JP4111993B2 - リンパ管新生促進剤 - Google Patents
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Description
HGFは血管新生因子として知られていたが、同様に血管新生因子として知られているVEGFがリンパ管新生作用を有さないこと(例えば、Dev. Biol. 1997, 188:96-109など参照のこと)、また上述したようにリンパ浮腫を軽減させる効果を有さないと考えられることを考慮すると、HGFがリンパ管新生作用及びリンパ浮腫を軽減させる効果を有しているという本発明者らの新規知見は、驚くべき事実であった。
〔1〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質もしくは化合物を活性成分として含有する、リンパ管新生促進剤。
〔2〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質である、〔1〕に記載のリンパ管新生促進剤;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔3〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸を活性成分として含有する、リンパ管新生促進剤。
〔4〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔3〕に記載のリンパ管新生促進剤;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔5〕核酸が哺乳動物用発現ベクターに挿入されている、〔3〕または〔4〕に記載のリンパ管新生促進剤。
〔6〕核酸がネイキッドな核酸である、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載のリンパ管新生促進剤。
〔7〕リンパ浮腫の予防または治療用の薬剤として用いられることを特徴とする、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のリンパ管新生促進剤。
〔8〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質もしくは化合物を被験体に投与する工程を含む、リンパ管新生を促進する方法。
〔9〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質である、〔8〕に記載のリンパ管新生を促進する方法;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔10〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸を被験体に投与する工程を含む、リンパ管新生を促進する方法。
〔11〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔10〕に記載のリンパ管新生を促進する方法;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔12〕核酸が哺乳動物用発現ベクターに挿入されている、〔10〕または〔11〕に記載の方法。
〔13〕核酸がネイキッドな核酸である、〔10〕〜〔12〕のいずれかに記載の方法。
〔14〕HGF受容体の活性化を誘導し、該活性化によりリンパ管新生を促進する方法。
〔15〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質もしくは化合物を被験体に投与する工程を含む、リンパ浮腫を予防または治療する方法。
〔16〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質である、〔15〕に記載の方法;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔17〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸を被験体に投与する工程を含む、リンパ浮腫を予防または治療する方法。
〔18〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔17〕に記載の方法;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔19〕核酸が哺乳動物用発現ベクターに挿入されている、〔17〕または〔18〕に記載の方法。
〔20〕核酸がネイキッドな核酸である、〔17〕〜〔19〕のいずれかに記載の方法。
〔21〕リンパ管新生促進剤またはリンパ浮腫の予防もしくは治療のために用いる薬剤の製造における、HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質もしくは化合物の使用。
〔22〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質である、〔21〕に記載の使用;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔23〕リンパ管新生促進剤またはリンパ浮腫の予防もしくは治療のために用いる薬剤の製造における、HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸の使用。
〔24〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔23〕に記載の使用;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔25〕核酸が哺乳動物用発現ベクターに挿入されている、〔23〕または〔24〕に記載の核酸の使用。
〔26〕核酸がネイキッドな核酸である、〔23〕〜〔25〕のいずれかに記載の核酸の使用。
〔27〕以下(a)〜(c)の工程を含む、リンパ管新生促進活性を有する化合物またはリンパ浮腫の予防もしくは治療効果を有する化合物のスクリーニング方法;
(a)HGF受容体またはHGF受容体と機能的に同等なタンパク質に被検化合物を接触させる工程、
(b)該タンパク質と被検化合物の結合を検出する工程、
(c)該タンパク質と結合する被検化合物を選択する工程。
〔28〕HGF受容体またはHGF受容体と機能的に同等なタンパク質が、以下(i)〜(iv)から選択される、〔27〕に記載の方法;
(i)配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(ii)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(iii)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(iv)配列番号:3に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔29〕以下(a)〜(c)の工程を含む、リンパ管新生促進活性を有する化合物またはリンパ浮腫の予防もしくは治療効果を有する化合物のスクリーニング方法;
(a)HGF受容体またはHGF受容体と機能的に同等なタンパク質を発現している細胞に被検化合物を接触させる工程、
(b)該細胞の増殖能、遊走性、またはシグナル分子のリン酸化を測定する工程、
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、該細胞の増殖能を増加させた、遊走性を増加させた、またはシグナル分子をリン酸化させた披検化合物を選択する工程。
〔30〕HGF受容体またはHGF受容体と機能的に同等なタンパク質が、以下(i)〜(iv)から選択される、〔29〕に記載の方法;
(i)配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(ii)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(iii)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(iv)配列番号:3に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔31〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が挿入された哺乳動物用発現ベクターであって、リンパ浮腫の予防または治療用のベクター。
〔32〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔31〕に記載のベクター;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔33〕配列番号:5または6に記載の塩基配列からなるベクターである、〔31〕または〔32〕に記載のベクター。
〔34〕ネイキッドな状態で投与されることを特徴とする、〔31〕〜〔33〕のいずれかに記載のベクター。
〔35〕被験体の患部またはその周辺に筋肉内注射により投与されることを特徴とする、〔31〕〜〔34〕のいずれかに記載のベクター。
〔36〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が挿入された哺乳動物用発現ベクターを活性成分として含有する、リンパ浮腫の予防または治療用の薬剤であって、該ベクターがネイキッドな状態で、被験体の患部またはその周辺に筋肉内注射により投与されることを特徴とする薬剤。
〔37〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔36〕に記載の薬剤;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔38〕ベクターが、配列番号:5または6に記載の塩基配列からなるベクターである、〔36〕または〔37〕に記載の薬剤。
〔39〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が挿入された哺乳動物用発現ベクターを、ネイキッドな状態で、被験体の患部またはその周辺に筋肉内注射により投与する工程を含む、リンパ浮腫を予防または治療する方法。
〔40〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔39〕に記載の方法;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔41〕ベクターが、配列番号:5または6に記載の塩基配列からなるベクターである、〔39〕または〔40〕に記載の方法。
〔42〕リンパ浮腫の予防または治療用の薬剤の製造における、HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が挿入された哺乳動物用発現ベクターの使用であって、該ベクターがネイキッドな状態で、被験体の患部またはその周辺に筋肉内注射により投与されることを特徴とするベクターの使用。
〔43〕HGFまたはHGFと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸が、以下(a)〜(d)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸である、〔42〕に記載の使用;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(d)配列番号:1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
〔44〕ベクターが、配列番号:5または6に記載の塩基配列からなるベクターである、〔42〕または〔43〕に記載の使用。
(1)HGFまたはそれと機能的に同等なタンパク質もしくは化合物、
(2)HGFまたはそれと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸、
(3)哺乳動物用発現ベクターに挿入されたHGFまたはそれと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸、
(4)ネイキッドな核酸である、HGFまたはそれと機能的に同等なタンパク質をコードする核酸。
・上記(1)〜(4)のタンパク質、核酸、または化合物を活性成分として含有するリンパ管新生促進剤、
・上記(1)〜(4)のタンパク質、核酸、または化合物を被験体に投与する工程を含む、リンパ浮腫を予防または治療する方法、
・リンパ管新生促進剤またはリンパ浮腫の予防もしくは治療のために用いる剤の製造における上記(1)〜(4)のタンパク質、核酸、または化合物の使用、
に関する。
ここで、HGFはヒトHGFが好ましい。
本発明のタンパク質、核酸、または化合物含有組成物の投与対象としては、ヒトの他、サル、イヌおよびネコなど任意の哺乳動物が含まれる。
HGF受容体はc-metと命名されている膜タンパク質であり、その細胞内ドメイン内にチロシンキナーゼが存在する。HGFがc-metの細胞外ドメインにあるHGF結合部位に結合すると、前記細胞内チロシンキナーゼが活性化して、c-met分子内のチロシン残基(Y1349およびY1356)をリン酸化する。これをトリガーとして、細胞内シグナル伝達経路が活性化してHGFがその生物学的機能を発揮することはよく知られている事実である(例えば、Graziani, A.他、J. Biol. Chem. 266、22087-22090,(1991)、Graziani, A.他、J. Biol. Chem. 268、9165-9168,(1993)、Nakagami, H.他、Hypertension, 2001, 37[part2]:581-586参照のこと)。したがって、本明細書において、HGF受容体の活性化とは、c-metの分子内チロシンキナーゼを活性化することを指す。
本発明のスクリーニング方法の第一の態様としては、以下の(a)〜(c)の工程を含むリンパ管新生促進活性を有する化合物のスクリーニング方法である。
(a)HGF受容体またはそれと機能的に同等なタンパク質に被検化合物を接触させる工程、
(b)HGF受容体またはそれと機能的に同等なタンパク質と被検化合物の結合を検出する工程、
(c)HGF受容体またはそれと機能的に同等なタンパク質と結合する被検化合物を選択する工程。
(i)配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(ii)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(iii)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質、
(iv)配列番号:3に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされるタンパク質であって、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質と機能的に同等なタンパク質。
(a)HGF受容体またはそれと機能的に同等なタンパク質を発現している細胞に被検化合物を接触させる工程、
(b)該細胞の増殖能、遊走性、またはシグナル分子のリン酸化を測定する工程、
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、該細胞の増殖能を増加させた、遊走性を増加させた、またはシグナル分子をリン酸化させた被検化合物を選択する工程。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
(1)イヌ胸管由来リンパ管内皮初代培養細胞の作製
イヌ胸管由来リンパ管内皮初代培養細胞の作製は、公知の方法で行った(Microcirculation(1999)6、75-78)。雑種の成犬(雌雄問わず、6〜12kg)を麻酔下で、大腿動脈から放血させた後、胸管を10〜15cm単離し、冷却(4℃)したハンクス緩衝液(HBSS)に入れた。結合組織および脂肪細胞を除去した。胸管の分枝部分は滅菌した絹糸で縛り、リンパ管を冷却HBSSにて洗った。その後、コラゲナーゼ溶液(250U/mL HBSS)中に37℃にて10分間インキュベートした。10%牛胎児血清(FBS)含有MEM培地で管を洗浄して細胞を回収した。遠心によりコラゲナーゼを除去した後、20%FBSおよび抗生物質を添加した完全MEM培地に懸濁して、タイプIコラーゲンコート35mmディッシュ中で培養した。培養は37℃5%CO2湿潤環境下で行った。コンフルエントになった時点でトリプシン/EDTAで細胞を剥離して回収し、リンパ管内皮細胞をサブクローニングし、リンパ管内皮細胞のクローンを作製した。この細胞は、継代可能である。少なくとも10回以上継代可能であった。
上記(1)で得たイヌ胸管由来リンパ管内皮細胞(96ウェルプレート中70%コンフルエント以上)にヒト組み換えHGFを、それぞれ、0、2、10、50ng/mlの濃度となるように培地中に添加し、その3日後に、CellTiter 96 One Solutin Reagent(Promega)を用いてMTSアッセイを行った。独立に9ウェルずつ実施した。その結果を表1および図2に示す。
(i) 組み換えHGFによる遊走能の増強
細胞の遊走能は、既報のBoydenチャンバーを用いる方法に従って実施した(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2002;22:108-114)。孔径8μmのポリビニルピロリドン(PVP)不含ポリカーボネートメンブラン(Neuro Probe Inc., Gaithersburg, MD)を0.1%ゼラチンでコーティングし、生理的リン酸緩衝液(PBS)で過剰なゼラチンを除去した。1%FBSを含有するEBM2培地28μlを入れたBoydenチャンバーの下のチャンバーに、上記メンブランをのせ、上のチャンバーに、106個の(1)で得たイヌ胸管由来リンパ管内皮細胞を含む50μlの培地を入れ、ヒト組み換えHGFを、それぞれ、0、10、50ng/mlの濃度となるように培地中に添加し、4時間37℃にて培養した。培養は37℃5%CO2湿潤環境下で行った。メンブランを取り出し、メンブランの上面にある細胞を剥がし取り、メンブランの下面にある細胞をDiff-Quick(Sysmex, Hyogo, Japan)で染色し、細胞の数をカウントした。各HGF濃度につき、独立に3ウェルずつ実施した。その結果を表2および図3に示す。
以上の結果から、HGFがリンパ管内皮細胞の増殖および遊走を促進して、リンパ管新生を促進することが示唆された。
ヒトHGF cDNA発現プラスミドpVAX1HGF/MGB1(配列番号:5)を、既報の方法に従いHVJ-Eベクターに封入した(Kaneda, Y.他、2002、Mol. Ther. 6, 219-226)。
BHK細胞を100mmディッシュでコンフルエントにまで培養し、50HAUの該プラスミド封入ベクターを、BHK細胞の培地に添加して、細胞に導入した。24時間培養後、24ウェルプレート用挿入セル(insert)に移し、ほぼコンフルエントになるまで培養した。
一方、上記(1)イヌ胸管由来リンパ管内皮細胞を70%以上のコンフルエンシーになるように培養した24ウェルプレートを用意し、そのウェルに上記ヒト HGFcDNA 発現プラスミドpVAX1HGF/MGB1導入BHK細胞の入った挿入セルを入れた。48時間培養後に、上記と同様MTSアッセイに供した。アッセイは、独立に6ウェルずつ実施した。ヒトHGF cDNA発現プラスミドpVAX1HGF/MGB1の代わりにGFP発現プラスミドを用いて同様の処理を行ったものを、ネガティブコントロールとした。その結果を表3および図4に示す。
アッセイは、独立に6ウェルずつ実施した。上記と同様にGFP発現プラスミドを用いて同様の処理を行ったものを、ネガティブコントロールとした。その結果を表4および図5に示す。
6ウェルプレートにサブコンフルエントまで培養した上記リンパ管内皮細胞に、リポフェクトアミンプラス(GIBCO-BRL)を用いてネイキッドのヒトHGF cDNA発現プラスミドpVAX1HGF/MGB1とc-fosプロモータアッセイ用のc-fosルシフェラーゼリポーター遺伝子プラスミド(p2FTL)を導入した(J. Hypertens. 1998, 16: 993-1000)。24時間培養後、無血清培地で24時間培養し、常法に従ってルシフェラーゼ活性を測定したところ、c-fosプロモータ活性の上昇が認められた。そこで、ヒトHGF cDNAの代わりにヒトVEGF cDNAを用いて上記(4)と同様の実験を行い、ヒトHGF cDNAとVEGF cDNA とのc-fosプロモータ活性に対する影響を比較した。アッセイは、独立に4ウェルずつ実施した。その結果を表5および図6に示す。
また上記実施例においては、成犬から単離したリンパ管内皮細胞を用いており、アダルトの動物のリンパ管内皮細胞に対してHGFが上記作用を有するということが示された。このことは、リンパ浮腫の治療薬としてのHGFの有用性を示すものである。
さらにまた、このHGFのリンパ管新生促進作用がヒトHGFのイヌリンパ管内皮細胞に特異的な現象ではないことを確認するため、上記同様、雑種の成犬から単離した初代培養大動脈内皮細胞および静脈内皮細胞のHGFによる増殖促進作用を調べたところ、ヒトHGFがこれら細胞に対して増殖促進作用を有することが示された。また、この増殖促進作用は、ヒトのこれらの細胞に対する増殖促進作用とほぼ同等であった(データ示さず)。したがって、ヒトHGFは、イヌ血管内皮細胞においてもヒト血管内皮細胞と同様に作用することが示された。これら知見は、ヒトHGFのリンパ管新生促進作用がイヌリンパ管内皮細胞に特異的な現象ではないことを示唆する。
発明者らは、ヒトリンパ管内皮細胞でも上記成犬から単離したリンパ管内皮細胞の結果が得られると考えたが、念のためにそれを確認すべく、ヒトリンパ管内皮細胞(AngioBio Co. (Del Mar, CA))を用いてHGFによる増殖および遊走能の増強を検討した。
継代数が5〜8である細胞を実験に用いた。この細胞においても、リンパ管内皮細胞のマーカーである、フォンビルブランド因子、VEGF受容体-3、Prox1、およびc-Metが発現されていることを免疫染色で確認した(データ示さず)。MTSアッセイおよび遊走性アッセイについては、上記イヌのリンパ管内皮細胞での実験と同様に行った。
このことより、発明者らの予想どおり、上記(1)〜(5)の成犬のリンパ管内皮細胞と同様、ヒトリンパ管内皮細胞もまた、HGFによりリンパ管新生が促進されることが確認できた。
以上より、HGFは、イヌ以外の哺乳動物(ヒトを含む)においてもリンパ管新生促進作用を有することが示唆された。
上記の知見に基づいて、in vivoにおける実証を行うために、リンパ浮腫モデルラットを用いてHGFの効果を確認した。
(1)リンパ浮腫モデルラットの作製
リンパ浮腫モデルラットは、Slavin SA他(Anals of Surgery 1999, 229, 421-427)の記載に従って作製した。かかるモデルラットにおける尾部リンパ管の浮腫を確認するために、手術の直前に、尾の付け根から数センチのところに0.5%のPatent Blue色素を含む生理的緩衝液を注射し、手術を行った1日後にその尾部を解剖したところ、リンパ管に青色色素が観察された(データ示さず)。また、対照のラットに比べて、尾の付け根部分は明らかに太く、本ラットのリンパ浮腫モデルとしての有用性が確認できた。
上記作製したモデルラットを用いてリンパ浮腫に対するヒトHGF遺伝子導入の効果を調べた。
術後、ネイキッドのヒトHGF cDNA発現プラスミドpVAX1HGF/MGB1 200μg(/100μl)、ネイキッドのVEGFcDNA発現プラスミド200μg(/100μl)、コントロールとしてネイキッドのGFP発現プラスミド(Venus plasmid)200μg(/100μl)を、術後1日、7日および14日で、筋肉内注射により投与した。手術のみの群は、手術のみ行い注射はしていない。手術無しの群は、手術もしていない。生理食塩水群は、生理食塩水100μlを術後1日、7日および14日に筋肉内注射した。それぞれについて術後35日目まで7日毎に、尾の太さを計測した。各群5匹ずつ試験し、平均値を求め、図8に示した。
以上のHGFの作用機序を確認するために、血管内皮細胞においてHGFがリン酸化を誘導することが知られているMAPKおよびAktが、リンパ管内皮細胞においてもHGF刺激によりそのリン酸化が誘導されることを確認した。MAPKおよびAktのリン酸化が、HGFによる血管内皮細胞の増殖に必須であることが知られている(Nakagami H., Hypertension. 2001; 37[part 2]581-586)。
Claims (11)
- 以下(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質を活性成分として含有する、リンパ浮腫の予防または治療用の薬剤;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、リンパ管内皮細胞の増殖および遊走を促進する機能を有するタンパク質。 - 以下(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸を活性成分として含有し、該核酸が宿主細胞内に導入された場合に該タンパク質が発現されるように、該核酸がベクターに挿入されている、リンパ浮腫の予防または治療用の薬剤;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、リンパ管内皮細胞の増殖および遊走を促進する機能を有するタンパク質。 - 核酸がネイキッドな核酸である、請求項2に記載の薬剤。
- 以下(a)〜(c)の工程を含む、リンパ浮腫の予防もしくは治療効果を有する化合物のスクリーニング方法;
(a)以下(i)〜(iii)から選択されるタンパク質に被検化合物を接触させる工程、
(i)配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(ii)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(iii)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質に結合する膜タンパク質であって、かかる結合により分子内チロシンキナーゼが活性化することを特徴とするタンパク質、
(b)該タンパク質と被検化合物の結合を検出する工程、
(c)該タンパク質と結合する被検化合物を選択する工程。 - 以下(a)〜(c)の工程を含む、リンパ浮腫の予防もしくは治療効果を有する化合物のスクリーニング方法;
(a)以下(i)〜(iii)から選択されるタンパク質を発現している細胞に被検化合物を接触させる工程、
(i)配列番号:4に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(ii)配列番号:3に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(iii)配列番号:4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質に結合する膜タンパク質であって、かかる結合により分子内チロシンキナーゼが活性化することを特徴とするタンパク質、
(b)該細胞の増殖能、遊走性、またはシグナル分子のリン酸化を測定する工程、
(c)被検化合物を接触させていない場合と比較して、該細胞の増殖能を増加させた、遊走性を増加させた、またはシグナル分子をリン酸化させた被検化合物を選択する工程。 - 以下(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸が宿主細胞内に導入された場合に該タンパク質が発現されるように、該核酸が挿入された哺乳動物用発現ベクターであって、リンパ浮腫の予防または治療用のベクター;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、リンパ管内皮細胞の増殖および遊走を促進する機能を有するタンパク質。 - 配列番号:5または6に記載の塩基配列からなるベクターである、請求項6に記載のベクター。
- ネイキッドな状態で投与されることを特徴とする、請求項6または7に記載のベクター。
- 被験体の患部またはその周辺に筋肉内注射により投与されることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載のベクター。
- 以下(a)〜(c)のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸が宿主細胞内に導入された場合に該タンパク質が発現されるように、該核酸が挿入された哺乳動物用発現ベクターを活性成分として含有する、リンパ浮腫の予防または治療用の薬剤であって、該ベクターがネイキッドな状態で、被験体の患部またはその周辺に筋肉内注射により投与されることを特徴とする薬剤;
(a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含む核酸によりコードされるタンパク質、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなり、リンパ管内皮細胞の増殖および遊走を促進する機能を有するタンパク質。 - ベクターが、配列番号:5または6に記載の塩基配列からなるベクターである、請求項10に記載の薬剤。
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