JP4093006B2 - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、継目無鋼管の製造方法に係わり、特に8〜9mass%Crを含有し、外面毛割れ疵の少ない継目無鋼管を製造するのに有効な継目無鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
油井管等に多用される継目無鋼管は、ビレットと称される鋼鋳片(断面が丸又は角)を素材にして製造される。例えば、継目無鋼管の1つの典型的な製造工程を説明すると、それは、図6に示すように、素材1である鋼鋳片(例えば、丸ビレット)を加熱炉2で加熱してから、ピアサー・ミル(傾斜圧延機)3で該素材1にプラグ4を押し当て穿孔して、一応の素管5を形成する。そして、引続き、該素管5の孔に、前記同様にプラグを挿入して、拡管、延伸、磨管を行うエロンゲータ6、プラグ・ミル7、リーラ8又はマンドレル・ミル(図示せず)なる圧延機で一応の管体形状にまで成形圧延する。さらに、その管体9は、再加熱炉10を経てサイジング・ミル11という多段の絞り圧延機により外径と肉厚を所定寸法まで絞り込まれ、製品とされる。
【0003】
ところで、かかる工程で製造される継目無鋼管(以下、単に鋼管という)は、前記素材1に種々の鋼種が採用されるが、そのうちの一つに8〜9mass%Cr含有鋼がある。この鋼鋳片を素材にして製造された鋼管は、耐食性や強度に優れ、油井管の素材に最適だからである。なお、現在実用されている鋼鋳片の組成は、例えばC:0.1mass%,Si:0.40mass%,Mn:0.40mass%,P:0.02mass%以下、S:0.002mass%以下,Cu:0.05mass%以下,Cr:8.55mass%,Ni:0.10mass%,Nb:0.08mass%,V:0.19mass%,Mo:0.97mass%,N:0.05mass%である。
【0004】
しかしながら、この鋼鋳片を素材1に用いて継目無鋼管を製造すると、外面に毛髪状の疵(図示していないが、外面毛割れ疵という)が多発する傾向にあり、製品としての合格率が低いという問題があった。つまり、製品歩留まりが低く、製造コストが高くなる。
【0005】
そこで、前記疵の発生原因を検討した。すなわち、該鋼鋳片は、通常、前記加熱炉において1260℃で加熱してからピアサー・ミル3で穿孔するが、この温度での加熱では、該鋼鋳片にδ-フェライト相が析出し、ピアサー・ミル3での熱間加工性が低下することが影響していると考えた。そのため、加熱温度を1230℃にまで低下させたところ、前記疵の発生は以前よりは減少した。
【0006】
しかしながら、素材を加熱する温度を低くしたので、その後のエロンゲータ6等での圧延が不安定になり、ミスロールや尻り抜け(圧延機から鋼管の後端が抜けなくなる現象)不良が多発するという別の問題が生じる。これでは、全体の生産性が低下し、依然として製造コストが高いという問題は解消できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、8〜9mass%のCrを含有していても、製品に外面毛割れ疵が発生するのを抑制できるばかりでなく、ピアサー・ミル等の各圧延機で円滑な圧延が可能な継目無鋼管の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
【0009】
すなわち、本発明は、C:0.12%mass以下、Si:0.26%mass以下、Mn:0.50mass%以下、P:0.02mass%以下、S:0.002mass%以下、Cu:0.05mass%以下、Cr:8〜9mass%、Ni:0.40mass%以下、Nb:0.10mass%以下、V:0.22mass%以下、Mo:1.03mass%以下、N:0.055mass%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成であり、下記式で定めるオーステナイトからフェライトへの変態温度(Ac4 )が1250〜1300℃になるように、成分を調整してなる鋼鋳片を、
設定温度を1250℃以上、前記フェライトヘの変態温度(Ac 4 )以下とした加熱炉で加熱後、ピアサー・ミルで穿孔し、引続き、エロンゲータ、プラグミル、リーラ又はマンドレル・ミルなる圧延機で成形圧延することを特徴とする継目無鋼管の製造方法である。
Ac4=−6970.9C2+2484.8C+226.58Ni2+39.89Ni+46.62Cr2−823.98Cr−161.46Nb−102.0V+14123N2−878.64N+4724.6
ここで、C,Ni,Cr,Nb,V,Nは、該素材に含有させる各成分の量(mass%)。
【0010】
本発明によれば、素材の組成を上記オーステナイトからフェライトへの変態温度(Ac4)が1250〜1300℃になるように調整したので、8〜9mass%Crを含有する鋼鋳片であっても、製造された継目無鋼管に外面毛割れ疵の発生が抑制されるばかりでなく、各圧延機で安定した圧延が行えるようになる。その結果、製品歩留まりが従来より向上し、その製造コストの低減が達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
まず、発明者は、前記成分の鋼鋳片が1260℃で加熱されると、熱間加工性が低下し、その原因がδ-フェライト相の出現にあると考えられるので、このことを確認するため、オーステナイト相からフェライト相に変態する時の温度(以下、変態温度)を成分で示す式で表すことにした。そして、その式を実験計画法で求めるため、表1に示す成分からなる18種類の試験鋼塊を製造し、その鋼塊でそれぞれの変態温度を求めた。それは、該鋼塊を加熱、冷却した際の温度に対応する歪を測定し、温度-歪線図より定めるようにしたが、表1には、この実験で得られた変態温度の値も示してある。
【0013】
【表1】
【0014】
次に、この表1の結果を分散分析し、該変態温度(以下、Ac4と記す)を表す式として下記を得た。
Ac4=-6970.9C2+2484.8C+226.58Ni2+39.89Ni+46.62Cr2-823.98Cr-161.46Nb-102.0V+14123N2-878.64N+4724.6
ここで、C,Ni,Cr,Nb,V,Nは、該素材に含有させる各成分の量(mass%)。
【0015】
この式で得られるAc4は、前記の実測した値との間に、図1に示すような1.5%程度の誤差しかないので、鋼鋳片の変態温度を推定するのに十分利用できることが明らかである。
【0016】
そこで、過去に8〜9mass%Crを含有する継目無鋼管を製造した際に使用した鋼鋳片の組成を前記式に代入してAc4を計算したところ、図2に示すように、その大部分が1240℃以下であったことが分かった。また、加熱炉の設定温度が1230℃であったので、その製造時に外面をグラインダー等で手入れ(研磨)しても毛割れ疵が除去できない鋼管の全製造鋼管に対する割合(外面研磨返却率という)を(加熱炉の設定温度-計算Ac4を)で整理した。その結果、図3に示すように、該外面研磨返却率は、(加熱炉の設定温度(1230℃)-Ac4)がマイナス、つまり計算Ac4が加熱炉設定温度より低いと、ほとんどゼロになり、研磨で除去できない毛割れ疵が発生していないことが確認できた。
【0017】
すなわち、鋼鋳片の組成を従来通りとしてCrを8〜9mass%含有する継目無鋼管を製造すると、加熱炉の設定温度を1230℃以下にしない限り、外面研磨返却率がゼロのものを製造できないことが明らかになった。
【0018】
ところが、加熱炉の設定温度とピアサー、エロンゲータ等の圧延機での鋼管の尻抜け不良発生率を調査したところ、図4に示すように、該設定温度が1250℃より低いと、圧延した鋼管の尻抜け不良発生率が大きいことも事実であった。
【0019】
そこで、発明者は、加熱炉の設定温度を1250℃よりも高くしても、Ac4がその温度より低くならない組成の鋼鋳片であれば良いと考え、本発明を完成させたのである。実際に8〜9mass%のCr含有量でAc4を計算したところ、図5に示すような度数分布が得られ、そのような組成の鋼鋳片は入手できることも確認できた。なお、本発明では、前記Ac4の上限を1300℃としたが、それは、1300℃超えでは、毛割れ疵等が生じ、品質不都合が生じるからである。
【0020】
【実施例】
前記式に従いAc4を計算し、それが1250℃〜1300℃に収まる組成の鋼鋳片を、連続鋳造で製造し、それらを素材にして実際にCr含有量が8〜9mass%の継目無鋼管を製造した。なお、製造工程は、図6に示した通りであり、製造した鋼管のサイズは、外径339.7φmm×肉厚12.1mm×長さ139000mmである。
【0021】
その結果、表2に示すように、従来の素材を用いた場合に比べ、著しく外面研磨返却率の小さい製品が製品歩留まり良く製造できた。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、8〜9mass%Crを含有した素材であっても、製造した継目無鋼管に外面毛割れ疵の発生が少なく、各圧延機で安定した圧延が行えるようになる。その結果、製品歩留まりが従来より向上し、製造コストの低減が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼鋳片のオーステナイトからフェライトへの変態温度の実測値と計算Ac4との関係を示す図である。
【図2】計算Ac4の値の度数分布を示す図である。
【図3】従来の素材で製造した鋼管の外面研磨返却率(%)と(加熱炉温度-Ac4)との関係を示す図である。
【図4】加熱炉温度とピアサー・ミル及びエロンゲータでの鋼管の尻抜け不良発生率との関係を示す図である。
【図5】本発明に係る素材が実現可能であることを示す度数分布図である。
【図6】本発明に係る素材で継目無鋼管を製造する工程を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 素材(鋼鋳片)
2 加熱炉
3 ピアサー・ミル
4 プラグ
5 素管
6 エロンゲータ
7 プラグ・ミル
8 リーラ
9 管体
10 再加熱炉
11 サイジング・ミル
Claims (1)
- C:0.12%mass以下、Si:0.26%mass以下、Mn:0.50mass%以下、P:0.02mass%以下、S:0.002mass%以下、Cu:0.05mass%以下、Cr:8〜9mass%、Ni:0.40mass%以下、Nb:0.10mass%以下、V:0.22mass%以下、Mo:1.03mass%以下、N:0.055mass%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成であり、下記式で定めるオーステナイトからフェライトへの変態温度(Ac4 )が1250〜1300℃になるように、成分を調整してなる鋼鋳片を、
設定温度を1250℃以上、前記フェライトヘの変態温度(Ac 4 )以下とした加熱炉で加熱後、ピアサー・ミルで穿孔し、引続き、エロンゲータ、プラグミル、リーラ又はマンドレル・ミルなる圧延機で成形圧延することを特徴とする継目無鋼管の製造方法。
Ac4=−6970.9C2+2484.8C+226.58Ni2+39.89Ni+46.62Cr2−823.98Cr−161.46Nb−102.0V+14123N2−878.64N+4724.6
ここで、C,Ni,Cr,Nb,V,Nは、該鋼鋳片に含有させる各元素の量(mass%)。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002286083A JP4093006B2 (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 継目無鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002286083A JP4093006B2 (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 継目無鋼管の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004124116A JP2004124116A (ja) | 2004-04-22 |
| JP4093006B2 true JP4093006B2 (ja) | 2008-05-28 |
Family
ID=32279224
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002286083A Expired - Lifetime JP4093006B2 (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 継目無鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4093006B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1764422B1 (de) * | 2005-09-15 | 2008-06-11 | Siemens Aktiengesellschaft | Verfahren zur Herstellung eines Gehäuses aus austenitischem Stahl. |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002286083A patent/JP4093006B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2004124116A (ja) | 2004-04-22 |
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