JP4106576B2 - 可変焦点レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズの焦点距離を可変制御する可変焦点レンズに関するもので、当該可変焦点レンズは、顕微鏡、顕微鏡カメラ装置、その他医療用、工業用のカテーテル、プローブの先端に装備される光学レンズ等、広い分野に応用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
可変焦点レンズの一形式として、特開平9−230252号公報に示されているように、円環状のスペーサの一側に接合された透明弾性膜と、該スペーサの他側に接合された中央部に光を透過する透過部を有する加圧用基板とが形成する密閉空間部に、動作流体を封入して形成された可変焦点レンズがある。当該可変焦点レンズにおいては、動作流体に付与される外圧にて透明弾性膜の歪みを可変制御して、レンズの曲率半径を変化させることにより、レンズの焦点距離が可変制御されるように構成されている。
【0003】
なお、この種形式の他の可変焦点レンズとしては、本特許出願人の先願に係る特願平8−296780号出願にて、可変焦点レンズ装置を構成するレンズ部としても提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種形式の可変焦点レンズにおいては、透明弾性膜が動作流体を介して伝達される外圧により応答性よく変形する必要があることから、極めて薄い膜に形成されている。このため、透明弾性膜は強度的には非常に弱く、透明弾性膜に強い衝撃力が付加された場合は勿論のこと、強い衝撃力が透明弾性膜に直接には付加されてない場合でも、動作流体の過大な圧力変化によって透明弾性膜におけるスペーサの接合境界部に荷重が局部的に集中して、透明弾性膜を破壊するおそれがある。
【0005】
従って、本発明の目的は、可変焦点レンズに強い衝撃力が付加された場合における透明弾性膜の破壊を防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可変焦点レンズを構成する透明弾性膜の少なくとも一方の面側に、透明で弾性を有する過大変形防止板を設けることにより、可変焦点レンズに対する過大な衝撃力に起因する透明弾性膜の過大な変形を規制するものである。
【0007】
【発明の作用・効果】
本発明に係る可変焦点レンズによれば、可変焦点レンズを構成する透明弾性膜の少なくとも一方の面側に、透明で弾性を有する過大変形防止板を設けているため、可変焦点レンズを落下させた場合等、可変焦点レンズが過大な衝撃力を受けた場合でも、過大変形防止板が透明弾性膜の過大な変形を規制して、透明弾性膜の破壊を防止することができる。
【0008】
本発明に係る可変焦点レンズにおいては、過大変形防止板に動作流体が流通する1または複数の流通用穴を設けること、過大変形防止板を透明なガラスまたは樹脂で構成することが好ましい。また、過大変形防止板と透明弾性膜間に光硬化性樹脂にて構成したスペーサを介在させることが好ましく、この場合、このスペーサと過大変形防止板を光硬化性樹脂にて一体的に形成すること、このスペーサに動作流体が流通する1または複数のスリット穴を設けるようにすることが好ましい。
【0009】
【実施例】
(第1実施例)
図1および図2には、本発明の第1実施例に係る可変焦点レンズをレンズ部10とし、レンズ部10とアクチュエータ部20とを一体に形成してなる可変焦点レンズ装置が示されている。
【0010】
レンズ部10は、ガラス製の第1ダイヤフラム11、第2ダイヤフラム12、中央部に貫通孔を有するガラス製の第1スペーサ13、レジスト製の第2スペーサ14、第3スペーサ15、ガラス製の第1変形防止板16、第2変形防止板17、およびシリコーンオイル製の動作流体18にて構成されている。
第1ダイヤフラム11は、ホウケイ酸ガラス等のガラス薄板にて形成されているもので、第1スペーサ13の一方の面に接合されて加圧用弾性膜(加圧用基板)を構成しており、第1スペーサ13の他方の面には第1変形防止板16が接合されている。第2ダイヤフラム12も、ホウケイ酸ガラス等のガラス薄板にて形成されているもので、第1変形防止板16の他方の面に、第2スペーサ14を介して接合されて透明弾性膜を構成している。第2ダイヤフラム12の他方の面には、第3スペーサ15を介して第2変形防止板17が接合されている。
【0011】
第1,第2変形防止板16,17は、図1〜図3に示すように、円盤状本体16a,17a上の同一円周上に円形の複数の流通用穴16b,17bが形成されているもので、第1変形防止板16の円盤状本体16aの他方の面に第2スペーサ14が一体に形成され、同様に、第2変形防止板17の円盤状本体17aの一方の面に第3スペーサ15が一体に形成されている。
【0012】
これにより、第1ダイヤフラム11、第1スペーサ13、第1変形防止板16、第2,第3スペーサ14,15、および、第2ダイヤフラム12は密閉空間部を形成していて、密閉空間部に動作流体18が封入されている。動作流体18は、第1スペーサ13に設けた注入孔から注入し、この注入孔を閉塞することにより密封空間に封入されている。
【0013】
密封空間部は、第1変形防止板16にて2つに区画されていて、第1変形防止板16に設けた各流通用穴16bを通して動作流体18が流動する。第2ダイヤフラム12は、動作流体18の流動により、図1に示すように凸状に変形するとともに、図2に示すように凹状に変形する。なお、第2変形防止板17が有する各各流通用穴17bは、第2変形防止板17と第2ダイヤフラム12とで形成する空間部の内外に空気を流動させるもので、これにより、第2ダイヤフラム12の円滑な変形が許容される。
【0014】
アクチュエータ部20には、本特許出願人の先願に係る特願平8−296780号出願にて提案している積層型圧電アクチュエータが採用されている。アクチュエータ部20は、複数枚の板状の圧電変形素子21、各圧電変形素子21を外周縁側にて連結する複数本の棒状の外周連結部材22、パイプ状の内周連結部材23、および各圧電変形素子21の内周縁側にそれぞれ接合されて各圧電変形素子21を内周連結部材23に連結する複数の内周接合部材24にて構成されている。各圧電変形素子21は、中央部に貫通孔を有する弾性板21aの両表面に圧電板21b,21cを接合してなるバイモルフ型の圧電変形素子である。
【0015】
アクチュエータ部20は、各外周連結部材22の一端が固定された固定用リング25を可変焦点レンズ部10の第1ダイヤフラム11の表面に接合した状態でレンズ部10に連結されていて、内周連結部材23の一端が第1ダイヤフラム11の表面の中央部に当接して接合されている。この状態で、内周連結部材23の貫通孔は、レンズ部10に対する光路を形成している。なお、アクチュエータ部20は駆動手段26を備えており、駆動手段26は外周連結部材22と内周連結部材23間に電圧を印加すべく機能する。
【0016】
アクチュエータ部20は、駆動手段26により電圧が印加されると、図1および図2に示すように、各圧電変形素子21が変形して内周連結部材23をレンズ部10に対して前進または後退させる。これにより、可変焦点レンズ部10においては、第1ダイヤフラム11、動作流体18および第2ダイヤフラム12が変形してレンズ特性を変化させ、焦点距離を可変とする。
【0017】
かかる構成の可変焦点レンズ装置においては、可変焦点レンズであるレンズ部10のレンズを構成する透明弾性膜12の両方の面側に、透明で弾性を有する第1変形防止板16と第2変形防止板17とが配置されているため、可変焦点レンズ装置が過大な衝撃力を受けて透明弾性膜12が過大に変形しようとする場合には、両変形防止板16,17の一方または両方が透明弾性膜12の過大な変形を規制して、透明弾性膜12の過大な変形に起因する破壊を防止する。
(第2実施例)
図4には、本発明の第2実施例に係る可変焦点レンズをレンズ部30とし、レンズ部30とアクチュエータ部20とを一体に形成してなる可変焦点レンズ装置が示されている。
【0018】
レンズ部30は、ガラス製の第1ダイヤフラム31および第2ダイヤフラム32、中央部に貫通孔を有するガラス製のスペーサ33、樹脂製の第1変形防止板34および第2変形防止板35、シリコーンオイル製の動作流体36にて構成されている。
かかるレンズ部30においては、第1ダイヤフラム31、第2ダイヤフラム32、スペーサ33、およぶ動作流体36は、第1実施例のレンズ部10を構成する第1ダイヤフラム11、第2ダイヤフラム12、第1スペーサ13、および動作流体18と同一のものであるが、第1変形防止板34および第2変形防止板35がレンズ部10を構成する第1変形防止板16および第2変形防止板17とは相違し、かつ、レンズ部10を構成する第2スペーサ14および第3スペーサ15を備えていない点で同レンズ部10とは相違する。
【0019】
第1変形防止板34および第2変形防止板35は、透明な紫外線硬化樹脂等、透明な光硬化樹脂で形成された同一形状のもので、スペーサ33の一方の面に接合した第2ダイヤフラム32を挟持する状態で上下対称に接合されている。各変形防止板34,35は、図5に示すように、円盤部34a,35aと、その一方の面の周縁部から直交して突出する多数の脚部34b,35bとからなり、各脚部34b,35bは円盤部34a,35aの周縁部にて周方向に所定間隔を保持して位置し、各間隔がスリット部34c,35cを形成している。
【0020】
第1ダイヤフラム31、スペーサ33、および第2ダイヤフラム32は、この状態で密閉空間部を形成していて、密閉空間部に動作流体36が封入されている。第1変形防止板34は、この状態で密閉空間部内に突出していて、動作流体36は第1変形防止板34が有する各スリット部34cを通して流動して、第2ダイヤフラム32を変形させる。なお、第2変形防止板35が有する各スリット部35cは、第2変形防止板35と第2ダイヤフラム32とで形成する空間部の内外に空気を流動させるもので、これにより、第2ダイヤフラム32の円滑な変形が許容される。
【0021】
なお、各変形防止板34,35を形成する方法としては、金型により一体成形にて形成する方法、光造形装置を使用して形成する方法、切削等の機械加工にて形成する方法等を採用することができる。
かかる構成の可変焦点レンズ装置においては、可変焦点レンズであるレンズ部30のレンズを構成する透明弾性膜32の両方の面側に、第1変形防止板34と第2変形防止板35とが配置されているため、可変焦点レンズ装置が過大な衝撃力を受けて透明弾性膜32が過大に変形しようとする場合には、両変形防止板34,35の一方または両方が透明弾性膜32の過大な変形を規制して、透明弾性膜32の過大な変形に起因する破壊を防止する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る可変焦点レンズをレンズ部とする可変焦点レンズ装置の作動状態を示す縦断面図である。
【図2】同可変焦点レンズ装置の他の作動状態を示す縦断面図である。
【図3】同可変焦点レンズ装置のレンズ部を構成する変形防止板の斜視図である。
【図4】本発明の他の一例に係る可変焦点レンズをレンズ部とする可変焦点レンズ装置の作動状態を示す縦断面図である。
【図5】同可変焦点レンズ装置のレンズ部を構成する変形防止板の斜視図である。
【符号の説明】
10…レンズ部、11…第1ダイヤフラム、12…第2ダイヤフラム、13…第1スペーサ、14…第2スペーサ、15…第3スペーサ、16…第1変形防止板、17…第2変形防止板、16a,17a…円盤状本体、16b,17b…流通用穴、18…動作流体、20…アクチュエータ部、21…圧電変形素子、21a…弾性板、21b,21c…圧電板、22…外周連結部材、23…内周連結部材、24…内周接合部材、25…固定用リング、26…駆動手段、30…レンズ部、31…第1ダイヤフラム、32…第2ダイヤフラム、33…スペーサ、34…第1変形防止板、35…第2変形防止板、34a,35a…円盤部、34b,35b…脚部、34c,35c…スリット部、36…動作流体。

Claims (4)

  1. 円環状のスペーサの一側に接合された透明弾性膜と該スペーサの他側に接合された中央部に光を透過する透過部を有する加圧用基板が形成する密閉空間部に動作流体を封入して形成され、該動作流体に付与される外圧にて該透明弾性膜の歪みを可変制御することにより焦点距離が可変制御される可変焦点レンズにおいて、
    該透明弾性膜の少なくとも一方の面側に透明で弾性を有する過大変形防止板を設けたことと、
    前記過大変形防止板は前記動作流体が流通する1または複数の流通用穴を備えていることとを特徴とする、
    可変焦点レンズ。
  2. 前記過大変形防止板は透明なガラスまたは樹脂で構成されている
    請求項1記載の可変焦点レンズ。
  3. 円環状のスペーサの一側に接合された透明弾性膜と該スペーサの他側に接合された中央部に光を透過する透過部を有する加圧用基板が形成する密閉空間部に動作流体を封入して形成され、該動作流体に付与される外圧にて該透明弾性膜の歪みを可変制御することにより焦点距離が可変制御される可変焦点レンズにおいて、
    該透明弾性膜の少なくとも一方の面側に透明で弾性を有する過大変形防止板を設けたことと、
    前記過大変形防止板と前記透明弾性膜間に光硬化性樹脂にて形成したスペーサが介在していることと、
    前記スペーサは前記動作流体が流通する1または複数の流通用スリット穴を備えていることとを特徴とする、
    可変焦点レンズ。
  4. 前記過大変形防止板と前記スペーサが光硬化性樹脂にて一体的に形成されている
    請求項に記載の可変焦点レンズ。
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