JP4085643B2 - 半球レンズの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半球レンズの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半球レンズは高NAを有する等の利点があることから、例えば顕微鏡用,光ピックアップ用等の対物レンズとして、またコンデンサレンズとして、さらに光センサの受光面に接合される受光レンズとして広く用いられている。ここで、半球レンズとしては、完全な半球レンズだけでなく、過半球レンズ(半球以上の球面を有するレンズ)、不足半球レンズ(半球以下の球面を有するレンズ)を含む。以上の半球レンズを形成する方法としては、特開平2000−89004号公報に示されているように、金型を用いたモールド成形方法は従来から知られている。ただし、モールド成形による半球レンズの製造方法は、金型内に溶融させたガラスを供給する必要があるので、成形できる硝材が限定され、あまり高い融点の硝材を成形することができず、また金型の素材として耐熱性が高いものが要求され、さらに繰り返し成形を行う間に金型の成形面にダメージが加わる等の点から、耐久性に難点がある等といった問題点がある。
【0003】
最初に球形ガラスを製造し、この球形ガラスを半分に切断することによっても半球レンズを形成することができる。このように、球形ガラスを製造する方法としては様々なものが従来から提案されている。例えば、特開平8−295519号公報においては、溶融させたガラスを平面形状とした成形型上に滴下させて、この成形型上を転動させることにより球形のガラスを製造するようにしたものが示されている。また、特開平10−218628号公報では、底面が半球形状とした成形型内でガラス素材を加熱して軟化流動化させることによって、このガラス素材を成形型の底面に倣うように半球形状となし、上部側は表面張力の作用によって球形ガラスが得られる。
【0004】
さらに、加熱を行わず、研磨・研削を行うことにより球形ガラスを製造する方法は、極めて古くから行われている。この球形ガラスの製造方法としては、正6面体に成形したガラスを粗研磨(若しくは切削加工)を行うことにより球形に近い多面体、例えば18面体となし、この18面体ガラスをラッピング等の精密研磨加工することにより球形ガラスとする。
【0005】
前述した様々な方法で得た球形ガラスは、例えば球心を含む面に沿って切断することによって、2つの半球形状のガラスが得られる。ここで、これらの半球ガラスにおけるカット面は必ずしも平滑面とはなっていないので、これらのカット面を最終的に研磨加工して半球レンズが形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、球形ガラスをどのようにして製造するかに拘らず、球形ガラスからカットすることによって半球レンズを形成する場合、切断代と研磨代とが必要になるので、1個の球形ガラスから完全な半球レンズを2個形成することはできない。また、球形ガラスの全外表面を精密に仕上げ加工した後に2分割し、さらに切断面を研磨加工することになるので、その分だけ工程が増えるという問題点があるだけでなく、球形レンズのカット時及び切断面の研磨時、機械加工を行うために、仕上げがなされた球面部に工具等を当接させる必要があり、その際に球面部を損傷させる等といったおそれもある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、完全な半球レンズを含む各種の半球レンズを容易に製造でき、しかも球面部に精密に仕上げ加工がなされた後には実質的な加工を必要とせずに、半球レンズを形成できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の半球レンズの製造方法は、2個の素材ガラスを接合・固着して接合面を有する正6面体ガラスを形成し、この正6面体ガラスを粗研磨して概略球形または球形に近い多面体ガラスからなる一次加工品を形成し、この一次加工品を精密研磨加工することによって、真球ガラスからなる二次加工品を形成し、この二次加工品の前記接合面を剥離することをその特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、ガラスを球形に加工した後に、それを2分割することにより半球レンズを形成するが、球形のガラスは研磨乃至切削により形成する。このために、素材ガラスとしては、6面体形状としたもの若しくは三角柱からなる5面体形状としたものが2個用いられる。これら2個のガラス素材を接合した状態で球形化するが、接合した2枚の素材ガラスは正6面体の形状とする。同じ形状の素材ガラスを用いれば、2つの完全な半球レンズが形成され、いずれか一方の方が厚みのある素材ガラスを用いれば、1つの過半球レンズと、1つの不足半球レンズとが形成される。
【0010】
2個の素材ガラスの接合面は予め鏡面となるように精密な研磨仕上げ加工を行っておく方が望ましい。両素材ガラスの接合面の少なくとも一方に接着剤を塗布して接合することにより固着する。この際に使用される接着剤は、パラフィン等が好適である。これによって、正6面体ガラスが形成される。
【0011】
正6面体は粗研磨により概略球形または球形に近い多面体となるように加工して、一次加工品を得る。ここで、粗研磨は研削盤を用いてガラスを研削することを含むものである。また、多面体に加工するのは球形に近い外面形状とするためである。従って、この多面体の面数を多くすればするほど球形に近くなる。ただし、面数を多くすると、それだけ粗研磨の段数が多くなり加工工数が増える。一般的には、18面体とするのが工数削減及び精密研磨加工における完全な球形化の点で望ましい。さらに、例えば、正6面体ガラスをバレル加工することによって、概略球形の一次加工品を得ることができる。ただし、バレル加工では、レンズとして必要な表面精度が得られない。従って、バレル加工によって球形化させたとしても、後述の精密研磨加工が必要となる。
【0012】
前述のようにして得た一次加工品を精密研磨加工を行うことによって、完全な球形状とし、かつ表面の仕上げ精度を向上させる。精密研磨加工は、例えばラッピング加工というように、微小な砥粒により多面体の表面を研磨するが、最終的にレンズ面となる部位の加工を行うのであるから、1段で加工するのではなく、砥粒の粒径を代えて複数段階で加工を行う方が仕上げ精度の向上を図る上で望ましい。つまり、第1段階では多面体ガラスを真球化するために、比較的粒径の大きな砥粒を用いて研磨加工を施す。次いで、微細な粒径の砥粒を用いて精密な仕上げ加工、所謂ポリッシング加工を行う。
【0013】
このようにして仕上げられた二次加工品は、溶剤に浸漬させるか、加熱するか等により接合面から2つに分割することによって、2つの半球レンズが形成される。予め接合面を鏡面化するように精密研磨加工しておくようにすれば、球形のガラスが形成された後には、接着剤の剥離と洗浄という工程を経るだけで、格別の機械加工を要することなく、2つの半球レンズが得られる。そして、前述したように、素材ガラスとして同じ形状の正6面体ガラスを用いるようにすれば、完全な半球レンズを2個形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、素材ガラスとして、図1に示したような同形状の6面体、つまり直方体の素材ガラス1を2個用いる。素材ガラス1は接合面1aを有し、2個の素材ガラス1,1はこれら接合面1aを接合させると、正6面体、つまり立方体の形状となる寸法関係を有するものである。接合面1aは鏡面となるように精密に研磨仕上げされており、かつ少なくとも一方の接合面1aには接着剤、例えば紫外線硬化型接着剤、樹脂系接着剤、さらにはパラフィン等が塗布されている。従って、2個の素材ガラス1を相互に接合させて、その間に介在する接着剤の作用で貼り合わせた状態に固着される。これによって、正6面体ガラス2が形成される。
【0015】
図2乃至図4は、前述のようにして形成した正6面体ガラス2を球形に近い多面体とする粗研磨工程のステップを示している。本実施の形態では、多面体は18面を有するものとする。なお、この18面体より面数を多くすることもできるが、そうすると工数が増えることになり、しかも18面体に形成しておけば、後の球形化を行って真球形状とするのに格別の支障を来さない。正6面体ガラス2を多面体に加工する方法は種々あるが、本実施の形態では、以下のように加工する。ただし、18面体を得るために、これ以外の方法を採用することもできる。この加工は粗研磨であって、例えば平面研削盤等を使用することができる。
【0016】
まず、図2に示したように、正6面体ガラス2を第1段目の加工を行うことにより8角柱成形品3を形成する。次いで、この8角柱成形品3から図3に示した14面体成形品4を形成する。この2段目の加工の後、さらに研削を行って、図4に示した18面体成形品5を形成することができる。このように、加工工程を複数段経ることによって、球形に近い多面体形状となるように加工される。なお、図2乃至図4において、ラインJは接合面である。
【0017】
以上のようにして得られた多面体ガラスを一次加工品6として、この一次加工品6を精密研磨加工することによって、真球形状の球形ガラスを形成する。この加工は、例えば図5及び図6に示したラッピング装置10を用いて行われる。このラッピング装置10は、平面ラップ盤11を有し、この平面ラップ盤11は円形のものであり、その表面には研磨材としての砥粒が付着している。平面ラップ盤11の下面には回転軸12が連結して設けられており、この回転軸12は図示しないモータ等の回転駆動手段により回転駆動されるようになっている。また、平面ラップ盤11の上面に対して非接触状態となるようにワークホルダ13が設置されている。このワークホルダ13は水平方向に、つまり図5の矢印方向に所定ストロークだけ往復移動可能な構成となっている。ワークホルダ13には一次加工品6が遊嵌状に嵌合される透孔からなるワーク収容部13aが複数穿設されている。
【0018】
以上の構成を有するラッピング装置10を用いることによって、18面体ガラスからなる一次加工品6を精密研磨して、この一次加工品6は図示したように真球形状の球形ガラスとなるように加工される。即ち、図6からも明らかなように、平面ラップ盤11上において、ワークホルダ13における各ワーク収容部13a内に一次加工品6を収容させて、回転軸12を回転駆動することによって、矢印Sで示したように平面ラップ盤11を水平方向に回転駆動する間に、矢印Tで示したようにワークホルダ13を水平方向に往復移動させる。これによって、矢印Rで示したように、相対向する面が平行平面となった一次加工品6が平面ラップ盤11の表面上を強制的に転動させられながら研磨材により研磨されて、角が取れて丸みを帯びるようにして球形化し、やがては真球状態になるまで研磨加工される。ここで、平面ラップ盤11を用いることによって、一次加工品6を正確に球形化することができ、しかもその直径管理も容易に行うことができる。なお、この精密研磨工程で得られる球形ガラスの表面仕上げ精度をより高めるには、より細かい粒径の研磨材を用いて複数段で研磨加工を行うようにすれば良い。
【0019】
以上のように、1段乃至複数段で精密研磨加工を行うことにより、図7に示した真球ガラスからなる二次加工品7が製造される。ここで、この二次加工品7は、2つの半球ガラス7a,7aの接合体であり、この二次加工品7の球心Oは接合面Jに位置することになる。従って、接合面Jに適用されている接着剤を剥離することによって、図8に示したように、2個の半球レンズ8が形成される。ここで、接着剤の剥離は、使用されている接着剤の性質等に応じて,溶剤を用いて、また加熱することによって、格別の外力を加えることなく行うことができる。その後に、洗浄して各半球レンズ8に付着している接着剤等の汚れや異物を除去する。
【0020】
このように、二次加工品7の接合面Jを剥離して2分割して得られる2個の半球レンズ8は、その球面部のみならず、平面部も精密な研磨仕上げ加工が施された状態となっている。従って、接着剤の剥離、洗浄を行うだけで、精密研磨加工を行った後には、何等の機械加工も行う必要がないことから、この加工工程後に半球レンズ8を損傷させる等の不都合を生じることはない。また、2分割した平面部を改めて研磨等といった加工をする必要がないので、完全な半球レンズが2個製造される。
【0021】
なお、素材ガラスとしては、図1に示したように、2個の直方体ガラスを用いたが、研磨により球形化することから、例えば図9に示したように、対角部に接合面を持たせた素材ガラス、つまり三角柱形状とした素材ガラス20を用い、これらの接合面20aを接着剤で貼り合わせるようにしても良い。また、同じ形状の素材ガラスを2個用いることによって、2個の完全な半球レンズを製造することができるが、図10に示したように、2個の素材ガラスをそれぞれ直方体とし、一方の素材ガラス30を他方の素材ガラス31より厚手とすることもできる。そして、両素材ガラス30,31を接合させた状態では、正6面体、つまり立方体となる寸法関係を持たせる。このように構成すれば、粗研磨及び精密研磨を行うことによって、過半球レンズ32と、不足半球レンズ33とを製造することができる。さらに、2個の不足半球レンズを製造する場合には、図10に仮想線で示したように、正6面体ガラスを3分割して、中間部のガラスをダミーガラスとし、このダミーガラスの両側位置のガラスを不足半球ガラスとすることもできる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、完全な半球レンズを含む各種の半球レンズを容易に製造でき、しかも球面部に精密に仕上げ加工がなされた後には実質的な加工を必要とせずに、半球レンズを形成できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す半球レンズの素材ガラスを示す外観図である。
【図2】正6面体ガラスを加工して得られる8角柱成形品の外観図である。
【図3】図2の8角柱成形品を加工して得た14面体成形品の外観図である。
【図4】図3の14面体成形品をさらに加工して得た18面体成形品の外観図である。
【図5】18面体成形品からなるワークを球形となるように精密研磨加工を行うためのラッピング装置の概略構成図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】精密研磨加工を行うことにより得た真球ガラスの構成説明図である。
【図8】本願発明の製造方法により製造した半球レンズの外観図である。
【図9】素材ガラスの他の例を示す外観図である。
【図10】素材ガラスのさらに別の例を示す正面図である。
【符号の説明】
1,20,30,31 素材ガラス
1a,20a 接合面
2 正6面体ガラス
3 8角柱成形品
4 14面体成形品
5 18面体成形品
6 一次加工品
7 二次加工品
8 半球レンズ
10 ラッピング装置
32 過半球レンズ
33 不足半球レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半球レンズの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半球レンズは高NAを有する等の利点があることから、例えば顕微鏡用,光ピックアップ用等の対物レンズとして、またコンデンサレンズとして、さらに光センサの受光面に接合される受光レンズとして広く用いられている。ここで、半球レンズとしては、完全な半球レンズだけでなく、過半球レンズ(半球以上の球面を有するレンズ)、不足半球レンズ(半球以下の球面を有するレンズ)を含む。以上の半球レンズを形成する方法としては、特開平2000−89004号公報に示されているように、金型を用いたモールド成形方法は従来から知られている。ただし、モールド成形による半球レンズの製造方法は、金型内に溶融させたガラスを供給する必要があるので、成形できる硝材が限定され、あまり高い融点の硝材を成形することができず、また金型の素材として耐熱性が高いものが要求され、さらに繰り返し成形を行う間に金型の成形面にダメージが加わる等の点から、耐久性に難点がある等といった問題点がある。
【0003】
最初に球形ガラスを製造し、この球形ガラスを半分に切断することによっても半球レンズを形成することができる。このように、球形ガラスを製造する方法としては様々なものが従来から提案されている。例えば、特開平8−295519号公報においては、溶融させたガラスを平面形状とした成形型上に滴下させて、この成形型上を転動させることにより球形のガラスを製造するようにしたものが示されている。また、特開平10−218628号公報では、底面が半球形状とした成形型内でガラス素材を加熱して軟化流動化させることによって、このガラス素材を成形型の底面に倣うように半球形状となし、上部側は表面張力の作用によって球形ガラスが得られる。
【0004】
さらに、加熱を行わず、研磨・研削を行うことにより球形ガラスを製造する方法は、極めて古くから行われている。この球形ガラスの製造方法としては、正6面体に成形したガラスを粗研磨(若しくは切削加工)を行うことにより球形に近い多面体、例えば18面体となし、この18面体ガラスをラッピング等の精密研磨加工することにより球形ガラスとする。
【0005】
前述した様々な方法で得た球形ガラスは、例えば球心を含む面に沿って切断することによって、2つの半球形状のガラスが得られる。ここで、これらの半球ガラスにおけるカット面は必ずしも平滑面とはなっていないので、これらのカット面を最終的に研磨加工して半球レンズが形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、球形ガラスをどのようにして製造するかに拘らず、球形ガラスからカットすることによって半球レンズを形成する場合、切断代と研磨代とが必要になるので、1個の球形ガラスから完全な半球レンズを2個形成することはできない。また、球形ガラスの全外表面を精密に仕上げ加工した後に2分割し、さらに切断面を研磨加工することになるので、その分だけ工程が増えるという問題点があるだけでなく、球形レンズのカット時及び切断面の研磨時、機械加工を行うために、仕上げがなされた球面部に工具等を当接させる必要があり、その際に球面部を損傷させる等といったおそれもある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、完全な半球レンズを含む各種の半球レンズを容易に製造でき、しかも球面部に精密に仕上げ加工がなされた後には実質的な加工を必要とせずに、半球レンズを形成できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の半球レンズの製造方法は、2個の素材ガラスを接合・固着して接合面を有する正6面体ガラスを形成し、この正6面体ガラスを粗研磨して概略球形または球形に近い多面体ガラスからなる一次加工品を形成し、この一次加工品を精密研磨加工することによって、真球ガラスからなる二次加工品を形成し、この二次加工品の前記接合面を剥離することをその特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、ガラスを球形に加工した後に、それを2分割することにより半球レンズを形成するが、球形のガラスは研磨乃至切削により形成する。このために、素材ガラスとしては、6面体形状としたもの若しくは三角柱からなる5面体形状としたものが2個用いられる。これら2個のガラス素材を接合した状態で球形化するが、接合した2枚の素材ガラスは正6面体の形状とする。同じ形状の素材ガラスを用いれば、2つの完全な半球レンズが形成され、いずれか一方の方が厚みのある素材ガラスを用いれば、1つの過半球レンズと、1つの不足半球レンズとが形成される。
【0010】
2個の素材ガラスの接合面は予め鏡面となるように精密な研磨仕上げ加工を行っておく方が望ましい。両素材ガラスの接合面の少なくとも一方に接着剤を塗布して接合することにより固着する。この際に使用される接着剤は、パラフィン等が好適である。これによって、正6面体ガラスが形成される。
【0011】
正6面体は粗研磨により概略球形または球形に近い多面体となるように加工して、一次加工品を得る。ここで、粗研磨は研削盤を用いてガラスを研削することを含むものである。また、多面体に加工するのは球形に近い外面形状とするためである。従って、この多面体の面数を多くすればするほど球形に近くなる。ただし、面数を多くすると、それだけ粗研磨の段数が多くなり加工工数が増える。一般的には、18面体とするのが工数削減及び精密研磨加工における完全な球形化の点で望ましい。さらに、例えば、正6面体ガラスをバレル加工することによって、概略球形の一次加工品を得ることができる。ただし、バレル加工では、レンズとして必要な表面精度が得られない。従って、バレル加工によって球形化させたとしても、後述の精密研磨加工が必要となる。
【0012】
前述のようにして得た一次加工品を精密研磨加工を行うことによって、完全な球形状とし、かつ表面の仕上げ精度を向上させる。精密研磨加工は、例えばラッピング加工というように、微小な砥粒により多面体の表面を研磨するが、最終的にレンズ面となる部位の加工を行うのであるから、1段で加工するのではなく、砥粒の粒径を代えて複数段階で加工を行う方が仕上げ精度の向上を図る上で望ましい。つまり、第1段階では多面体ガラスを真球化するために、比較的粒径の大きな砥粒を用いて研磨加工を施す。次いで、微細な粒径の砥粒を用いて精密な仕上げ加工、所謂ポリッシング加工を行う。
【0013】
このようにして仕上げられた二次加工品は、溶剤に浸漬させるか、加熱するか等により接合面から2つに分割することによって、2つの半球レンズが形成される。予め接合面を鏡面化するように精密研磨加工しておくようにすれば、球形のガラスが形成された後には、接着剤の剥離と洗浄という工程を経るだけで、格別の機械加工を要することなく、2つの半球レンズが得られる。そして、前述したように、素材ガラスとして同じ形状の正6面体ガラスを用いるようにすれば、完全な半球レンズを2個形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態においては、素材ガラスとして、図1に示したような同形状の6面体、つまり直方体の素材ガラス1を2個用いる。素材ガラス1は接合面1aを有し、2個の素材ガラス1,1はこれら接合面1aを接合させると、正6面体、つまり立方体の形状となる寸法関係を有するものである。接合面1aは鏡面となるように精密に研磨仕上げされており、かつ少なくとも一方の接合面1aには接着剤、例えば紫外線硬化型接着剤、樹脂系接着剤、さらにはパラフィン等が塗布されている。従って、2個の素材ガラス1を相互に接合させて、その間に介在する接着剤の作用で貼り合わせた状態に固着される。これによって、正6面体ガラス2が形成される。
【0015】
図2乃至図4は、前述のようにして形成した正6面体ガラス2を球形に近い多面体とする粗研磨工程のステップを示している。本実施の形態では、多面体は18面を有するものとする。なお、この18面体より面数を多くすることもできるが、そうすると工数が増えることになり、しかも18面体に形成しておけば、後の球形化を行って真球形状とするのに格別の支障を来さない。正6面体ガラス2を多面体に加工する方法は種々あるが、本実施の形態では、以下のように加工する。ただし、18面体を得るために、これ以外の方法を採用することもできる。この加工は粗研磨であって、例えば平面研削盤等を使用することができる。
【0016】
まず、図2に示したように、正6面体ガラス2を第1段目の加工を行うことにより8角柱成形品3を形成する。次いで、この8角柱成形品3から図3に示した14面体成形品4を形成する。この2段目の加工の後、さらに研削を行って、図4に示した18面体成形品5を形成することができる。このように、加工工程を複数段経ることによって、球形に近い多面体形状となるように加工される。なお、図2乃至図4において、ラインJは接合面である。
【0017】
以上のようにして得られた多面体ガラスを一次加工品6として、この一次加工品6を精密研磨加工することによって、真球形状の球形ガラスを形成する。この加工は、例えば図5及び図6に示したラッピング装置10を用いて行われる。このラッピング装置10は、平面ラップ盤11を有し、この平面ラップ盤11は円形のものであり、その表面には研磨材としての砥粒が付着している。平面ラップ盤11の下面には回転軸12が連結して設けられており、この回転軸12は図示しないモータ等の回転駆動手段により回転駆動されるようになっている。また、平面ラップ盤11の上面に対して非接触状態となるようにワークホルダ13が設置されている。このワークホルダ13は水平方向に、つまり図5の矢印方向に所定ストロークだけ往復移動可能な構成となっている。ワークホルダ13には一次加工品6が遊嵌状に嵌合される透孔からなるワーク収容部13aが複数穿設されている。
【0018】
以上の構成を有するラッピング装置10を用いることによって、18面体ガラスからなる一次加工品6を精密研磨して、この一次加工品6は図示したように真球形状の球形ガラスとなるように加工される。即ち、図6からも明らかなように、平面ラップ盤11上において、ワークホルダ13における各ワーク収容部13a内に一次加工品6を収容させて、回転軸12を回転駆動することによって、矢印Sで示したように平面ラップ盤11を水平方向に回転駆動する間に、矢印Tで示したようにワークホルダ13を水平方向に往復移動させる。これによって、矢印Rで示したように、相対向する面が平行平面となった一次加工品6が平面ラップ盤11の表面上を強制的に転動させられながら研磨材により研磨されて、角が取れて丸みを帯びるようにして球形化し、やがては真球状態になるまで研磨加工される。ここで、平面ラップ盤11を用いることによって、一次加工品6を正確に球形化することができ、しかもその直径管理も容易に行うことができる。なお、この精密研磨工程で得られる球形ガラスの表面仕上げ精度をより高めるには、より細かい粒径の研磨材を用いて複数段で研磨加工を行うようにすれば良い。
【0019】
以上のように、1段乃至複数段で精密研磨加工を行うことにより、図7に示した真球ガラスからなる二次加工品7が製造される。ここで、この二次加工品7は、2つの半球ガラス7a,7aの接合体であり、この二次加工品7の球心Oは接合面Jに位置することになる。従って、接合面Jに適用されている接着剤を剥離することによって、図8に示したように、2個の半球レンズ8が形成される。ここで、接着剤の剥離は、使用されている接着剤の性質等に応じて,溶剤を用いて、また加熱することによって、格別の外力を加えることなく行うことができる。その後に、洗浄して各半球レンズ8に付着している接着剤等の汚れや異物を除去する。
【0020】
このように、二次加工品7の接合面Jを剥離して2分割して得られる2個の半球レンズ8は、その球面部のみならず、平面部も精密な研磨仕上げ加工が施された状態となっている。従って、接着剤の剥離、洗浄を行うだけで、精密研磨加工を行った後には、何等の機械加工も行う必要がないことから、この加工工程後に半球レンズ8を損傷させる等の不都合を生じることはない。また、2分割した平面部を改めて研磨等といった加工をする必要がないので、完全な半球レンズが2個製造される。
【0021】
なお、素材ガラスとしては、図1に示したように、2個の直方体ガラスを用いたが、研磨により球形化することから、例えば図9に示したように、対角部に接合面を持たせた素材ガラス、つまり三角柱形状とした素材ガラス20を用い、これらの接合面20aを接着剤で貼り合わせるようにしても良い。また、同じ形状の素材ガラスを2個用いることによって、2個の完全な半球レンズを製造することができるが、図10に示したように、2個の素材ガラスをそれぞれ直方体とし、一方の素材ガラス30を他方の素材ガラス31より厚手とすることもできる。そして、両素材ガラス30,31を接合させた状態では、正6面体、つまり立方体となる寸法関係を持たせる。このように構成すれば、粗研磨及び精密研磨を行うことによって、過半球レンズ32と、不足半球レンズ33とを製造することができる。さらに、2個の不足半球レンズを製造する場合には、図10に仮想線で示したように、正6面体ガラスを3分割して、中間部のガラスをダミーガラスとし、このダミーガラスの両側位置のガラスを不足半球ガラスとすることもできる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、完全な半球レンズを含む各種の半球レンズを容易に製造でき、しかも球面部に精密に仕上げ加工がなされた後には実質的な加工を必要とせずに、半球レンズを形成できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す半球レンズの素材ガラスを示す外観図である。
【図2】正6面体ガラスを加工して得られる8角柱成形品の外観図である。
【図3】図2の8角柱成形品を加工して得た14面体成形品の外観図である。
【図4】図3の14面体成形品をさらに加工して得た18面体成形品の外観図である。
【図5】18面体成形品からなるワークを球形となるように精密研磨加工を行うためのラッピング装置の概略構成図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】精密研磨加工を行うことにより得た真球ガラスの構成説明図である。
【図8】本願発明の製造方法により製造した半球レンズの外観図である。
【図9】素材ガラスの他の例を示す外観図である。
【図10】素材ガラスのさらに別の例を示す正面図である。
【符号の説明】
1,20,30,31 素材ガラス
1a,20a 接合面
2 正6面体ガラス
3 8角柱成形品
4 14面体成形品
5 18面体成形品
6 一次加工品
7 二次加工品
8 半球レンズ
10 ラッピング装置
32 過半球レンズ
33 不足半球レンズ
Claims (4)
- 2個の素材ガラスを接合・固着して接合面を有する正6面体ガラスを形成し、
この正6面体ガラスを粗研磨して概略球形または球形に近い多面体ガラスからなる一次加工品を形成し、
この一次加工品を精密研磨加工することによって、真球ガラスからなる二次加工品を形成し、
この二次加工品の前記接合面を剥離する
ことを特徴とする半球レンズの製造方法。 - 前記両素材ガラスの接合面を精密研磨仕上げした後に、これら研磨仕上げ面同士を接合・固着することを特徴とする請求項1記載の半球レンズの製造方法。
- 前記粗研磨により形成される一次加工品として形成される多面体ガラスは18面体ガラスであることを特徴とする請求項1記載の半球レンズの製造方法。
- 精密研磨加工は研磨材の種類を変えて前記一次加工品を複数段で研磨加工を行うことを特徴とする請求項1記載の半球レンズの製造方法。
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