JP4136507B2 - 電子写真用ベルト、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真用ベルト、画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用ベルト、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは、電子写真方式を用いた複写機やプリンター等の画像形成装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いられる電子写真用ベルト、該電子写真ベルトを具備した画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の電子写真用ベルトを使用した画像形成装置は、フルカラー画像情報や多色画像情報の複数の成分色画像を順次積層転写してフルカラー画像や多色画像を合成再現した画像形成物を出力するフルカラー画像形成装置や多色画像形成装置、又はフルカラー画像形成機能や多色画像形成機能を具備させた画像形成装置として有効である。また、モノクロ画像形成装置であってもプリント速度を向上させる手段として有効である。
【0003】
例えば、中間転写ベルト等を用いた画像形成装置を有するフルカラー画像形成装置は、従来の技術である転写ドラム上に転写材を張り付け、又は吸着し、そこへ電子写真感光体から画像を転写する画像形成装置を有したフルカラー画像形成装置、例えば特開昭63−301960号公報中で述べられている転写装置と比較すると、転写材に加工(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率をもたせる等)を必要とせずに中間転写ベルトから画像を転写することができるため、封筒、ハガキ、ラベル紙等、薄い紙(40g/m紙)から厚い紙(200g/m紙)まで、幅の広狭、長さの長短によらず、転写材を多種多様に選択することができるという利点を有している。
【0004】
更に、色数に応じた複数の電子写真感光体を配置し、中間転写ベルト上又は転写搬送ベルトに支持された転写材上に1パスで各色の画像を連続転写して色を重ね合わせる方式は、プリント速度を大幅に向上する手段として有効である。また、モノクロ画像形成装置の場合でもプリントスピードを向上し、同時に優れた画質を得るために転写搬送ベルトを使用することがある。転写搬送ベルトは、予め転写材を吸着、支持して画像転写部位に高速で安定して送り込むことが可能であり、更に、転写材が電子写真感光体へ巻きつくことを防止する効果も得られる。
【0005】
中間転写ベルトとして使用した際には、中間転写ドラムのような剛体のシリンダーを用いる場合と比較して画像形成装置内部に配置する際の自由度が増して、スペースの有効利用による装置本体の小型化やコストダウンを行うことができる。
【0006】
しかし、これらの電子写真用ベルトは使用する目的に応じて様々な特性を満たすことが必要であり、解決すべき問題も多い。特に、近年は画質向上のため、LBP(レーザービームプリンター)や複写機等の画像形成装置本体で露光スポット径やトナー粒径の微細化を進めたり、現像及び転写電界の制御の緻密化等の様々な手段を取り入れている。この結果、非常に高精彩な画像が得られるようになってきているが、一方でコストダウンも重要な課題であり、部品点数を削減する方法や一つの部品に多くの機能を待たせる等、できる限り装置の小型化や軽量化が進められている。また、本体価格の低下に伴い、購買層が広がって、小規模オフィスや一般家庭等の従来に比べ低温低湿又は高温高湿の広範囲な環境で使用することを想定した設計も求められるようになってきている。その結果、中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の電子写真用ベルトにも画質向上、コストダウン、広範囲の環境への対応、更には画像形成装置本体の構成に合わせた最適設計が今まで以上に重要となっていると言える。
【0007】
電子写真用ベルトは、抵抗を調整するために何らかの抵抗制御物質を混合する手段が使われるが、抵抗の均一化を考慮した場合はカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子等の導電性フィラーは使用しにくい。これらは、粒子の凝集や分散の不均一に起因する抵抗ムラが発生し易く、特に非常に抵抗の低い粒子の凝集物は50μm程度の大きさであってもその部位の転写電界に大きな影響を与え、凝集物の大きさの数倍から十倍以上の範囲で斑点状に色抜けを生じることがある。最悪の場合は、絶縁破壊による欠損や発火を引き起こす等の問題があるため、導電性フィラーは使用量の低減や分散手段の改善が必要となっている。
【0008】
この問題を解決する材料として、各種の無機塩類や界面活性剤等の低分子量の所謂イオン導電剤や高分子量の帯電防止樹脂等を添加する手段が有効である。これらの材料は、導電性フィラーに比較して凝集を発生し難いため、電子写真用ベルトの抵抗ムラや絶縁破壊の発生は大きく改善される。しかし、その抵抗の均一性においても非常に難しい問題がある。例えば、低分子量のイオン導電剤を分散させ、抵抗均一性を十分高めたベルトを中間転写ベルトとして用いた際に放電現象に起因する画像問題が発生することがある。この現象は、低温低湿の環境下で全面ベタやハーフトーンの画像をプリントすると一次転写部や二次転写部で剥離放電を生じてトナー画像が乱され、水玉状の転写不良が発生するものである。一方で高温高湿の環境下では、電子写真感光体と平行にスジ状の濃度ムラを生じることもある。高温高湿の環境は、各部の抵抗が低下して放電現象は減少するが、トナーの帯電量も低下しているため、一次転写部で非常に微弱であっても剥離放電が発生すると一次転写されたトナーの帯電量のバラツキが助長され、二次転写効率が部分的に変化して縞状の画像ムラが発生するものと考えられる。
【0009】
一方で、帯電防止樹脂等の高分子量の材料で抵抗を調整した電子写真用ベルトを中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いた場合に、高温高湿の環境下でハーフトーン画像に電子写真用ベルトの抵抗ムラに起因する濃度ムラが発生する場合がある。この現象は、電子写真用ベルトの抵抗の変化に伴って局所的に転写効率が変動したり、再転写が発生するなどして、画像濃度が変化しているためと考えられる。
【0010】
このような現象の発生する理由はいくつか考えられるが、低分子量のイオン導電剤を使用し、抵抗を均一化した場合、剥離放電現象を抑制する性能が不十分となるためではないかと考えられる。放電現象を抑制するためには、ベルト表面の電荷を逃がすポイントが必要であり、周囲よりある程度抵抗が低い部位が均等に分散している状態が有効と考えられる。低分子量のイオン導電剤を使用した電子写真用ベルトは、抵抗が均一であるためにこのような電荷を逃がすポイント少なく、放電現象を生じ易いものと思われる。
【0011】
しかし、前述のように導電性フィラーの凝集物は別の問題を引き起こすため、電荷を逃がすポイントとしては数μm〜50μm以内の非常に小さいサイズでかつ、抵抗値も低過ぎない必要がある。
【0012】
従って、帯電防止樹脂等の高分子量の抵抗調整材を適正な条件で混合する手段が放電現象を低減させる手段として有効になる。帯電防止樹脂は通常、主バインダー樹脂と非相溶であり、電子写真用ベルト中に数μm〜数十μmの島状になって存在している。この部位が、電荷を逃がすポイントとして作用するものと考えられる。帯電防止樹脂の体積抵抗率は、カーボンブラック等の導電性フィラーと比較すると3桁から6桁以上も高く、電子写真用ベルトの全体抵抗より2桁から5桁以上低いことが一般的である。従って、抵抗が非常に低い部位に発生する絶縁破壊や転写電界の集中による転写抜けを起し難いが、電荷を逃がすには十分に低抵抗であり、放電現象の抑制と絶縁破壊という相反する問題を解決する上で好適な材料だということができる。しかし、一方で熱可塑性樹脂と非相溶であるため、分散性という点では低分子量のイオン導電剤に一歩譲る傾向があり、若干ではあるが、抵抗のムラを生じ易くなる。
【0013】
この抵抗ムラは、一般的にカーボンブラック等の導電性フィラーを分散した電子写真用ベルトより遙かに軽微で従来は問題にならないレベルであったが、前述のように画像形成装置本体の構成によってハーフトーン画像に濃度ムラを生じることがある。
【0014】
従って、帯電防止樹脂の添加量を増加すると画像濃度ムラが悪化し、減らすと放電現象による水玉や縞状ムラが発生するため、全てを満たす改善策が無いのが現状である。
【0015】
対策として低分子量のイオン導電剤と帯電防止樹脂を併用するとある程度の改善効果はあるものの完全な問題の解決には至っていない。
【0016】
電子写真用ベルトの抵抗調整がより複雑になってきた要因は定かではないが、例えば装置のコストダウンのため分離帯電器や二次転写前帯電器を省略したり、電源装置の数を減らす等、本体側の設計により電子写真用ベルト表面で発生する微細な放電現象を抑制したり、トナーに均一な帯電量を付与するのが難しくなっていることが考えられる。現像方式も二成分現像方式より小型化できる非磁性一成分方式が多くなりつつあるが、この方式はトナーに均一で高い帯電量を与えるという点ではキャリアを使用した二成分現像より劣る場合があり、高温高湿の環境下でトナー帯電量の低下を生じる可能性は否定できない。また、他の要因として現像像の均一化が進んだ結果、従来は目立たなかったレベルの転写の不均一性が顕在化したものとも推定される。これらに加えて、使用環境が拡大していることが更に、放電現象や濃度ムラを増大させており、電子写真用ベルトの設計をより難しくしている。
【0017】
従って、このような問題が発生することは電子写真用ベルトの抵抗値を調整することが単純ではなく、従来の技術である帯電防止樹脂や低分子量のイオン導電剤の添加量を変えて電子写真用ベルトの抵抗を合わせても問題を解決できないことを示している。電子写真用ベルトには抵抗値等の一面的な特性だけでは無く、本体構成や使用環境等を合わせて考慮した上で、ミクロ的観点とマクロ的観点の双方から最適な設計が必要となってきていると言える。
【0018】
一方で中間転写ベルトや転写搬送ベルト等の電子写真用ベルトや電子写真感光体は、プリンターや複写機本体と同等の寿命を得ることは困難であり、それぞれ交換が必須となっているため、メンテナンスが煩雑であるという問題もある。この交換の手間を大幅に低減する手段として電子写真感光体と中間転写ベルトや転写搬送ベルトを一体化したカートリッジを使用する方法がある。
【0019】
しかし、電子写真感光体と中間転写ベルトを一体のカートリッジとすると本体を設置した際に本体に中間転写ベルトをセットする場合と異なる問題を生じ易い。それは、中間転写ベルトと電子写真感光体が一体となった状態で長時間様々な環境に放置されることに起因することが多い。例えば、中間転写ベルト中に添加された成分が表面に染み出す所謂ブリードが発生し、電子写真感光体に付着すると帯電電位が低下したり電荷の移動に影響を与え、当接部位にスジ状の画像異常が発生する。最も重大な問題は、中間転写ベルトから移行してきた物質により、感光層に割れが発生する場合である。このような感光層の割れは、感光層の中で最も厚さのある層で顕著であり、積層電子写真感光体の場合は電荷輸送層で発生し易い。
【0020】
このような現象は、特に高温環境ほど促進されることが判っており、湿度についても高湿ほど悪影響が出る傾向にある。従って、中間転写ベルト電子写真感光体一体カートリッジ等には、流通段階で受ける温度や湿度の影響も考慮した設計が必要となる。
【0021】
更に、中間転写ベルト上に残留したトナーのクリーニング機構は、帯電装置により転写残トナーに一次転写と逆の極性の電荷を与え、一次転写と同時に電子写真感光体へ戻し、電子写真感光体のクリーニング機構で回収する方法が好ましい(一次転写同時クリーニング)。この手段によれば、中間転写ベルトにファーブラシやブレード等のクリーニング装置を設けて電子写真感光体と別にクリーニングする場合より廃トナーボックスの数を減らしたり、廃トナーの搬送機構を作る必要が無く、装置本体の小型化やコストダウンの面から好ましいものである。廃トナーボックスを複数交換する必要が無いため、メンテナンス性も向上する。しかし、中間転写ベルト上の転写残トナーに均一で適正な電荷を与えないとクリーニング不良や一次転写トナーへの干渉が発生し、画像問題となるため、中間転写ベルトと導電性ローラーやコロナ帯電器などのクリーニング用帯電機構の間で均一な電流が流れることが必要である。
【0022】
従って、中間転写ベルトの抵抗や放電現象の均一化が一次転写同時クリーニングを行う上でも必須な要素となっている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように電子写真用ベルトを使用した画像形成装置において様々な課題を完全に解決した画像形成装置は未だ得られていない。
【0024】
本発明の目的は、画像抜けや濃度ムラのない高画質が得られ、長期間の輸送や短期間に環境が変動しても良好な画像が得られる電子写真用ベルト、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に従って、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで可視化して得られたトナー画像を静電的手段で転写材上に転写する画像形成装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いられる電子写真用ベルトにおいて、
該電子写真用ベルトが少なくともポリフッ化ビニリデンとポリエーテルエステルアミドとポリオレフィンポリエーテルとを含有し、
下記電流値測定方法により測定された最大電流値が最小電流値の1.18倍〜1.28倍の範囲である
ことを特徴とする電子写真用ベルトが提供される:
<電流値測定方法>
(i)駆動ローラーを含む2つのローラーで、抵抗を測定する電子写真用ベルトを張力19.6N(2kgf)で張架する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーに電流計を接続する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーと導電性ゴムローラーとで張架された該電子写真用ベルトを挟むようにする、
(ii)次に、張架された該電子写真用ベルトを該駆動ローラーで周速120mm/secで回転させながら、該導電性ゴムローラーから電圧を印加して、電流値を該電流計で測定し、レコーダーで該電子写真用ベルトの1周分の電流値を連続的に記録する、
(iii)次に、連続的に記録された電流値のうち、最大電流値が最小電流値の何倍であるかを求める。
【0026】
また、本発明に従って、電子写真感光体と、
該電子写真感光体上に静電潜像を形成するための帯電手段及び露光手段と、
該静電潜像をトナーで可視化してトナー画像を得るための現像手段と、
該電子写真感光体との当接部を有する中間転写ベルトと、
該当接部にて該電子写真感光体から該中間転写ベルトへ該トナー画像を一次転写するための一次転写手段と、
該中間転写ベルト上の該トナー画像を転写材に二次転写するための二次転写手段と
を有する画像形成装置の該中間転写ベルトとして用いられる電子写真用ベルトにおいて、
該電子写真用ベルトが少なくともポリフッ化ビニリデンポリエーテルエステルアミドとポリオレフィンポリエーテルとを含有し、
下記電流値測定方法により測定された最大電流値が最電流値の1.18倍〜28倍の範囲である
ことを特徴とする電子写真用ベルトが提供される
<電流値測定方法>
(i)駆動ローラーを含む2つのローラーで、抵抗を測定する電子写真用ベルトを張力19.6N(2kgf)で張架する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーに電流計を接続する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーと導電性ゴムローラーとで張架された該電子写真用ベルトを挟むようにする、
(ii)次に、張架された該電子写真用ベルトを該駆動ローラーで周速120mm/secで回転させながら、該導電性ゴムローラーから電圧を印加して、電流値を該電流計で測定し、レコーダーで該電子写真用ベルトの1周分の電流値を連続的に記録する、
(iii)次に、連続的に記録された電流値のうち、最大電流値が最小電流値の何倍であるかを求める
【0027】
また、本発明に従って、電子写真感光体と、
該電子写真感光体上に静電潜像を形成するための帯電手段及び露光手段と、
該静電潜像をトナーで可視化してトナー画像を得るための現像手段と、
該電子写真感光体との当接部を有する中間転写ベルトと、
該当接部にて該電子写真感光体から該中間転写ベルトへ該トナー画像を一次転写するための一次転写手段と、
該中間転写ベルト上の該トナー画像を転写材に二次転写するための二次転写手段と
を有する画像形成装置において、
該中間転写ベルトが上記電子写真用ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0028】
更に、本発明に従って、上記画像形成装置の本体から着脱自在に構成されたプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体と前記中間転写ベルトと一体に支持することを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
本発明では、カーボンブラック、導電性金属酸化物及び金属粉等の導電性フィラーのように粒子レベルの凝集や偏りが発生し易い抵抗制御剤の使用をできるだけ避け、抵抗均一性に優れる帯電防止樹脂を選択している。更に、その上で前述のような極僅かな放電現象や抵抗ムラに起因する画像濃度ムラや水玉画像を防止できる電子写真用ベルトを得るために帯電防止樹脂の分散状態を最適に保ち、ミクロ的には樹脂の海島構造により微細な放電ポイントを確保しつつ、マクロ的には抵抗均一性を高いレベルで維持する必要がある。これを達成するために本発明では、主バインダーであるポリフッ化ビニリデンと非相溶な帯電防止樹脂として、ポリエーテルエステルアミド及びポリオレフィンポリエーテルの2種使用している点に特徴がある。種類の異なる帯電防止樹脂を使用すると、それぞれの帯電防止樹脂の極性や溶融粘度が異なるために帯電防止樹脂が大きな塊にならず、適度に微細な島構造を形成しているものと考えられる。その結果、抵抗ムラを悪化させることなく、放電現象の抑制が可能になる。
【0031】
しかし、これらの材料を使用すれば必ず本発明の効果が得られるという訳では無く、電子写真用ベルトに電圧印加をした際の各部の最大・最小電流値差が1.02倍〜3.0倍になるよう製造手段や製造条件を選択することが必須であり、本発明では1.18倍〜1.28倍としている。電流値の差が3.0倍を超える場合は画像の濃度ムラが悪化し、1.02倍を下回ると放電現象に起因する水玉やスジ状のムラが発生する場合がある。
【0032】
この際に、ポリフッ化ビニリデンの溶融粘度が10000Pa・sになる温度に対して、ポリオレフィンポリエーテルの溶融粘度が10000Pa・sになる温度が低くポリエーテルエステルアミドの溶融粘度が10000Pa・sになる温度が高くなるようにした方がより効果が高くなる。溶融粘度が10000Pa・sになる際の温度が主バインダーであるポリフッ化ビニリデンより高いポリエーテルエステルアミドは、溶融混練時及び成形時の溶融粘度がポリフッ化ビニリデンより高くなり、成形時にシェアに対する形状の変化が抑制され、比較的微細な島を構成する。一方で同温度が低いポリオレフィンポリエーテルは混練及び成形時の粘度がポリフッ化ビニリデンより低く、シェアによって引き伸ばされある程度大きな島構造を形成する。この結果、帯電防止樹脂であるポリエーテルエステルアミド及びポリオレフィンポリエーテルの分布が最適な状態に保たれ、放電の抑制と抵抗均一性が高いレベルで両立できる。
【0033】
リオレフィンポリエーテルは、非極性のオレフィン鎖が長く、更にポリアミドブロックを含まないのでポリエーテルエステルアミドと相溶し難く、また溶融粘度もポリオレフィンブロックの影響で低くなる等、本発明の効果を得る上で好ましい特性を兼ね備えている。これら帯電防止樹脂であるポリエーテルエステルアミド及びポリオレフィンポリエーテルの添加量は、合計で電子写真用ベルトに対し4〜35質量%の範囲が好ましい。4%未満では帯電防止樹脂の添加効果が得られ難く、35%を超えると電子写真用ベルトの強度低下を生じ易くなる。また、ポリエーテルエステルアミド及びポリオレフィンポリエーテルの添加割合はポリエーテルエステルアミド:ポリオレフィンポリエーテルで1:9〜9:1の範囲が好ましく、この範囲外ではポリエーテルエステルアミド及びポリオレフィンポリエーテルの添加効果が得られ難くなり、放電現象や濃度ムラを発生し易くなる。
【0034】
以上の構成を採ることによって本発明の電子写真用ベルトは多くの課題を解決し、良好な性能を発揮することが可能となる。
【0035】
以下に本発明の実施形態について一例を示すが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0036】
成形方法はシームレスベルトの製造が可能で、かつ製造効率が高くてコストを抑制できる製造方法が好ましい。その手段として環状ダイスからの連続溶融押し出しし、その後、必要な長さに切断してベルトを製造する方法が挙げられる。
【0037】
例えば、インフレーション成形が好適である。インフレーション成形は成形効率が高いだけではなく、1種類のダイスから直径の異なる複数のサイズのチューブを押し出すことが可能であり、多機種に展開する際の設備投資が低減できる等のメリットもある。更に、押し出し時に溶融状態で膨張させるため、通常の押し出し成形より厚い部分が選択的に周方向に延伸され、厚さムラが低減するという利点もある。
【0038】
また、別の製造手段としてTダイスによりシート成形した後、所望の長さに切断して、端部を接合し、ベルト化する製造方法がある。この方法では膜厚の均一性が高く、更に二軸延伸装置を使用することができるため、フィルムの機械強度向上ができる等の利点があるが、一方でつなぎ目を避けるため、本体設計に影響が出る等の問題もある。
【0039】
本発明における電子写真用ベルトの厚さは40μm〜300μmの範囲が好ましい。40μm未満では成形安定性に欠け、厚さムラを生じ易く、耐久強度も不十分で、ベルトの破断や割れが発生する場合がある。一方で300μmを超えると材料が増えコストが高くなる上に、画像形成装置本体に組み込んだ際に張架軸の内面と外面の周速差が大きくなり、中間転写ベルトとして使用した場合には外面の収縮による画像飛び散り等の問題が発生し易い。更に、屈曲耐久性の低下やベルトの剛性が高くなり過ぎて駆動トルクが増大し、本体の大型化やコスト増加を招くといった問題を生じることがある。
【0040】
図5に本発明に係わる成形装置一例を示す。本装置は基本的には、押し出し機、押し出しダイス及び気体吹き込み装置より成る。
【0041】
まず、成形用樹脂、導電剤及び添加剤等を所望の処方に基づき、予め予備混合後、混練分散をせしめた成形用原料を押し出し機100に具備したホッパー102に投入する。押し出し機100は、成形用原料が、後工程でのベルト成形が可能となる溶融粘度となり、また、原料相互が均一分散するように、設定温度及び押し出し機のスクリュー構成は選択される。成形用原料は、押し出し機100中で溶融混練され溶融体となり環状ダイス103に入る。環状ダイス103は、気体導入路104が配設されており、気体導入路104より空気が環状ダイス103の中央に吹き込まれることによりダイス103を通過した溶融体は径方向に拡大膨張し、筒状フィルム110となる。
【0042】
この時吹き込まれる気体は、空気以外に窒素、二酸化炭素又はアルゴン等を選択することができる。膨張した成形体は、外部冷却リング105により冷却されつつ上方向に引き上げられる。通常、インフレーション装置では安定板106でチューブを左右から押し潰して、シート状に折り畳み、ピンチローラー107で内部のエアーが抜けないように挟持して一定速度で引き取る方法がとられる。次いで、引き取られたフィルムをカット装置108で切断し、所望の大きさの筒状フィルムを得る。次に、この筒状フィルムを金属等で作られた円筒状の型に被せて加熱することで、寸法の微調整やフィルムについた折り目を除去することができる。この後、必要に応じて補強部材や回転ガイド部材、位置検知部材の取り付けや精密カットを行って電子写真用ベルトを製造する。
【0043】
また、説明は単層ベルトに関してであったが、2層の場合は図6に示されるように更に押し出し機101を追加配置し、押し出し機100の混練溶融体と同時に2層用の環状ダイス103へ、押し出し機110の混練溶融体を送り込み、2層同時に拡大膨張させ2層ベルトを得ることができる。
【0044】
もちろん3層以上の時は、層数に応じ相応に押し出し機を準備すればよい。このように本発明は単層のみならず、多層構成の電子写真用ベルトを一段工程で、かつ短時間に寸法精度良く、成形することが可能である。この短時間成形が可能ということは、量生産及び低コスト生産が可能であることを十分示唆するものである。
【0045】
本発明においてインフレーション成形を行った場合、環状ダイスと成形された円筒状フィルムの厚さ比、すなわち環状ダイスのギャップ(スリット)の幅に対して成形された円筒状フィルムの厚さの比較が前者に対して後者は1/3以下であることが好ましく、更に好ましくは1/5以下である。
【0046】
同様に環状ダイスと成形された円筒状フィルムの直径の比率を環状ダイス103のダイスリットの外形に対して、筒状フィルム110の外径の比をパーセントで表すと50%〜400%の範囲が好ましい。
【0047】
これらは材料の延伸状態を現すものであり、厚さ比が1/3より大きい場合は延伸が不十分で強度の低下や抵抗及び厚さのムラ等の不具合が生じることがある。一方で外形が400%を超える場合や50%未満の場合では過剰に延伸されており、成形安定性が低下したり本発明に必要な厚さを確保することが難しくなる。
【0048】
次に、この筒状フィルムに表面平滑性や寸法を調整したり、成形の際にフィルムについた折り目を除去する等の目的で型を使用した加工を行ってもよい。
【0049】
具体的には、線膨張係数の異なる材料で作られた直径の異なる一組の円筒型を使用する方法がある。小径の円筒型(内型)の線膨張係数は、大径の円筒型(外型)の線膨張係数より大きくなるように材質選択する。一例として内形は、アルミニウムで製造し、外型はステンレス製にする等である。この内型に筒状フィルムを被せた後、その内型を外型内に挿入して、内型と外型で筒状フィルムを挟み込むようにする。この際、内型は筒状フィルムよりやや大きく設計し、フィルムを延ばしつつ被せる方が好ましい。型の間のギャップは、加熱する温度と内型・外型の線膨張係数の差及び必要とされる圧力で計算して求める。内型、筒状フィルム、外型の順でセットされた型を樹脂の軟化点温度付近まで加熱する。加熱により線膨張係数の大きい内型は外型より膨張し、筒状フィルム全面に均一な圧力がかかる。この時、軟化点付近に達した樹脂フィルムの表円は平滑に加工した外型内面に押し付けられ、樹脂フィルム表面の平滑性が向上する。その後、冷却してフィルムを型から外すことで平滑な表面性を得ることができる。
【0050】
また、上記の内型のみを使用して成形したフィルムを被せて加熱する方法でも折り目の除去や寸法の微調整を行うことができる。
【0051】
この後、必要に応じて補強部材やガイド部材、位置検知部材の取り付けや精密カットを行って電子写真用ベルトを製造する。
【0052】
本発明のベルトに用いられる成形用原料のうちの主たる材料は、熱可塑性樹脂であるポリフッ化ビニリデンである。
【0053】
次に、本発明の電子写真用ベルトの電気抵抗値を調節するために帯電防止樹脂を添加する。帯電防止樹脂としては、ポリエーテルエステルアミドとポリオレフィンポリエーテルの組み合わせが用いられる。これらの材料は高分子量であるため、ブリードを生じにくいという利点も有している。
【0054】
更に、本発明の特性に影響を与えない範囲で低分子量のイオン導電材、例えば、各種金属塩やグリコール類、界面活性剤等の他の導電材を添加してもよい。しかし、主となるポリフッ化ビニリデンに十分に相溶し、ブリードを生じない材料を選ぶことが好ましい。
【0055】
また、非導電性の金属酸化物粒子や各種の顔料等の電子写真用ベルト強度の向上や着色が必要な場合、他の材料を添加してもよい。例えば、補強材として金属酸化物等の粒径1μm以下の微細な粉体を添加すると電子写真用ベルトの引張弾性率や引張強度が高くなり、耐久性や色ズレの低減等の効果がある。この際に粒子の凝集はできるだけ防止する必要があるが、導電性フィラーと異なり、非導電性であるため、数十μm程度の凝集物であれば画像に影響したり、絶縁破壊を起こしたりすることは無い。非導電性の目安としては、粉体抵抗が電子写真用ベルトより高ければ特に問題無く使用できる。これらの粉体としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム及び酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0056】
材料を分散する手段は通常の方法が使用できるが、二軸押し出し機は高いせん断力(シェア)が得られるため、材料の均一分散に好適である。
【0057】
次に、本発明のベルトが用いられる画像形成装置の一例を示す。
【0058】
図1は電子写真プロセスを利用したフルカラー画像形成装置(複写機あるいはレーザービームプリンター)である。
【0059】
第1の画像担持体として繰り返し使用される回転ドラム型の電子写真感光体(以下感光ドラムと記す)1は、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0060】
感光ドラム1は回転過程で、一次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。32は一次帯電器の電源であり、ここでは直流に交流を重畳して印加しているが、直流のみでもよい。次いで不図示の露光手段(フルカラー原稿画像の色分解・結像露光光学系、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系等)による露光光3を受けることにより目的のフルカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0061】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器41)により第1色であるイエロートナーYにより現像される。この時、第2〜第4の現像器(マゼンタ色現像器42、シアン色現像器43、ブラック色現像器44)の各現像器は、作動−オフになっていて感光ドラム1には作用せず、上記第1色のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器による影響を受けない。
【0062】
中間転写ベルト5は、矢印方向に感光ドラム1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0063】
感光ドラム1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像が、感光ドラム1と中間転写ベルト5とのニップ部を通過する過程で、一次転写ローラー6から中間転写ベルト5に印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写ベルト5の外周面に順次一次転写されていく。
【0064】
中間転写ベルト5に対応する第一色のイエロートナー画像の転写を終えた感光ドラム1の表面は、クリーニング装置13により清掃される。
【0065】
以下、同様にして第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像及び第4色のブラックトナー画像が順次中間転写ベルト5上に重ね合わせて転写され、目的のフルカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
【0066】
二次転写ローラー7は、二次転写対向ローラー8に対応し平行に軸受させて中間転写ベルト5の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0067】
感光ドラム1から中間転写ベルト5への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性(+)でバイアス電源30から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜2kVの範囲である。
【0068】
感光ドラム1から中間転写ベルト5への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー7は中間転写ベルト5から離間させることも可能である。
【0069】
中間転写ベルト5上に転写された合成カラートナー画像を転写材Pへの転写は、二次転写ローラー7が中間転写ベルト5に当接されると共に、給紙ローラー11から転写材ガイド10を通って、中間転写ベルト5と二次転写ローラー7との当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスが電源31から二次転写ローラー7に印加される。この二次転写バイアスにより中間転写ベルト5から第2の画像担持体である転写材Pへ合成カラートナー画像が二次転写される。この際に中間転写ベルト上の二次転写前のトナー画像の帯電を補助する装置は、本装置には付加されていない。トナー画像の転写を受けた転写材Pは、定着器15へ導入され加熱定着される。
【0070】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト5には離接自在に配置されたクリーニング用帯電部材9が当接され、感光ドラム1とは逆極性のバイアスを印加することにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト5上に残留している転写残トナーに一次転写時と逆極性の電荷が付与される。33はバイアス電源である。ここでは、直流に交流を重畳して印加している。一次転写時と逆極性に帯電された前記転写残トナーは、感光ドラム1とのニップ部及びその近傍において感光ドラム1に静電的に転写されることにより、中間転写体がクリーニングされる。この工程は、一次転写と同時に行うことができるためスループットの低下を生じない。
【0071】
つづいて、中間転写ベルトと電子写真感光体が一体に支持されたプロセスカートリッジについて図2で説明する。本発明のカートリッジは、少なくとも中間転写ベルト5と電子写真感光体1及び一次転写手段6が一体に支持され装置本体から着脱自在に構成されていればよい。図2では更に中間転写ベルトクリーニング機構13、電子写真感光体のクリーニング機構9も一体ユニットとして付属している。本発明の中間転写ベルトのクリーニングは、前述のように転写残トナーを一次転写と逆の極性に帯電させ、一次転写部で電子写真感光体に戻すために必要な機構であり、本図では中抵抗の弾性体からなるクリーニングローラー9を装備している。電子写真感光体のクリーニングは、ブレードクリーニングである。本カートリッジには廃トナー容器も一体となっており(不図示)、中間転写ベルト−電子写真感光体双方の転写残トナーもカートリッジ交換時に同時に廃棄されるため、メンテナンス性の向上に貢献している。
【0072】
また、中間転写ベルトは、駆動ローラー8とテンションローラー12の2本のローラーで張架され部品点数の削減と小型化を図っている。ここで、駆動ローラー8は同時にクリーニングローラーの対向ローラーとなっている。中間転写ベルトに従動して回転するテンションローラー12は、スライドする機構を有しており、圧縮ばねにより矢印の方向に圧接され、中間転写ベルトに張力を与えている。そのスライド幅は1〜5mm程度で、ばねの圧力合計は5〜100N程度である。また、電子写真感光体1と駆動ローラー8は不図示のカップリングを有し、本体から回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0073】
更に、別の画像形成装置の例を図3と図4に示す。図3と図4は電子写真感光体1を画像形成に必要な現像剤の数と同数具備したもので、フルカラープリントの印字スピードが飛躍的に向上する利点がある。
【0074】
図3は中間転写ベルトを使用したもので、図1と同様に電子写真感光体1に形成された可視画像は中間転写ベルト5に順次転写され、重ね合わされた後、二次転写ローラー7でトナーと逆極性のバイアスを印加され、転写材Pの上に一括転写される。中間転写ベルトに残留した現像剤は、クリーニング装置18で除去される。
【0075】
図4は転写搬送ベルト方式の一例である。転写材Pは吸着ローラー63でバイアスを印加され、転写搬送ベルト16に吸着し搬送される。電子写真感光体上に形成された各色の画像は、転写搬送ベルト上に吸着された転写材Pに転写ローラー17からトナーと逆極性のバイアスを印加されて順次転写され、重ね合わされた後、定着装置15で加熱定着される。
【0076】
次に、本発明における各特性の測定方法を説明する。
【0077】
<ベルト全周電流値測定方法>
図7に示す抵抗測定装置に測定する電子写真用ベルト120を張力19.6N(2kgf)で張架し、駆動ローラー123で矢印の方向に周速120mm/secで回転させながらの導電性ゴムローラー121から電圧を印加して、電流値を122の電流計で測定し、図示していないレコーダーで電子写真用ベルト1周分の電流値を連続的に記録する。その後、最小電流値と最大電流値を比較し、最大電流値/最小電流値で電流値の差異が何倍になるか求める。測定電圧は通常1Vであるが、電子写真用ベルトの抵抗値に合わせて適宜選択できる。
【0078】
<溶融粘度測定方法>
測定装置:島津製作所製 島津フローテスタCFT−500D
サンプルは、シリンダーに入るようにペレットやパウダー等の小径化されたものを使用する。
【0079】
「測定条件」
荷重;5.0kg
オリフィス面積×長さ;1mm×1mm
測定モード;昇温法
予熱時間;120秒
昇温速度;5℃/min
ストローク;20.0mm
測定開始温度〜到達温度;100℃〜300℃
上記条件で測定を開始し、温度−粘度曲線から粘度が10000Pa・sの点の温度を読み取る。
【0080】
<体積抵抗測定方法>
測定装置は抵抗計に超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)、試料箱は超高抵抗測定用試料箱TR42(アドバンテスト社製)を使用するが、主電極は直径3.0mm、ガード・リング電極は内径41mm、外径49mmとする。
【0081】
サンプルは次のように作製する。まず、電子写真用ベルトを直径56mmの円形に打ち抜き機又は鋭利な刃物で切り抜く。切り抜いた円形片の片面は、その全面をPt−Pd蒸着膜により電極を設け、もう一方の面はPt−Pd蒸着膜により直径3.0mmの主電極と内径38mm、外径50mmのガード電極を設ける。Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030(日立製作所製)で蒸着操作を2分間行うことにより得られる。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
【0082】
測定雰囲気は23℃/55%とし、測定サンプルは予め同雰囲気下に12時間以上放置しておく。測定はディスチャージ10秒、チャージ30秒、メジャー30秒とし、印加電圧1〜1000Vで測定を行う。
【0083】
なお、印加電圧は、本発明の画像形成装置で使用される中間転写体及び転写部材に印加される電圧の範囲の一部である1〜1000Vの間で任意に選択する。サンプルの抵抗値、厚み、絶縁破壊強さ等に応じて、上記印加電圧の範囲において、使用される印加電圧は、適時変えることができる。
【0084】
<厚さ測定方法>
本発明のベルトの厚さムラは、最低値1μmのダイアルゲージにおいて、ベルトの端部から20mmの位置を周方向に5mm間隔で全周にわたって測定する。これを両端部で行い、全てを平均して求めた。
【0085】
【実施例】
以下に、具体的な実施例をもって本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の%は質量%を意味する。
【0086】
(実施例1)
PVDF(ポリフッ化ビニリデン) 68.4%
ポリエーテルエステルアミド 5.5%
ポリオレフィンポリエーテル 3.5%
フッ素系界面活性剤 0.6%
金属酸化物粒子(非導電性) 22.0%
【0087】
溶融粘度が10000Pa・sになる温度はPVDFが190℃、ポリエーテルエステルアミドが205℃、ポリオレフィンポリエーテルが150℃であった。
【0088】
上記の配合を二軸の押し出し機で210℃で溶融混練して各材料を均一に分散混合し、直径2mm程度のストランドで押し出してカットし、ペレットとした。これを実施例1のベルト成形用コンパウンドとする。次に、図5の成形装置において、成形用ダイス103は単層環状ダイスとし、環状のスリットの外径が100mmのものを用いた。ダイスリットは0.8mmとした。この成形装置の材料ホッパー102へ十分に加熱乾燥させた前記ベルト成形用コンパウンドを投入し、加熱溶融してダイスから210℃で円筒状に押し出した。ダイスの周囲には外部冷却リング105が設置されており、押し出されたフィルムに周囲から空気を吹き付け、冷却を行う。押し出された筒状フィルムの内部には気体導入路104より空気を吹き込み、直径138mmまで拡大膨張した後、引き取り装置で一定の速度で連続的に引き取った。厚さは80μmに調整した。尚、空気の導入は直径が所望の値になった時点で停止している。更に、ピンチローラーに続くカット装置108で筒状フィルムをカットする。その後、長さ290mmで切断して筒状フィルム1を成形した。
【0089】
この筒状フィルムを線膨張係数の異なる金属からなる一組の円筒型を用いてサイズと表面平滑性の調整と折り目除去を行った。線膨張係数の高い直径140mmの内型に筒状フィルム1をやや延ばしつつ被せて、その内型を内面を平滑に加工した外型に挿入し、190℃まで加熱し、温度上昇後に5分間保持して冷却する。冷却後にシリンダーから外して端部精密をカットし、ベルト端部裏面に蛇行防止部材を取り付けて直径140mmの電子写真用ベルト1を作製した。
【0090】
この電子写真用ベルト1の1kV印加時の体積抵抗率は9.8×10Ω・cmであり、また図7の装置による1kV印加時の電流の最大値と最小値の差は1.18倍であった。
【0091】
<プリント試験>
この電子写真用ベルト1を図1の画像形成装置に設置して23℃/55%の環境で毎分4枚のスピードでA4サイズのフルカラー画像プリント確認を行った。その結果、画像の濃度ムラや部分的な転写抜け等の特に問題となる画像はなく、良好な結果であった。
【0092】
次に、高温高湿(H/H)32℃/80%と低温低湿(L/L)10℃/10%の環境下でベタ画像及びハーフトーン画像の均一性について試験を行った。各環境に電子写真用ベルトを慣らすため、1日以上同環境に放置した後、プリントを行ったところ特に問題の無い良好な画像が得られた。なお、○は良好、△は実用上問題なし、×は不良と評価した。
【0093】
つづいて保管安定性の試験を行った。上記のカートリッジを本体から取り出し、40℃/95%の非常に高温で高湿の環境に7日間放置し、再び23℃/55%の環境に戻して24時間静置した後、図1の画像形成装置に設置し、やはり初期と同様に画像チェックを行った。その結果、ほとんど初期と差にない画像が得られ、良好な結果であった。結果を表2に示す。
【0094】
(実施例2)
配合比を下記に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルト2を作製し、成形試験並びに各種性能確認試験を行った。
【0095】
PVDF 72.0%
ポリエーテルエステルアミド 4.5%
ポリオレフィンポリエーテル 0.5%
フッ素系界面活性剤 1.0%
金属酸化物粒子(非導電性) 22.0%
【0096】
この電子写真用ベルト2の抵抗値は5.1×1010Ω・cmであり、電流値の差は1.28倍であった。低温低湿のプリント試験において実施例1よりやや劣る点が見られたが、実用上問題の無い画像が得られた。保管試験においても良好な結果であった。試験結果は表2に示す。
【0097】
(実施例4)
実施例1において成形時の直径を300mmに変更した以外は同様にして電子写真用ベルト4を作製した。
【0098】
この電子写真用ベルト4の1kV印加時の体積抵抗率は1.2×1010Ω・cmであり、また図7の装置による1kV印加時の電流の最大値と最小値の差は1.21倍であった。
【0099】
この電子写真用ベルトを図3の画像形成装置に中間転写ベルトとして取り付け、23℃/55%の環境で毎分16枚のスピードでA4サイズのフルカラー画像のプリント試験を行った。その結果、画像の濃度ムラや部分的な転写抜け等の特に問題となる画像はなく、良好な結果であった。また、高温高湿と低温低湿のプリント試験においても実施例1と同様に良好な画像が得られた。尚、カートリッジではないため、保管試験は行わなかった。結果を表2に示す。
【0100】
(比較例1)
配合比を下記に変更した以外は実施例1と同様にして、電子写真用ベルト6を作製し、成形試験並びに各種性能確認試験を行った。
【0101】
PVDF 62.8%
ポリエーテルエステルアミド 37.0%
フッ素系界面活性剤 0.2%
【0102】
この電子写真用ベルト6の抵抗値は8.8×1010Ω・cmであり、図7の装置による1V印加時の電流の最大値と最小値の差は3.5倍であった。
【0103】
その後実施例1と同様のプリント試験を行ったが、転写効率が低く濃度の低下が認められ、色ズレも許容範囲を超えていた。また、高温高湿のプリント試験において画像ムラが発生していた。これら問題が多く、保管試験は行わなかった。結果を表2に示す。
【0104】
(比較例2)
配合比を下記に変更した以外は実施例1と同様にして、電子写真用ベルト7を作製し、成形試験並びに各種性能確認試験を行った。
【0105】
PVDF 85.0%
ポリオレフィンポリエーテル 3.8%
フッ素系界面活性剤 1.2%
金属酸化物粒子(非導電性) 10.0%
【0106】
この電子写真用ベルト7の抵抗値は9.5×1010Ω・cmであり、電流値の差は1.15倍であった。低温低湿及び高温高湿の環境のプリント試験において水玉状画像及び画像濃度ムラが顕著であった。結果を表2に示す。
【0107】
表1
【0108】
表2
【0109】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、幅広い環境で水玉状転写抜けや画像濃度のムラ等のない高画質が得られ、高温高湿下での長期間の輸送に際しても良好な画像が得られる電子写真用ベルト、この電子写真用ベルトを備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真用ベルト及びプロセスカートリッジを用いたフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】 本発明の電子写真用ベルト及びそれを用いたプロセスカートリッジの概略構成を示す図である。
【図3】 本発明の電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして用いたフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図4】 本発明の電子写真用ベルトを転写搬送ベルトとして用いたフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図5】 本発明の電子写真用ベルト(単層)の成形装置の概略構成を示す図である。
【図6】 本発明の電子写真用ベルト(2層)の成形装置の概略構成を示す図である。
【図7】 本発明の電子写真用ベルトの全周電流値測定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 一次帯電器
3 露光光
5 中間転写ベルト
6 一次転写ローラー
7 二次転写ローラー
8 二次転写対向ローラー
9 クリーニング用帯電部材
10 転写材ガイド
11 給紙ローラー
12 テンションローラー
13 クリーニング装置
15 定着器
16 転写搬送ベルト
17 転写ローラー
18 クリーニング装置
30、31、33 バイアス電源
32 一次帯電器電源
41 イエロー色現像装置
42 マゼンタ色現像装置
43 シアン色現像装置
44 ブラック色現像装置
51 感光ベルト
52 駆動ローラー
53 従動ローラー
63 吸着ローラー
100、101 1軸押し出し機
102 ホッパー
103 環状ダイス
104 気体導入路
105 外部冷却リング
106 安定板
107 ピンチローラー
108 カット装置
110 筒状フィルム
120 電子写真用ベルト
121 導電性ゴムローラー
122 電流計
123 駆動ローラー
P 転写材

Claims (8)

  1. 電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで可視化して得られたトナー画像を静電的手段で転写材上に転写する画像形成装置の中間転写ベルト又は転写搬送ベルトとして用いられる電子写真用ベルトにおいて、
    該電子写真用ベルトが少なくともポリフッ化ビニリデンとポリエーテルエステルアミドとポリオレフィンポリエーテルとを含有し、
    下記電流値測定方法により測定された最大電流値が最小電流値の1.18倍〜1.28倍の範囲である
    ことを特徴とする電子写真用ベルト:
    <電流値測定方法>
    (i)駆動ローラーを含む2つのローラーで、抵抗を測定する電子写真用ベルトを張力19.6N(2kgf)で張架する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーに電流計を接続する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーと導電性ゴムローラーとで張架された該電子写真用ベルトを挟むようにする、
    (ii)次に、張架された該電子写真用ベルトを該駆動ローラーで周速120mm/secで回転させながら、該導電性ゴムローラーから電圧を印加して、電流値を該電流計で測定し、レコーダーで該電子写真用ベルトの1周分の電流値を連続的に記録する、
    (iii)次に、連続的に記録された電流値のうち、最大電流値が最小電流値の何倍であるかを求める。
  2. 電子写真感光体と、
    該電子写真感光体上に静電潜像を形成するための帯電手段及び露光手段と、
    該静電潜像をトナーで可視化してトナー画像を得るための現像手段と、
    該電子写真感光体との当接部を有する中間転写ベルトと、
    該当接部にて該電子写真感光体から該中間転写ベルトへ該トナー画像を一次転写するための一次転写手段と、
    該中間転写ベルト上の該トナー画像を転写材に二次転写するための二次転写手段と
    を有する画像形成装置の該中間転写ベルトとして用いられる電子写真用ベルトにおいて、
    該電子写真用ベルトが少なくともポリフッ化ビニリデンポリエーテルエステルアミドとポリオレフィンポリエーテルとを含有し、
    下記電流値測定方法により測定された最大電流値が最電流値の1.18倍〜28倍の範囲である
    ことを特徴とする電子写真用ベルト
    <電流値測定方法>
    (i)駆動ローラーを含む2つのローラーで、抵抗を測定する電子写真用ベルトを張力19.6N(2kgf)で張架する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーに電流計を接続する。該2つのローラーのうち駆動ローラーでないローラーと導電性ゴムローラーとで張架された該電子写真用ベルトを挟むようにする、
    (ii)次に、張架された該電子写真用ベルトを該駆動ローラーで周速120mm/secで回転させながら、該導電性ゴムローラーから電圧を印加して、電流値を該電流計で測定し、レコーダーで該電子写真用ベルトの1周分の電流値を連続的に記録する、
    (iii)次に、連続的に記録された電流値のうち、最大電流値が最小電流値の何倍であるかを求める
  3. 前記ポリオレフィンポリエーテルの溶融粘度が10000Pa・sになる温度が前記ポリフッ化ビニリデンの溶融粘度が10000Pa・sになる温度より前記ポリエーテルエステルアミドの溶融粘度が10000Pa・sになる温度が前記ポリフッ化ビニリデンの溶融粘度が10000Pa・sになる温度より請求項1又は2に記載の電子写真用ベルト。
  4. 前記電子写真用ベルトに含有されるポリエーテルエステルアミド リオレフィンポリエーテルとの合計含有量が4〜35質量%であり、かつ、ポリエーテルエステルアミドポリオレフィンポリエーテルが1:9〜9:1の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用ベルト。
  5. 電子写真感光体と、
    該電子写真感光体上に静電潜像を形成するための帯電手段及び露光手段と、
    該静電潜像をトナーで可視化してトナー画像を得るための現像手段と、
    該電子写真感光体との当接部を有する中間転写ベルトと、
    該当接部にて該電子写真感光体から該中間転写ベルトへ該トナー画像を一次転写するための一次転写手段と、
    該中間転写ベルト上の該トナー画像を転写材に二次転写するための二次転写手段と
    を有する画像形成装置において、
    該中間転写ベルトが請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用ベルトである
    ことを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記画像形成装置は、前記二次転写手段による二次転写の後に前記中間転写ベルト上に残留したトナーをクリーニングするためのクリーニング手段を更に有し、
    該クリーニング手段は、前記一次転写手段による一次転写の時と逆極性の電荷を該残留したトナーに印加し、該一次転写と同時に該残留したトナーを前記電子写真感光体に戻す方式のクリーニング手段である請求項に記載の画像形成装置。
  7. 請求項又はに記載の画像形成装置の本体から着脱自在に構成されたプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体と前記中間転写ベルトと一体に支持することを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 前記プロセスカートリッジは、前記二次転写手段による二次転写の後に前記中間転写ベルト上に残留したトナーをクリーニングするためのクリーニング手段を更に有し、
    該クリーニング手段は、前記一次転写手段による一次転写の時と逆極性の電荷を該残留したトナーに印加し、該一次転写と同時に該残留したトナーを前記電子写真感光体に戻す方式のクリーニング手段である請求項に記載のプロセスカートリッジ。
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