JP4138426B2 - 鉄塔の基礎構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送電用鉄塔等の増容量化に対応させて鉄塔を増強する工事等に適用されるもので、既設鉄塔最下パネルの複数の隅部に配設され基礎体に埋設された山形鋼の基礎立上り部材を補強するための鉄塔の基礎構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、遠隔地にある発電所から電力需要地までの間は多数の鉄塔間に張設された送電線により電力供給がなされている。電力需要の増加に対しては送電線の容量を増加する必要があるが、近年では、電力需要地の近傍の住宅や各種施設等の密集化により、送電ルートのための用地の確保が困難になってきている。そのため、特に電力需要地の近傍における電力増加に対しては、既設送電線の増容量化により対処している。このような既設送電線の増容量化は、送電用鉄塔の建替え工事が必要となり、従来は、嵩上げ工法、包み込み工法等により建替え工事を行っている。
【0003】
このような既設鉄塔の増容量化によって、既設鉄塔の基礎体が増加分の基礎応力を負担できないことが生じるが、その場合には既設基礎の周囲を取り囲むようにコンクリートを打設して既設基礎体を補強していた。しかしながら、このような既設基礎体を補強するに際しては、補強体が既設基礎と一体的に耐力が発揮できるようにする必要があって、既設基礎体のコンクリートの周囲をはつり作業を行って表面を粗面化してから新たなコンクリートを定着させていた。さらに、基礎体内に埋設された配筋を露出させて、該配筋に補強のための配筋をさらに溶接等により接合して、新たなコンクリートを打設しなければならず、これらの作業に多くの時間を費やしてコスト高を招いていた。
【0004】
そこで、建替え工事を目的とするものではないが、基礎体の基礎応力を分散させて基礎杭における応力負担を軽減させる技術が提案(例えば下記特許文献1参照)されている。この提案技術を図5を用いて簡単に説明すると、公報段落12に記載されたように、塔状鋼構造物の基礎部に杭基礎を用いる場合、複数の杭基礎103が平面視で正方状あるいは円状に地面に打ち込まれ、杭基礎103は頂部の水平レベルを合わせて、全ての杭基礎103を連結する鋼材104が溶接やボルト等により接合される。水平が確保されて杭基礎103と接合した鋼材104に対して、公報段落14の後半に記載されているように、塔状鋼構造物の基礎立上り材101を直接現地にて溶接する。これによって、施工後の基礎立上り材101の調節を容易にし、かつ作業工程の省略や調整を容易にしてコストダウンメリットを得るようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−47669号公報(段落12、段落14および図2、図3)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来例のものでは、塔状鋼構造物の基礎立上り材101の基礎応力を水平状の鋼材104を介して適正に複数の杭基礎103に分散することが可能になったものの、複数の杭基礎103の頂部を水平レベルを合わせて正方状または円状に地面に打ち込まなければならないものであり、また、水平レベルとなった杭基礎103の頂部と、一体ものに形成された鋼材104とを溶接あるいはボルトにより接合した後にも水平レベルを保持し、かつ、基礎立上り材101を基礎杭の中心位置に配置させなければならず、鋼材104と基礎立上り材101および杭基礎103との位置関係を適正に保持することが困難であることは否めず、位置保持機能が充分とは言い難いものであった。しかも、基礎立上り材101にかかる基礎応力は鋼材104を介して複数の杭基礎103に伝達されるため、杭基礎103の数量に応じて鋼材104を一体もので形成しなければならず、形状が複雑かつ鋼材104自体が大きくて重くなり、コストアップを招く他、作業現場までの運搬が困難となるものであった。
【0007】
そこで、本発明は、前記従来の基礎構造の課題を解決して、既設基礎コンクリートのはつり作業を軽減して、配筋接合等を不要とするとともに、殆どの基礎応力を新設基礎にて負担が可能でありながら、構成部材の軽量化が可能で、運搬も容易な鉄塔の基礎構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、既設鉄塔最下パネルの複数の隅部に配設され基礎体および該基礎体上に設置された柱体コンクリート内に埋設された山形鋼の基礎立上り部材を補強するための鉄塔の基礎構造において、既設鉄塔の中心線と直交する面の前記基礎体の両側に杭基礎を設置するとともに、これら杭基礎と前記基礎体上の柱体コンクリートの上端部分を撤去して露出した基礎立上り部材との間に補強部材を渡設したことを特徴とする。また本発明は、前記補強部材における基礎立上り部材との接合部に、該基礎立上り部材の各フランジにそれぞれ突き当てられて接合されるガセットプレートを設置するとともに、前記補強部材における両端部を接合板等により前記杭基礎に接合したことを特徴とする。また本発明は、前記補強部材がガセットプレート部を境に2分割されていることを特徴とする。また本発明は、前記ガッセットプレートと基礎立上り部材との接合面にL字状金物を介設したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【0009】
【実施の形態】
以下、本発明の鉄塔の基礎構造を図面に基づいて説明する。図1〜図4は本発明の鉄塔の基礎構造の1つの実施の形態を示すもので、図1(A)は既設鉄塔最下パネルを含む基礎部の平面図、図1(B)は図1(A)のA部拡大図、図2は図1(B)のB矢視の正面図で基礎構造部を示す図、図3は図2のC矢視の平面図、図4(A)は基礎構造部の試験体の正面図、図4(B)は図4(A)における補強部材の曲げモーメント図である。本発明の基本構成は、図1に示すように、既設鉄塔最下パネル1の複数の隅部に配設され基礎体2に埋設された山形鋼の基礎立上り部材3を補強するための鉄塔の基礎構造において、既設鉄塔の中心線L(図示の例では既設鉄塔最下パネル1の対角方向。基礎立上り部材3と鉄塔の中心Oとを結ぶ線)と直交する面の前記基礎体2の両側に杭基礎5A、5Bを設置するとともに、これら杭基礎5A、5Bと前記基礎体2上の柱体コンクリート4の上端部分を撤去して露出した基礎立上り部材3との間に補強部材6(図示の例では2分割された6A、6B)を渡設したことを特徴とする。
【0010】
以下詳細に説明する。図1(A)に示すように、既設鉄塔は、破線で示した最下パネル1の複数の隅部に配設され基礎体2に埋設された山形鋼の基礎立上り材3、3・・から上方(図面上手前側)に延びて構築されている。図示の例は既設鉄塔最下パネル1は正方形の四角形であるが、三角形や多角形であることを妨げるものではない。その場合は、基礎立上り部材3における山形鋼の断面形状は既設鉄塔最下パネル1の形状に対応する。例えば、図示の例では90°の山形であるが、三角形鉄塔ならば、基礎立上り部材3における山形鋼の角度は60°、六角形ならば120°とされ、後述するガセットプレートの開度もこれらに対応する。
【0011】
前記既設鉄塔最下パネル1の各隅部に位置する基礎部については、図2を参照しつつ、図1(A)のA部拡大図である図1(B)に示すように、山形鋼の基礎立上り部材3の下部がコンクリートの基礎体2上に設置された柱体コンクリート4内に埋設されている。柱体コンクリート4は、上方の鉄塔先端部に向けて漸減する鉄塔の断面積に応じて傾斜する基礎立上り部材3の斜度に合致するように、鉄塔の中心O(図1(A))側に向いた傾斜四角錐体に形成されている。図1に示すように、コンクリートの基礎体2の両側で既設鉄塔の中心線Lと直交する面の両側に、前記基礎体2を跨いで既設基礎と干渉しないようにして杭基礎5A、5Bが打設されて地中に埋設される。その後、図2に示すように、柱体コンクリート4の上端部分4Aが現場はつり作業により解体撤去される。
【0012】
次いで、前記杭基礎5A、5Bと、コンクリート部が撤去されて露出した基礎立上り部材3とが第1補強部材6A、第2補強部材6Bによって渡設・連結される。図2および図3に示すように、補強部材6は、平行配置の天板6Uと底板6Dとをウェブ板6Mにて連結したH形鋼等の鋼材から構成され、その両端部がウェブ板6Mによって、杭基礎5A、5Bの上端部に固着された接続板9A、9Bに接続される。各補強部材6A、6Bにおける基礎立上り部材3との接合部には、基礎立上り部材3における第1フランジ3Aおよび第2フランジ3Bに適合させて、ガセットプレート7が設置される。本実施の形態では、H形鋼のウェブ板6Mに対して45°にて切断加工された補強部材6A、6Bの対向端部に、これらの補強部材の上下幅より大きな長さの各ガセットプレート7A、7Bを固着したものである。
【0013】
好適には、運搬のために構成部材の軽量化を図って、図3に示すように、前記補強部材6はガセットプレート部7を境に2分割して構成され、基礎立上り部材3の第1および第2フランジ3A、3Bの外側にそれぞれ添設・接合される第1および第2ガセットプレート7A、7Bを第1および第2補強部材6A、6Bの各対向する内側端部に設置したものである。しかしながら、H形鋼の梁部材として構成される補強部材自体が軽量であることから、補強部材6を杭基礎5A、5B間に延びる一体構成とし、該補強部材6の基礎立上り部材3に対応する部分をL字形に切り込んで、該切込み部にL形鋼からなるガセットプレート7を固着するように構成することもできる。
【0014】
H形鋼である補強部材6における天板6U、ウェブ板6Mおよび底板6Dの有機的なバックアアップによって、ガセットプレート7A、7Bの位置は確実に保持されてそれらの形状が保持されるものであるが、基礎立上り部材3の各フランジ3A、3Bの内側には、山形鋼の基礎立上り部材3の偏平化防止のためにL字状金物8が添設される。さらに、補強部材6に対するガセットプレート7の位置保持補強のために三角形状の補強板10、10・・が介設される。そして、これらの、L字状金物8、基礎立上り部材3およびガッセットプレート7を貫通したボルト等により一体に接合することにより、新設の杭基礎5および補強部材6を既設の基礎立上り部材3に構築することができる。
【0015】
図4は基礎構造部の応力試験の試験体および試験結果図で、前述した構成の基礎構造物において、既設の基礎立上り部材3を既設の基礎体2と分離させて、新設の補強部材が全応力を負担できるかどうかの試験を行ったものである。図4(A)に示すように、基礎立上り部材3が既設の基礎体2と分離されて基礎応力が基礎立上り部材3から既設の基礎体2に伝達されない条件の下で、基礎立上り部材3の各フランジ3A、3Bの外側に補強部材6A、6Bの対向端部のガセットプレート7A、7Bをそれぞれ添設・接合するとともに、基礎立上り部材3の各フランジ3A、3Bの内側にL字状金物8を添設してこれらをボルトにより一体に連結する。補強部材6A、6Bの他端部を杭基礎5A、5Bに接続して試験体が構成される。
【0016】
前記試験体における基礎立上り部材3に引張力として210kNを載荷した。図4(B)は補強部材6の曲げモーメント分布図を示すもので、横軸が基礎立上り部材3の接合部を原点とした補強部材長さ方向位置、縦軸が曲げモーメントを表している。実線が基礎立上り部材3と補強部材6の接合部を剛と仮定した単純支持梁の計算値、●印が実験値を示している。これらの曲げモーメント分布から、計算値と実験値が良好な対応をしていることが理解され、基礎立上り部材3の両フランジ3A、3Bと補強部材6の接合部がボルト接合されて一体化され、応力の伝達が確実に行えることが証明された。また、杭基礎5A、5Bの長さを単純支持梁とした強度計算を採用して安全側に評価することができる。なお、試験例のように、基礎立上り部材3に作用する基礎応力の全てを補強部材6A、6Bを介して杭基礎5A、5Bに負担させるようにするものの他、既設基礎と新設の補強部材の基礎応力の分担率を求めて、基礎応力の一部を既設基礎にも負担させるように構成することもできる。
【0017】
以上、本発明の各実施の形態について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、既設基礎体の形状、形式およびそれらの数(つまり既設鉄塔最下パネルの平面形状)、既設鉄塔の増容量化の形態、山形断面の山形角度を含む基礎立上り部材の形状、柱体コンクリート部を含む基礎体の形状、該基礎体への基礎立上り部材の埋設形態、隣接配置される基礎立上り部材同士の水平材や斜材等による補強連結構造を含む鉄塔の形状、形式、杭基礎の形状、形式およびその地面への設置形態、柱体コンクリートの撤去形態、分割型を含む補強部材の形状(好適にはH形鋼が採用されるが、チャンネル形、角パイプ形等梁としての所定の補強構造が採用され得る)、ガセットプレートの形状、形式およびその補強部材への設置形態、補強部材の杭基礎への接合形態、L字状金物の形状、形式およびその基礎立上り部材への添設形態等については適宜選択できる。
【0018】
【発明の効果】
以上、詳細に説明してきたように本発明によれば、既設鉄塔最下パネルの複数の隅部に配設され基礎体および該基礎体上に設置された柱体コンクリート内に埋設された山形鋼の基礎立上り部材を補強するための鉄塔の基礎構造において、既設鉄塔の中心線と直交する面の前記基礎体の両側に杭基礎を設置するとともに、これら杭基礎と前記基礎体上の柱体コンクリートの上端部分を撤去して露出した基礎立上り部材との間に補強部材を渡設したことにより、既設の基礎体への補強および干渉を伴うことなく新設の杭基礎の設置が可能になるとともに、既設の基礎立上り部材にかかる基礎応力の全てあるいはその大半を、補強部材を介して既設基礎体の両側の杭基礎に均等に負担させることが可能となる。
【0019】
また、前記補強部材における基礎立上り部材との接合部に、該基礎立上り部材の各フランジにそれぞれ突き当てられて接合されるガセットプレートを設置するとともに、前記補強部材における両端部を接合板等により前記杭基礎に接合した場合は、ガセットプレートによる基礎立上り部材の各フランジへの添設を伴う接合によって、広い接触面による接合時の適正な位置決めと、接合後の適正位置の保持とが有効になされるとともに、補強部材の杭基礎への取付けも簡便である。さらに、前記補強部材がガセットプレート部を境に2分割されている場合は、構成部材が短小化されて軽量化され、運送がし易く作業性にも優れる。
【0020】
さらにまた、前記ガセットプレートと基礎立上り部材との接合面にL字状金物を介設した場合は、該強固なL字状金物の存在により、鉄塔の増容量化に伴って、既設の基礎立上り部材の山形断面部を偏平にしようとする力が加わることになっても、それらの力を有効に抑制することが可能となる。
かくして、本発明によれば、既設基礎コンクリートのはつり作業を軽減して、配筋接合等を不要とするとともに、殆どの基礎応力を新設基礎にて負担が可能でありながら、構成部材の軽量化が可能で、運搬も容易な鉄塔の基礎構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鉄塔の基礎構造の鉄塔の1つの実施の形態を示すもので、図1(A)は既設鉄塔最下パネルを含む基礎部の平面図、図1(B)は図1(A)のA部拡大図である。
【図2】同、図1(B)のB矢視の正面図で基礎構造部を示す図である。
【図3】同、図2のC矢視の平面図である。
【図4】同、図4(A)は基礎構造部の試験体の正面図、図4(B)は図4(A)における補強部材の曲げモーメント図である。
【図5】従来の基礎構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・・既設鉄塔最下パネル
2・・・・基礎体
3・・・・基礎立上り部材
3A・・・・第1フランジ
3B・・・・第2フランジ
4・・・・柱体コンクリート
4A・・・・上端部分
4B・・・・下端部分
5A・・・・第1杭基礎
5B・・・・第2杭基礎
6・・・・補強部材
6A・・・・第1補強部材
6B・・・・第2補強部材
6U・・・・天板
6M・・・・ウェブ板
6D・・・・底板
7・・・・ガッセットプレート
7A・・・・第1ガセットプレート
7B・・・・第2ガセットプレート
8・・・・L字状金物
9A・・・・第1接合板
9B・・・・第2接合板
10・・・・補強板
L・・・・中心線
O・・・・鉄塔中心

Claims (4)

  1. 既設鉄塔最下パネルの複数の隅部に配設され基礎体および該基礎体上に設置された柱体コンクリート内に埋設された山形鋼の基礎立上り部材を補強するための鉄塔の基礎構造において、既設鉄塔の中心線と直交する面の前記基礎体の両側に杭基礎を設置するとともに、これら杭基礎と前記基礎体上の柱体コンクリートの上端部分を撤去して露出した基礎立上り部材との間に補強部材を渡設したことを特徴とする鉄塔の基礎構造。
  2. 前記補強部材における基礎立上り部材との接合部に、該基礎立上り部材の各フランジにそれぞれ突き当てられて接合されるガセットプレートを設置するとともに、前記補強部材における両端部を接合板等により前記杭基礎に接合したことを特徴とする請求項1に記載の鉄塔の基礎構造。
  3. 前記補強部材がガセットプレート部を境に2分割されていることを特徴とする請求項2に記載の鉄塔の基礎構造。
  4. 前記ガッセットプレートと基礎立上り部材との接合面にL字状金物を介設したことを特徴とする請求項2または3に記載の鉄塔の基礎構造。
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