JP4133216B2 - 人間補助装置のシミュレーション・システム、方法、およびコンピュータ・プログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力付き補助装置(powered augmentation device)からの部分的なアシストの下での人体の動きの解析および設計のための、シミュレーション・システム、シミュレーション方法、およびそのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
運動機能の回復または強化のための人間アシスト・システムまたは人間補助装置の効果的な使用は、リハビリテーションおよび能力強化の研究の重要な領域である。効果的なアシスト・システムの重要な特徴および望ましい特徴には、(1)同一の作業を実行する強壮な被験者と比較してエネルギー比率およびコストを低下させること、(2)アシスト・システムを使用する際に通常の活動をできるだけ損なわずできるだけ快適であること、および(3)実用的であることが含まれる。第3の要件は、そのような装置を着用することとパワー消費の必要を考慮したものである。これらの要件と使用可能な技術から、人間の神経筋系と直接的または間接的にインターフェースする、外部動力を有する矯正器具および人工器官が開発された。実用的な人間アシスト装置の開発に必要な多くの要件を満足することにおいて、重要な進歩があった(Popovic, D., Externally Powered and Controlled Orthotics and Prosthetics. The Biomedical Engineering Handbook, Editor Bronzino, J.D., 2nd ed. Vol. 2, Chapter 142, 2000)が、日常的な応用のためのシステムの実現は、まだ初期段階である。中枢神経系(CNS)制御の複雑さおよび随意制御と外部の人工的制御の間のインターフェースは、なお難しく、解決れていない問題である。
【0003】
機械動力付きの歩行機能補助プロトタイプ・システムが、最近公表された(加藤および平田、「歩行機能補助装置の研究」日本機械学会、福祉工学シンポジウム、2001年8月)。ターゲットの応用分野は、高齢者および身体障害者が以前には実行できなかった日常的作業を実行するか、または現在これらの作業に費やされているものより少ない肉体運動で済むように介助することである。考慮された作業は、歩行すること、持ち上げること、座り、立つこと、および階段を登ることである。プロトタイプおよび類似する人間補助システムの実施において考慮しなければならない2つの重要かつ困難な問題に、1)簡単には測定できない生体力学量ならびに生理学量の解析および監視と、2)安全かつ効果的に随意制御を補助することができるアクティブ制御の設計が含まれる。これらの問題を研究する計算方法を開発することによって、現在の技術のハードウェア実現のために課せられる制約なしに、人間補助装置の将来の性能を、シミュレーションを介して研究することができる。シミュレーション研究によって、筋力、関節にかかる力、および動きのエネルギ特性を含む、簡単には測定できない生理学的な量を推定することもできるようになる。加齢の影響を計算し、筋肉の活動を予測し、筋疲労および筋容量を推定し、潜在的に危険な生理学的条件を検出することができる。シミュレーションだけの使用は、人間の被験者による最終的な試験の代用にはならない。しかし、正確な対象を特定したシミュレーションによって、歩行アシスト装置のために制御アルゴリズムを設計し、改良することができるようになる。これは、本発明の対象となるユーザ層に特に関連する。というのは、このユーザ層は、既に健康上の制約を有しているからである。
【0004】
米国特許第6152890号に、作業シフト中の自由に移動する被験者に対して測定される生物学的変数の記録、提示、および自動分類の装置および方法が開示されている。
【0005】
出願公開第2000−249570号に、人間の運動力学的データを生成する方法が開示されている。
【0006】
「Gruber, K. et. al., 1998. A comparative study of impact dynamics: wobbling mass model versus rigid body models. Journal of Biomechanics 31, 439-444」に、人体をシミュレートするのに使用される逆動力学モデルが開示されている。
【0007】
しかし、上記文献のどれもが、動力付き補助装置からアシストを受けている人間の動きの解析および設計を取り扱っていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、必要とされるものは、動力付き補助装置からアシストを受けている人間の動きの解析および設計のシステムおよび方法である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、セグメントおよびセグメントを接続する関節を含む、組み合わされた筋骨格および補助装置システムのシミュレーション・システムが提供される。シミュレーション・システムには、組み合わされた筋骨格および補助装置システムの動力学モデルと、補助装置の制御用の補助装置コントローラが含まれる。シミュレーション・システムには、さらに、筋骨格および補助装置システムの逆動力学モデルと、計算されたトルクを検査し、調整する筋力および筋容量モジュールが含まれる。組み合わされた筋骨格および補助装置システムの動力学モデルは、入力として関節での適した計算されたトルクを受け取り、出力としてセグメントのシミュレートされた運動力学的データを送り出す。補助装置を制御する補助装置コントローラは、入力としてシミュレートされた運動力学的データを受け取り、出力としてアシスト・トルクを送り出す。筋骨格および補助装置システムの逆動力学モデルは、入力としてシミュレートされた運動力学的データ、セグメントの目標の運動力学的データ、およびアシスト・トルクを受け取り、出力として計算された筋トルクおよび正味の関節トルクを送り出す。計算されたトルクを検査し、調整する筋力および筋容量モジュールは、入力として計算された筋トルクを受け取り、当該計算されたトルクに調整を行った後に、出力として適したトルクを計算する。
【0010】
本発明のもう1つの態様によれば、セグメントおよびセグメントを接続する関節を含む、組み合わされた筋骨格および補助装置システムをシミュレートする方法が提供される。この方法には、シミュレートされた運動力学的データに基づいて、補助装置のアシスト・トルクを計算するステップと、シミュレートされた運動力学的データ、セグメントの目標の運動力学的データ、およびアシスト・トルクに基づいて、トルクを計算するステップが含まれる。この方法には、さらに、計算されたトルクを評価し、調整するステップと、計算された関節トルクに基づいて、セグメントのシミュレートされた運動力学的データを計算するステップが含まれる。
【0011】
本発明のもう1つの態様によれば、セグメントおよびセグメントを接続する関節を含む、組み合わされた筋骨格および補助装置システムをシミュレートするコンピュータ・プログラムが提供される。このプログラムには、シミュレートされた運動力学的データに基づいて、補助装置のアシスト・トルクを計算する命令と、シミュレートされた運動力学的データ、セグメントの目標の運動力学的データ、およびアシスト・トルクに基づいて、計算されたトルクを計算する命令が含まれる。このプログラムには、さらに、計算されたトルクを検査し、調整する命令と、関節での計算されたトルクに基づいて、セグメントのシミュレートされた運動力学的データを計算する命令が含まれる。上記の命令に基づいて、コンピュータは、各動作を実行する。
【0012】
本発明の実施形態によれば、筋力を、計算されたトルクから導き出し、最大許容筋力と比較し、筋力が限度を超える場合に、適したトルクを得るように調整する。
【0013】
本発明のもう1つの実施形態によれば、アシスト・トルクを伴う筋力およびアシスト・トルクを伴わない筋力が、アシスト・トルク制御が動きを助けたか妨げたかを評価するために比較され、アシスト・トルク制御が動きを妨げた場合に、筋力が調整され、適した関節トルクが計算される。
【0014】
本発明のもう1つの実施形態によれば、アシスト・トルクを伴う筋力およびアシスト・トルクを伴わない筋力が、アシスト・トルク制御が動きを助けたか妨げたかを評価するために比較され、アシスト・トルク制御が動きを妨げた場合には、適した関節トルクが計算されるようにアシスト・トルク制御法則が調整される。
【0015】
本発明のもう1つの実施形態によれば、筋力が、筋肉活性化の二乗の和を最小にする静的な最適化判断基準に基づいて導き出される。
【0016】
本発明のもう1つの実施形態によれば、運動力学的データの修正された加速度が、シミュレートされた運動力学的データからの非線形位置および速度フィードバックを介して得られる。
【0017】
本発明のもう1つの実施形態によれば、運動力学的データに、位置データ、速度データ、および加速度データが含まれ、運動力学的データの推定値が、目標の加速度データ、シミュレートされた位置データと目標の位置データとの間の誤差、およびシミュレートされた速度データと目標の速度データとの間の誤差に基づく非線形フィードバックを介して計算される。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態によれば、運動力学的データが、位置データ、速度データ、および加速度データを含み、運動力学的データの推定値が、シミュレートされた位置データと目標の位置データとの間の誤差、および/またはシミュレートされた速度データと目標の速度データとの間の誤差に基づく非線形フィードバックを介して計算される。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態によれば、セグメントが床に接触する状態での計算された反力が、適した計算されたトルクおよびシミュレートされた運動力学的データに基づいて得られる。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態によれば、重力補償制御アルゴリズムが使用され、重力補償制御アルゴリズムで、重力による力を人工的に補償することによって、計算された筋力を減少させるように、アシスト・トルクが得られる。
【0021】
本発明のもう1つの実施形態によれば、重力に対する補償による、計算されたトルクの変化が、セグメントの質量中心の座標を使用して得られる。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態によれば、セグメントの質量中心の座標が、関節角度およびセグメント長の測定値から得られる。
【0023】
本発明のもう1つの実施形態によれば、重力の変化に起因する、計算されたトルクの変化が、足の下で測定された反力を使用して得られる。
【0024】
本発明のもう1つの実施形態によれば、フィードバックゲインが、最速の非振動性応答を作成するように選択される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明は、動力付き補助装置から部分的アシストを受けている人間の動きの解析および設計の計算方法を提供する。このアルゴリズムは、シミュレーション・プラットフォームに統合されて、人工的な制御下の人間の動きを制御するアルゴリズムのプロトタイプ作成、シミュレーション、および検証のテストベッドとして使用される。人間の動きの解析および設計の問題は、比例フィードバック項および微分フィードバック項によって結合される逆方向モデルおよび順方向モデルを使用する軌跡追跡制御アルゴリズムとして定式化される。筋力分配および筋容量モジュールが、人工的な制御の生理学的結果を評価し、必要な場合に修正を行うために、計算された関節トルクを監視するのに使用される。この構成によって、コントローラのロバスト性、安定性、および性能を検証でき、シミュレーション環境でパラメータをすばやく変更できるようになる。シミュレーション環境で、多くの異なる動きを研究することができる。したがって、現在の技術のハードウェア実現のために課せられる制約なしに、人間補助装置の将来の性能および設計を、シミュレーションを介して研究することが可能である。
【0026】
システム・モデル
システム(またはプラント)は、組み合わされた筋骨格および補助装置システムの動的モデルを指す。研究によって課せられる要件に依存して、さまざまな度合の複雑さを有するシステムを設計することができる。一般性を失わずに、概念を示すために単純な平面二足システムを考慮する(図1参照)。動きの方程式は、図1に示された二足移動の3つのパターンを処理するように定式化される。3つのパターンには、片足支持、両足支持、および遊脚が含まれる。qが、回転および並進の自由度に対応する座標であるものとする。
【0027】
【数1】
q = [x3 y3 Θ1 Θ2 Θ3 Θ4 Θ5] T (1)
ここで、(x、y)は、胴体の質量中心に対応し、関節角度Θは、鉛直線から時計回りに測定される。
【0028】
システムは、筋肉からの随意制御および補助装置からの人工的な制御によって作動される。関節に印加される総トルク(正味関節トルク)は、筋肉からのトルク(τ)とアシスト・アクチュエータからのトルク(τ)を組み合わせたトルクである。
【0029】
【数2】
τ=τam (2)
【0030】
C(q)が、足と床の接触制約式を表し、Γ=[Γ Γが、左右の足の下の床反力に対応するベクトルであるものとする。このシステムの動きの方程式は、次式によって与えられる。
【0031】
【数3】
Figure 0004133216
【0032】
ここで、J、B、およびGは、それぞれ、慣性項、コリオリおよび求心トルク項、および重力項に対応する。ベクトルTadによって、補助装置の動力学がモデル化され、定数行列Dによって、関節でのトルク結合効果の特性が表される。運動方程式の形成において、関節角度に対して、相対座標ではなく絶対座標が使用されているので、行列Dが存在する。床反力は、
【数4】
Figure 0004133216
によって、状態および入力の関数として表すことができる(Hemami, H., A feedback On-Off Model of Biped Dynamics. IEEE Transactions on Systems, Man, and Cybernetics, Vol. SMC-10, No. 7, July 1980)。
【0033】
図2に、左右の足と床の間欠的な接触に関するシステム・モデル記述を示す。フォワードの動的計算は、誘導される
【数5】
Figure 0004133216
は、数値積分によって得られる状態変数
【数6】
Figure 0004133216
を使用して、式(3)および(4)から計算される。
【0034】
内部(逆)モデル
新規の機械システムと結合された時の人体の挙動が、コントローラが内部モデルに依存している時に生じる挙動に非常に類似することが実証された。そのような内部モデルの1つが、運動指令の知覚結果を予測するのに使用される計算を記述するのに使用される用語であるフォワード・モデルと考えられる。フォワード・モデルを、人間の中枢神経系(CNS)によって使用して、動作の知覚結果を推定することを提唱する多数の研究がある(Wolpert, D.M., Miall, R.C., Kerr, G.K., Stein, J.F. Ocular limit cycles induced by delayed retinal feedback. Exp Brain Res., 96: 173-180, 1993; Flanagan. J.R., Wing, A.M. The role of internal models in motion planning and control: evidence from grip force adjustment during movements of hand held loads. J. Neurosci, 17:1519-1528, 1997)。この理論は、知覚−運動ループに固有の伝達遅れを検討すると簡単に理解される。フォワード・モデルは、時間遅れ系のフィードバック制御に特に関連するが、目標の挙動に適切な運動指令を予測するために、時々逆モデルが検討される(Atkeson, C.G. Learning arm kinematics and dynamics. Annu Rev. Neurosci, 12:157-183, 1989; Kawato, M., Adaptation and learning in control of voluntary movement by the central nervous system. Advanced Robotics 3, 229-249, 1989; Shadmehr, R., Leaming virtual equilibrium trajectories for control of a robot arm. Neural Comput, 2:436-477, 1990; Gomi, H., Kawato, M., The cerebellum and vor/okr learning models. Trends Neurosci, 15:445-453, 1992)。
【0035】
逆モデルは、コントローラが誤差に応答する能力を有しておらず、不安定性がもたらされると思われるので、一般的に、時間遅れ系の制御について検討がされない。しかし、ローカル・フィードバック機構または固有フィードバック機構が、逆モデルと共に、遅れを有するシステムを安定化させるように機能できるように思われる。安定化特性を有するローカル・フィードバックは、筋肉および脊髄反射ループの粘弾性特性の形で人間に存在すると思われる。逆モデルの概念は、それによって内部負荷が運動力学的測定から推定される、生体力学的量の解析問題にも魅力的である。人間の感覚運動制御の計算モデルを開発する際に採用された手法は、非線形フィードバックと結合された逆モデルという概念に基づく(図3)。この機構は、人間の動きの生体力学的解析ならびに人工的な制御の設計の観点から説得力がある。qが、モーションキャプチャデータから得られた目標の運動を表すものとする。次の制御法則Dτ’は、システム方程式に適用された時に、目標の運動力学的データを追跡し、再現する、シミュレートされた応答をもたらす。
【0036】
【数7】
Figure 0004133216
ただし、
【数8】
Figure 0004133216
である。
【0037】
対角行列KおよびKは、それぞれ位置フィードバック利得および速度フィードバック利得を表す。閉ループ系の固有値は、次式によってフィードバック利得に関連する。
【0038】
【数9】
Figure 0004133216
【数10】
Figure 0004133216
【0039】
追跡誤差に対する臨界減衰応答(最速の非振動性応答)は、2つの固有値を、等しく実数で負になるように指定することによって達成することができる。パラメータaは定数であり、測定のノイズの厳しさに応じて、0または1をセットされる。目標の軌跡が、ノイズの多いモーションキャプチャ測定から得られる場合には、a=0をセットし、固有値を大きい負になるように指定することが適当である可能性がある。このように、ノイズの多い運動力学的データから信頼性のない加速度を計算する必要なしに、追跡が達成される。
【0040】
筋力と筋容量
筋力および筋容量モジュールは、理想的には、(図5に示されているように)閉ループ系の順方向経路で実現すべきである。しかし、筋力および筋容量モジュールを、出力が解析の目的のみに使用される別個のモジュールとして実現することもできる。後者の場合に、モジュールの入力は、閉ループ系の必要な変数につながるが、モジュールは、閉ループの動力学を変更しない。
【0041】
どちらの場合でも、複数の異なる筋力分配アルゴリズムを実施することができる。筋力分配アルゴリズムの選択の基礎となる概念を、下に示す。
【0042】
正味の筋モーメントτおよび筋力Fは、次式によって与えられる。
【0043】
【数11】
Figure 0004133216
【0044】
ここで、Lは、筋アクチュエータの全長であり、∂L/∂qは、(n×m)筋モーメント・アーム行列である。筋肉の数(m)が、自由度(n)を超えるので、逆動力学計算からの筋アクチュエータの励起入力(および結果の力)は、実質上は本来、不良条件の(ill-posed)問題を解くことに等しい。静的非線形最適化を広範囲に使用して、要求されるトルクを作る個々の筋力を予測した。静的最適化を使用して個々の筋力を予測することには、複数の説得力のある理由がある。第1に、静的非線形最適化技法は、十分に展開された理論的基礎を有する。一般的な、制約付きの複数変数非線形最適化問題を解く市販ソフトウェアの進歩に伴って、現在、複雑な問題を比較的短い時間で数値的に解くことが可能である。第2に、筋力が、何らかの仕方で生理学的判断基準を最適化するように制御されるという概念が、非常に直観的な魅力を有する。歩行などの動きに関して、静的最適化が、動的最適化に非常に類似する結果をもたらすことが示されている(Anderson, FC and Pandy, MG., Static and Dynamic Optimization Solutions for Gait are practically equivalent, Journal of Biomechanics 34, 2001, 153-161, 2001)。
【0045】
筋力および筋容量モジュールは、入力として逆モデルから計算された(Dτ’によって表される)トルクを受け取り、静的な最適化判断基準に基づいて筋力を計算する(図4のモジュール410)。この最適化問題を解く際に、どのようなコスト関数でも定義することができるが、ここで使用するコスト関数では、筋肉活性化の二乗の和
【数12】
Figure 0004133216
を最小にする。ここで、mは、関節と交わる筋肉の数であり、aは、筋肉iの活性化レベルであり、0.01と1.0の間に制限される。筋肉iの筋力Fiは、次のように表すことができる。
【0046】
【数13】
Figure 0004133216
ここで、
【数14】
Figure 0004133216
は、筋肉iの最大許容筋力である。勾配に基づく技法を使用して、コスト関数Jを最小にすると同時に、当該するすべての自由度について関節モーメント平衡を満足する筋肉活性化について、数値的に解くことができる。この最適化問題は、制約付き非線形最適化(Sequential Quadratic Programming; AEM Design)を使用して解くことができる。筋肉活性化を得た後に、筋肉の力−長さ−速度−活性化関係を使用して筋力を決定することができる(Zajac, F.E. Muscle and tendon: Properties, models, scaling, and application to biomechanics and motor control. Critical Reviews in Biomedical Engineering, 17(4):359-41 1, 1989; Anderson, FC and Pandy, MG., Static and Dynamic Optimization Solutions for Gait are practically equivalent, Journal of Biomechanics 34, 2001, 153-161, 2001; Hungspreugs, P., Thelen, D., Dariush, B., Ng-Thow-Hing, V., Muscle Force Distribution Estimation Using Static Optimization Techniques. Technical Report - Honda R&D Americas, April 2001)。
【0047】
計算された筋力は、その後、筋容量モジュール420内で筋肉の生理学的容量と比較される。最大許容筋力は、筋肉の十分に研究された力−長さ−速度関係(上掲のZajac 1989)から確かめることができる。さらに、アシスト・トルクを伴う筋力およびアシスト・トルクを伴わない筋力が、アシスト・トルク制御が動きを介助した(効率を改善した)か妨げたかを評価するために比較される。アシスト・トルク制御が動きを妨げる場合には、筋力を調整し、適した関節トルクを計算する(図4のモジュール430および440)。不完全に設計されたアシスト制御は、Dτ’≠Dτをもたらし、目標の応答を追跡しないシミュレートされた応答をもたらす。アシスト・トルクが最適に設計されている場合には、Dτ’=Dτになり、結果の動きが、目標の動きに追従する。
【0048】
補助装置コントローラ
人間補助装置への入力に、感知された状態変数
【数15】
Figure 0004133216
を含めることができ、この状態変数は、直接に測定するか推定することができる。
【0049】
【数16】
Figure 0004133216
によって示されるこれらの入力は、人間モデルの状態変数
【数17】
Figure 0004133216
の総数のサブセットを表す。感知された状態変数のほかに、補助装置コントローラへの入力として測定値を使用することもできる。補助装置コントローラ出力は、アシスト・トルクτを表し、これが逆モデルに入力される。
【0050】
人間補助装置コントローラによって、異なる制御戦略を使用することができる。たとえば、重力補償制御を、システム全体(人間と外骨格)の位置エネルギの増加を必要とする作業に使用することができる。そのような作業には、物体を持ち上げること、負荷の担持すること、階段を登ること、椅子から立ち上がることなどが含まれる。異なる制御戦略またはハイブリッド制御戦略が、歩行または走行などの他の作業に適する可能性がある。ここでは、重力補償制御アルゴリズムを提示する。
【0051】
ラグランジアンを使用することによって、筋骨格システムの総位置エネルギを評価することができる。Uが、システムにたくわえられた総位置エネルギを表すものとする。
【0052】
【数18】
Figure 0004133216
【0053】
重力に起因する関節iでのトルクは、qに関するUの偏導関数をとることによって計算することができる。
【0054】
【数19】
Figure 0004133216
【0055】
ここで、gは、重力加速度ベクトルを表し、Xは、セグメントjの質量中心の座標を表す。セグメント1とセグメント2の間の膝関節が、補助装置によって作動され、qに対応する角度(q⊂qを表す)が測定可能であるものとする。下の制御法則を、補助装置コントローラの1アルゴリズムとして使用することができる。
【0056】
【数20】
Figure 0004133216
【0057】
上の制御アルゴリズムが、すべてのリンク・セグメントの質量中心位置(Xによって表される)を必要とすることに留意されたい。Xは、関節角度から導出することができるが、すべての関節の角度およびセグメント長を測定することは、実現可能でない可能性がある。その代わりに、各足の下の床反力の垂直成分を測定または推定できる場合に、反復的「グラウンド・アップ」重力補償アルゴリズムを導出することができ、各セグメントの質量中心にアクセスする必要がなくなる。
【0058】
統合モジュール
本明細書で説明した統合されたモジュールのブロック図を、図5に示す。補助装置コントローラは、入力として感知された状態、出力としてアシスト・トルクを有すると仮定する。全体的なフレームワークは、非常に一般的であり、補助装置制御信号の柔軟な設計が可能になる。そのような設計の詳細は、当業者によって容易に行われる。
【0059】
図6に、本発明の一実施形態によるシミュレーション・プロセスを示す流れ図を示す。ステップS605で、時刻tに0をセットする。ステップS610で、組み合わされた筋骨格および補助装置システムの目標の運動力学的データを得る。目標の運動力学的データは、モーションキャプチャデータから得ることができる。
【0060】
ステップS612で、シミュレートされた運動力学的データをフィードバックし、トラッキング誤差を得る。
【0061】
ステップS615で、式6を使用して修正された加速度
【数21】
Figure 0004133216
を計算する。
【0062】
ステップS617で、センシングされた運動力学的データをフィードバックする。
【0063】
ステップS620で、補助装置コントローラ500を使用して、アシスト・トルクDτを計算する。
【0064】
ステップS625で、式5(逆モデル300)を使用してトルクDτ’を計算する。
【0065】
ステップS630で、筋力を検査し、調整して、対応するトルクを修正する(筋力および筋容量モジュール400)。
【0066】
ステップS635で、誘導される加速度
【数22】
Figure 0004133216
は、式(3)および(4)を使用して計算され、運動力学的データ
【数23】
Figure 0004133216
は、数値積分によって得られる(モジュール200、210および220)。
【0067】
ステップS640で、時刻tを増分し、ステップS645で、tがt未満であるかどうかを判定する。tがt未満である場合には、プロセスは、ステップS610に戻る。tがt以上の場合には、プロセスが終了する。
【0068】
上で述べた方程式、モジュール、または関数を、パーソナル・コンピュータ、ワーク・ステーション、およびメイン・フレーム・コンピュータなどの汎用コンピュータおよびASIC(特定用途向け集積回路)を含むあらゆる種類の計算装置で実施できることに留意されたい。
【0069】
一実施形態では、汎用コンピュータを使用して、本発明を実施する。汎用コンピュータに、上で述べた方程式、モジュール、または関数を表すソフトウェアが含まれる。このソフトウェアは、コンピュータ可読媒体に含まれることが好ましい。コンピュータ可読媒体には、読取専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、ハード・ディスク、フレキシブル・ディスク、コンパクト・ディスクなどが含まれる。
【0070】
シミュレーション
追跡システムの非常に簡単なシミュレーションを実行して、本明細書で提案した概念のいくつかを示す。
【0071】
基準軌跡の加速度推定なしの、提案された方法の追跡特性を示すシミュレーションを提供する。具体的に言うと、しゃがむ動作中の二足システムの両足支持期をシミュレートした。その結果を、図7から9に示す。
【0072】
図7では、目標の関節軌跡およびシミュレートされた関節軌跡から、追跡手順の有効性が示される。これらの結果は、a=0をセットする、すなわち、逆モデルへの入力として加速度推定値を使用しないことによって得られた。対応する関節トルクおよび床反力を、それぞれ図8および図9に示す。
【0073】
本発明の範囲および趣旨から逸脱せずに、当業者が上で述べた実施形態を修正または変更できることに留意されたい。したがって、開示された実施形態が、本発明の範囲を制限することを意図されたものではなく、本発明を例示的に示すのみであることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】両足支持期、片足支持期、および遊脚期の間欠的な接地を伴う矢状面での5自由度を有する二足歩行システムである。
【図2】左右の足の床との間欠的な接触に関するシステム・モデル記述である。
【図3】システム・モデルに適用される時に、目標の運動力学的データを追跡し、再現する、トルクの計算に関する位置および速度のフィードバックを有する逆動力学コントローラである。
【図4】筋力および筋容量モジュールである。
【図5】統合されたシミュレーション・システムのブロック図である。
【図6】本発明の一態様によるシミュレーション・プロセスを示す流れ図である。
【図7】目標の運動力学的軌跡のほぼ完全な追跡が示されている、目標の加速度を使用しない(a=0)、しゃがむ動作中の関節角度のシミュレーションである。
【図8】非線形フィードバック(NLF)を使用する提案された方法が、ノイズ・フリー逆動力学的計算によって得られる検証関節トルクと比較してほぼ理想的な関節トルクを作る、目標の加速度を使用しない(a=0)、しゃがむ動作中の関節トルクのシミュレーションである。
【図9】非線形フィードバック(NLF)を使用する提案された方法が、反復ニュートン・オイラー逆動力学的手順によって得られる検証床反力と比較してほぼ理想的な床反力推定値を作る、目標の加速度を使用しない(a=0)、しゃがむ動作中の水平および垂直の床反力のシミュレーションである。
【符号の説明】
200、210、220 モジュール
300 逆モデル
400 筋力および筋容量モジュール
410 筋力モジュール
420 筋容量モジュール
430 可能な(調整された)筋力モジュール
440 可能な関節トルク・モジュール
500 補助装置コントローラ

Claims (27)

  1. セグメントおよびセグメントを接続する関節を含む、組み合わされた筋骨格および補助装置システムのシミュレーション・システムであって、
    組み合わされた筋骨格および補助装置システムの動力学モデルであって、入力として関節での計算されたトルクを受け取り、出力としてセグメントのシミュレートされた運動力学的データを送り出す、動力学モデルと、
    補助装置の制御用の補助装置コントローラであって、入力としてシミュレートされた運動力学的データを受け取り、出力としてアシスト・トルクを計算する、補助装置コントローラと、
    筋骨格および補助装置システムの逆動力学モジュールであって、入力としてシミュレートされた運動力学的データ、セグメントの目標の運動力学的データ、およびアシスト・トルクを受け取り、計算されたトルクを送り出す、逆動力学モジュールと、
    逆動力学モジュールから計算されたままのトルクを検査し、調整する筋力および筋容量モジュールであって、入力として計算されたままのトルクを受け取り、該アシスト・トルクによってアシストされる人間の筋力を評価することによって該計算されたままのトルクを調整し、出力として調整後の計算されたトルクを送り出す、筋力および筋容量モジュールと、を含むシミュレーション・システム。
  2. 筋力および筋容量モジュールが、計算されたトルクから筋力を導き出し、筋力を最大許容筋力と比較し、筋力が最大許容筋力を超える場合に、筋力が最大許容筋力以下となるように計算されたトルクを調整する、請求項1に記載のシミュレーション・システム。
  3. アシスト・トルクを伴う筋力およびアシスト・トルクを伴わない筋力が、アシスト・トルク制御が動きを助けたか妨げたかを評価するために比較され、アシスト・トルク制御が動きを妨げた場合に、筋力が調整され、適した関節トルクが計算される、請求項1または2に記載のシミュレーション・システム。
  4. 筋力および筋容量モジュールが、筋肉活性化の二乗の和を最小にする静的最適化判断基準に基づいて筋力を導き出す、請求項2または3に記載のシミュレーション・システム。
  5. 逆動力学モデルが、シミュレートされた運動力学的データの非線形フィードバックを介して運動力学的データの修正された加速度を得る、請求項1から4のいずれか一項に記載のシミュレーション・システム。
  6. 運動力学的データが、位置データ、速度データ、および加速度データを含み、逆動力学モデルが、目標の加速度データ、シミュレートされた位置データと目標の位置データとの間の誤差、およびシミュレートされた速度データと目標の速度データとの間の誤差に基づく非線形フィードバックを介して、運動力学的データの修正された加速度を計算する、請求項5に記載のシミュレーション・システム。
  7. 運動力学的データが、位置データ、速度データ、および加速度データを含み、逆動力学モデルが、シミュレートされた位置データと目標の位置データとの間の誤差、および/またはシミュレートされた速度データと目標の速度データとの間の誤差に基づく非線形フィードバックを介して、運動力学的データの修正された加速度を計算する、請求項5に記載のシミュレーション・システム。
  8. フィードバックゲインが、最速の非振動性応答を作成するように限界的に減衰させた応答を与えるように選択される、請求項5に記載のシミュレーション・システム。
  9. さらに、入力として計算されたトルクおよびシミュレートされた運動力学的データを受け取り、出力として、セグメントが床に接触する状態でのシミュレートされた反力を送り出す床反力モデルを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のシミュレーション・システム。
  10. 補助装置コントローラが、重力補償制御アルゴリズムを使用し、重力補償制御アルゴリズムで、補助装置コントローラが、重力による力を補償し、重力に対する補償により計算された筋トルクを変えるようにアシスト・トルクを得る、請求項1から9のいずれか一項に記載のシミュレーション・システム。
  11. 補助装置が、セグメントの質量中心の座標を使用して、重力アシスト制御により、計算された筋トルクの変化を得る、請求項10に記載のシミュレーション・システム。
  12. 補助装置が、関節角度およびセグメント長の測定値から、セグメントの質量中心の座標を得る、請求項11に記載のシミュレーション・システム。
  13. 補助装置が、足の下で測定された反力を使用して、重力アシスト制御により、計算された筋トルクの変化を得る、請求項10に記載のシミュレーション・システム。
  14. セグメントおよびセグメントを接続する関節を含む、組み合わされた筋骨格および補助装置システムをシミュレートする方法であって、
    シミュレートされた運動力学的データに基づいて、補助装置のアシスト・トルクを計算するステップと、
    シミュレートされた運動力学的データ、セグメントの目標の運動力学的データ、およびアシスト・トルクに基づいて、正味の関節トルクおよび該アシスト・トルクによってアシストされる人間の筋トルクを計算するステップと、
    該筋トルクを評価することによって、関節での調整されたトルクを求めるステップと、
    関節での調整されたトルクに基づいて、セグメントのシミュレートされた運動力学的データを計算するステップと、を含む方法。
  15. 計算されたトルクを検査し、調整するステップが、計算された筋トルクから筋力を導き出すことと、筋力を最大許容筋力と比較することと、筋力が最大許容筋力を超える場合に、筋力が最大許容筋力以下となるように計算されたトルクを調整することとを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 計算されたトルクを検査し、調整するステップが、アシスト・トルク制御が動きを助けたか妨げたかを評価するためにアシスト・トルクを伴う筋力およびアシスト・トルクを伴わない筋力を比較することと、アシスト・トルク制御が動きを妨げた場合に、筋力を調整し、適した関節トルクを計算することとを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 計算されたトルクを検査し、調整するステップが、アシスト・トルク制御が動きを助けたか妨げたかを評価するためにアシスト・トルクを伴う筋力およびアシスト・トルクを伴わない筋力を比較することと、アシスト・トルクが動きの効率性を促進することを保証するように適切な制御法則を設計することを含む、請求項15に記載の方法。
  18. 筋力が、筋肉活性化の二乗の和を最小にする静的な最適化判断基準に基づいて導き出される、請求項15または16に記載の方法。
  19. 計算されたトルクを計算するステップが、シミュレートされた運動力学的データの非線形フィードバックを介して運動力学的データの修正された加速度を計算することを含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 運動力学的データが、位置データ、速度データ、および加速度データを含み、運動力学的データの修正された加速度が、目標の加速度データ、シミュレートされた位置データと目標の位置データとの間の誤差、およびシミュレートされた速度データと目標の速度データとの間の誤差に基づく非線形フィードバックを介して計算される、請求項19に記載の方法。
  21. 運動力学的データが、位置データ、速度データ、および加速度データを含み、運動力学的データの修正された加速度が、シミュレートされた位置データと目標の位置データとの間の誤差、およびシミュレートされた速度データと目標の速度データとの間の誤差に基づく非線形フィードバックを介して計算される、請求項19に記載の方法。
  22. セグメントのシミュレートされた運動力学的データを計算するステップが、計算されたトルクおよびシミュレートされた運動力学的データに基づいて、セグメントが床に接触する状態での反力を計算することを含む、請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 補助装置のアシスト・トルクを計算するステップが、重力補償制御アルゴリズムを使用して実行され、重力補償制御アルゴリズムで、補助装置コントローラが、重力による力を補償するようにアシスト・トルクを得る、請求項14から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 重力アシスト・トルクの変化による、計算されたトルクの変化が、セグメントの質量中心の座標を使用して計算される、請求項23に記載の方法。
  25. セグメントの質量中心の座標が、関節角度およびセグメント長の測定値から得られる、請求項24に記載の方法。
  26. 重力の変化による、計算された筋トルクの変化が、足の下で測定された反力を使用して計算される、請求項23に記載の方法。
  27. セグメントおよびセグメントを接続する関節を含む、組み合わされた筋骨格および補助装置システムをシミュレートするコンピュータ・プログラムであって、
    コンピュータにシミュレートされた運動力学的データに基づいて、補助装置のアシスト・トルクを計算させ、
    シミュレートされた運動力学的データ、セグメントの目標の運動力学的データ、およびアシスト・トルクに基づいて、トルクを計算させ、
    該アシスト・トルクによってアシストされる人間の筋トルクを計算させ、
    該筋トルクを評価することによって、計算されたトルクを調整させ、
    関節での調整されたトルクに基づいて、セグメントのシミュレートされた運動力学的データを計算させるコンピュータ・プログラム。
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