JP4088751B2 - Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末及びその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板面径が大きく、適度な厚みを有し、しかも、紫外線吸収能を有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末に関するものである。
【0002】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は、耐候性が要求される塩素含有樹脂及びオレフィン系樹脂の配合剤として使用できる。
【0003】
【従来の技術】
周知の通り、層状化合物には、粘土鉱物等の他、種々の化合物が存在するが、その内、ハイドロタルサイト等の層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide)は、層間に種々のイオンや分子等を挿入できる構造を有しているので、アニオン交換機能を発現させることができる。
【0004】
一般に、ハイドロタルサイトの構造は、日本化学会誌、1995(8)、p622〜628に記載されている通り、
「 〔M2+ 1−xM3+ x(OH)2〕x +〔An− x/n・yH2O〕x −ここでM2+は、Mg2+、Co2+、Ni2+、Zn2+などの二価金属イオン、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオン、An−は、OH−、Cl−、CO3 2−、SO4 2−などのn価の陰イオンで、xは一般に0.2〜0.33の範囲である。結晶構造は、正の電荷をもつ正八面体のbrucite単位が並んだ二次元基本層と負の電荷を持つ中間層からなる積層構造をとっている。」とされている。
【0005】
ハイドロタルサイトは、古くから制酸剤として用いられてきたが、その後、アニオン交換機能を生かした様々な用途への展開が行われ、例えば、イオン交換材、吸着剤、脱臭剤、ポリエチレン、ポリプロピレン及び塩化ビニル等の樹脂・ゴムの安定剤、更には、塗料、各種触媒、農業用フィルム、インキなど多種多様な用途に用いられている。
【0006】
また、環境への配慮が求められている現在にあっては、添加剤として用いるものでも毒性のある金属が含まれていないものが望まれていることから、毒性がなく、安定な化合物であるハイドロタルサイトはこのような期待に応えられるものといえる。
【0007】
近年、ハイドロタルサイト類は天然に存在する鉱物よりもはるかに多様なアニオンとカチオンの組合せで合成されるようになり、これらはハイドロタルサイト様化合物あるいは層状複水酸化物類と総称されている。
【0008】
これらは、上記の組成式よりも更に広範な一般式で表される不定比化合物であり、金属イオンの組合せでは、二価−三価の他に一価−三価、二価−四価、二価−二価、三価−三価、三価−四価などが知られている。一価−三価の代表的な組合せが、Li−Al系層状複水酸化物である。
【0009】
Li−Al系層状複水酸化物は、[Al2Li(OH)6]n +Xn−・mH2Oと表される。ここでXn−はn価のアニオンを表し、m≧0である。
【0010】
結晶構造は、クレイズ・アンド・クレイミネラルズ(Clays and Clay Minerals)第30巻 p180〜184に記載されている。AlはGibbsite構造で配列し、その空位(Vacancy)をLiイオンが占めて2次元的なlayerを形成し、その電荷を補うために、層間にアニオンが組み込まれている。
X線回折パターンは、ハイドロタルサイト(Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O)が示す3R型積層構造ではなく、2H型積層構造を示す。また、Li、Alを含む基本層内でLiが規則配列することも知られている。
【0011】
Li−Al系層状複水酸化物粒子粉末はそのアニオン交換機能がもたらす優れた熱安定化作用を利用して、塩素含有樹脂用安定剤として使用されている(特開平5−179052号公報等)。
【0012】
塩素含有樹脂として代表的な塩化ビニル系樹脂は、機械的性質、物理的性質、電気的性質、成形加工性などに優れているので、建材分野、OA機器分野、自動車分野など多岐の用途に使用されている。一般に、塩化ビニル系樹脂は、成形加工時における熱や光により劣化を起こし易く、このため成形品の機械的性質が低下したり、色調が悪化するなどの問題点がある。また、戸枠、窓枠など、日光に曝される場所で長期間使用すると変色または退色を生ずるため、屋外用途にも使用可能な耐候性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物が望まれている。
【0013】
このような要求に対し、塩化ビニル系樹脂中に、ハイドロタルサイト化合物、紫外線吸収剤及び有機フォスファイト化合物を配合した樹脂組成物が提案されている(特開2001−181461号等)。
【0014】
紫外線吸収剤としては、通常、ベンゾフェノン系、サルシレート系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の有機系紫外線吸収剤が使用される。
【0015】
前記有機系紫外線吸収剤は、その種類によっては吸収剤自体が着色しているので使用が限定される、紫外線の吸収域が狭い、高温成形加工時の揮発性・相溶性に難点があるなどの欠点を有しており、また、価格が高いものである。
【0016】
優れた熱安定化作用を持つLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末が紫外線吸収能をも有していれば、前記紫外線吸収剤を配合しない場合又は配合量を減らした場合でも、塩化ビニル系樹脂組成物が所望の耐候性を得ることが可能となる。従って、塩化ビニル系樹脂などの塩素含有樹脂の配合剤として、紫外線吸収能を有し、耐候性に優れたLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末が必要とされている。
【0017】
一方、Li−Al系層状複水酸化物粒子粉末は赤外線吸収能を有しているので、オレフィン系樹脂に配合され、ハウスやトンネルなどの温室栽培に用いられる農業用フィルムの保温剤として使用されている(特開平9−142835号公報等)。
【0018】
Li−Al系層状複水酸化物粒子粉末が農業用フィルムの保温剤として使用される場合も、樹脂組成物中に前記有機系紫外線吸収剤が配合される場合が多い。これは、農業用フィルムは常に直射日光に曝されているので、直射日光下においても長期間特性を維持できる耐候性が求められているためである。
【0019】
しかしながら、有機系紫外線吸収剤は前記欠点に加え、オレフィン系樹脂中に配合した場合には農業用途のような屋外暴露条件下では容易にブリードアウトしてしまい、長期間にわたる耐候性を保持するには十分とは言い難いものであった。
【0020】
そこで、オレフィン系樹脂用配合剤としても、紫外線吸収能を有し、耐候性に優れたLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末が必要とされている。
【0021】
塩素含有樹脂やオレフィン系樹脂用の配合剤としてのLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末は、樹脂練り込み時の分散性を考慮して、板面径が大きく、適度な厚みを有することが要求されているが、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末の製造には、水熱合成などの特殊な反応条件が必要とされている。
【0022】
Li−Al系層状複水酸化物粒子粉末の製造法としては、水溶性リチウム塩あるいは水酸化リチウムと水溶性アルミニウム塩とを、水溶性炭酸塩およびアルカリの共存下に反応させる方法(特開平5−179052号公報)、Gibbsite型水酸化アルミニウムの微粒子と、炭酸のリチウム塩または炭酸リチウムを形成し得るリチウム化合物と炭酸塩との組合せとを水の存在下に反応させる方法(特開平9−142835号公報)、アルミン酸アルカリ金属塩と、アルミン酸アルカリ金属塩以外のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ金属水酸化物とのどちらか一方にリチウム塩を使用し、アルミン酸アルカリ金属塩と、アルミン酸アルカリ金属塩以外のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ金属水酸化物とを水中で反応させる方法(特開平10−17322号公報)がある。
【0023】
また、Li−Al系層状複水酸化物粒子粉末に含有されたアニオンを紫外線吸収性の有機陰イオンで置換することにより、該粉末に紫外線吸収能を付与する方法(特開平6−9358号公報)が知られている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
板面径が大きく、適度な厚みを有し、かつ紫外線吸収能を有し、耐候性に優れたLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、この要求を満たすようなLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末は未だに提供されていない。
【0025】
即ち、前記各公報の製造法では、板面径が大きく、適度な厚みを有し、且つ、紫外線吸収能を有し、耐候性に優れたLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末が得られ難い。
【0026】
そこで、本発明は、板面径が大きく、適度な厚みを有し、かつ紫外線吸収能を有し、耐候性に優れたLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0027】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0028】
即ち、本発明は、Li−Al系層状複水酸化物とジルコニウムの水酸化物からなる、Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末であって、、該Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の平均板面径が0.1〜2.0μmであり、厚みが0.010〜0.080μmであり、ジルコニウム含有量が、リチウムとアルミニウムの合計モル数に対して、Zr換算で0.5〜30.0mol%であるLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末である。
【0030】
また、本発明は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液とリチウム塩水溶液とアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物とを混合してpH値が10〜14の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を80〜105℃の温度範囲で熟成してLi−Al系層状複水酸化物粒子の芯粒子を生成させ、次いで、該芯粒子を含む水性懸濁液に、リチウム塩水溶液とアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物とを添加した後、pH値が8〜14の範囲、温度が60〜105℃の範囲で熟成することによりLi−Al系層状複水酸化物粒子を製造する方法において、前記2回の熟成の少なくとも一方の熟成中に、前記全リチウム及び前記全アルミニウムの合計モル数に対して、Zr換算で0.5〜30.0mol%のジルコニウム化合物を存在させておくことを特徴とするLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の製造法である。
【0031】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0032】
先ず、本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末について述べる。
【0033】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は、Li−Al系層状複水酸化物粒子とジルコニウムの水酸化物とからなる板状を呈した複合粒子粉末である。
【0034】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は、板状であって、板面径が0.1〜2.0μm、厚みが0.010〜0.080μmである。
【0035】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の板面径が0.1μm未満の場合には、樹脂に練りこむ際の分散性が不十分である。2.0μmを超える場合には、工業的に生産することが困難である。好ましくは0.12〜1.8μmである。
【0036】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末の厚みが0.010μm未満の場合には、樹脂に練りこむ際の分散性が不十分である。0.08μmを超える場合には、工業的に生産することが困難である。好ましくは0.012〜0.075μmである。
【0037】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末のBET比表面積値は7〜90m2/gが好ましく、より好ましくは7〜60m2/gである。
【0038】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を構成しているジルコニウムの水酸化物の含有量は、リチウムとアルミニウムの合計モル数に対して、Zr換算で0.5〜30.0mol%が好ましく、より好ましくは1.0〜28.0mol%である。
【0039】
ジルコニウムの水酸化物の含有量が0.5mol%未満の場合には、紫外線吸収能が低いため好ましくない。30.0mol%を越える場合には、ジルコニウムの水酸化物の微細な粒子が多量に生成して凝集体を形成し樹脂中での分散性が低下するので好ましくない。
【0040】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末のうち、Li−Al系層状複水酸化物粒子の組成は下記の通りである。
【0041】
[Al2Li(OH)6]n +Xn−・mH2O
Xn−:n価のアニオン、m≧0。
【0042】
アニオン(Xn−)は、特に特定されるものではなくOH−、CO3 2−等が挙げられ、好ましくは、CO3 2−である。
【0043】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の紫外線吸収能は、波長340nmの紫外線の線吸収係数で評価した場合、0.010以上が好ましく、より好ましくは0.015以上である。紫外線の線吸収係数は後述する方法によって測定した。
【0044】
次に、本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の製造法について述べる。
【0045】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の製造法は、アニオンを含有したアルカリ性水溶液、リチウム塩水溶液及びアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物とを混合し、pH値が10〜14の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を80〜105℃の温度範囲で熟成してLi−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子を生成させる1次反応と、1次反応で得られた芯粒子を含む水性懸濁液に、リチウム塩水溶液とアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物とを添加し、pH値が8〜14の範囲、温度が60〜105℃の範囲で熟成する2次反応とからなり、1次反応及び2次反応で添加したリチウム及びアルミニウムの合計モル数に対してZr換算で0.5〜30.0mol%のジルコニウム化合物を熟成中に存在させる。
【0046】
ジルコニウム化合物は、1次反応、2次反応又は1次反応及び2次反応のいずれかの熟成中に反応溶液に存在させておけばよい。ジルコニウム化合物の添加方法は、アニオンを含有するアルカリ性水溶液、リチウム塩水溶液及びアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物の各原料のいずれかに添加する方法、1次反応の混合溶液に添加する方法、1次反応の熟成中に添加する方法、1次反応が終了した反応溶液に添加する方法、2次反応の各原料のいずれかに添加する方法、2次反応の熟成中に添加する方法のいずれでもよい。好ましくは前記各原料のいずれかに添加する方法、1次反応の混合溶液に添加する方法、1次反応の熟成中に添加する方法、1次反応が終了した反応溶液に添加する方法、2次反応の各原料のいずれかに添加する方法である。なお、2次反応の熟成中に添加する場合には、熟成時間の半分までに添加することが好ましい。
【0047】
本発明におけるアニオンを含むアルカリ性水溶液としては、アニオンを含む水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液が好ましい。
【0048】
アニオンを含む水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液が好ましい。
【0049】
水酸化アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
【0050】
本発明におけるリチウム塩水溶液としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム等を使用することができる。好ましくは、硫酸リチウム、炭酸リチウムである。
【0051】
本発明におけるアルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、オキシ水酸化アルミニウム(ベーマイト)、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等を使用することができる。好ましくは、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムである。
【0052】
本発明におけるジルコニウム化合物としては、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムなどが使用できる。好ましくは硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムである。
【0053】
1次反応において、アニオンを含有するアルカリ性水溶液、リチウム塩水溶液及びアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物の混合順序は、特に限定されるものではなく、また、各水溶液又は化合物を同時に混合してもよい。
【0054】
また、各水溶液又は化合物を添加する場合には、該水溶液又は化合物を一度に添加する場合、又は連続的に添加する場合のいずれで行ってもよい。
【0055】
1次反応におけるアニオンを含有するアルカリ水溶液、リチウム塩水溶液及びアルミニウムイオンを形成し得る化合物を混合した反応溶液中の濃度は、リチウム塩は0.04〜1.0mol/lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.9mol/l、アルミニウム化合物は0.08〜2.0mol/lが好ましく、より好ましくは0.10〜1.8mol/l、アニオンは0.04〜1.7mol/lが好ましく、より好ましくは0.05〜1.5mol/l、水酸化アルカリ水溶液は0.5〜8mol/lが好ましく、より好ましくは0.8〜6mol/lである。
【0056】
1次反応における熟成反応中の温度は80〜105℃であり、好ましくは85〜105℃である。80℃未満の場合にもLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は生成するが、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子を得ることができない。105℃を越える場合には、オートクレーブ等の耐圧容器が必要となり経済的ではない。
【0057】
1次反応における熟成反応中のpH値は10〜14であり、好ましくは10.5〜14である。pH値が10未満の場合、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子が得られない。
【0058】
1次反応における熟成反応の反応時間は2〜24時間が好ましい。熟成時間が2時間未満の場合には、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子が得られ難い。24時間を超える熟成は経済的ではない。
【0059】
1次反応で得られたLi−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子は、板面径は0.09〜1.80μmが好ましく、厚みは0.009〜0.070μmが好ましく、BET比表面積値は10〜110m2/gが好ましい。
【0060】
2次反応において、添加するリチウムとアルミニウムの合計モル数は、1次反応で添加したリチウムとアルミニウムの合計モル数に対して0.90以下である。好ましくは0.85以下である。0.90を超える場合、微細な粒子が多量に析出し、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が得られない。
【0061】
2次反応において、リチウム塩水溶液、アルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物の添加順序は、特に限定されるものではなく、また、各々を同時に添加してもよい。
【0062】
また、各水溶液又は化合物を添加する場合には、該水溶液又は化合物を一度に添加する場合、又は連続的に添加する場合のいずれで行ってもよい。
【0063】
2次反応におけるリチウム塩水溶液及びアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物を混合した反応溶液中の濃度は、リチウム塩は0.02〜0.5mol/lが好ましく、より好ましくは0.02〜0.45mol/l、アルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物は0.04〜1.0mol/lが好ましく、より好ましくは0.04〜0.95mol/lである。1次反応及び2次反応で添加するリチウムとアルミニウムとの総モル比(Li/Al)は0.48〜0.75が好ましい。
【0064】
1次反応及び/又は2次反応におけるジルコニウム化合物の全添加量は、1次反応及び2次反応で添加したリチウム及びアルミニウムの合計モル数に対して0.5〜30.0mol%が好ましく、より好ましくは1.0〜28.0mol%である。
【0065】
2次反応における熟成反応中の温度は60〜105℃であり、好ましくは65〜105℃である。60℃未満の場合にもLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は生成するが、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が得られない。105℃を越える場合には、105℃を越える場合には、オートクレーブ等の耐圧容器が必要となり経済的ではない。
【0066】
2次反応における熟成反応中のpH値は8〜14であり、好ましくは8.1〜14である。pH値が8未満の場合、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が得られない。
【0067】
2次反応における熟成反応の反応時間は2〜24時間が好ましい。熟成時間が2時間未満の場合には、板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が得られ難い。24時間を超える熟成は経済的ではない。
【0068】
2次反応と同様な反応条件で3次反応を行い、さらに芯粒子の表面を被覆したLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を得ることもできる。
【0069】
2次反応終了後においては、常法により水洗、乾燥すれば、Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が得られる。
【0070】
また、上記Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を120〜350℃で、空気中又はN2、He等の雰囲気中で1〜24時間加熱して脱結晶水処理をしてもよい。
【0071】
本発明においては、前記Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を、高級脂肪酸、有機シラン化合物、ロジン類から選ばれる1種又は2種以上の表面被覆剤で表面被覆しても良い。
【0072】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0073】
Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の板面径は電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示したものである。
【0074】
Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の粒子の厚みは、「X線回折装置RAD−2A(理学電機(株)製)」(管球:Fe、管電圧:40kV、管電流:20mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.010°、走査速度:0.500°/min、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.30mm)を使用し、Li−Al系層状複水酸化物粒子の(002)結晶面の回折ピーク曲線から、シェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
【0075】
得られた粒子粉末の同定は、X線回折により行い、前記X線回折装置を使用し、回折角2θが5〜90°で測定した。
【0076】
BET比表面積値はBET法により測定した値で示した。
【0077】
Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末のうち、Li−Al系層状複水酸化物粒子を
[AlaLib(OH)6]n +Xn−・mH2O
Xn−:n価のアニオン、m≧0
と表記した場合のa、b及びLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末中のジルコニウム含有量は、該粉末を酸で溶解し、「プラズマ発光分光分析装置 SPS4000(セイコー電子工業(株))」で測定して求めた。
【0078】
アニオン(Xn−)としてCO3 2−用いた場合の炭素含有量(重量%)及び硫黄化合物又は硫酸イオンの含有量は、カーボン・サルファーアナライザー:EMIA−2200(HORIBA製)により測定した。
【0079】
Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の紫外線吸収能は下記の方法で評価した。
【0080】
Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末5.0g、メラミン樹脂(商品名:スーパーベッカミンJ−820、DIC製)10.0g、アルキド樹脂(商品名:ベッコゾール1307−60−EL、DIC製)20.0g、ブタノール(一級試薬)0.5g、キシロール(一級試薬)15.0gを配合した塗料組成物に、ガラスビーズ160gを添加し、ペイントシェイカーを用いて分散させて塗料化し、アプリケーター(GAP100μm)で透明なフィルム上に塗布して塗布膜を形成した。得られた塗布膜について「自記光電分光光度計UV−2100」(株式会社島津製作所製)を用いて光透過率を測定した。波長340nmの紫外線の線吸収係数は、上記光透過率の値を下記式に挿入して算出した。
【0081】
線吸収係数(μm−1)=[ln(1/t)]/FT
t:波長340nmにおける光透過率(−)
FT:測定に用いた塗布膜の塗層の厚み(μm)
線吸収係数は、単位膜厚当りの紫外線の吸収能を表すものである。
【0082】
<Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の製造法>
CO3 2−イオン濃度が0.96mol/lの炭酸ナトリウム水溶液500mlと18.4mol/lの水酸化ナトリウム水溶液402ml(pH値=14.2)及び水500mlを混合し、60℃に保持して、反応容器中で撹拌しておく。これに1.0mol/lの硫酸リチウム水溶液400ml、1.0mol/lの硫酸アルミニウム水溶液800mlおよび0.48mol/lの硫酸ジルコニウム水溶液400mlとの混合溶液を添加し、全量を3.2lとした。反応容器内を撹拌しながらpH値が13.6、95℃で7時間熟成して白色沈殿物を生成した。得られたLi−Al系層状複水酸化物芯粒子の板面径は0.30μm、厚みは0.0167μm、比表面積は35.0m2/gであった。(1次反応)
【0083】
次いで、1.0mol/lの硫酸リチウム水溶液100mlと1.0mol/lの硫酸アルミニウム水溶液200mlの混合溶液を添加し、さらに0.48mol/lの硫酸ジルコニウム水溶液100mlを添加して全量を4.0lとし反応容器内を攪拌しながらpH値が12.1、95℃で6時間熟成して白色沈殿物を生成した(2次反応)。1次反応で添加したリチウムとアルミニウムの合計モル数に対する、2次反応で添加したリチウムとアルミニウムの合計モル数の比は0.25である。この白色沈殿物を濾過、水洗の後、60℃にて乾燥することにより白色粒子粉末を得た。
【0084】
この白色粒子粉末をX線回折によって同定した結果、層状複水酸化物とジルコニウムの水酸化物からなる複合粒子粉末であることを確認した。
【0085】
得られたLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は、平均板面径が0.37μm、厚みが0.0201μm、板状比が18.4、BET比表面積値が28.6m2/g、ジルコニウム含有量が、リチウムとアルミニウムの合計モル数に対して、Zr換算で7.97mol%、波長340nmの紫外線の線吸収係数は、0.0224μm−1であった。
【0086】
【作用】
本発明において重要な点は、Li−Al系層状複水酸化物粒子とジルコニウムの水酸化物とからなるLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は、紫外線吸収能を有し、該Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を用いて得られる樹脂組成物は耐候性に優れるということである。
【0087】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が紫外線吸収能を有するのは、該複合粒子粉末を構成するジルコニウムの水酸化物が紫外線吸収能を有することに起因するものと考えられる。
【0088】
酸化ジルコニウム粒子は、それ自体が紫外線の散乱体となることによって、紫外線を遮蔽する機能を発揮することが知られている。本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を構成するジルコニウムの水酸化物が、紫外線の散乱体として作用し紫外線を遮蔽することにより紫外線透過率が低下しているか、有機系紫外線吸収剤と同様な共鳴結合による紫外線エネルギー吸収効果によって紫外線透過率が低下しているかは明らかではないが、前記機能を有するジルコニウムの水酸化物が、本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末中に均一に分布することより、紫外線透過率が低下し、耐候性が向上しているものと本発明者は推定している。
【0089】
また、本発明において重要な点は、Li−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子を生成させる1次反応と、1次反応で得られた芯粒子を含む水性懸濁液を用いて2次反応を行うことにより、常圧下で板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が得られる点である。
【0090】
板面径が大きく、適度な厚みを有するLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末が得られる理由について、本発明者は、1次反応で適度な大きさのLi−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子を生成させ、該芯粒子表面で、2次反応で添加したリチウムイオン及びアルミニウムイオンが共沈析出して層状複水酸化物層をトポタクティックに被覆形成させることにより、芯粒子の結晶成長を更に促進するためと考えている。
【0091】
本発明においては、Li−Al系層状複水酸化物粒子の生成反応中にジルコニウム化合物を添加しているので、本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を構成するジルコニウムの水酸化物は、微粒子の状態でLi−Al系層状複水酸化物粒子の粒子表面に付着しているか又はLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末中に均一に分散して存在しているものと推定しており、ジルコニウムの水酸化物が付着することによって個々のLi−Al系層状複水酸化物粒子の凝集が抑制され、樹脂中での分散性向上にも寄与しているものと推定している。
【0092】
【実施例】
次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0093】
実施例1〜8、比較例1〜4
リチウム化合物の種類、濃度、アルミニウム化合物の種類、濃度、アルカリ水溶液の濃度、熟成温度及びジルコニウム化合物の種類、添加量及び添加時期を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にしてLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末を得た。なお、比較例4は市販品のLi−Al系層状複水酸化物粒子粉末(板面径0.35μm、厚み0.0290μm、板状比12.1、比表面積22.6m2/g)、ミズカラック L(商品名、水澤化学工業株式会社製)である。
【0094】
このときの1次反応(芯粒子)の製造条件を表1に、得られたLi−Al系層状複水酸化物複合粒子の芯粒子の諸特性を表2に、2次反応の製造条件を表3に、得られたLi−Al系層状複水酸化物複合粒子及びLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の諸特性を表4に示した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【発明の効果】
本発明に係るLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末は、板面径が大きく、適度な厚みを有し、かつ紫外線吸収能を有しているので、耐候性が要求される塩素含有樹脂やオレフィン系樹脂の配合剤として好適である。
Claims (2)
- Li−Al系層状複水酸化物粒子とジルコニウムの水酸化物とからなるLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末であって、該Li−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の平均板面径が0.1〜2.0μmであり、厚みが0.010〜0.080μmであり、前記ジルコニウムの水酸化物の含有量が、リチウムとアルミニウムの合計モル数に対して、Zr換算で0.5〜30.0mol%であることを特徴とするLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末。
- アニオンを含有したアルカリ性水溶液とリチウム塩水溶液とアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物とを混合してpH値が10〜14の範囲の混合溶液とした後、該混合溶液を80〜105℃の温度範囲で熟成してLi−Al系層状複水酸化物粒子の芯粒子を生成させ、次いで、該芯粒子を含む水性懸濁液に、リチウム塩水溶液とアルミニウムイオンを形成し得るアルミニウム化合物とを添加した後、pH値が8〜14の範囲、温度が60〜105℃の範囲で熟成することによりLi−Al系層状複水酸化物粒子を製造する方法において、前記2回の熟成の少なくとも一方の熟成中に、前記全リチウム及び前記全アルミニウムの合計モル数に対して、Zr換算で0.5〜30.0mol%のジルコニウム化合物を存在させておくことを特徴とするLi−Al系層状複水酸化物複合粒子粉末の製造法。
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