JP4123603B2 - 新規な共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品の電気絶縁材料等の機能性材料として使用され、何れも嵩高い置換基を有するフマレートジエステルとアルキルビニルエーテルとから形成される低吸湿性及び低誘電特性に優れた新規な共重合体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フマレートジエステル(DRF)類はラジカル単独重合しないとされて来たが、大津らは、ほとんどすべてのDRFが単独重合性を示すことを報告〔T. Otsu ,et al, Polym. Bull., 12, 449(1984) 〕し、特に直鎖アルキル基を有するものに比べ、分岐アルキル基を有するDRFの方が反応性が高くなることを明らかにした〔 T.Otsu et al, Macromol. Sci-Chem., A25, 537(1988)〕。
【0003】
各種DRFの中でも、ジイソプロピルフマレート(DiPF)や、ジシクロヘキシルフマレート(DcHF)のラジカル単独重合性が比較的高く、通常のラジカル重合条件下で分子量が10万程度の単独重合体が容易に得られ、生成重合体は200℃以上でも軟化せず、一般の熱可塑性ビニル重合体と比べて高い耐熱性を示し、さらに吸湿性及び誘電率の低い樹脂である。一方でこれらの重合体の機械的強度は他の重合体と比較して弱いため、この重合体の耐熱性を利用して熱可塑性樹脂の改質を目的とした検討がなされている(特開昭62−169807号公報)。
【0004】
また、DRFはその構造から容易に理解されるように、電子受容性の強い単量体であるため、(メタ)アクリル酸エステルやアクリロニトリルの様な極性のある単量体との共重合反応性は低いが、スチレンやビニルエステル、ビニルエーテル類の様な電子供与性の単量体との共重合性は比較的高く、これら単量体との共重合が検討されている。
【0005】
一方、アルキルビニルエーテル類もまたラジカル単独重合性が非常に乏しい単量体であるが、無水マレイン酸の様な電子受容性の単量体との共重合反応性が高いため、有用なラジカル共重合性単量体として種々の分野で用いられている。例えば、無水マレイン酸とメチルビニルエーテルの共重合体は、ポリアクリル酸やポリビニルピロリドンと同様に水溶性高分子として知られ、利用価値の高い材料となっている。
【0006】
ところで、最近、Lapin. S. C. et alやDeckerらは、直鎖ジアルキルフマレート類と直鎖アルキルビニルエーテル類との光〔紫外線(UV)〕重合性に関して報告(Lapin. S.C., Radtech. Asia、'93, Tokyo, Japan, 1993, 149,Decker, C., Acta. Pokymer, 45, 333(1994))し、(メタ)アクリル系単量体と同様の重合反応性を有していることを示し、UVレジストとして使用できる可能性を述べている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、DRFの中で比較的重合反応性の高いDiPFやDcHFであっても、例えばスチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニロリル、酢酸ビニル等とそのラジカル単独重合性を比較すると反応性はかなり劣る。しかも、これらのDRFは熱重合性(無触媒重合性)がないため、重合転化率はせいぜい90%程度が限界である。従って、これらDRFを紫外線や電子線等による光硬化系に応用しようとした場合、重合反応速度、重合転化率だけでなく、硬化物の機械特性の点でも、(メタ)アクリル酸エステル類に比して性能的に劣っているという問題があった。
【0008】
また、ビニルエステルやビニルエーテル類との共重合では、重合に関する問題はかなり改善されるが、得られる重合体の機械的物性及び熱的特性にはそれほど特徴がなく、用途展開が進んでいないのが現実である。
【0009】
このため、フマレートジエステル重合体の特徴である耐熱性、低吸湿性及び低誘電率特性を損なわず、フマレートジエステルを高重合転化率でほぼ完全に重合体化し、ポリフマレートの低い機械的強度を改善でき、機能性材料として有用な共重合体が要望されている。
【0010】
この発明は、以上のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、低吸湿性、低誘電特性、耐熱性及び機械的物性に優れ、機能性材料として有用である新規な共重合体を提供することにある。その他の目的とするところは、重合反応速度及び重合転化率に優れた共重合体の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明における第1の発明は、下記の一般式(1)で表され、ランダム構造を有する共重合体である。
【0012】
【化2】
【0013】
(但し、式中のXは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表し、Yは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表し、mは30以上の整数を表し、nは10以上の整数を表し、Zは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
第2の発明の共重合体は、第1の発明において、重量平均分子量が15000〜60000である。
【0016】
第3の発明の共重合体は、第1又は第2の発明において、フマレートジエステルと、アルキルビニルエーテルとから形成され、前記フマレートジエステルが50〜95モル%であり、アルキルビニルエーテルが5〜50モル%である。
【0017】
第4の発明の共重合体の製造方法は、下記の一般式(2)で表されるフマレートジエステルと、下記の一般式(3)で表されるアルキルビニルエーテルとを混合し、ラジカル重合反応を行うものである。
【0018】
XOOC−CH=CH−COOY ・・・(2)
(但し、式中のXは、炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表し、Yは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
Z−O−CH=CH2 ・・・(3)
(但し、式中のZは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
新規な共重合体は、下記の一般式(1)で表されるものである。
【0020】
【化3】
【0021】
(但し、式中のXは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表し、Yは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表し、mは30以上の整数を表し、nは10以上の整数を表し、Zは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
式中のX、Y、Z、m及びnの範囲は、共重合体が低吸湿性、低誘電特性、耐熱性及び機械的物性を発揮できるという観点から規定されている。
【0022】
この新規な共重合体は、下記の一般式(2)で表されるフマレートジエステルと、アルフレイプライス(Alfrey-Price)のQ,e理論におけるe値〔重合性単量体の二重結合部分の共鳴(Q値)及び極性(e値)の程度を表す経験的パラメーターであって、スチレンを基準(Q=1.0、e=−0.8)とする。〕が、−0.2より小さい電子供与性単量体とから形成されるものが好ましい。この電子供与性単量体のe値は、重合反応性の点から−0.2〜−1.8の範囲であることがより好ましい。
【0023】
XOOC−CH=CH−COOY ・・・(2)
(但し、式中のXは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表し、Yは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
上記のような一般式(2)で表されるフマレートジエステルと特定のe値を有する電子供与性単量体とを使用することにより、重合反応性を向上させることができる。
【0024】
式(2)中のX,Yが炭素数3〜6の分岐アルキル基である官能基の具体例としては、イソプロピル基、1−クロロ−2−プロピル基、1、3−ジクロロ−2−プロピル基、sec −ブチル基、3−クロロ−2−ブチル基、tert- ブチル基、sec −アミル基、3−ペンチル基、 tert- アミル基等が挙げられる。
【0025】
フマレートジエステルの具体例としては、ジイソプピルフマレート、ジ-sec−ブチルフマレート、ジ−tert−ブチルフマレート、ジイソブチルフマレート、ジ−sec −アミルフマレート、ジ−tert−アミルフマレート、ジ−sec −アミルフマレート、イソプロピル−sec −ブチルフマレート、イソプロピル−tert−ブチルフマレート、sec −ブチル−tert−ブチルフマレート、sec −ブチル−tert−アミルフマレート、 tert−ブチル−イソアミルフマレート等が挙げられる。
【0026】
X,Yが炭素数4〜6のシクロアルキル基で表される官能基の具体例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−クロロ−シクロヘキシル基、4−tert−ブチル−シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0027】
フマレートジエステルの具体例としては、ジシクロブチルフマレート、ジシクロペンチルフイマレート、ジシクロヘキシルイフマレート、ビス(4−クロロ−シクロヘキシル)フマレート、ビス(4−tert−ブチル−シクロヘキシル)フマレート等が挙げられる。
【0028】
Xがアルキル基で、Yがシクロアルキル基を有するフマレートジエステルの具体例としては、イソプロピル−シクロブチルフマレート、1−クロロ−2−プロピル−シクロペンチルフマレート、1,3−ジクロロ−2−プロピル−シクロヘキシルフマレート、sec −ブチル−シクロヘキシルフマレート、3−クロロ−2−ブチル−シクロヘキシルフマレート、tert- ブチル−シクロペンチルフマレート、tert−ブチルシクロヘキシルフマレート、sec −アミル−シクロヘキシルフマレート、 tert- アミル−シクロヘキシルフマレート、ネオペンチル−シクロペンチルフマレート、4−メチル−2−ペンチル−シクロヘキシルフマレート、2−エチル−ヘキシル−シクロヘキシルフマレート等が挙げられる。
【0029】
前記フマレートジエステル類の製造方法としては、通常行われる合成手段の全てが使用可能である。そのような合成手段としては、例えば1)フマル酸と相当するアルコール類とのエステル化反応、2)マレイン酸と相当するアルコールとのエステル化反応及びフマル酸エステルへの異性化反応、3)無水マレイン酸と第1アルコールとの等モル反応及びその後の第2アルコールとのエステル化反応並びにフマル酸エステルへの異性化反応、4)フマリルクロリドと相当するアルコールとの反応等の手段が採用される。
【0030】
上記フマレートジエステルのうち、比較的分子量の小さいものは常温で液体又は低融点の結晶であるが、分子量の大きいものは固体となる傾向が強い。
前記電子供与性単量体は、下記の一般式(3)で表されるアルキルビニルエーテルであることが好ましい。
【0031】
Z−O−CH=CH2 ・・・(3)
(但し、式中のZは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
Zは炭素数3〜6、好ましくは4〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。
【0032】
Zが炭素数3〜6の分岐アルキル基である官能基の具体例としては、イソプロピル基、tert−ブチル基、sec −ブチル基、イソブチル基、tert−アミル基、1−クロロイソプロピル基、1,3−ジクロロイソプロピル基等を挙げることができる。アルキルビニルエーテルの具体例としては、イソプロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、sec −ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、1−クロロイソプロピルビニルエーテル、1,3−ジクロロイソプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0033】
ここで、例えばイソブチルビニルエーテルのQ,e理論におけるQ値及びe値は、それぞれ0.023及び−1.77である。
また、Zが炭素数4〜6のシクロアルキル基である官能基の具体例としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシ−シクロヘキシシル基、4−メチルロール−シクロヘキシシル基、4−メチル−シクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、メンチル(2−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキシル)基等が挙げられる。
【0034】
シクロアルキルビニルエーテルの具体例として、シクロブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシシルビニルエーテル、4−メチロール−シクロヘキシシルビニルエーテル、4−メチル−シクロヘキシルビニルエーテル、4−tert−ブチルシクロヘキシルビニルエーテル、メンチル(2−イソプロピル−4−メチル−シクロヘキシル)ビニルエーテル等が挙げられる。
【0035】
前記アルキルビニルエーテルの製造方法は通常行われる合成手段の全てが使用可能である。例えば、相当するアルコールとアセチレンを触媒存在下に反応すれば、目的とするアルキルビニルエーテルが容易に得られる。
【0036】
前記共重合体は、その重量平均分子量が15000〜60000であることが望ましい。重量平均分子量がこのような高重合度の範囲であることにより、共重合体の電気的、機械的な物性を良好に維持することができる。
【0037】
また、共重合体は、ランダム構造を有することが好ましい。共重合体がランダム構造を有することから、フマレートジエステルと電子供与性単量体例えばアルキルビニルエーテルとのラジカル共重合により共重合体を容易に得ることができる。
【0038】
以上のような共重合体は、フマレートジエステルとアルキルビニルエーテルとの混合物を重合させることにより容易に合成されるが、共重合体の分子量や機械的物性、耐熱性等は、フマレートジエステル及びアルキルビニルエーテルの種類とその組成に大きく影響される。共重合体の電気絶縁性、誘電特性、耐熱性等の観点から、共重合体を形成する際に仕込まれるフマレートジエステルのモル分率は通常50〜95モル%で、好ましくは65〜85モル%である。従って、アルキルビニルエーテルのモル分率は通常5〜50モル%、好ましくは15〜35モル%である。フマレートジエステルのモル分率が95モル%を越える場合には重合が困難となり、重合体への転化率が低下する。一方、フマレートジエステルのモル分率が50%未満の場合、共重合速度が急激に低下するだけでなく、共重合体の電気的物性及び耐熱性も低下する。
【0039】
共重合体の製造方法は、フマレートジエステル及びアルキルビニルエーテルの混合物中に、熱的にラジカルを発生する重合開始剤を添加し、そのまま塊状重合を行うか、水溶性高分子又は無機系分散剤を含有する水溶液中に分散させて懸濁重合を行うか、共重合体を溶解する有機溶剤中での溶液重合を行うことにより製造される。そのような重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などのアゾ系有機化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、ジ−tert−ブチルペルオキシド(DtBP)、ジクミルペルオキシド(DCP)等の有機過酸化物が挙げられる。
【0040】
また、前記混合物を適当な界面活性剤(乳化剤)等を含む水溶液で乳化させ、次に過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機系熱重合開始剤を添加して、乳化重合に行うことによっても製造することができる。
【0041】
共重合体を電気絶縁材料(誘電体)として使用する場合には、出来る限り不純物の混入が少ない重合方法、即ち塊状重合法又は溶液重合法が好ましい。
さらに、前記単量体混合物に、光照射してラジカルを発生する重合開始剤を添加して、光重合を行っても共重合体を製造することができる。そのような重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ヂエトキシアセトフェノン、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート、ベンゾインイソプロピルエーテル類が挙げられる。また、光重合開始剤が存在しない状態で、γ線や電子線を照射しても重合は進行して共重合体が得られる。
【0042】
さらに、重合開始剤を含有する前記単量体混合物を、紙、木材、プラスチック、金属等の材料表面上に塗布し、不活性ガス中で熱又は光照射により、材料表面上に共重合体を形成することができる。
【0043】
以上の実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 実施形態の新規な共重合体は、前記一般式(1)で表されるものであり、置換基X、Y及びZとして分岐アルキル基又はシクロアルキル基を有するものである。このため、重合性の良い電子受容性のフマレートジエステル及びそれと共重合反応性の良いアルキルビニルエーテルの共重合によって形成されており、ほぼ完全に重合体化されている。従って、共重合体は優れた低吸湿性、低誘電特性、耐熱性及び機械的物性を発揮することができる。
【0044】
・ 実施形態の新規な共重合体は、上記のように優れた電気的、熱的、機械的特性を有していることから、電子部品等の電気絶縁材料、レジスト材料等の機能性材料として有用である。
【0045】
・ 実施形態の共重合体の製造方法によれば、重合性の良い電子受容性のフマレートジエステル及びそれと共重合反応性の良いアルキルビニルエーテルがラジカル共重合される。このため、重合反応速度及び重合転化率を向上させることができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
内容量30mlのガラス製のアンプルにジシクロヘキシルフマレート(DcHF)(50mmol)、tert−ブチルビニルエーテル(tBuVE)(50mmol)、及びtert−ブチルペルオキシネオデカノエート(パーブチルND)(2mmol)を入れ、乾燥した窒素ガスでバブリングを行って十分窒素置換を行った後、アンプルをバーナーにて熔封した。このアンプルを60℃に設定された振蕩式恒温水槽に入れ、重合を6時間行った。
【0047】
重合終了後、アンプルにトルエンを加えて溶解させ、内容物を大量のメタノールに投入して共重合体を沈澱させて分離した。この共重合体を、トルエン−メタノール系溶剤で再沈殿精製操作を行った後、減圧乾燥してDcHF−tBuVEの共重合体を83%の収率で得た。共重合条件、共重合結果及び得られた共重合体のGPCによる分子量測定結果を表1及び表2にまとめた。
【0048】
なお、表1中の略号は、以下の意味を表す。
DnBF:ジn−ブチルフマレート、DiBF:ジイソブチルフマレート、DsBF:ジs−ブチルフマレート、D3PF:ジ3−ペンチルフマレート、DtBF:ジt−ブチルフマレート、DNeopF:ジネオペンチルフマレート、D4MPF:ジ4−メチル−2−ペンチルフマレート、DcPF:ジシクロペンチルフマレート、DcHF:ジシクロヘキシルフマレート,tAmVE:tert−アミルビニルエーテル、cHVE:シクロヘキシルビニルエーテル,iPVE:イソプロピルビニルエーテル、tBuVE:tert−ブチルビニルエーテル、パーブチルPV:tert−ブチルパーオキシピバレート、パークミルND:クミルパーオキシネオデカノエート。
【0049】
なお、上記のtAmVE、cHVE、iPVE及びtBVEのQ,e理論におけるe値は、−0.2〜−1.8の範囲内である
得られた共重合体の熱分析、すなわち示差走査熱量測定法(DSC)及び熱重量測定法(TGA)による分析を行い、それらの結果を表3にまとめた。また、共重合体について、赤外線吸収スペクトル(IR)分析及び核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析を行い、それらのスペクトルを図1及び図2に示した。
【0050】
図1に示す赤外線吸収スペクトル図では、次のような吸収が見られた。
1750cm-1:カルボニル基(>C=O)、2950m-1:メチレン基(−CH2 −)又はメチル基(−CH3 )、1100cm-1:エーテル基(−C−OC)、1400cm-1:t−ブチル基〔−C(CH3 )3 〕、1450cm-1:メチレン基(−CH2 −)又はメチル基(−CH3 )、1150cm-1:エステル基(−COO−)、1000cm-1:シクロ環のメチレン基(−CH2 −)
また、図2の核磁気共鳴スペクトル図では、次のようなピークが見られた。
【0051】
4.8ppm付近:シクロヘキサン環のメチンプロトン、3.8ppm付近:主鎖中のビニルエーテルメチンプロトン、2.8ppm付近:主鎖中のフマレートのメチンプロトン、1.8ppm付近:主鎖中のビニルエーテルメチレンプロトン、1.7〜1.3ppm付近:シクロヘキサン環のメチレンプロトン、1.2ppm付近:t−ブチル基のメチルプロトン
以上のような赤外線吸収スペクトル及び核磁気共鳴スペクトルから、得られた共重合体は前記一般式(1) 中のX及びYがシクロヘキシル基、Zがtert−ブチル基を有するものであることを確認した。
(実施例2)
実施例1のtBuVEの代わりにtert−アミルビニルエーテル(tAmVE)(50mmol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりラジカル共重合を行った。重合条件、共重合結果等を表1及び表2にまとめた。
【0052】
得られた共重合体について、DSC及びTGAによる分析を行い、それらの結果を表3にまとめた。また、共重合体について、IR及びNMR分析を行い、それらのスペクトルを図3及び図4に示した。
【0053】
図3に示す赤外線吸収スペクトル図では、次のような吸収が見られた。
1750cm-1:カルボニル基(>C=O)、2950m-1:メチレン基(−CH2 −)又はメチル基(−CH3 )、1100cm-1:エーテル基(−C−OC)、1400cm-1:tert−アミル基〔−C(CH3 )2 CH2 CH3 〕、1450cm-1:メチレン基(−CH2 −)又はメチル基(−CH3 )、1150cm-1:エステル基(−COO−)、1000cm-1:シクロ環のメチレン基(−CH2 −)
また、図4の核磁気共鳴スペクトル図では、次のようなピークが見られた。
【0054】
4.8ppm付近:シクロヘキサン環のメチンプロトン、3.8ppm付近:主鎖中のビニルエーテルメチンプロトン、2.8ppm付近:主鎖中のフマレートのメチンプロトン、1.8ppm付近:主鎖中のビニルエーテルメチレンプロトン、1.7〜1.3ppm付近:シクロヘキサン環のメチレンプロトン、1.2ppm付近:t−ブチル基のメチルプロトン、0.8ppm付近:tert−アミル基のうちのエチル基のメチルプロトン
これらの赤外線吸収スペクトル及び核磁気共鳴スペクトルから、得られた共重合体は前記一般式(1) 中のX及びYがシクロヘキシル基、Zがtert−アミル基を有するものであることを確認した。
(参考例3及び実施例4〜12)
実施例1のDcHF、tBuVE及びパーブチルNDの代わりに、表1に示したフマレートジエステル、ビニルエーテル及び重合開始剤にかえて共重合を行った。共重合条件及び共重合結果を表1及び表2にまとめた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
表2に示したように、実施例1、2及び4〜12の共重合体は、全般に重合収率が高く、分子量も大きくなることがわかった。
また、表3に示したように、実施例1及び実施例2の共重合体は、ガラス転位温度が高く、熱分解温度も高いことが確認された。
(実施例13)
パイレックス(登録商標)製のガラスアンプル5本それぞれに、ジシクロヘキシルフマレート(DcHF)(0.07モル)、tert−アミルビニルエーテル(tAmVE)(0.03モル)、及び光重合開始剤であるベンゾインメチルエーテル(BME)(0.002モル)を採った。それに、十分乾燥した窒素ガスをバブリングさせて十分内部を窒素置換した後、バーナーにてアンプルを熔封した。
【0059】
これら5本のアンプルをフィルター付きメリーゴーランド式UV照射装置(高圧水銀ランプ)にセットし、水冷しながらUV照射を行った。予め調べておいたUV照射強度と時間の関係から、所定時間UV照射を行った後、アンプルを取り出して重合を停止させ、内容物をトルエンに溶解した後、大量のメタノール中に投入して共重合体を沈澱させた。得られた共重合体を再沈澱精製及び乾燥した後秤量した。UV照射条件及びUV共重合結果を表4にまとめた。
【0060】
【表4】
【0061】
表4に示したように、実施例13の共重合体は、UV照射量が多くなるほど重合転化率が高く、分子量も大きくなることがわかった。
(実施例14〜17)
実施例13のDcHF及びtAmVEの代わりに、表5に示した単量体を使用し、実施例13のUV照射装置を用いてUV重合を行った。UV照射条件及び重合結果を表5にまとめた。
【0062】
【表5】
【0063】
表5に示したように、実施例14〜17の共重合体は、全般に分子量が高くなることがわかった。
なお、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
【0066】
・ 前記ラジカル重合反応は、塊状重合法又は溶液重合法によるものである請求項4に記載の共重合体の製造方法。
【0067】
この製造方法によれば、得られる共重合体中に混入される不純物を極力抑えることができ、電気絶縁材料として好適なものを得ることができる。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば次のような効果を奏する。
第1の発明の共重合体によれば、共重合体は新規なものであって、低吸湿性、低誘電特性、耐熱性及び機械的物性に優れ、電気絶縁材料、レジスト材料等の機能性材料として有用である。さらに、共重合体がランダム構造を有することから、共重合体を容易に得ることができる。
【0069】
第2の発明の共重合体によれば、第1の発明の効果に加え、共重合体の重量平均分子量が15000〜60000という範囲に設定されることから、共重合体の物性を良好に維持することができる。
【0072】
第3の発明の共重合体によれば、第1又は第2の発明の効果に加え、フマレートジエステルを主成分とし、アルキルビニルエーテルを少量成分とすることにより、重合反応性を良好に保持することができる。
【0073】
第4の発明の共重合体の製造方法によれば、フマレートジエステルと、アルキルビニルエーテルとの重合反応速度を向上させ、重合転化率を高めて、共重合体を収率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の共重合体についての赤外線吸収スペクトル図。
【図2】 実施例1の共重合体についての核磁気共鳴スペクトル図。
【図3】 実施例2の共重合体についての赤外線吸収スペクトル図。
【図4】 実施例2の共重合体についての核磁気共鳴スペクトル図。
Claims (4)
- 重量平均分子量が15000〜60000である請求項1に記載の共重合体。
- フマレートジエステルと、アルキルビニルエーテルとから形成され、前記フマレートジエステルが50〜95モル%であり、アルキルビニルエーテルが5〜50モル%である請求項1又は請求項2に記載の共重合体。
- 下記の一般式(2)で表されるフマレートジエステルと、下記の一般式(3)で表されるアルキルビニルエーテルとを混合し、ラジカル重合反応を行う共重合体の製造方法。
XOOC−CH=CH−COOY ・・・(2)
(但し、式中のXは、炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表し、Yは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
Z−O−CH=CH 2 ・・・(3)
(但し、式中のZは炭素数3〜6の分岐アルキル基、又は炭素数5若しくは6のシクロアルキル基を表す。)
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