JP4134537B2 - パワーモジュール及びヒートシンク付パワーモジュール - Google Patents

パワーモジュール及びヒートシンク付パワーモジュール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱板の一方の主面に絶縁回路基板が固着されたパワーモジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4(a)に示すように、この種のパワーモジュール1として放熱板2の一方の主面に絶縁回路基板3が固着されたものが知られており、絶縁回路基板3はセラミック基板3aの両面に第1及び第2Al板3b、3cを接合することにより作製される。この絶縁回路基板3の第2Al板3cはエッチングにより所定のパターンの回路となり、一点鎖線で示す半導体チップ等4が搭載される。この絶縁回路基板3の第1Al板3bは、AlSiC複合材料により形成された応力緩衝層6を介してAl系合金板からなる放熱板2の上面に接合され、放熱板2は必要に応じて図示しないヒートシンクに取り付けられる。この従来のパワーモジュール1では、半導体チップ等4が発した熱は第2Al板3c、セラミック基板3a、第1Al板3b及び応力緩衝層6を介して放熱板2に伝達し、その放熱板2又はその放熱板2が取り付けられた図示しないヒートシンクからその熱を放散するようになっている。
一方、パワーモジュール1は、搭載した半導体チップ等4が発した熱を放散させるために、熱を発する半導体チップ等4と実際に熱を放散する放熱板2までの距離を近づけてその間の熱抵抗を可能な限り低減することが好ましい。この点からすると、応力緩衝層6を設けることなく図4(b)に示すように、放熱板2に絶縁回路基板3を直接固着することが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、放熱板2に絶縁回路基板3を直接固着すると、半導体チップ等4の発熱及び非発熱により絶縁回路基板3の温度が高温と低温との間で繰り返し変化することにより、絶縁回路基板3を構成する第1Al板3bが繰り返し作用する応力により、応力が作用された部分が加工硬化を起こす不具合がある。そして第1Al板3bが加工硬化を起こすとその応力を吸収することが困難になり、その接合部分に剥離を生じさせてパワーモジュール1の熱サイクル寿命を短くする問題点がある。
また、放熱板2と絶縁回路基板3の固着をロウ付けにより行うとすると、ロウ付けは一般的に比較的高温により行う必要があり、ロウ付けした後冷却すると熱収縮率の相違により、常温状態でパワーモジュール1に著しい反りを生じさせる不具合もある。
【0004】
本発明の目的は、著しい反りを生じさせることなく絶縁回路基板を放熱板に直接ロウ付けさせて放熱特性を向上させたパワーモジュール及びヒートシンク付パワーモジュールを提供することにある。
本発明の別の目的は、このように直接ロウ付けされた場合にも熱サイクル時の応力による加工硬化を起こすことがなく、熱サイクル寿命が長いパワーモジュール及びヒートシンク付パワーモジュールを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図1に示すように、放熱板11の一方の主面に1又は2以上の方形の絶縁回路基板12が固着されたパワーモジュールの改良である。
本発明は、放熱板11は、その厚さ(A)が3〜10mmのAl系合金板であって、絶縁回路基板12は、その一辺(B)が30mm以下であって、絶縁回路基板12は、Si、AlN又はAlからなるセラミック基板12aと、セラミック基板12aの両面に接合された第1及び第2Al板12b,12cとを備え、前記第1Al板(12b)の純度が99.98重量%以上であるとともに、その厚さが0.25〜0.6 mm とされており、Al系合金板からなる放熱板11に、絶縁回路基板12の第1Al板12bが、Al−Si,Al−Ge,Al−Cu,Al−Mg又はAl−Mn系ロウ材から選ばれる1又は2以上のロウ材により直接ロウ付けされてなり、放熱板11から第1Al板12b側に0.2mm離れた該第1Al板12b内の領域において、EPMAにより5点定量分析を行って測定された元素含有量の平均値は重量%で、前記ロウ材がAl−Si系の場合、0.05%≦Si≦3.0%、Al−Cu系の場合、0.05%≦Cu≦2.0%、Al−Mg系の場合、0.05%≦Mg≦2.0%、Al−Mn系の場合、0.05%≦Mn≦1.0%、Al−Ge系の場合、0.05%≦Ge≦3.0%の範囲であることを特徴とする。
すなわち、絶縁回路基板12の一辺Bを30mm以下に制限することで、放熱板11と絶縁回路基板12の熱収縮率の相違に基づく絶縁回路基板12の縁における収縮量の相違を比較的小さく抑制することができる。また、比較的厚い3〜10mmの厚さの放熱板11を使用することで、放熱板11と絶縁回路基板12を直接ロウ付けした場合に生じるパワーモジュール10の著しい反りを抑制することができる。更に、絶縁回路基板12を放熱板11に直接ロウ付けすることで、絶縁回路基板12と放熱板11との間の距離を熱応力緩衝層を有する従来のものに比較してより近づけることができるので、熱の放散効果を高めることができる。尚、本発明において絶縁回路基板12の一辺の長さは、絶縁回路基板12の外形の一辺の長さを指すものである。
【0006】
また、本発明のパワーモジュールは、図1に示すように、放熱板11に絶縁回路基板12が直接ロウ付けされて構成されおり、そのロウ材はAl−Si,Al−Ge,Al−Cu,Al−Mg又はAl−Mn系から選ばれる1又は2以上のロウ材とされている。このように絶縁回路基板12と放熱板11とがろう接された本発明のパワーモジュールにおいては、接合材であるロウ材に含まれる成分が、絶縁回路基板12と放熱板11との接合部からこれらの内部に拡散し、絶縁回路基板12のAl板12bと、放熱板11との接合部分に拡散層が形成される。
【0007】
この拡散層の形成により十分な接合強度を得ることができ、パワーモジュールの信頼性の向上を実現することができるが、同時に上記拡散層においては、構成材料の硬化が生じる。この硬化の程度が大きすぎるとパワーモジュールに加熱、冷却の繰り返し(熱サイクル)が付加された際の放熱板11と絶縁回路基板12との収縮量の相違による応力を吸収しきれず、接合部での剥離の原因となる場合がある。逆に、ロウ材の絶縁回路基板12及び放熱板11への拡散が不充分である場合には、絶縁回路基板12と放熱板11との接合強度自体が小さくなるために、絶縁回路基板12の剥離が起こりやすくなる。従って、本発明では、ロウ材成分の拡散の程度を規定することで接合強度を高めつつ、加熱冷却に伴う収縮による剥離を防止した熱サイクル寿命の長いパワーモジュールを実現した。
【0008】
本発明では、上記拡散の程度を、放熱板11から0.2mm内側の絶縁回路基板12のAl板12b内の領域においてEPMA(電子プローブマイクロアナライザ)による5点定量分析(詳細は後述する)により測定することとした。そして、本発明者はこれらの測定点で検出されたロウ材成分の含有量の平均値が、下記の含有量の範囲であれば、十分な接合強度を備え、かつ、熱サイクルに伴う膨張収縮による応力によって絶縁回路基板12と放熱板11との接合面が剥離するのを効果的に防止できることを知見し、本発明を考案した。すなわち、本発明のパワーモジュールは、上記測定点で測定されたSi,Cu,Mg,Mn,Geの含有量が、ロウ材がAl−Si系の場合は0.05重量%≦Si≦3.0重量%、Al−Cu系の場合は0.05重量%≦Cu≦2.0%、Al−Mg系の場合は0.05重量%≦Mg≦2.0%、Al−Mn系の場合は0.05重量%≦Mn≦1.0%、Al−Ge系の場合は0.05重量%≦Ge≦3.0%とされている。これらの成分の含有量は、測定点においてEPMAにより測定された値の平均値であり、ロウ材成分が拡散したものか、絶縁回路基板12のAl板12bに当初から含まれていたものかは問わない。すなわち、上記含有量の範囲は、Al板12bに当初から含まれている成分と、ロウ材が拡散した成分との和の範囲を規定したものである。また、本発明者はこれらのロウ材成分含有量の範囲が適切であることを後述の実施例において検証しており、その具体的な方法や結果については実施例にて詳述する。
【0009】
ここで、本発明におけるEPMAによる5点定量分析について、図3を参照して以下に説明する。本発明においてEPMAによる5点定量分析とは、図3に示すように、放熱板11とロウ材(図示せず)を介して接合されたAl板12bの内部であって、放熱板11の主面から0.2mm離れたAl板12b内の任意の5点(P1〜P5)を測定点とし、これらの測定点P1〜P5にてEPMAにより測定されたSi,Cu,Mg,Mn,又はGeの含有量の平均値を導出するものである。このようにして、Al板12b内の上記含有量が適切であることを容易に確認することができが、前記Al板12bと放熱板11との接合面は、図3においては放熱板11の主面111のうち絶縁回路基板12が接合される面111Aのみをいうが、この接合面が不明瞭である場合に、該面111Aと平行かつそこから0.2mm離れた面を特定する際には、主面111のうち、面111A以外の面111Bを基準にしても良い。また、測定点P1〜P5は、接合面から0.2mm離れた面内で任意の5点を選択することができるが、より正確に拡散層の情報を得るために、隣接する測定点どうしの間隔を0.5mm以上とすることが好ましい。
【0010】
また、第1Al板12bの純度が99.98重量%以上であるので、比較的加工硬化を起こし難い。このようなAl板12bを放熱板11に直接ロウ付けする本発明のパワーモジュールでは、絶縁回路基板12の温度が高温と低温との間で繰り返し変化しても、Al板12bの応力吸収作用が低下することはなく、パワーモジュール10の熱サイクル寿命を比較的長くすることができる。
【0011】
次に、本発明は、図1に示すように、先に記載のパワーモジュール10の放熱板11の他方の主面をAl系合金からなる水冷又は空冷式のヒートシンク14に接合したことを特徴とするヒートシンク付パワーモジュールを提供する。先に記載の本発明のパワーモジュール10は、搭載した半導体チップ等16が発した熱を放熱板11に速やかに伝導させる。このパワーモジュール10をヒートシンク14に接合した本構成では、その熱をヒートシンク14から速やかに放散させることができる。
【0012】
次に、本発明のヒートシンク付パワーモジュールは、図2に示すように、ヒートシンク24が、その冷媒流路25aが形成されたヒートシンク本体25と、前記冷媒流路25aを覆って密封するように前記ヒートシンク本体25に接合された蓋体26とを備え、先に記載のパワーモジュールの放熱板11が、前記蓋体26を兼ねる構成とすることもできる。
本構成のヒートシンク付パワーモジュールは、放熱板が蓋体26を兼ねることにより、実際に熱を放散させる冷媒と熱を発する半導体チップ等16との距離は更に縮められ、半導体チップ等16が発した熱をこのヒートシンク24から効果的に放散させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、本発明のパワーモジュール10は、放熱板11の一方の主面に1又は2以上の方形の絶縁回路基板12が固着されたものである。放熱板11はAl系合金板からなる板材であって、その厚さAが3〜10mmのものが使用される。絶縁回路基板12は、Si34、AlN又はAl23からなる厚さが0.3〜1.5mmのセラミック基板12aと、このセラミック基板12aの両面に接合された第1及び第2Al板12b、12cとを備える。この第1及び第2Al板12b、12cには、純度が99.98重量%以上であって、その厚さが0.25〜0.6mmのものを使用することが好ましい。このセラミック基板12aと第1及び第2Al板12b、12cは積層されて絶縁回路基板12となった状態で一辺Bが30mm以下になるような方形状のものが使用される。
【0022】
セラミック基板12aの両面への第1及び第2Al板12b、12cの積層接着は、ロウ材を介して行われる。具体的には、第1Al板12bの上にAl−Si系ロウ材(図示せず)、セラミック基板12a、Al−Si系ロウ材(図示せず)及び第2Al板12cをこの順序で重ねた状態で、これらに荷重50〜500kPaを加え、真空中で580〜650℃に加熱することにより行われる。このように積層接着することにより一辺Bが30mm以下の絶縁回路基板12が得られ、その後上面における第2Al板12cはエッチングにより所定のパターンの回路となる。尚、Al−Si系ロウ材は95〜80重量%のAlと、5〜20重量%のSiとの合金からなるものであって、その融点が575℃のものが使用される。
【0023】
一辺Bが30mm以下とされた絶縁回路基板12は、放熱板11にロウ材により直接ロウ付けされ、このロウ材としてはAl−Si,Al−Cu,Al−Mg,Al−Mn又はAl−Ge系ロウ材から選ばれる1又は2以上のロウ材を用いることが好ましい。絶縁回路基板12の放熱板11へのロウ付けは、放熱板11の上に前記のロウ材(図示せず)と絶縁回路基板12をこの順序で重ねた状態で、これらに荷重50〜500kPaを加え、真空中で580〜650℃に加熱してロウ材を溶融させ、その後冷却してそのロウ材を固化させることにより行われる。この場合、前記ロウ材は融点が575℃程度のものが使用され、セラミック基板12aと第1及び第2Al板12b、12cを積層接着したロウ材を溶融させることなく、放熱板11と絶縁回路基板12を構成する第1Al板12bとを接合させる。このように構成されたパワーモジュール10は、放熱板11の隅に形成された取付孔11aに雄ねじ13を挿入して水冷式のヒートシンク14に形成された雌ねじ14aに螺合することにより、放熱板11の他方の主面はAl合金からなる水冷式のヒートシンク14に接合される。
【0024】
また、本実施形態のパワーモジュールでは、絶縁回路基板12と放熱板11との接合によりロウ材に含まれる成分が、絶縁回路基板12及び放熱板11へ拡散されるが、この拡散の程度は、荷重条件及び加熱条件の調整により、最適な拡散程度となるように調整することができ、以下のような測定を行うことで容易に確認することができる。すなわち、絶縁回路基板12のAl板12b内の領域において放熱板11から0.2mm離れた位置でのEPMAによる5点定量分析で測定された含有量の平均値が、ロウ材がAl−Si系の場合は0.05重量%≦Si≦3.0重量%、Al−Cu系の場合は0.05重量%≦Cu≦2.0重量%、Al−Mg系の場合は0.05重量%≦Mg≦2.0重量%、Al−Mn系の場合は0.05重量%≦Mn≦1.0重量%、Al−Ge系の場合は0.05重量%≦Ge≦3.0重量%の範囲であれば、両者が適切に接合されているといえる。
【0025】
このように構成されたパワーモジュール10では、半導体チップ等16が実際に搭載される絶縁回路基板12を放熱板11に直接ロウ付けしたので、その間の距離は半導体チップ等16が発した熱を放熱板11に速やかに伝導させて水冷式ヒートシンク14から速やかに放散させることができる。
また、放熱板11と絶縁回路基板12の固着をロウ付けにより行っているが、本発明のパワーモジュール10は、比較的反りの生じ難い厚さである比較的厚い3〜10mmの厚さの放熱板11を使用し、絶縁回路基板12の一辺Bを30mm以下に制限しているため、ロウ付け時における放熱板11と絶縁回路基板12の熱収縮率の相違に基づく絶縁回路基板12の縁における収縮量の相違を比較的小さく抑制できる。この結果、パワーモジュール10に著しい反りを生じさせることはなく、熱サイクル時に生じる絶縁回路基板12の縁における収縮量の相違も比較的小さく抑制できて、パワーモジュール10の熱サイクル寿命を比較的長く維持することができる。
【0026】
更に、本実施形態のパワーモジュール1では、絶縁回路基板12を構成するAl板12bであって、放熱板11に実際にロウ付けされるものに、加工硬化を起こし難い純度99.98重量%以上のAl板12bを使用したため、半導体チップ等16の発熱および非発熱により絶縁回路基板12の温度が高温と低温との間で繰り返し変化してもそのAl板12bが繰り返し作用する熱応力により加工硬化を起こすことはなく、温度サイクルに起因する応力を吸収する機能の低下を抑制して、パワーモジュール10の熱サイクルに起因する応力を吸収する機能の低下を抑制して、パワーモジュール10の熱サイクル寿命を更に長く維持することができる。
【0027】
尚、上述した実施の形態では、絶縁回路基板12は、セラミック基板12aの両面に第1及び第2Al板12b、12cを接合するためのロウ付けと、それらが接合されて形成された絶縁回路基板12を放熱板11に接合するロウ付けを別工程で行ったが、単一のロウ付け工程によりこれらを同時に接合しても良い。
【0032】
尚、上述した第1実施の形態では、パワーモジュール10の放熱板11の他方の主面を水冷式のヒートシンク14に接合したヒートシンク付パワーモジュール10を示したが、ヒートシンクは空冷式のものであっても良い。ここで、図2に示すように、ヒートシンク24が冷媒流路25aが形成されたヒートシンク本体25と、この冷媒流路25aを覆って密封するようにヒートシンク本体25に接合された蓋体26とを備えるものであるならば、放熱板が蓋体26を兼ねるようにしても良い。図における蓋体26はヒートシンク本体25にろう接されるものを示し、このように放熱板が蓋体26を兼ねれば、実際に熱を放散させる冷媒である水27と熱を発する半導体チップ等16との距離は更に縮められることにより、半導体チップ等16が発した熱をこのヒートシンク24から更に速やかに放散させることができる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、縦、横及び厚さがそれぞれ15mm、15mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び3mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。ここで絶縁回路基板12は、Si34からなるセラミック基板12aの両面に純度が99.98重量%以上の第1及び第2Al板12b、12cを接合したものを使用した。
この絶縁回路基板12を放熱板11に積層して荷重150kPaを加え、真空中で620℃に加熱した。20分経過後冷却することにより絶縁回路基板12が放熱板11にAl−Siロウ材により直接ロウ付けされたパワーモジュール10を得た。このようにして得られたパワーモジュールを実施例1の試料とした。
【0034】
<実施例2>
実施例1のパワーモジュールと同一材料からなる縦、横及び厚さがそれぞれ20mm、20mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び6mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。
この絶縁回路基板12を実施例1と同一の条件でAl−Siロウ材により放熱板11に直接ロウ付けすることによりパワーモジュール10を得た。このようにして得られたパワーモジュールを実施例2の試料とした。
<実施例3>
実施例1のパワーモジュールと同一材料からなる縦、横及び厚さがそれぞれ30mm、30mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び8mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。
この絶縁回路基板12を実施例1と同一の条件でAl−Siロウ材により放熱板11に直接ロウ付けすることによりパワーモジュール10を得た。このようにして得られたパワーモジュールを実施例3の試料とした。
【0035】
<比較例1>
実施例1のパワーモジュールと同一材料からなる縦、横及び厚さがそれぞれ30mm、30mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び15mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。
この絶縁回路基板12を実施例1と同一の条件でAl−Siロウ材により放熱板11に直接ロウ付けすることによりパワーモジュール10を得た。このようにして得られたパワーモジュールを比較例1の試料とした。
【0036】
<比較例2>
実施例1のパワーモジュールと同一材料からなる縦、横及び厚さがそれぞれ50mm、50mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び5mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。
この絶縁回路基板12を実施例1と同一の条件で放熱板11に直接ロウ付けすることによりパワーモジュール10を得た。このようにして得られたパワーモジュールを比較例2の試料とした。
【0037】
<比較例3>
実施例1のパワーモジュールと同一材料からなる縦、横及び厚さがそれぞれ40mm、40mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び2mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。
この絶縁回路基板12を実施例1と同一の条件で放熱板11に直接ロウ付けすることによりパワーモジュール10を得た。このようにして得られたパワーモジュールを比較例3の試料とした。
尚、上述した実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれのパワーモジュールの構成を表1に示す。
【0038】
<比較試験及び評価>
実施例1〜3、比較例1〜3のそれぞれのパワーモジュールを冷熱衝撃試験器にて−40℃30分〜室温30分〜125℃30分〜室温30分を1サイクルとする温度サイクルを付加した。温度サイクルを100回付加した時点で絶縁回路基板12と放熱板11の間の剥離の有無を観察し、剥離が確認されない場合には更に温度サイクルを100回付加した。これを繰り返して剥離が確認されるまでの温度サイクル回数を温度サイクル寿命として測定した。尚、剥離の有無は拡大鏡により確認することにより行った。この結果も表1に併記する。
【0039】
【表1】
Figure 0004134537
【0040】
表1から明らかなように、放熱板の厚さが3〜10mmであって、絶縁回路基板の一辺Bが30mm以下である実施例1〜3では、温度サイクル寿命が全て3000回以上と比較的高い数値を示した。これは、絶縁回路基板12の一辺Bを30mm以下に制限しているため、熱サイクル時に生じる絶縁回路基板12の縁における収縮量の相違を比較的小さく抑制できた結果によるものと考えられる。
一方、上記要件から外れる比較例1〜3のパワーモジュールでは、絶縁回路基板が一番小さい比較例1のパワーモジュールにおける2000回が最高であり、絶縁回路基板が一番大きい比較例3のパワーモジュールではわずか100回であった。これは、絶縁回路基板12が大きいために、熱サイクル時に生じる絶縁回路基板12の縁における収縮量の相違が比較的大きくなったことに起因しているものと考えられる。また、実施例3のパワーモジュールの絶縁回路基板と同一の絶縁回路基板を使用している比較例1のパワーモジュールでは、放熱板の厚さが大きいために、絶縁回路基板の縁における収縮量の相違が主に絶縁回路基板に吸収され、結果として温度サイクル寿命が悪化したものと考えられる。
【0041】
<実施例4>
次に、実施例1のパワーモジュールと同一材料からなる縦、横及び厚さがそれぞれ15mm、15mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び3mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。
この絶縁回路基板12を、Al−Si系ロウ材を介して放熱板11に積層して荷重を加え、真空中で加熱して接合した。この際の荷重条件及び加熱条件を適宜調整することで、前記ロウ材に含まれるSiの絶縁回路基板12及び放熱板11への拡散の程度を調整した。20分経過後冷却することにより絶縁回路基板12が放熱板11に直接ロウ付けされたパワーモジュールを得た。このようにして得られたパワーモジュールを試料4Aとした。このパワーモジュールについて、上述のEPMAによる5点定量分析により、絶縁回路基板12のAl板12b内の領域で放熱板11から0.2mm離れた位置におけるSi含有量を測定したところ、Si含有量は0.05重量%であった。このEPMA測定に用いる測定装置及び測定条件を以下に示す。
【0042】
Figure 0004134537
【0043】
次に、上記試料4Aのパワーモジュールと同一材料からなる縦、横及び厚さがそれぞれ15mm、15mm及び0.635mmのセラミック基板12aの両面に、縦、横がセラミック基板12aと同一で、厚さが0.4mmのAl板12b,12cを積層した絶縁回路基板12と、縦、横及び厚さがそれぞれ100mm、100mm及び3mmのAl系合金板からなる放熱板11を用意した。
この絶縁回路基板12を、Al−Si系ロウ材を介して放熱板11に積層して荷重を加え、真空中で加熱して接合した。この際の荷重条件及び加熱条件を変化させることで、前記ロウ材に含まれるSiの絶縁回路基板12及び放熱板11への拡散の程度を調整して両者を接合し、4種類のパワーモジュールを作製した。そして、20分経過後冷却することにより絶縁回路基板12が放熱板11に直接ロウ付けされたパワーモジュールを得た。このようにして得られたパワーモジュールをそれぞれ試料4B〜4Eとした。これらのパワーモジュールについて、上述のEPMAによる5点定量分析により、絶縁回路基板12のAl板12b内で放熱板11から0.2mm離れた位置におけるSi含有量を測定したところ、試料4Bのパワーモジュールでは1.5重量%、試料4Cのパワーモジュールでは3.0重量%、試料4Dのパワーモジュールでは0.02重量%、試料4Eのパワーモジュールでは4.0重量%であった。
【0044】
<実施例5>
次に、ロウ材にAl−Cu系のロウ材を用いた以外は上記実施例4と同様にしてパワーモジュールを作製した。絶縁回路基板12を、放熱板11に接合する際の荷重条件及び加熱条件を種々に変化させることにより、前記ロウ材に含まれるCuの絶縁回路基板12及び放熱板11への拡散の程度を変化させて、5種類のパワーモジュールを作製し、それぞれを試料5A〜5Eとした。これらのパワーモジュールについて、上記実施例4と同様にしてCu含有量を測定したところ、それぞれ0.02重量%、0.05重量%、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%であった。
【0045】
<実施例6>
次に、ロウ材にAl−Mg系のロウ材を用いた以外は上記実施例4と同様の構成のパワーモジュールを作製した。絶縁回路基板12を、放熱板11に接合する際の荷重条件及び加熱条件を種々に変化させることにより、前記ロウ材に含まれるMgの絶縁回路基板12及び放熱板11への拡散の程度を変化させて、5種類のパワーモジュールを作製し、これらを試料6A〜6E。これらのパワーモジュールについて、上記実施例4と同様にしてMg含有量を測定したところ、それぞれ0.03重量%、0.05重量%、1.0重量%、2.0重量%、3.0重量%であった。
【0046】
<実施例7>
次に、ロウ材にAl−Mn系のロウ材を用いた以外は上記実施例4と同様の構成のパワーモジュールを作製した。絶縁回路基板12を、放熱板11に接合する際の荷重条件及び加熱条件を種々に変化させることにより、前記ロウ材に含まれるMnの絶縁回路基板12及び放熱板11への拡散の程度を変化させて、5種類のパワーモジュールを作製し、これらを試料7A〜7Eとした。これらのパワーモジュールについて、上記実施例4と同様にしてMn含有量を測定したところ、それぞれ0.01重量%、0.05重量%、0.5重量%、1.0重量%、2.0重量%であった。
【0047】
<実施例8>
次に、ロウ材にAl−Ge系のロウ材を用いた以外は上記実施例4と同様の構成としてパワーモジュールを作製した。絶縁回路基板12を、放熱板11に接合する際の荷重条件及び加熱条件を種々に変化させることにより、前記ロウ材に含まれるGeの絶縁回路基板12及び放熱板11への拡散の程度を変化させて、5種類のパワーモジュールを作製し、これらを試料8A〜8Eとした。これらのパワーモジュールについて、上記実施例4と同様にしてGe含有量を測定したところ、それぞれ0.02重量%、0.05重量%、1.5重量%、3.0重量%、4.0重量%であった。
【0048】
<評価>
以上の実施例4〜8の各試料のパワーモジュールについて、上記実施例1〜3と同様に温度サイクル寿命の評価を行った。その結果を表2に示す。表2に示すように、ロウ材成分の測定点における含有量が、重量%で0.05≦%Si≦3.0%、0.05%≦Cu≦2.0%、0.05%≦Mg≦2.0%、0.05%≦Mn≦1.0%、0.05%≦Ge≦3.0%の範囲であるパワーモジュールは、いずれも良好な温度サイクル寿命を有することが確認された。これに対して、上記ロウ材成分の測定点における含有量が、上記範囲を越えるものは、いずれも上記範囲内のものよりも温度サイクル寿命が短くなった。これらのうち、含有量が少なすぎるものは、絶縁回路基板12と放熱板11との接合強度が不足したためであり、逆に含有量が多すぎるものは、絶縁回路基板12のAl板12bが硬化し、温度サイクルに伴う放熱板11の膨張収縮による応力を吸収しきれなかったためであると考えられる。
【0049】
【表2】
Figure 0004134537
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、放熱板の一方の主面に1又は2以上の方形の絶縁回路基板が固着されたパワーモジュールにおいて、前記放熱板の厚さが3〜10mmのAl系合金板とされ、前記絶縁回路基板はその一辺が30mm以下であって、前記放熱板に直接ロウ付けされ、ロウ材の成分が前記絶縁回路基板及び/又は放熱板へ拡散された構成とされる。すなわち、絶縁回路基板の一辺を30mm以下に制限することで、放熱板と絶縁回路基板の熱収縮率の相違に基づく絶縁回路基板の縁における収縮量の相違を比較的小さく抑制する効果を得ることができる。また、比較的厚い3〜10mmの厚さの放熱板を使用することで、放熱板と絶縁回路基板を直接ロウ付けした場合に生じるパワーモジュールの著しい反りを抑制することができる効果が得られる。さらに、絶縁回路基板を放熱板に直接ロウ付けすることで、絶縁回路基板と放熱板の間の距離を従来のものに比較してより近づけられ、熱放散を高める効果を得ることができる。この結果、著しい反りを生じることなく、放熱特性を向上させることができる。
【0051】
また、前記ロウ材としてロウ材が、Al−Si,Al−Ge,Al−Cu,Al−Mg又はAl−Mn系ロウ材から選ばれる1または2以上のロウ材を用いるならば、これらのロウ材は、絶縁回路基板及び放熱板を構成する材料との親和性が高いため、接合が容易であるとともに十分な接合強度が得やすくなる。
【0052】
また、絶縁回路基板として両面にAl板が接合されたセラミック基板を用い、放熱板にロウ付けされる絶縁回路基板のAl板の純度を99.98重量%以上にすれば、そのAl板における温度サイクルに起因する応力を吸収する機能の低下を抑制して、パワーモジュールの熱サイクル寿命を長く維持することができる。一方、そのAl板を省いてセラミック基板の他方の面を放熱板に直接ロウ付けすれば、パワーモジュールに著しい反りを生じさせることなく熱抵抗を更に低減することができ、そのAl板が加工硬化を起こすことに起因する熱サイクル寿命を更に長く維持することができる。
【0053】
更に、このパワーモジュールをヒートシンクに接合すれば、絶縁回路基板に搭載した半導体チップ等が発した熱を速やかにヒートシンクから放散させることができ、パワーモジュールの放熱板がヒートシンクの蓋体を兼ねるように構成すれば、実際に熱を放散させる冷媒と、熱を発する半導体チップ等の距離を更に縮めることができ、半導体チップ等が発した熱をヒートシンクから効果的に放散させることができる。
【0054】
また本発明のパワーモジュールは、絶縁回路基板は、Si34、AlN又はAl23からなるセラミック基板と、前記セラミック基板の両面に接合された第1及び第2Al板とを備え、Al系合金板からなる放熱板に、前記絶縁回路基板の第1Al板が、Al−Si,Al−Ge,Al−Cu,Al−Mg又はAl−Mn系ロウ材から選ばれる1又は2以上のロウ材により直接ロウ付けされてなり、前記放熱板から第1Al板側に0.2mm離れた該第1Al板内の領域において、EPMAにより5点定量分析を行って測定された元素含有量の平均値は重量%で、前記ロウ材がAl−Si系の場合、0.05%≦Si≦3.0%、Al−Cu系の場合、0.05%≦Cu≦2.0%、Al−Mg系の場合、0.05%≦Mg≦2.0%、Al−Mn系の場合、0.05%≦Mn≦1.0%、Al−Ge系の場合、0.05%≦Ge≦3.0%の範囲であることとしたことで、十分な接合強度を備え、かつ、熱サイクルに伴う膨張収縮による応力によって絶縁回路基板と放熱板との接合面が剥離するのを効果的に防止することができる。
【0055】
さらに、上記のパワーモジュールにおいて、絶縁回路基板の一辺の長さを30mm以下とし、放熱板の厚さを3〜10mmとするならば、放熱板と絶縁回路基板の熱収縮率の相違に基づく絶縁回路基板の縁における収縮量の相違を小さく抑制することができ、かつ放熱板の著しい反りを抑えることができるので、加熱冷却に伴う収縮による剥離を防止し、熱サイクル寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の第1の実施の形態におけるパワーモジュールの構成を示す縦断面図である。
【図2】 図2は、放熱板がヒートシンクの蓋体を兼ねる本発明の別のパワーモジュールの構成を示す縦断面図である。
【図3】 図3は、本発明に係るパワーモジュールをEPMAにより5点定量分析する際の測定点を示す構成図である。
【図4】 図4は、従来のパワーモジュールの構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10 パワーモジュール
11 放熱板
12 絶縁回路基板
12a セラミック基板
12b 第1Al板
12c 第2Al板
14,24 ヒートシンク
25a 冷媒流路
25 ヒートシンク本体
26 蓋体
A 放熱板の厚さ
B 絶縁回路基板の一辺の長さ

Claims (3)

  1. 放熱板(11)の一方の主面に1又は2以上の方形の絶縁回路基板(12)が固着されたパワーモジュールにおいて、
    前記放熱板(11)は、その厚さ(A)が3〜10mmのAl系合金板であって、前記絶縁回路基板(12)は、その一辺(B)が30mm以下であって、
    前記絶縁回路基板(12)は、Si、AlN又はAlからなるセラミック基板(12a)と、前記セラミック基板(12a)の両面に接合された第1及び第2Al板(12b,12c)とを備え、
    前記第1Al板(12b)の純度が99.98重量%以上であるとともに、その厚さが0.25〜0.6 mm とされており、
    Al系合金板からなる放熱板(11)に、前記絶縁回路基板(12)の第1Al板(12b)が、Al−Si,Al−Ge,Al−Cu,Al−Mg又はAl−Mn系ロウ材から選ばれる1又は2以上のロウ材により直接ロウ付けされてなり、
    前記放熱板(11)から第1Al板(12b)側に0.2mm離れた該第1Al板(12b)内の領域において、EPMAにより5点定量分析を行って測定された元素含有量の平均値は重量%で、
    前記ロウ材がAl−Si系の場合、0.05%≦Si≦3.0%、
    Al−Cu系の場合、0.05%≦Cu≦2.0%、
    Al−Mg系の場合、0.05%≦Mg≦2.0%、
    Al−Mn系の場合、0.05%≦Mn≦1.0%、
    Al−Ge系の場合、0.05%≦Ge≦3.0%の範囲であることを特徴とするパワーモジュール。
  2. 請求項1記載のパワーモジュール(10)の放熱板(11)の他方の主面をAl系合金からなる水冷又は空冷式のヒートシンク(14,24)に接合したことを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール。
  3. ヒートシンク(24)は、その冷媒流路(25a)が形成されたヒートシンク本体(25)と、前記冷媒流路(25a)を覆って密封するように前記ヒートシンク本体(25)に接合された蓋体(26)とを備え、
    前記パワーモジュールの放熱板が、前記蓋体(26)を兼ねるように構成されたことを特徴とする請求項2記載のヒートシンク付パワーモジュール。
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