JP4123507B2 - 電池、および負極の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム(Li)などの軽金属と合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物を負極活物質として用いた電池、およびこの電池に用いられる負極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子技術の進歩により、電子機器の高性能化、小型化およびポータブル化が飛躍的に進んでいる。それに伴い、長時間便利にかつ経済的に使用することができる電源として、再充電が可能な二次電池の研究が進められている。従来より、二次電池としては、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池あるいはリチウムイオン二次電池などが広く知られている。中でも、リチウムイオン二次電池は、高出力および高エネルギー密度を実現できるものとして注目されている。
【0003】
このリチウムイオン二次電池では、従来より、負極活物質として、難黒鉛化性炭素や黒鉛等の炭素質材料が広く用いられている。これら炭素質材料は、比較的高容量を示し良好なサイクル特性を示すが、近年の高容量化に伴い、更なる高容量化が課題となっており、研究が進められている。例えば特開平8−315825号公報には、炭素質材料の原料および製造条件を選ぶことにより容量を向上させる技術が報告されている。しかし、この技術では、負極放電電位が対リチウム0.8V〜1.0Vであり、電池を構成したときの電池放電電圧が低くなるので、エネルギー密度を大きく向上させることが難しい。さらに、充放電曲線形状にヒステリシスが大きく、各充放電サイクルでのエネルギー効率が低いという問題もあった。
【0004】
一方、他の負極活物質としては、電気化学的に可逆的に生成/分解することを応用したリチウム合金が広く研究されてきた。そのような例としては、Li−Al合金や、あるいは米国特許第4950566号公報に開示されたSi合金がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Li−Al合金またはLi−Si合金は、充放電に伴い炭素質材料とは比べものにならないくらい大きく膨張収縮するので、充放電サイクルを繰り返すたびに負極が微粉化し、サイクル特性が極めて低いという問題があった。そこで、サイクル特性を改善するため、リチウム合金中にリチウムのドープ・脱ドープに伴う膨張収縮に関与しない元素を添加する等の方法が検討されてきた。例えば特開平6−325765号公報にはLix SiOy (x≧0,2>y>0)、特開平7−230800号公報にはLix Si1-y M1y Oz (x≧0,1>y>0,0<z<2,M1はTi,W,Mnなどの金属元素)、特開平7−288130号公報にはLi−Ag−Te系合金が提案されている。ところが、これらの方法によっても、充放電に伴う膨張収縮に由来するサイクル劣化を抑制することは困難であり、リチウム合金の高容量という特長を活かしきれていないのが実状である。
【0006】
なお、特開平11−120705号公報には、1つ以上の非金属元素を含む、炭素を除く4B族化合物を用いた高容量負極が報告されているが、この報告によってもなお上述の充放電サイクル劣化の問題は解消に至っていない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、リチウムなどの軽金属と合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物を負極活物質に用い、優れたサイクル特性を得ることができる電池、および負極の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、軽金属と合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む負極活物質層と、負極活物質層と同形の箔状部材と網目状部材とを負極活物質層の側からこの順に重ねた構造を有すると共に、箔状部材の負極活物質層に対向する側の全面に網目状突起が分布しており、負極活物質層の面内方向における膨張および収縮を抑制する構造部材とを備えたものである。
本発明による負極の製造方法は、箔状部材に、軽金属と合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む負極活物質層を形成する工程と、箔状部材に負極活物質層を形成したのち、箔状部材に同形の網目状部材を当てて加圧することにより、網目状部材の形状を箔状部材の反対側の全面に転写して、箔状部材の負極活物質層に対向する側の全面に分布する網目状突起を形成する工程とを含むようにしたものである。
【0009】
本発明による電池では、充放電に伴い負極活物質層が膨張収縮するが、枠構造を有する構造部材により、負極活物質層の面内方向における膨張・収縮が抑制される。よって、負極活物質層の膨張および収縮に起因する負極活物質層の微細化や剥落などが防止され、サイクル特性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池はいわゆるコイン型といわれるものであり、外装缶11内に収容された円板状の正極12と外装カップ13内に収容された円板状の負極14とが、セパレータ15を介して対向配置されている。外装缶11および外装カップ13の内部は液状の電解質である電解液16により満たされており、外装缶11および外装カップ13の周縁部は絶縁ガスケット17を介してかしめられることにより密閉されている。外装缶11および外装カップ13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウム(Al)などの金属によりそれぞれ構成されている。
【0012】
正極12は、例えば、負極14の側に配置された正極活物質層12aと、外装缶11の側に外装缶11に接して配置された正極集電体12bとを有している。正極集電体12bは、例えば、アルミニウム箔,ニッケル箔あるいはステンレス箔などの金属箔により構成されている。
【0013】
正極活物質層12aは、例えば、正極活物質として、軽金属であるリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて黒鉛などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、TiS2 ,MoS2 ,NbSe2 あるいはV2 O5 などのリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物などや、またはリチウム酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物などのリチウム含有化合物、または高分子材料が挙げられる。
【0014】
特に、エネルギー密度を高くするには、一般式Lia M2O2 で表されるリチウム複合酸化物あるいはリチウムを含んだ層間化合物が好ましい。なお、M2は1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト(Co),ニッケルおよびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種が好ましい。aは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦a≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物などの具体例としては、LiCoO2 ,LiNiO2 ,Lib Nic Co1-c O2 (bおよびcは電池の充放電状態によって異なり、通常0<b<1、0.7<c<1.02の範囲内の値である)あるいはスピネル型構造を有するLiMn2 O4 などが挙げられる。
【0015】
負極14は、例えば、正極12の側に配置された負極活物質層14aと、外装カップ13の側に外装カップ13に接して配置された負極集電体14bとを有している。
【0016】
負極活物質層14aは、例えば、負極活物質として軽金属であるリチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。これらの単体、合金および化合物は高いエネルギー密度を得ることができるので負極活物質として好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体,共晶(共融混合物),金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
【0017】
このような金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム,インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)などが挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式Mas Mbt Liu 、あるいは化学式Map Mcq Mdr で表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種、Mbはリチウム以外およびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種、Mcは非金属元素の少なくとも1種、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種をそれぞれ表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
【0018】
中でも、4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、更に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物であり、特に好ましいのはケイ素またはケイ素を含む合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0019】
このような合金あるいは化合物について具体的に例を挙げれば、LiAl,Li−AlM3(M3は2A,3B,4B遷移金属元素のうち1つ以上からなる),AlSb,CuMgSb,SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Mg2 Sn,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 N4 ,Si2 N2 O,Ge2 N2 O,SiOv (0<v≦2),SnOw (0<w≦2),SnSiO3 ,LiSiOあるいはLiSnOなどがある。
【0020】
負極活物質層14aは、また、負極活物質または導電剤として、炭素質材料あるいは導電性高分子材料を含むことが好ましい。負極14の導電性を向上させるためである。炭素質材料および導電性高分子材料はリチウムを吸蔵・離脱可能なものでも不可能なものでもどちらでもよく、可能な場合には負極活物質および導電剤として機能し、不可能な場合には導電剤として機能する。
【0021】
炭素質材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素,人造黒鉛,天然黒鉛,熱分解炭素類,コークス類,グラファイト類,ガラス状炭素類,有機高分子化合物焼成体,炭素繊維,活性炭あるいはカーボンブラック類が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス,ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。導電性高分子材料としては、例えば、ポリアセチレン,ポリパラフェニレン,ポリチオフェンなどのn型導電性高分子材料が挙げられる。
【0022】
なお、負極活物質として、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金または化合物と、上述したような他の材料とを組合せて用いる場合には、負極14に含まれる負極活物質のうち、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物の質量比が、5%以上であることが好ましい。これら単体,合金および化合物の割合が低いと、エネルギー密度を十分に高くすることができないからである。
【0023】
負極集電体14bは、枠構造を有し、負極活物質層14aの膨張および収縮を抑制する構造部材により構成されている。この構造部材としては、例えば図2に示したように、負極活物質層14aに対向する側の表面に、枠構造として、網目状突起14cを有するものが好ましい。また、図示しないが、枠構造として網目形状を有するもの、例えば少なくとも一部が網目形状となっているものも好ましい。このような枠構造により、負極活物質層14aの面内方向における膨張および収縮を抑制することができるからである。網目状突起14cは、例えば圧延により直接的に形成されたものでもよく、また例えば図3に示したように箔状部材14dと網目状部材14eとを組合せることにより形成されたものでもよい。
【0024】
網目状部材14eは、例えばニッケルやステンレスなどの金属からなる細線を、図3のように縦横に交差させて相互にくぐらせたもの、すなわち織ったものでもよく、あるいは同様の細線を編んだものでもよい。ちなみに同じ太さの細線であればニッケルの方がステンレスよりも硬いので、織目または網目がくずれにくく、高い効果を得ることができ、好ましい。また、網目状部材14eは、例えば金属箔に多数の切れ込みを入れて両方向に引き延ばし、多数の菱形の孔を形成したエキスパンドメタルでもよく、金属箔に多数の孔を打ち抜いたものでもよい。
【0025】
網目状突起14cの網目の大きさ、すなわち網目の目開きの最大長は、1/400in以上1/4in未満(2.54/400cm以上2.54/4cm未満)であることが好ましい。特に、網目状部材14eが金属の細線を織り、または編んだものであれば、400メッシュ以上4メッシュ未満であることが好ましい。ここで「メッシュ」とは、ふるいの目の大きさを表す単位であって、「長さ1inについての孔の数」と定義される。この範囲内において、より効果的に負極活物質層14aの膨張および収縮を抑制することができるからである。この範囲内であれば、網目状突起14cの網目の形状は図2のような略正方形の格子状に限られるものではなく、三角形、菱形、六角形などどのようなものでもよい。
【0026】
セパレータ15は、正極12と負極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ15は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。
【0027】
電解液16は、溶媒に電解質塩としてリチウム塩を溶解させたものであり、リチウム塩が電離することによりイオン伝導性を示すようになっている。リチウム塩としては、LiPF6 ,LiClO4 ,LiAsF6 ,LiBF4 ,LiCF3 SO3 ,LiN(CF3 SO2 )2 ,LiN(C2 F5 SO2 )2 ,LiC(CF3 SO2 )3 あるいはLiC4 F9 SO3 などが適当であり、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。なお、電解質の塩濃度は、良好なイオン伝導度が得られるように0.1〜2.0mol/lあるいは0.1〜2.0mol/kgとすることが好ましい。
【0028】
溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γーブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート,テトラヒドロフラン,1,3−ジオキソラン,4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル,メチルスルホラン,アセトニトリル,プロピオニトリル,アニソール,酢酸エステル,酪酸エステル,プロピオン酸エステルなどの非水溶媒が好ましく、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。
【0029】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0030】
まず、例えば、正極活物質と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製したのち、この正極合剤を正極集電体12bと共に圧縮成型してペレット形状とすることにより正極活物質層12aを形成し、正極12を作製する。その際、正極合剤にN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤を添加して正極合剤スラリーとし、正極集電体12bに塗布して乾燥させたのち、圧縮成型するようにしてもよい。
【0031】
次いで、例えば、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物のうちの少なくとも1種の粉末を負極活物質として用意する。続いて、例えば、その単体,合金および化合物のうちの少なくとも1種と結着剤と必要に応じて他の負極活物質または導電剤とを混合して負極合剤を調整したのち、この負極合剤を負極集電体14bと共に圧縮成型してペレット形状とすることにより負極活物質層14aを形成し、負極14を作製する。その際、正極活物質層12aと同様に、負極合剤にN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤を添加して負極合剤スラリーとし、負極集電体14bに塗布して乾燥させたのち、圧縮成型するようにしてもよい。
【0032】
リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物は、例えばメカニカルアロイング法、あるいは、原料化合物を混合して不活性雰囲気下あるいは還元性雰囲気下で加熱処理する方法で作製することができる。これら単体,合金および化合物を粉砕する場合には、粉砕後の最大粒子径が負極活物質層14aの塗布厚みを下回るように粉砕すればよく、ボールミル粉砕,ジェットミル粉砕など、方法は問わない。目的とする効果を得るためには平均粒子径(体積平均粒子径)を50μm以下、更には20μm以下とすることが好ましい。
【0033】
また、上記単体,合金および化合物を粉砕せずに用いる場合には、化学気相成長法,スパッタ法あるいはホットプレス法などにより、負極活物質層14aを上記単体,合金および化合物の成型体として形成してもよい。
【0034】
上記単体,合金および化合物へのリチウムのドープは、電池作成後に電池内で電気化学的に行われてもよく、電池作成後あるいは電池作成前に、正極12あるいは正極12以外のリチウム源から供給され電気化学的にドープされてもよい。あるいは、合成の際にリチウム含有材料として合成され、電池作成時に負極14に含有されているようにしてもよい。
【0035】
なお、負極集電体14bとして箔状部材14dと網目状部材14eとを組み合わせた構造部材を用いる場合には、例えば、箔状部材14dに負極活物質層14aを形成したのち、箔状部材14dに網目状部材14eを当てて加圧することにより負極14を作製するようにしてもよい。または、箔状部材14dと網目状部材14eとを組み合わせたのち、負極活物質層14aを形成するようにしてもよい。このような場合、箔状部材14dはごく薄い金属箔なので、箔状部材14dには、一方の面に押しつけられまたは組み合わされた網目状部材14eの形状がそのまま反対側の面に転写されて、網目状突起14cが形成される。
【0036】
そののち、例えば、正極12、セパレータ15および負極14の順に積層して外装缶11の中に入れ、電解液16を注入したのち、ガスケット17を介して外装缶11と外装カップ13とをかしめる。これにより、図1に示した二次電池が形成される。
【0037】
なお、電池系内に存在するリチウムは必ずしもすべて正極12あるいは負極14から供給される必要はなく、電極あるいは電池の製造過程で、電気化学的に正極12あるいは負極14にドープしてもよい。
【0038】
この二次電池は次のように作用する。
【0039】
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極12からリチウムイオンが離脱し、電解液16を介して負極14に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極14からリチウムイオンが離脱し、電解液16を介して正極12に吸蔵される。この充放電に伴い、負極活物質層14aは膨張・収縮するが、負極集電体14bが枠構造を有する構造部材により構成されているので、枠構造により負極活物質層14aの面内方向における膨張・収縮が抑制される。よって、負極活物質層14aの膨張および収縮に起因する負極活物質層14aの微細化や剥落などが防止され、サイクル特性が向上する。
【0040】
このように本実施の形態の電池によれば、負極集電体14bを枠構造を有する構造部材により構成するようにしたので、負極活物質としてリチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を用いても、充放電に伴う負極活物質層14aの面内方向における膨張・収縮を抑制することができる。よって、負極活物質層14aの膨張および収縮に起因する負極活物質層14aの微細化や剥落などを防止することができ、サイクル特性を向上させることができる。
【0041】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について、図1ないし図3を参照し、同一の符号を用いて詳細に説明する。
【0042】
まず、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを、Li2 CO3 :CoCO3 =0.5:1(モル比)の割合で混合し、空気中において900℃で5時間焼成して、正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。次いで、このリチウム・コバルト複合酸化物91質量部と、導電剤であるグラファイト6質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤を調整した。続いて、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して正極合剤スラリーとし、厚み20μmの帯状アルミニウム箔よりなる正極集電体12bの一面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して直径15.5mmのペレットに打ち抜いた。こうして、正極活物質層12aを形成し、正極12を作製した。
【0043】
また、負極活物質としてMg2 Siを粉砕して平均粒径15μmとした。さらに負極活物質および導電剤として人造黒鉛粉末を用意し、Mg2 Si粉末50質量部と人造黒鉛粉末40質量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤を調整した。次いで、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散して負極合剤スラリーとしたのち、厚み15μmの帯状銅箔よりなる箔状部材14dの一面に均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して直径16mmのペレットに打ち抜き、負極活物質層14aを形成した。
【0044】
続いて、箔状部材14dに網目状部材14eを当てて適当な圧力で加圧し(図3参照)、負極活物質層14aに対向する側の面に網目状突起14cを有する負極集電体14bを形成した。網目状部材14eとしては、ニッケルの細線を織ったメッシュ状のものを使用した。網目状部材14eの網目の大きさ、すなわち網目状突起14cの網目の大きさは、40メッシュとした。これにより、負極14を作製した。
【0045】
そののち、厚さ25μmの微孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータ15を用意し、正極12,セパレータ15および負極14を順に積層し、外装缶11内に挿入した後、電解液16を注入した。電解液16には、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを炭酸エチレン:炭酸ジエチル=1:1の質量比で混合した溶媒に電解質塩としてLiPF6 を1.0mol/lの含有量で溶解させたものを用いた。その後、ガスケット17を介して外装缶11と外装カップ13とをかしめて封止し、図1に示したような直径20mm、高さ2.5mmのコイン型の二次電池を作製した。
【0046】
本実施例に対する比較例として、網目状部材14eを押圧せず負極集電体14bに網目状突起14cを形成しないようにしたことを除き、他は本実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0047】
また、本実施例に対する参照例1として、Mg2 Si粉末50質量部と人造黒鉛粉末40質量部に代えて、負極活物質として天然黒鉛90質量部を用いたことを除き、他は実施例と同様にして二次電池を作製した。
【0048】
さらに、本比較例に対する参照例2として、Mg2 Si粉末50質量部と人造黒鉛粉末40質量部に代えて、負極活物質として天然黒鉛90質量部を用いたことを除き、他は比較例と同様にして二次電池を作製した。
【0049】
得られた実施例および比較例、ならびに参照例1,2の二次電池について充放電試験を行い、1サイクル目の放電容量を100とした場合の100サイクル目の放電容量を調べた。充放電は20℃で1mAの定電流定電圧充電を上限4.2Vまで行ったのち、1mAの定電流放電を終止電圧2.5Vまで行い、同一の条件で100サイクル繰り返した。得られた結果を表1に示す。なお、1サイクル目の放電容量は、実施例および比較例の両方とも等しい値であり、負極14の単位体積あたりの容量に換算すると参照例1,2の約1.85倍であった。
【0050】
【表1】
【0051】
表1から分かるように、網目状突起14cを設けた本実施例の方が、網目状突起14cを設けない比較例に比べて、100サイクル目の放電容量維持率が高かった。これに対して、負極活物質として天然黒鉛のみを用いた参考例1,2では、網目状突起14cによる放電容量維持率の向上は見られなかった。また、100サイクル後に電池を解体し、負極14を観察したところ、比較例の負極活物質層14aは負極集電体14bから脱落した部分が多かったのに対し、実施例の負極活物質層14aはそのような現象が見られなかった。すなわち、負極活物質としてリチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を用いた場合において、網目状突起14cを設けるようにすれば、放電容量およびサイクル特性を向上させることができることが分かった。
【0052】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、負極集電体14bに枠構造として網目状突起14cを設けて、負極活物質層14aの膨張および収縮を抑制するようにしたが、枠構造として網目状突起14cを設けるのは負極集電体14bには限られない。例えば負極集電体14bとは別に、枠構造として網目状突起を設けた構造部材を設け、この構造部材によって負極活物質層14aの膨張および収縮を抑制するようにしてもよい。あるいは負極集電体14bを省略して、外装カップ13に網目状突起14cを設け、負極活物質層14aの膨張および収縮を抑制するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた有機固体電解質、イオン伝導性セラミックス,イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質、またはこれらの無機固体電解質と電解液とを混合したもの、またはこれらの無機固体電解質とゲル状の電解質あるいは有機固体電解質とを混合したものが挙げられる。無機固体電解質としては、例えば窒化リチウム,よう化リチウムが挙げられる。
【0054】
なお、ゲル状電解質の高分子化合物としては、例えばポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニリデンの共重合体が挙げられ、その共重合体モノマーとしてはヘキサフルオロプロピレンあるいはテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
【0055】
高分子化合物としては、他にも、例えばポリアクリロニトリルおよびポリアクリロニトリルの共重合体を用いることができ、その共重合体モノマー、例えばビニル系モノマーとしては酢酸ビニル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸ブチル,アクリル酸メチル,アクリル酸ブチル,イタコン酸,水素化メチルアクリレート,水素化エチルアクリレート,アクリルアミド,塩化ビニル,フッ化ビニリデンあるいは塩化ビニリデンなどが挙げられる。また他にも、アクリロニトリルブタジエンゴム,アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂,アクリロニトリル塩化ポリエチレンプロピレンジエンスチレン樹脂,アクリロニトリル塩化ビニル樹脂,アクリロニトリルメタアクリレート樹脂あるいはアクリロニトリルアクリレート樹脂などを用いてもよい。
【0056】
高分子化合物としては、更に、例えばポリエチレンオキサイドおよびポリエチレンオキサイドの共重合体を用いてもよく、その共重合モノマーとしては、ポリプロピレンオキサイド,メタクリル酸メチル,メタクリル酸ブチル,アクリル酸メチルあるいはアクリル酸ブチルなどが挙げられる。また他にも、ポリエーテル変性シロキサンおよびその共重合体を用いてもよい。
【0057】
高分子化合物の含有量は、良好なゲル状とするには、電解液に対して5質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
【0058】
また、ゲル状電解質は、室温で1mS/cm以上のイオン伝導度を示すものであればよく、例えば電解液を高分子化合物に膨潤させた高分子固体電解質も含む。この場合の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイド,ポリプロピレンオキサイド,ポリフォスファゼン,ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0059】
更に、上記実施の形態および実施例においては、負極14においてリチウムが吸蔵・離脱される場合について説明したが、本発明は、負極14においてリチウムが吸蔵・離脱されると共に、析出・溶解もされる場合についても同様に適用することができる。すなわち、負極14の容量が、軽金属の吸蔵および離脱による容量成分と、軽金属の析出および溶解による容量成分との和により表され、充電の途中において負極14に軽金属が析出する電池についても適用される。
【0060】
更に、上記実施の形態および実施例においては、軽金属としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができる。その際、正極活物質、負極活物質、非水溶媒、あるいは電解質塩などは、その軽金属に応じて選択される。
【0061】
更にまた、上記実施の形態および実施例では、二次電池を具体的に挙げて説明したが、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電池によれば、負極活物質層と同形の箔状部材と網目状部材とを負極活物質層の側からこの順に重ねた構造を有すると共に、箔状部材の負極活物質層に対向する側の全面に網目状突起が分布した構造部材を備えているので、また、請求項5記載の負極の製造方法によれば、網目状突起を、箔状部材にこれと同形の網目状部材を当てて加圧することにより、網目状部材の形状を箔状部材の反対側の全面に転写して形成するようにしたので、負極活物質として軽金属と合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を用いても、負極活物質層の面内方向における負極活物質層の膨張・収縮を抑制することができる。よって、負極活物質層の膨張および収縮に起因する負極活物質層の微細化や剥落などを防止することができ、サイクル特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した負極の一構成例を表す分解斜視図である。
【図3】図2に示した負極集電体の一例を表す分解斜視図である。
【符号の説明】
11…外装缶、12…正極、12a…正極活物質層、12b…正極集電体、13…外装カップ、14…負極、14a…負極活物質層、14b…負極集電体、14c…網目状突起、14d…箔状部材、14e…網目状部材、15…セパレータ、16…電解液、17…ガスケット
Claims (5)
- 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、
軽金属と合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む負極活物質層と、
前記負極活物質層と同形の箔状部材と網目状部材とを前記負極活物質層の側からこの順に重ねた構造を有すると共に、前記箔状部材の前記負極活物質層に対向する側の全面に網目状突起が分布しており、前記負極活物質層の面内方向における膨張および収縮を抑制する構造部材と
を備えたことを特徴とする電池。 - 前記構造部材は、負極集電体を構成することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記網目状突起は、前記箔状部材の前記負極活物質層に対向する側の面に前記網目状部材の形状が転写されたものであることを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記負極活物質層,前記箔状部材および前記網目状部材は、直径の等しい円形であると共に同心に重ねられていることを特徴とする請求項1記載の電池。
- 箔状部材に、軽金属と合金を形成可能な金属元素または半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む負極活物質層を形成する工程と、
前記箔状部材に前記負極活物質層を形成したのち、前記箔状部材に同形の網目状部材を当てて加圧することにより、前記網目状部材の形状を箔状部材の反対側の全面に転写して、前記箔状部材の前記負極活物質層に対向する側の全面に分布する網目状突起を形成する工程と
を含むことを特徴とする負極の製造方法。
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