JP4132304B2 - 繊維積層体ボードおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維積層体ボード、および繊維積層体ボードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維材料に熱可塑性樹脂を混在してなる繊維積層体を加熱加圧して成形してなる繊維積層体ボードは、ドアトリム基材、インナーパネル、ピラーガーニシュ、リヤパッケージ、天井基材、衝撃吸収材、吸音材等自動車の内装材として、壁材、床材、床下の衝撃吸収材、断熱材等の建材として、スピーカボックス、吸音材等の機器材料として、広い分野で使用されている。
【0003】
また、当該繊維積層体ボードにおける特殊な構造のものとして、表面層が硬くて中央部が柔軟な繊維積層体ボード、これとは逆に、中央部が硬くて表面層が柔軟な繊維積層体ボードがある。これらの構造の繊維積層体ボードは、吸音、吸湿、衝撃吸収、外観の柔軟な感覚等の効果を狙って使用される。
【0004】
かかる特殊な複層構造の繊維積層体ボードは、硬質の繊維積層体と軟質の繊維積層体を張り合わされた複数の繊維積層体からなるもので、硬質の繊維積層体を成形する工程と、軟質の繊維積層体を成形する工程と、成形された両繊維積層体を張り合す工程の3つの独立した工程を経て製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記した特殊な複層構造の繊維積層体ボードは、硬質の繊維積層体と軟質の繊維積層体を張り合わされた構造であることから、これら両張り合わせ界面では剥がれ易く、両繊維積層体間で界面剥離を生じ易いという問題がある。また、当該繊維積層体ボードの製造には、それぞれ独立した複数の繊維積層体を製造する工程、およびこれらの各繊維積層体を張り合わせる張合工程等、多くの製造工程が必要であり、その製造コストが高くなるとともに、多くの製造時間を要することになる。
【0006】
従って、本発明の目的は、繊維積層体の厚み方向で硬さが異なる短層構造の繊維積層体ボードを構成して、界面剥離の発生を解消するとともに、その製造工程を簡単化して、製造時間の短縮と製造コストの低減を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、繊維積層体ボードおよびその製造方法に関し、特に、厚み方向の一側面から他側面または厚み方向の中央から両側面に漸次硬さの異なる繊維積層体ボード、および、その製造する製造方法に関する。
【0008】
しかして、本発明に係る繊維積層体ボードの製造方法においては、熱可塑性樹脂の繊維材料に対する供給割合を間欠的に順次増大または減少させながら熱可塑性樹脂を繊維材料に混合して熱可塑性樹脂の混在率を異にする繊維ウェッブを形成し、形成された繊維ウェッブを熱可塑性樹脂の混在率の大小の順に積層して繊維積層体を形成し、同繊維積層体を加熱加圧して繊維積層ボードを成形することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る繊維積層体ボードの製造方法においては、前記繊維積層体は天然繊維であること、同天然繊維はケナフの靭皮から得られるケナフ繊維であることが好ましく、また、前記熱可塑性樹脂は熱可塑性樹脂の繊維、粉末、溶剤溶液であること、同熱可塑性樹脂は熱可塑性の生分解性プラスチックであること、同生分解性プラスチックはベンジル化セルロース、ラウロイル化セルロース、またはポリエチレングリコールを含有するアセテートであることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る繊維積層体ボードは、本発明に係る繊維積層体ボードの製造方法を実施して製造されたものであり、厚み方向の一側面から他側面または厚み方向の中央から両側面に漸次硬さの異なる層構成で、各層が均一な繊維積層体であることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の作用・効果】
本発明に係る繊維積層体ボードは、厚み方向の一側面から他側面または厚み方向の中央から両側面に漸次硬さを異にする内部構造を有するものであって、従来の表面層が硬くて中央部が柔軟な繊維積層体ボードや、これとは逆に、従来の中央部が硬くて表面層が柔軟な繊維積層体ボード等と同様な特性を備えている。
【0012】
しかして、本発明に係る繊維積層ボードは、本発明に係る製造方法にて製造されたもので、硬さの異なる繊維積層体を複数張り合わせた複層構造のものではなく、全体としては単層構造を呈するものであって層間界面が存在していないことから、層間剥離が発生することはない。また、本発明に係る製造方法によれば、繊維積層体ボードを、繊維ウェブの製造から繊維積層体の加熱加圧までの連続した一連の工程で製造することができるため、製造工程を簡単化して、製造時間の短縮と製造コストの低減を図ることができる。
【0013】
本発明に係る繊維積層体ボードにおいて、その原料である繊維材料としてセルロース系繊維等の天然繊維を採用し、かつ、熱可塑性樹脂として生分解性プラスチックを採用すれば、生分解性の繊維積層体ボードを構成することができ、これにより、廃棄物処理対策等からの環境適合性を有するものとなる。
【0014】
また、本発明に係る繊維積層体ボードにおいては、その原料である繊維材料としてケナフの靭皮から採取したケナフ繊維を採用することができる。ケナフは、一年草であって熱帯地方および温帯地方での成長が極めて早く容易に栽培できること、および、ケナフの靭皮にはセルロース分が60%以上と高い含有率で存在していることから、天然資源として極めて有用に活用することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る繊維積層体ボードにおいては、繊維材料として天然繊維である各種のセルロース系繊維、例えば木質系や草本系のセルロース系繊維を採用することができる。これらのうちでも、一年草であって熱帯地方および温帯地方での成長が極めて早く容易に栽培できる草本類に属するケナフから採取される繊維を採用することが、天然資源の有用活用の面、リサイクルの面から好ましい。特に、ケナフの靭皮にはセルロース分が60%以上と高い含有率で存在していることから、ケナフ靭皮から採取されるケナフ繊維の利用が好ましい。
【0016】
一方、繊維積層体ボードの原材料であり、繊維材料のバインダとして機能する熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン等の低融点の合成樹脂、低融点の生分解性プラスチック等であって、粉末の状態、溶媒溶液の状態、または繊維の状態で使用することができる。これらのうちでも、生分解性プラスチックを採用することが好ましく、これにより、廃棄物処理対策等からの環境に適合する生分解性の繊維積層体ボードを製造することができる。好適に採用できる生分解性プラスチックとしては、セルロース系プラスチックであるベンジル化セルロース、ラウロイル化セルロース、ポリエチレングリコールを含有するアセテート等を挙げることができる。
【0017】
セルロース系プラスチックであるベンジル化セルロース、ラウロイル化セルロースは、本特許出願人がすでに特願平10−297310号として特許出願しているもので、下記(化1)、(化2)に示す化学構造式を有しているものである。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
ベンジル化セルロース(化1)は、融点135℃〜165℃(ベンジル基の置換度2.4)を有し、かつ、ラウロイル化セルロース(化2)は、融点110℃〜122℃(ラウロイル基の置換度2.5〜2.8)を有する。また、ポリエチレングリコールを含有するアセテートは、アセテートに30wt.%のポリエチレングリコールを混合してなる組成物では、155℃〜170℃の融点を有する熱可塑性の組成物である。これらのセルロース系プラスチックは、セルロースの分子骨格に起因する生分解性を有している。
【0020】
本発明に係る繊維積層体ボードは、繊維材料に熱可塑性樹脂を繊維状態、粉末状態、または、溶媒溶液状態で混在してなる繊維積層体を加熱加圧して成形してなるもので、その一実施形態の繊維積層体ボードは、厚み方向の一側面から他側面に漸次硬さを異にしている断面構造を有しているものであり、また、他の一実施形態の繊維積層体ボードは、中央部が硬質または軟質で厚み方向の中央から両側面に漸次硬さを異にする断面構造を有しているものである。なお、後者の実施形態の繊維積層体ボードにおいては、その厚み方向の中央部にて縦断して前者と同様の内部構造の繊維積層体ボードとして使用することもできる。
【0021】
本発明に係る繊維積層体ボードのうち、前者の実施形態(一実施形態)の繊維積層体ボードは、表面または裏面が硬く裏面側または表面側が柔軟な、全体として軽量で適度の剛性を有するボードであり、後者の実施形態(他の実施形態)の繊維積層体ボードの一方は、中央部が硬く表裏両面側が柔軟な全体として軽量で適度の剛性を有するボードであり、かつ、後者の実施形態(他の実施形態)の繊維積層体ボードの他方は、中央部が柔軟で表裏両面側が硬い全体として軽量で高い剛性を有するボードである。従って、当該繊維積層体ボードにおいては、その内部構造に対応した特性に応じて適宜の分野の基材、建材、内装材、機器材料として広い分野で使用することができる。
【0022】
しかして、当該繊維積層体ボードは、硬さの異なる複数の繊維積層体を張り合わせた複層構造ではなく、単層構造であって層間界面が存在していないことから、層間剥離が発生することはない。
【0023】
当該繊維積層体ボードにおいて、その原料である繊維材料としてセルロース系繊維等の天然繊維を採用し、かつ、熱可塑性樹脂として生分解性プラスチックの繊維、粉末、溶媒溶液を採用することにより、生分解性の繊維積層体ボードを構成することができ、これにより、廃棄物処理対策等からの環境適合性を有するものとなる。この場合、繊維積層体ボードの原料である繊維材料として、ケナフ繊維を採用すれば、天然資源として極めて有用に活用することができる。
【0024】
図1は、本発明に係る繊維積層体ボードの製造方法の一例を示す製造工程図である。本発明に係る製造方法は、同図に示すように、繊維原料であるケナフの靭皮から繊維を採取して解繊するまでのケナフ繊維解繊工程、熱可塑性繊維の原綿を解繊する熱可塑性繊維解繊工程、これら両繊維の繊維ウェブを積層して繊維積層体を形成する積層工程、および、繊維積層体を加熱加圧して維積層体ボードを形成するプレス工程を備えている。
【0025】
ケナフ繊維解繊工程では、所定の長さに切断された靭皮をカード機に掛けて解繊維して綿状とするものであり、また、熱可塑性繊維解繊工程では、梱包されている原綿をベールオープナーに掛けて開繊し、かつ、カード機に掛けて解繊して綿状とするものであり、解繊されたケフナ繊維綿および熱可塑性繊維綿は、積層工程の各ホッパへ供給される。
【0026】
積層工程においては、各ホッパ11,12が搬送ベルト13の上方にて並列状に配設されており、第1ホッパ11からは設定された一定量の熱可塑性繊維21が搬送ベルト13上に連続して供給されるとともに、第2ホッパ12からは設定された一定量のケナフ繊維22が搬送ベルト13上の熱可塑性繊維21上に連続して供給されて合体される。各ホッパ11,12から搬送ベルト13上に供給される熱可塑性繊維21およびケナフ繊維22の供給量は、各ホッパ11,12の供給口側に設けた供給ローラ11a,12aの回転数を制御することにより任意に変更することができる。
【0027】
搬送ベルト13上で積層された熱可塑性繊維綿21とケナフ繊維綿22とは、カード機14に掛けられて均一に混合され、連続した薄い繊維ウェブ23としてバーチカルラッパ15に掛けられて多数層に積層され、繊維ウェブ23が多数層に積層された繊維積層体24に形成される。本積層工程においては、熱可塑性繊維21とケナフ繊維22の合体時、熱可塑性繊維21のケナフ繊維22に対する供給割合を、間欠的に順次増大させるとととも途中からは間欠的に順次減少させる制御を行うことにより、繊維積層体24の厚み方向の中央部でのケナフ繊維22の混合割合を高く、かつ、表裏両側ほど熱可塑性繊維21の混合割合を高くしている。
【0028】
なお、熱可塑性繊維21とケナフ繊維22との合体時の供給割合の変更により、繊維積層体24の厚み方向の中央部での熱可塑性繊維21の混合割合を高く、かつ、表裏両側ほどケナフ繊維22の混合割合を高くすること、繊維積層体24の厚み方向の一方の面側から熱可塑性繊維21のケナフ繊維22の混合割合を高くまたは小さくすることは容易である。
【0029】
形成された繊維積層体24は、プレス工程にて加熱加圧処理されて繊維積層体ボードに成形される。プレス工程では、所定の大きさに調製された繊維積層体24をプレス機16にて1枚毎に加熱加圧処理するもので、繊維積層体24は加熱加圧により所定形状の繊維積層体ボードに成形される。
【0030】
得られた繊維積層体ボードは、中央部が軟質で両面側へ漸次硬くなる断面構造を有している。なお、上記したごとく、繊維積層体24の厚み方向における熱可塑性繊維22のケナフ繊維21に対する混合割合を変更することにより、中央部が硬質で両面側へ漸次柔軟な断面構造、一方の面側から硬さが漸次大きくまたは小さくなる断面構造の繊維積層体ボードの容易に製造することができる。
【0031】
しかして、当該製造方法によれば、繊維ウェブの製造から繊維積層体24の加熱加圧処理までの連続した一連の工程で製造することができるため、製造工程を簡単化して製造時間の短縮と、製造コストの低減を図ることができる。
【0032】
なお、当該製造方法においては、熱可塑性繊維22として低融点であるポリプロピレン繊維を採用することが製造上好ましいが、生分解性の繊維積層体ボードを製造するには、上記したごとき生分解性プラスチックからなる熱可塑性繊維を採用することが好ましい。また、熱可塑性繊維22に換えて、熱可塑性プラスチックの粉末、溶媒溶液等を採用することができ、この場合には、熱可塑性繊維解繊維工程を省略するとともに、熱可塑性プラスチックの付与工程を追加することにより行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る繊維積層体ボードの製造工程を概略的に示す説明である。
【符号の説明】
11,12…ホッパ、13…搬送ベルト、14…カード機、15…バーチカルラッパー、16…第1プレス機、21…ケナフ繊維、22…熱可塑性繊維、23…繊維ウェブ、24…繊維積層体。
Claims (6)
- 厚み方向の一側面から他側面または厚み方向の中央から両側面に漸次硬さの異なる繊維積層体ボードを製造する製造方法であり、熱可塑性樹脂の繊維材料に対する供給割合を間欠的に順次増大または減少させながら熱可塑性樹脂を繊維材料に混合して熱可塑性樹脂の混在率を異にする繊維ウェッブを形成し、形成された繊維ウェッブを熱可塑性樹脂の混在率の大小の順に積層して繊維積層体を形成し、同繊維積層体を加熱加圧して繊維積層ボードを成形することを特徴とする繊維積層ボードの製造方法。
- 請求項1に記載の繊維積層体ボードの製造方法であって、前記熱可塑性樹脂は熱可塑性繊維であることを特徴とする繊維積層体ボードの製造方法。
- 請求項1に記載の繊維積層体ボードの製造方法であって、前記繊維積層体は天然繊維と熱可塑性繊維を混合させた積層体であることを特徴とする繊維積層体ボードの製造方法。
- 請求項3に記載の繊維積層体ボードの製造方法であって、前記天然繊維はケナフの靭皮繊維であり、かつ、前記熱可塑性繊維は熱可塑性の生分解性プラスチックであることを特徴とする繊維積層体ボードの製造方法。
- 請求項4に記載の繊維積層体ボードの製造方法であって、前記生分解性プラスチックはベンジル化セルロース、ラウロイル化セルロース、またはポリエチレングリコールを含有するアセテートであることを特徴とする繊維積層体ボードの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法にて製造された繊維積層体ボードであり、厚み方向の一側面から他側面または厚み方向の中央から両側面に漸次硬さの異なる層構成で、各層が均一な繊維積層体であることを特徴とする繊維積層体ボード。
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