JP4137592B2 - 共焦点顕微鏡システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共焦点顕微鏡システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の光エレクトロニクスの著しい進歩に伴い、多数の光源や受光素子を集積化した光デバイスが開発されてきた。例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)アレイや受光素子アレイは代表的な超並列光半導体デバイスである。
【0003】
このような超並列の光源や受光素子を用いれば、同時に多数の点を計測可能なレーザ共焦点顕微鏡や多数の点を同時に操作する超並列レーザマニピュレーション等が可能になり、単一の計測点を走査する方式に比べて、増加した測定点数分だけ、データの収集速度が向上する。
【0004】
そこで、このような多数の計測点を実現する手段として、多数の微小な穴が開いた円盤(ニボウディスクと呼ばれる)を高速に回転する方式が既に開発されているが、複雑な光学系が必要であり、光の利用効率が悪く、また、測定点毎の光量の制御も出来なかった。
【0005】
一方、こうした用途における代表的な光学系システム構成例として、例えば、図7に示すような、対物レンズと結像光学系を組み合わせた共焦点光学系がある。
【0006】
図7では、光路を明示的に示すために、発光面101から受光面107に至る光路を図面中左から右に進むように描いている。発光面101からの光は、コリメートレンズ102を通過した後、対物レンズ103によって試料面104に到達し、試料面104からの透過光は、対物レンズ105、結像レンズ106を通過し、受光面107に到達する。
【0007】
このように構成することにより、発光面101からの光線が結像する試料面104の情報、すなわち、観測対象の断層像を取得することができる。このとき、発光面101上及び受光面107上に、それぞれ、多数の光源及び受光素子を設置することにより、同時多点計測が可能となる。
【0008】
【非特許文献1】
成瀬誠、石川正俊;スマートピクセルを用いた高速・並列共焦点顕微鏡システム,第47回応用物理学関係連合講演会(東京,2000,3,29),1009
【0009】
【非特許文献2】
M.Naruse and M.Ishikawa;Parallel Confocal Laser Microscope System using Smart Pixel Arrays,The International Symposium on Optical Science and Technology,conference 4092:Novel Optical Systems Design and Optimization III (San Diego,August 1st,2000)/Proceedings of SPIE,Vol.4092,pp.94−101.
【0010】
【非特許文献3】
M.Fujita,M.Naruse,and M.Ishikawa;Parallel confocal microscope using vertical−cavity surface−emitting laser array,Microscopy and Microanalysis 2001(Long Beach,California,2001.8.7)pp.1004−1005,2001
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した同時多点計測のニーズに応えるため、近年の集積回路技術の進歩に伴い、より大規模な並列発光素子アレイが開発されてきた。すなわち、よりアレイサイズの大きな発光素子アレイや受光素子アレイが実現可能となっている。しかしながら、上記した従来の顕微鏡光学系では、VCSELアレイのような、超並列の光源の性質を踏まえて設計されていないため、光軸108外からの光は適切に受光面107に到達しない。例えば、図7では、光軸108から5mm離れた点から発した光線は、受光面107において、光軸108から6.39mm離れた点に結像している。すなわち、発光面101及び受光面107では、超並列に多数の信号を同時に扱う潜在能力があるにも係わらず、従来の光学系に従った場合には、光軸108外の測定点については、適正な結像関係を実現することができない。
【0012】
本発明は、上記状況に鑑み、2次元アレイの受発光素子間の全素子において同等の光学的対応関係をもたらすことが可能で、超並列光デバイスを適正に実現することができる共焦点顕微鏡システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕空間的超並列性を有する光源のアレイと受光素子のアレイを用いた共焦点顕微鏡システムにおいて、面発光レーザアレイ(1)と、この面発光レーザアレイ(1)からの光線を受けるレンズシステム(2)と、このレンズシステム(2)からの光線を受ける対物レンズ(3)と、この対物レンズ(3)からの光線を受けて測定面に結像する観測対象(4)と、この観測対象(4)からの反射光が前記対物レンズ(3)と前記レンズシステム(2)を再び通過した後、光線の向きを変えるビームスプリッタ(5)と、このビームスプリッタ(5)からの光線をペリクルミラー(7)を介して受ける受光素子アレイ(6)と、前記ペリクルミラー(7)が前記受光素子アレイ(6)に入射する光線の反射光を受け、この反射光を結像レンズ(8)を介して観測するCCDカメラ(9)とを備え、前記ペリクルミラー(7)の薄膜構造により、前記面発光レーザアレイ(1)と前記受光素子アレイ(6)間の結像関係を殆ど損なうことなく、光線のアライメントが観測できるよ うにしたことを特徴とする。
【0014】
したがって、超並列受光素子アレイを用いた並列イメージングのための光学系において、光半導体デバイスの表面上に2次元アレイ状に構成された並列の光出力面が、これに対応した受光面に対して、アレイの全面に渡って均一に結像することとなる。すなわち、光出力面から、同面に対して垂直に出射するすべての光線が、受光面の対応する位置に結像し、かつ、受光面に対して垂直に入射することとする。
【0015】
また、受光面前面に対してペリクルミラーを設置することにより、受発光素子間の結像関係をほとんど損なうことなく、光線のアライメントを観測するようにする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明にかかる共焦点顕微鏡システムの概略的な構成図である。
【0018】
この図において、面発光レーザアレイ1からの光線は、レンズシステム2を通過し、対物レンズ3により、観測対象4の測定面に結像する。反射光は、再び対物レンズ3、レンズシステム2を通過した後、ビームスプリッタ5により向きを変え、受光素子アレイ6に到達する。
【0019】
さらに、ペリクルミラー7が、ビームスプリッタ5と受光素子アレイ6の間に設置されている。これにより、受光素子アレイ6に入射する光線の反射光を、結像レンズ8を介して、CCDカメラ9により観測することが可能となる。ここにおいて、ペリクルミラー7の薄膜構造により、受発光素子1,6間の結像関係を殆ど損なうことなく、光線のアライメントが観測できる。
【0020】
図2及び図3は、図1におけるレンズシステム2の構成例であり、図2には、各レンズの諸元が示されており、図3には、これを描画した図が示されている。図2において、左端の数字(1〜9)は各レンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率半径を、dは各レンズ面の間隔を、nd及びνdはそれぞれd線(λ=587.6nm)に対する屈折率及びアッベ数を示している。
【0021】
図4は、図2及び図3に示されたレンズを用いて構成された共焦点光学系における光線の光路をたどった図である。
【0022】
図4において、11は発光面、12はコリメートレンズ、13,15は対物レンズ、14は試料面、16は結像レンズ、17は受光面である。
【0023】
発光面11からの光線は、コリメートレンズ12を通過し、対物レンズ13により、観測対象の測定面(試料面)14に結像する。反射光は、再び対物レンズ15、結像レンズ16を通過した後、受光面17に到達する。
【0024】
ここで、あらかじめ光学系の結像性能を示すため各種のパラメータの説明をしておく。
【0025】
まず、ディストーションとは物体から発せられた光が、光学系によってその物体の像を作った時の、物体と物体の像との歪みの度合を示し、光学系の結像性能を示すためのパラメータの一つである。
【0026】
次に、非点収差について説明する。物体の1点から発せられた光が、光学系によってその像を作った時に、光学系の光軸に垂直な面における光軸方向に対しての垂直成分(タンジェンシャル成分)と平行成分(サジッタル成分)での焦点位置が異なる場合、像が点にならない。このことを非点収差と呼び、光学系の結像性能を示すためのパラメータの一つである。
【0027】
また、像面湾曲とは、平面物体の像を得た時に、その像面が湾曲することであり、その光学系の結像性能を示すためのパラメータの一つである。
【0028】
図4に示されている19は発光面11上で光軸18より5mm離れた場所からの光線、20は光軸18より10mm離れた場所からの光線を示している。図1におけるレンズシステム2(=図2、図3)は、図4において、コリメートレンズ12および結像レンズ16として機能する。ここにおいて、発光面11からの光線は、いずれも、受光面17に対して、垂直に、また位置ずれなく入射している。すなわち、超並列測定の本来のメリットが生かされることになる。
【0029】
また、図4に示された構成の光学系と、図7に示された従来の共焦点光学系の比較のために、ディストーションおよび像面湾曲をそれぞれの場合において評価した。
【0030】
図5は像の高さ(縦軸〔IMG HT〕)と像の歪み度合(横軸〔ディストーション〕)を示した図であり、図5(a)は従来の光学系を本発明の適用システムに使用した際に発生するディストーション量を示し、図5(b)は本発明の適用システムのために新規で設計を行った光学系を使用した際に発生するディストーション量を示している。
【0031】
同様に、図6のグラフにおいて、縦軸(IMG HT)は像の高さを示し、横軸(FOCUS)は光軸上の結像点をゼロとした時のタンジェンシャル成分とサジッタル成分のそれぞれの焦点位置の光軸方向の距離を示している。このなかでTと示した曲線がタンジェンシャル成分について、Sと示した曲線がサジッタル成分についてのグラフである。
【0032】
また、このTとSのグラフのほぼ中央をプロットすると、像面湾曲についてのグラフを得ることができる。
【0033】
図6(a)は従来の光学系を本発明の適用システムに使用した際に発生する非点収差を示し、図6(b)は本発明の適用システムのために新規で設計を行った光学系を使用した際に発生する非点収差を示している。
【0034】
このように、図5および図6からも、光軸外における性能が著しく向上することがわかる。
【0035】
上記したように、本発明によれば、空間的超並列性を有する光源のアレイと受光素子のアレイを用いた顕微鏡において、光学的性能を空間的に一様にすることができ、本来の性能を達成することができる。
【0036】
上記したように、図1において、面発光レーザアレイから出射した光束が光学系を通過して観測対象面で一旦結像する。
【0037】
次いで、この結像した光束が観測対象面で反射し、再度光学系を通過するが、ビームスプリッタ5によって今度は受光面で結像する。
【0038】
このシステムにおいて面発光レーザアレイと受光素子アレイは、各々の素子の配置が対等になっている。このことを利用し、面発光レーザアレイ上の任意の場所にある発光素子を発光させた際に、この発光させた素子と対等な位置にある受光素子アレイ上の受光素子で出力光を検知することができれば、各々の発光素子で発光させた光を同時に独立して検知することができる。
【0039】
この目的を達成するためには、図1に示される光学系の結像性能でディストーションを極力低い値にしなくてはならない。このディストーションが大きくなると、面発光レーザアレイの素子と対等な位置関係にある受光素子アレイの素子で光を検出することができなくなる。
【0040】
また、非点収差および像面湾曲を極力低い値にすることで、各受光素子上の結像状態を均一にすることができる。このことにより、各受光素子で得られた値に対して、比較を行うとが可能になる。
【0041】
また、図1に示すように、多数の光源と受光素子の位置合わせを容易に可能とするための観測光学系も、光学系の性能を全く変化させることなく組み込んでいる。すなわち、ペリクルミラー7が、ビームスプリッタ5と受光素子アレイ6の間に設置されており、これにより、受光素子アレイ6に入射する光線の反射光を、結像レンズ8を介して、CCDカメラ9により観測することが可能となる。ここにおいて、ペリクルミラー7の薄膜構造により、受発光素子間の結像関係を全く損なうことなく、光線のアライメントが観測できる。
【0042】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0043】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏する。
【0044】
(A)2次元アレイの受発光素子間の全素子において同等の光学的対応関係がもたらされることになり、超並列光デバイスを適正に実現することができる。
【0045】
(B)空間的超並列性を有する光源のアレイと受光素子のアレイを用いた顕微鏡において、光学的性能を空間的に一様にすることができ、受発光素子の本来の性能を達成することができる。
【0046】
(C)こうした光学方式により、空間的に高密度な光源アレイにより、同時刻に多数の測定点を収集可能とする超並列性に依拠した顕微鏡システムを実現することが可能となる。
【0047】
(D)並列入出力チャンネル間アライメントの状態を、光学系の性能を全く変化させることなく、観測できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる共焦点顕微鏡システムの概略的な構成図である。
【図2】 図1におけるレンズシステム2の各レンズの諸元を示す図である。
【図3】 図1におけるレンズシステム2の各レンズを描画した図である。
【図4】 図2及び図3に示されたレンズを用いて構成された共焦点光学系における光線の光路をたどった図である。
【図5】 本発明の光学系(図4)と、従来の共焦点光学系(図7)の比較のために、ディストーションについて評価した図である。
【図6】 本発明の光学系(図4)と、従来の共焦点光学系(図7)の比較のために、像面湾曲について評価した図である。
【図7】 従来の共焦点光学系における光線の光路をたどった図である。
【符号の説明】
1 面発光レーザアレイ
2 レンズシステム
3,13,15 対物レンズ
4 観測対象
5 ビームスプリッタ
6 受光素子アレイ
7 ペリクルミラー
8,16 結像レンズ
9 CCDカメラ
11 発光面
12 コリメートレンズ
14 試料面
17 受光面
18 光軸
19 発光面上で光軸より5mm離れた場所からの光線
20 発光面上で光軸より10mm離れた場所からの光線

Claims (1)

  1. 空間的超並列性を有する光源のアレイと受光素子アレイを用いた共焦点顕微鏡システムにおいて、
    (a)面発光レーザアレイ(1)と、
    (b)該面発光レーザアレイ(1)からの光線を受けるレンズシステム(2)と、
    (c)該レンズシステム(2)からの光線を受ける対物レンズ(3)と、
    (d)該対物レンズ(3)からの光線を受けて測定面に結像する観測対象(4)と、
    (e)該観測対象(4)からの反射光が前記対物レンズ(3)と前記レンズシステム(2)を再び通過した後、光線の向きを変えるビームスプリッタ(5)と、
    (f)該ビームスプリッタ(5)からの光線をペリクルミラー(7)を介して受ける受光素子アレイ(6)と、
    (g)前記ペリクルミラー(7)が前記受光素子アレイ(6)に入射する光線の反射光を受け、該反射光を結像レンズ(8)を介して観測するCCDカメラ(9)とを備え、
    (h)前記ペリクルミラー(7)の薄膜構造により、前記面発光レーザアレイ(1)と前記受光素子アレイ(6)間の結像関係を殆ど損なうことなく、光線のアライメントが観測できるようにしたことを特徴とする共焦点顕微鏡システム。
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