基も含む)の両方が用いることができるが、芳香族ポリエステルやポリカーボネートの主鎖のエステル結合やカーボネート結合とのエステル交換反応がより起こりやすいと考えられるヒドロキシ基を末端または側鎖にもつ含フッ素ポリマーがより好ましい。
【0109】
良好な官能基濃度は、含フッ素ポリマーの種類や芳香族ポリエステル、ポリカーボネートの種類、組成比などによって異なるが官能基含有含フッ素ポリマー全体に対し2〜2000μmol/g、特に2〜1000μmol/gあれば充分効果的である。
【0110】
官能基含有含フッ素樹脂と芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートの2成分ブレンドのばあい、官能基含有含フッ素樹脂として種々のものを選ぶことができるがPTFE、FEP、PFA、ETFE、ECTFE、PVdF、VDF−TFE共重合体などの末端または側鎖にヒドロキシ基をもつものが好ましく、それぞれ相当するフッ素樹脂単体がもつ機械的特性や、荷重たわみ温度を改良することができる。
【0111】
含フッ素樹脂と芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートのブレンド物に本発明の相溶性改質剤をブレンドする3成分ブレンド組成物のばあい種々の組み合わせを用いることができるが、パーフルオロ系フッ素樹脂(PTFE、FEP、PFAなど)と芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートとの混合物には、それぞれ相当するパーフルオロ系フッ素樹脂の末端または側鎖にヒドロキシ基を導入したものを相溶性改質剤としてブレンドした組成物、ETFE(またはECTFE)と芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートとの混合物にエチレン/四フッ化エチレン系共重合体(またはエチレン/クロロトリフルオロエチレン系共重合体)の末端または側鎖にヒドロキシ基を導入したものをブレンドした組成物、PVDFと芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートのブレンド物にPVDFまたはVDF系共重合体より選ばれる含フッ素ポリマーの末端または側鎖にヒドロキシ基を導入したものをブレンドした組成物などが最も好ましい。
【0112】
このばあい、分散性の向上に効果的な相溶性改質剤としての官能基含有含フッ素ポリマーの含有量は、組成物全体の量に対して0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%である。
【0113】
また、官能基含有含フッ素ポリマーのうち特にヒドロキシ基含有含フッ素エラストマーに芳香族ポリエステルを溶融ブレンドすることによって部分的に化学反応(エステル交換反応など)が生じ、熱可塑性エラストマー組成物をうることができる。また、ヒドロキシ基含有含フッ素エラストマーと芳香族ポリエステルの組成比を適当に選択し溶融ブレンドすることによって様々の硬度の熱可塑性エラストマーをうることができる。良好な官能基濃度は含フッ素エラストマーや芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートの種類や組成比などによっても異なるが含フッ素エラストマー全体に対し2〜2000μmol/g、特に好ましくは2〜1000μmol/gである。
【0114】
このばあい、ヒドロキシ基含有含フッ素エラストマーとしてはフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−三フッ化塩化エチレン系共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−三フッ化塩化エチレン系共重合体、プロピレン−四フッ化エチレン系共重合体、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、四フッ化エチレン−フッ化ビニリデン−プロピレン系共重合体、エチレン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、およびパーフルオロアルキルアクリレート系エラストマー、四フッ化エチレン−アルキルビニルエーテル系共重合体、四フッ化エチレン−アルキルビニルエステル系共重合体のそれぞれの末端または側鎖にヒドロキシ基を導入したものが使用できるが、なかでもフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン系共重合体、プロピレン−四フッ化エチレン系共重合体のそれぞれの末端または側鎖にヒドロキシ基を導入したものが特に好ましい。
【0115】
この熱可塑性エラストマー組成物においてかかるヒドロキシ基含有含フッ素エラストマーと芳香族ポリエステルまたはポリカーボネートの組成はヒドロキシ基含有フッ素エラストマー50〜99.9重量%、芳香族ポリエステルまたはポリカーボネート0.1〜50重量%とすることができるが、熱可塑性樹脂としての高温流動性と、エラストマーとしての弾性をかねそなえるために、特に好ましくは、ヒドロキシ基含有含フッ素エラストマー70〜98重量%、芳香族ポリエステルまたはポリカーボネート2〜30重量%とされる。
【0116】
前記の含フッ素ポリマーの改質組成物および熱可塑性エラストマー組成物などが使用できる。
【0117】
芳香族ポリエステルとしては、たとえばアジピン酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの2塩基酸とエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどの2価アルコールとの縮合物(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ[2,2−プロパンビス(4−フェニルテレ/イソフタレート)]など);および異方性溶融相を形成する芳香族ポリエステル(液晶コポリエステル)などがあげられる。
【0118】
そのなかでも、配向により高強度を有し、溶融時には高流動性を示す液晶コポリエステルを用いることが好ましい。液晶コポリエステルとしては、たとえば芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸の1種以上;芳香族ジオール、脂環式ジオール、脂肪族ジオールの1種以上;芳香族ヒドロキシカルボン酸の1種以上より選ばれた成分より構成される液晶コポリエステルがあげられる。代表的な組合わせとしては、たとえばパラヒドロキシ安息香酸、ビフェニルジオール、テレフタル酸を主成分とするもの(たとえば、住友化学工業(株)製のエコノールE2000・E6000、日本石油化学(株)製のXydar RC/FC400・300、ポリプラスチックス(株)製のベクトラ Cシリーズ、上野製薬(株)製のUENO LCP2000、出光石油化学(株)の出光LCP300);パラヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフトエ酸を主成分とするもの(たとえば、アイ・シー・アイ・ジャパン(株)製のVICTREX SRP、上野製薬(株)製のUENO LCP1000、ポリプラスチックス(株)製のベクトラAシリーズ、三菱化成(株)製のノバキュレートE324、出光石油化学(株)製の出光LCP300、ユニチカ(株)製のロッドランLC−5000);パラヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、脂肪族ジオールを主成分とするもの(たとえば、三菱化成(株)製のノバキュレートE310、出光石油化学(株)製の出光LCP100、ユニチカ(株)製のロッドランLC−3000、イーストマンコダック(株)製のX7G)などがあげられる。
【0119】
本発明における官能基含有含フッ素エラストマーとこれらの液晶コポリエステルをブレンドするばあい、官能基含有含フッ素エラストマーの耐熱性を考慮して、比較的溶融温度の低いパラヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシナフトエ酸を主成分とするもの、あるいはパラヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、脂肪族ジオールを主成分とするものが好ましい。
【0120】
ポリアミド樹脂は高強度、高靭性、加工性に優れホース、チューブ、パイプなどに広く用いられている。一方、一般に耐油性にも優れているがアルコール系の溶剤に対して弱く特に低級アルコールを含むガソリンを用いたばあいの耐油性(耐ガソホール性)が悪くなり、体積膨潤や燃料透過が大きくなり強度低下などの材料劣化を起こす。
【0121】
本発明における官能基含有含フッ素ポリマーをポリアミドにブレンドすることによって、また含フッ素ポリマーとポリアミドのブレンド物に官能基含有含フッ素ポリマーを相溶性改質剤として用いることにより前記のポリアミドの耐溶剤性や耐ガソホール性を改良することができる。
【0122】
このばあい、官能基含有含フッ素ポリマーの官能基はヒドロキシ基、エポキシ基(グリシジル基も含む)の両方が使用できるが、ポリアミド樹脂の末端のカルボキシル基およびアミノ基の両方に良好な反応性をもつと考えられるエポキシ基(グリシジル基も含む)を末端または側鎖にもつものが特に好ましい。
【0123】
官能基含有含フッ素ポリマーとポリアミドとの2成分のブレンドのばあい、官能基含有含フッ素ポリマーとしては目的や用途によって種々選ぶことができるがETFE、ECTFE、PVDE、VDF系共重合体樹脂および含フッ素エラストマーのそれぞれの末端または側鎖に官能基をもつものが特に好ましい。
【0124】
また、含フッ素ポリマーとポリアミドとのブレンド物に本発明の相溶化剤をブレンドする3成分ブレンド物のばあい、種々の組合せを用いることができるが、ETFE(またはECTFE)とポリアミドとのブレンド物にエチレン/四フッ化エチレン(またはエチレン/三フッ化塩化エチレン)系共重合体の末端または側鎖にエポキシ基(グリシジル基も含む)を導入したものを相溶性改質剤としてブレンドした組成物、およびPVDFとポリアミドとのブレンド物にPVDF、VDF系共重合体のうちから選ばれる含フッ素ポリマーの末端または側鎖にエポキシ基(グリシジル基を含む)を導入したものを相溶性改質剤としてブレンドした組成物、VDF系共重合体とポリアミド樹脂のブレンド物にPVDF、VDF系共重合体から選ばれる含フッ素ポリマーの末端または側鎖にエポキシ基(グリシジル基も含む)を導入したものをブレンドした組成物などが最も好ましい。
【0125】
このばあい分散性の向上に効果的な相溶性改質剤としての官能基含有フッ素ポリマーの含有量は組成物全体に対し0.5〜30重量%、好ましくは2〜15重量%である。
【0126】
本発明におけるポリアミド樹脂としてはナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン46、およびナイロンMCX−A、ナイロンMXD6などが使用できる。
【0127】
さらに本発明において、樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲でガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、アラミド繊維などの繊維状の強化材、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレイ、カーボン粉末、グラファイト、ガラスビーズなどの無機充填材、ポリイミドなどの耐熱性樹脂、着色剤、難燃剤など通常使用される無機または有機の充填材を含んでいてもよく、その配合量は組成物の通常1〜70重量%である。このとき、樹脂組成物に含まれる未反応の官能基が存在することによってこれらの充填効果が一層向上するばあいもある。
【0128】
【実施例】
つぎに、参考例、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例によって本発明は限定されるものではない。なお、以下の例において、本発明の実施例は実施例13であり、それ以外の実施例は参考実施例である。
【0129】
なお、参考例で合成された含フッ素ポリマー、および実施例、比較例でえられた樹脂組成物は以下の試験方法によって評価した。
【0130】
(試験方法)
(1)官能基含有含フッ素ポリマーの耐熱性測定
(株)島津製作所製熱分析装置DT−30型を用いて、チッ素(30ml/min)中、昇温速度10℃/minで1%重量減の温度を測定した。
【0131】
(2)アイゾット衝撃試験
上島製作所(株)製U−F衝撃試験機を用い、ASTM D256に従ってノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した。
【0132】
(3)電子顕微鏡観察
樹脂組成物成形体を液体窒素中で凍結破断し、その断面を走査式電子顕微鏡で観察した。さらに電子顕微鏡写真(150μm×200μm)より含フッ素ポリマー粒子100個を任意に選び、これより平均粒子径を求めた。
【0133】
(4)引張試験
オリエンテック(株)製テンシロン万能試験機を用い、ASTM D638に従い、type5ダンベルを用いて引張強度を測定した。
【0134】
(5)メルトフローレート
(株)島津製作所製フローテスターを用いて、温度250℃、荷重20kgf/cm2、予熱300秒間でメルトフローレートを測定した。
【0135】
(6)荷重たわみ温度
(株)安田精機製作所製ヒートディストーションテスター(No.148 HD−500−PC型)を用いてN2気流下、荷重18.5kgf/cm2、昇温速度2℃/minの条件で測定した。
【0136】
(7)耐溶剤性
JIS−K630に準じて、トルエン/イソオクタン/メタノール=40/40/20容量%混合溶媒を用い、100℃、70hr浸漬後、体積変化率を測定した。
【0137】
参考例1
特公昭61−49327号公報の実施例3(1)に開示された方法によって、連鎖移動法により末端にヨウ素の導入されたビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレンの50/20/30mol%共重合体を固形分で25wt%含む白色水性ラテックスをえた。このラテックスの一部を凍結凝析および水洗、乾燥して無色透明なエラストマーをえた。GPC(溶媒;THF、カラム温度;40℃)によって求めたこのポリマーの数平均分子量はポリスチレン換算で約14万であり、元素分析によるヨウ素含有量は0.22重量%であった。またこのポリマーの耐熱性は401℃であった。
【0138】
このラテックス1000gとアリルアルコール4.2gを撹拌機、冷却管、温度計、チッ素吹き込み管を備えた2000ml四つ口フラスコに仕込み、約0.2ml/minの流量のチッ素気流下で撹拌しながら水浴上で70℃に加温した。フラスコに過硫酸アンモニウム20mgを溶解した水溶液10mlを添加し反応を開始した。7時間後に加熱、撹拌を停止し冷却した。このラテックスを凍結凝析後、水洗、乾燥して無色透明なエラストマーをえた。つぎに撹拌機、冷却管、温度計を備えた2000ml四つ口フラスコにこのエラストマー250gと酢酸エチル1リットルを仕込み、加熱撹拌してポリマーを溶解させた。フラスコ内温を70℃に保持して、水酸化カリウムの10wt%水溶液200gを添加し7時間反応を行なった。反応溶液を多量のメタノールに注いでポリマーを再沈殿して回収し、水洗、乾燥を行なった。元素分析による末端ヨウ素の含有量は0.14重量%であり、このエポキシ化反応で減少したヨウ素量より求めたエポキシ化率は36%であった。またこのポリマーの耐熱性は356℃であり、ガラス転移点は−9℃であった。なお、このポリマーに含まれるエポキシ基の濃度を数平均分子量より計算すると5μmol/gである。
【0139】
参考例2
参考例1で合成された末端ヨウ素化含フッ素エラストマーのラテックス500gを内容積1リットルの撹拌機付きの耐圧容器に入れ、内部をチッ素ガスで充分置換した後、撹拌下に70℃に保ちながらエチレンガスで0.8MPaに加圧した。APS50mgを圧入すると直ちに圧力降下が始まり、14時間後もはや圧力降下が見られなくなった段階で温度を室温に戻し、残圧を放出して反応を終了した。えられたラテックスを凍結凝析後、水洗、乾燥して無色透明なエラストマーをえた。このポリマーの赤外吸収スペクトルには、末端ヨウ素に挿入されたエチレンのCH結合に基づく特性吸収が3024cm-1に認められた。
【0140】
このエラストマー68gとジメチルスルフォオキシド3.0g、酢酸ブチル400g、水2gを撹拌機、冷却管、温度計、チッ素吹き込み管を備えた1000ml四つ口フラスコに仕込み、約0.2ml/minの流量のチッ素気流下で撹拌しながら110℃に加温した。5時間後に加熱撹拌を停止し、黄色に着色したポリマー溶液をえた。この溶液を多量のメタノールに注いでポリマーを回収し、さらにメタノール中で洗浄、乾燥を繰り返して淡黄色のエラストマーをえた。このポリマーの赤外吸収スペクトルには、末端反応によって生じたヒドロキシ基に基づく特性吸収が3400cm-1に認められた。
【0141】
元素分析による末端ヨウ素の含有量は0.10重量%であり、このヒドロキシ化反応で減少したヨウ素量より求めたヒドロキシ化率は55%であった。またこのポリマーの耐熱性は453℃であり、ガラス転移点は−9℃であった。なお、このポリマーに含まれるヒドロキシ基の濃度を数平均分子量より計算すると、8μmol/gである。
【0142】
参考例3
ステンレス製撹拌翼と温度調節用ジャケットを備え、内容量が3リットルのステンレス製オートクレーブに脱イオン水1425mlおよび乳化剤(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)0.75gを仕込み、チッ素ガスで3回系内を置換して酸素を除いた後、CF2=CFCF2CH2OH8.1gを仕込み、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(3/1/1、モル比)混合単量体78gを圧入した。撹拌を400rpm、内温を40℃に保つと内圧は1.2MPaとなった。つぎに過硫酸アンモニウム水溶液(6g/25ml)、亜硫酸ナトリウム水溶液(3.18g/25ml)、硫酸第二鉄水溶液(3.66g/25ml)を順次、前記混合単量体で圧入した。反応中、温度は40℃、撹拌は400rpmに保ち、内圧は1.1MPaを保つように前記混合単量体を連続的に供給した。また、過硫酸アンモニウムをさらに反応開始時の半分量を4時間後に追加した。
【0143】
開始剤を添加してから反応で消費されたビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(3/1/1、モル比)混合単量体が400gに達した時点(約15時間後)で直ちに撹拌と混合単量体の供給を停止し、オートクレーブ内に残ったガスを常圧まで放出し反応を終了した。えられた含フッ素共重合体を洗浄し、70℃で減圧下24時間乾燥させた。えられた乾燥粉末は全部で430gであった。
【0144】
乾燥粉末を圧縮成形したフィルムの赤外吸収スペクトルには3420cm-1にCF2=CFCF2CH2OHのヒドロキシ基に帰属される吸収ピークが認められた。元素分析と19F核磁気共鳴分析(NMR)からえられた含フッ素ポリマーの組成はビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/CF2=CFCF2CH2OH(57.4/25.6/16.8/0.2)であった。GPC(溶媒;THF、カラム温度:40℃)によって求めたこのポリマーの数平均分子量はポリスチレン換算で約6万であった。またこのポリマーの耐熱性は401℃であり、ガラス転移点は−18℃であった。なおこのポリマー中に含まれるヒドロキシ基の濃度は18μmol/gと計算される。
【0145】
参考例4
ステンレス製撹拌翼と温度調節用ジャケットを備え、内容積3リットルのステンレス製オートクレーブに脱イオン水1425mlおよび乳化剤(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)0.75gを仕込み、チッ素ガスで3回系内を置換して酸素を除いた後、CF2=CFCF2CH2OHを3g仕込み、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(3/1/1、モル比)混合単量体78gを圧入した。撹拌を400rpm、内温を40℃に保つと内圧は1.2MPaとなった。つぎに過硫酸アンモニウム水溶液(6g/25ml)、亜硫酸ナトリウム水溶液(3.18g/25ml)、硫酸第二鉄水溶液(3.66g/25ml)を順次、前記混合単量体で圧入した。反応中、温度は40℃、撹拌は400rpmに保ち、内圧は1.1MPaを保つように前記混合単量体を連続的に供給した。また、過硫酸アンモニウムをさらに反応開始から10時間の間、連続的に合計3g追加した。
【0146】
開始剤を添加してから反応で消費されたビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(3/1/1、モル比)混合単量体が400gに達した時点(約22時間後)で直ちに撹拌と混合単量体の供給を停止し、オートクレーブ内に残ったガスを常圧まで放出し反応を終了した。えられた含フッ素共重合体を凝析、水洗した後、70℃で常圧下24時間乾燥させた。えられた乾燥粉末は全部で380gであった。
【0147】
元素分析と1H、19F核磁気共鳴分析(NMR)からえられた含フッ素ポリマーの組成は、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/CF2=CFCF2CH2OH(62.8/23.8/13.3/0.08、モル比)であった。GPC(溶媒:THF、カラム温度:40℃)によって求めたこのポリマーの数平均分子量はポリスチレン換算で約21万であった。またこのポリマーの耐熱性は445℃であり、ガラス転移点は−19℃であった。なおこのポリマー中に含まれるOH基の濃度は12μmol/gと計算される。
【0148】
参考例5
特開昭62−12734号公報に開示された方法によって、側鎖および末端にヨウ素の導入されたビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/CF2=CFOCF2CF2CH2l(49.7/19.9/29.8/0.6:モル比)共重合体を固形分で21重量%含む白色水性ラテックスをえた。このラテックスの一部を凝析したのち、水洗、乾燥して無色透明なエラストマーをえた。GPC(溶媒:THF、カラム温度:40℃)によって求めたこのポリマーの数平均分子量はポリスチレン換算で約14万であった。元素分析によるヨウ素含有量は0.72重量%であった。またこのポリマーの耐熱性は403℃であった。
【0149】
このラテックス3300gをガラスライニング製撹拌翼と温度調節用ジャケットを備え、内容積6リットルのガラス製オートクレーブに仕込み、チッ素ガスで3回系内を置換して酸素を除いた後、撹拌を305rpm、内温70℃に保ちエチレンガスで内圧0.9Mpaになるまで加圧した。つぎに過硫酸アンモニウム水溶液(30mg/2ml)をチッ素ガスで圧入した。反応中、温度70℃、撹拌305rpmに保った。
【0150】
圧力降下が見られなくなった時点(約13.5時間後)で、オートクレーブ内に残ったガスを常圧まで放出し反応を終了した。えられた含フッ素共重合体を凝析、水洗した後、80℃で常圧下48時間乾燥させ無色透明なエラストマーをえた。えられた乾燥ポリマーは全部で690gであった。
【0151】
1H核磁気共鳴分析(NMR)より−CF2CH2l結合に由来する4.0ppmのピークが消失し、エチレンの付加が確認された。元素分析からヨウ素含有量は0.57重量%で、GPC(溶媒:THF、カラム温度:40℃)によって求めたこのポリマーの数平均分子量はポリスチレン換算で約14万であった。また、このポリマーの耐熱性は427℃であった。
【0152】
このエチレン付加ヨウ素末端含フッ素エラストマー100gとジメチルスルホキシド(DMSO)400g、水2gを攪拌機、冷却管、温度計、チッ素ガス吹き込み管を備えた1000ml4つ口フラスコに仕込み、約0.2ml/minの流量のチッ素バブリング下で撹拌しながら、100℃に加熱した。5時間後に加熱撹拌を停止し、黄色に着色したポリマーをえた。このポリマーをアセトンに溶解し、黄色に着色したポリマー溶液をえた。この溶液を多量のメタノールに注いで回収し、さらに水洗を行なった後、100℃常圧下で24時間乾燥し、淡黄色のポリマーをえた。
【0153】
元素分析によるヨウ素含有量は0.11重量%であり、ヒドロキシ化反応で減少したヨウ素量より求めたヒドロキシ化率は80.7%であった。このポリマーの耐熱性は452℃であった。なお、このポリマーに含まれるヒドロキシ基濃度を数平均分子量より計算すると57μmol/gである。
【0154】
実施例1
ポリフェニレンサルファイド(トープレン社製のトープレンT4)50.4gを300℃に設定した内容積60cm3のブラベンダーミキサーに投入し、回転数50rpmで4分間溶融させた後、参考例1でえたポリマー7.6gを加え回転数100rpmで6分間混練した。このばあい、後述する比較例1に比べて混練時のトルク上昇の度合は大きかった。えられた組成物を300℃で圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表1に示す。
【0155】
実施例2、3、4
ポリフェニレンサルファイド樹脂44.8gを参考例1、2、3でえたポリマー各15.2gを用い実施例1と同様にして混練、成形し、試験片を作製した。試験結果を表1に示す。
【0156】
実施例5
ポリフェニレンサルファイド樹脂44.8gと参考例1でえたポリマー3.2gおよびビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる含フッ素エラストマー(ダイキン工業(株)製のダイエルG701)15.2gを用い、実施例1と同様にして混練、成形し試験片を作製した。試験結果を表1に示す。
【0157】
比較例1
ポリフェニレンサルファイド樹脂44.8gと、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる含フッ素エラストマー(ダイキン工業(株)製のダイエルG701)15.2gを用い実施例1と同様にして混練成形し試験片を作製した。試験結果を表1に示す。
【0158】
比較例2
ポリフェニレンサルファイド樹脂60gを300℃に設定した内容積60cm3のブラベンダーミキサーに投入し、回転数50rpmで4分間さらに回転数100rpmで6分間溶融させたものを用い、実施例1と同様にして試験片を作製した。試験結果を表1に示す。
【0159】
【表1】
【0160】
(1) ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(参考例1、2の未反応分に等しい)
(2) ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(ダイキン工業(株)製のダイエルG701)と参考例1の未反応分との混合物
(3) 上記(2)のダイエルG701単独
【0161】
また、実施例2および3ならびに比較例1および2でそれぞれえられた成形品を電子顕微鏡観察したときの成形品の切断表面の写真(×500)をそれぞれ図1、図2、図3および図4に示す。
【0162】
図1〜4から明らかなように、官能器を導入した含フッ素エラストマー(参考例1、2)をポリフェニレンサルファイドにブレンドしたもの(それぞれ実施例2(図1)、実施例3(図2))は従来の含フッ素エラストマーをブレンドしたもの(比較例1(図3))に比して含フッ素エラストマーの分散性が良好であり、機械的性質(アイゾット衝撃強度)の改良が効果的に行なわれていることを示す形態が観察される。
【0163】
実施例6
液晶コポリエステル(三菱化成(株)製のノバキュレートE310)8.3gを200℃に設定した内容積60cm3のブラベンダーミキサーに投入し、回転数10rpmで1分30秒間溶融させた後、回転数50rpmで参考例3でえたポリマー73.8gを加え、回転数100rpmで5分間混練した。えられた組成物を200℃で圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表2に示す。
【0164】
実施例7
参考例4でえたポリマー73.8gを用い、実施例6と同様にして液晶コポリエステル(ノバキュレートE310)8.3gと混練、成形し、試験片を作製した。試験結果を表2に示す。
【0165】
実施例8
参考例5でえたポリマー73.9gを用い、実施例6と同様にして液晶コポリエステル(ノバキュレートE310)8.3gと混練、成形し、試験片を作製した。試験結果を表2に示す。
【0166】
比較例3
CF2=CFCF2CH2OHを使用しないこと以外は参考例3と同様の方法で、官能基を含まない含フッ素ポリマー420gをえた。
【0167】
元素分析と1H、19F核磁気共鳴分析(NMR)からえられた含フッ素ポリマーの組成はビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン(61.3/18.9/19.8、モル比)であった。GPC(溶媒:THF、カラム温度:40℃)によって求めたこのポリマーの数平均分子量はポリスチレン換算で約21万であった。またこのポリマーの耐熱性は456℃であり、ガラス転移点は−17℃であった。
【0168】
この官能基を含まない含フッ素ポリマー73.8gを用い、実施例6と同様にして液晶コポリエステル(ノバキュレートE310)8.3gと混練、成形し、試験片を作製した。試験結果を表2に示す。
【0169】
比較例4
参考例5で合成したエチレン付加前のラテックスを凝析、水洗、乾燥した含フッ素エラストマー73.9gを用い、実施例6と同様にして液晶コポリエステル(ノバキュレートE310)8.2gと混練、成形し、試験片を作製した。試験結果を表2に示す。
【0170】
【表2】
【0171】
(1) ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/CF2=CFOCF2CF2CH2CH2CH2I共重合体(参考例7の未反応分に等しい)
(2) ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(比較例3で合成したもの)未反応分との混合物
(3) ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/CF2=CFOCF2CF2CH2I共重合体(参考例5で合成したエチレン付加前のラテックスを凝析、水洗、乾燥したもの)
【0172】
また、実施例6、7および8ならびに比較例3および4でえられた応力−歪曲線を図5に示す。
【0173】
表2ならびに図5から明らかなように、官能基を導入した含フッ素エラストマー(参考例3、4、5で合成したもの)と液晶コポリエステルをブレンドしたもの(実施例6、7、8と同じもの)は、伸長に対して高い応力を示し、架橋ゴム的な物性を有している。また、官能基を導入した含フッ素エラストマーと液晶コポリエステルをブレンドしたものは高温流動性を示すことから、熱可塑性エラストマー的な性質を有している。官能基を含まない含フッ素エラストマーをブレンドしたもの(比較例3、4と同じもの)は、未加硫ゴムと液晶コポリエステルの単なるブレンド物であるので、高温における流動性は有しているが、伸長に対して低応力しか示さない。
【0174】
実施例9
ポリカーボネート(帝人化成(株)パンライトL1225WP)8.0g、参考例4でえられたポリマー72.4gを用いて285℃に設定したブラベンダーミキサーにて実施例6と同様に混練した。えられた組成物を285℃で圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表3に示す。
【0175】
実施例10
ポリブチレンテレフタレート(日本GE(株)製 Valox310)8.1g、参考例4でえられたポリマー73.3gを用いて240℃に設定したブラベンダーミキサーにて実施例6と同様に混練した。えられた組成物を240℃で圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表3に示す。
【0176】
比較例5
比較例3で示した官能基を含まない含フッ素ポリマーを用い実施例9と同様に混練、成形し、試験片を作製した。試験結果を表3に示す。
【0177】
比較例6
比較例3で示した官能基を含まない含フッ素ポリマーを用い実施例10と同様に混練成形し、試験片をえた。試験結果を表3に示す。
【0178】
【表3】
【0179】
(1) ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(比較例3で合成したもの)
【0180】
表3に示すようにポリカーボネートを用いたばあい(実施例9)やポリブチレンテレフタレートを用いたばあい(実施例10)も、官能基含有含フッ素エラストマー(参考例4で合成したもの)とブレンドすることによって伸長に対して強い応力を示し、さらに高温流動性を示すことより熱可塑性エラストマー的性質を示している。それに対し比較例5および比較例6の組成物は未加硫ゴム的に伸長に対して低い応力しか示さない。
【0181】
実施例11
PVDF(ダイキン工業(株)製 ネオフロンVDF VP−800)と液晶ポリエステル(ポリプラスチック(株)製、ベクトラA950−非強化)および参考例4で示した官能基含有含フッ素ポリマーを表4に示す組成で均一にブレンドしたのち、2軸押出機にて280〜300℃にて混練および押出しをしてペレットを作製した。このペレットを用いて射出成形機にてシリンダー温度240〜290℃、金型温度50℃で試験片を作製した。試験結果を表4に示す。
【0182】
比較例7
PVDF(実施例11と同じもの)と液晶ポリエステル(実施例11と同じもの)を用い、実施例11と同様に混練・押出しを行ない、射出成形にて試験片を作製した。試験結果を表4に示す。
【0183】
比較例8
PVDF(実施例11と同じもの)のペレットを実施例11と同じ条件で射出成形を行ない、試験片をえた。試験結果を表4に示す。
【0184】
【表4】
【0185】
表4より含フッ素樹脂と液晶ポリエステルとのブレンドの際に官能基含有含フッ素ポリマー(参考例4で合成したもの)をブレンドすることによって含フッ素樹脂と液晶ポリマーのみのブレンド(比較例7)に比べて、荷重たわみ温度をさらに大幅に改良できることがわかる。
【0186】
実施例12
ポリアミド12(東レ(株)製 リンサルAMNφ)40.4gを190℃に設定した内容積60cm3のブラベンダーミキサーに投入し回転数10rpmで1分30秒間溶融させたのち、回転数50rpmで参考例1でえたポリマー10.1gを加え、回転数80rpmで7分間混練した。えられた組成物を200℃で圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表5に示す。
【0187】
実施例13
ポリアミド12(実施例12と同じもの)40.2gとPVdF(実施例11と同じもの)13.4gを190℃に設定した内容積60cm3のブラベンダーミキサーに投入し回転数10rpmで2分間溶融させたのち、回転数50rpmで参考例1でえたポリマー2.5gを加え、回転数80rpmで7分間混練した。えられた組成物を200℃で圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表5に示す。
【0188】
比較例9
参考例1でえた官能基含有含フッ素ポリマーにかえて含フッ素エラストマー(ダイキン工業(株)製のダイエルG902)を用いた以外は実施例12と同様に混練、成形を行ない試験片をえた。試験結果を表5に示す。
【0189】
比較例10
ポリアミド12(実施例12と同じもの)40.1gとPVdF(実施例11と同じもの)10.0gを190℃に設定した内容積60cm3のブラベンダーミキサーに投入し回転数10rpmで2分間、さらに回転数80rpmで7分間混練した。えられた組成物を200℃で圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表5に示す。
【0190】
比較例11
ポリアミド12(実施例12と同じもの)のペレットを圧縮成形し試験片を作製した。試験結果を表5に示す。
【0191】
【表5】
【0192】
(1) ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(ダイキン工業製のダイエルG902)
【0193】
表5から明らかなように官能基を含む含フッ素ポリマーとポリアミドをブレンドしたもの(実施例12と同じもの)およびPVDFとポリアミドを混合したものに官能基含有含フッ素ポリマーをブレンドしたもの(実施例13と同じもの)は耐薬品性(耐ガソホール性)の改良に良好な効果を示している。
【0194】
実施例12および比較例9でえられた成形品を電子顕微鏡観察したときの成形品の切断表面の写真(×5000)をそれぞれ図6、図7に示す。
【0195】
図6、図7を比較して明らかなように官能基を導入した含フッ素ポリマー(参考例1で合成したもの)とポリアミドをブレンドしたもの(実施例12と同じもの)は、官能基を含まない含フッ素ポリマーとポリアミドをブレンドしたもの(比較例9と同じもの)に比べて含フッ素ポリマーの分散性が良好であり、機械的性質(アイゾット衝撃強度)の改良が効果的に行なわれていることを示す形態が観察される。
【0196】
【発明の効果】
本発明の相溶性改質剤はフッ素ポリマーに官能基を導入することにより、熱可塑性樹脂界面の親和性が改善され、熱可塑性樹脂の優れた機械的特性や成形性と、含フッ素ポリマーの優れた耐薬品性、耐衝撃性を合わせもった各種機能部品としての用途に好適な材料を提供するものである。
【0197】
本発明において、官能基含有フッ素ポリマー(a)は結晶融点またはガラス転移温度が150℃以上の熱可塑性樹脂(b)とブレンドされる。熱可塑性樹脂としては、たとえばポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミド、芳香族アゾメチン、ポリアリーレンサルファイド、ポリサルホンおよびポリエーテルサルホン、ポリケトンおよびポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリメチルペンテン、ポリエーテルニトリルなどがあり、またこれらを主体としたポリマーアロイもある。なかでも、溶融混練温度が200℃以上となり、一般的な耐衝撃性や耐薬品性改質剤が耐熱性不足のため使用できないような樹脂、たとえば芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリーレンサルファイド、ポリケトン、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどは本発明の好ましい対象である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2でえられた成形物の切断表面の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例3でえられた成形物の切断表面の電子顕微鏡写真である。
【図3】比較例1でえられた成形物の切断表面の電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例2でえられた成形物の切断表面の電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例6、7および8ならびに比較例3および4でえられた成形品の応力−歪曲線である。
【図6】実施例12でえられた成形物の切断表面の電子顕微鏡写真である。
【図7】比較例9でえられた成形物の切断表面の電子顕微鏡写真である。
Claims (1)
- (a)数平均分子量2,000〜1,000,000の官能基含有含フッ素ポリマー0.1〜99重量%と(b)150℃以上の結晶融点またはガラス転移温度を有するポリアミド1〜99.9重量%と(c)他の含フッ素ポリマーを混合してえられるブレンド物からなり、該官能基含有含フッ素ポリマー(a)が、官能基濃度が主鎖の末端部分および側鎖部分を合わせて含フッ素ポリマー全体の重量に対して2〜2000μmol/gである官能基含有含フッ素ポリマーから選ばれた少なくとも1種であり、
含フッ素ポリマー(c)と官能基含有含フッ素ポリマー(a)との組合せが、
含フッ素ポリマー(c)がエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体であって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体である組合せ、
前記含フッ素ポリマー(c)がエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体であって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体である組合せ、
前記含フッ素ポリマー(c)がポリビニリデンフルオライドであって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するポリビニリデンフルオライドである組合せ、または
前記含フッ素ポリマー(c)がビニリデンフルオライド系共重合体であって、官能基含有含フッ素ポリマー(a)がエポキシ基および/またはグリシジル基を有するビニリデンフルオライド系共重合体またはポリビニリデンフルオライドである組合せ
であるポリアミド組成物。
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