JP4112471B2 - シリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法及び加工装置 - Google Patents

シリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法及び加工装置 Download PDF

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Description

本発明は、シリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法及び加工装置に関する。
内燃機関のシリンダヘッドには吸排気弁が設けられている。シリンダヘッドにはバルブシートが設けられるとともに、このバルブシートと同心上に筒状のバルブガイドが設けられている。前記バルブシート及びバルブガイドには、バルブシート面を密閉する弁体が装着されている。この弁体はバルブガイド穴に挿入されて、該ガイド穴に沿って摺動するステムと、このステムの先端に連結され、かつバルブシート面に接触、離反する偏平円錐状のバルブヘッドとを備えている。前記バルブシート面には、バルブヘッドに設けられた弁フェースが気密性をもって当接されるようになっている。このバルブシート面は、バルブシートに予め形成されたシート面下穴をシート面加工具によって形成される。弁フェースがバルブシート面に適正に当接されない場合には、気筒内の気密性が損なわれる。このため、前記ステムを摺動案内するバルブガイド穴と、弁フェースが当接するバルブシート面との同心度に高精度が要求される。
上記課題を解決するため、従来、特許文献1に示す複合加工工具が提案されている。この複合加工工具は、工作機械の回転主軸に形成されたテーパ穴に係合するテーパ部を有する工具本体の先端部にバルブシート面加工用のカッタを備えている。又、この複合加工工具は、前記回転主軸を介して前記工具本体の内部に供給されるクーラントの圧力により前記工具本体に対して軸線方向に進退可能なバルブガイド穴加工用のリーマを備えている。さらに、前記リーマの先端部にバルブガイド穴加工時のパイロット穴加工用の刃を設けている。
上記の複合加工工具のカッタによってバルブシートにバルブシート面(特許文献1では当り面)を形成すると同時に、予めドリル等により形成されたバルブガイドの下穴に対して同一軸線上で回転するパイロット穴加工用の刃によってパイロット穴を形成する。その後、前記カッタ及びリーマを後退させた後に、リーマを前進させ、その先端に形成されたパイロット穴加工用の刃を再びバルブガイドに形成されたパイロット穴に進入し、次いでリーマによりパイロット穴及びそれに続く下穴を加工して、バルブガイド穴を仕上げ加工するようになっている。
特開2002−126920
従来の複合加工工具においては、バルブシートにバルブシート面を形成するのと同時にバルブガイドの下穴にパイロット穴を形成するようにしたので、前記バルブシート面に対してパイロット穴が同心に形成される。このため、パイロット穴加工用刃を先ずパイロット穴に係合させることにより、リーマを目標とするバルブガイド穴の中心軸線に沿って案内することができ、バルブガイド穴とバルブシートのシート面との同心度の精度を向上することができるとしている。
しかしながら、上記従来の複合加工工具は、パイロット穴加工用刃を回転してバルブガイドに形成された下穴の開口縁全体に同時に接触させてパイロット穴を形成するので、次のような問題が生じた。バルブガイドに形成された下穴の中心軸線が正規の中心軸線上から変位した芯ズレの状態にある場合には、前記パイロット穴加工用の複数の刃が下穴の開口縁に切り込みを開始する際に各刃が同時に開口縁に接触されるので、各刃が芯ズレの状態の開口縁の影響を受けやすい。すなわち、各刃による切削抵抗が開口縁の円周方向の部位によって異なるので、各刃自体が切削抵抗の小さい方に押し戻されて偏心し、バルブシート面に対するパイロット穴自体の同心度の精度が低下する。この結果、同心度の精度の低いパイロット穴にリーマの先端を進入してバルブガイド穴を仕上げ加工してもその同心度を向上することができないという問題があった。
なお、バルブガイドに形成された下穴の中心軸線が正規の中心軸線上にある場合でも、前記パイロット穴加工用の各刃が下穴の開口縁に切り込みを開始する際に偏心しやすいので、パイロット穴の同心度の精度が低下する。
本発明は、シリンダヘッドに設けたバルブシート面に対するバルブガイド穴の同心度の精度を向上することができるシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法及び加工装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、柱状をなす工具本体の先端部に、パイロット穴加工具、粗仕上げ砥粒リーマ及び仕上げ砥粒リーマを同一軸線上に先端側から順に設け、前記工具本体の基端部にシート面加工具を設けてなるシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工工具を用いて、シリンダヘッドに設けたバルブシートに予め形成されたシート面下穴に対し同一軸線上で回転するシート面加工具により仕上げ加工してバルブシート面を形成するシート面形成工程と、シリンダヘッドに設けたバルブガイドに予め形成されたガイド穴下穴に対し同一軸線上で回転する粗仕上げ砥粒リーマ及び仕上げ砥粒リーマで仕上げ加工してバルブガイド穴を形成するバルブガイド穴形成工程とを含むシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法において、前記シート面形成工程に先行して、前記シート面下穴に対し、前記パイロット穴加工具の先端部に同心状に形成したテーパ加工部を工具本体軸の回転及び旋回運動により回転及びコンタリング運動させて接触し、テーパ部を形成するようにし、次に、前記バルブガイド穴形成工程に先行して、前記ガイド穴下穴の開口端側の内周面に対し、前記工具本体の先端部に設けたパイロット穴加工具を工具本体軸の回転と旋回運動により回転及びコンタリング運動させて接触し、パイロット穴を形成するようにし、前記パイロット穴加工具によって加工されたパイロット穴の開口端側の内周角部に対し、前記テーパ加工部を工具本体軸の回転及び旋回運動により回転及びコンタリング運動させて接触し、テーパ部を形成し、その後、前記ガイド穴下穴に対し同一軸線上で回転する前記粗仕上げ砥粒リーマ及び前記仕上げ砥粒リーマで粗仕上げ及び仕上げ加工してバルブガイド穴を形成し、前記仕上げ砥粒リーマがバルブガイド穴の全長を通過して仕上げ加工が終了した後に、前記シート面加工具がバルブシートに形成された前記テーパ部に接触し、バルブシート面を形成するようにしたことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、ベッドに装設されたシリンダヘッドの支持テーブルと、ベッドに装着され、かつ、柱状をなす工具本体の先端部に、パイロット穴加工具、粗仕上げ砥粒リーマ及び仕上げ砥粒リーマを同一軸線上に先端側から順に設け、前記工具本体の基端部にシート面加工具を設けてなるシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工工具を積極回転可能に装着する主軸装置と、ベッドと主軸装置との間に装着され、かつ前記主軸装置の主軸に回転及び旋回運動によるコンタリング運動を付与するコンタリング運動付与機構と、支持テーブル又は主軸装置を前後動する前後動機構と、前記コンタリング運動付与機構の動作を制御して主軸装置に支持された加工工具にコンタリング運動を付与するための制御信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置から制御信号を出力して加工工具に直交2軸送りでコンタリング運動を付与し、シリンダヘッドに設けたバルブガイドに予め形成されたガイド穴下穴の開口端側の内周面に対し、前記工具本体の先端部に設けたパイロット穴加工具でパイロット穴を形成し、前記仕上げ砥粒リーマがバルブガイド穴の全長を通過して仕上げ加工が終了した後に、前記シート面加工具がバルブシートに接触し、バルブシート面を形成するように構成されていることを要旨とする。
請求項1又は請求項2記載の発明によれば、工具本体の先端部に設けたパイロット穴加工具を回転及びコンタリング運動させてバルブガイドのガイド穴下穴の内周面にパイロット穴を形成するようにした。このため、ガイド穴下穴の内周面に対するパイロット穴加工具の接触面積が小さくなり、加工作業中の負荷抵抗を低減し、下穴に倣ったパイロット穴加工具自体の偏心を防止して、バルブシート面に対するパイロット穴の同心度の精度を向上することができる。従って、バルブガイドにリーマによって形成されるバルブガイド穴の前記バルブシート面に対する同心度の精度も向上することができる。
尚、請求項1記載の発明によれば、前記シート面加工具によるバルブシート面の加工に先行して、前記テーパ加工部を前記シート面下穴に当て、仕上げ加工時の取代がシート幅で均一になるように回転及びコンタリング運動によってテーパ加工を行うようにした。このため、シート面加工具によるバルブシート面の仕上げ加工時、工具の偏摩耗がなくなり、工具寿命が格段に延びるとともに、その精度を向上することができる。また、前記パイロット穴加工具の先端部に形成したテーパ加工部を前記パイロット穴の開口縁の内周角部に当て、回転及びコンタリング運動させて面取り加工する。このため、リーマの先端部を前記パイロット穴に進入させる際にバリや尖端との接触がなく、円滑に行うことができ、工具摩耗も少なく工具寿命も延び、バルブガイド穴の加工をより適正に行い、さらに同心度の精度を向上することができる。
さらに、請求項1又は請求項2記載の発明によれば、リーマが砥粒リーマであるため、研削加工により高速回転が可能で、加工時間が短縮できると共に、バルブガイド穴の仕上げ加工精度を向上することができる。さらに、工具寿命も長くなる。加えて、ガイド穴下穴に対し同一軸線上で回転する粗仕上げ砥粒リーマ及び仕上げ砥粒リーマで仕上げ加工を二段階に分けて行うことができ、加工負荷を軽減して、バルブガイド穴の仕上げ加工精度を向上することができる。
また、請求項又は請求項記載の発明は、仕上げ砥粒リーマが完全にバルブガイド穴の全長を通過した後に、シート面加工具がバルブシート面の加工を開始するようにしたことにより、バルブガイド穴の加工径が長さ方向で仕上げ砥粒リーマの摩耗に影響されることなく、長さ方向に同一に高精度に仕上がる。
請求項2記載の発明によれば、直交2軸送りでコンタリング運動を付与することで、制御信号を出力する制御装置のソフトウエアを変更するのみで、既製の加工装置を用いて容易に製造することができる。
以下、本発明を具体化したシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法に用いられる加工工具並びに加工装置の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図2に示すように、ベッド10上にはシリンダヘッド17を支持するためのテーブル11が設けられている。ベッド10上には前後動機構を構成する図示しないZ軸駆動機構によってZ軸サドル12がZ軸(前後)方向へ移動可能に配設されている。Z軸サドル12上にはコラム状のX軸サドル13が図示しないX軸駆動機構によってX軸(左右、図2の紙面直交)方向へ移動可能に支持されている。このX軸サドル13にはY軸サドル(図示略)が図示しないY軸駆動機構によってY軸(上下)方向へ移動可能に装着されている。このY軸サドルには主軸装置14がZ軸方向に指向するように支持されている。主軸装置14のヘッド部には回転主軸15が回転自在に支持され、この回転主軸15には加工工具16を保持した工具ホルダHが着脱可能に装着されている。そして、回転主軸15が図2に示す下方の加工位置に移動配置された状態で、回転主軸15が回転されながら、Z軸サドル12がテーブル11上のシリンダヘッド17に対して接近離間移動されて、加工工具16によりシリンダヘッド17に所定の加工が施されるようになっている。
次に、回転主軸15に装着される加工工具16によって、加工されるシリンダヘッド17の構成を説明する。
前記シリンダヘッド17の所定位置には、図4に示すように円筒状をなすバルブガイド18が例えば圧入により嵌入固定されている。このバルブガイド18の内周面には予めドリル等によって円筒状のガイド穴下穴18aが形成されている。前記シリンダヘッド17には前記バルブガイド18の中心軸線O1と同一軸線上に位置するように、かつ気筒内に気化された燃料を導くための吸気通路17aと対応してリング状をなすバルブシート19が例えば圧入により嵌入固定されている。前記バルブシート19のバルブガイド18と反対側の内周面には、該バルブガイド18の製造時に予めシート面下穴19aが形成されている。このシート面下穴19aには、例えば先工程により図5に示すように外周側に位置する傾斜状態の第1逃し面19bと、その第1逃し面19bの内周側に位置する同じく傾斜状態の第2逃し面19cとが予め形成されている。両逃し面19b,19cの境界部、すなわちシート面19fが形成される位置には山形状態に盛り上がった角部19dが形成されている。
次に、前記バルブガイド18及びバルブシート19に仕上げ加工を施す加工工具16について、図1を中心に説明する。
図1に示すように加工工具16は、工具ホルダHに対して取り外し可能に連結されている。加工工具16を構成する円柱状をなすステンレススチール製の工具本体16aの先端部(図1において左側)には、パイロット穴加工具21が一体的に形成されている。このパイロット穴加工具21は、工具本体16aの先端部の小径の円柱状部に砥粒を電着によって円筒状に付着させて構成された砥石工具である。パイロット穴加工具21の先端部には先端ほど小径寸法となるテーパ加工部21aが一体的に形成されている。このテーパ加工部21aもテーパ部の外周面に対し砥粒を電着によって付着させている。
前記加工工具16の工具本体16aの中間部には、パイロット穴加工具21から後方に向かって所定の範囲内に、前記バルブガイド18の下穴18aを粗仕上げ加工するための粗仕上げ砥粒リーマ22が形成されている。前記パイロット穴加工具21と前記粗仕上げ砥粒リーマ22との間の段差部には、先端ほど小径となるテーパリーマ部22aが形成されている。同じく工具本体16aの中間部には、前記粗仕上げ砥粒リーマ22の後方の所定範囲内に粗仕上げ加工された下穴18aを仕上げ加工するための仕上げ砥粒リーマ23が形成されている。これらの粗仕上げ砥粒リーマ22、仕上げ砥粒リーマ23は工具本体16aの外周面に対して砥粒を電着によって円筒状に付着させて構成されている。
前記ロッド部26の長さは、図13に示すように、仕上げ砥粒リーマ23が完全にバルブガイド穴18eの全長を通過した後にシート面加工具25の加工部25aがシート面19fの加工を開始するように設定されている。
前記パイロット穴加工具21の外径寸法d1、粗仕上げ砥粒リーマ22の外径寸法d2及び仕上げ砥粒リーマ23の外径寸法d3は、d1<d2<d3の関係となっている。一例として、d1=5.0mm.d2=5.9mm、d3=6.0mmに設定されている。
前記加工工具16の工具本体16aの基端部には、前記バルブシート19のシート面下穴19aに傾斜角45度の円錐面状のバルブシート面19f(図13参照)を形成するためのシート面加工具25が嵌合固定されている。このシート面加工具25の外周面には傾斜角45度の全体として円錐形状の加工部25aが形成されている。この加工部25aは、本体と、その外周面に電着された砥粒により形成されている。なお、前記仕上げ砥粒リーマ23の後端縁と、シート面加工具25の先端面との間には砥粒リーマが存在しないロッド部26が設けられている。
又、前記粗仕上げ砥粒リーマ22と仕上げ砥粒リーマ23の外周面には図示しないが複数の螺旋状の溝が形成され、切粉やクーラントの排出路を形成している。さらに、加工工具16内部には図示しないがクーラント供給路が形成され、工具表面へクーラントが供給されるようになっている。シート面加工具25においても、図示しないが表面に切粉やクーラントの排出路が形成され、内部のクーラント供給路から工具表面にクーラントが供給されるようになっている。クーラントは水又はミストでもよい。又、加工工具16の外側からクーラントをかけるようにしてもよい。
次に、図3に基づいて前記加工装置の動作を制御するための制御回路について説明する。
制御装置31には、各種の演算処理動作を行うための中央演算処理装置(CPU)32が設けられ、CPU32には加工装置の動作プログラムを予め記録したランダムアクセスメモリ(ROM)33及び各種のデータを読み出し書込み可能なランダムアクセスメモリ(RAM)34が接続されている。制御装置31にはインターフェース35を介して加工工具16のX軸方向の位置を検出するためのX軸リニアスケール36、Y軸方向の位置を検出するためのY軸リニアスケール37及びZ軸方向の位置を検出するためのZ軸リニアスケール38が接続されている。
一方、前記制御装置31にはインターフェース39を介して複数の駆動回路40が接続され、各回路40にはX軸サドル13をX軸方向に往復動するためのX軸サーボモータ41が接続されている。同様にして駆動回路40には、図示しないY軸サドルをY軸方向に往復動するためのY軸サーボモータ42が接続されている。さらに、駆動回路40には加工工具16を前後(Z軸)方向に送り移動するためのZ軸サドル12を駆動するためのZ軸サーボモータ43が接続されている。
前記制御装置31内には前記X軸サーボモータ41及びY軸サーボモータ42を用いて回転主軸15に装着された回転中の加工工具16の中心軸線を、予め所定位置に設定した中心軸線を中心に旋回運動させてコンタリング運動させるためのコンタリング運動指令部44が設けられている。
次に、前記のように構成した加工工具16及び加工装置を用いて、シリンダヘッド17に設けたバルブガイド18の下穴18a及びバルブシート19のシート面下穴19aにバルブガイド穴18e及びバルブシート面19fを仕上げ加工するための動作について説明する。
最初に、図3に示す制御装置31からの制御信号によりX軸サーボモータ41及びY軸サーボモータ42を数値制御して、加工工具16を備えた主軸装置14をX,Y軸方向に移動し、シリンダヘッド17に対し、バルブシート面19f及びバルブガイド穴18eの加工時の中心軸線O1に主軸中心を合わせる。そして、この状態で主軸装置14をZ軸方向に移動し、さらに、X軸又はY軸方向に移動して図4に示すようにバルブガイド18の中心軸線O1から加工工具16の中心軸線O2をオフセット位置に平行移動する。これによって、パイロット穴加工具21のテーパ加工部21aが図5に示すようにバルブシート19の両逃し面19b,19c間の角部19dと対応する位置に移動する。この状態で回転主軸15を回転して加工工具16を回転するとともに、前記制御装置31のコンタリング運動指令部44から出力される制御信号によってX軸サーボモータ41及びY軸サーボモータ42を数値制御する。そして、加工工具16を前記バルブガイド18の中心軸線O1を中心に図6に示すように所定の旋回半径で旋回させてパイロット穴加工具21をコンタリング運動させる。この状態でZ軸サーボモータ43を制御して加工工具16をZ軸方向に前進させパイロット穴加工具21のテーパ加工部21aによって両逃し面間の角部19dを面取り加工して、テーパ部19eを形成する。これにより、シート面19fの下加工ができ、シート面加工具25に角が当ることなく、均等に研削でき切り込み量も少なくて済むようになる。
次に、加工工具16を中心軸線O1に戻し、前進させてパイロット穴加工具21の先端部をバルブガイド18の下穴18aの開口部に進入させる。そして、図7に示すようにバルブガイド18の中心軸線O1から加工工具16の中心軸線O2を若干オフセットした状態で、パイロット穴加工具21を図8に示すようにコンタリング運動させ、下穴18aの開口縁に軸方向に所定長さのパイロット穴18bを形成する。パイロット穴加工具21は中心軸線O1を中心に正確な円運動を行うため、バルブガイド18の下穴18aが中心軸線O1に対し芯ズレの状態にあっても、それに倣うことなく、正確な穴加工ができ、芯ズレが修正された状態のパイロット穴18bを形成することができる。
上記パイロット穴18bを形成した後、再び加工工具16を中心軸線O1に戻し、加工工具16を後退させて、図9に示すように加工工具16の中心軸線O1からの中心軸線O2のオフセット寸法を若干増大させて、パイロット穴加工具21のテーパ加工部21aをパイロット穴18bの開口縁の内周角部に対応させる。この状態で図10に示すように回転するパイロット穴加工具21をコンタリング運動させてテーパ加工部21aにてパイロット穴18bの開口部の内周角部の面取りを行ってパイロット穴18bの入口にテーパ部18cを形成する。これにより、パイロット穴18bの入口端部のバリや角が除去される。
次に、図11及び図12に示すように、再びバルブガイド18の中心軸線O1と加工工具16の中心軸線O2を同一軸線上に芯出しした状態で、下穴18aに形成されたパイロット穴18bに同一軸線上で回転するパイロット穴加工具21及び粗仕上げ砥粒リーマ22を進入する。そして、粗仕上げ砥粒リーマ22によって、パイロット穴18bの内周面及び下穴18aの内周面を順次粗仕上げ加工し、粗仕上げバルブガイド穴18dを形成する。
最後に、図13及び図14に示すように同一軸線上で回転する加工工具16の仕上げ砥粒リーマ23によってバルブガイド18の下穴18a全体が仕上げ加工されバルブガイド穴18eが形成される。このバルブガイド穴18eの仕上げ加工が終了すると略同時に、シート面加工具25の加工部25aがバルブシート19の両逃し面間の角部19dに形成されたテーパ部19eに接触され、所定角度(45度)で所定幅のシート面19fが形成される。
上記実施形態のシリンダヘッド17のバルブシート面19f及びバルブガイド穴18eの加工方法及び加工工具並びに加工装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、パイロット穴加工具21を回転及びコンタリング運動させてテーパ加工部21aによりバルブシート19の下穴19aに予めテーパ部19eを形成するようにした。このため、シート面加工具25の加工部25aによるバルブシート面19fの仕上げ加工時の取代がシート幅で均一になり、工具の偏摩耗がなくなり、工具寿命が格段に延びる。よって、シート面加工具25の加工部25aによるバルブシート面19fの形成を円滑に行うことができ、シート面19fの加工精度を向上することができる。シート面加工具25の加工部25aにバリや角が当ることなく、切り込み量も少なくてすみ、工具寿命を長く維持できる。パイロット穴加工具21のテーパ加工部21aの傾斜をシート面19fに合わせて45度に形成するとさらによい。
(2)上記実施形態では、加工工具16のパイロット穴加工具21を回転及びコンタリング運動させて、バルブガイド18の下穴18aにパイロット穴18bを形成するようにした。このため、パイロット穴加工具21が下穴18aの内周面に部分的に接触して、その研削抵抗を低減し、下穴18aに芯ズレがあっても、その芯ズレに倣ったパイロット穴加工具21の偏心をなくし、下穴18aの芯ズレを修正した正確なパイロット穴18bの形成を精度よく行うことができる。このため、パイロット穴18bとバルブシート19のシート面19fとの同心度の精度を向上できる。従って、砥粒リーマ22,23を中心軸線O1上に正しく挿入案内でき、粗仕上げ砥粒リーマ22及び仕上げ砥粒リーマ23によるバルブガイド穴18eの加工精度を向上することができ、バルブガイド穴18eとシート面19fの同心度の精度を向上することができる。
(3)上記実施形態では、パイロット穴18bの開口縁の内周角部をパイロット穴加工具21のテーパ加工部21aを回転及びコンタリング運動することによってテーパ部18cを形成するようにした。又、粗仕上げ砥粒リーマ22の先端部にテーパリーマ部22aを設けた。このため、粗仕上げ砥粒リーマ22の先端部に設けたテーパリーマ部22aがパイロット穴18bの開口縁に円滑に切り込み動作され、さらにパイロット穴18bに正確に送り案内されて、粗仕上げ砥粒リーマ22の下穴18aに倣った偏心を阻止して、バルブガイド穴18eを精度よく仕上げ加工することができる。
(4)上記実施形態では、粗仕上げ砥粒リーマ22と仕上げ砥粒リーマ23によってバルブガイド穴18eを加工するようにした。このため、一度に仕上げ加工するのと比較して、加工時における研削抵抗を抑制し、仕上げ砥粒リーマ23による取代を少なくして工具寿命を向上でき、バルブガイド穴18eの仕上げ加工精度を長時間維持することができる。
(5)上記実施形態では、加工工具16の仕上げ砥粒リーマ23とシート面加工具25を一体に構成し、リーマ23によるバルブガイド穴18eの仕上げ加工(バルブガイド穴形成工程)と、シート面加工具25によるバルブシート面19fの仕上げ加工(シート面形成工程)とを同一工程で行うようにした。このため、両者切り離して相前後して行う方法と比較して、加工工具16を通してバルブシート面19fに対するバルブガイド穴18eの同心度の精度をさらに向上することができる。
(6)上記実施形態では、仕上げ砥粒リーマ23が、完全にバルブガイド穴の全長を通過した後にシート面加工具25がシート面19fの加工を開始するようにした。こうすることにより、バルブガイド穴18eの加工径が長さ方向で仕上げ砥粒リーマ23の摩耗に影響されることなく、長さ方向に同一に高精度に仕上がる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 前記パイロット穴加工具21及びテーパ加工部21aを砥粒に代えて、例えばエンドミルや複数刃によるリーマ等他の工具を用いてもよい。これにより、切削力が向上できる。
○ 前記粗仕上げ砥粒リーマ22、仕上げ砥粒リーマ23を砥粒を用いない通常のリーマに代えてもよい。
○ 前記リーマ又は砥粒リーマをシート面加工具25に対し、進退自在に組み込んだ機構としてもよい。
○ シート面加工具25を砥粒に代えて、カッタを用いてもよい。
○ 粗仕上げ砥粒リーマ22を省略してもよい。
○ 仕上げ砥粒リーマ23がバルブガイド穴18eを完全に通過しない状態で、シート面加工具25によりバルブシート19にシート面19fを加工するようにしてもよい。
○ 加工工具16からシート面加工具25を分離したタイプの加工装置として具体化してもよい。
○ シート面加工具25の加工部25aをセグメント状に形成してもよい。
○ 加工工具16をコンタリング運動させるコンタリング運動付与機構を、別途専用に構成してもよい。
○ テーブル11をZ軸方向に往復動する機構を備えた加工装置に具体化してもよい。
この発明のシリンダヘッドのバルブシート及びバルブガイドの加工に用いられる加工工具を示す正面図。 シリンダヘッドの加工装置を示す略体正面図。 シリンダヘッドの加工動作の制御回路図。 シリンダヘッドのバルブシートの加工動作を示す縦断面図。 図4のバルブシートの一部拡大断面図。 図4のパイロット穴加工具のコンタリング運動を説明する拡大横断面図。 バルブガイドのパイロット穴の加工動作を説明する縦断面図。 図7のパイロット穴加工具の加工動作を説明する拡大横断面図。 バルブガイドのパイロット穴の開口縁内周の面取り加工動作を説明する縦断面図。 図9のパイロット穴加工具の加工動作を説明する拡大横断面図。 バルブガイドの粗仕上げバルブガイド穴の加工動作を説明する縦断面図。 図11の粗仕上げ砥粒リーマの拡大横断面図。 バルブガイドのバルブガイド穴及びバルブシート面の仕上げ加工動作を説明するための縦断面図。 図13のバルブガイド及び仕上げ砥粒リーマを通る拡大横断面図。
符号の説明
d1,d2,d3…外径寸法、10…ベッド、13…X軸サドル、14…主軸装置、16…加工工具、16a…工具本体、17…シリンダヘッド、18…バルブガイド、18a…ガイド穴下穴、18b…パイロット穴、18c…テーパ部、19e…テーパ部、18e…バルブガイド穴、19…バルブシート、19a…シート面下穴、19b,19c…逃し面、19d…角部、19f…バルブシート面、21…パイロット穴加工具、21a…テーパ加工部、22…粗仕上げ砥粒リーマ、23…仕上げ砥粒リーマ、25…シート面加工具、25a…加工部、31…制御装置。

Claims (2)

  1. 柱状をなす工具本体の先端部に、パイロット穴加工具、粗仕上げ砥粒リーマ及び仕上げ砥粒リーマを同一軸線上に先端側から順に設け、前記工具本体の基端部にシート面加工具を設けてなるシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工工具を用いて、シリンダヘッドに設けたバルブシートに予め形成されたシート面下穴に対し同一軸線上で回転するシート面加工具により仕上げ加工してバルブシート面を形成するシート面形成工程と、シリンダヘッドに設けたバルブガイドに予め形成されたガイド穴下穴に対し同一軸線上で回転する粗仕上げ砥粒リーマ及び仕上げ砥粒リーマで仕上げ加工してバルブガイド穴を形成するバルブガイド穴形成工程とを含むシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法において、
    前記シート面形成工程に先行して、前記シート面下穴に対し、前記パイロット穴加工具の先端部に同心状に形成したテーパ加工部を工具本体軸の回転及び旋回運動により回転及びコンタリング運動させて接触し、テーパ部を形成するようにし、
    次に、前記バルブガイド穴形成工程に先行して、前記ガイド穴下穴の開口端側の内周面に対し、前記工具本体の先端部に設けたパイロット穴加工具を工具本体軸の回転と旋回運動により回転及びコンタリング運動させて接触し、パイロット穴を形成するようにし
    前記パイロット穴加工具によって加工されたパイロット穴の開口端側の内周角部に対し、前記テーパ加工部を工具本体軸の回転及び旋回運動により回転及びコンタリング運動させて接触し、テーパ部を形成し、
    その後、前記ガイド穴下穴に対し同一軸線上で回転する前記粗仕上げ砥粒リーマ及び前記仕上げ砥粒リーマで粗仕上げ及び仕上げ加工してバルブガイド穴を形成し、
    前記仕上げ砥粒リーマがバルブガイド穴の全長を通過して仕上げ加工が終了した後に、前記シート面加工具がバルブシートに形成された前記テーパ部に接触し、バルブシート面を形成するようにしたことを特徴とするシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工方法。
  2. ベッドに装設されたシリンダヘッドの支持テーブルと、
    ベッドに装着され、かつ、柱状をなす工具本体の先端部に、パイロット穴加工具、粗仕上げ砥粒リーマ及び仕上げ砥粒リーマを同一軸線上に先端側から順に設け、前記工具本体の基端部にシート面加工具を設けてなるシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工工具を積極回転可能に装着する主軸装置と、
    ベッドと主軸装置との間に装着され、かつ前記主軸装置の主軸に回転及び旋回運動によるコンタリング運動を付与するコンタリング運動付与機構と、
    支持テーブル又は主軸装置を前後動する前後動機構と、
    前記コンタリング運動付与機構の動作を制御して主軸装置に支持された加工工具にコンタリング運動を付与するための制御信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置から制御信号を出力して加工工具に直交2軸送りでコンタリング運動を付与し、シリンダヘッドに設けたバルブガイドに予め形成されたガイド穴下穴の開口端側の内周面に対し、前記工具本体の先端部に設けたパイロット穴加工具でパイロット穴を形成し、前記仕上げ砥粒リーマがバルブガイド穴の全長を通過して仕上げ加工が終了した後に、前記シート面加工具がバルブシートに接触し、バルブシート面を形成するように構成されていることを特徴とするシリンダヘッドのバルブシート面及びバルブガイド穴の加工装置。
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