JP4137531B2 - コンクリート製品の吊上具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンクリート製品の吊上具に係わり、さらに詳しくは暗渠・大型コンクリート板・大型コンクリートブロック等の重量のあるコンクリート製品を移動、運送のためにクレーン装置で吊り上げる際に使用される吊部材と、コンクリート製品に埋設された定着部材との係合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
暗渠等の重量あるコンクリート製品を移動・運送・設置するため、クレーン装置を用いて吊り上げ、吊り降ろして運送車への積載、荷降ろし、設置をしているが、その吊りワイヤーのフックをコンクリート製品に掛け止めするため、コンクリート製品に定着部材を埋設し、該定着部材に吊部材を挿入係止するようにしている。
【0003】
従来、コンクリート製品の吊上具として、内周面に雌ネジを形成した有底円筒状の定着部材をコンクリート製品に埋設し、この定着部材の雌ネジに吊りボルトを螺合するようにしたものが提案されている。
【0004】
上記従来の吊上具では、コンクリート製品の複数箇所に吊りボルトを螺着する必要があるので、脱着作業が面倒であるという問題があった。又、コンクリート製品を工場や現場に仮置きしている間に、砂や埃が定着部材の内部に侵入し、雌ネジの溝部に堆積すると、コンクリート製品の敷設作業時に吊りボルトを雌ネジに螺合することが不完全となり、吊り上げ動作に支障をきたすことがあった。
【0005】
一方、上記従来のコンクリート製品の吊上具に存する問題点を解消するため、非ねじ込み式の吊り構造として、特開平10−280694号公報に示すコンクリート製品の吊下用キャップが提案されている。このコンクリート製品の吊上具は、図15に示すように、ロープ等を取り付ける吊部材50と、コンクリート製品に埋め込まれる定着部材60との脱着を、ネジを回すことなく簡単に行うことができる吊上具である。
【0006】
上記の吊部材50は、クレーン装置のワイヤーフック掛止用の環体51を有するとともに、軸体52の先端にその軸線方向と直角方向に突設された係止突起53を有している。又、定着部材60の通孔61には、基端から先端に向かって対向するように溝部62が設けられている。通孔61の内端部には係止突起53が嵌合される窪み部63が溝部62から周方向に位相をずらせて形成されている。そして、この吊部材50の係止突起53を溝部62に合わせて挿入した後、90度回転させたところで吊部材50を引き上げて係止突起53を窪み部63に嵌め込み、吊部材50を係合し、コンクリート製品を吊り上げる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のコンクリート製品の吊上具においては、吊部材50の定着部材60への脱着を容易に行うことができる反面、吊部材50の係止突起53を案内する溝部62を定着部材に形成する必要がある。このため、定着部材60の外径が大きくなり、定着部材60の材料費を節減することができないという問題があった。又、定着部材60の外径を小さく設定した場合には吊部材50の軸径を小さくする必要が生じる。この場合には、吊部材50の強度不足を生ずるという問題がある。
【0008】
この発明は、上記従来の技術に存する問題点を解消するためになされたものであって、その目的は定着部材の断面形状を簡素化して小型化を図ることができるとともに、軸本体の中間部から座金とコイルバネが外れるのを防止でき、定着部材への吊部材の脱着を容易に行うことができるコンクリート製品の吊上具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、コンクリート製品の吊り位置に定着部材を埋設し、軸体と環体よりなる吊部材の前記軸体を前記定着部材の挿入孔に挿入して回転させることにより吊部材をコンクリート製品に係合するように構成したコンクリート製品の吊上具において、前記定着部材は挿入孔を有する定着部材本体と、該定着部材本体の内端側に形成した嵌入穴に嵌入された抜出阻止体と、前記定着部材本体の内端開口を閉塞する蓋体とにより構成され、前記吊部材の軸本体の外径を前記定着部材の挿入孔の内径とほぼ同一とし、軸本体の先端部に縮径部を介して前記挿入孔の内径より短くかつ縮径部よりも長い寸法の係止突起を設け、前記抜出阻止体に対し前記定着部材の内端付近に前記係止突起を挿入できる開口を設け、前記抜出阻止体の裏面に対し前記開口から軸体の軸線の周りで所定角度だけ回動された前記係止突起の抜け出しを阻止する抜出阻止部を設け、前記定着部材本体に対し、前記縮径部の形成範囲内において、前記開口と対応して該開口を延長するように扁平筒部を設け、前記軸本体の基端部には円環状の環体が別部材として連結され、軸本体の中間部には段差部が形成され、該段差部と環体との間には小径部が形成され、前記段差部に係止された座金と環体との間には、コイルバネが介在されていることを要旨とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記段差部の上方の小径部の上端部には雄ネジ部が形成され、この雄ネジ部は前記環体に形成した雌ネジ部に螺合され、前記環体と雄ネジ部にはボルトが小径部の軸線と直交する方向に螺合され、雄ネジ部と環体が連結されていることを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記扁平筒部の上部には前記係止突起を前記挿入孔から扁平筒部内に案内するテーパ筒部が設けられていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、前記抜出阻止体の係止溝は、扁平筒部の両側方に形成された前記凹部と対応して設けられ、定着部材本体の嵌入穴の底壁部、係止突起及び係止溝の吊り上げ力伝達面は、外側方ほど下となる傾斜面となっていることを要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を説明するに先立ち、本発明と関係するコンクリート製品Cの吊上具の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、コンクリート製品Cの吊上具は、コンクリート製品Cに埋設固定された定着部材11と、該定着部材11に取り外し可能に装着される吊部材12とから構成されている。
【0015】
前記吊部材12は定着部材11に差し込まれる軸体13と、該軸体13に装着された環体14とにより構成されている。前記軸体13は横円柱状の軸本体13aと、この軸本体13aの先端部に形成した縮径部13bと、この縮径部13bの先端部に一体形成した係止突起13cとを備えている。又、前記係止突起13cの先端面には先細り部13dが形成されている。前記軸本体13aの基端部には係止フランジ13eが一体に形成され、該係止フランジ13eの外側面には軸体13を回動する操作つまみ13fが一体に形成されている。
【0016】
前記環体14は逆U字状をなし、その両端に一体形成された左側リング部14a,右側リング部14bが軸本体13aの外周に軸線方向の移動可能に緩く嵌合されている。前記軸本体13aの外周に形成した環状溝13gには、前記両リング部14a,14bの間に位置するようにストップリング16が嵌合されている。軸本体13aの外周には、ワッシャー17が緩く嵌合され、このワッシャー17と前記ストップリング16との間には、付勢手段としてのコイルバネ15が介在されている。前記環体14には図3に示すようにクレーン等のワイヤーの下端に設けた吊りフック18が係止される。
【0017】
次に、前記定着部材11の構成について説明すると、横円筒状をなす定着部材本体21には、前記軸本体13aを挿入する挿入孔21aが形成され、該定着部材本体21の内端部には挿入孔21aの径よりも大径の嵌入穴21bが形成されている。又、前記定着部材本体21の外周には複数箇所(4箇所)に離脱防止突条21cが一体的に形成され、コンクリート製品Cに埋設した定着部材本体21が所定位置に固定されるようになっている。
【0018】
前記定着部材本体21の嵌入穴21bには抜出阻止体22が嵌入され、定着部材本体21の内端開口部に嵌合した蓋体23により閉塞されている。この抜出阻止体22の中央部には前記軸体13の係止突起13cを挿通するための縦長長方形状をなす開口22aが形成され、抜出阻止体22の裏面側には開口22aを通過した係止突起13cを係合し得る抜出阻止部としての係止溝22bが切り欠き形成されている。前記抜出阻止体22の外面側には前記係止突起13cに形成した先細り部13dと対応するようにガイドピン24が2箇所に形成されている。又、前記抜出阻止体22の裏面側には前記係止溝22bの近傍に位置するように一対の回動方向規制ピン25が植設されている。この回動方向規制ピン25によって係止突起13cが一方向にのみ回動するようにしている。前記蓋体23と抜出阻止体22との間には、係止突起13cの回動許容空間Sが形成されている。
【0019】
前記定着部材本体21と蓋体23は例えば硬質合成樹脂材によりそれぞれ一体的に構成されている。又、抜出阻止体22は金属材料により一体形成されている。前記定着部材本体21の挿入孔21aの内径は、軸本体13aの外径より僅かに大きく、つまりほぼ同一径に形成され、係止突起13cの長さは軸本体13aの外径とほぼ同じ長さに形成されている。
【0020】
次に、前記のように構成したコンクリート製品Cの吊上具について、その動作を説明する。
図1は定着部材11がコンクリート製品Cの所定位置に埋設され、軸体13と環体14とからなる吊部材12がコンクリート製品Cの定着部材11から離脱された状態を示す。この状態において、環体14はコイルバネ15によって軸本体13aの先端側に付勢され、環体14の右側リング部14bの内側壁がストップリング16に押圧された状態となっている。
【0021】
この状態において、軸体13の軸本体13aを定着部材11の挿入孔21a内に挿入すると、図2に示すように係止突起13cが抜出阻止体22の開口22aを通過して回動許容空間Sに進入する。この挿入動作途中において、係止突起13cが抜出阻止体22の開口22aと対応していない場合には、先細り部13dがガイドピン24に接触して係止突起13cが開口22aと対応する位置に案内回動され、係止突起13cが開口22aを円滑に通過する。
【0022】
図2に示すように係止突起13cが回動許容空間Sに移動した状態においては、環体14の左側リング部14aがコンクリート製品Cの表面に押圧されるとともに、コイルバネ15がストップリング16により左方に押動されて蓄勢されている。そして、つまみ13fを回動して軸本体13a及び係止突起13cを一方向、すなわち、回動方向規制ピン25と反対方向にほぼ90度回動すると、図3に鎖線で示すように係止突起13cが係止溝22bと対応する位置に回動される。さらに、つまみ13fの回動を止めて軸体13から手を放すと、コイルバネ15の蓄勢力により図3に実線で示すように係止突起13cの両先端部が係止溝22bに係合される。この状態においても、コイルバネ15によって環体14の左側リング部14aがコンクリート製品Cの表面に押圧され、軸体13はコイルバネ15によって外方向に付勢される。
【0023】
この状態でクレーン等により吊りフック18を吊り上げるとコンクリート製品Cが吊り上げられる。なお、前記軸体13の取り外しは、前述した挿入及び係止作業と逆の手順によって行われる。
【0024】
次に、前記のように構成したコンクリート製品Cの吊上具についてその効果を構成とともに列記する。
(1)前記実施形態では、軸本体13aの先端部に縮径部13bを設け、この縮径部13bの先端部に軸本体13aの外径よりも短い長さの係止突起13cを設け、該係止突起13cを抜出阻止体22の開口22aを通過させて係止溝22bに係合するように構成した。このため、定着部材本体21の挿入孔21aを単に円筒形状に形成するのみでよく、外径を小さくして小型化できるとともに、構造を簡素化して製造を容易に行うことができる。
【0025】
(2)前記実施形態では、前記挿入孔21aを円筒状に形成したので、定着部材本体21をコンクリート製品Cに埋設する際に、円柱状をなす取付金具(図示略)を挿入孔21aに隙間無く挿入することができ、セメントミルクの挿入孔21a内の侵入を防止することができ、挿入孔21aに対する軸本体13aの挿入動作を円滑に行うことができる。
【0026】
(3)前記実施形態では、定着部材本体21の挿入孔21aの内径と、軸本体13aの外径をほぼ同一としたので、コンクリート製品Cを吊り上げる際に軸本体13aの外周面が挿入孔21aの内周面に対し広い面積で接触して吊り上げ力を伝達することができ、定着部材本体21の損傷を抑制することができる。
【0027】
(4)前記実施形態では、定着部材本体21と抜出阻止体22を分割形成したので、強度の最も必要とされる抜出阻止体22のみを金属材料により構成して吊上力を確実に受け止めることができる。
【0028】
(5)前記実施形態では、抜出阻止体22の外面側にガイドピン24を設け、軸体13の係止突起13cに先細り部13dを形成したので、係止突起13cを抜出阻止体22の開口22aに迅速に案内移動して通過させることができる。
【0029】
(6)前記実施形態では、抜出阻止体22の裏面側に回動方向規制ピン25を設けたので、軸体13を一方向に回動するのみで係止突起13cを係止溝22bに迅速に移動して係合することができる。
【0030】
(7)前記実施形態では、環体14をコイルバネ15によってコンクリート製品Cの外表面に押圧する方向に付勢したので、環体14を吊りフック18によって吊り上げる際、その力をコンクリート製品Cの最短位置において伝達することができ、吊り上げ荷重による軸本体13aの曲げモーメントを少なくすることができる。
【0031】
次に、本発明の吊上具の一実施形態を図5〜図8に基づいて説明する。
○ 図5〜図8において、コンクリート製品Cが例えばU字状の側溝コンクリート製品の上部を遮蔽する蓋体コンクリート製品Cである場合に、その蓋体コンクリート製品Cに対し縦方向に貫通するように定着部材11を埋設している。図6に示すように蓋体23は円筒状の本体23aと、その外周に一体形成したフランジ部23bと、本体23aの下端部に一体形成した底板23cとにより構成され、底板23cの外周縁には蓋体23自体に水抜き通路を形成するための円環状の切り離し溝23dが形成されている。
【0032】
前記定着部材本体21の上端開口部には合成樹脂製のキャップ31が嵌合されるようにしている。このキャップ31は前記挿入孔21aに嵌入される円筒状の本体31aと、その上端外周に一体形成され、定着部材本体21の上端縁に係止されるフランジ部31bと、フランジ部31bの内周に碁盤目状に一体形成された水抜き通路31cとにより構成されている。
【0033】
なお、前記定着部材本体21の嵌入穴21bの内部には前記抜出阻止板221及び位置規制部材222の開口22aの両端部に挿通されて、抜出阻止板221及び位置規制部材222の回動を規制する一対の回動規制片21jが一体に形成されている。
【0034】
図5に示すように、軸体13の軸本体13aの中間部には段差部13kが形成され、その上方の小径部13lの上端部には雄ネジ部13mが形成されている。
この雄ネジ部13mは環体14Aに形成した雌ネジ部14dに螺合されている。
前記小径部13lには座金32が緩く嵌合され、該座金32と環体14Aの間にはコイルバネ15が介在されている。前記環体14Aと雄ネジ部13mにはボルト33が小径部13lの軸線と直交する方向に螺合され、雄ネジ部13mと環体14Aが連結されている。この吊上具は、前記定着部材本体21に対し、前記縮径部13bの形成範囲内において前記抜出阻止体22の開口22aと対応して、該開口22aを延長するように扁平筒部21eを設けている。すなわち、通路の断面形状が長方形状の開口22aと同様に前記扁平筒部21eの通路断面形状も長方形状に形成されている。前記扁平筒部21eの上部には前記係止突起13cを前記挿入孔21aから扁平筒部21eに案内するテーパ筒部21fが設けられている。
【0035】
上記のように構成した吊上具の吊部材12は、定着部材11に対し前述した挿入方法とほぼ同様にして挿入される。これを簡単に説明すると、図示しないが、吊部材12の軸体13を定着部材本体21の挿入孔21aに挿入して、係止突起13cをコイルバネ15の付勢力に抗して開口22aから下方に移動する。その後、環体14Aを45度回転して手を離すと、図5に示すように係止突起13cが係止溝22bに係止される。この係止状態は座金32とコイルバネ15により安定して保持される。吊部材12の離脱操作は前述した挿入方法と逆の手順により行われる。
【0036】
蓋体コンクリート製品CがU字溝に設置される直前には、底板23cが切り離し溝23dから分離されて水抜き通路が形成される。製品の設置後には、図7に示すように定着部材本体21の挿入孔21aの上端部にキャップ31が嵌合される。このため、定着部材11全体が上下方向に貫通状態となって、定着部材11が水抜き孔として機能する。従って、図8に鎖線で示すように蓋体コンクリート製品Cの端縁に従来形成されていた水抜き用の凹部を省略することができる。
又、この実施形態では、扁平筒部21eにより形成される左右一対の凹部21g内にコンクリート製品Cの一部が進入するので、係止突起13cから抜出阻止板221及び凹部21gの底壁部21hを介してコンクリート製品Cに吊り上げ力が伝達される。このため定着部材本体21の外周面に離脱防止突条21cを形成しなくても済み、定着部材本体21の外径寸法を短くして小型化することができる。さらに、定着部材本体21の成形型を簡素化してその製造を容易に行うこともできる。さらに、この実施形態では、扁平筒部21eの上部にテーパ筒部21fを設けたので、係止突起13cを挿入孔21aから開口22aに導入する作業を円滑に行うことができる。
【0037】
次に、前記実施形態の別例を図9〜図14に基づいて順次説明する。
○ 図9に示す別例は、係止突起13cを縮径部13bの先端部の片側のみに形成したものである。この別例では、材料費を節減することができる。
【0038】
○ 図10(a)に示す別例は、前記軸体13の係止突起13cの形状を四角形状にしている。又、図10(b)に示すように三角形状に形成してもよい。
○ 図11及び図12に示す別例は縦吊り方式のものである。この吊上具は、前記定着部材本体21に対し、前記縮径部13bの形成範囲内において前記抜出阻止体22の開口22aと対応して、該開口22aを延長するように扁平筒部21eを設けている。すなわち、通路の断面形状が長方形状の開口22aと同様に前記扁平筒部21eの通路断面形状も長方形状に形成されている。前記扁平筒部21eの上部には前記係止突起13cを前記挿入孔21aから扁平筒部21eに案内するテーパ筒部21fが設けられている。
【0039】
前記抜出阻止体22は前記嵌入穴21bの内頂部に嵌入接着され、かつ開口22aを形成した金属製又は硬質合成樹脂製の抜出阻止板221と、該抜出阻止板221の下面に接着され、かつ開口22a及び係止溝22bを備えた位置規制部材222とにより構成されている。前記軸体13の軸本体13aの上端部にはネジ孔13hが形成され、環体14Aに溶接したボルト26が螺合されている。
【0040】
上記の別例では、扁平筒部21eにより形成される左右一対の凹部21g内にコンクリート製品Cの一部が進入するので、係止突起13cから抜出阻止板221及び凹部21gの底壁部21hを介してコンクリート製品Cに吊り上げ力が伝達される。このため定着部材本体21の外周面に離脱防止突条21cを形成しなくても済み、定着部材本体21の外径寸法を短くして小型化することができる。又、定着部材本体21の成形型を簡素化してその製造を容易に行うこともできる。さらに、上記の別例では、扁平筒部21eの上部にテーパ筒部21fを設けたので、係止突起13cを挿入孔21aから開口22aに導入する作業を円滑に行うことができる。
【0041】
○ 図13に示す別例は、軸体13の軸本体13aの下端部と縮径部13bの上端部との境界部に三角板状の補強リブ13iを一体的に形成している。この別例では軸本体13aと縮径部13bの連結強度を向上することができる。
【0042】
○ 図13に示す別例において、係止突起13cの上面13j、抜出阻止板221及び凹部21gの底壁部21hの吊り上げ力を伝達する接触面を、外側方ほど下になる傾斜面に形成してもよい。この場合には矢印で示すように係止突起13cによる吊り上げ力が斜め外側上方に伝達されるので、凹部21gに進入したコンクリート製品Cを広範囲にわたって効率的に押圧し、吊り上げ力の分担能力を向上することができる。
【0043】
○ 図14に示す別例は、定着部材本体21の上端部に段差部21iを形成し、コイルバネ15を収容するようにしている。この別例ではコイルバネ15が外部に配置されているので、吊部材12が定着部材11に適正に係止されているか否かを容易に判断することができる。
【0044】
○ 図示しないが、抜出阻止体22を定着部材本体21にインサート成型して定着部材11を構成してもよい。
○ 図示しないが、抜出阻止体22の係止溝22bに代えて突条を形成し、係止突起13c側に突条を係止する係止凹部を設けてもよい。
【0045】
○ 前記定着部材の材料として、ポリプロピレン樹脂あるいは6.6ナイロンにガラス繊維を30%含有させたものを用いることもできる。抜出阻止体22の材料として例えば6.6ナイロンにガラス繊維を30%含有させた高強度合成樹脂を用い、定着部材本体21の材料としてポリプロピレン樹脂等の硬質合成樹脂を用いることもできる。
【0046】
次に、前記実施形態から把握される請求項以外の技術思想について、以下に説明する。
【0047】
(技術思想1) コンクリート製品(C)の吊り位置に定着部材(11)を上下方向に貫通して埋設し、軸体(13)と環体(14A)よりなる吊部材(12)の前記軸体(13)を前記定着部材(11)の挿入孔(21a)に挿入して回転させることにより吊部材(12)をコンクリート製品に係合するように構成した縦吊り用コンクリート製品において、
前記吊部材(12)の軸本体(13a)の外径を前記定着部材(11)の挿入孔(21a)の内径とほぼ同一とし、軸本体(13a)の先端部に縮径部(13b)を介して前記挿入孔(21a)の内径より短くかつ縮径部(13b)よりも長い寸法の係止突起(13c)を設け、前記定着部材(11)の内端付近に前記係止突起(13c)を挿入できる開口(22a)を有する抜出阻止体(22)を設け、該抜出阻止体(22)の裏面に対し前記開口(22a)から軸体(13)の軸線の周りで所定角度だけ回動された前記係止突起(13c)の抜け出しを阻止する抜出阻止部(22b)を設け、前記定着部材本体(21)の内端側に形成した嵌入穴(21b)は、蓋体(23)により閉塞され、該蓋体(23)には、該蓋体自体に水抜き通路を形成するための環状の切り離し溝(23d)又は破壊可能な薄肉部が形成され、定着部材本体(21)の上端側に形成した挿入孔(21a)には、コンクリート製品の設置後に水抜き通路(31c)を有するキャップ(31)を嵌合するように構成した縦吊り用コンクリート製品。
【0048】
この縦吊り用コンクリート製品は、使用状態において、製品の吊り上げに用いる定着部材(11)を水抜き通路として機能させることができるので、専用の水抜き通路を形成する必要がなく、製造を容易に行うことができる。
【0049】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、定着部材本体の構造を簡素化して、小型化を図ることができるとともに、軸本体の中間部から座金とコイルバネが外れるのを防止でき、定着部材への吊部材の脱着を容易に行うことができる。
【0050】
請求項1記載の発明は、定着部材本体に対し、縮径部の形成範囲内において、開口と対応するように扁平筒部を設けたので、定着部材本体に扁平筒部と対応して凹部が形成され、この凹部にコンクリートが進入するので、定着部材本体の外周に離脱防止突条を形成しなくてもよく、従って、定着部材本体の型成形を容易に行うことができ、材料費を節減することができる。
【0051】
請求項3記載の発明は、扁平筒部の上部には係止突起を挿入孔から扁平筒部に案内するテーパ筒部が設けられているので、係止突起の挿入作業を容易に行うことができる。
請求項4記載の発明は、コンクリート製品Cの吊り上げ力を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化したコンクリート製品の吊上具を示す断面図。
【図2】 定着部材に軸体を挿入した状態を示す断面図。
【図3】 定着部材に軸体の係止突起を係合した状態を示す断面図。
【図4】 定着部材と吊部材の軸体を分解して示す斜視図。
【図5】 この発明を縦吊り構造に具体化した断面図。
【図6】 図5の定着部材の分解斜視図。
【図7】 図5の定着部材の縦断面図。
【図8】 図5の定着部材を用いたコンクリート製品の斜視図。
【図9】 軸体の係止突起の別例を示す斜視図。
【図10】 (a)及び(b)は開口及び係止突起の別例を示す正面図。
【図11】 吊上具を縦吊り構造に具体化した断面図。
【図12】 図11の吊上具の分解斜視図。
【図13】 吊上具を縦吊り構造に具体化した一部破断正面図。
【図14】 吊上具を縦吊り構造に具体化した断面図。
【図15】 従来の吊上具を分離して示す断面図。
【符号の説明】
11…定着部材、12…吊部材、13…軸体、13a…軸本体、13b…縮径部、13c…係止突起、13e…係止フランジ、14A…環体、15…コイルバネ、21…定着部材本体、21a…挿入孔、21b…嵌入穴、21e…扁平筒部、21f…テーパ筒部、21g…凹部、21h…底壁部、22…抜出阻止体、22a…開口、22b…抜出阻止部としての係止溝、23…蓋体、25…回動規制部としての回動方向規制ピン。
Claims (4)
- コンクリート製品(C)の吊り位置に定着部材(11)を埋設し、軸体(13)と環体(14、14A)よりなる吊部材(12)の前記軸体(13)を前記定着部材(11)の挿入孔(21a)に挿入して回転させることにより吊部材(12)をコンクリート製品に係合するように構成したコンクリート製品の吊上具において、
前記定着部材(11)は挿入孔(21a)を有する定着部材本体(21)と、該定着部材本体(21)の内端側に形成した嵌入穴(21b)に嵌入された抜出阻止体(22)と、前記定着部材本体(21)の内端開口を閉塞する蓋体(23)とにより構成され、前記吊部材(12)の軸本体(13a)の外径を前記定着部材(11)の挿入孔(21a)の内径とほぼ同一とし、軸本体(13a)の先端部に縮径部(13b)を介して前記挿入孔(21a)の内径より短くかつ縮径部(13b)よりも長い寸法の係止突起(13c)を設け、前記抜出阻止体(22)に対し前記定着部材(11)の内端付近に前記係止突起(13c)を挿入できる開口(22a)を設け、前記抜出阻止体(22)の裏面に対し前記開口(22a)から軸体(13)の軸線の周りで所定角度だけ回動された前記係止突起(13c)の抜け出しを阻止する抜出阻止部(22b)を設け、前記定着部材本体(21)に対し、前記縮径部(13b)の形成範囲内において、前記開口(22a)と対応して該開口を延長するように扁平筒部(21e)を設け、前記軸本体(13a)の基端部には円環状の環体(14A)が別部材として連結され、軸本体(13a)の中間部には段差部(13k)が形成され、該段差部(13k)と環体(14A)との間には小径部(13l)が形成され、前記段差部(13k)に係止された座金(32)と環体(14A)との間には、コイルバネ(15)が介在されていることを特徴とするコンクリート製品の吊上具。 - 請求項1において、前記段差部(13k)の上方の小径部(13l)の上端部には雄ネジ部(13m)が形成され、この雄ネジ部(13m)は前記環体(14A)に形成した雌ネジ部(14d)に螺合され、前記環体(14A)と雄ネジ部(13m)にはボルト(33)が小径部(13l)の軸線と直交する方向に螺合され、雄ネジ部(13m)と環体(14A)が連結されているコンクリート製品の吊上具。
- 請求項1において、前記扁平筒部(21e)の上部には前記係止突起(13c)を前記挿入孔(21a)から扁平筒部(21e)内に案内するテーパ筒部(21f)が設けられているコンクリート製品の吊上具。
- 請求項1において、前記抜出阻止体(22)の係止溝(22b)は、扁平筒部(21e)の両側方に形成された前記凹部(21g)と対応して設けられ、定着部材本体(21)の嵌入穴(21b)の底壁部(21h)、係止突起(13c)及び係止溝(22b)の吊り上げ力伝達面は、外側方ほど下となる傾斜面となっているコンクリート製品の吊上具。
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