JP4134323B2 - 発泡性樹脂組成物およびプロピレン系樹脂発泡体 - Google Patents

発泡性樹脂組成物およびプロピレン系樹脂発泡体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン系樹脂発泡体の製造に適した発泡性樹脂組成物、および該発泡性樹脂組成物を用いて製造されたプロピレン系樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系樹脂発泡体は、断熱性、軽量性、耐熱性、リサイクル性などに優れることから、包装容器、自動車材料などとして需要が高まっており、とりわけ軽量でかつ強度の高い発泡体が要望されている。軽量化のためには発泡倍率の高い発泡体であることが必要となるが、発泡倍率が高いほど強度は低下する。同じ発泡倍率で強度の高い発泡体とするためには、気泡が微細な発泡体であることが求められる。
プロピレン系樹脂発泡体の製造方法としては、発泡剤とプロピレン系樹脂とを溶融混練して製造する方法が一般的であり、発泡剤としては、クエン酸、炭酸塩、炭酸水素塩など、熱によって分解する発泡性化合物(熱分解型発泡剤)が広く用いられている。発泡剤として熱分解型発泡剤を使用する場合には、取扱いの容易さや、分散性向上の点から、熱可塑性樹脂と熱分解型発泡剤とを混練して得られた発泡性樹脂組成物が通常使用される。このような発泡性樹脂組成物として、発泡剤とエチレン・1−ブテン共重合体からなる発泡性樹脂組成物が開示されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら上記のような発泡性樹脂組成物を用いて製造したプロピレン系樹脂発泡体は気泡が粗大であるため、より気泡が微細なプロピレン系樹脂発泡体が求められていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−62131号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡体を開発すべく検討の結果、発泡体製造時に用いられる発泡性樹脂組成物を改良することによりこの問題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の一つの態様は、オレフィン系共重合体(a)100重量部に対して熱分解型発泡剤(b)10〜800重量部、中和剤(c)0.1〜20重量部および吸湿剤(d)0.1〜20重量部が混練されてなる発泡性樹脂組成物であって、該オレフィン系共重合体(a)が、1−ブテン由来のモノマー単位50〜99重量%およびエチレン由来のモノマー単位50〜1重量%からなるオレフィン系共重合体(a−1)である発泡性樹脂組成物である。また本発明の他の態様は、オレフィン系共重合体(a)100重量部に対して熱分解型発泡剤(b)10〜800重量部、中和剤(c)0.1〜20重量部および吸湿剤(d)0.1〜20重量部が混練されてなる発泡性樹脂組成物であって、該オレフィン系共重合体(a)が、1−ブテン、プロピレンおよびエチレン由来のモノマー単位からなり、かつ、該オレフィン系共重合体(a−2)全重量中に1−ブテン由来のモノマー単位およびプロピレン由来のモノマー単位を50〜99重量%有しており、かつ該オレフィン系共重合体(a−2)の融点が120℃以下である発泡性樹脂組成物である。
さらに本発明は、上記の発泡性樹脂組成物を発泡剤として用いて製造されたプロピレン系樹脂発泡体である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の一つの態様は、発泡性樹脂組成物を構成するオレフィン系共重合体(a)が、1−ブテン由来のモノマー単位50〜99重量%とエチレン由来のモノマー単位50〜1%からなるオレフィン系共重合体(a−1)である。オレフィン系重合体(a−1)における1−ブテン由来のモノマー単位が50重量%より少ない場合、あるいは99重量%より多い場合には、発泡体を構成するプロピレン系樹脂と、発泡性樹脂組成物を構成するオレフィン系共重合体との相溶性が悪いため気泡の粗大なプロピレン系樹脂発泡体となる。
【0007】
本発明の他の態様は、発泡性樹脂組成物を構成するオレフィン系共重合体(a)が、1−ブテン、プロピレンおよびエチレン由来のモノマー単位からなるオレフィン系共重合体(a−2)であって、かつ、該オレフィン系共重合体(a−2)全重量中に1−ブテン由来のモノマー単位およびプロピレン由来のモノマー単位を50〜99重量%有しており、かつ該オレフィン系共重合体(a−2)の融点が120℃以下である。
本発明の発泡性樹脂組成物におけるオレフィン系共重合体(a)の組成を、融点が120℃以下となるように上記範囲内で調製することによって、該発泡性樹脂組成物製造時に熱分解型発泡剤が分解してしまうことがなく、よってプロピレン系樹脂発泡体を製造する際に発泡体製造に必要な気体量を発生することができ、かつ発泡体を構成するプロピレン系樹脂と、発泡性樹脂組成物を構成するオレフィン系共重合体との相溶性が良好なため気泡が微細なプロピレン系樹脂発泡体が得られる。
オレフィン系共重合体(a−2)の融点の下限は特に限定するものではないが、夏場や高温の作業環境での取り扱いやすさなどから融点が60℃以上であることが好ましい。
【0008】
本願においてオレフィン系共重合体の融点は以下のように定義する。示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/minの昇温速度で測定した、縦軸を吸熱量、横軸を温度として得られる吸熱曲線において、最高ピーク点から下ろした垂線が温度軸と交わる点の温度を融点とする。最高ピーク点が複数あるときは高温側のピークに基づき融点を定義する。
【0009】
本発明における熱分解型発泡剤とは、加熱することによって分解されて気体を発生する発泡性化合物であり、一般に発泡体製造時に使用されている熱分解型発泡剤を使用することができ、クエン酸、炭酸塩、炭酸水素塩などが例示される。
熱分解型発泡剤(b)は1種類の発泡性化合物であってもよいが、分解温度が130〜190℃である熱分解型発泡剤(b−1)および分解温度が190℃を越え230℃以下の熱分解型発泡剤(b−2)の組み合わせからなることが好ましい。分解温度が異なる熱分解型発泡剤を組み合わせて用いることで、より微細な気泡を有する発泡体を製造することができる発泡性樹脂組成物となる。かかる熱分解型発泡剤(b−1)および熱分解型発泡剤(b−2)を組み合わせる場合、熱分解型発泡剤(b−1)の分解温度と熱分解型発泡剤(b−2)の分解温度の差が10℃以上となるように、(b−1)および(b−2)を選択することが好ましい。
熱分解型発泡剤(b−1)成分および(b−2)成分はそれぞれ1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
(b−1)成分と(b−2)成分の割合は、所望の温度で必要量のガスが発生するように適宜配合すればよいが、好ましくは(b−1)/(b−2)=10/90〜90/10wt%の範囲である。
【0010】
とりわけ熱分解型発泡剤(b−1)が、以下の(A)群から選ばれる1種類以上の化合物であり、かつ熱分解型発泡剤(b−2)がクエン酸であることがより好ましい。このような熱分解型発泡剤を含む発泡性樹脂組成物とすることにより、きわめて微細な気泡を有する発泡体を製造することができる。
(A)炭酸水素アルカリ金属塩、炭酸水素アルカリ土類金属塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩、炭酸アンモニウム
(A)群の化合物のなかでも、単位重量あたりの気体発生量が多いことから、炭酸ナトリウム、もしくは炭酸水素ナトリウムが好ましく使用される。
【0011】
本発明の発泡性樹脂組成物に含まれるオレフィン系共重合体及び熱分解型発泡剤の量は特に限定されるものではないが、熱分解型発泡剤の量が多すぎると、発泡性樹脂組成物が脆くなり取扱いが困難になる、あるいは本発明のプロピレン系樹脂発泡体において、発泡体を構成するプロピレン系樹脂と該発泡性樹脂組成物との相溶性が悪くなり、発泡体の気泡が粗大化する傾向があり、熱分解型発泡剤の量が少なすぎると気体発生量が不十分となる傾向があるため、通常、オレフィン系共重合体100重量部に対し、熱分解型発泡剤が10〜800重量部配合される。
【0012】
本発明の発泡性樹脂組成物は、中和剤(c)および吸湿剤(d)が各々0.1〜20重量部混練されてなる。これにより熱分解型発泡剤の分解温度や分解速度を制御することができ、気泡が微細な発泡体を得ることができる。
中和剤(c)としては、有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などが好ましく用いられ、有機酸の中でも以下のB群から選ばれる化合物がさらに好ましく用いられる。
[C群] しゅう酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸、カプリル酸、ステアリン酸
とりわけステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩が特に好ましく用いられる。
【0013】
吸湿剤(d)としては、塩化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カリウム、酸化カリウムなどの塩が好ましく用いられ、その中でも特に酸化カルシウムが好ましく用いられる。
【0014】
また本発明の発泡性樹脂組成物は、さらに無機充填剤(e)が配合されてなることが好ましい。無機充填剤は気泡の核となる気泡調整剤として機能するため、このような発泡性樹脂組成物は幅広い加工条件下で安定して微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡体を与えることができる。無機充填剤の配合量が多すぎると、熱分解型発泡剤の分散を阻害し気泡の発生が不均一になる傾向があるため、その配合量は熱分解型発泡剤100重量部に対し200重量部以下であることが好ましい。用いられる無機充填剤としてはタルク、クレー、シリカ、チタン等が挙げられるが、とりわけ微細な気泡を有する発泡体が得られるため、タルクを用いることが好ましい。使用するタルクとしては、分散性がよく気泡調整剤として均一な気泡を有する発泡体を製造しやすいことから、平均粒径が1〜10μmのものが特に好ましく用いられる。
【0015】
本発明の発泡性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない程度に適宜他の添加剤を含有することができる。添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、剥離剤、流動性付与剤、滑剤などがあげられる。
【0016】
本発明の発泡性樹脂組成物は、オレフィン系共重合体(a)以外の熱可塑性樹脂(他の熱可塑性樹脂)を含んでいてもよい。他の熱可塑性樹脂の例としては、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール、アイオノマー樹脂などがあげられる。本発明の発泡性樹脂組成物が他の熱可塑性樹脂を含む場合、その含有量は本発明の効果を阻害しない程度であり、通常10wt%以下である。
【0017】
本発明の発泡性樹脂組成物は、オレフィン系共重合体(a)、熱分解型発泡剤(b)、中和剤(c)および吸湿剤(d)を混練する方法であれば特に限定されることなく製造することができ、例えば、オレフィン系共重合体(a)を該オレフィン系共重合体の融点以上に加熱して該オレフィン系共重合体(a)を溶融可塑化した後に、熱分解型発泡剤(b)、中和剤(c)、吸湿剤(d)および必要に応じて充填剤やその他の添加物を添加して混練する方法が例示される。
発泡性樹脂組成物中に熱分解型発泡剤が均一に分散していることが好ましいため、発泡性樹脂組成物製造時には、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度条件下で、該熱分解型発泡剤が分解しない程度に十分にオレフィン系共重合体と熱分解型発泡剤とを混練することが好ましく、オレフィン系共重合体の融点+5℃以上かつ熱分解型発泡剤の分解温度−10℃以下の温度で混練することがより好ましい。
本発明の発泡性樹脂組成物の製造においては、公知の混練装置を使用することができ、例えばリボンブレンダー、高速ミキサーコニーダー、ミキシングロール、一軸押出機、二軸押出機、インテンシブミキサー等があげられる。
【0018】
本発明のプロピレン系樹脂発泡体は、かかる本発明の発泡性樹脂組成物を発泡剤として用い、従来から知られている通常の方法によってプロピレン系樹脂と本発明の発泡性樹脂組成物を溶融混練し、発泡させることによって製造することができ、その方法自体は何ら限定されない。
このような方法において、例えば押出機を用いる押出成形法の場合には、プロピレン系樹脂と本発明の発泡性樹脂組成物とを押出機中で溶融混練し、ダイから大気中に押出して発泡させることでプロピレン系発泡体を得ることができるが、この際に、▲1▼前記の溶融混練時にさらに熱分解型発泡性化合物を添加して溶融混練し、ダイから大気中に押出して発泡させたり、▲2▼プロピレン系樹脂と本発明の発泡性樹脂組成物を溶融混練し、発泡性樹脂組成物中の熱分解型発泡剤が分解したところで、物理発泡剤を更に添加(注入)して混練したのち、ダイから大気中に押出して発泡させてプロピレン系樹脂発泡体を製造することもできる。
前記▲1▼や▲2▼の方法の場合には、本発明の発泡性樹脂組成物中の熱分解型発泡剤がまず分解されて気泡の核を形成し、この気泡核を中心として、▲1▼の場合にはさらに添加した熱分解型発泡性化合物が分解して発生した気体が、▲2▼の場合には物理発泡剤が膨張し、気泡となる。
本発明の発泡性樹脂組成物はプロピレン系樹脂との相溶性がよく均一に分散するため、これを核として生成した気泡も均一となり、よって得られたプロピレン系樹脂発泡体は気泡の微細なものとなる。
【0019】
▲1▼の方法の場合においてさらに添加する熱分解型発泡性化合物は、本発明の発泡性樹脂組成物中に配合された熱分解型発泡剤(b)として使用される化合物であってもよいが、通常、発泡性樹脂組成物に含まれる熱分解型発泡剤よりも分解温度の高い熱分解型発泡性化合物が用いられる。
このような高温分解型の熱分解型発泡性化合物としては例えば分解されて窒素ガスを発生する熱分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など)、分解されて炭酸ガスを発生する熱分解型無機発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなど)など公知の熱分解型発泡性化合物が挙げられる。
さらに熱分解型発泡性化合物を添加する場合には、取り扱いやすさの観点から該熱分解型発泡性化合物を樹脂とともにペレット化したものを使用することが好ましい。この場合の樹脂はオレフィン系樹脂であれば特に限定するものではないが、エチレン系樹脂またはプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【0020】
▲2▼の方法の場合の物理発泡剤としては、プロパン、ブタン、水、炭酸ガスなど通常の発泡体の製造時に使用される物理発泡剤を用いることができる。これらの中でも、水、炭酸ガスなど高温あるいは火に対して不活性な物質を用いることが発泡体製造時の安全性の点から好ましい。特にプロピレン系樹脂発泡体の製造においては、ガス抜けが生じにくく微細な気泡を有する発泡体が得られることから炭酸ガスの使用が好適である。
【0021】
一般に物理発泡剤のみを用いてプロピレン系樹脂発泡体を製造する場合には、微細な気泡を有する発泡体の製造が困難であるが、▲2▼の方法のようにプロピレン系樹脂、本発明の発泡性樹脂組成物および物理発泡剤を溶融混練して発泡せしめることにより得られたプロピレン系樹脂発泡体は、該発泡性樹脂組成物を添加することなく得られたプロピレン系樹脂発泡体に比べて微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡体となる。特に物理発泡剤として炭酸ガスを用いた場合には、本発明の発泡性樹脂組成物を使用することにより気泡が微細化されるという効果がより顕著となり、きわめて微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0022】
本発明のプロピレン系樹脂発泡体において使用されるプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマーや、プロピレン単位を50モル%以上含むプロピレン系共重合体を挙げることができる。好ましく用いられるプロピレン系共重合体の例としては、エチレンまたは炭素数4〜10のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体を挙げることができる。炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられる。該プロピレン系共重合体中のプロピレン以外のモノマー単位の含有量は、エチレンについては15モル%以下、炭素数4〜10のα−オレフィンについては30モル%以下であることが好ましい。
【0023】
プロピレン系樹脂として長鎖分岐プロピレン系樹脂(f−1)、または重量平均分子量が1×10以上のプロピレン系樹脂(f−2)を、全プロピレン系樹脂の50重量%以上用いることにより、より微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0024】
ここで長鎖分岐プロピレン系樹脂とは、分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たすプロピレン系樹脂を指す。プロピレン系樹脂とは、プロピレンホモポリマーや、プロピレンと、エチレンまたは4〜10のα−オレフィンから選択される2種以上のモノマーから構成されるプロピレン共重合体が挙げられる。共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たす長鎖分岐プロピレン系樹脂の例としては、モンテル社製のプロピレンPF−814が挙げられる。
【0025】
分岐度指数とは、重合体における長鎖分岐の程度を示すものであり、下記の式において定義される数値である。
分岐度指数 [A] =〔η〕Br/〔η〕Lin
ここで〔η〕Brは、長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂の固有粘度であり、〔η〕Linは、該長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と同じモノマー単位および同じ重量平均分子量を有する、直鎖プロピレン系樹脂の固有粘度である。
固有粘度は極限粘度数とも呼ばれ、重合体の溶液粘度を増強する能力の尺度である。固有粘度は特にポリマー分子の分子量と、分岐度に依存する。したがって、長鎖分岐を有するポリマーの固有粘度と、該長鎖分岐を有するポリマーと同じ重量平均分子量の直鎖ポリマーの固有粘度とを比較することにより、該長鎖分岐を有するポリマーの分岐度の尺度とすることができる。プロピレン系樹脂の固有粘度の測定方法は、エリオット等[J.Appl.Polym.Sci.,14,2947−2963(1970)]により開示されているような従来知られている方法により測定することができ、例えば、プロピレン系樹脂をテトラリン又はオルトジクロロベンゼンに溶解し、135℃で固有粘度を測定することが可能である。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常用いられる種々の方法で測定できるが、M.L.McConnelによって、American Laboratory,May,63−75(1978)に発表されている方法、即ち、低角度レーザー光散乱強度測定法が特に好ましく用いられる。
重量平均分子量が1×10以上のプロピレン系樹脂を重合する方法の例としては、特開平11−228629のような方法があげられる。
【0026】
このような(f−1)または(f−2)のプロピレン系樹脂の中でも、融点+30℃付近において、伸張ひずみ速度1sec−1で、一軸伸張粘度測定装置(例としてレオメトリックス社製一軸伸張粘度測定装置などがあげられる)などの装置を用いて、該プロピレン系樹脂の一軸伸張粘度を測定し、歪み開始から0.1sec後の一軸溶融伸長粘度をη0.1、5sec後の一軸溶融伸張粘度をηとするとき、η0.1に対するηの比(η/η0.1)が、η/η0.1≧10である伸長粘度特性を有するプロピレン系樹脂が好ましく、η/η0. ≧5であるポリプロピレン系樹脂がより好ましく、η/η0.1≧5であるポリプロピレン系樹脂がさらに好ましい。このような条件を満たすプロピレン系樹脂を使用することによって、より微細な気泡を有する発泡体を製造することができる。
【0027】
本発明のプロピレン系樹脂発泡体を製造する場合、プロピレン系樹脂と本発明の発泡性樹脂組成物の配合割合は、該発泡性樹脂組成物中の熱分解型発泡剤の含量、目的とするプロピレン系樹脂発泡体の発泡倍率、使用するプロピレン系樹脂の物理的性質、溶融混練温度などの諸条件によって最適の範囲が選択され、特に限定されないが、一般的にはプロピレン系樹脂100重量に対して本発明の発泡性樹脂組成物0.5〜20重量部の範囲である。
同同様に、プロピレン系樹脂と本発明の発泡性樹脂組成物との溶融混練時に更に添加される熱分解型発泡性化合物や物理発泡剤の使用量もそれぞれの条件に応じて適宜決定され、特に限定されないが、一般的にはプロピレン系樹脂100重量部に対して、熱分解型発泡性化合物を併用する場合には本発明の発泡性樹脂組成物0.5〜5重量部および熱分解型発泡性化合物1〜10重量部、物理発泡剤を併用する場合には本発明の発泡性樹脂組成物0.5〜20重量部および物理発泡剤0.1〜5重量部の範囲である。
【0028】
本願発明において、プロピレン系樹脂発泡体の気泡の微細さは、該発泡体の厚み方向のセル壁密度により評価するものとする。発泡体のセル壁密度とは以下の方法により求められる値と定義する。発泡体の厚み方向の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて各気泡を明確に認識し得る倍率に拡大する。次に、該拡大画像上で、発泡体の厚み方向に1本の直線を引き、該直線と交差したセル壁(すなわち、気泡を画成している樹脂の壁)の数を数える。その結果に基いて、発泡体の厚み方向の長さ1mm当たりに存在するセル壁数を求める。このような方法で、相互に1mm以上離れた合計5以上の部分で、発泡体の厚み方向の長さ1mm当たりに存在するセル壁数を求める。得られたセル壁数の平均値を、本発明のプロピレン系樹脂発泡体の厚み方向のセル壁密度と定義する。セル壁密度が大きいほど微細な気泡であることを示す。
【0029】
本発明のプロピレン系樹脂発泡体は微細な気泡を有するため、力学的強度や断熱性に優れた発泡体である。このようなプロピレン系樹脂発泡体は、真空成形等の二次成形の過程においても破泡しにくいため、成形後の成形体も優れた力学的強度や断熱性を有するものとなる。
【0030】
本発明のプロピレン系樹脂発泡体は、他の熱可塑性樹脂層を有していてもよい。本発明のプロピレン系樹脂発泡体が他の熱可塑性樹脂層を有する場合、セル壁密度を算出する際の発泡体厚みとしては発泡層厚みを用いるものとする。
本発明のプロピレン系樹脂発泡体は、必要に応じて成形などの加工を施して、種々の用途に使用することができる。具体的には、トレー、カップ、コップ、ボックスなどの食品容器、断熱材、スポーツ用具や梱包材等の緩衝材、車両天井材等の自動車部品、シール材、建材等に使用することができるが、特に、プロピレン系樹脂の耐熱性を生かした電子レンジ対応容器などの食品容器として好適に用いることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の発泡性樹脂組成物は、熱分解型発泡剤と特定のオレフィン系共重合体とから構成されるためプロピレン系樹脂との相溶性に優れ、よって該発泡性樹脂組成物を発泡剤として用いて製造したプロピレン系樹脂発泡体は、微細な気泡を有するものとなる。
【0032】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
【0033】
〔実施例1〕
以下に示す方法により、プロピレン系樹脂発泡層の両層に非発泡層が積層された、二種三層のプロピレン系樹脂発泡体を作製した。
【0034】
(発泡性樹脂組成物製造方法)
以下に示す方法により発泡性樹脂組成物を作製した。
バンバリー式混練機のローターを回転させた状態で(a)オレフィン系共重合体(三井化学(株)製 タフマーBL3450 1−ブテン/エチレン=83/17wt比 融点104℃)45重量部を投入して混練し115℃で溶融させた。混練を行いながら、(b)炭酸水素ナトリウム(分解温度153℃))/クエン酸(分解温度215℃)=10/10wt比からなる熱分解型発泡剤20重量部、(e)タルク30重量部(林化成(株)製 タルク MICRON WHITE ♯5000S 平均粒径2.8μm)、(c)ステアリン酸ナトリウム2重量部、(d)酸化カルシウム0.6重量部を続けて投入しそのまま10分間混練したのち、40mmφ単軸押出機に投入し、ストランド状に押し出しペレタイザーで切断することでペレット状の発泡性樹脂組成物を得た。
【0035】
(プロピレン系重合体のペレット化)
特開平11−228629に開示された方法により得たプロピレン系重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、フェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05重量部、フェノール系酸化防止剤(商品名:スミライザーBHT、住友化学工業株式会社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で混練し、メルトフローレート(MFR)が4.5g/10min(230℃ 2.16kgf)のペレット▲1▼を得た。
得られたプロピレン系重合体ペレットの物性は以下のとおりである。
プロピレン系重合体の物性 : 成分(α)(特開平11−228629号公報に開示された方法で得られたプロピレン系重合体に含まれる2成分のうちの高分子量成分)の極限粘度([η]α)=9.5dl/g、成分(α)中のエチレン単位含量(C2inα)=2.9%、成分(β)の極限粘度([η]β)=11dl/g、成分(β)(特開平11−228629に開示された方法で得られたプロピレン系重合体に含まれる2成分のうちの低分子量成分)中のエチレン単位含量(C2inβ)=2.7%。レオメトリックス社製一軸伸張粘度測定装置を用いて測定した180℃におけるη=300000Pa・s、η0.1=2900Pa・s。
【0036】
(発泡層用材料)
上記の方法により得られた▲1▼プロピレン系重合体ペレットと、▲2▼ポリプロピレン1(住友化学工業(株)製ポリプロピレン R101 MFR=20g/10min(230℃ 2.16kgf))、▲3▼ポリプロピレン2(住友化学工業(株)製ポリプロピレン U101E9 MFR=120g/10min(230℃2.16kgf))を、▲1▼/▲2▼/▲3▼=70/21/9wtの重量比でドライブレンドし、発泡層用材料とした。
【0037】
(非発泡層用材料)
▲4▼ポリプロピレン3(住友化学工業(株)製ポリプロピレン FS2011DG2 MFR 2.5g/10min(230℃ 2.16kgf))と、▲5▼ポリプロピレン4(住友化学工業(株)製ポリプロピレン W151 MFR 8g/10min(230℃ 2.16kgf))、▲6▼ポリプロピレン5(モンテル社製ポリプロピレン PF814 MFR 3g/10min(230℃ 2.16kgf))、▲7▼タルクマスターバッチ(住友化学工業(株)製ポリプロピレンベースタルクマスターバッチ MF110 タルク含有量70wt%)、▲8▼チタンマスターバッチ(住化カラー(株)製ポリエチレンベースチタンマスターバッチ SPEM7A1155 チタン含有量60wt%)を、▲4▼/▲5▼/▲6▼/▲7▼/▲8▼=21/30/20/29/5の重量比でドライブレンドし、非発泡層用材料とした。
【0038】
(プロピレン系樹脂発泡体の製造方法)
前記発泡層用材料、発泡性樹脂組成物、非発泡層用材料を使用し、発泡層押出用の50mmφ2軸押出機(2)と、非発泡層押出用の32mmφ単軸押出機(3)に90mmφサーキュラーダイ(4)を取り付けた装置(1)により押出成形を行い、プロピレン系樹脂発泡体を得た。
【0039】
発泡層構成材料100重量部に対して発泡性樹脂組成物2重量部をブレンドした原料を50mmφ2軸押出機(2)のホッパーに投入し、180℃に加熱したシリンダー内で混練させた。
【0040】
50mmφ2軸押出機(2)中で、発泡層構成材料と発泡性樹脂組成物とが十分に溶融混練されて相溶し、発泡性樹脂組成物中の熱分解型発泡剤が熱により分解発泡した時点で、液化炭酸ガスボンベに接続したポンプ(5)より物理発泡剤として炭酸ガス1重量部を注入した。炭酸ガス注入後、さらに混練して炭酸ガスを含浸させた後、これらをサーキュラーダイ(4)に供給した。
非発泡層構成材料は32mmφ単軸押出機(3)により溶融混練してサーキュラーダイ(4)に供給した。
【0041】
サーキュラーダイ(4)の内部においては、発泡層構成材料は50mmφ2軸押出機のヘッド(7)よりダイ内部に導入され、流路(9a)によりダイ出口方向に送られ、その途中でパスPを通過して分岐され流路(9b)にも送られた。
非発泡層構成材料は32mmφ単軸押出機(3)のヘッド(8)よりダイ内部に導入され、流路(10a)と(10b)に分割された後、流路(9b)の両面に積層するように供給されながらダイ出口方向に送られ、(11a)において積層化された。流路(10a)と(10b)に供給された非発泡層構成材料は、その途中でパスPに類似した分割流路(図示せず)により分岐され流路(10c)、(10d)に送られた後、流路(9a)の両面に積層するように供給されながらダイ出口方向に送られ、(11b)において積層化された。(11a)、(11b)において2種3層構造の円筒状となった溶融樹脂は、サーキュラーダイ(4)の出口(12)から押出され、この大気圧への開放により、発泡層構成材料と発泡性樹脂組成物混合物に含浸された炭酸ガスが膨張し、気泡が形成されて発泡層となり、二種三層、厚さ1.2mmのプロピレン系樹脂発泡体が得られた。
【0042】
ダイより押出された二種三層の発泡シートを最大径210mmのマンドレル(6)に沿わせながらチューブ状に引取り、拡大と冷却を行った。得られたチューブ状発泡シートの円周上の1ヶ所でシートを切開することで幅660mmの平坦なシートとし、引取ロールにより引き取った。
【0043】
〔比較例1〕
発泡性樹脂組成物の原料として、(a)オレフィン系共重合体(1−ブテン/エチレン=83/17wt比)45重量部、(b)炭酸水素ナトリウム/クエン酸=10/10wt比からなる熱分解型発泡剤20重量部、(e)タルク30重量部を使用した以外は実施例1と同様の方法により、厚さ1.2mmのプロピレン系樹脂発泡体を作製した。
【0044】
(発泡倍率測定)
水中置換式密度計((株)東洋精機製作所製 自動比重計 型式D−H100)を使用し、20mm×20mmにサンプリングしたプロピレン系樹脂発泡体の比重を測定し、発泡体を構成する各材料の密度を用いて発泡倍率を計算した。
【0045】
(発泡層の厚み方向のセル壁密度測定)
プロピレン系樹脂発泡体中の発泡層の断面を走査型顕微鏡にて写真撮影した。倍率は電子顕微鏡の視野中に存在する各気泡が明確に認識されるように調節した。得られた拡大画像上で、発泡層の厚み方向に1本の直線を引き、該直線と交差しているセル壁の数を数えた。その結果に基いて、発泡層の厚み方向の長さ1mm当たりに存在するセル壁数を求めた。このような方法で、相互に1mm以上離れた合計5以上の部分で、発泡層の厚み方向の長さ1mm当たりに存在するセル壁数を求め、これらの平均値を発泡層の厚み方向のセル壁密度とした。発泡層の厚み方向のセル壁密度が大きいほど、プロピレン系樹脂発泡体の気泡が微細であることを示す。
【0046】
実施例1、比較例1で得られたプロピレン系樹脂発泡体を、上記方法によって評価し、結果を表1に示した。実施例1の発泡体は、セル壁密度が大きい、すなわち気泡が微細なプロピレン系樹脂発泡体であった。
【表1】
Figure 0004134323

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロピレン系樹脂発泡体を製造する装置の例を示した図
【図2】本発明のプロピレン系樹脂発泡体を製造する際に用いるサーキュラーダイの断面形状の例を示した図
【符号の説明】
1 プロピレン系樹脂発泡体を製造する装置
2 50mmφ2軸押出機
3 32mmφ単軸押出機
4 サーキュラーダイ
5 炭酸ガス供給用ポンプ
6 マンドレル
7 50mmφ2軸押出機のヘッド
8 32mmφ単軸押出機のヘッド
9a 流路
9b 流路
10a 流路
10b 流路
10c 流路
10d 流路

Claims (7)

  1. オレフィン系共重合体(a)100重量部に対して熱分解型発泡剤(b)10〜800重量部、中和剤(c)0.1〜20重量部および吸湿剤(d)0.1〜20重量部が混練されてなる発泡性樹脂組成物であって、該オレフィン系共重合体(a)が、1−ブテン由来のモノマー単位50〜99重量%およびエチレン由来のモノマー単位50〜1重量%からなるオレフィン系共重合体(a−1)であることを特徴とする発泡性樹脂組成物
  2. オレフィン系共重合体(a)100重量部に対して熱分解型発泡剤(b)10〜800重量部、中和剤(c)0.1〜20重量部および吸湿剤(d)0.1〜20重量部が混練されてなる発泡性樹脂組成物であって、該オレフィン系共重合体(a)が、1−ブテン、プロピレンおよびエチレン由来のモノマー単位からなり、かつ、該オレフィン系共重合体(a−2)全重量中に1−ブテン由来のモノマー単位およびプロピレン由来のモノマー単位を50〜99重量%有しており、かつ該オレフィン系共重合体(a−2)の融点が120℃以下であることを特徴とする発泡性樹脂組成物
  3. 熱分解型発泡剤(b)が、分解温度が130〜190℃である熱分解型発泡剤(b−1)および分解温度が190℃を越え230℃以下である熱分解型発泡剤(b−2)からなることを特徴とする、請求項1に記載の発泡性樹脂組成物
  4. 無機充填剤(e)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の発泡性樹脂組成物
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物を、プロピレン系樹脂と溶融混練し、発泡せしめてなることを特徴とするプロピレン系樹脂発泡体
  6. 溶融混練時にさらに物理発泡剤を用いてなることを特徴とする請求項5に記載のプロピレン系樹脂発泡体
  7. 物理発泡剤が炭酸ガスであることを特徴とする請求項6に記載のプロピレン系樹脂発泡体
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