JP4101810B2 - マイクロアレイ再生方法及びマイクロアレイ再生試薬キット - Google Patents

マイクロアレイ再生方法及びマイクロアレイ再生試薬キット Download PDF

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Description

本発明は、遺伝子診断、DNA配列解析、あるいは遺伝子多型解析など、バイオテクノロジーの分野、特に遺伝子検査分野に利用されるマイクロアレイの再生方法及び再生試薬キットに関する。
DNAチップ/マイクロアレイ(以下マイクロアレイと総称)とは、スライドガラスやシリコン等の基板上にプローブとなるDNAを数百〜数万スポット並べたものである。マイクロアレイによれば、従来の方法では数百〜数万回の実験を必要としていた作業を、一括して並列的に処理できる技術を提供することができる。したがって、マイクロアレイは、特に、医薬品などのライフサイエンス分野等、疾病関連遺伝子の探索などのハイスループットが要求される分野において重要な技術となっている。
現在使用されている主要なマイクロアレイにおいては、PCR法などにより増幅した核酸を含む溶液サンプルをマイクロアレイ上に流し、マイクロアレイ上のプローブと増幅した核酸とのハイブリダイゼーションを検出することで、遺伝子診断、遺伝子多型解析、DNA配列解析などを行っている。
一方、固相上でプローブが伸長することを利用したマイクロアレイは、プローブとのハイブリダイゼーションと核酸増幅を同時に行うことできるため、リアルタイムの検出が可能である。
しかしながら、これらのマイクロアレイは、プローブからの核酸増幅を行うため、使用前後においてプローブの長さが変化することとなり、再利用することはできない。しかも、これらのマイクロアレイは、1回の使い切りにもかかわらず高価である。低コストなマイクロアレイとするためには、繰返し使用することが有用であり、特に核酸増幅・検出一体型のマイクロアレイを繰返し使用できることは検出時間の大幅な減少の点からみても非常に有用であると言える。しかしながら核酸増幅・検出一体型のマイクロアレイでは、固定化したプローブが伸長することから、次に利用する際には伸長したプローブを元の長さに戻す工程が、ハイブリダイゼーション温度の制御などの点から不可欠である。
この問題点を解決するために、ペプチド核酸(PNA:Peptide Nucleic Acid)をプローブとして利用する方法がある。ペプチド核酸は、DNAの骨格構造である糖−リン酸部分を(2−アミノエチル)グリシンに置換したペプチド結合を基本骨格とした物質で、立体構造や化学的性質が核酸に類似しているために核酸の代用品となり得る。PNAは、ペプチドの固相合成法を応用して化学合成するが、DNAとの間で強固な相補鎖結合を形成するためにプローブに利用できる。また、PNA分子は、不斉中心が無く、溶解性に優れた中性物質で、核酸分解酵素に対しても耐性を持つ。従ってPNAをプローブとしたマイクロアレイにおいては、基質であるdNTPを用いてプローブからの伸長反応を行った後に、核酸分解酵素をマイクロアレイ上に流すことで伸長した領域(dNTP部分)のみを切断・除去し、プローブであるPNAを基板上に保持することが可能である。
しかしながら、PNAをプローブとして使用したマイクロアレイにおいては、PNAプローブのプリン含量(アデニンとグアニン)が60%を超える場合にはアグリゲーションを起こすことが知られている。したがって、PNAをプローブとして使用したマイクロアレイにおいては、プローブの配列が制限されることになり、検出対象とできる範囲が限定されてしまうという問題がある。
一方、DNAプローブを固定したマイクロアレイにおいて、制限酵素を用いて、伸長鎖を切除する方法も考案されている。しかしながら、このマイクロアレイにおいては、それぞれのプローブに対して適当な制限酵素を選択する必要があり画一的な処理で伸長鎖を切除することはできない。したがって、このマイクロアレイにおいては、低コスト化を図ることができないという問題がある。
また、DNAプローブを固定したマイクロアレイにおいて、基質のうちdTTPの代わりにdUTPを用いて伸長させ、ウラシルNグリコシラーゼを用いてdUTPを含む伸長鎖を切除する方法もある。しかしながら、このマイクロアレイにおいては、伸長鎖を望む部位で切断できないという問題がある。
そこで本発明は、DNAプローブからの伸長反応により増幅した伸長鎖を低コストで切除できるマイクロアレイ再生方法及びマイクロアレイ再生試薬キットを提供することを目的とする。
上述した目的を達成した本発明に係るマイクロアレイ再生方法は、基板に5’末端を固定化したDNAプローブを有するマイクロアレイ上で当該DNAプローブの3’末端からの伸長反応を行った後、当該伸長反応により増幅した伸長鎖に相補的な配列であってEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を結合したチミジンを有するオリゴヌクレオチドと、二価金属と、クリーランド試薬とを含む試薬を作用させる工程、上記二価金属と上記クリーランド試薬とによって、ハイブリダイズした上記オリゴヌクレオチドと上記伸長鎖とをともに切断する工程とを含む。
また、本発明に係るマイクロアレイ再生試薬キットは、5’末端が基板に固定化されたDNAプローブを有するマイクロアレイの当該DNAプローブの3’末端からの伸長反応により増幅した伸長鎖に相補的な配列であってEDTAを結合したチミジンを有するオリゴヌクレオチドと、二価金属と、クリーランド試薬とを含む。
本発明によれば、DNAプローブの3’末端からの伸長反応により増幅した伸長鎖に上記オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた状態で、二価金属とクリーランド試薬とを作用させる。クリーランド試薬は、二価金属の存在下で、EDTAを結合したチミジンを含む二本鎖及び/又は一本鎖DNAを、当該EDTAを結合したチミジン近傍で切断する。これにより、伸長鎖をDNAプローブから切除することができる。伸長鎖を切除したマイクロアレイは、再び使用することが可能となる。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参酌して詳細に説明する。しかしながら、本発明の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。なお、説明に用いる図において、同じ機能部分には同じ符号をつけて説明する。
図1は、固相増幅型マイクロアレイを示す模式図である
図2は、マイクロアレイの核酸プローブ伸長の様子を示す模式図である。
図3は、マイクロアレイの核酸プローブ切断の様子を示す模式図である。
図4は、マイクロアレイの核酸増幅の様子を示す模式図である。
図5は、マイクロアレイのDNAプローブとオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの様子を示す模式図である。
図6は、マイクロアレイの核酸プローブ再生の様子を示す模式図である。
本発明に適用されるマイクロアアレイは、図1に示すように、基板1と、基板1上に固定化された複数のDNAプローブ2とを備えている。
基板1は、特に限定されず、例えば、スライドガラス、金属、ナイロン又はニトロセルロースメンブレン等からなる。また、基板1は、表面の一部或いは全部に対して、表面処理が施されたものであっても良いし、アミノシランからなる被膜が形成されてものであってもよい。
DNAプローブは、核酸断片からなり、当該核酸断片を所定の密度で基板1の一主面に固定化することで形成される。ここで、固定化とは、共有結合のみならず、イオン結合等の如何なる結合態様も含む意味であり、また、リンカーを介する結合及びリンカーを介しない結合の両方を含む意味である。固定化する核酸断片としては、特に限定されないが、検体から抽出され、増幅や精製などの過程により調製されたDNA断片や、合成されたオリゴDNAを挙げることができる。また、核酸断片の固定化に際しては、いわゆるスポッター(アレイヤー)を用いることができる。
また、図1に示したDNAプローブにおいては、核酸断片の5’末端側が基板1に固定化されており、3’末端側に検出対象のDNAとハイブリダイズできる領域3、4を有している。例えば、領域3及び領域4は、それぞれ異なるDNAとハイブリダイズできるように設計することができる。具体的に、SNPを検出する場合、一方のSNPに対応する領域3と他方のSNPに対応する領域4とを設計し、異なる部位に固定化する。
このように構成されたマイクロアレイを用いる場合、先ず、固定化されたDNAプローブ2にハイブリダイズしたDNA6を鋳型とし、当該DNAプローブの3’末端から核酸を伸長反応させる。このとき、いわゆる鎖置換型酵素により伸長反応を行うことによって、常温条件下でハイブリダイズしたDNAを鋳型として順次伸長反応させることができ、所望のDNAを増幅することができる(図1〜図4)。
具体的には、先ず、図1に示すように、フローセルにマイクロアレイを載置した後、試薬注入口7より反応試薬をマイクロアレイ上に作用させる。ここで、反応試薬は、検出対象のDNA6を含むサンプル、DNA伸長酵素(例えば、鎖置換型酵素)、dNTP、DNA切断酵素を含んた溶液である。マイクロアレイに反応試薬を作用させるとは、DNAプローブ2を固定化した基板1表面に反応試薬を接触させることを意味する。反応試薬を基板1表面に接触させることによって、図1に示すように、反応試薬に含まれるDNA6とDNAプローブ2とが特異的にハイブリダイズすることとなる。
このとき、所定のSNPを検出するために領域3,4を設計した場合には、サンプルに含まれる検出対象のDNA6におけるSNPに対応して、領域3及び領域4のいずれか一方或いは両方に対して、検出対象のDNAがハイブリダイズする。
また、この状態で反応試薬に含まれるDNA伸長酵素は、図2に示すように、DNAプローブ2にハイブリダイズしたDNA6を鋳型とし、基質となるdNTPを用いて当該DNAプローブ2の3’末端から核酸を伸長させる。例えば、DNA伸長酵素としては、市販されているTaq polymerase、Bst polymerase、Bac polymerase等を使用することができる。
DNA切断酵素は、図3に示すように、DNA伸長酵素によって伸長したDNA鎖にニックを入れることができる酵素である。例えば、DNA切断酵素としては、特定の配列を認識して、伸長鎖側に対してニックを入れることができる制限酵素を使用することができる。この制限酵素としては、市販されている、EcoRI polymerase、HindIII polymerase等を使用することができる。
本例では、DNA伸長酵素として、鎖置換型DNA伸長酵素を使用することによって、図4に示すように、DNA切断酵素によって形成されたニックから再びDNAの伸長反応が開始され、既に形成された相補鎖を鋳型となるDNAから剥離しながら、新たな伸長鎖を合成することができる。
このように、マイクロアレイを用いることによって、いわゆる鎖置換型酵素により伸長反応を行い、常温条件下でハイブリダイズしたDNAを鋳型として、図3及び図4に示した順次伸長反応させることができ、所望のDNAを増幅することができる。以上の工程が終了した後、マイクロアレイ上に残存する反応試薬やDNAプローブ2にハイブリダイズしたDNA6を除去した後、以下のようにして、マイクロアレイを再生することができる。
実験終了後、マイクロアレイの次の実験へのコンディショニングとして、ハイブリダイゼーション温度(Tm)の制御の意味からも、伸長核酸プローブ2,3の長さを元に戻す必要がある。そこで、本発明においては、試薬注入口7からマイクロアレイ再生用試薬を注入する。
ここで、マイクロアレイ再生用試薬は、DNAプローブ2の3’末端からの伸長反応により増幅した伸長鎖に相補的な配列であってEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を結合したチミジンを有するオリゴヌクレオチドと、二価金属と、クリーランド試薬とを含むものである。ここで、オリゴヌクレオチドは、DNAプローブ2の3’側に残った伸長鎖に対して特異的にハイブリダイズできるように設計され、且つ少なくとも1箇所にEDTAを結合したチミジンを含むものである。
二価金属としては、好ましくは二価鉄〔Fe(II)〕を使用するが、これに限定されず、例えばMg2+やMn2+を使用しても良い。また、クリーランド試薬としては、例えば、ジチオスレイトール(dithiothreitol)を使用できるが、これに限らず、ジチオエリスリトール(dithioerythritol)やメルカプトエタノール(mercaptoethanol)を使用することができる。
マイクロアレイ再生用試薬を試料注入口7から注入すると、当該試薬を、DNAプローブ2を固定化した基板1表面に接触させることができる。これにより、マイクロアレイ再生用試薬に含まれるオリゴヌクレオチド10、11が、図5に示すように、DNAプローブ2の3’側に残った伸長鎖に対して特異的にハイブリダイズする。
この状態で、クリーランド試薬は、二価金属の存在下で、EDTAを結合したチミジン近傍で伸長鎖の側のDNAを切断することができる。クリーランド試薬による伸長鎖の切断の後、94〜95℃の熱処理によって熱変性し、その後、オリゴヌクレオチド10、11を含むマイクロアレイ再生用試薬をマイクロアレイの基板1表面から除去することによって、図6に示すように、マイクロアレイに代おけるDNAプローブ2を再生することができる。
なお、本工程においては、オリゴヌクレオチド、二価金属及びクリーランド試薬を同時にマイクロアレイに作用させても良いが、先ず、オリゴヌクレオチド10、11のみを作用させてDNAプローブ2とオリゴヌクレオチド10、11とをハイブリダイズさせた後、二価金属及びクリーランド試薬を作用させても良い。或いは、オリゴヌクレオチド10、11と、二価金属及びクリーランド試薬のいずれか一方とを同時に作用させ、その後、二価金属及びクリーランド試薬のいずれか他方を作用させても良い。
また、本例において、オリゴヌクレオチド10、11は、伸長鎖における、DNAプローブ2の3’末端から5塩基以上離間した位置に相補的な配列とすることが好ましい。クリーランド試薬によれば、EDTAを結合したチミジン近傍で伸長鎖の側のDNAを切断するため、当該EDTAを結合したチミジンから5塩基以内を切除することがある。したがって、オリゴヌクレオチド10、11を、伸長鎖における、DNAプローブ2の3’末端から5塩基以上離間した位置に相補的な配列とすることによって、クリーランド試薬による伸長鎖DNAの切断に際してDNAプローブ2を切除することを防止できる。
ところで、本発明が適用されるマイクロアレイは、上述したように、鎖置換型のDNA伸長酵素によってDNAプローブからの伸長反応を行うものに限定されず、例えば、耐熱性DNAポリメラーゼを用い、温度制御によってDNAプローブからの伸長反応を行うものであってもよい。
産業上の利用の可能性
以上詳細に説明したように、本発明では、固相上でプローブが伸長することを利用したマイクロアレイを繰返し使用することができるマイクロアレイ再生方法及び再生用試薬キットを提供できる。本発明によれば、DNA配列解析、あるいは遺伝子多型解析など、バイオテクノロジーの分野、特に標的核酸の検出が必要とされる診断・治療などの遺伝子検査分野の技術に際して低コスト化を図ることができる。

Claims (9)

  1. 基板に5’末端を固定化したDNAプローブを有するマイクロアレイ上で当該DNAプローブの3’末端からの伸長反応を行った後、当該伸長反応により増幅した伸長鎖に相補的な配列であってEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を結合したチミジンを有するオリゴヌクレオチドと、二価金属と、クリーランド試薬とを含む試薬を作用させる工程、
    上記二価金属と上記クリーランド試薬とによって、ハイブリダイズした上記オリゴヌクレオチドと上記伸長鎖とをともに切断する工程と、
    を含むマイクロアレイ再生方法。
  2. マイクロアレイ上を洗浄する工程を更に含むことを特徴とする請求の範囲1記載のマイクロアレイ再生方法。
  3. 上記クリーランド試薬はジチオスレイトール(dithiothreitol)であり、上記二価金属は二価鉄であることを特徴とする請求の範囲1記載のマイクロアレイ再生方法。
  4. 上記オリゴヌクレオチドは、上記伸長鎖における上記DNAプローブの3’末端から5塩基以上離間した塩基から数えて5〜10塩基の領域で且つアデニンを含む配列に相補的な配列とすることを特徴とする請求の範囲1記載のマイクロアレイ再生方法。
  5. 上記オリゴヌクレオチドは、多型を含まない領域に相補的な配列とすることを特徴とする請求の範囲1記載のマイクロアレイ再生方法。
  6. 5’末端が基板に固定化されたDNAプローブを有するマイクロアレイの当該DNAプローブの3’末端からの伸長反応により増幅した伸長鎖に相補的な配列であってEDTA(エチレンジアミン4酢酸)を結合したチミジンを有するオリゴヌクレオチドと、
    二価金属と、
    クリーランド試薬と
    を含むマイクロアレイ再生用試薬キット。
  7. 上記クリーランド試薬はジチオスレイトール(dithiothreitol)であり、上記二価金属は二価鉄であることを特徴とする請求の範囲6記載のマイクロアレイ再生試薬キット。
  8. 上記オリゴヌクレオチドは、上記伸長鎖における上記DNAプローブの3’末端から5塩基以上離間した塩基から数えて5〜10塩基の領域で且つアデニンを含む配列に相補的な配列とすることを特徴とする請求の範囲6記載のマイクロアレイ再生試薬キット。
  9. 上記オリゴヌクレオチドは、多型を含まない領域に相補的な配列とすることを特徴とする請求の範囲6記載のマイクロアレイ再生試薬キット。
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