JP4137560B2 - 受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信装置に関し、特に、直交周波数分割多重方式においてマルチパスフェージングにより受信信号レベルが低下することに起因する誤り率特性の劣化を補償するための空間ダイバーシチ受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
受信装置から送信側のアンテナを直接見ることができない条件では、送信信号は複数の伝搬路を経由して受信される。このとき、マルチパス波の各伝搬経路の伝搬遅延時間が大きく異なると、周波数ごとに伝送特性が異なる周波数選択性フェージングが生じ、その結果、広帯域伝送を行うことが困難であった。
【0003】
また、直交周波数分割多重方式により送信信号を送信する場合、伝送帯域を数多くの狭帯域に分割し、それぞれの狭帯域を用いて並列伝送を行うことにより、周波数選択性フェージング環境において広帯域伝送を可能にする。しかしながら、フェージングによる振幅レベル変動の問題は、直交周波数分割多重方式によっても解決することができず、他の手法を併用する必要があった。
【0004】
フェージングレベル変動による伝送特性の劣化を解決する手法として、古くから空間ダイバーシチが用いられてきている。空間ダイバーシチは、複数のアンテナにより受信された信号のうち、最も信号レベルの高い受信信号を選択したり、さらには、信号対雑音電力比が最大となるように合成したりするものである。
【0005】
上記の空間ダイバーシチでは、複数の受信信号のうちいくつかの信号レベルがフェージングにより低下していても、信号レベルの高い信号が少なくとも1つ存在すれば、その信号を選択することにより、全体として品質の高い伝送を行うことが可能となる。しかしながら、この方法を、直交周波数分割多重方式による広帯域伝送に適用する場合、各アンテナで受信した信号が受ける周波数選択性フェージングの状況は異なっているため、直交周波数分割多重方式のサブチャネル毎にダイバーシチによる合成の条件が異なり、従来の空間ダイバーシチをそのまま適用することはできない。
【0006】
例えば、「広帯域信号移動受信用帯域分割型ダイバーシチ合成受信方式の特性−OFDM移動受信における特性改善例−」(浜住啓之、伊藤泰安、宮沢寛、電子情報通信学会論文誌、B-II,Vol.80-B2,No.6,pp.466-474,1997年6月)には、
以下に説明する直交周波数分割多重方式のダイバーシチ受信装置が開示されている。図10は、上記の従来の受信装置の構成を示すブロック図である。
【0007】
図10に示す受信装置は、M本の受信アンテナ201〜20M、M個の低雑音増幅器211〜21M、M個の周波数変換部221〜22M、M個のアナログ・デジタル変換器231〜23M、M個のフーリエ変換器241〜24M、K個のダイバーシチ合成器251〜25K、並列・直列変換器260、デインタリーバ270及び誤り訂正復号器280を備える。
【0008】
M本の受信アンテナ201〜20Mにより受信された信号はそれぞれ対応する低雑音増幅器211〜21Mにより増幅され、対応する周波数変換部221〜22Mにより低域周波数に変換される。周波数変換後の各信号は、対応するアナログ・デジタル変換器231〜23Mにより2進数で表現される数値に変換される。
【0009】
変換された受信信号はそれぞれ対応するフーリエ変換器241〜24Mに入力され、高速フーリエ変換処理が行われる。ここで、受信信号はK個のサブチャネル信号を直交周波数分割多重化した信号となっているが、各フーリエ変換器241〜24Mは、この直交周波数分割多重化信号を元のK個のサブチャネル信号に分離する。各サブチャネル信号はそれぞれ対応するダイバーシチ合成部251〜25Kに入力され、サブチャネル毎にダイバーシチ合成が行われる。ダイバーシチ合成後のサブチャネル信号は、並列・直列変換器260に入力されて直列信号系列に変換され、デインタリーバ270により信号系列の順序が変換された後、誤り訂正復号器280において伝送誤りが訂正される。
【0010】
上記の構成により、サブチャネル毎にダイバーシチ合成条件が異なる周波数選択性フェージング環境にあっても、サブチャネル毎に合成を行うため、効果的にダイバーシチ効果を得ることができる。
【0011】
また、他の従来の受信装置として、“Pre−DFT Combining Space Diversity Assised COFDM”(Minoru Okada, Shozo Komaki, IEEE Transactions on Vehicular Techno1ogy, Vol.50, No.2, pp.487-496, March 2001)には、以下に説明する直交周波数分割多重方式の空間ダイバーシチ受信装置が開示されている。図11は、上記の他の従来の受信装置の構成を示すブロック図である。
【0012】
図11に示す受信装置は、M本の受信アンテナ301〜30M、M個の低雑音増幅器311〜31M、M個の周波数変換部321〜32M、M個のアナログ・デジタル変換器331〜33M、M個の乗算器341〜34M、ダイバーシチ重み生成部350、加算器360、フーリエ変換器370、並列・直列変換器380、デインタリーバ390及び誤り訂正復号器400を備える。
【0013】
M本の受信アンテナ301〜30Mにより受信された信号はそれぞれ対応する低雑音増幅器311〜31Mにより増幅され、対応する周波数変換部321〜32Mにより低域周波数に変換される。周波数変換後の各信号は、対応するアナログ・デジタル変換器331〜33Mにより2進数で表現される数値に変換される。
【0014】
アナログ・デジタル変換器331〜33Mにより変換された信号は、ダイバーシチ重み生成部350により生成されたダイバーシチ重み係数w0,w1,…,w(M-1)とともに乗算器341〜34Mに入力され、乗算演算が行われる。全ての乗算器341〜34Mの出力信号は加算器360により加算される。
【0015】
加算器360の出力信号はフーリエ変換器370に入力され、高速フーリエ変換処理が行われ、直交周波数分割多重化されている信号が各サブチャネル信号に分離される。フーリエ変換器370の出力信号は、並列・直列変換器380により直列信号系列に変換され、デインタリーバ390により信号系列の順序が変換され、誤り訂正復号器400により伝送誤りが訂正される。
【0016】
ここで、誤り訂正復号器400により複数のサブチャネルに渡って誤り訂正復号が行われているが、ダイバーシチ重み生成部350では、これらの複数のサブチャネルの平均信号対雑音電力比が最大になるように、ダイバーシチ重み係数w0,w1,…,w(M-1)が決定される。具体的には、各受信アンテナ301〜30Mからの受信信号の共分散行列を推定し、推定した共分散行列の固有ベクトルのうち、対応する固有ベクトルが最大となる固有ベクトルを選択し、ダイバーシチ重み係数w0,w1,…,w(M-1)として用いる。この処理により、複数のサブチャネルの平均信号対雑音電力比を最大にすることが可能となる。
【0017】
上記の構成により、誤り訂正符号系列を複数のサブチャネルに渡って配置しているので、フーリエ変換器の個数を一つに削減することが可能となり、ハードウエア規模を削減することができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の従来の受信装置では、ダイバーシチブランチ毎に低雑音増幅器211〜21M、周波数変換部221〜22M、アナログ・デジタル変換器231〜23M及びフーリエ変換器241〜24Mが必要となるため、受信装置のハードエア規模が大きくなる。また、後者の従来の受信装置では、フーリエ変換器の数を削減することはできるが、ダイバーシチブランチ毎に低雑音増幅器311〜31M、周波数変換部321〜32M及びアナログ・デジタル変換器331〜33Mが必要となり、これらのブロックは、アナログ信号を扱うブロックであるため、今後の半導体技術及び実装技術が進歩したとしても、大幅にハードウエア規模を削減することは困難である。
【0019】
本発明の目的は、低雑音増幅器、周波数変換部、アナログ・デジタル変換器及びフーリエ変換器の個数を必要最低限に抑制してハードウエア規模をより削減することができる受信装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る受信装置は、直交周波数分割多重方式により送信される送信信号を受信する第1のアンテナ手段と、前記送信信号を受信し且つ前記第1のアンテナ手段と電磁的に結合する第2のアンテナ手段と、前記第2のアンテナ手段を終端する可変リアクタンス手段と、前記第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号を基に前記可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御する制御手段と、を備え、前記第1のアンテナ手段は、主に前記送信信号を受信する第1のアンテナ素子部と、第1の電磁結合部とを含み、前記第2のアンテナ手段は、主に前記送信信号を受信する第2のアンテナ素子部と、主に前記第1の電磁結合部と電磁的に結合する第2の電磁結合部とを含み、前記第1及び第2のアンテナ素子部間の距離は、前記第1及び第2の電磁結合部間の距離より実質的に長いことを特徴とするものである。
【0021】
本発明に係る受信装置においては、直交周波数分割多重方式により送信される送信信号を受信する第1のアンテナ手段と第2のアンテナ手段とが電磁的に結合され、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号を基に第2のアンテナ手段を終端する可変リアクタンス手段のリアクタンスが制御されるので、第2のアンテナ手段に対して低雑音増幅器、周波数変換部、アナログ・デジタル変換器及びフーリエ変換器を設けることなく、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号の信号対雑音電力比を大きくすることができ、空間ダイバーシチ効果を充分に得ることができる。したがって、第1のアンテナ手段に対してのみ低雑音増幅器、周波数変換部、アナログ・デジタル変換器及びフーリエ変換器を設けるだけで、信号対雑音電力比の大きな受信信号を得ることができ、低雑音増幅器、周波数変換部、アナログ・デジタル変換器及びフーリエ変換器の個数を必要最低限に抑制してハードウエア規模をより削減することができる。また、第1及び第2のアンテナ素子部間の距離を第1及び第2の電磁結合部間の距離より長くしているので、電磁結合量を大きく保ったまま、フェージング相関を小さくすることができ、より大きなダイバーシチ効果を得ることができる。
【0022】
制御手段は、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号の電力レベルに応じて可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御することが好ましい。
【0023】
この場合、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号の電力レベルに応じて可変リアクタンス手段のリアクタンスが制御されるので、可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御して第1のアンテナ素子を介して受信された受信信号の電力レベルを大きくすることができる。
【0024】
制御手段は、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号の信頼性情報に応じて可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御することが好ましい。
【0025】
この場合、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号の信頼性情報に応じて可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御しているので、可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御して伝搬路の早い時間変動に対する耐性を高めることができる。
【0026】
前記第1のアンテナ素子部と第2のアンテナ素子部とは、波長程度離間されて配置され、前記第1の電磁結合部と第2の電磁結合部とは、波長に比較して狭い間隔で並べられた2本の導体からなることが好ましい。
【0027】
このように構成することにより、第1、第2の電磁結合部を近接させた状態でアンテナ素子部を大きく離すことができるので、電磁結合量を大きく保ったまま、フェージング相関を小さくすることができ、より大きなダイバーシチ効果を得ることが可能となる。
【0028】
第2のアンテナ手段は、送信信号を受信し且つ第1のアンテナ手段と電磁的に結合する複数のアンテナ手段を含み、可変リアクタンス手段は、複数のアンテナ手段ごとに設けられ、各アンテナ手段を終端する複数の可変リアクタンス手段を含み、制御手段は、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号を基に各可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御することが好ましい。
【0029】
この場合、複数のアンテナ手段を第1のアンテナ手段と電磁的に結合し、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号を基に各アンテナ手段を終端する複数の可変リアクタンス手段のリアクタンスが制御されるので、複数のアンテナ手段を用いることができ、空間ダイバーシチ効果をより大きくすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施の形態による受信装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【0031】
図1に示す受信装置は、直交周波数分割多重方式のダイバーシチ受信装置であり、主アンテナ素子1、低雑音増幅器2、周波数変換部3、アナログ・デジタル変換器4、フーリエ変換器5、伝送路推定部6、等化器7、判定部8、デインタリーバ9、誤り訂正復号器10、電力測定部11、制御部12、デジタル・アナログ変換器13、チョークコイル14、可変リアクタンス素子15及び副アンテナ素子16を備える。
【0032】
主アンテナ素子1および副アンテナ素子16は、波長の数分の一程度の狭い間隔で配置されており、電磁的に結合している。副アンテナ素子16は、電圧制御リアクタンスである可変リアクタンス素子15により終端されている。主アンテナ素子1は、受信した受信信号S1を低雑音増幅器2へ出力し、低雑音増幅器2は、受信信号S1を増幅して周波数変換部3へ出力する。周波数変換部3は、増幅された受信信号を低域周波数の受信信号に変換してアナログ・デジタル変換器4へ出力する。アナログ・デジタル変換器4は、低域周波数の受信信号をデジタル信号の受信信号系列S2に変換してフーリエ変換器5及び電力測定部11へ出力する。
【0033】
フーリエ変換器5は、受信信号系列S2を高速フーリエ変換して伝送路推定部6及び等化器7へ出力する。等化器7は、伝送路推定部6の推定結果に応じて所定の等化処理を行って判定部8へ出力する。判定部8は、等化器7の出力に対して所定の判定処理を行い、デインタリーバ9は、信号系列の順序を変換し、誤り訂正復号器10は、伝送誤りを訂正する。
【0034】
電力測定部11は、平均受信電力の推定値S3を求めて制御部12へ出力する。制御部12は、平均受信電力の推定値S3を用いて可変リアクタンス素子15のリアクタンスを制御するための制御電圧S4を決定する。デジタル・アナログ変換器13は、制御電圧S4をアナログ電圧に変換した可変リアクタンス制御信号S5を、チョークコイル14を介して、副アンテナ素子16を終端する可変リアクタンス素子15に印加する。
【0035】
次に、図1に示す受信装置の動作について詳細に説明する。まず、主アンテナ素子1により受信された受信信号S1は、低雑音増幅器2により増幅された後、周波数変換部3により低域周波数の受信信号に変換され、さらに、アナログ・デジタル変換器4によりデジタル信号に変換されて2進数値で表現される受信信号系列S2に変換される。この受信信号系列S2の時刻(k+iN)Ts(ここで、k=0,1,2,…,N−1;i=0,1,2,…)における値をr(k+iN)と表すことにする。ここで、Tsはアナログ・デジタル変換器4のサンプリング周期であり、Nは直交周波数分割多重信号の1シンボル辺りのサンプル数である。
【0036】
次に、受信信号系列S2は、電力測定部11に入力され、電力測定部11は、i番目のシンボル区間の平均受信電力P(i)(平均受信電力の推定値S3)を下記の式(1)により求める。
【0037】
【数1】
Figure 0004137560
【0038】
上記の式(1)により求められたシンボル区間の平均受信電力は、制御部12へ出力される。制御部12は、平均受信電力を用いて可変リアクタンス素子15のリアクタンスを制御するための制御電圧V(i)(制御電圧S4)を決定する。
【0039】
制御部12によって決定された制御電圧S4は、デジタル・アナログ変換器13によりアナログ電圧に変換され、変換されたアナログ電圧が可変リアクタンス値制御信号S5として副アンテナ素子16に入力される。このアナログ電圧は、チョークコイル14を経由して可変容量ダイオードで構成される可変リアクタンス素子15の両端に加えられる。
【0040】
ここで、主アンテナ素子1および副アンテナ素子16の位置における受信波の電界をそれぞれe1及びe2と定義し、主アンテナ素子1の端子及び副アンテナ素子16の端子の電圧をv1及びv2と定義する。このとき、受信波の電界と端子電圧との間には、次の関係が成立する。
【0041】
【数2】
Figure 0004137560
【0042】
ここで、Z11,Z22はそれぞれ主アンテナ素子1および副アンテナ素子16の自己インピーダンスであり、Z12,Z21は主アンテナ素子1及び副アンテナ素子16間の相互インピーダンスであり、ZLは受信機入カインピーダンスであり、Xは副アンテナ素子16を終端している可変リアクタンス素子15のリアクタンスであり、Leは主アンテナ素子1及び副アンテナ素子16間の実効長である。
【0043】
式(2)から、主アンテナ素子1の端子電圧v1は、主アンテナ素子1および副アンテナ素子16の各位置における電界e1及びe2の線形結合により表されており、リアクタンスXの値が変化することにより、合成される電界の振幅および位相が変化することが分かる。したがって、リアクタンスXの値を適当に設定することにより、受信信号の信号対雑音電力比を大きくすることができ、その結果、空間ダイバーシチ効果を充分に得ることが可能となる。
【0044】
次に、制御部12の動作について説明する。図2は、図1に示す制御部12の動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、取り得る制御電圧の最大値をVmax、最小値をVminとする。また、i=2m番目のシンボルにおける制御電圧の探索幅の上界をVP(m)、下界をVM(m)とする。
【0045】
まず、初期条件として、m=0とし、VP(0)=Vmax、VM(0)=Vminとする(ステップS1)。次に、i=2m番目のシンボルに対応する制御部12の制御電圧としてV(2m)=VP(m)に設定し、対応するi=2m番目のシンボルの平均受信電力P(2m)を測定する(ステップS2)。次に、i=2m+1番目のシンボルに対応する制御部12の制御電圧としてV(2m+1)=VM(m)に設定し、対応するi=2m+1番目のシンボルの平均受信電力P(2m+1)を測定する(ステップS3)。
【0046】
次に、i=2m番目のシンボルの平均受信電力P(2m)とi=2m+1番目のシンボルの平均受信電力P(2m+1)とを比較し、P(2m)>P(2m+1)の場合に(ステップS4でYES)、VP(m+1)=VP(m)、VM(m+1)=(VP(m)+VM(m))/2に設定し、制御電圧の探索幅の上界及び下界を更新する(ステップS5)。一方、P(2m)≦P(2m+1)の場合に(ステップS4でNO)、VP(m+1)=(VP(m)+VM(m))/2、VM(m+1)=VM(m)に設定し、制御電圧の探索幅の上界及び下界を更新する(ステップS6)。
【0047】
次に、mをインクリメントし(ステップS7)、|VP(m)−VM(m)|とε(非負の所定の小さい数)とを比較し、|VP(m)−VM(m)|≧εの場合に(ステップS8でNO)、ステップS2以降の処理を繰り返し、|VP(m)−VM(m)|<εの場合に(ステップS8でYES)、処理を終了する。このようにして、ステップS2以降の処理を繰り返すことにより、VP(m)、VM(m)は所定の値に収束する。この結果、制御部12の制御電圧として、平均受信電力がより大きくなる電圧が出力され、可変リアクタンス素子15のリアクタンス値を平均受信電力が大きくなるように制御することができる。
【0048】
また、上記のようにして決定された制御電圧の最適値は、伝搬路の時刻変動等に応じて変化する。このため、制御部12は、この変動に対応して制御電圧を更新する。図3は、図1に示す制御部12の伝搬路の時刻変動等に対する動作を説明するためのフローチャートである。なお、図3の処理では、i−1番目のシンボルの平均受信電力の測定が終わっているものとして説明する。
【0049】
まず、電圧更新時の変化の方向を表す符号sig=1に設定する(ステップS11)。次に、i番目のシンボルに対応する制御部12の制御電圧をV(i)=V(i−1)+sig・Δに変化させる(ステップS12)。ここで、Δは電圧変化の幅を示す。次に、i番目のシンボルの平均受信電力P(i)を測定する(ステップS13)。
【0050】
次に、i番目のシンボルの平均受信電力P(i)とi−1番目のシンボルの平均受信電力P(i−1)と比較し、i番目のシンボルの平均受信電力P(i)がi−1番目のシンボルの平均受信電力P(i−1)より大きい場合(ステップS14でYES)、すなわち、平均受信電力が増加している場合は、iをインクリメントした(ステップS15)後に、ステップS12以降の処理を繰り返す。一方、i番目のシンボルの平均受信電力P(i)がi−1番目のシンボルの平均受信電力P(i−1)以下の場合(ステップS14でNO)、すなわち、平均受信電力が減少している場合は、sig=−sigとして符号を反転し(ステップS16)、iをインクリメントした(ステップS15)後に、ステップS12以降の処理を繰り返す。上記の処理により、制御部12は、伝搬路の時刻変動等に応じて最適な制御電圧を出力することができ、平均受信電力がより大きくなるように制御電圧を安定して制御することが可能となる。
【0051】
上記のように、本実施の形態では、低雑音増幅器2、周波数変換部3、アナログ・デジタル変換器4及びフーリエ変換器5を主アンテナ素子1に対してのみ設けることができ、低雑音増幅器2、周波数変換部3、アナログ・デジタル変換器4及びフーリエ変換器5の個数を必要最低限に抑制して受信装置のハードウエア規模を削減することができる。
【0052】
次に、制御部12の他の動作について説明する。図4は、図1に示す制御部12の他の動作を説明するためのフローチャートである。
【0053】
まず、i番目のシンボルの平均受信電力P(i)を測定し(ステップS21)、i番目のシンボルの平均受信電力P(i)と所定の閾値Pthとを比較し、平均受信電力P(i)が閾値Pthよりも小さくなった場合(ステップS22でYES)、乱数によりランダムな値を発生させて、その値を制御電圧V(i)に代入してi+1番目のシンボルに対応する制御部12の制御電圧に変更し(ステップS23)、平均受信電力P(i)が閾値Pth以上の場合、制御電圧は変更しない。その後、iをインクリメントして(ステップS24)、ステップS21以降の処理を継続する。このようにして、図2及び図3に示す処理に代えて、より簡易な処理を適用することも可能である。
【0054】
次に、他のアンテナを用いた本発明の第2の実施の形態について説明する。一般的にダイバーシチを行うアンテナ素子の間隔を大きくすることによりフェージング相関が小さくなるため、ダイバーシチ効果が大きくなるといわれている。しかしながら、図1に示すアンテナ素子の例では、アンテナ素子間距離を離すことにより、主アンテナ素子1および副アンテナ素子16間の電磁結合量が小さくなるため、副アンテナ素子16で受信された信号が、主アンテナ素子1に出力されなくなり、ダイバーシチ合成が行えなくなる場合がある。このため、第2の実施の形態では、図1に示す主アンテナ素子1および副アンテナ素子16のようにアンテナ素子そのものを電磁結合させるのではなく、以下に説明するのように電磁結合部とアンテナ素子部とを分離するものである。
【0055】
図5は、本発明の第2の実施の形態による受信装置のアンテナ部の構成例を示す模式図である。なお、第2の実施の形態による受信装置では、図1に示す受信装置と同様に、図5に示す主アンテナ素子1aは低雑音増幅器2に接続され、副アンテナ素子16aは可変リアクタンス素子15により終端されるとともに、チョークコイル14を介してデジタル・アナログ変換器13に接続され、図示を省略した低雑音増幅器2等は図1に示す受信装置とほぼ同様に動作する。
【0056】
図5に示す主アンテナ素子1a及び副アンテナ素子16aは、波長程度離間されて配置された2本のアンテナ素子部1b,16b(図5中の傾斜部分)と、波長に比較して非常に狭い間隔で並べられた2本の導体からなる電磁結合部1c,16c(図5中の上下方向の直線部分)とから構成されている。このように構成することにより、電磁結合部1c,16cを近接させた状態でアンテナ素子部1b,16bを大きく離すことができるので、電磁結合量を大きく保ったまま、フェージング相関を小さくすることができ、より大きなダイバーシチ効果を得ることが可能となる。
【0057】
次に、本発明の第3の実施の形態による受信装置について説明する。図6は、本発明の第3の実施の形態による受信装置のアンテナ部の構成例を示す模式図である。なお、第3の実施の形態による受信装置では、図1に示す受信装置と同様に、図6に示す主アンテナ素子1は低雑音増幅器2に接続され、制御部12aは電力測定部11に接続され、図示を省略した低雑音増幅器2等は図1に示す受信装置とほぼ同様に動作する。
【0058】
図6に示すように、N本の副アンテナ素子161〜16Nが主アンテナ素子1の近傍に配置されて電磁的に結合され、各副アンテナ素子161〜16Nは、可変リアクタンス素子151〜15Nにより終端されるとともに、チョークコイル141〜14Nを介してデジタル・アナログ変換器13aに接続され、デジタル・アナログ変換器13aは制御部12aに接続される。制御部12aは、電力測定部11から出力される平均受信電力の推定値S3を用いて各可変リアクタンス素子151〜15Nのリアクタンスを制御するための制御電圧を決定し、決定された各制御電圧は、デジタル・アナログ変換器13aによりアナログ電圧に変換され、変換されたアナログ電圧が可変リアクタンス値制御信号としてチョークコイル141〜14Nを介して、副アンテナ素子161〜16Nを終端する可変リアクタンス素子15に印加される。
【0059】
ここで、制御部12aは、N個の可変リアクタンス素子151〜15Nをそれぞれ別々に制御するために、N個の制御電圧を出力する必要があり、この場合の制御部12aの動作について説明する。図7、図6示す制御部12aの動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下の説明では、i番目のシンボル期間におけるk(k=1〜N)番目の副アンテナ素子16kに対応する制御部12aの実際の制御電圧をVk(i)とし、i番目のシンボル期間におけるk番目の副アンテナ素子16kに対応する制御部12aの仮の制御電圧をV’k(i)とし、k番目の副アンテナ素子16kに用いられる乱数の値をΔkとする。
【0060】
まず、N個の制御電圧の初期値V’1(i−1),V’2(i−1),…,V’N(i−1)が設定される(ステップS31)。次に、N個の乱数Δ1,Δ2,…,ΔNが生成され(ステップS32)、生成された各乱数ΔkがV’k(i−1)に加算されてVk(i)が各制御電圧として出力され(ステップS33)、Vk(i)に対応した平均受信電力P(i)が測定される(ステップS34)。
【0061】
次に、測定された平均受信電力P(i)と1シンボル前の平均受信電力P(i−1)とを比較し、P(i)>P(i−1)の場合すなわち平均受信電力が増加している場合に(ステップS35でYES)、Vk(i)を仮の制御電圧V’k(i)として保存し(ステップS36)、P(i)≦P(i−1)の場合すなわち平均受信電力が減少している場合に(ステップS35でNO)、V’k(i)=V'k(i−1)として制御電圧を変化させない(ステップS37)。
【0062】
次に、iをインクリメントした(ステップS38)後に、ステップS32以降の処理を繰り返す。上記の処理により、制御部12aは、平均受信電力を最大にする制御電圧を個別に出力することができ、平均受信電力を最大にすることができるとともに、副アンテナ素子を複数にすることによりダイバーシチ効果をより大きくすることができる。
【0063】
次に、本発明の第4の実施の形態による受信装置について説明する。図8は、本発明の第4の実施の形態による受信装置の構成を示すブロック図である。図8に示す受信装置と図1に示す受信装置とで異なる点は、電力測定部11aがフーリエ変換出力を利用して平均受信電力を測定する点であり、その他の点は図1に示す受信装置と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
電力測定部11aは、フーリエ変換器5の出力を受け、この出力を上記の式(1)に適用して第1の実施の形態と同様に平均受信電力を測定し、その他の部分は図1に示す対応部分と同様に動作する。
【0065】
上記のように、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、低雑音増幅器2、周波数変換部3、アナログ・デジタル変換器4及びフーリエ変換器5の個数を必要最低限に抑制して受信装置のハードウエア規模を削減することができる。
【0066】
次に、本発明の第5の実施の形態による受信装置について説明する。図9は、本発明の第5の実施の形態による受信装置の構成を示すブロック図である。図9に示す受信装置と図1に示す受信装置とで異なる点は、電力測定部11及び制御部12に代えて信頼性情報生成部17及び制御部12cを用いる点であり、その他の点は図1に示す受信装置と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
信頼性情報生成部17は、伝搬路推定部6により求められるi番目のシンボルの伝送路応答のk番目のサブチャネル成分hk(i)から下式を用いて信頼性情報c(i)を求める。
【0068】
【数3】
Figure 0004137560
【0069】
上式により求められるc(i)は、サブチャネル当りの平均受信電力をフェージングによる時間変動で割った値で表される信頼性情報である。制御部12bは、信頼性情報c(i)に応じて第1の実施の同様に動作し、その他の部分も図1に示す対応部分と同様に動作する。フェージングによる時間変動が大きいと、平均受信電力が大きくても、信頼性は低くなるので、この信頼性情報c(i)の値が大きくなるように副アンテナ素子16を終端する可変リアクタンス素子15のリアクタンスを制御することにより、伝搬路の早い時間変動に対する耐性を高めることが可能となる。
【0070】
なお、上記の説明では、信頼性情報に応じて可変リアクタンス素子のリアクタンスを制御する場合について説明したが、第1の実施の形態等を組み合わせて平均受信電力及び信頼性情報に応じて可変リアクタンス素子のリアクタンスを制御するようにしてもよい。
【0071】
また、本発明は、直交周波数分割多重方式(OFDM方式)であれば、種々の方式に適用することができ、例えば、COFDM(Coded Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式、BST−OFDM(BandSegmented Transmission-Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式等に同様に適用することができる。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、直交周波数分割多重方式により送信される送信信号を受信する第1のアンテナ手段と第2のアンテナ手段とが電磁的に結合され、第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号を基に第2のアンテナ手段のリアクタンスが制御されるので、第1のアンテナ手段に対してのみ低雑音増幅器、周波数変換部、アナログ・デジタル変換器及びフーリエ変換器を設けるだけで、信号対雑音電力比の大きな受信信号を得ることができ、低雑音増幅器、周波数変換部、アナログ・デジタル変換器及びフーリエ変換器の個数を必要最低限に抑制してハードウエア規模をより削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示す制御部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図3】 図1に示す制御部の伝搬路の時刻変動等に対する動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】 図1に示す制御部の他の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】 本発明の第2の実施の形態による受信装置のアンテナ部の構成例を示す模式図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態による受信装置のアンテナ部の構成例を示す模式図である。
【図7】 図6に示す制御部の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図8】 本発明の第4の実施の形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 本発明の第5の実施の形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 従来の受信装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 他の従来の受信装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,1a 主アンテナ素子
1b アンテナ素子部
1c 電磁結合部
2 低雑音増幅器
3 周波数変換部
4 アナログ・デジタル変換器
5 フーリエ変換器
6 伝送路推定部
7 等化器
8 判定部
9 デインタリーバ
10 誤り訂正復号器
11,11a 電力測定部
12,12a,12b 制御部
13,13a デジタル・アナログ変換器
14,141〜14N チョークコイル
15,151〜15N 可変リアクタンス素子
16,16a,161〜16N 副アンテナ素子
16b アンテナ素子部
16c 電磁結合部
17 信頼性情報生成部

Claims (5)

  1. 直交周波数分割多重方式により送信される送信信号を受信する第1のアンテナ手段と、
    前記送信信号を受信し且つ前記第1のアンテナ手段と電磁的に結合する第2のアンテナ手段と、
    前記第2のアンテナ手段を終端する可変リアクタンス手段と、
    前記第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号を基に前記可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御する制御手段と、を備え、
    前記第1のアンテナ手段は、主に前記送信信号を受信する第1のアンテナ素子部と、第1の電磁結合部とを含み、
    前記第2のアンテナ手段は、主に前記送信信号を受信する第2のアンテナ素子部と、主に前記第1の電磁結合部と電磁的に結合する第2の電磁結合部とを含み、
    前記第1及び第2のアンテナ素子部間の距離は、前記第1及び第2の電磁結合部間の距離より実質的に長いことを特徴とする受信装置。
  2. 前記制御手段は、前記第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号の電力レベルに応じて前記可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御することを特徴とする請求項1記載の受信装置。
  3. 前記制御手段は、前記第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号の信頼性情報に応じて前記可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御することを特徴とする請求項1記載の受信装置。
  4. 前記第1のアンテナ素子部と第2のアンテナ素子部とは、波長程度離間されて配置され、
    前記第1の電磁結合部と第2の電磁結合部とは、波長に比較して狭い間隔で並べられた2本の導体からなることを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
  5. 前記第2のアンテナ手段は、前記送信信号を受信し且つ前記第1のアンテナ手段と電磁的に結合する複数のアンテナ手段を含み、
    前記可変リアクタンス手段は、前記複数のアンテナ手段ごとに設けられ、各アンテナ手段を終端する複数の可変リアクタンス手段を含み、
    前記制御手段は、前記第1のアンテナ手段を介して受信された受信信号を基に各可変リアクタンス手段のリアクタンスを制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに受信装置。
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