JP4133250B2 - 多軸強化繊維シート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、FRP成型品の中間基材或いは構造材として、又は、照明柱、標識柱、電柱などに使用されている金属管柱或いはプラスチック管の補強材として、更には、土木、建築構造物の補強材などとしても好適に使用し、薄目付けにて、捩じり剛性の向上を図ることのできる連続した多軸強化繊維シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば、飛行機の翼、胴体、風車のブレード、更には、船舶、自動車などの大型構造物を作製する場合に、例えばI型、H型、T型、L型、又は、シャフト或いはパイプなどのロッド状或いは管状などとされる連続した長尺の繊維強化プラスチック構造材が使用されている。
【0003】
このような長尺の繊維強化プラスチック構造材は、強化繊維が主軸方向に沿って配列された一方向配列強化繊維シートにマトリクス樹脂を含浸させてモールドへと連続して送給し成形する、所謂、引抜成形法にて作製することができる。
【0004】
又は、強化繊維シートに予めエポキシ樹脂などをホットメルトで含浸させたプリプレグを作り、そのプリプレグを複数層重ねながら所定の形状になるように連続的に加熱、加圧を行うことで長尺の繊維強化プラスチックを成形することができる。
【0005】
しかしながら、このようにして形成された繊維強化プラスチック構造材は、所望の曲げ強度及び剛性は達成し得るが、一方向繊維の成形品であるため、捩じり剛性が弱いという問題がある。
【0006】
そこで、従来、捩じり剛性を得るために、強化繊維を例えば45°方向に配列した強化繊維シートを繊維強化プラスチック構造材に貼付することが行われている。
【0007】
強化繊維がシートの長手方向軸線に対して所定の角度とされた強化繊維シートを作製する方法としては、例えば、特許文献1に記載されるように、所定の幅にて平行に配置されて無端回転するテンターベルトを備えた幅出し機を使用し、この幅出し機に対して、一方向に引き揃えた多数本の強化繊維ストランドを所定角度にて供給し、トラバースする方法がある。
【0008】
しかしながら、この方法は、強化繊維ストランドを幅方向に幅決めピンに引っかけながら折り返して配向させるため、例えば200g/m2以下の、所謂、薄目付けの強化繊維シートを、目開きなく製造することができないといった問題を有している。
【0009】
そこで、本発明者らは、特許文献2に記載されるように、捩じり剛性をも向上した連続した成形品を引抜成形法などの成形法により作製することを可能とする、強化繊維が主軸に対して、例えば45°方向に配列された連続した強化繊維シートを提案した。
【0010】
つまり、特許文献2に記載の強化繊維シートは、図に示すように、連続した樹脂透過性支持体シート2と、実質的に一定長さの長繊維とされる強化繊維4が樹脂透過性支持体シート2の長手方向に対して所定の角度αをもって且つ樹脂透過性支持体シート2の長手方向に沿って配列され、樹脂透過性支持体シート2に保持された強化繊維層3とを有し、連続したシート形状を成す樹脂未含浸の連続強化繊維シートである。通常、この連続強化繊維シートは、幅Wが10〜150cm、長手方向の長さLが10m以上とされる。
【0011】
実際に、例えば、連続した縦糸5及び横糸6からなるメッシュ状支持体シート2の上に所定長さFの強化繊維4を、主軸に対して所定の角度、例えばα=45°をなして配列して、メッシュ状支持体シート2にて接着保持することにより、強化繊維4が45°方向に配列した、所謂バイアスの連続した強化繊維シート1を好適に作製することができる。このような構成とされる連続バイアス強化繊維シートは、強化繊維がバラケルこともなく、十分引抜成形加工に使用することができ、捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製し得るものである。
【0012】
【特許文献1】
米国特許番号3761345号
【特許文献2】
特開2002−53683号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成の連続強化繊維シート1を製造するには、
(a)樹脂透過性支持体シート2を連続して供給し、
(b)同時に、樹脂透過性支持体シート2と積層するように、実質的に一定長さFの長繊維とされる強化繊維4を樹脂透過性支持体シート2の長手方向に対して所定の角度αをもって供給し、更に、
(c)樹脂透過性支持体シート2と、強化繊維4により形成され、樹脂透過性支持体シート2と積層された強化繊維層3とを加熱圧着する、
ことが必要とされる。
【0014】
つまり、上記連続強化繊維シートを製造するには、その製造設備が複雑であり、また、製造コストが比較的高く、従って、更に簡易な製造方法が望まれている。
【0015】
簡易な方法としては、従来、図に示すように、強化繊維101を一方向に整列して作製した強化繊維シート100を、強化繊維101が所定の角度、例えば45°にて配列されるように裁断することにより作製した多数枚の強化繊維シート102を、連続した樹脂透過性支持体シート上に配列して接着することにより繋ぎ合わせて、引抜成形などに使用することが行われている。
【0016】
しかしながら、この場合には、多数枚の強化繊維シート102を繋ぎ合わせるに際して、強化繊維シート102の繋ぎ目が重なったり、段差ができたりするために、形成された繊維強化プラスチック構造材の品質の面で十分に満足し得るものではない。
【0017】
従って、本発明の目的は、主軸に対して強化繊維が任意の角度で配列され、強化繊維がバラケルこともなく十分引抜成形加工に使用することができ、捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製することのできる連続した多軸強化繊維シート及びその製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、多数枚の強化繊維シートを繋ぎ合わせることによる強化繊維シートの繋ぎ目が重なったり、段差ができたりすることがなく、形成された繊維強化プラスチック構造材の品質の面で十分に満足し得る、捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製することのできる連続した多軸強化繊維シート及びその製造方法を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、目開きがなく、繊維目付200g/m2以下の薄目付けとされる捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製することのできる連続した多軸強化繊維シート及びその製造方法を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的は本発明に係る多軸強化繊維シート及びその製造方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、連続したシート形状をなす樹脂未含浸の多軸強化繊維シートにおいて、
樹脂透過性支持体シートに強化繊維を一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートを所定の寸法形状にカットすることにより作製された同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメントを、前記強化繊維の配向角度が前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に対して所定の角度となるようにして前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に沿って重なり合わないように整列して配置し、この配列された前記強化繊維シートセグメントを長手軸線方向にステッチングすることにより一体化したことを特徴とする多軸強化繊維シートが提供される。
【0021】
第2の本発明によれば、連続したシート形状をなす樹脂未含浸の多軸強化繊維シートにおいて、
樹脂透過性支持体シートに強化繊維を一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートを所定の寸法形状にカットすることにより作製された同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメントを、前記強化繊維の配向角度が前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に対して所定の角度となるようにして前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に沿って重なり合わないように整列された第1の帯状強化繊維シートと、前記第1の帯状強化繊維シートとは強化繊維の配向角度の異なる少なくとも1つの他の帯状強化繊維シートとを重ね合わせ、前記複数の帯状強化繊維シートを長手軸線方向にステッチングすることにより一体化したことを特徴とする多軸強化繊維シートが提供される。
【0022】
第3の本発明によれば、連続したシート形状を成す樹脂未含浸の多軸強化繊維シートの製造方法において、
樹脂透過性支持体シートに強化繊維を一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートを所定の寸法形状にカットして同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメントを作製し、
前記各強化繊維シートセグメントを、前記各強化繊維シートセグメントの強化繊維の配向方向が前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に対して所定の角度となるようにして、且つ、前記多軸強化繊維シートの長手軸線に沿って重なり合わないように整列して、強化繊維の配向角度異なるか又は同じとされる複数の帯状強化繊維シートを形成し、
前記複数の帯状強化繊維シートを互いに重ね合わせて、長手軸線方向にステッチングすることにより一体化する、
ことを特徴とする多軸強化繊維シートの製造方法が提供される。一実施態様によれば、前記強化繊維シートセグメントは、所定の幅(w)の前記一方向配列強化繊維シートを長手軸線に対して所定の角度(θa、θb)及び寸法(ha)でカットして同じ菱形形状とされる。
【0025】
上記本発明にて、一実施態様によれば、前記多軸強化繊維シートは、幅が10〜300cm、長手方向の長さが10m以上とされる。
【0026】
他の実施態様によれば、前記多軸強化繊維シートの強化繊維は、多軸強化繊維シートの長手方向に対して0°〜±90°のいずれかの角度にて配列されている。
【0027】
他の実施態様によれば、前記一方向配列強化繊維シートは、前記樹脂透過性支持体シートが前記強化繊維にて形成された強化繊維層の片面或いは両面に設けられる。
【0028】
他の実施態様によれば、前記樹脂透過性支持体シートは、2軸或いは3軸のメッシュ状体のシート、クロス、又は、シートの長手方向に対し90°方向の1軸のみのシートとし得る。
【0029】
他の実施態様によれば、前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、又は、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維、更には、鋼繊維などを一種、又は、複数種混入して使用することができる。
【0030】
他の実施態様によれば、前記強化繊維の繊維目付は、30〜1000g/m2である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る多軸強化繊維シート及びその製造方法を図面に則して更に詳しく説明する。
【0032】
実施例1
図1は、本発明の連続したシート形状をなす多軸強化繊維シート20の一実施例を示す。
【0033】
本発明によれば、詳しくは後述するように、樹脂透過性支持体シートに強化繊維fを一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートにて構成される所定形状の強化繊維シートセグメント10(10A1、10A2、・・・・;10B1、10B2、・・・・)を、強化繊維fの配向角度が多軸強化繊維シート20の長手方向軸線(主軸)に対して所定の角度α、βとなるようにして多軸強化繊維シート20の長手方向軸線に沿って整列し、そして、これら強化繊維シートセグメント10(10A1、10A2、・・・・;10B1、10B2、・・・・)を長手軸線方向にステッチングSすることにより一体化する。
【0034】
更に具体的に説明すると、本実施例にて、連続したシート形状をなす多軸強化繊維シート20は、第1の帯状強化繊維シート21Aと、第2の帯状強化繊維シート21Bとを有する。
【0035】
第1の帯状強化繊維シート21Aは、所定形状の、本実施例では、同じ菱形形状をした強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・を、主軸に沿って帯状に整列して形成される。この時、各強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・は重なり合わないように配列する。各強化繊維シートセグメントの強化繊維fは、主軸に対して所定の配向角度(α)とされる。
【0036】
第2の帯状強化繊維シート21Bは、第1の帯状強化繊維シート21Aと同様の構成とされ、ただ、強化繊維fの配向角度が第1の帯状強化繊維シート21Aとは異なる角度(β)とされる。
【0037】
本実施例によれば、第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bは、長手方向軸線に沿って互いに重ね合わせ、次いで、重ね合わせた第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bは、長手方向軸線に沿ってステッチングSすることにより一体化される。
【0038】
上記説明では、多軸強化繊維シート20は、第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bにて構成されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に、少なくとも1つ以上の他の帯状強化繊維シートを重ね合わせてステッチングにより一体化することも可能である。この時、他の帯状強化繊維シートの強化繊維の配向角度は、上記第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bの強化繊維の配向角度α、βとは、異なるものとすることもでき、又、同じとすることもできる。
【0039】
通常、強化繊維fの配向角度αは+45°、配向角度βは−45°とされる。ただこれに限定されるものではなく、配向角度は、所望に応じて0〜±90°の範囲内で任意の角度とし得る。
【0040】
本発明の多軸強化繊維シート20は、幅(W)が10〜300cm、長さ(L)が10m以上とされる。従って、連続的に行われる引抜成形加工用の基材として好適に使用し得る。
【0041】
シート形状とされる本発明に従った多軸強化繊維シート20には、未だマトリクス樹脂は含浸されてはいない。マトリクス樹脂は、使用時に含浸することもでき、場合によっては、使用に先立って予め含浸して多軸強化繊維シート20をプリプレグの状態としておくことも可能である。
【0042】
次に、本発明に従った多軸強化繊維シート20の製造方法について説明する。
【0043】
実施例2
本実施例の製造方法によれば、例えば図2(A)、(B)に示すように、一方向に強化繊維fが配列された連続した一方向配列強化繊維シート10を準備する。
【0044】
この一方向配列強化繊維シート10は、本実施例では図2(A)、(B)に示すように、樹脂透過性の支持体シート12と、この支持体シート12にて保持された、一方向に配列された強化繊維fにて形成される強化繊維層11とを有する構成とされる。
【0045】
本発明によると、強化繊維層11の繊維目付は、30〜1000g/m2とされる。繊維目付が30g/m2より小さい場合には目開きが発生してくる。又、繊維目付が1000g/m2を越えるとシートの厚さが大となり、実用的でなくなる。
【0046】
樹脂透過性支持体シート12は、本実施例では、強化繊維層11の片面に配置されているが、強化繊維層11の両面に配置することもできる。
【0047】
本実施例にて、強化繊維層11を構成する強化繊維fは、PAN系或いはピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、又は、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維、更には、鋼繊維などを一種、又は、複数種混入して使用することができる。
【0048】
上記樹脂透過性支持体シート12は、2軸又は3軸などのメッシュ状体或いはクロスとすることができるが、本実施例では図2(A)に示すように、2軸メッシュ状体を使用した。2軸メッシュ状体12の糸条13、14の縦、横の間隔は、通常1〜100mm程度であるが、好ましくは2〜50mmである。
【0049】
また、上記樹脂透過性支持体シート12は、図2(B)に示すように、シート12の、即ち、強化繊維fの長手方向に対し90°方向のみに糸条4が配列された1軸シートとすることもできる。
【0050】
樹脂透過性支持体シート12にて強化繊維層11を保持する方法としては、例えば、メッシュ状支持体シート12を構成する縦糸13及び横糸14の表面に低融点タイプの熱可塑性樹脂を予め含浸させておき、メッシュ状支持体シート12を強化繊維層11の片面或いは両面に積層して加熱加圧し、メッシュ状支持体シート12の縦糸13及び横糸14の部分を強化繊維層11に溶着する。
【0051】
樹脂透過性支持体シート12としてクロス、或いは、1軸シートを使用した場合にも同様の方法にて、強化繊維層11を保持することができる。
【0052】
上記一方向配列強化繊維シート10と同様の構成とされる幅wの一方向配列強化繊維シート10Aを、図3に示すように、主軸に対して所定の角度θa(=90°−α)及び寸法haにてカットし、同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・を作製する。このようにして作製した強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・は、図5に示すように、各強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・の強化繊維fの配向方向が主軸に対して所定の角度αとなるように整列する。これにより、第1の帯状強化繊維シート21Aが形成される。この状態では、各強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・は単に並べられているに過ぎず、一体化されてはいない。ただ、所望に応じて、各強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・を連結するために仮のステッチングを長手方向に沿って施すことも可能である。
【0053】
同様にして、図4に示す、幅wの他の一方向配列強化繊維シート10Bを使用して、主軸に対して所定の角度θb(=90°−β)及び寸法hbにてカットし、同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメント10B1、10B2、・・・・を作製する。このようにして作製した強化繊維シートセグメント10B1、10B2、・・・・は、図5に示すように、各強化繊維シートセグメント10B1、10B2、・・・・の強化繊維fの配向方向が主軸に対して所定の角度βとなるように整列する。これにより、第2の帯状強化繊維シート21Bが形成される。この状態では、各強化繊維シートセグメント10B1、10B2、・・・・は単に並べられているに過ぎず、一体化されてはいない。勿論、所望に応じて、各強化繊維シートセグメント10B1、10B2、・・・・を連結するために仮のステッチングを長手方向に沿って施すことも可能である。
【0054】
次いで、図1に示すように、第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bを互いに重ね合わせ、その後、重ね合わせた第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bを長手軸線方向に沿ってステッチングSすることにより一体化する。
【0055】
帯状強化繊維シート21A、21Bの幅方向における各ステッチングSの幅間隔(s1)は、3〜30mmとされる。又、ステッチングSの送り(s2)は、2〜10mm程度とされる。
【0056】
また、ステッチングSは、一般的にはポリエステル糸を用いるが、綿、ナイロン、ビニロン、ガラス繊維などを使用することができる。
【0057】
より具体的には、ステッチングSは、+45°、−45°などに連続的に配向されたシート状に並べられた繊維を、シート幅方向に数十本〜数百本並べたステッチング用針とステッチ糸により、シートの長手方向に連続的に縫って行き、2層或いは数層の配向繊維状物をステッチ糸により一体化させる。ステッチングSは、図示するようなチェーンステッチでも、或いはジグザグ状のトリコットステッチでも良い。
【0058】
本実施例に従って作製した多軸強化繊維シート20は、目開きもなく、繊維目付を200g/m2以下としシート厚を充分薄くすることができ、また、強化繊維fがバラケルこともなく十分引抜成形加工に使用することができ、更には、多数枚の強化繊維シートセグメント10(10A1、10A2、・・・・;10B1、10B2、・・・・)の繋ぎ目が重なったり、段差ができたりすることがなく、捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製することができる。
【0072】
次に、本発明の多軸強化繊維シート20の使用例について説明する。
【0073】
使用例1
本発明の多軸強化繊維シート20を使用して、図に示すようなI型FRP構造材50を引抜成形により作製した。
【0074】
本使用例では、図2〜図5を参照して説明した製造方法により作製した、図1に示す構成の多軸強化繊維シート20を使用した。
【0075】
一方向配列強化繊維シート10は、強化繊維層11を構成する強化繊維fとして平均径7μm、収束本数12000本のPAN系炭素繊維ストランドを用い、繊維目付は50g/m2とした。メッシュ状支持体シート12は、縦糸13及び横糸14としてガラス繊維(番手300d、打ち込み本数1本/10mm)を用いた2軸メッシュ状体であった。2軸メッシュ状体の糸条の間隔は、10mmとした。
【0076】
メッシュ状支持体シート12の縦糸13及び横糸14には、熱可塑性樹脂を、含有量30重量%の割合で含浸させた。
【0077】
このようにして作製した一方向配列強化繊維シート10は、幅(W)が50cm、長さ(L)が100mであった。また、目開きもなかった。
【0078】
この一方向配列強化繊維シート10から、図3及び図4に示すように、同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・、及び、10B1、10B2、・・・・を作製した。
【0079】
各強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・、及び、10B1、10B2、・・・・の形状寸法は、同じとされ、
幅w: 50cm
高さha=hb: 70.7cm
カット角度θa、θb: 45°
であった。
【0080】
次いで、図1に示すように、上記強化繊維シートセグメント10A1、10A2、・・・・、及び、10B1、10B2、・・・・を用いて、第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bを形成し、互いに重ね合わせ、その後、重ね合わせた第1及び第2帯状強化繊維シート21A、21Bを長手軸線方向に沿ってステッチングSすることにより一体化した。
【0081】
帯状強化繊維シート21A、21Bの幅方向における各ステッチングSの幅間隔(s1)は、10mm、又、ステッチングSの送り(s2)は、3mmであった。また、ステッチングSは、ポリエステル糸を用いて行った。
【0082】
このようにして作製した多軸強化繊維シート20は、幅Wが50cm、長さLが30mであった。
【0083】
このようにして作製した多軸強化繊維シート20は、多数枚の強化繊維シートセグメント10(10A1、10A2、・・・・;10B1、10B2、・・・・)の繋ぎ目が重なったり、段差ができたりすることはなかった。
【0084】
に概略示すように、上記本発明の多軸強化繊維シート20、及び、図2に示す一方向配列強化繊維シート10を概略I型形状に組合せて、モールドへと送給し、引抜成形し、その後硬化して、I型FRP構造材50を作製した。多軸強化繊維シート20及び一方向配列強化繊維シート10は、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を予め含浸してあるプリプレグを使用した。多軸強化繊維シート20及び一方向配列強化繊維シート10における樹脂含有量は、35重量%であった。
【0085】
引抜成形されたI型FRP構造材50は、高さ(H1)80mm、幅(H2)50mm、厚み(T)2mm、長さ(H3)6mのものであった。
【0086】
本発明に従った多軸強化繊維シート20は、強化繊維fがバラケルこともなく十分引抜成形加工に使用することができた。また、加工後においても、多数枚の強化繊維シートセグメント10(10A1、10A2、・・・・;10B1、10B2、・・・・)の繋ぎ目が重なったり、段差ができたりすることがなかった。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、連続したシート形状をなす樹脂未含浸の多軸強化繊維シートにおいて、樹脂透過性支持体シートに強化繊維を一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートを所定の寸法形状にカットすることにより作製された同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメントを、強化繊維の配向角度が多軸強化繊維シートの長手方向軸線に対して所定の角度となるようにして多軸強化繊維シートの長手方向軸線に沿って重なり合わないように整列して配置し、この配列された強化繊維シートセグメントを長手軸線方向にステッチングすることにより一体化する構成とされるので、本発明の多軸強化繊維シートを用いれば、
(1)長手方向軸線に対して強化繊維が任意の角度で配列され、強化繊維がバラケルこともなく十分引抜成形加工に使用することができ、捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製することができる。
(2)多数枚の強化繊維シートを繋ぎ合わせることによる強化繊維シートの繋ぎ目が重なったり、段差ができたりすることがなく、形成された繊維強化プラスチック構造材の品質の面で十分に満足し得る、捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製することができる。
(3)目開きがなく、繊維目付200g/m2以下の薄目付けとされる捩じり剛性が著しく向上した長尺の繊維強化プラスチック構造材を作製することができる。
という利点を有している。
【0088】
又、本発明の製造方法によれば、上記種々の特長を備えた連続したシート形状を成す多軸強化繊維シートを極めて好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る多軸強化繊維シートの一実施例を示す一部破断正面図である。
【図2】 一方向配列強化繊維シートの一例を示す斜視図である。
【図3】 強化繊維シートセグメントの作製方法を説明するための一方向配列強化繊維シートの正面図である。
【図4】 強化繊維シートセグメントの作製方法を説明するための一方向配列強化繊維シートの正面図である。
【図5】 本発明に係る多軸強化繊維シートを製造するための互いに重ね合わせられる帯状強化繊維シートを説明するための正面図である。
【図】 本発明に係る多軸強化繊維シートを使用して作製されるI型FRP構造材の一実施例を示す斜視図である。
【図】 図のI型FRP構造材を作製するための強化繊維シートの配置方法の一実施例を示す図である。
【図】 従来のバイアス強化繊維シートの一例を説明するための斜視図である。
【図】 従来のバイアス強化繊維シートの一例を説明するための平面図である。
【符号の説明】
10 一方向配列強化繊維シート
10A1〜10A5 強化繊維シートセグメント
10B1〜10B5 強化繊維シートセグメント
11 強化繊維層
12 樹脂透過性支持体シート
20 多軸強化繊維シート
21(21A、21B)帯状強化繊維シート

Claims (16)

  1. 連続したシート形状をなす樹脂未含浸の多軸強化繊維シートにおいて、
    樹脂透過性支持体シートに強化繊維を一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートを所定の寸法形状にカットすることにより作製された同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメントを、前記強化繊維の配向角度が前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に対して所定の角度となるようにして前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に沿って重なり合わないように整列して配置し、この配列された前記強化繊維シートセグメントを長手軸線方向にステッチングすることにより一体化したことを特徴とする多軸強化繊維シート。
  2. 連続したシート形状をなす樹脂未含浸の多軸強化繊維シートにおいて、
    樹脂透過性支持体シートに強化繊維を一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートを所定の寸法形状にカットすることにより作製された同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメントを、前記強化繊維の配向角度が前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に対して所定の角度となるようにして前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に沿って重なり合わないように整列された第1の帯状強化繊維シートと、前記第1の帯状強化繊維シートとは強化繊維の配向角度の異なる少なくとも1つの他の帯状強化繊維シートとを重ね合わせ、前記複数の帯状強化繊維シートを長手軸線方向にステッチングすることにより一体化したことを特徴とする多軸強化繊維シート。
  3. 前記多軸強化繊維シートは、幅Wが10〜300cm、長手方向の長さLが10m以上とされることを特徴とする請求項1又は2の多軸強化繊維シート。
  4. 前記多軸強化繊維シートの強化繊維は、多軸強化繊維シートの長手方向に対して0°〜±90°のいずれかの角度にて配列されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シート。
  5. 前記樹脂透過性支持体シートは、前記強化繊維にて形成された強化繊維層の片面或いは両面に設けられることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シート。
  6. 前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、又は、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維、更には、鋼繊維などを一種、又は、複数種混入して使用することを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シート。
  7. 前記強化繊維の繊維目付は、30〜1000g/m2であることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シート。
  8. 樹脂を含浸し、プリプレグとされることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シート。
  9. 連続したシート形状を成す樹脂未含浸の多軸強化繊維シートの製造方法において、
    樹脂透過性支持体シートに強化繊維を一方向に配列して形成された一方向配列強化繊維シートを所定の寸法形状にカットして同じ菱形形状をした多数の強化繊維シートセグメントを作製し、
    前記各強化繊維シートセグメントを、前記各強化繊維シートセグメントの強化繊維の配向方向が前記多軸強化繊維シートの長手方向軸線に対して所定の角度となるようにして、且つ、前記多軸強化繊維シートの長手軸線に沿って重なり合わないように整列して、強化繊維の配向角度異なるか又は同じとされる複数の帯状強化繊維シートを形成し、
    前記複数の帯状強化繊維シートを互いに重ね合わせて、長手軸線方向にステッチングすることにより一体化する、
    ことを特徴とする多軸強化繊維シートの製造方法。
  10. 前記強化繊維シートセグメントは、所定の幅(w)の前記一方向配 列強化繊維シートを長手軸線に対して所定の角度(θa、θb)及び寸法(ha)でカットして同じ菱形形状とされることを特徴とする請求項9の多軸強化繊維シートの製造方法。
  11. 前記多軸強化繊維シートは、幅が10〜300cm、長手方向の長さが10m以上とされることを特徴とする請求項9又は10の多軸強化繊維シートの製造方法。
  12. 前記多軸強化繊維シートの強化繊維は、多軸強化繊維シートの長手方向に対して0°〜±90°のいずれかの角度にて配列されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シートの製造方法。
  13. 前記一方向配列強化繊維シートは、前記樹脂透過性支持体シートが前記強化繊維にて形成された強化繊維層の片面或いは両面に設けられることを特徴とする請求項9〜12のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シートの製造方法。
  14. 前記樹脂透過性支持体シートは、2軸或いは3軸のメッシュ状体のシート、クロス、又は、前記シートの長手方向に対し90°方向の1軸のみのシートであることを特徴とする請求項9〜13のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シートの製造方法。
  15. 前記強化繊維は、PAN系或いはピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、又は、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維、更には、鋼繊維などを一種、又は、複数種混入して使用することを特徴とする請求項9〜14のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シートの製造方法。
  16. 前記強化繊維の繊維目付は、30〜1000g/m2であることを特徴とする請求項9〜15のいずれかの項に記載の多軸強化繊維シートの製造方法。
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