JP4106751B2 - 画像表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一対の陽極基板と陰極基板とをスペーサを介して対向させてなる画像表示装置及びその製造方法に関し、特に、電界電子放出を行う電子放出装置を有する陰極基板を備える画像表示装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像表示装置に関する研究開発は、ディスプレイを薄型化する方向に推し進められている。このような状況において、特に注目を浴びている画像表示装置としては、いわゆる電子放出装置が配設された電界放出型ディスプレイ装置(以下、FED(Field Emission Display)と略称する。)を挙げることができる。
【0003】
このFEDは、電子放出装置を有する陰極基板と、蛍光体層を有し、陰極基板に対向して配設された陽極基板とを有する。この陰極基板において、電子放出装置としては、一般に、スピント型或いは平面型の電子放出装置が形成されている。また、陽極基板には、蛍光体層の下層に、電子放出装置から放出された電子を加速させるためのアノード電厚が印加されるアノード電極が形成されている。
【0004】
そして、このFEDでは、陰極基板と陽極基板との間を真空雰囲気に維持している。このため、これら陰極基板及び陽極基板に対して大気により大きな圧力を受けることとなる。
【0005】
このため、FEDでは、大きな圧力によって、対向して配された陰極基板及び陽極基板に反りが発生してしまったり、更には破損してしまったりする虞があった。これを回避するため、FEDでは、陰極基板及び陽極基板を厚膜化して、高い圧力に対して所定の強度を得るようにしている。しかしながら、具体的に、対角5インチのFEDを製造する場合には、約5mmの厚みのガラス基板を必要とし、また、対角10インチのFEDを製造する場合には、約10mmの厚みのガラス基板を必要とするため、軽量且つ薄型のFEDとは言い難いものとなってしまう。
【0006】
このため、FEDでは、例えば、厚みが1.1mmであるような薄型のガラス基板を用いて陰極基板及び陽極基板を作製し、これら陰極基板と陽極基板との間にスペーサを配設し、上述したような大気による大きな圧力に対する強度を維持することが考えられる。このスペーサとしては、陰極基板と陽極基板との間にランダムに配設されるビーズ状のもの、陰極基板と陽極基板との間の無効画素領域に配設される円柱状のもの、陰極基板と陽極基板との間に印刷又はフォトリソグラフィにより形成された柱状又は壁状のものを例示することができる。
【0007】
しかしながら、ビーズ状のスペーサを用いた場合、このビーズ状のスペーサが存在する部分が無効領域となってしまい、輝度を低下させてしまう。特に、陰極基板及び陽極基板の間の耐電性を向上させるため、陰極基板と陽極基板との間を大きくすると、ビーズ状のスペーサも大きくする必要があるため、無効領域がより大きくなってしまう。すなわち、このビーズ状のスペーサを用いる場合には、陰極基板及び陽極基板の間の間隔が大きくなるのに伴って無効領域が大きくなるといった不都合がある。
【0008】
また、円柱状のスペーサを配設する場合には、アスペクト比(高さ/直径)の大きなスペーサを複数配設するため、大きな圧力に対して十分な強度を得ることが困難であった。
【0009】
さらに、柱状又は壁状のスペーサの場合には、陰極基板及び陽極基板の間、すなわち約1〜2mmの高さで印刷又はフォトリソグラフィによって、このようなスペーサを形成するのは困難であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のFEDにおいて、表示画像の輝度を低下させることなく、大きな圧力に対する強度に優れ、且つ、確実にスペーサを形成することが困難であった。このような問題を解決するため、米国特許番号5649847号には、板状のスペーサを設置することが記載されている。この板状のスペーサは、陰極基板及び陽極基板にレール状のスペーサガイドを形成し、これらスペーサガイドに填め込むことにより配設されている。
【0011】
したがって、このような板状のスペーサを配設するには、陰極基板及び陽極基板に、幅高さ比の大きなスペーサガイドを高精度に形成する必要がある。しかしながら、このような幅高さ比の大きなスペーサガイドを、陰極基板及び陽極基板に高精度に形成することは困難であった。このため、米国特許番号5649847号に記載された手法では、容易に確実にスペーサを形成できないといった問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述した従来の電子放出装置の問題点を解決し、表示画像の輝度を低下させることなく、大きな圧力に対する強度に優れ、且つ、確実にスペーサを形成することのできる画像表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成した本発明に係る画像表示装置は、第1の基板上に少なくとも画像表示部が形成されてなる陽極基板と、第2の基板上に少なくとも電子放出装置が形成されてなり、上記陽極基板に対向するように配設された陰極基板と、略矩形を呈し、上記陽極基板及び上記陰極基板の間に立設されたスペーサとを備え、上記スペーサは、その長手方向の両端部を上記陽極基板及び上記陰極基板の少なくとも一方に紫外線硬化型接着剤を用いて固定され、当該紫外線硬化型接着剤を覆うように当該紫外線硬化型接着剤を保護する耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜が形成されているとともに、当該スペーサの長手方向に張力が付加されていることを特徴とするものである。
【0014】
以上のように構成された本発明に係る画像表示装置では、陽極基板と陰極基板との間に、紫外線硬化型接着剤を用いて陽極基板及び陰極基板の少なくとも一方に固定されて立設されたスペーサによって、陽極基板と陰極基板との間を所定の間隔に維持している。そして、この画像表示装置において、スペーサは、略矩形に形成されており、長手方向の引っ張り方向、すなわち、長手方向に延ばす方向に所定の張力が付加されている。また、スペーサを陽極基板及び陰極基板の少なくとも一方に固定する紫外線硬化型接着剤には、この紫外線硬化型接着剤を保護する耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜が覆うように形成されている。このため、この画像表示装置において、スペーサは、例えば、熱処理等が施された場合であっても、歪みや破断を生じるようなことがなく、陽極基板及び陰極基板の少なくとも一方に確実に固定される。
【0015】
また、上述した目的を達成した本発明に係る画像表示装置の製造方法は、第1の基板上に少なくとも画像表示部が形成されてなる陽極基板と第2の基板上に少なくとも電子放出装置が形成されてなる陰極基板とを、略矩形を呈するスペーサを介して対向させることにより画像表示装置を製造するに際して、上記スペーサの長手方向の両端部を上記陽極基板及び上記陰極基板の少なくとも一方に紫外線硬化型接着剤を用いて固定し、当該スペーサを固定した紫外線硬化型接着剤を耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜で覆うように形成するとともに、当該スペーサの長手方向に張力を付加することを特徴とするものである。
【0016】
以上のように構成された本発明に係る画像表示装置の製造方法では、陽極基板と陰極基板との間に、紫外線硬化型接着剤を用いて陽極基板及び陰極基板の少なくとも一方に固定されたスペーサを配設することによって、陰極基板及び陽極基板を対向させている。また、この手法では、スペーサを、その長手方向の引っ張り方向、すなわち、長手方向に延ばす方向に所定の張力を付加した状態で固定している。更に、この手法では、紫外線硬化型接着剤を、耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜で覆うように形成して保護している。このため、この手法によれば、例えば、熱処理等が施された場合であっても、歪みや破断等が発生することなくスペーサを陽極基板及び陰極基板の少なくとも一方に確実に配設することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る画像表示装置及びその製造方法の具体的な実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施の形態に示す電子放出装置は、図1に模式的に示すように、電界電子放出型ディスプレイ、いわゆるFED(Field Emission Display)に適用される。このFEDは、電界電子放出を行う電子放出装置1がマトリクス状に形成された陰極基板2と、この陰極基板2と対向して配設され、アノード電極3がストライプ状に形成された陽極基板4と、これら陰極基板2及び陽極基板4間に配されたスペーサ5とを備える。また、このFEDでは、陰極基板2と陽極基板4との間が高度に真空状態となっている。
【0019】
このため、このFEDでは、大気による圧力が陰極基板2と陽極基板4とを接合する方向に働くこととなる。しかしながら、このFEDでは、陰極基板2と陽極基板4との間に立設されたスペーサ5によって、上述した圧力に対して陰極基板2と陽極基板4とを所定の間隔で対向させるように維持している。
【0020】
また、このFEDにおいて、陽極基板4には、所定のアノード電極3上に赤色を発光する赤色発光体6Rが形成され、隣合うアノード電極3上に緑色を発光する緑色発光体6Gが形成され、さらに隣合うアノード電極3上に青色を発光する青色発光体6Bが形成される。すなわち、この陽極基板4は、赤色発光体6Rと緑色発光体6Gと青色発光体6B(以下、まとめて、単に「蛍光体6」と称する。)とが交互にストライプ状に形成されている。
【0021】
さらに、このFEDにおいて、陰極基板2には、マトリックス状に複数の電子放出装置1が配設されている。これら電子放出装置1は、図2に示すように、いわゆるスピント型の電子放出装置であって、ガラス等の絶縁性基板7と、この絶縁性基板7上に形成されたカソード電極8と、このカソード電極8上に形成された略円錐形のエミッタ電極9と、このエミッタ電極9と所定の間隔を以て配設されるとともにカソード電極8と絶縁層10を介して積層されたゲート電極11とから構成されている。このFEDにおいては、カソード電極8が上述したアノード電極3及び蛍光体6と平行にストライプ状に形成されるとともに、ゲート電極11がこのカソード電極8と直交する方向にストライプ状に形成されている。そして、このFEDでは、これらカソード電極8とゲート電極11が交差する領域に電子放出装置1が形成されている。したがって、このFEDにおいて、電子放出装置1は、マトリックス状に形成されることとなる。
【0022】
この電子放出装置1を製造する際には、マトリックス状に形成された交差領域に、ゲート電極11及び絶縁層10を貫通する微小な開口部12を複数を穿設する。すなわち、この電子放出装置1を製造する際には、底面にカソード電極8を露出させるような複数の開口部12を形成する。そして、この開口部12に対して斜め方向から放電材料を蒸着等の手法により薄膜形成することによって、略円錐形のエミッタ電極9を形成している。
【0023】
そして、このFEDでは、3色の蛍光体6と、これら3色の蛍光体6に対向する位置に配された電子放出装置1とから一画素が形成されている。このFEDでは、このように構成される画素がマトリックス状に配されることとなる。
【0024】
一方、このFEDにおいて、スペーサ5は、略矩形の板状に形成され、陽極基板4及び陰極基板2の間に立設されている。このとき、スペーサ5は、一旦、陰極基板2及び陽極基板4の中で一方に取り付けられる。本例では、スペーサ5を陰極基板2に取り付けた例を示すが、特にこれに限定されるものではなく、スペーサ5を陽極基板4に取り付けても良いことは勿論である。具体的に、このスペーサ5は、図3に示すように、マトリックス状に配設された電子放出装置1の間に取り付けられている。言い換えると、このスペーサ5は、上述したように構成される画素間、すなわち、無効画素領域に配設されることとなる。このFEDにおいて、スペーサ5は、画面の面内に均等に複数本形成されていることが好ましい。
【0025】
そして、このスペーサ5は、図4及び図5に示すように、その長手方向の両端部付近が接着剤を介して陰極基板2に接着されることにより固定されている。このとき、スペーサ5には、図4中矢印aで示すように、その長手方向の引っ張り方向に所定のテンションが付加されている。なお、この図4及び図5に示すように、陰極基板2と陽極基板4とは、外周壁18を介して所定の間隔を維持している。この外周壁18は、陰極基板2及び陽極基板4の外周と略同形状となっており、陰極基板2及び陽極基板4に対してフリットガラス19を介して接合されている。このため、このFEDでは、陰極基板2と陽極基板4と外周壁18とフリットガラス19とにより内部の空気漏れを防止している。
【0026】
また、このFEDでは、内部の真空度を所定の値に維持するため、真空排気装置(図示せず)を取り付ける排気管20が形成されている。また、この排気管20内には、ガス吸着材21が配設されている。このため、このFEDでは、図示しない真空排気装置が排気管20を介して取り付けられ、陰極基板、陽極基板及び外周壁18からなる内部空間が真空状態とされる。そして、ガス吸着材21は、真空状態とされた後に、内部空間内に残留するガス成分を吸着し、内部空間内の真空度を高度に維持している。
【0027】
一方、このようなスペーサ5を陰極基板2に立設する際には、スペーサ5の温度を陰極基板2の温度と比較して高くし、スペーサ5の長手方向の両端部で陰極基板2に固定する。言い換えると、スペーサ5の温度を陰極基板2の温度と比較して高くすることによって、スペーサ5を熱膨張させた状態で陰極基板2に固定する。そして、固定した後にスペーサ5の温度と陰極基板2の温度とが略々同等になると、スペーサ5が収縮することになり、長手方向の引っ張り方向に張力のかかった状態で陰極基板2に固定されることとなる。
【0028】
具体的には、図6に示すような冶具25を用いて、スペーサ5を陰極基板2上に固定する。この冶具25は、金属等の熱伝導率の高い材料から構成され、スペーサ5を填め込むための溝26が形成されてなり、この溝26に填め込められたスペーサ5を加熱するためのヒータ27を有するような構成とされる。
【0029】
このとき、先ず、図6に示すように、溝26にスペーサ5を填め込んだ状態で、ヒータ27によりこの冶具25を加熱する。これにより、スペーサ5は、所望の温度に加熱されることとなる。具体的に、冶具25は、填め込むスペーサ5の温度が陰極基板2の温度より10〜100℃程度高くなるように加熱されることが好ましい。このとき、スペーサ5は、所定の温度に加熱されることにより熱膨張している。
【0030】
次に、図7に示すように、スペーサ5を所定の温度に維持した状態で、所定の位置に接着剤28が付着された陰極基板2とスペーサ5とを正確に位置決めして当接させる。言い換えると、スペーサ5は、熱膨張した状態で陰極基板2上に固定される。このとき、接着剤28としては、紫外線硬化型接着剤を用いることが好ましい。紫外線硬化型接着剤を用いた場合、上述したように陰極基板2とスペーサ5とを当接した後に、紫外線を照射することによって、容易に接着剤28を固化させることができる。このため、紫外線硬化型接着剤を用いた場合、陰極基板2とスペーサ5との接着を容易に行うことができる。
【0031】
次に、図8に示すように、冶具25からスペーサ5を取り外した後、上述した接着剤28を覆うように保護膜29を形成する。この保護膜29としては、耐熱性無機系接着剤を好ましく用いることができる。このように、保護膜29により上述した接着剤28を覆うことによって、上述した接着剤28がその後の熱処理によって接着性を失った場合でも、スペーサ5を陰極基板2に確実に固定することが可能となる。
【0032】
また、スペーサ5と陰極基板2とを接着する際には、図9に示すように、耐熱性無機系接着剤30のみを用いても良い。この場合、耐熱性無機系接着剤30としては、レーザ等の照射により短時間に硬化してスペーサ5と陰極基板2と確実に接着できるものであることが好ましい。このような、耐熱性無機系接着剤30は、その後の熱処理によって接着性が失われるようなことがなく、スペーサ5と陰極基板2とを確実に接着させることができる。
【0033】
このように、スペーサ5の温度を陰極基板2の温度よりも高い状態で、スペーサ5を陰極基板2に固定することによって、スペーサ5と陰極基板2とが略々同じ温度となったときにスペーサ5の長手方向の引っ張り方向に所定の張力を付加することができる。すなわち、上述した手法によれば、スペーサ5を長手方向に延ばすような張力が付加された状態で、スペーサ5を陰極基板2に固定することができる。
【0034】
そして、図示しないが、同様にして複数のスペーサ5を陰極基板2に対して順次固定することによって、複数のスペーサ5を所望の領域に立設させることができる。
【0035】
また、スペーサ5を陰極基板2に立設する際には、上述した手法に限定されず、例えば、陰極基板2を冷却した状態でスペーサ5を固定しても良い。言い換えると、陰極基板2を冷却することによって、陰極基板2を収縮させた状態でスペーサ5を固定する。そして、固定した後に陰極基板2の温度とスペーサ5の温度とが略々同等となると、陰極基板2が熱膨張することになり、スペーサの長手方向に上述したような張力がかかることとなる。
【0036】
このように構成されたFEDでは、大気により生ずる大きな圧力に対して、板状のスペーサ5を配設することにより陰極基板2と陽極基板4との間を所定の間隔に維持している。このため、このFEDでは、陰極基板2と陽極基板4とを薄型化されたガラス基板を用いて形成したような場合でも、上述した圧力により破壊されるようなことが確実に防止される。言い換えると、上述したFEDでは、薄型のガラス基板を用いることができるため、従来のものと比較してより薄型化することができる。
【0037】
また、スペーサ5は、その長手方向に張力が付加されることにより、歪むようなことがなく配設される。このため、このスペーサ5は、陰極基板2に固定される両端部付近の位置決め精度を向上させることにより、電子放出装置1上に覆い被さるようなことがなく、全体として位置精度に優れたものとなる。したがって、このFEDでは、スペーサ5が有効画素領域に露出するようなことがなく、表示画像の輝度を良好に維持することができる。
【0038】
具体的に、例えば、熱膨張係数αsが100×10-7であるジルコニア(ヤング率=210GPa)からなるスペーサ5を、60℃に加熱し、20℃の陰極基板2上に固定するとする。このとき、スペーサ5の伸び率βは、β=αs×△t(△tは温度変化量)より、(100×10-7)×(60−20)として求められる。また、陰極基板2上に固定されたスペーサ5に付加される張力応力は、フックの法則T=Eε(E:ヤング率,ε:伸び率)より、8.4×107(Pa)となる。このように、ジルコニアからなるスペーサ5は、8.4×107(Pa)の張力が付加されており、位置ズレが生じるようなものではない。
【0039】
ところで、上述したようなFEDでは、熱処理工程が行われる場合がある。一般に、スペーサ5の熱膨張率と陰極基板2の熱膨張率とが異なると、熱処理工程を行うことによって、熱処理工程中にスペーサ5が歪んでしまったり、スペーサ5が破断してしまったりする虞が生じる。すなわち、一般的には、スペーサ5と陰極基板2とが所定の温度変化において、異なる熱膨張又は収縮を起こしてしまうと、この熱膨張又は収縮の差異に基づいて、スペーサ5が歪んでしまったり、スペーサ5が破断してしまったりする虞が生じる。
【0040】
また、上述したようなFEDでは、冷却試験が行われる場合がある。すなわち、FEDをいわゆる保障温度以下の温度に設定し、特性評価等を行う場合がある。このような冷却試験等においても、スペーサ5の熱膨張率と陰極基板2の熱膨張率とが異なると、冷却試験を行うことによって、冷却試験中にスペーサ5が歪んでしまったり、スペーサ5が破断してしまったりする虞が生じる。
【0041】
そこで、上述したFEDでは、スペーサ5の熱膨張係数及び陰極基板2の熱膨張係数、スペーサ5を立設する際の温度、スペーサ5立設後の加熱温度及びスペーサ5立設後の冷却温度を、所定の条件を満たすように制御することによって、スペーサ5の歪みや破断を確実に防止している。
【0042】
具体的には、スペーサ5の熱膨張係数をαs、陰極基板2の熱膨張係数をαgとし、(スペーサ5を立設する際の温度)−(スペーサ5立設時の陰極基板2の温度)を△t1、(スペーサ5立設後の加熱温度)−(スペーサ5立設時の陰極基板2の温度)を△t2、(スペーサ5立設後の冷却温度)−(スペーサ5立設時の陰極基板2の温度)を△t3とし、スペーサ5の引っ張り強度限度内での最大伸び率をεとしたときに、
αs≦αgの場合、
αs×△t1+(αg−αs)×△t2<ε・・・(1)
αs×△t1+(αg−αs)×△t3>0・・・(2)
なる式を満たし、
αs≧αgの場合、
αs×△t1+(αg−αs)×△t2>0・・・(3)
αs×△t1+(αg−αs)×△t3<ε・・・(4)
なる式を満たすことが好ましい。
【0043】
このとき、スペーサ5の熱膨張係数が陰極基板2の熱膨張係数以下の場合(αs≦αgの場合)には、加熱されることにより、陰極基板2がより膨張してスペーサ5が相対的に収縮し、その結果、陰極基板2に固定されたスペーサ5には引っ張り方向のテンションが付加されることとなる。また、この場合、冷却されることにより、陰極基板がより収縮してスペーサ5が相対的に膨張し、その結果、陰極基板に固定されたスペーサ5には収縮方向のテンションが付加される。
【0044】
これに対して、スペーサ5の熱膨張係数が陰極基板2の熱膨張係数以上の場合(αs≧αgの場合)には、加熱されることにより、スペーサ5がより膨張して陰極基板2が相対的に収縮し、その結果、陰極基板2に固定されたスペーサ5には収縮する方向のテンションが付加されることとなる。また、この場合、冷却されることにより、スペーサ5がより収縮して陰極基板2が相対的に膨張し、その結果、陰極基板2に固定されたスペーサ5には引っ張り方向のテンションが付加されることになる。
【0045】
ここで、上記(1)式、(2)式、(3)式及び(4)式において、αs×△t1は、スペーサ5を固定するときにスペーサ5に生じた張力を示し、(αg−αs)×△t2は、スペーサ5と陰極基板2の熱膨張係数の違いに起因して加熱時にスペーサ5に生じた伸縮量を示し、(αg−αs)×△t3は、スペーサ5と陰極基板2の熱膨張係数の違いに起因して冷却時にスペーサ5に生じた伸縮量を示している。このため、(1)式では、加熱時において、スペーサ5に付加される引っ張り方向のテンションの合計がスペーサ5の引っ張り強度限度内での最大伸び率εを超えないことを規定している。したがって、この(1)式を満たすことによって、加熱時にスペーサ5が破断するようなことが確実に防止される。
【0046】
また、(2)式では、冷却時において、スペーサ5に付加される収縮方向のテンションが付加されることから、スペーサ5固定時に生じた張力を超えないことを規定している。したがって、この(2)式を満たすことによって、冷却時にスペーサ5が歪んでしまうようなことが確実に防止される。
【0047】
さらに、(3)式では、加熱時において、スペーサ5に付加される収縮方向のテンションが付加されることから、スペーサ5固定時に生じた張力を超えないことを規定している。したがって、(3)式を満たすことによって、加熱時に歪んでしまうようなことが確実に防止される。
【0048】
さらにまた、(4)式では、冷却時において、スペーサ5に付加される引っ張り方向のテンションの合計がスペーサ5の引っ張り強度限度内での最大伸び率εを超えないことを規定している。したがって、この(4)式を満たすことによって、冷却時にスペーサ5が破断するようなことが確実に防止される。
【0049】
これに対して、所定の張力を付加しない状態でスペーサを陰極基板上に固定した場合、大きな歪みや破断が生じてしまう。例えば、スペーサとして、熱膨張係数が陰極基板の熱膨張係数と比較して5×10-7/℃小さく、幅50μm、長さ100mmの板状スペーサを用い、固定後、450℃にまで加熱した場合、図10に示すように加熱時に最大1mmもの歪みが生じてしまう。具体的に、この加熱処理を、スペーサを固定した陰極基板と陽極基板とを対向させた後に行った場合には、板状スペーサが隣接する電子放出装置の間隔から突出してしまい、陽極基板上に配設された蛍光体に致命的な損傷を与えてしまう虞がある。このような場合、FEDは、欠陥のある画像を表示してしまうこととなる。
【0050】
しかしながら、上述した本実施の形態に示したFEDでは、上述したように、(1)式、(2)式、(3)式及び(4)式を満たすように条件設定を行うことにより、スペーサ5は、熱処理工程及び冷却試験等が行われても、歪みや破断を生ずるようなことが防止され、常に所望の張力が付加された状態を維持することができる。これにより、このスペーサ5は、熱処理工程や冷却試験等が施された場合でも、より高い位置精度をもって配設されることとなる。したがって、このFEDでは、例えば、陽極基板4上に配設された蛍光体6を損傷するようなことがない。このため、このFEDは、輝度が低下するようなことなく、且つ良好な画像を確実に表示することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明に係る画像表示装置は、スペーサの両端部を上記陽極基板及び上記陰極基板の少なくとも一方に、紫外線硬化型接着剤を用いて固定し、この紫外線硬化型接着剤を覆うように耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜を形成して保護しているとともに、スペーサの長手方向に張力が付加されている。このため、この画像表示装置では、スペーサに歪みや破断を生じることなく、所望の位置にスペーサが配設されることとなる。したがって、この画像表示装置は、表示画像の輝度を低下させることなく、大きな圧力に対して優れた強度を有するものとなる。
【0052】
また、本発明に係る画像表示装置の製造方法は、スペーサを紫外線硬化型接着剤を用いて陽極基板及び陰極基板の少なくとも一方に取り付け、この紫外線硬化型接着剤を覆うように耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜を形成しているとともに、スペーサの長手方 向に張力を付加している。このため、この手法によれば、歪みや破断が生じるようなことがなく、高い位置精度で確実にスペーサを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像表示装置の一構成例として示すFEDの構成を概略的に示す概略斜視図である。
【図2】 陰極基板に形成された電子放出装置の要部断面図である。
【図3】 スペーサの配設位置を説明するための概念図である。
【図4】 本発明に係る画像表示装置の要部縦断面図である。
【図5】 本発明に係る画像表示装置の要部縦断面図である。
【図6】 スペーサを陰極基板に固定する差異に用いられる冶具にスペーサを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】 スペーサに陰極基板を固定した状態を示す要部断面図である。
【図8】 紫外線硬化型接着剤に耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜を形成した状態を示す要部断面図である。
【図9】 接着剤として耐熱性無機系接着剤を用いた場合のスペーサと陰極基板との要部断面図である。
【図10】 ジルコニアからなるスペーサの加熱温度をスペーサの歪み量との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 電子放出装置、2 陰極基板、3 アノード電極、4 陽極基板、5 スペーサ、6 蛍光体
Claims (6)
- 第1の基板上に少なくとも画像表示部が形成されてなる陽極基板と、
第2の基板上に少なくとも電子放出装置が形成されてなり、上記陽極基板に対向するように配設された陰極基板と、
略矩形を呈し、上記陽極基板及び上記陰極基板の間に立設されたスペーサとを備え、
上記スペーサは、その長手方向の両端部を上記陽極基板及び上記陰極基板の少なくとも一方に紫外線硬化型接着剤を用いて固定され、当該紫外線硬化型接着剤を覆うように当該紫外線硬化型接着剤を保護する耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜が形成されているとともに、当該スペーサの長手方向に張力が付加されていることを特徴とする画像表示装置。 - 上記スペーサは、上記陰極基板に固定されたことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
- 第1の基板上に少なくとも画像表示部が形成されてなる陽極基板と第2の基板上に少なくとも電子放出装置が形成されてなる陰極基板とを、略矩形を呈するスペーサを介して対向させることにより画像表示装置を製造するに際して、
上記スペーサの長手方向の両端部を上記陽極基板及び上記陰極基板の少なくとも一方に紫外線硬化型接着剤を用いて固定し、当該スペーサを固定した紫外線硬化型接着剤を耐熱性無機系接着剤で形成された保護膜で覆うように形成するとともに、当該スペーサの長手方向に張力を付加することを特徴とする画像表示装置の製造方法。 - 上記スペーサを上記陽極基板又は上記陰極基板に固定する際に、上記スペーサの温度を、上記陽極基板又は上記陰極基板の温度と比較して高くしていることを特徴とする請求項3記載の画像表示装置の製造方法。
- 上記張力は、上記スペーサの熱膨張係数をαs、上記陽極基板及び上記陰極基板のうち上記スペーサが立設された方の熱膨張係数をαgとし、(上記スペーサを立設する際のスペーサ温度)−(スペーサ立設時の基板温度)を△t1、(上記スペーサ立設後の熱プロセス温度)−(スペーサ立設時の基板温度)を△t2、(最低保存条件温度)−(スペーサ立設時の基板温度)を△t3とし、上記スペーサの引っ張り強度限度内での最大伸び率をεとしたときに、
αs≦αgの場合、
αs×△t1+(αg−αs)×△t2<ε
αs×△t1+(αg−αs)×△t3>0
なる式を満たし、
αs≧αgの場合、
αs×△t1+(αg−αs)×△t2>0
αs×△t1+(αg−αs)×△t3<ε
なる式を満たすことを特徴とする請求項3記載の画像表示装置の製造方法。 - 上記スペーサを、上記陽極基板及び上記陰極基板の少なくとも一方に固定した後、熱処理工程を行うことを特徴とする請求項3記載の画像表示装置の製造方法。
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