JP4110603B2 - ガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車への応用をはじめとするガス濃度検出装置において、ガス濃度センサを用いた同検出装置が提案されており、その一例として空燃比センサを用いた空燃比検出装置が知られている。
【0003】
つまり、近年の車載用エンジンでは、エンジンに吸入される混合気の空燃比(排ガス中の酸素濃度)を広域に且つリニアに検出するリニア式空燃比センサが適用されており、この種のセンサとして例えば限界電流式空燃比センサでは、空燃比(酸素濃度)を精度良く検出するためにセンサ素子の温度を所定の活性温度に維持する必要がある。そのため、通常はセンサにヒータを付設し、同ヒータの通電を所定のデューティ比信号にて制御している。
【0004】
また最近では、自動車の排出ガスに関するこの種のセンサについて、ヒータ制御系の機能を監視することが法的に規定されつつあり、この規定は今後さらに強化される傾向にある。こうした状況下において、特開平5−195843号公報の「酸素測定センサのヒータの機能能力を監視する方法及び装置」といった技術が提案されている。同公報の装置では、酸素測定センサのヒータに印加される電圧をヒータ通電時及び遮断時に測定し、その測定した電圧の差が所定範囲外となった時に故障信号を出力するように構成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の装置では、ヒータに印加される電圧値(電源電圧)に基づき故障の有無を判定することが主たる構成となっており、ヒータ制御系の故障箇所や故障モードを特定することに関しては未だ不十分であった。従って、故障発生後に修理工場等に持ち込まれた自動車は、故障原因が何でありどこを修理すればよいかを調査するために、制御回路の検査やハーネス検査(導線やコネクタの検査を含む)等の様々な調査が強いられることになる。そのため、保守や点検に煩雑な作業や多大な時間を要し、メンテナンス性が悪いという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、ヒータ制御系の故障発生時においてその旨を正確に判定すると共に、故障箇所を特定することができるガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明ではその特徴として、ガス濃度センサに付設され、電源からの電力供給により通電されるヒータと、前記ヒータへの通電を所定の制御デューティ比にてオン・オフ制御するヒータ制御手段とを備えるヒータ制御系に適用される故障判定装置として、ヒータに並列に接続され、ヒータの両端電圧を所定の制御デューティ比によるオン・オフ制御に伴うヒータ通電時並びに非通電時に検出する電圧検出手段と、ヒータに直列に接続され、ヒータに流れる電流を同じく所定の制御デューティ比によるオン・オフ制御に伴うヒータ通電時並びに非通電時に検出する電流検出手段と、前記検出したヒータ通電時の電圧及び電流とヒータ非通電時の電圧及び電流とからなる4つの値を各々に所定のしきい値にて大小比較し、該比較した4つの値のうちいずれが正常時の値と異なるか、それら4つの値の組み合わせに応じて故障の有無を判定すると共に当該ヒータ制御系を構成する回路中の故障箇所を特定する故障判定手段とを備える。
【0008】
上記構成によれば、ヒータ通電時の電圧及び電流と、ヒータ非通電時の電圧及び電流とからなる4つの値を検出し、各々に所定のしきい値と比較判定することで、既存の装置では不十分であったヒータ制御系の故障箇所の特定が可能となる。つまり、ヒータ制御系の故障発生時においてその旨を正確に判定すると共に、故障箇所を細部にまで特定することができるようになる。かかる場合において、故障発生の旨が判定された際には、例えば故障警告灯(MIL:Malfunction indicator light )が点灯され、この警告に従い故障発生の車両が修理工場等に持ち込まれる。そして、上記故障箇所の特定結果を用いることにより、実際の修理までに要する故障箇所の特定作業が大幅に簡素化できるようになる。その結果、メンテナンス性や作業性が向上するという効果も得られる。
【0009】
因みに、上記の如く特定される故障情報は、電源の遮断後にもそのデータを保持するバックアップメモリ等に記憶され、修理工場等において随時ダイアグチェッカにて読み出される。
【0010】
また、上記請求項1の発明は、次の請求項2〜請求項5のように具体化される。すなわち、
・請求項2に記載の発明では、前記故障判定手段は、前記ヒータの電源側,グランド側電気経路と前記ヒータとを結ぶ電気経路が開放されるような故障を特定する。
・請求項3に記載の発明では、前記故障判定手段は、前記ヒータと前記電圧検出手段とを結ぶ電気経路が開放されるような故障を特定する。
・請求項4に記載の発明では、前記故障判定手段は、前記ヒータのグランド側の電気経路が短絡される故障(GNDショート)、すなわち半導体スイッチング素子のオン・オフにかかわらず、ヒータが通電されっ放しとなる故障を特定する。
・請求項5に記載の発明では、前記故障判定手段は、電源、ヒータ及びグランドを結ぶ電気経路を断続するための半導体スイッチング素子のオン・オフ切換えが不能となる故障、すなわち常時オンの故障或いは常時オフの故障を特定する。請求項2〜5の構成によれば、発生頻度が比較的高い故障、又は優先度が比較的高い故障についてその故障箇所を特定することが可能となる。
【0011】
故障形態の事例を図4の回路図を用いて簡単に説明すれば、
・上記請求項2では、図4のA,C,D,F,G各部の断線といった故障が検出できる。
・上記請求項3では、図4のB,E各部の断線といった故障が検出できる。
・上記請求項4では、図4のD,E,F各部の短絡といった故障が検出できる。
・上記請求項5では、トランジスタ26のオン故障又はオフ故障が検出できる。
【0012】
請求項6に記載の発明では、エンジン始動に伴う前記ヒータの通電当初において、ヒータの制御デューティ比を100%とする全通電手段と、前記全通電手段によるヒータ通電の開始前に、ヒータの両端電圧と電流値とを検出すると共に、その検出後、ヒータ通電を開始して両端電圧と電流値とを検出する初期値検出手段とを備え、前記故障判定手段は、前記初期値検出手段により検出された電圧及び電流の各値に応じて故障判定を実施する。
【0013】
つまり、エンジンの低温始動時には、ガス濃度センサ(例えば空燃比センサ)をいち早く活性化させるべくヒータの制御デューティ比が100%に設定され、当該ヒータが継続的に通電される(100%通電される)。この場合、100%通電が実施されていると、故障が発生していてもヒータ非通電時の電圧及び電流が検出できず、正確な故障判定が不可能になる。これに対し上記構成では、通電開始前にヒータ非通電時の電圧及び電流を検出しておくことで、ヒータ通電時の電圧及び電流と、ヒータ非通電時の電圧及び電流とからなる4つの値を検出することが可能となり、既述のような所望の故障判定が実施できる。
【0014】
請求項7に記載の発明では、前記初期値検出手段による電圧及び電流の各検出値に応じて故障発生の旨が判定された場合、ヒータの両端電圧と電流値とが検出可能な最小時間だけヒータ通電を遮断するよう制御デューティ比を設定する手段と、該設定された制御デューティ比にてヒータ通電を制御し、その状態でヒータ制御系の故障発生の旨が所定時間以上継続して判定されれば、最終的に故障発生であることを確定する手段とを備える。この場合、請求項6の発明に比べて、より正確な故障判定が可能になる。つまり、最初に故障発生の旨が判定された際に、その判定結果を仮の判定結果とし、その後、ヒータの両端電圧と電流値とが検出可能な最小時間だけヒータ通電を遮断することで、エンジン始動当初の一時的な故障判定時にも故障の誤判定を回避することができる。
【0015】
請求項8に記載の発明では、前記ヒータ制御手段による制御デューティ比を所定の下限ガード値若しくは上限ガード値にて制限するようにしている。この場合、ヒータの通電状態或いは非通電状態が継続されることがないため、ヒータ通電時の電圧及び電流と、ヒータ非通電時の電圧及び電流とからなる4つの値を常に検出することが可能となり、既述のような所望の故障判定を実施することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を空燃比検出装置に具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。なお、本実施の形態における空燃比検出装置は、自動車に搭載される電子制御ガソリン噴射エンジンに適用されるものであって、同エンジンの空燃比制御システムにおいては空燃比検出装置による検出結果に基づいてエンジンへの燃料噴射量を所望の空燃比に制御する。以下の記載では、ガス濃度センサとしての限界電流式空燃比センサについて、同センサに付設されたヒータの通電制御手順、並びにヒータ制御系の故障判定手順を詳細に説明すると共に、それらの処理を実現するための具体的構成について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す構成図である。図1において、空燃比検出装置は限界電流式空燃比センサ(以下、A/Fセンサという)30を備えている。A/Fセンサ30は、エンジン10のエンジン本体11から延びる排気管12に取り付けられており、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)20から指令される電圧の印加に伴い、排気ガス中の酸素濃度に比例したリニアな空燃比検出信号(センサ電流信号)を出力する。マイコン20は、各種演算処理を実行するための周知のCPU20a,ROM20b,RAM20c、バックアップRAM20d等により構成され、所定の制御プログラムに従いヒータ制御回路25及びバイアス制御回路40を制御する。なお前記バックアップRAM20dは、マイコン20への電源遮断後にも内部の記憶情報を保持することのできるメモリとして構成されている。
【0018】
ここで、マイコン20から出力されるバイアス指令信号Vrは、D/A変換器21を介してバイアス制御回路40に入力される。その時々の空燃比(酸素濃度)に対応するA/Fセンサ30の出力は、バイアス制御回路40内の電流検出回路50にてセンサ電流として検出され、その検出値はA/D変換器23を介してマイコン20に入力される。マイコン20は、A/Fセンサ30のヒータ33を所定の制御デューティ比信号によりON・OFF制御する。そして、ヒータ33のON・OFFに伴うヒータ電圧及びヒータ電流は、後述するヒータ制御回路25にて検出され、その検出値はA/D変換器24を介してマイコン20に入力される。また、マイコン20には、故障発生の旨を自動車の搭乗者に知らしめるための故障警告灯42が接続されており、この警告灯42は、後述する故障判定処理の判定結果に応じて点灯又は消灯される。
【0019】
図2は、A/Fセンサ30の概略を示す断面図である。図2において、A/Fセンサ30は前記排気管12の内部に向けて突設されており、同センサ30は大別して、カバー31、センサ本体32及びヒータ33から構成されている。カバー31は断面コ字状をなし、その周壁にはカバー内外を連通する多数の小孔31aが形成されている。センサ素子部としてのセンサ本体32は、空燃比リーン領域における酸素濃度、若しくは空燃比リッチ領域における未燃ガス(CO,HC,H2 等)濃度に対応する限界電流を発生する。
【0020】
センサ本体32の構成について詳述する。センサ本体32において、断面コップ状に形成された固体電解質層34の外表面には、排気ガス側電極層36が固着され、内表面には大気側電極層37が固着されている。また、排気ガス側電極層36の外側には、プラズマ溶射法等により拡散抵抗層35が形成されている。固体電解質層34は、ZrO2 、HfO2 、ThO2 、Bi2 O3 等にCaO、MgO、Y2 O3 、Yb2 O3 等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼結体からなり、拡散抵抗層35は、アルミナ、マグネシャ、ケイ石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質からなる。排気ガス側電極層36及び大気側電極層37は共に、白金等の触媒活性の高い貴金属からなりその表面には多孔質の化学メッキ等が施されている。なお、排気ガス側電極層36の面積及び厚さは、10〜100mm^2(平方ミリメートル)及び0.5〜2.0μm程度となっており、一方、大気側電極層37の面積及び厚さは、10mm^2(平方ミリメートル)以上及び0.5〜2.0μm程度となっている。
【0021】
ヒータ33は大気側電極層37内に収容されており、その発熱エネルギによりセンサ本体32(大気側電極層37、固体電極質層34、排気ガス側電極層36及び拡散抵抗層35)を加熱する。ヒータ33は、センサ本体32を活性化するに十分な発熱容量を有している。
【0022】
上記構成のA/Fセンサ30において、センサ本体32は理論空燃比点よりリーン領域では酸素濃度に応じた限界電流を発生する。この場合、酸素濃度に対応する限界電流は、排気ガス側電極層36の面積、拡散抵抗層35の厚さ、気孔率及び平均孔径により決定される。また、センサ本体32は酸素濃度を直線的特性にて検出し得るものであるが、このセンサ本体32を活性化するのに約600℃以上の高温が必要とされると共に、同センサ本体32の活性温度範囲が狭いため、エンジン10の排気ガスのみによる加熱では素子温を活性領域に制御できない。そのため、本実施の形態では、ヒータ33への供給電力をデューティ制御することにより、センサ本体32を活性温度域にまで加熱するようにしている。なお、理論空燃比よりもリッチ側の領域では、未燃ガスである一酸化炭素(CO)等の濃度が空燃比に対してほぼリニアに変化し、センサ本体32はCO等の濃度に応じた限界電流を発生する。
【0023】
センサ本体32の電圧−電流特性(V−I特性)について図3を用いて説明する。図3によれば、A/Fセンサ30の検出A/Fに比例するセンサ本体32の固体電解質層34への流入電流と、同固体電解質層34への印加電圧とがリニアな特性を有することが分かる。かかる場合、電圧軸Vに平行な直線部分がセンサ本体32の限界電流を特定する限界電流検出域であって、この限界電流(センサ電流)の増減はA/Fの増減(すなわち、リーン・リッチ)に対応している。つまり、A/Fがリーン側になるほど限界電流は増大し、A/Fがリッチ側になるほど限界電流は減少する。
【0024】
このV−I特性において電圧軸Vに平行な直線部分(限界電流検出域)よりも小さい電圧域は抵抗支配域となっており、その抵抗支配域における一次直線部分の傾きは、センサ本体32における固体電解質層34の内部抵抗(以下、これを素子インピーダンスZdcという)により特定される。この素子インピーダンスZdcは温度変化に伴い変化し、センサ本体32の温度が低下するとZdcの増大により上記傾きが小さくなる。
【0025】
図4は、ヒータ制御回路25の構成を示す回路図である。同図において、ヒータ33の一端は定格12ボルトのバッテリ電源+Bに接続され、他端は半導体スイッチング素子を構成するnチャネルMOSトランジスタ(以下、MOS26という)のドレインに接続されている。MOS26のゲートはドライバ27を介してマイコン20に接続され、ソースはヒータ電流検出用抵抗41を介して接地されている。要するに、マイコン20の制御デューティ比信号によりMOS26がON・OFF動作し、そのMOS26のON・OFF動作によりヒータ33の通電動作が制御されるようになっている。
【0026】
電圧検出手段としてのヒータ電圧検出回路28は、オペアンプ28aと抵抗28b〜28eとからなる差動増幅回路により構成されており、ヒータ33の両端電圧Vhを計測しその計測結果をA/D変換器24を介してマイコン20に出力する。なお、ヒータ両端電圧Vhは、ヒータ33のバッテリ側の電圧Vposと、GND側の電圧Vnegとの差に相当する(Vh=Vpos−Vneg)。ここで、抵抗28b及び抵抗28eはその抵抗値が等しく(この抵抗値をR1とする)、抵抗28c及び抵抗28dはその抵抗値が等しい(この抵抗値をR2とする)。
【0027】
電流検出手段としてのヒータ電流検出回路29は、オペアンプ29aと抵抗29b〜29eとからなる差動増幅回路により構成されており、ヒータ電流検出用抵抗41により検出されるヒータ電流Ihを電圧信号に変換しその結果をA/D変換器24を介してマイコン20に出力する。因みに、ヒータ電流検出用抵抗41の抵抗値は、ヒータ電流Ihに影響を与えないよう極めて小さい値に設定され、それによりヒータ33の昇温性能が損なわれないようになっている。
【0028】
そして、ヒータ通電時(MOS26のON動作時)及びヒータ非通電時(MOS26のOFF動作時)において、ヒータ制御系に何ら故障が発生していなければ、上記ヒータ制御回路25は以下の如くヒータ両端電圧及びヒータ電流を検出する。つまり、ヒータ通電時には、ヒータ両端に印加される電圧(以下、ヒータオン電圧Vonという)がヒータ33の電源電圧VBとほぼ等しい値(ハーネス等の抵抗成分の電圧降下分だけ低い値)となると共に、その際にヒータ33に流れる電流(以下、ヒータオン電流Ionという)が電源電圧VBをヒータ抵抗値Rhで割った値となる。具体的には、VB=12ボルトであれば、ヒータオン電圧Vonは、
Von=(R1/R2)・Vh
という数式から「約11ボルト」となる。また、Rh=2オームであれば、ヒータオン電流Ionは、
Ion=VB/Rh
という数式から「約5アンペア」となる。すなわち、ヒータ電圧検出回路28の出力(オペアンプ28aの出力電圧)が「約11ボルト」となると共に、ヒータ電流検出回路29の出力(オペアンプ29aの出力電圧)の電流換算値が「約5アンペア」となる。
【0029】
また、ヒータ非通電時には、ヒータ両端の電位差が無くなるため、その際にヒータ両端に印加される電圧(以下、ヒータオフ電圧Voffという)が「ほぼ0ボルト」となる。またこのとき、ヒータ電流検出用抵抗41の両端の電位差が無くなるためにヒータ33に流れる電流(以下、ヒータオフ電流Ioffという)が「0アンペア」となる。すなわち、ヒータ電圧検出回路28の出力(オペアンプ28aの出力電圧)が「ほぼ0ボルト」となると共に、ヒータ電流検出回路29の出力(オペアンプ29aの出力電圧)の電流換算値が「ほぼ0アンペア」となる。
【0030】
一方、ヒータ制御系において、ハーネス故障(導線の断線やコネクタの接触不良)等、何らかの故障が発生した場合には、上記したVon,Ion,Voff,Ioffが正常値とは異なる値となり、その値はヒータ制御系の構成上、いずれの箇所でどのような故障が発生したかに応じて相違する。そこで、本実施の形態では、故障発生箇所、及びその内容(以下、故障モードという)を以下の(1)〜(10)に区分して解析し、その解析結果を図15を参照しつつ個々に説明する。図15には、故障箇所及び故障モード毎に各々に対応するVon,Ion,Voff,Ioffの値が示されている。
【0031】
(1)図4のA部開放の場合
断線等による「A部開放」の故障時において、ヒータ通電時(MOS26のON動作時)には、ヒータ33の両端電位は共にGNDレベルでありヒータ両端の電位差は発生しない。従って、ヒータオン電圧Vonが「0ボルト」になる。またこのとき、バッテリ電源+B、ヒータ33及びGNDを結ぶ電気経路が遮断されるため、ヒータ33に電流が流れず、ヒータオン電流Ionが「0アンペア」になる。この場合、ヒータ制御系の正常時と比較すれば、Von,Ionが大きく相違することになる。
【0032】
因みに、オペアンプ28aの非反転入力端子が抵抗28eを介してGNDに接続されると共に、オペアンプ28aは抵抗28bにより負帰還をかけている。そのため、ヒータ非通電時(MOS26のOFF動作時)には、オペアンプ28aの反転入力端子がGNDレベルとなり、オペアンプ28aの出力電圧がGNDレベルである、「0ボルト」となる。すなわち、ヒータオフ電圧Voffが正常時と同様に「0ボルト」となる。また、ヒータオフ電流Ioffは、正常時と同様に「0アンペア」となる。
【0033】
(2)図4のB部開放の場合
断線等による「B部開放」の故障時において、ヒータ通電時(MOS26のON動作時)には、オペアンプ28aの非反転入力端子がGNDレベルとなり、ヒータオン電圧Vonは「0ボルト」となる。またこのとき、図4の回路図から明らかなようにB部が開放されてもヒータ電流は正常に流れるため、ヒータオン電流Ionは正常時と同じ値となる。なお、ヒータ非通電時(MOS26のOFF動作時)のヒータオフ電圧Voff,ヒータオフ電流Ioffは共に正常時と同様の値となる。つまり、Vonだけが正常値に対して大きく異なり、これにより故障判定が可能になると共に、前述のA部開放の故障との判別も可能となる。
【0034】
(3)図4のC部開放の場合
断線等による「C部開放」の故障時において、ヒータ通電時(MOS26のON動作時)には、オペアンプ28aの非反転入力端子がヒータ電源電圧VBの電位となると共に、その反転入力端子が0ボルトとなる。詳細には、
Von=(R1/R2)・VB
という数式からVon値が求められる。このとき、ヒータオン電圧Vonは、電源電圧VBの電位に相当する電圧値、すなわち「12ボルト」となる。ここで、このC部開放時には、バッテリ電源+B、ヒータ33及びGNDを結ぶ電気経路が遮断されており、MOS26がONされてもヒータ電流が流れない。そのため、ハーネス等の電圧降下がなく、ヒータオン電圧Vonが正常時よりも高い値となる。また、ヒータオン電流Ionは電気経路の遮断により「0アンペア」となる。
【0035】
一方、ヒータ非通電時(MOS26のOFF動作時)において、ヒータオフ電圧Voffは、電源電圧VBと抵抗分圧値(R1/(R1+R2))との積から求められる。つまり、
Voff={R1/(R1+R2)}・VB
という数式からヒータオフ電圧Voffが求められ、具体的には「9ボルト」程度の値となる。また、ヒータオフ電流Ioffは「0アンペア」となる。こうしたC部開放の故障の場合、Ion,Voffが正常値に対して大きく異なり、それにより故障判定可能となる。
【0036】
(4)図4のD部開放の場合
断線等による「D部開放」の故障時には、前述したC部開放の故障時と同様に、Von=12ボルト,Ion=0アンペア,Voff=9ボルト,Ioff=0アンペアとなる。因みに、ヒータ33自身が破損するといった故障が発生した場合にも同様の検出結果が得られる。
【0037】
(5)図4のE部開放の場合
断線等による「E部開放」の故障時において、ヒータ通電時(MOS26のON動作時)には、
Von={R1/(R1+R2)}・VB
という数式からヒータオン電圧Vonが求められる。具体的には、Vonが「9ボルト」程度の値となる。ここで、このE部開放時には、ヒータ33の通電が可能であるため、ヒータオン電流Ionは正常通りに検出される(Ion=5アンペア)。
【0038】
一方、ヒータ非通電時(MOS26のOFF動作時)において、ヒータオフ電圧Voffは、上記ヒータオン電圧Vonと同様に、
Voff={R1/(R1+R2)}・VB
という数式から求められ、具体的には「9ボルト」程度の値となる。また、ヒータオフ電流Ioffは「0アンペア」となる。こうしたE部開放の場合、Voffが正常値に対して大きく異なり、それにより故障判定が可能となる。
【0039】
(6)図4のF部開放の場合
断線等による「F部開放」の故障時には、バッテリ電源+B、ヒータ33、MOS26及びGNDといった電気経路が遮断される。そのため、ヒータ33の通電・非通電(MOS26のON・OFF)に関係無く、ヒータ電圧及び電流値がMOS26のOFF時の値と同等になる。つまり、Von=0ボルト,Ion=0アンペア,Voff=0ボルト,Ioff=0アンペアとなる。この場合、Von,Ionが正常値に対して大きく異なり、それにより故障発生の判定が可能となる。
【0040】
(7)図4のG部開放の場合
断線等による「G部開放」の故障時にも上記(6)のF部開放の場合と同様に、バッテリ電源+B、ヒータ33、MOS26及びGNDといった電気経路が遮断される。そのため、ヒータ33の通電・非通電(MOS26のON・OFF)に関係無く、ヒータ電圧及び電流値がMOS26のOFF時と同等になる。つまり、Von=0ボルト,Ion=0アンペア,Voff=0ボルト,Ioff=0アンペアとなる。この場合、Von,Ionが正常値に対して大きく異なり、それにより故障発生の判定が可能となる。
【0041】
(8)図4のD,E,F−GND間短絡の場合
この「D,E,F−GND間短絡」の故障時には、ヒータ33の通電・非通電(MOS26のON・OFF)に関係無く、ヒータ電圧がMOS26のON時の値とほぼ同等になる。但しかかる場合には、ハーネス等による抵抗分の電圧降下がなく、ヒータ両端に電源電圧VBと同じ電圧が印加されることになる。つまり、Von=12ボルト,Voff=12ボルトとなる。また、ヒータ電流検出用抵抗41の両端の電位差が無くなるため、Ion=0アンペア,Ioff=0アンペアとなる。この場合、Ion,Voffが正常値に対して大きく異なり、それにより故障判定可能となる。
【0042】
なお因みに、Ion,Voffが正常値に対して大きく異なることは、既述のC部又はD部開放の故障時と同じであるが、各々のVoffを比較すれば、これらC部又はD部開放の故障と、D,E,F−GND間短絡の故障とを区別することができる。これを以下に説明すれば、C部又はD部開放時には、電源電圧VBと抵抗分圧値(R1/(R1+R2))との積にてVoff値が求められる。これに対し、D,E,F−GND間短絡時には、オペアンプ28aの反転入力端子がGNDレベルとなり、オペアンプ28aの出力、すなわちVoff値が「R1/R2×VB」として求められる。従って、C部開放及びD部開放時のVoffよりD,E,F−GND間短絡時のVoffの方が高い電圧値となり、この両者のVoff値を判別するしきい値電圧を設定すれば、C部又はD部開放とD,E,F−GND間短絡とを区別することが可能となる。
【0043】
(9)MOS26の常時ONの場合
「MOS26の常時ON」の故障時には、ヒータ33の通電・非通電に関係無く、ヒータ電圧及び電流値がヒータ通電時の値と同等になる。つまり、Von=11ボルト,Ion=5アンペア,Voff=11ボルト,Ioff=5アンペアとなる。この場合、Voff,Ioffが正常値に対して大きく異なり、それにより故障発生の判定が可能となる。
【0044】
(10)MOS26の常時OFFの場合
「MOS26の常時OFF」の故障時には、ヒータ33の通電・非通電に関係無く、ヒータ電圧及び電流値がヒータ非通電時の値と同等になる。つまり、Von=0ボルト,Ion=0アンペア,Voff=0ボルト,Ioff=0アンペアとなる。この場合、Von,Ionが正常値に対して大きく異なり、それにより故障発生の判定が可能となる。
【0045】
次に、上記の如く構成される本実施の形態の装置について、その作用を説明する。
図5はヒータ制御ルーチンを、図6は図5のサブルーチンであるイニシャル処理ルーチンを、図7〜9はヒータ制御系の故障判定ルーチンを、それぞれに示すフローチャートであり、図5及び図7〜9の各ルーチンは、マイコン20内のCPU20aにより所定間隔(例えば、128msec周期)のタイマ割り込みにて起動される。但し、図7〜9のルーチンは図5のルーチンの直後に実行されるようになっている。
【0046】
図5のヒータ制御ルーチンにおいて、CPU20aは、先ずステップ101でイニシャルフラグXINTが「0」であるか否かを判別する。このイニシャルフラグXINTは、IGキーのON操作時に要するイニシャル処理が実施されたか否かを示すものであって、XINT=0はイニシャル処理が未実施であることを、XINT=1はイニシャル処理が実施済であることを、それぞれ表す。XINT=0である場合、CPU20aはステップ120に進み、図6に示すイニシャル処理を実施した後、本ルーチンを一旦終了する。
【0047】
ここで、図6のイニシャル処理ルーチンについて説明する。このイニシャル処理は、ヒータ33の通電制御が開始される前に、先ず以ってヒータオフ電圧Voff及びヒータオフ電流Ioffを検出し、その後、ヒータ33を通電(ON)させてヒータON時の電圧値及び電流値を検出するものである。詳細には、CPU20aは、先ずステップ121で前記ヒータ電圧検出回路28及びヒータ電流検出回路29の各々の出力値に基づいてヒータオフ電圧Voff及びヒータオフ電流Ioffを検出する。また、CPU20aは、ヒータ33を通電させ、その状態で所定時間だけ待機する(ステップ122,123)。この待機時間は、ヒータ通電後に電圧及び電流値が収束するのに要する時間であり、具体的には200μsec程度であればよい。
【0048】
所定時間の待機後、CPU20aはステップ124でヒータオン電圧Von及びヒータオン電流Ionを検出し、続くステップ125でイニシャルフラグXINTに「1」をセットする。さらにその後、CPU20aは、ステップ126で全通電フラグXZNに「1」をセットして図5のルーチンに戻る。ここで、全通電フラグXZNは、後述する全通電制御が実施されるか否かを示すものであって、XZN=1は全通電制御が実施されることを、XZN=0は全通電制御が実施されないことを、それぞれ表す。
【0049】
一方、上記イニシャル処理ルーチンでイニシャルフラグXINTがセットされると、それ以降は、図5のステップ101が毎回肯定判別される。そして、CPU20aは、ステップ102で故障発生フラグXFAILが「0」であるか否かを判別する。この故障発生フラグXFAILは、ヒータ制御系における故障の有無の判定結果を示すものであって、XFAIL=0はヒータ制御系の故障有りを、XFAIL=1はヒータ制御系の故障無しを、それぞれ表す。なお上記フラグXFAILは、後述する図7〜図9の故障判定ルーチンにて操作される。そして、故障発生フラグXFAILが「1」であれば、CPU20aはステップ102を否定判別してそのまま本ルーチンを終了する。つまり、ヒータ33の通電制御を実施しない。
【0050】
また、故障発生フラグXFAILが「0」であれば、CPU20aはステップ103に進み、素子インピーダンスZdcがセンサ本体32の半活性状態を判定するための所定の判定値(本実施の形態では、200オーム程度)以下であるか否かを判別する。なおここで、素子インピーダンスZdcは下記のように検出される。つまり、素子インピーダンスZdcの検出時には、図10に示すように、A/Fセンサ30の印加電圧を一時的に正方向及び負方向に変化させる。そして、この電圧変化時における正負いずれか一方の電圧変化量ΔVと電流変化量ΔIとから素子インピーダンスZdcを算出する(Zdc=ΔV/ΔI)。但し、この算出法は一例であって、正負両側の電圧及び電流の変化量に基づき素子インピーダンスZdcを検出したり、負の印加電圧Vneg(限界電流検出域にかからない電圧)を印加した時のセンサ電流Inegから素子インピーダンスZdcを検出したりしてもよい(Zdc=Vneg/Ineg)。
【0051】
例えばエンジン10の低温始動時等、素子温が低い場合にはZdc>200オームとなり、CPU20aはステップ104に進んで故障仮フラグXTEMが「1」であるか否かを判別する。ここで、故障仮フラグXTEMは、エンジン始動時においてヒータ制御系の故障発生の旨が一時的に仮判定されると「1」に操作されるものであり、その操作は後述する故障判定ルーチンにより実施される。
【0052】
そして、XTEM=0の場合、すなわちエンジン始動時に故障発生の旨が仮判定されていない場合、CPU20aはステップ105に進み、ヒータ33の「全通電制御」を実施する。この全通電制御では、ヒータ33への制御デューティ比信号が100%に維持され、センサ活性化の促進が優先的に実施されることになる。
【0053】
一方、XTEM=1の場合、すなわちエンジン始動時に故障発生の旨が仮判定されている場合、CPU20aはステップ106に進み、ヒータ33の「98%デューティ制御」を実施する。この98%デューティ制御では、故障発生の仮判定時においてヒータオフ電圧Voff及びヒータオフ電流Ioffが継続的に検出できるよう、Duty=2%程度のヒータOFF時間が設定されている。こうしてVoff,Ioffを検出することで、後述する故障判定ルーチンによる故障判定が実施可能となる。その後、CPU20aは、ステップ107で全通電フラグXZNに「1」をセットして本ルーチンを一旦終了する。
【0054】
ヒータ通電の開始後、ヒータ33の加熱作用により素子温が上昇し(或いは、当初から素子温が高く)、前記ステップ103が肯定判別されると、CPU20aはステップ108に進み、前記の全通電フラグXZNを「0」にクリアする。また、CPU20aは、続くステップ109で素子インピーダンスZdcがフィードバック(F/B)制御を開始するための所定の判定値(本実施の形態では、40オーム程度)以下であるか否かを判別する。ここで、ステップ109の判定値は、センサ本体32の活性状態を判定するものであって、目標インピーダンス(本実施の形態では、30オーム)に対して「+10オーム」程度の値として設定されている。
【0055】
A/Fセンサ30の活性化完了前であって、ステップ109が否定判別された場合、CPU20aはステップ110に進み、「電力制御」によりヒータ33の通電を制御する。このとき、図11のマップに示すように素子インピーダンスZdcに応じて電力指令値が決定され、その電力指令値に応じてヒータ通電のための制御デューティ比が算出される。
【0056】
一方、A/Fセンサ30の活性化が完了し、前記ステップ109が肯定判別された場合、CPU20aは、ステップ111で「素子インピーダンスF/B制御」を実施する。この素子インピーダンスF/B制御では、以下の手順にてヒータ通電のためのデューティ比Dutyが算出されるようになっている。なお本実施の形態では、その一例としてPID制御手順を用いることとする。
【0057】
つまり、先ずは次の式(1)〜(3)により比例項GP,積分項GI,微分項GDを算出する。
GP=KP・(Zdc−ZdcTG) ・・・(1)
GI=GIi-1 +KI・(Zdc−ZdcTG) ・・・(2)
GD=KD・(Zdc−Zdci-1 ) ・・・(3)
上式において、「KP」は比例定数、「KI」は積分定数、「KD」は微分定数を表し、添字「i−1」は前回処理時の値を表す。
【0058】
そして、上記比例項GP,積分項GI,微分項GDを加算してヒータ通電のためのデューティ比Dutyを算出する(Duty=GP+GI+GD)。但し、こうしたヒータ制御手順は、上記のPID制御に限定されるものではなく、PI制御やP制御を実施するようにしてもよい。
【0059】
その後、CPU20aは、ステップ112で上記の素子インピーダンスF/B制御により設定されるデューティ比Dutyが所定の下限ガード値よりも大きいか否かを判別する。デューティ比Dutyの下限ガードは、高負荷運転時など、排気温が高くヒータ通電が不要な場合にもDutyを「0%」にしないように制限するものであり、具体的には下限ガード値を「1%」程度に設定しておけばよい。こうしてヒータ通電が不要な場合にも微小デューティにてヒータ通電を行なわせることで、如何なる運転状態下でもヒータオン電圧Von及びヒータオン電流Ionを検出することができ、後述の故障判定ルーチンによる故障判定が実施可能となる。
【0060】
そして、デューティ比Dutyが下限ガード値未満となる場合、CPU20aはステップ113でデューティ比Dutyを下限ガード値(1%)で制限した後、本ルーチンを終了する。また、デューティ比Dutyが下限ガード以上であれば、CPU20aはそのまま本ルーチンを終了する。
【0061】
次に、ヒータ制御系の故障判定処理について説明する。なお本実施の形態の故障判定処理では、ヒータオン電圧Von、ヒータオン電流Ion、ヒータオフ電圧Voff及びヒータオフ電流Ioffに基づき、前記図15に示されるヒータ制御系の各種故障を判別するものであるが、これらVon,Ion,Voff,Ioffは基本的にヒータ33の通電制御信号の「OFF→ON」の立ち上がり時に同期して検出される。但し、IGキーのON操作時だけは、前述のイニシャル処理に従いVon,Ion,Voff,Ioffが検出されるようになっている。
【0062】
図12は、ヒータ33の通電制御信号に対応するVon,Ion,Voff,Ioffの検出タイミングを説明するためのタイムチャートである。同図中のタイムアップカウンタは4msec周期でカウントアップされ、そのカウント値は「0」〜「32」の範囲内で推移する。このとき、タイムアップカウンタが「0」にクリアされるタイミングと、ヒータ33の通電制御信号の立ち上がりのタイミングとが同期している。そして、タイムアップカウンタのカウント値が「0」にクリアされる直前、すなわちカウント値=31(図中の▼のタイミング)でヒータオフ電圧Voff及びヒータオフ電流Ioffが検出され、カウント値が「0」にクリアされた直後、すなわちカウント値=1(図中の▽のタイミング)でヒータオン電圧Von及びヒータオン電流Ionが検出されるようになっている。Von,Ion,Voff,Ioffの検出値は、随時マイコン20内のRAM20cに記憶保持される。
【0063】
また、図中の「Vth」は、ヒータ33のオン電圧及びオフ電圧Von,Voffの適否を判定するためのしきい値電圧であり、「Ith」は、ヒータ33のオン電流及びオフ電流Ion,Ioffの適否を判定するためのしきい値電流である。これらしきい値Vth,Ithは予め設定されており、具体的には、Vth=5ボルト、Ith=1.5アンペアとする。
【0064】
以下、上記の如く検出されるVon,Ion,Voff,Ioffに応じた故障判定処理を図7〜図9のフローチャートを用いて説明する。さて、ヒータ制御系の故障判定ルーチンがスタートすると、CPU20aは、先ず図7のステップ201でイニシャルフラグXINTが「1」であるか否かを判別する。そして、XINT=1であることを条件に、CPU20aは、ステップ202でRAM20c内のVon,Ion,Voff,Ioffの最新値を読み込む。
【0065】
その後、CPU20aは、ステップ203で前記読み込んだVon,Ion,Voff,Ioffの値と所定のしきい値Vth,Ithとからヒータ制御系が正常であるか否かを判別する。ここで、同ステップでは、次の4条件が全て成立するか否かが判別される。すなわち、
・Von>Vth、
・Ion>Ith、
・Voff<Vth、
・Ioff<Ith、
が全て成立するか否かを判別する。この場合、ヒータ制御系が正常であれば、上記4条件が全て成立し(図15参照)、CPU20aはステップ203aで故障仮フラグXTEMを「0」にクリアした後、本ルーチンを終了する。
【0066】
一方、前記ステップ203の条件が不成立であれば、ヒータ制御系に何らかの故障が発生している可能性が高いとしてステップ204以降の処理を実施する。以下、順を追って説明する。CPU20aは、ステップ204で次の4条件が全て成立するか否かを判別する。すなわち、
・Von<Vth、
・Ion<Ith、
・Voff<Vth、
・Ioff<Ith、
が全て成立するか否かを判別する。この場合、前記図4のA部、F部又はG部開放、或いはMOS26の常時OFFといった故障が発生していれば、ステップ204が肯定判別される。つまり、前記図15に示すように、A部、F部又はG部開放、或いはMOS26の常時OFFといった故障発生時には、Voff,Ioffの値が正常値であるのに対し、Von,Ionの値が正常値よりも小さく、しきい値Vth,Ithを下回ることになる(Von=0ボルト,Ion=0アンペア)。ステップ204が肯定判別された場合、CPU20aは、ステップ205でその時の故障箇所及び故障モード(A部、F部又はG部開放、或いはMOS26の常時OFFの故障情報)をバックアップRAM20dに記憶させる。
【0067】
また、前記ステップ204の条件が不成立であれば、CPU20aはステップ206に進み、次の4条件が全て成立するか否かを判別する。すなわち、
・Von<Vth、
・Ion>Ith、
・Voff<Vth、
・Ioff<Ith、
が全て成立するか否かを判別する。この場合、前記図4のB部開放といった故障が発生していれば、ステップ206が肯定判別される。つまり、前記図15に示すように、B部開放といった故障発生時には、Ion,Voff,Ioffの値が正常値であるのに対し、Vonの値だけが正常値よりも小さく、しきい値Vthを下回ることになる(Von=0ボルト)。ステップ206が肯定判別された場合、CPU20aは、ステップ207でその時の故障箇所及びモード(B部開放の故障情報)をバックアップRAM20dに記憶させる。
【0068】
また、前記ステップ206の条件が不成立であれば、CPU20aは図8のステップ208に進み、次の4条件が全て成立するか否かを判別する。すなわち、・Von>Vth、
・Ion<Ith、
・Voff>Vth、
・Ioff<Ith、
が全て成立するか否かを判別する。この場合、前記図4のC部又はD部開放、或いはD,E,F−GND間短絡といった故障が発生していれば、ステップ208が肯定判別される。つまり、前記図15に示すように、C部又はD部開放、或いはD,E,F−GND間短絡といった故障発生時には、Von,Ioffの値が正常値であるのに対し(但し、Vonは12ボルトであり、ほぼ正常な値)、Ionの値が正常値よりも小さく、しきい値Ithを下回る(Ion=0アンペア)。また、Voffの値が正常値よりも大きく、しきい値Vthを上回る(Voff=9ボルト又は12ボルト)。
【0069】
またさらに、ステップ208が肯定判別された場合、CPU20aは、ステップ209でその時の故障がC部又はD部開放によるものか、或いはD,E,F−GND間短絡によるものかを区別する。詳しくは、C部又はD部開放、或いはD,E,F−GND間短絡といった故障の発生時には、いずれの場合にもVoffの値がしきい値Vth(=5ボルト)を越えるが、既述したようにC部又はD部開放時のVoffの値は、D,E,F−GND間短絡時のVoffの値よりも低い値となる。前者の場合のVoffは9ボルト程度であり、後者の場合のVoffは12ボルト程度である。そこで、これら両値の間に第2のしきい値電圧Vth2を設定し(Vth2=10.5ボルト程度)、このしきい値電圧Vth2とVoffとの大小比較を行う。
【0070】
つまり、CPU20aは、ステップ209でVoff<Vth2が成立するか否かを判別する。そして、Voff<Vth2であれば、CPU20aはステップ210に進み、C部又はD部開放による故障が発生しているとみなし、その旨の故障情報をバックアップRM20dに記憶させる。また、Voff≧Vth2であれば、CPU20aはステップ211に進み、D,E,F−GND間短絡による故障が発生しているとみなし、その旨の故障情報をバックアップRAM20dに記憶させる。
【0071】
一方、前記ステップ208の条件が不成立であれば、CPU20aはステップ212に進み、次の4条件が全て成立するか否かを判別する。すなわち、
・Von>Vth、
・Ion>Ith、
・Voff>Vth、
・Ioff<Ith、
が全て成立するか否かを判別する。この場合、前記図4のE部開放といった故障が発生していれば、ステップ212が肯定判別される。つまり、前記図15に示すように、E部開放といった故障発生時には、Von,Ion,Ioffの値が正常値であるのに対し(但し、Vonは9ボルトであり、ほぼ正常な値)、Voffの値だけが正常値よりも大きく、しきい値Vthを上回ることになる(Voff=9ボルト)。ステップ212が肯定判別された場合、CPU20aは、ステップ213でその時の故障箇所及びモード(E部開放の故障情報)をバックアップRAM20dに記憶させる。
【0072】
前記ステップ212の条件が不成立であれば、CPU20aはステップ214に進み、次の4条件が全て成立するか否かを判別する。すなわち、
・Von>Vth、
・Ion>Ith、
・Voff>Vth、
・Ioff>Ith、
が全て成立するか否かを判別する。この場合、前記図4のMOS26の常時ONといった故障が発生していれば、ステップ214が肯定判別される。つまり、前記図15に示すように、MOS26の常時ONといった故障発生時には、Von,Ionの値が正常値であるのに対し、Voff,Ioffの値が正常値よりも大きく、しきい値Vth,Ithを上回ることになる(Voff=11ボルト,Ioff=5アンペア)。ステップ214が肯定判別された場合、CPU20aは、ステップ215でその時の故障箇所及びモード(MOS26の常時ONの故障情報)をバックアップRAM20dに記憶させる。また、前記ステップ214の条件が不成立であれば、CPU20aはそのまま本ルーチンを終了する。
【0073】
上記一連の故障判定に従い故障発生の旨が判定された後(ステップ205,207,210,211,213,215の処理後)、CPU20aは図9のステップ216〜221の処理を実施する。詳細には、CPU20aは、ステップ216で全通電フラグXZNが「1」であるか否か、すなわち今現在、ヒータ33の全通電制御(又は、98%Duty制御)が実施されているか否かを判別する。XZN=0であり、ヒータ33の電力制御又は素子インピーダンスF/B制御が実施されている場合、CPU20aはステップ216を否定判別して直ちにステップ220に進む。CPU20aは、ステップ220で故障発生フラグXFAILに「1」をセットすると共に、続くステップ221で故障警告灯42を点灯した後、本ルーチンを終了する。故障警告灯42の点灯により、故障発生の旨が自動車の搭乗者に警告されることになる。
【0074】
一方、XZN=1であり、ヒータ33の全通電制御(又は98%Duty制御)が実施されている場合、CPU20aは前記ステップ216を肯定判別してステップ217に進み、故障仮フラグXTEMに「1」にセットする。その後、CPU20aは、ステップ218でカウンタCZNを「1」インクリメントし、続くステップ219でカウンタCZNが所定の判定値KC以上であるか否かを判別する。この判定値KCは、故障発生を確定させるために必要な時間であり、本実施の形態では「3秒」程度に相当するカウント値である。
【0075】
CZN<KCの場合、CPU20aはそのまま本ルーチンを終了する。また、CZN≧KCの場合、CPU20aはステップ220に進む。CPU20aは、ステップ220で故障発生フラグXFAILに「1」をセットすると共に、続くステップ221で故障警告灯42を点灯した後、本ルーチンを終了する。
【0076】
因みに上記図7〜図9の故障判定ルーチンにおいて、ヒータ33の通電開始当初に故障の旨が判定されず、且つ全通電制御が実施されている場合には、Voff,Ioffの検出が不可能となる。そのため、かかる場合には、全通電制御が終了され、電力制御又は素子インピーダンスF/B制御が開始されるまでは故障判定の処理が一時的に中断される(但し、全通電制御中であってもVoff,Ioffが検出できれば、故障判定の実施が可能となる)。
【0077】
なお、本実施の形態では、前記図5のヒータ制御ルーチンが請求項記載のヒータ制御手段に相当し、図7〜図9の故障判定ルーチンが故障判定手段に相当する。また、図5のステップ105の処理が全通電手段に相当し、同図5のステップ120及び図6の処理が初期値検出手段に相当する。
【0078】
図13及び図14は、エンジン10の低温始動時におけるヒータ通電の制御動作と、ヒータ電流の推移と、各種フラグの操作の様子とを示すタイムチャートであり、図13はヒータ制御系に何ら故障が発生していない場合を、図14は故障が発生している場合を示す。
【0079】
図13において、時間t1ではマイコン20に電源が投入され、時間t1〜t2の期間にてイニシャル処理が実施される(前記図6のフロー参照)。この場合、ヒータオフ電圧Voff,ヒータオフ電流Ioffが検出された後に、ヒータオン電圧Von,ヒータオン電流Ionが検出される。そして、この最初のVoff,Ioff,Von,Ionの各値を用いて故障判定が実施される(前記図7〜図9のフロー参照)。このヒータ通電の開始当初には、ヒータ抵抗が小さいためヒータ電流が比較的大きいが、暖機に伴いヒータ電流が正常な値(5アンペア)に収束していく。
【0080】
時間t2では、イニシャルフラグXINTに「1」がセットされると共に、全通電フラグXZNに「1」がセットされる。その後、時間t2〜t4の期間では、ヒータ33の全通電制御が実施される。すなわち、ヒータ通電の制御デューティ比Dutyが100%で維持される。この全通電制御に要する時間は、A/Fセンサ30の冷間状態の度合に応じて異なるが、最長で約7秒程度の時間である。そして、時間t4では全通電フラグXZNが「0」にクリアされ、それ以降、ヒータ33の電力制御及び素子インピーダンスF/B制御が実施される(前記図5のフロー参照)。
【0081】
また、同図13において、イニシャル処理で検出したVon,Ion,Voff,Ioffにより故障発生の旨が仮判定された場合には、図の破線で示すように時間t2で故障仮フラグXTEMに「1」がセットされ、デューティ比Dutyの2%をOFF時間とする、「98%Duty制御」が実施される(図5のステップ106)。かかる場合、この故障発生の判定が一時的なものであれば、図の時間t3で故障仮フラグXTEMが「0」にリセットされ(図7のステップ203a)、ヒータ通電が98%Duty制御から全通電制御に切り換えられる(図5のステップ105)。
【0082】
一方、図14では、通電開始当初から前記図15に示す各種故障のいずれかが発生している。この場合、時間t11〜t12のイニシャル処理で検出したVon,Ion,Voff,Ioffの各値を用いて故障判定が実施され、故障発生の旨が仮判定される。そして、時間t12では故障仮フラグXTEM等がセットされると共に、カウンタCZNのカウントアップが開始される(図9のステップ217,218)。
【0083】
時間t12以降、98%Duty制御の実施中に故障発生の旨が解消されないと、カウンタCZNの値が所定の判定値KCに達する時間t13で故障発生フラグXFAILに「1」がセットされる(図9のステップ220)。この際、故障箇所や故障モードといった故障情報がバックアップRAM20d内に記憶されると共に、故障警告灯42が点灯される。そして、それ以降のヒータ通電が停止される。
【0084】
上記の如く全通電制御が本来、実施される期間において98%Duty制御を実施し、強制的にヒータ非通電の動作を行わせるため、故障発生の仮判定時にVoff,Ioffの各値の検出が可能となる。従って、ヒータ制御系の故障が正確に把握でき、センサ過昇温といった不都合を招くこともない。
【0085】
なお、上述のように故障警告灯42が点灯されると、この警告に従い故障発生の車両が修理工場等に持ち込まれる。そして、バックアップRAM20d内に記憶されている故障情報をダイアグチェッカ等にて読み出せば、煩雑な作業を要することもなく故障箇所が容易に特定され、その時々の故障に応じた修理作業が行われる。
【0086】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(a)本実施の形態では、ヒータ通電時の電圧及び電流Von,Ionと、ヒータ非通電時の電圧及び電流Voff,Ioffとからなる4つの値を各々に所定のしきい値Vth,Ithにて大小比較し、該比較した4つの値のうち、いずれが正常時の値と異なるかに応じて故障の有無を判定すると共に故障箇所を特定するようにした。上記構成によれば、既存の装置では不十分であったヒータ制御系の故障箇所の特定が可能となる。つまり、ヒータ制御系の故障発生時においてその旨を正確に判定すると共に、故障箇所を細部にまで特定することができるようになる。かかる場合において、上記故障箇所の特定結果を用いることにより、実際の修理までに要する故障箇所の特定作業が大幅に簡素化できるようになる。その結果、メンテナンス性や作業性が向上するという効果も得られる。
【0087】
(b)また本実施の形態では、前記図15に示されるような各種故障を発生箇所毎又はモード毎に特定することで、実機に対応する故障判定が実現できるようになる。
【0088】
(c)エンジン始動に伴うヒータ33の通電当初において、全通電制御の開始前に、ヒータオフ電圧Voffとヒータオフ電流Ioffとを検出すると共に、そのVoff,Ioffの検出後、ヒータ通電を開始してヒータオン電圧Vonとヒータオン電流Ionとを検出するようにした(前記図6のイニシャル処理)。そして、当該検出したVoff,Ioff,Von,Ionの各値に応じて故障判定を実施するようにした。この場合、ヒータ33の全通電制御が実施されていると(Duty=100%であると)、故障が発生していてもVoff,Ioffが検出できず正確な故障判定が不可能になるが、通電開始前にVoff,Ioffを検出しておくことで、Von,Ion,Voff,Ioffからなる4つの値を検出することが可能となる。その結果、既述のような所望の故障判定を実施することができる。
【0089】
(d)また、ヒータ通電の開始当初に故障発生の旨が判定された場合、Voff,Ioffが検出可能な最小時間だけヒータ通電を遮断するべく、「98%Duty制御」を実施し(前記図5のステップ106)、その状態でヒータ制御系の故障発生の旨が所定時間以上継続して判定されれば、最終的に故障発生であることを確定するようにした(前記図9のステップ216〜221)。この場合、エンジン始動当初の一時的な故障判定時にも故障の誤判定を回避することができ、より正確な故障判定が可能になる。
【0090】
(e)さらに、本実施の形態では、制御デューティ比Dutyを所定の下限ガード値(1%)にて制限するようにした(前記図5のステップ112,113)。この場合、例えばエンジン10の高負荷運転時など、排気温が高くヒータ通電が不要になる場合(Duty=0%になる場合)にも、ヒータオン電圧Von及びヒータオン電流Ionを確実に検出することができる。従って、Von,Ion,Voff,Ioffからなる4つの値を常に検出することが可能となり、既述のような所望の故障判定を実施することができる。
【0091】
(f)また、以上のようにヒータ制御系の故障が正確に把握できれば、A/Fセンサ30の正常なる活性状態が維持できる。その結果、精度の高い空燃比F/B制御が実施できるようになり、エミッションが低減されると共に、排ガス規制に関する法規制にも適切に対応できることとなる。
【0092】
なお、本発明の実施の形態は、上記以外に次の形態にて実現できる。
上記実施の形態では、ヒータ制御系の故障判定ルーチン(図7〜図9)において、
・Von>Vth、
・Ion<Ith、
・Voff>Vth、
・Ioff<Ith、
という4条件が成立する故障時に(前記図8のステップ208がYESとなる場合に)、Voffの値を第2のしきい値電圧Vth2と大小比較し、C部又はD部開放による故障と、D,E,F−GND間短絡による故障とを判別するようにしていたが(図8のステップ209〜211)、この構成を変更してもよい。例えばステップ209の処理を省略し、ステップ208が肯定判別された場合には、「C部又はD部開放、或いはD,E,F−GND間短絡」による故障が発生したと結論付けるようにしてもよい。
【0093】
また、故障判定する箇所又はモードを前述の実施の形態(図15参照)よりも減らし、CPU20aによる演算負荷の軽減を図るようにしてもよい。具体的には、故障の発生頻度や優先順位を考慮し、図4におけるE部開放、F部開放、G部開放及びMOS26の常時ON,常時OFFといった故障の全て若しくはその一部を故障判定の対象から外してもよい。要するに、図4におけるA部開放、B部開放、C部開放、D部開放及びD,E,F−GND間短絡といった故障を必須の故障判定の対象とする。この場合、発生頻度の高い故障、又は優先度の高い故障が適切に判定できるようになる。但し、故障の原因の大半が半導体スイッチング素子のON・OFF不能によるものであると解析される場合には、故障判定の対象を当該スイッチング素子のON・OFF故障に限定することも可能である。
【0094】
上記実施の形態では、エンジン10の低温始動当初においてヒータ33の全通電制御を実施していた。すなわち、ヒータ33を100%通電により加熱させるようにしていた。この構成を変更し、ヒータ33の制御デューティ比を例えば「98%」の上限ガード値にて制限するようにしてもよい。この場合、上述した図5のヒータ制御ルーチンのように、センサ活性前に「全通電制御」と「98%通電制御」とを区別して実施する必要がなくなる。こうした構成によれば、制御デューティ比の上限及び下限が「1%〜98%」の範囲内で制限されることとなり、Von,Ion,Voff,Ioffの各値が常に検出できるようになる。但し、上記上限及び下限ガードによるデューティ比の制限は、本発明において必須要件ではなく、適宜省略して具体化できる。
【0095】
また、上記実施の形態では、ヒータ通電の開始当初において故障発生を仮判定し、その状態が所定時間以上経過した際に故障発生を確定させるようにしていたが(前記図9のステップ216〜221)、こうした仮判定の処理をヒータ通電の開始当初以外にも適用してもよい。この場合、故障発生の旨の誤判定が防止できるようになる。また逆に、演算処理の簡素化のために、仮判定の処理を削除して具体化することも可能である。
【0096】
ヒータ制御回路25の構成を以下のように変更してもよい。
図16に示すヒータ制御回路25は、前記図4の一部を変更したものであり、具体的にはヒータ電流検出回路の構成を変更している。図16のヒータ電流検出回路45は、オペアンプ45aと、同オペアンプ45aの非反転入力端子に接続された抵抗45b,45c及び定電圧電源Vcc(5ボルト)と、反転入力端子に接続された抵抗45d,45eとからなる差動増幅回路により構成されている。そして、当該検出回路45は、ヒータ電流検出用抵抗41により検出されるヒータ電流Ihを電圧信号に変換しその結果をA/D変換器24を介してマイコン20に出力する。かかる構成では、前記図4の構成とは異なり、ヒータ電流Ihが大きくなるほどオペアンプ45aの出力が小さくなるような出力特性を有する。
【0097】
図17のヒータ制御回路は、電圧検出手段及び電流検出手段をA/D変換器24及びマイコン20にて構成するものである。同構成では、ヒータ33のバッテリ側電位が抵抗46a,46bを介してA/D変換器24の「CH1」に入力され、ヒータ33のGND側電位が抵抗46c,46dを介してA/D変換器24の「CH2」に入力される。また、ヒータ電流検出用抵抗41のヒータ側の電位がA/D変換器24の「CH3」に入力される。そして、マイコン20は、前記A/D変換器24のCH1,CH2,CH3に取り込まれた信号に基づいてヒータ33の両端電圧(Von,Voff)及びヒータ電流(Ion,Ioff)を検出する。
【0098】
またその他の形態として、前記図4、図16、図17を組み合わせてヒータ制御回路を構成したり、ヒータ電流ローサイド検出の構成や或いはヒータ電流ハイサイド検出の構成を適用したりすることも可能である。これらの回路構成は、エンジン毎の設計思想等に応じて適宜選択的に用いられる。
【0099】
ヒータ通電時の電圧及び電流の検出値(Von,Ion)を比較判定するためのしきい値と、ヒータ非通電時の電圧及び電流の検出値(Voff,Ioff)を比較判定するためのしきい値とを別個に設けるようにしてもよい。つまり、本実施の形態の構成では、ヒータ制御系の正常時には、Von=11ボルト,Ion=5アンペア,Voff=0ボルト,Ioff=0アンペア若しくはその付近の値となる。そこで例えば、
・ヒータ通電時のしきい値電圧(Vthon)を「9ボルト」程度に、
・ヒータ通電時のしきい値電流(Ithon)を「4アンペア」程度に、
・ヒータ非通電時のしきい値電圧(Vthoff)を「2ボルト」程度に、
・ヒータ非通電時のしきい値電流(Ithoff)を「1アンペア」程度に、
それぞれ設定する。そして、
・Von>Vthon、
・Ion>Ithon、
・Voff<Vthoff、
・Ioff<Ithoff、
の4条件が成立する場合にのみヒータ制御系が正常である旨を判定し、それ以外の場合には、上記4つの検出値(Von,Ion,Voff,Ioff)が上記4つのしきい値に対して如何なる大小関係にあるかに応じてヒータ制御系の故障箇所及びモードを図15を参照しつつ特定する。かかる構成によれば、より一層適確な故障判定が実施できるようになる。
【0100】
上記実施の形態では、コップ型のA/Fセンサに本発明を具体化したが、積層型のA/Fセンサに具体化してもよい。
上記実施の形態では、限界電流式空燃比センサ(A/Fセンサ)に本発明を具体化したが、他のガス濃度センサに具体化して実現することも可能である。例えば空燃比が理論空燃比(ストイキ)に対してリッチかリーンかで異なる電圧信号(起電力)を出力するO2 センサにて本発明を具体化してもよい。要は、活性化のためにヒータによる加熱が必要なガス濃度センサ、例えばNOx ,HC,CO等のガス濃度を検出するためのセンサであれば、本発明が適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態における空燃比検出装置の概要を示す構成図。
【図2】A/Fセンサの詳細な構成を示す断面図。
【図3】A/Fセンサの出力特性を説明するためのV−I特性図。
【図4】ヒータ制御回路の構成を示す回路図。
【図5】ヒータ制御ルーチンを示すフローチャート。
【図6】イニシャル処理ルーチンを示すフローチャート。
【図7】ヒータ制御系の故障判定ルーチンを示すフローチャート。
【図8】図7に続き、ヒータ制御系の故障判定ルーチンを示すフローチャート。
【図9】図7及び図8に続き、ヒータ制御系の故障判定ルーチンを示すフローチャート。
【図10】素子インピーダンスの検出法の一例を説明するための波形図。
【図11】電力制御時において、素子インピーダンスに応じた電力指令値を求めるためのマップ。
【図12】ヒータの通電制御信号に対応するヒータ両端電圧及びヒータ電流と、それら各値の検出タイミングを説明するためのタイムチャート。
【図13】エンジン始動時における制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図14】エンジン始動時における制御動作を説明するためのタイムチャート。
【図15】各種故障の形態と、正常時及び故障発生時におけるヒータ電圧及びヒータ電流の各値とを説明するための図。
【図16】他の実施の形態において、ヒータ制御回路の構成を示す回路図。
【図17】他の実施の形態において、ヒータ制御回路の構成を示す回路図。
【符号の説明】
10…エンジン、12…排気管、20…マイコン(マイクロコンピュータ)、20a…ヒータ制御手段,故障判定手段,全通電手段,初期値検出手段を構成するCPU、20d…バックアップRAM、24…A/D変換器、26…半導体スイッチング素子としてのMOS(nチャネルMOSトランジスタ)、28…電圧検出手段を構成するヒータ電圧検出回路、29…電流検出手段を構成するヒータ電流検出回路、30…ガス濃度センサとしてのA/Fセンサ(限界電流式空燃比センサ)、33…ヒータ、41…電流検出手段を構成するヒータ電流検出用抵抗、42…故障警告灯、+B…バッテリ電源。
Claims (8)
- ガス濃度センサに付設され、電源からの電力供給により通電されるヒータと、
前記ヒータへの通電を所定の制御デューティ比にてオン・オフ制御するヒータ制御手段とを備えるヒータ制御系に適用され、
前記ヒータに並列に接続され、ヒータの両端電圧を前記所定の制御デューティ比によるオン・オフ制御に伴うヒータ通電時並びに非通電時に検出する電圧検出手段と、
前記ヒータに直列に接続され、ヒータに流れる電流を同じく前記所定の制御デューティ比によるオン・オフ制御に伴うヒータ通電時並びに非通電時に検出する電流検出手段と、
前記検出したヒータ通電時の電圧及び電流とヒータ非通電時の電圧及び電流とからなる4つの値を各々に所定のしきい値にて大小比較し、該比較した4つの値のうちいずれが正常時の値と異なるか、それら4つの値の組み合わせに応じて故障の有無を判定すると共に当該ヒータ制御系を構成する回路中の故障箇所を特定する故障判定手段と
を備えることを特徴とするガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。 - 前記故障判定手段は、前記ヒータの電源側,グランド側電気経路と前記ヒータとを結ぶ電気経路が開放されるような故障を特定するものである請求項1に記載のガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。
- 前記故障判定手段は、前記ヒータと前記電圧検出手段とを結ぶ電気経路が開放されるような故障を特定するものである請求項1に記載のガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。
- 前記ヒータ制御手段のデューティ信号により、前記ヒータとグランド側との間の電気経路を断続する半導体スイッチング素子を設け、
前記故障判定手段は、前記ヒータのグランド側の電気経路が短絡される故障を特定するものである請求項1に記載のガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。 - 前記ヒータ制御手段のデューティ信号により、前記電源、ヒータ及びグランドを結ぶ電気経路を断続する半導体スイッチング素子を設け、
前記故障判定手段は、前記半導体スイッチング素子のオン・オフ切換えが不能となる故障を特定するものである請求項1に記載のガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。 - 前記ガス濃度センサをエンジン排気管に配設し、ガス濃度センサの測定結果からガス濃度を検出するガス濃度検出システムに適用されるものであって、
エンジン始動に伴う前記ヒータの通電当初において、ヒータの制御デューティ比を100%とする全通電手段と、
前記全通電手段によるヒータ通電の開始前に、ヒータの両端電圧と電流値とを検出すると共に、その検出後、ヒータ通電を開始して両端電圧と電流値とを検出する初期値検出手段とを備え、
前記故障判定手段は、前記初期値検出手段により検出された電圧及び電流の各値に応じて故障判定を実施する請求項1〜請求項5のいずれかに記載のガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。 - 請求項6に記載のヒータ制御系の故障判定装置において、
前記初期値検出手段による電圧及び電流の各検出値に応じて故障発生の旨が判定された場合、ヒータの両端電圧と電流値とが検出可能な最小時間だけヒータ通電を遮断するよう制御デューティ比を設定する手段と、
該設定された制御デューティ比にてヒータ通電を制御し、その状態でヒータ制御系の故障発生の旨が所定時間以上継続して判定されれば、最終的に故障発生であることを確定する手段と
を備えるガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。 - 前記ヒータ制御手段による制御デューティ比を所定の下限ガード値若しくは上限ガード値にて制限するようにした請求項1〜請求項7のいずれかに記載のガス濃度センサに用いるヒータ制御系の故障判定装置。
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