JP4101587B2 - 合成繊維束の振り込み装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、繊維束、特にクリンプのないストレートで良質のアクリル系繊維束を容器内に円滑に振り込むのに好適な合成繊維束の振り込み装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アクリル系繊維束はワインダーを用いてボビン等に巻き取るのが一般的であった。一方、ピッチ系繊維やポリエステル繊維を容器に振り込む装置として、例えば特公昭61−124479号公報や特開平10−297823号公報に開示されているように、エアーサッカーを用いるとともに容器を往復運動させて振り込む装置が提案されている。エアーサッカーは繊維間を交絡させずに、同時に収束させる機能を備えている。
【0003】
また、例えば特開昭59−1724号公報、特公昭64−3787号公報、特開平4−2820号公報では、ピッチ系繊維をエアーサッカーに通したのち回転する容器に収容する振り込む装置を提案している。特に、特公昭64−3787号公報に開示されたピッチ系繊維の振り込み装置によれば、エアーサッカーの中心軸線を回転容器の回転中心から偏位させて、エアーサッカーの先端に回転可能に支持された先端が湾曲する振り込み管をエアーサッカーの中心軸線回りに駆動回転させて、ピッチ繊維を容器の回転中心の回りに円を描きながら振り込んでいる。一方、特開平4−2820号公報では、容器の中心軸線回りに回転させるとともに、同容器を径方向に往復運動させて、エアーサッカーを通って集束されたピッチ系繊維を同容器に振り込むものである。
【0004】
ところで、ピッチ系繊維は疎水性であるため静電気を帯電しやすく、ガイドロール等と接触するたびに帯電する。この帯電によりロールに巻き付きやすくなり、安定した移送が難しいばかりでなく、仮に容器に振り込まれたとしても繊維同士のばらけがひどく、しかも繊維間で絡まりが激しくて、そのままの状態で以降の焼成工程に回されたとしても、均質な炭素繊維が製造できない。
【0005】
そこで、例えば上記特開昭59−1724号公報では紡糸ノズルから吐出された直後の繊維に向けて水又は非水系油剤を霧吹きノズルなどにより付与し、静電気の発生自体をなくすとともに収束効果をもたせたり、或いは特公昭63−12171号公報のように、ピッチ系繊維をエアーサッカーを通した直後に、同ピッチ系繊維に対して空気のような霧化気体を使用することなく、加熱蒸発や超音波により収束剤を直接霧化して付与するため、繊維束にばらけや切断がなく、安定して容器に収納できるというものである。
【0006】
一方、従来のアクリル系繊維束を振り落としながらケンスに収納する装置にあっては、捲縮処理された繊維束の場合には振込み速度と繊維束の送られてくる速度とが異なってもよいが、実質的に捲縮処理のされていないストレートな繊維束では振込み速度と繊維束の送られてくる速度とを一致させる必要がある。従って、実質的にストレートな繊維束が高速で送られてくると、前述の様な振込み動作では振込み速度が繊維束が送られてくる速度に追いつけず、振り込んだ繊維束のバラケや不必要な捩れを発生させ繊維束をケンスから引き出す際に問題を生ずる可能性がある。
【0007】
そこで、こうした不具合をなくすべく、例えば特開平6−191728号公報では、高速で送られてくる繊維束を歯車型ニップロールを通したのちに、下方に配された下部が開口する一対のベルトフィーダーに落とし込み、同ベルトフィーダーで一旦滞留させながら下方のケンス内に収納しようとしている。また、例えば特開平7−42016号公報では、通常のニップロールから高速に送り出される繊維束に、ニップロールの下方で横方向に対峙する気体噴射ノズルから、所定の噴出圧と速度で30秒以上のサイクルで落下途中の繊維束に交互に噴射させながら、下方に配されたケンスに繊維束を収納している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通常、後処理工程で糸を連続的に処理することを目的として、2本の糸の終端と始端とを繋ぎ合わせている。この繋ぎ合わせた繊維束を、上述の公報のごとく、往復運動または回転運動する容器に振り込む場合には、その繋ぎ合わせは容易である。しかし、紡糸速度が速くなると、容器の往復反転時に機械的な負荷が大きくなり、特にこの往復運動に回転運動が加わる場合には、装置の強度を確保するために大きなスペースが必要となるばかでなく、その運動制御を高精度に行わなければならない。また、振り込まれる繊維束の動きが容器の動きに追随できず、振り込みの途中でも容器内で荷崩れしたり、繊維束の充填密度が低くなる等の問題があった。
【0009】
更に、容器を往復運動させる場合、単にエアーサッカーを介して通常の合成繊維束を振り込もうとしても、その出口で繊維がばらけてしまい十分な収束性を維持することができなかった。この収束性を維持すると同時に、静電気の発生による障害を排除するため、上述のとおり、従来もエアーサッカーとは別にロール接触により或いは噴霧により水分や油剤等を繊維束に付与していたが、ロール接触の場合は繊維へのダメージが大きく、噴霧の場合は周囲への飛散などの対策が必要となり、何れの場合も装置が複雑になるといった問題があった。また、こうした水や油の付与方法が偏平な繊維束の収納に適用された場合には、繊維束が捩じれやすくなり、容器から引き出される繊維束を均整に引き出すことが難しく、特に前記繊維束が炭素繊維前駆体繊維から構成されている場合には、以降の焼成工程にて高品質の炭素繊維が得にくくなる。
【0010】
本発明は、上述のごとき従来の利点を生かしつつ、同時にその課題を解決すべくなされたものであり、具体的にはエアーサッカーの高収束機能を利用しつつ、しかも収束形態を維持して安定して容器内に振り込むことが可能な合成繊維束の振り込み装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
本発明者等は、小スペースで集束性に優れた合成繊維束を容器へ振り込むことと、繊維束がダメージを受けないことを基本において、上述の各先行技術について様々な観点から検討を行ったが、何れの場合も小スペース化が困難であり、50m/min以上の紡糸速度で安定した振り込みを行うには、繊維束にある程度のクリンプを付与して振り込みの速度を極力下げる必要があることが分かった。しかし、クリンプは繊維束を座屈させるため、繊維束の機械的強度を局部的に低下させるため好ましくない。
【0012】
そこで、容器に振り込むときの収束性が確保されるならば、エアーサッカーを用いることが、クリンプのない実質的にストレートな繊維から構成される繊維束の振り込み手法として有効であるとの確信を得た。しかし、通常の方法ではエアーサッカーの出側で繊維束が相変わらずばらける等の問題が生じる。しかるに、エアーサッカーのノズル口径を最適化し、水分や油剤等を付与し、或いは繊維同士の交絡を行うことにより、前述の問題は解消されることを知った。
【0013】
すなわち、本発明の基本的な構成は、請求項1に記載したとおり、繊維束導入ノズル、エアー導入部、加速管、及び合成繊維束に添加される水分又は油分の添加路を有する、合成繊維束を容器へ振り込むためのノズルとしてのエアーサッカーと、同エアーサッカーの先端を、繊維束が容器内に任意の堆積形状を持って振り込まれるような運動軌跡を描くように運動させる機構と、を備えてなる合成繊維束の振り込み装置であって、水分又は油分の前記添加路が、前記繊維束導入ノズルと前記エアー導入部との間に設けられたエアープール部に連通してなることを特徴とする、合成繊維束の振り込み装置にある。
【0014】
エアーサッカーは内径が同一で外形が漏斗状の繊維束導入ノズルと、同繊維束導入ノズルを囲むエアー導入部と、同エアー導入部の先端開口内径と同一内径をもつパイプ状の加速管により構成され、前記エアー導入部と繊維束導入ノズルとの間にエアープール部が設けられている。このエアープール部より加速管内に繊維束に対して全周からエアーを供給する。エアーサッカーの繊維束通過域の内径は、繊維束の総断面積に対して1.1〜5倍の範囲が好ましい。1.1倍よりも小さくなると繊維束がノズル内を通過するときの抵抗が大きくなる。一方、5倍よりも大きくなると、繊維束がエアー流によってばらけ易くなる。
【0015】
エアーサッカーの前記繊維導入ノズルの長さは、その内径に対して2〜20倍であることが好ましい。2倍よりも小さいと繊維束を引き込む随伴流を生じにくくなり、20倍を超えるとノズル内の抵抗が大きくなって随伴流は小さくなるため好ましくない。また、加速管の長さは内径に対して10〜50倍の範囲であることが好ましい。10倍よりも小さいと繊維束に速度を与えられず、50倍を超えるとノズル内の抵抗が大きくなって、繊維に十分な速度を与えられない。加速管の内径は出口に進むに従って段階的に、或いは滑らかに大きくすることも可能である。
【0016】
繊維導入ノズルと加速管は、エアーを供給した場合にエアー導入部側からのエアーの吹き上がりがないように寸法を決定する必要がある。そのエアー量は紡糸速度、繊維束のサイズや振り込み容器のサイズに合わせて任意に設定が可能であり、エアー流量が多すぎると繊維束がばらけ易くなる傾向にあるため、可能な限り少なくすることが経済的な面からも好ましい。また、エアーと共に収束性維持と静電気対策、後工程での工程通過性を考慮して水分や油分を適宜添加することにより、接触式の場合の繊維へのダメージ、噴霧の場合の周囲への飛散を解消することができる。
【0017】
更に、収束性を維持すること、静電気対策や後工程での工程通過性を考慮するとき、繊維束に水分や油分を適宜添加する。この場合、ロールや液体噴射ノズルを使って水分や油分を添加することは、ロール接触による繊維のダメージが大きく、液体噴霧による周囲への飛散などの対策などが必要となり好ましくない。そこで、本発明ではエアーサッカーの上記エアープール部に連通する水分又は油分を添加する添加路を形成する。同添加路からエアープール部に水分又は油分を添加して、繊維束が加速管を通過するとき水分又は油分をエアーに乗せて付与すれば、繊維のダメージがなく、同時に周囲に液体が飛散することもない。
【0018】
本発明にあって、更にエアーサッカーの上流側に繊維束に交絡を付与する交絡ーノズルを更に備えることが好ましい。エアーサッカーを用いると加速管の出口で繊維束が収束性を失う。上述のとおり、エアーサッカーの繊維束通過域における内径の最適化、水分等の付与により収束性を維持されるようになるが、エアーサッカーの上流側に更に繊維束間の繊維同士を交絡させるための交絡ノズルを具備させることで、より安定した振り込みが可能となり、後工程での通過性も向上する。交絡ノズルはエアーサッカーと独立させて配することも、或いはエアーサッカーと一体とすることも可能である。ここで、交絡ノズルの形態は特に限定されない。
【0019】
本発明にあっては、更にエアーサッカーの先端を、繊維束が容器内に任意の堆積形状をもって振り込まれるような運動軌跡を描く運動機構を備えている。その運動機構としては、エアーサッカーの基端部であるエアー導入部の繊維束導入側端部を基点として、二軸平面上において任意の運動軌跡を描くようにしてエアーサッカーの先端部である加速管の先端を揺動させるような運動機構を採用すればよい。
【0020】
その運動機構としては、フレーム等に固定されたブラケットに前記エアーサッカーの基端部を二軸平面に対して全方向に揺動可能に垂下支持させるとともに、同じく二軸上に配された一対のシリンダー本体の基端をそれぞれ球体軸受等で支持し、各シリンダーのピストンロッドの先端を同じく球体軸受等で前記エアーサッカーの、例えば加速管が回動可能な様に支持させ、制御部に予め設定された運動軌跡式に従って各シリンダーを制御作動して、エアーサッカーの先端部を所望の運動軌跡を描くように揺動させればよい。
【0021】
本発明による運動機構は、前述のごとくシリンダーによる以外にも、例えば フレーム等に固定されたブラケットに前記エアーサッカーの基端部を二軸平面に対して全方向に揺動可能に垂下支持させるとともに、同エアーサッカーの加速管を二軸上に直交して配された一対のナットと同軸上に直交して延設されたボールネジとを使って、モータの制御駆動により、加速管の先端を任意の運動軌跡を描いて揺動させることもできる。更には、シリンダーとモータとを組み合わせることによっても、前述のごとき運動機構を得ることができる。
本発明では、こうした運動機構に加えて、容器内に堆積される繊維束の高さに応じて、上記エアーサッカー又は容器自体を昇降させる昇降機構を組み合わせることも可能である。
【0022】
このように、本発明によればノズル先端が二軸平面に対して任意の運動軌跡を描いて運動する機能を備えたエアーサッカーを用いることにより、容器を不動として、クリンプのない実質的にストレートな合成繊維束を、繊維のばらけがなく且つダメージを与えることもなく容器内に安定して振り込むことができるようになる。容器を動かすための機構を不要とすることができるため、小スペース化を可能とするばかりでなく、容器を高速で動かしたときに容器内で繊維束が振られることによる振り込み形態の崩れがなくなる。
【0023】
しかしながら、繊維束を容器に振り込むにあたって、その振り込み形態を全てエアーサッカーの運動に任せると、更に高速化を実現することが難しくなる。そこで、本発明では前記容器を可動として、前記エアーサッカーとの複合運動により、繊維束が容器内に任意の堆積形状をもって振り込むようにすることもある。すなわち、従来と同様に、容器に2軸平面上で往復運動させ、或いは容器の中心軸線を回りに容器を回転させる機構を具備させることにより、容器の運動とエアーサッカーの先端部の運動とを複合すると、高速化にも十分に対応し得る容器の速度をもって、任意の振り込み形態を得ることができる。
【0024】
【発明の実施形態】
以下、本発明の代表的な実施形態を図示実施例に基づき具体的に説明する。 図1は、本発明に用いられるエアーサッカーの構造例を模式的に示している。勿論、エアーサッカーの具体的構造は図示例に限定されるものではないが、基本的には図示したような構成を備えている。なお、本発明は、例えばアクリル系繊維から構成されるラージトウからなるプレカーサーの振り込み装置として好適に適用できるが、必ずしもアクリル系繊維束に限らず、他のポリエステル系繊維、ナイロン繊維、ビニル系繊維、ポリプロピレン繊維など、通常の合成繊維からなる繊維束にも、十分に適用が可能である。
【0025】
同図に示すように、前記エアーサッカー10は、内径が等しい円筒形の繊維束導入ノズル11と、同繊維束導入ノズル11の導入側端面を外部に露呈させた状態で、その外周面を包囲するように配される円筒箱状のエアー導入部12と、同エアー導入部12の繊維束導出端に接続一体化された加速管13とを有している。前記繊維束導入ノズル11の繊維束導出側の外周面は、繊維導出方向に向けて外径を漸次小さくした円錐面11aに形成されている。
【0026】
同繊維束導入ノズル11は、その繊維束導入端面を外部に露呈させた状態で、その円錐面11aが形成された側から前記円筒箱状のエアー導入部12の内部空洞部に嵌入し、繊維束導入端部がエアー導入部12の繊維束導入端部に固着一体化される。前記エアー導入部12の内部空洞部の内径は、繊維束導入ノズル11の外径よりも大きく、したがって繊維束導入ノズル11とエアー導入部12との間には円筒状のエアープール部14が形成される。
【0027】
一方、エアー導入部12の外周部の一部には、外部の図示せぬエアー供給源と配管を介して接続されるエアー導入口12aが前記エアープール部14に連通して形成されている。また、前記エアー導入部12の空洞部底面には、前記繊維束導入ノズル11の円錐面11aを囲むようにして、同じく円錐状の凹陥部が形成されており、その凹陥面12bの傾斜角αは繊維束導入ノズル11の円錐面11aの傾斜角βにて構成される。
【0028】
傾斜角αをβよりも僅かに大きくする、或いは凹陥面12bと繊維束導入ノズル11の円錐面11aの隙間を調整して、エアーの噴出量或いは噴出速度を最適化して、エアー導入部12から噴出するエアーを繊維束導入ノズル11の繊維束導出口11bから導出される繊維束に向けて吹き付けるとともに、エアーの噴出速度を高めて吸引力を繊維方向に沿わせるようにしている。このエアー導入部12の繊維束導出口12bの径と前記エアー導入部12の繊維束導出端に接続一体化された上記加速管13の内径とは等しい。
【0029】
本発明では、前述のような構成を備えたエアーサッカー10にあって、エアーサッカー10の繊維束通過域、すなわち繊維束導入ノズル11、エアー導入部12及び加速管13の各内径を、通過する繊維束の総断面積の1.1倍以上、5倍以下の範囲に設定している。エアーサッカー10の繊維束通過域の内径を、繊維束の総断面積に対して1.1倍よりも小さくすると、繊維束がノズル内を通過するときの抵抗が大きくなり、5倍よりも大きくすると、繊維束がエアー流によってばらけやすくなる。更に、前記繊維導入ノズル11の長さを、その内径に対して2〜20倍の範囲としている。繊維導入ノズル11の長さが、その内径に対して2倍よりも小さいと、繊維束を引き込む随伴流が生じにくくなり、20倍を超えると繊維束導入ノズル11の内壁面との間の抵抗が大きくなるとともに、随伴流も小さくなる。
【0030】
一方、加速管13の長さも、その内径に対して10〜50倍の範囲に設定する。加速管13の長さが、その内径に対して10倍よりも小さいと、繊維束に速度を与えられず、50倍を超えると加速管13内の抵抗が大きくなって、繊維に十分な速度を与えることができない。この加速管13の内径は繊維束導出口13bに向けて段差面をエアー流れ方向にして段階的に、或いは内面を滑らかにして、漸次大きくすれば、加速管13内の抵抗も増加せず、随伴流も生じやすくなる。
【0031】
前記繊維導入ノズル11及び加速管13は、エアーを供給した場合にエアー導入部側からのエアーの吹き上がりがないように寸法及び形状を決定する。またエアー導入部12からのエアー供給量は、紡糸速度、単繊維の繊度及び本数、振り込み容器のサイズに合わせて任意に設定が可能である。一般に、エアーの流量が多すぎると繊維束がばらけやすくなる傾向にある。そのため、可能な限り少なくすることが集束性を維持することから好ましく、同時に経済的な面からも好ましい。
【0032】
なお、本発明にあってエアーサッカー10に繊維束を導入するときの繊維束に与えられる張力は特に限定されるものではなく、直前のフィードロール16(図2)からの糸離れが安定し、繊維束のばらけもなく、振り込み容器24への振り込みを安定化させるために、繊維束の太さや重量に応じて供給するエアー量を変化させることも可能である。その供給量は、例えば繊維束の総繊度が3, 000〜10, 0000dtex程度であれば、50〜500cN程度の範囲に設定する。
【0033】
また、上述のごとくエアーによる吸引作用を利用てして繊維束の収束性を維持するだけでは十分でないときは、工程通過時の静電気対策や後工程での工程通過性を考慮して、エアーサッカーのエアー流を利用して繊維束に水分や油分を適宜添加すると、ロール接触式による液体付与や液体ノズルを使った液体噴霧の場合と比較して、繊維へのダメージや装置周囲への液体の飛散を解消することができる。そのため本実施例では、上記エアープール部14に連通する水分又は油分を添加する添加路12cをエアー導入部12に形成している。
添加路12cはエアー導入口12aにエアーが導入される前のラインに接続することも可能である。
【0034】
水分又は油分を添加すると、走行する繊維束がエアー導入部12から加速管13に導入されるとき、霧化した水分又は油分をエアーに乗せてエアーと一緒に繊維束に付与される。従って、繊維束にはノズル噴射時のような液体噴射による格別の力が作用しないため繊維にダメージを与えることがなく、しかも繊維束が加速管13から導出される時点では液体は繊維束に完全に付着した状態維持するため、装置周辺に液体が飛散することもなく、繊維束の集束性が確保される。
【0035】
本実施例にあっては、図2に示すように、エアーサッカー10の上流側には、更に繊維束Fに交絡を付与するための交絡ノズル15が配されている。この交絡ノズル15は、図示例のごとくエアーサッカー10と独立させて配することもできるが、エアーサッカー10に一体化して取り付けることも可能である。ここで、交絡ノズル15の構造は特に限定されない。エアーサッカー10を用いる場合には、上述のように、エアーサッカーの繊維束通過域における内径の最適化、水分等の付与により収束性を維持されるようになるが、これらの対策がなされても、なお加速管13の導出口で繊維束が収束性を失うことがある。本実施例のごとく、エアーサッカー10の上流側に繊維束間の繊維同士を交絡させるための交絡ノズルを更に具備させることで、容器へのより安定した振り込みが可能となり、後工程での通過性も向上する。
【0036】
本実施例にあっては、図2及び図3に示すように、エアーサッカー10の先端を、繊維束Fが容器内に所望の堆積形状をもって振り込まれるように任意の運動軌跡を描く運動機構を備えている。図3は、その運動機構の一例を示している。エアーサッカー10の先端部である加速管13の先端は、前記運動機構によりエアーサッカー10の基端部であるエアー導入部の繊維束導入側端部を基点として、二軸平面上をX軸方向及びY軸方向に個別に揺動させて、その複合により任意の運動軌跡を描くようにして、繊維束を振り込み容器24に振り込むものである。
【0037】
その運動機構としては、エアー導入部12の上端部をコ字状ブラケット21により水平軸(X軸)回りにピン等を介して回動自在に支持するとともに、同ブラケット21の中央部に前記X軸と直交させるようにして回転軸22の一端が固着されている。この回転軸22は、図示せぬ軸受を介して同じく図示せぬ基台等に設置されたサーボモーター等の回転駆動源により制御回転する。また、エアー導入部12の上端部には、前記回転軸22と平行に流体シリンダー23が配されている。この流体シリンダー23のピストンロッド23aのロッド端と前記エアー導入部12の上端部とは図示せぬ自在継手構造を介して全方向に回動可能に接続支持され、同流体シリンダー23の本体23bの基端部も図示せぬ固定フレーム等に自在継手構造を介して全方向に回動可能に接続支持されている。
【0038】
そして、図示を省略した上記モーター等の回転駆動源と、流体シリンダー23の流体供給路に配された各種制御バルブ等の流体制御機器とは、それぞれ図示せぬ制御部と接続しており、同制御部に予め設定されたシーケンス及び運動軌跡式に基づき、例えばモーターの回転角度とその回転速度が順次変更制御されると同時に、前記流体シリンダーの流体圧や流量の切換制御が行われることにより、エアーサッカー10の加速管13先端がX軸方向及びY軸方向に揺動し、その複合動作により所望の運動軌跡を描きながら、繊維束Fを振り込み容器24に振り込む。なお、前記シーケンス及び運動軌跡式は一律ではなく、振り込み容器24の大きさや形状、繊維束Fの太さや総繊度等により最も適正な多様な運動軌跡と運動速度が設定され、それらのデータが制御部に予め記憶される。
【0039】
以上述べた実施例では、振り込み容器24は床面や基台等に固定されているが、本発明ではエアーサッカー10に所望の運動を付与すると同時に、振り込み容器24にも所要の運動を与えることができる。この場合には、エアーサッカー10の運動と振り込み容器24の運動とが複合されることになり、複雑な模様形態の振り込みを行うことができるばかりでなく、一方の運動、特に重量物である振り込み容器24の運動を抑制しても、高速化に対して容易に対応することができる。
【0040】
図4は、振り込み容器24の運動機構例を示している。この運動機構例では、振り込み容器24を、ボールネジ25とナット26により二軸平面上をX軸方向及びY軸方向に制御移動可能にするとともにZ軸方向に昇降可能とし、同時にZ軸回りに回転可能としている。かかる振り込み容器24の運動に、上述のごときエアーサッカー10の運動が加わることにより、振り込み容器24の移動速度を抑制しても、振り込み速度の高速化に対応しながら繊維束を多様な振り込み形態で振り込み容器24に円滑に振り込むことができる。
【0041】
以上の説明からも理解できるとおり、本発明に係る合成繊維束の振り込み装置によれば、エアーサッカー10を用いることにより、クリンプのない実質的にストレートな合成繊維束にダメージを与えることなく円滑な振り込みが可能となる。振り込みノズル先端に任意の軌跡で運動する機能を具備させたことにより、容器を動かすことなく振り込みができるようになり、容器の運動機能も不要となり、小スペース化を可能にする。また、容器にも運動機構を具備させる場合にも、エアーサッカーとの複合運動のため、その運動速度を低速にしても高速化に容易に対応することが可能となり、容器内に振り込まれる繊維束も容器自体を高速に運動させる必要がないため、容器内に堆積されたのちにも繊維束が振られて振り込み形態が不良となることもない。
【0042】
繊維束にクリンプを付与しないことにより、局部的な機械的強度低下等のダメージが無くなった。振り込みノズル先端が移動する為、容器を動かす必要がなくなったので、小スペース化が可能になり、容器内での荷崩れもなくなった。重量の軽いサッカー先端の移動のみでエアーに乗せることによりケンスの端部まで繊維束を無理なく振り込める。ギヤロールを使用する場合のような巻き込まれ、挟まれの危険性もなくなり、保守性、安全性も向上した。
なお本発明にあっては、振り込み容器24内に振り込まれた繊維束の嵩密度を高くするために、繊維束の振り込みと同時に振り込み表面に荷重を加える、いわゆるタンピング機構を付設することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用されるエアーサッカーの構造例を概略で示す断面図である。
【図2】本発明の実施例装置による繊維束の振り込み工程の概要を示す説明図である。
【図3】上記エアーサッカーの運動機構例を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施例装置による繊維束の振り込み工程の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
10 エアーサッカー
11 繊維束導入ノズル
11a 円錐面
11b 繊維束導出口
12 エアー導入部
12a エアー導入口
12b 凹陥面
12c (水や油の)添加路
13 加速管
14 エアープール部
15 交絡ノズル
16 フィードロール
21 コ字状ブラケット
22 回転軸
23 流体シリンダー
23a ピストンロッド
23c シリンダー本体
24 振り込み容器
25 ボールネジ
26 ナット
α,β ノズル傾斜角
Claims (3)
- 繊維束導入ノズル、エアー導入部、加速管、及び合成繊維束に添加される水分又は油分の添加路を有する、合成繊維束を容器へ振り込むためのノズルとしてのエアーサッカーと、同エアーサッカーの先端を、繊維束が容器内に任意の堆積形状を持って振り込まれるような運動軌跡を描くように運動させる機構と、を備えてなる合成繊維束の振り込み装置であって、
水分又は油分の前記添加路が、前記繊維束導入ノズルと前記エアー導入部との間に設けられたエアープール部に連通してなることを特徴とする、合成繊維束の振り込み装置。 - 前記エアーサッカーの前記繊維導入ノズルの長さが、その内径に対して2〜20倍であることを特徴とする請求項1記載の振り込み装置。
- 前記エアーサッカーの上流側に繊維束に交絡を付与するノズルを更に備えてなることを特長とする請求項1又は2記載の振り込み装置。
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