JP4123706B2 - 車両用交流電動発電機のインバータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用交流電動発電機のインバータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来の交流回転電機をインバータ制御する場合、そのPWM搬送波周波数は騒音低減のために十分高く(通常10〜15kHz)設定される。
【0003】
しかしながら、PWM搬送波周波数を増加させることは、インバータのスイッチング素子の電力損失(スイッチング損失)を増加させ、スイッチング素子の破壊可能性を増大させる。これは、ターンオン電流が大きいもののターンオン抵抗が小さいためにターンオン電力損失は比較的小さく、ターンオン電流は相対的に小さいもののターンオン抵抗が大きいために過渡期間のスイッチング損失が相対的に大きいためである。
【0004】
特開平6ー141402号公報、特開平4ー295278号公報は、スイッチング素子の温度や電流を計測し、所定温度又は所定電流値以上でインバータのPWM搬送波周波数を低下させることにより、スイッチング素子の破壊回避とスイッチング損失低減とを両立させることを提案している。
【0005】
しかし、上記した従来のPWM搬送波周波数切り替え技術は、温度検出や電流検出などの検出回路系の追設を必要とする上、これらの検出回路系の故障時にスイッチング素子の破壊可能性が増大するという問題を内包している。
【0006】
また、低いPWM搬送波周波数で運転する場合にPWM搬送波周波数が交流回転電機の機械共振周波数値に接近するなどして騒音が増大するという問題もあった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、簡素な回路構成でスイッチング素子の破壊回避とスイッチング損失低減と騒音増大抑止とを実現可能な車両用交流電動発電機のインバータ制御装置を提供することをその解決すべき課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置は、エンジンと断続可能に動力授受するとともに車載機器を駆動する交流電動発電機と、前記交流電動発電機とバッテリとの間に配置されて直交双方向電力変換を行うインバータと、前記インバータを制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記エンジンの始動時に前記交流電動発電機を前記エンジン始動用のモータとして作動させる始動モ−ドと、前記エンジンの始動完了後に前記交流電動発電機を発電機として作動させる発電モ−ドと、前記エンジンの停止時に前記エンジンと前記動力伝達手段とを分離しかつ前記車載機器を駆動する車載機器駆動モ−ドとを切り替える車両用発電電動機制御装置において、
前記制御手段は、前記車載機器駆動モ−ドにて前記インバータを第1のPWM搬送波周波数で駆動させ、かつ、前記始動モ−ドにて前記インバータを前記第1のPWM搬送波周波数より低周波数の第2のPWM搬送波周波数で駆動することを特徴としている。
【0009】
本発明は、発電の他にエンジン始動及び車載機器駆動(たとえば交差点などのアイドルストップ時)を行う車両用交流電動発電機では、インバータのスイッチング素子に最も大きな電流が流れ、スイッチング素子が最高温度となるのは、エンジン始動時であるという点に着目したものである。
【0010】
したがって、車載機器駆動モ−ドに比較して格段に大電流がスイッチング素子に通電されるエンジン始動モ−ドにおいて、PWM搬送波周波数を低下すれば、インバータのスイッチング素子の発熱を抑止することができる。このエンジン始動時にはPWM搬送波周波数の低下により車両用交流発電機の騒音は増大するが、エンジン始動のための期間は短く、エンジン自体の騒音も大きいので、全体騒音は聴覚理論上それほど大きくならない。更に、エンジン始動期間はイグニッションスイッチや回転数センサなど既存の検出手段の出力信号で判定できるので、電流センサや温度センサなどの検出回路系の追設を必要とせず、回路構成の複雑化とその信頼性確保対策を必要としない。また、車載機器駆動モ−ドでは、高PWM搬送波周波数でインバータを運転するが電流が小さいので、スイッチング素子の過熱を防止しつつ騒音低減を図ることができる。また、車載機器駆動モ−ドではエンジンが停止しているために、車両用交流発電機の騒音が聴覚理論上目立つために、その低減は特に効果的である。なお、車載機器駆動モ−ドでのPWM搬送波周波数は、それに起因する車両用交流発電機の騒音を可聴周波数域より高くするために、たとえば15KHz以上とすることが公的である。
【0011】
好適な態様において、発電モ−ドでは、車載機器駆動モ−ドと同じくPWM搬送波周波数を高く設定することが好ましい。たとえば、発電モ−ドのPWM搬送波周波数は車載機器駆動モ−ドと同じとされるが、エンジン始動モ−ドのPWM搬送波周波数より高く車載機器駆動モ−ド時のそれより低い値としてもよい。
【0012】
請求項2記載の構成によれば請求項1記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において更に、前記第1のPWM搬送波周波数は、前記交流電動発電機の所定の機械共振周波数値より高く設定され、前記第2のPWM搬送波周波数は、前記所定の機械共振周波数値より低く設定される。
【0013】
このようにすれば、車載機器駆動モ−ドでもエンジン始動モ−ドでも車両用交流発電機の機械共振周波数値と干渉することなく大きくPWM搬送波周波数を変更することができ、エンジン始動モ−ド時のスイッチング損失を大幅に低減することができ、車載機器駆動モ−ドでの騒音を良好に低減することができる。
【0014】
請求項3記載の構成によれば請求項2記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において更に、前記機械共振周波数値は、ランデル型の前記交流電動発電機の回転子の爪形磁極部の機械共振周波数値からなる。
【0015】
ランデル型の車両用交流発電機では、回転子鉄心の爪形磁極部の共振周波数が5〜8KHzであるため、車載機器駆動モ−ドにおけるPWM搬送波周波数をそれより高い値(たとえば13KHz)、始動モ−ド時のPWM搬送波周波数をそれより低い値(たとえば3KHz)とすれば、騒音抑制とスイッチング素子の熱破壊防止とを好適に両立させることができる。
【0016】
請求項4記載の構成によれば請求項2又は3記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において更に、前記制御手段は、前記エンジンの回転数が前記エンジンのアイドル回転数値より低い所定値を下回る場合でかつエンジン始動モ−ド時に前記PWM搬送波周波数は前記第2の搬送波に設定する。
【0017】
本構成によれば、エンジン始動モ−ド(エンジン回転数がエンジンのアイドル回転数値未満)時でかつアイドル回転数値未満の所定値未満である場合において、このエンジン始動モ−ドにおける低エンジン回転数帯でのみPWM搬送波周波数を低下する。
【0018】
エンジン始動モ−ドにおいて、インバータのスイッチング素子に大電流が流れるのは、このエンジン始動モ−ドの初期であり、この時のスイッチング損失を低減する。これにより、電流がエンジン始動モ−ドの初期よりも減少するエンジン始動モ−ドの後期にPWM搬送波周波数を増大させてスイッチング素子の破壊の心配なしに騒音低下を図ることができる。
【0019】
請求項5記載の構成によれば請求項2又は3記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において更に、前記制御手段は、前記交流電動発電機の電流が所定値以上の場合でかつエンジン始動モ−ド時に前記PWM搬送波周波数は前記前記第2の搬送波に設定する。
【0020】
このようにすれば、スイッチング素子に大電流が流れる場合にPWM搬送波周波数を車両用交流発電機の所定部位特に好適には爪形磁極部の機械共振周波数値未満にまで低下させるので、機械共振による騒音増大を抑止しつつスイッチング素子の過熱を抑止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施態様を図面を参照して以下に説明する。
【0022】
1はインバータ、2はインバータ制御用のコントローラ、3はランデル型の車両用交流電動発電機、4は
クラッチ、5はエンジン、6は車両用交流電動発電機3の回転数を検出する回転センサ、7は電流センサ、8は図示しないエンジンなどを制御する車両用電子制御装置(ECU)、9は車載のバッテリ、10は平滑コンデンサである。
【0023】
インバータ1は、6個のスイッチング素子(ここではIGBT素子)で組んだ周知の三相インバータ回路により構成されているが、更に各IGBT素子と個別に逆並列に接続された図示しないフライホイルダイオードと入力平滑コンデンサCとを有している。インバータ1の一対の直流入力端子はバッテリ9と直流電力授受し、インバータ1の三相交流端子は交流電動発電機3の三相電機子コイルと交流電力授受している。
【0024】
コントローラ2は、マイクロコンピュータ21と界磁電流スイッチング用のトランジスタ22と、フライホイルダイオード23とを有している。この実施例では動作理解を容易とするために、コントローラ2をマイコン構成としたが、ハードウエア回路で構成してもよいことはもちろんである。マイクロコンピュータ21は、回転センサ6が検出した車両用交流発電機3の回転信号と電流センサ7が検出したインバータ1の所定の一相の交流電流と、バッテリ電圧+Bとを読み込んで車両ECU8からの指令に基づいてインバータ1の各IGBTをPWM制御し、更にトランジスタ22をP制御して車両用交流発電機3の界磁コイル31へ通電する界磁電流を調整する。
【0025】
車両用交流発電機3は、クラッチ4を介してエンジン5と動力授受可能に連結されている。ランデル型の車両用交流発電機3の回転子鉄心は、回転軸に嵌着、固定されたコア部と、その固定子鉄心の径方向内側に周方向一定ピッチで配列された偶数個の爪形磁極部とをもち、奇数番目の爪形磁極部はコア部の軸方向一端から軸方向に延在し、偶数番目の爪形磁極部はコア部の軸方向他端から軸方向に延在している。コア部には界磁コイル31が巻装されている。
【0026】
電流センサ7は省略可能である他、車両用交流発電機2の電流に相関を有する他の電気量に置換してもよい。
【0027】
上記回路構成自体は、既によく知られているので、詳細な説明は省略し、マイクロコンピュータ21による制御動作を図2のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0028】
まず、各センサの検出信号やバッテリ電圧や車両ECU8の指令を読み込み(S100)、それらにもとづいて最適な動作モードを選択し(S102)、動作モードが、エンジン始動モ−ドであればS104へ進んでエンジン始動モ−ドを実施し、車載機器駆動モ−ドであればS106へ進んで車載機器駆動モ−ドを実施し、発電モ−ドであればS108へ進んで発電モ−ドを実施する。
【0029】
エンジン始動モ−ドは、直接あるいは車両ECU8を通じて検出した図示しないイグニッションスイッチのオン状態期間における車両用交流発電機2の制御動作を意味するが、イグニッションスイッチのオン状態期間の代わりに、イグニッションスイッチのオンからエンジン回転数が所定値に達するまでの期間をエンジン始動モ−ド期間としてもよい。この実施例のエンジン始動モ−ドでは、マイクロコンピュータ21は、回転センサ6から入力される車両用交流発電機2の回転子の回転位置に基づく所定の位相角(電動モード)及びその回転数と一致する周波数の三相交流電圧を車両用交流発電機2に出力するようにインバータ1をPWM(パルス幅変調)制御する。電流目標値と電流センサ7が検出した電流値とを一致させるようにPWM制御のデューテイ比を制御することができる。
【0030】
車載機器駆動モ−ドは、車両ECU8がクラッチ4を遮断した状態でかつ所定の車載機器(たとえば車両空調用コンプレッサ)を駆動する動作モードであって、
車両ECU8からクラッチオンを検出し、かつ、所定の車載機器(たとえば車両空調用コンプレッサ)を動作させるスイッチのオンを電気的に読み込んだ場合に実施される。この実施例の車載機器駆動モ−ドでは、マイクロコンピュータ21は、回転センサ6から読み込んだ車両用交流発電機2の回転数を所定範囲に設定するように、インバータ1をPWM制御する。電流目標値と電流センサ7が検出した電流値とを一致させるようにPWM制御のデューテイ比を制御することもできる。
【0031】
マイクロコンピュータ21は、上記エンジン始動モ−ド及び車載機器駆動モ−ドにて、インバータ1の各スイッチング素子のおけるPWM制御により実施するが、エンジン始動モ−ドでのPWM制御に用いる搬送波周波数はf1(ここでは3〜4kHz)とされ、車載機器駆動モ−ドでのPWM制御に用いる搬送波周波数はf2(ここでは13〜16kHz)とされる。
【0032】
発電モ−ドは、車両用交流発電機2がバッテリ9を充電する動作モードであって、バッテリ電圧と所定の基準電圧値とを比較し、比較結果に基づいてトランジスタ22を断続制御して界磁電流を調整し、バッテリ電圧を基準電圧値に収束させる。発電モ−ドでは、車両用交流発電機2が発電した発電出力は、インバータ1の各スイッチング素子と個別に逆並列接続された図示しないダイオードにより三相全波整流されてバッテリ9に送られる。マイクロコンピュータ21はトランジスタ22を100%オンさせるが、回転数が高速となるにつれてトランジスタ22をPWM制御し、そのデューテイ比を徐々に低下させて、車両用交流発電機2の発電電圧を低下させることが好適である。
【0033】
なお、この発電モードは、マイクロコンピュータ21によるトランジスタ22の制御の代わりに周知のオルタネータのレギュレータ回路を用いて実施可能である。ただし、このレギュレータ回路を採用する場合、このレギュレータ回路は、エンジン始動モ−ドにおいてトランジスタ22を100%オンし、車載機器駆動モ−ドにおいてトランジスタ22を100%オンするか、又は、所定デューテイ比にてPWM制御される。
【0034】
(実施例の効果)
通常用いるランデル型車両用交流発電機2の機械共振周波数は、5KHz〜9KHzの範囲に存在する。そこで、この実施例ではエンジン始動モ−ドのPWM搬送波周波数をこの機械共振周波数範囲未満とし、車載機器駆動モ−ドでそれを超える範囲に設定している。
【0035】
これにより、車両用交流発電機2の機械共振を避けかつ、車載機器駆動モ−ドでの可聴騒音を低減し、エンジン始動モ−ドでのインバータ1のスイッチング素子の発熱低減を図ることができた。
【0036】
図3に、爪形磁極部数 個の市販の車両用交流発電機の爪形磁極部の機械振動特性とインバータ1の出力周波数との関係を示す。
【0037】
(変形態様)
この変形態様は、図2に示すステップS102とS104との間に、図4に示すステップS110、S112、S114を追加したものである。
【0038】
ステップS110では電流センサ7から読み込んだ電流iが所定しきい値ithを超える場合に、ステップS112に進んで回転数が所定しきい値Nthを超えるかどうかを調べて超えればS104に進み、それ以外の条件ではS114に進んで、PWM搬送波周波数を15kHzに固定してS114へ進む。なお、ステップS110、S112のどちらかを省略してもよい。このようにすれば、エンジン始動モ−ドの後期の電流減少期間又は回転数増大期間における騒音をスイッチング素子の過熱を抑止しつつ低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両用発電電動機制御装置のブロック回路図である。
【図2】図1のマイクロコンピュータの制御動作を示すフローチャートである。
【図3】ランデル型車両用交流発電機の振動特性を示す特性図である。
【図4】変形実施態様を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 インバータ
2 インバータ制御用のコントローラ(制御手段)
3 ランデル型の車両用交流電動発電機
4 クラッチ
5 エンジン
6 回転センサ
7 電流センサ
8 車両用電子制御装置(ECU)
9 車載のバッテリ
Claims (5)
- エンジンと断続可能に動力授受するとともに車載機器を駆動する交流電動発電機と、前記交流電動発電機とバッテリとの間に配置されて直交双方向電力変換を行うインバータと、前記インバータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記エンジンの始動時に前記交流電動発電機を前記エンジン始動用のモータとして作動させるエンジン始動モ−ドと、
前記エンジンの始動完了後に前記交流電動発電機を発電機として作動させる発電モ−ドと、
前記エンジンの停止時に前記エンジンと前記動力伝達手段とを分離しかつ前記車載機器を駆動する車載機器駆動モ−ドと、
を切り替える車両用発電電動機制御装置において、
前記制御手段は、前記車載機器駆動モ−ドにて前記インバータを第1のPWM搬送波周波数で駆動させ、かつ、前記始動モ−ドにて前記インバータを前記第1のPWM搬送波周波数より低周波数の第2のPWM搬送波周波数で駆動することを特徴とする車両用交流電動発電機のインバータ制御装置。 - 請求項1記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において、
前記第1のPWM搬送波周波数は、前記交流電動発電機の所定の機械共振周波数値より高く設定され、前記第2のPWM搬送波周波数は、前記所定の機械共振周波数値より低く設定されることを特徴とする車両用交流電動発電機のインバータ制御装置。 - 請求項2記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において、
前記機械共振周波数値は、ランデル型の前記交流電動発電機の回転子の爪形磁極部の機械共振周波数値からなることを特徴とする車両用交流電動発電機のインバータ制御装置。 - 請求項2又は3記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において、
前記制御手段は、前記エンジンの回転数が前記エンジンのアイドル回転数値より低い所定値を下回る場合でかつエンジン始動モ−ド時に前記PWM搬送波周波数を前記第2の搬送波に設定することを特徴とする車両用交流電動発電機のインバータ制御装置。 - 請求項2又は3記載の車両用交流電動発電機のインバータ制御装置において、
前記制御手段は、前記交流電動発電機の電流が所定値以上の場合でかつエンジン始動モ−ド時に前記PWM搬送波周波数は前記前記第2の搬送波に設定することを特徴とする車両用交流電動発電機のインバータ制御装置。
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