JP4139917B2 - 耐スポーリング性に優れた耐火れんがおよび転炉炉底 部ライニング - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐スポーリング性に優れた耐火れんがおよびそれを用いた転炉炉底部ライニングに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の製鋼工程においては操業条件の過酷化により、転炉用耐火物にも従来より一層の高耐食性、高耐スポーリング性が要求されるようになってきている。特に、転炉炉底部のように過酷な熱衝撃に曝される部位に使用される耐火物には、極めて優れたスポーリング性が要求される。
【0003】
転炉炉底部ライニングは、一般に他の部位と同様にマグネシア・カーボンれんがが使用されている。マグネシア・カーボンれんがの耐スポ−リング性の改善には黒鉛量の増加が有効とされているが、通常に使用されている鱗状黒鉛ではその増加による耐スポーリング性の向上に限界があり、また耐火物に要求される見掛気孔率などの基本的物性の劣化により耐食性も低下する傾向にある。かかるカーボン系れんがの耐スポーリング性の改善策として特開昭62−100484号公報には黒鉛の一部を膨張黒鉛に置換して耐スポーリング性を向上させる方法が開示されている。また、特開平8−81256号公報には炭素質物質として圧縮後粉砕した膨張黒鉛を使用して耐スポーリング性の改善を図る方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マグネシア・カーボンれんがにおいて膨張黒鉛を使用すれば耐スポ−リング性の向上は認められるが、膨張黒鉛は嵩が非常に大きいため、れんが製造上その使用量はおのずと少ない領域に限られ、特開昭62−100484号公報に記載のものでは、わずか0.5〜5重量%の範囲に限られている。したがって、このように少量の使用では、転炉炉底部のように過酷な熱衝撃を受ける部位における耐スポーリング性の向上は限られていた。
【0005】
一方、特開平8−81256号公報記載の提案は、低カーボン領域における耐スポーリング性の向上を目的とし、膨張黒鉛を一旦圧縮後、1mm以下の粒度に粉砕して使用するものであるが、その黒鉛の添加量は鱗状黒鉛を含めた炭素質材料全体で0.5〜40重量%であり、膨張黒鉛としては0.5〜15重量%を好適とし、さらには0.5〜10重量%、特に0.5〜7重量%に限られている。本発明者等の検討したところ、このような構成をとらざるを得ないのは、膨張黒鉛の量をさらに増やそうとすると、れんが製造時の作業性が極端に低下する問題があり、黒鉛量を増やすには鱗状黒鉛と併用せざるを得ないからであり、結局、転炉炉底部ライニングに使用するれんがとしては耐スポーリング性において十分とは言えないものしか得られなかった。
【0006】
本発明は、上記の膨張黒鉛を多量に使用する場合のれんが製造時の作業性を改善し、転炉炉底部における過酷な熱衝撃にも耐えうる耐スポーリング性に極めて優れたマグネシア・カーボンれんがおよびそれを使用した転炉炉底部ライニングを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、マグネシア・カーボンれんがの耐スポーリング性を大幅に改善することを目的に種々検討した結果、炭素質原料としてその全量を特定の微細な粒度に粉砕した膨張黒鉛とすることにより、鱗状黒鉛を使用した場合とほぼ同等の作業性により、耐スポーリング性に極めて優れたれんがを得ることに成功し本発明を完成させたものである。具体的には、転炉炉底部羽口周辺部用耐火れんがの組成を粒径0.3mm以下に粉砕した通常の膨張黒鉛(ただし圧縮したものを除く)を15〜40重量%、残部がマグネシアを主体とすることによって耐スポーリング性に優れたものとするものであり、また、転炉炉底部羽口周辺部ライニングを粒径0.3mm以下に粉砕した通常の膨張黒鉛(ただし圧縮したものを除く)を15〜40重量%、残部がマグネシアを主体とする耐火材料からなるマグネシア・カーボンれんがを使用したものとするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるマグネシア・カーボンれんがに使用する炭素質材料としては、膨張黒鉛のみを配合する。ここに膨張黒鉛とは黒鉛の層間に硫酸などを挿入させた黒鉛層間化合物を800〜1000℃の温度に急激に加熱することにより黒鉛層間を膨張させたものである。この膨脹黒鉛は黒鉛結晶が互いに絡み合いハニカム構造をした嵩の大きい塊状体であり、通常の鱗状黒鉛と比較すると層間の結合は弱く、弾力性に優れており、炭素含有れんがに使用すると、マグネシアなどの耐火材料の熱膨張・収縮を吸収し、耐スポーリング性を向上させる。しかし、従来のごとく鱗状黒鉛と併用すると耐スポーリング性の低下を招くので炭素質材料はすべて膨張黒鉛のみとする。
なお、ここにいう炭素質材料とはれんがに配合される炭素のうち、フェノール樹脂等のバインダーに含まれる炭素分は除くものをいう。
【0009】
また、本発明においては上記膨張黒鉛の粒径を0.3mm以下とする。膨脹黒鉛の粒度測定はJIS標準フルイをロータップ試験機に設置して行なう。膨脹黒鉛の粒度はフルイ目寸法0.297mmの標準フルイ通過分が90重量%以上であることとし、フルイ目寸法0.125mmの標準フルイ通過分が50重量%以下であることが作業性の点から望ましい。
【0010】
一般に膨張黒鉛は嵩が大きいため通常の黒鉛と比較すると、耐火物製造時の混練や成形がしにくく、従来と同様の製造方法では緻密な耐火物が得られにくい。しかし、本発明のごとく粒径を0.3mm以下とした場合は、かさ密度は0.2g/cc程度と通常の膨張黒鉛に比較して約3倍のかさ密度となり、れんがの製造において従来の鱗状黒鉛とほぼ同様に扱え、本発明で規定した15〜40重量%の使用量においても、緻密なれんがを成形することができるものである。なお、本発明者等の実験によれば上記膨張黒鉛は厚さが数μmmの薄片状となっているが、その耐スポーリング性を向上させる特性は粒径を0.3mm以下としても維持されることが確認されている。
なお、このような0.3mm以下の粒度をもった膨張黒鉛は、通常の膨張黒鉛をヘンシェルミキサーのような高速で回転する攪拌羽根を有する装置を使用して所定の時間攪拌することにより得ることができる。
【0011】
上記の膨張黒鉛の配合量は重量比でれんが中の15〜40重量%とする。好ましくは15〜30重量%の範囲である。この量が15重量%未満では十分な耐スポーリング性が得られない。また、40重量%を超える量を使用しても耐スポーリング性の向上は得られず、作業性も低下する傾向がある。
【0012】
本発明にかかるマグネシア・カーボンれんがは膨張黒鉛の他にマグネシアを主体とする耐火材料、すなわち、マグネシア、結合剤、および必要に応じて添加される金属粉末などの添加剤、を含有する。マグネシアとしては焼結マグネシア、電融マグネシアが使用可能であるが、MgO純度が95重量%以上のものが好ましい。また、マグネシア・カーボンれんがの結合剤としては通常のフェノール樹脂などの結合剤が使用できる。結合剤の添加量は一般の鱗状黒鉛を使用したマグネシア・カーボンれんがと同等でよい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で金属粉末、ガラスなど酸化防止剤、各種繊維などの公知の添加剤を使用することが可能である。
【0013】
本発明のれんがを製造するにあたってはすでに説明した特性を有する膨張黒鉛にマグネシアさらに必要に応じて添加剤を加え、これに結合剤を加えて、通常の方法で混練、成形した後、熱処理して不焼成れんがとし、あるいは高温で還元焼成して焼成れんがとすればよい。本発明は膨張黒鉛を多量に含むものであるが、従来の鱗状黒鉛を使用したマグネシア・カーボンれんがと変わらない製造方法で膨張黒鉛が使用できる点に特徴がある。
【0014】
本発明の転炉炉底部ライニングにおいては上記マグネシア・カーボンれんがを炉底の全部または一部に使用する。即ち、該マグネシア・カーボンれんがを熱衝撃の過酷な羽口および羽口周辺部のみに使用しても良いし、転炉炉底部全部に使用しても良い。
転炉炉底部、特に羽口および羽口周辺部は一般に直胴部等の他の部位に比べライニング厚さが1.5倍程度に設計されている。従って、稼働面側は1600℃以上の溶鋼と接触し、れんがは熱膨張の大なる条件下にあるが、背面側はそれほど高温にはならず、特に羽口部周辺では吹き込みガスにより冷却されるため、稼働面側との温度差は極めて大きなものになる。また、炉底部は直胴部との継合部および羽口によって拘束されているため、れんがに生じる熱応力は極めて大きいものとなる。したがって、本発明のマグネシア・カーボンれんがは上記転炉炉底部の熱的条件および経済性を考慮してその使用部位を定めればよい。これにより上述の厳しい拘束下での熱衝撃に対しても、発生した熱応力を吸収、緩和することができ、スポーリング損傷を防止できる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を説明する。
表1に示すように発明例1〜3および比較例1〜5のように材料を配合し、混練、プレス成形した後、300℃で10時間熱処理して耐火れんがを製造した。各試験材について転炉炉底部ライニングに使用するれんがとしての特性を調査するために、基本的な物性を調査し、さらに耐スポーリング性試験および耐食性試験を行った。
【0016】
耐スポーリング性試験は上記により製造した耐火れんがから50×50×230mmの試料を切り出し、その115mmの長さのところまでを1650℃の溶鋼中に3分浸漬後、水中で急冷する操作を繰り返し、試料の一部が剥落するまでの回数を測定することによって行った。一方、耐食性指数は転炉スラグ(塩基度、CaO/SiO2=3.4)を用いて1750℃、5時間試験後の溶損量の逆数を比較例1の場合を基準とし、これを100とする指数で示した。従って、数値の大きいほど耐食性に優れている。
【0017】
【表1】
【0018】
発明例1と比較例4との比較より、通常の鱗状黒鉛に代えて粒径0.3mm以下の膨張黒鉛を使用すると基本的物性、耐食性はほぼ同等であるが、耐スポーリング性が大幅に向上することが分かる。また、発明例2と比較例5とを比較すると、黒鉛量を増加させても、発明例2に示す場合は耐食性が低下することなく、高耐スポーリング性が保たれているが、比較例5の耐スポーリング性は大きく劣っている。さらに、発明例1と比較例3とを比較すると、通常の膨張黒鉛は20重量%添加すると基本的物性が悪くなり、さらに耐食性も劣るれんがとなり、実機への使用には問題があることがわかる。比較例1、2より本発明に使用する膨張黒鉛の量が10重量%では耐スポーリング性に劣り、50%重量では耐食性が悪い結果となっている。
【0019】
これらの結果を転炉実操業において確認するため、250トン容量の転炉炉底部の羽口および羽口周辺部に発明例1のれんがと比較例5のれんがを張り分けた操業を行った。なお、その他の炉底部については比較例4のれんがを使用した。2000チャージ稼働後の羽口の残存寸法を測定し、損傷速度を算出したところ、発明例1のれんがを使用した羽口はチャージ当り0.2mm、比較例5のれんがを使用した羽口はチャージ当り0.4mmであり、本発明のライニングにより約2倍の耐用性があることが確認された。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、上記のとおりマグネシア・カーボンれんがに使用される炭素質材料を全量、粒径0.3mm以下の膨張黒鉛とし、かつその配合量を15〜40%としたので、れんが製造上の作業性を低下させることなく、緻密で耐スポーリング性が高く、また、耐食性も優れたれんがの製造が可能であり、これを転炉炉底部に使用すれば、耐食性を維持しつつ、耐スポーリング性の大幅な向上が得られる。
Claims (2)
- 粒径0.3mm以下に粉砕した通常の膨張黒鉛(ただし圧縮したものを除く)を15〜40重量%、残部がマグネシアを主体とする耐火材料からなることを特徴とする耐スポーリング性に優れた転炉炉底部羽口周辺部用耐火れんが。
- 粒径0.3mm以下に粉砕した通常の膨張黒鉛(ただし圧縮したものを除く)を15〜40重量%、残部がマグネシアを主体とする耐火材料からなるマグネシア・カーボンれんがを使用したことを特徴とする転炉炉底部羽口周辺部ライニング。
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