JP4141991B2 - 多管式熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、流体、特に液体の熱交換に好適に用いられる多管式熱交換器に関する。さらに詳細には、飲料間で熱交換を行なうことが可能な、シェル・アンド・チューブ型多管式熱交換器に関する。
従来より、液体の熱交換を効率良く行なう装置として多管式熱交換器が知られている(たとえば特許文献1)。この多管式熱交換器は、シェルと呼ばれる大径の円筒胴内にチューブと呼ばれる小径の伝熱管が複数本通された構造となっており、このためシェル・アンド・チューブ型多管式熱交換器とも呼ばれるものである。
この多管式熱交換器は、熱交換される液体を該伝熱管内に流し、高温または低温の熱媒または冷媒(以下単に熱媒と記す)を該円筒胴内に流すことにより、伝熱管の管壁を介して間接的に該液体と該熱媒間で熱交換を行なうものであった。このようにかかる熱交換は、複数本の小径の伝熱管を通して行なわれるため、結果的に熱媒との接触面積が増大されたものとなり極めて交換効率に優れるものであった。このため、殺菌等を目的とする飲料の熱処理時においても、この種の多管式熱交換器は飲料の加熱または冷却手段として使用されていた。
しかしながら、このような多管式熱交換器は、円筒胴内を十分に洗浄することが困難なことから、熱媒として円筒胴内に飲料を流すことは衛生的見地から好ましくなく、飲料以外の液体を熱媒として用いざるを得ない状況であった。このため、熱交換にロスを生じ、多管式熱交換器の高い熱交換効率を十分に活かしきれない状況にあった。
特開2003−222492号公報
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、円筒胴内の洗浄性に優れ、以って円筒胴内を流れる熱媒として飲料を用いることが可能な多管式熱交換器を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、円筒胴内の洗浄性を悪化させる因子は、円筒胴内に存在する種々の空隙にあり、この空隙に一旦飲料が浸入すると洗浄が非常に困難となりそれが雑菌等を繁殖させる温床になり得るとの知見を得、この知見に基づき円筒胴内の空隙を可能な限り低減させる研究を鋭意重ねることにより、ついに本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の多管式熱交換器は、円筒胴と、伝熱管と、固定管板と、遊動管板と、ノズルとを備えた多管式熱交換器であって、該固定管板と該遊動管板とは、該円筒胴の両端部に各々取り付けられており、また、該伝熱管は、複数本存在し、その各々の一端が上記固定管板に複数形成されている開口部の一に接続され、他端が上記遊動管板に複数形成されている開口部の一に接続されており、そして、上記遊動管板は、その厚み方向の両端部の各々の外周に沿って第1溝部と第2溝部とを有するとともに、該第1溝部と該第2溝部とに各々Oリングが挿入されており、また、上記ノズルは、上記円筒胴に配置され、上記円筒胴内に液体を供給し、または上記円筒胴内から液体を排出するものであることを特徴としている。
ここで、上記遊動管板は、上記円筒胴内の内壁と接触しながら任意方向に移動可能とすることができ、上記ノズルは、上記円筒胴の両端付近に各々1箇所ずつ計2個形成されたものとすることができ、上記円筒胴は、上記遊動管板が取り付けられている側において上記ノズルの一を含む部分を短管状に分割することができる。
また、上記遊動管板と、上記第1溝部に挿入されたOリングと、上記第2溝部に挿入されたOリングと、上記円筒胴とにより囲まれた空隙部において、外部に通じる1または複数の孔を上記円筒胴に形成することができる。
また、上記固定管板と上記遊動管板の各々に複数形成されている上記開口部の各々は、上記伝熱管と接続される側の上記開口部の周縁部においてガイドを備えた突起部が形成され、上記伝熱管は上記突起部に挿入されるとともに上記突起部との間に空隙が生じることのないように上記ガイドを含む突起部と溶接されることにより上記開口部と接続することができる。
また、上記円筒胴と上記固定管板との接合部および上記円筒胴と上記短管状に分割する部分との接合部には、ヘルール構造の三角溝を有する継手部が用いられ、上記継手部にはパッキンとしてOリングが用いられたものとすることができる。
また、上記円筒胴内には、上記伝熱管用の補助支持材が配置されており、上記補助支持材は複数の棒状サポート部とそれに接合される複数の棒状ループ部とを有してなり、該棒状サポート部の各々は上記伝熱管と実質的に平行して配置されており、該棒状ループ部の各々は上記棒状サポート部と直交しかつ所定の間隔を隔てて配置されているとともに互いに異なる2以上の上記棒状サポート部と接合されており、上記棒状ループ部の各々はそのループの内側に上記複数本の伝熱管のうちの一部の一群の伝熱管を通すことにより上記伝熱管を支持することができる。
また、本発明の多管式熱交換器は、上記円筒胴の内径の断面積をS1、上記複数の伝熱管の外径の断面積の総和をS2、上記複数の伝熱管の内径の断面積の総和をS3とした場合、0.45≦S3/(S1−S2)≦0.7
となり、かつ上記円筒胴内を流れる液体の流速が、0.4m/秒以上2.0m/秒以下とすることができる。
また、本発明の多管式熱交換器は、上記円筒胴内と上記伝熱管内との双方を飲料が流れることにより、その飲料間で熱交換を行なうものとすることができる。
本発明は、上述の通りの構成を有することにより、円筒胴内の空隙を可能な限り低減させ、以って円筒胴内の洗浄性に優れることにより、円筒胴内を流れる熱媒として飲料を使用することが可能となった。
よって、本発明の多管式熱交換器は、飲料以外の液体ばかりではなく、特に飲料の熱交換システムとして好適に用いることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
<多管式熱交換器>
本発明の多管式熱交換器の概略断面図を図1に示す。図1に示されるように、本発明の多管式熱交換器1は、円筒胴2と、伝熱管3と、固定管板4と、遊動管板5と、ノズル18とを基本的に備えたものである。
ここで、上記固定管板4と上記遊動管板5とは、上記円筒胴2の両端部に各々取り付けられている。なお、上記円筒胴2の長手方向において屈曲部がない場合には、上記固定管板4と上記遊動管板5とは互いに対向するように取り付けられることになる。
また、上記伝熱管3は、複数本存在し、その各々の一端が上記固定管板4に複数形成されている開口部6の一に接続され、他端が上記遊動管板5に複数形成されている開口部6の一に接続されることによって支持されている。
また、上記ノズル18は、上記円筒胴2に配置され、上記円筒胴2内に液体を供給し、または上記円筒胴2内から液体を排出するものである。
本発明の多管式熱交換器1は、このような基本構成を有することにより、円筒胴2内と伝熱管3内とを互いに温度の異なる液体が流れることにより、伝熱管3の管壁を介して間接的にそれらの液体間で熱交換を行なうものである。
<円筒胴>
上記円筒胴2は、シェルとも呼ばれるものであり、本発明の多管式熱交換器の言わば本体となるものである。通常、その形状は、外径が50mm〜400mm、長さが2m〜6mの円筒状の形状を有している。ここで、円筒または円筒状という表現を用いているが、これは便宜的なものであって、その断面形状はこのように円形のもののみに限られるものではなく、四角形や六角形等の多角形の形状としたり、楕円形の形状とすることもでき、本発明の範囲を逸脱するものではない。しかし、容易に洗浄することができるという観点からは、その断面形状が円形や楕円形のものが好ましい。
このような円筒胴2は、その両端部において後述の固定管板4と遊動管板5とが取り付けられ、複数の伝熱管3が支持されている。なお、円筒胴2の材質は、特に限定されるものではないが好ましくはステンレス鋼である。
<伝熱管>
上記伝熱管3は、チューブとも呼ばれるものであり、上記円筒胴2内に複数本存在するものである。その本数は、より好ましくは10〜50本である。
このような伝熱管3の形状は、外径が10mm〜30mmの円筒状の形状を有しており、その長さは上記円筒胴の長さとほぼ同じである。また、その断面形状は円筒胴2と同様、このように円形のもののみに限られるものではなく、四角形や六角形等の多角形の形状としたり、楕円形の形状とすることもでき、本発明の範囲を逸脱するものではない。しかし、容易に洗浄することができるという観点からは、その断面形状が円形や楕円形のものが好ましい。なお、伝熱管3の材質は、特に限定されるものではないが好ましくはステンレス鋼である。
このような伝熱管3は、上記の通り複数本存在するものであるが、その一端は後述の固定管板4に複数形成されている開口部6の一に接続され、他端は後述の遊動管板5に複数形成されている開口部6の一に接続されることによって支持されている。
<固定管板>
本発明の固定管板4は、上記円筒胴2の一方の端部に固定して取り付けられている。この固定方法は特に限定されるものではないが、好ましくは図1および図4に示したように上記円筒胴2と上記固定管板4との接合部19には、ヘルール構造の三角溝を有する継手部が用いられることにより、上記固定管板4を円筒胴2に固定して取り付けることが好適である。なお上記の三角溝とは、図3や図4等においてOリングが挿入されている溝部の総称であって、本願ではその断面形状が三角形状や台形状になった溝部をいう。
ここで、図4は上記円筒胴2と上記固定管板4との接合部19のヘルール構造の継手部を拡大した概略断面図であり、固定管板4に形成されたフランジ15と円筒胴2に形成されたフランジ15とをクランプ16により把持することによって固定したものである。なお、このような継手部を採用することにより、上記円筒胴2と上記固定管板4との接合部19は簡単にその接合を解除することができ、また後述のように上記遊動管板が取り付けられている側において上記ノズルの一を含む部分を上記円筒胴から短管状に分割することにより、円筒胴および固定管板の相対位置をずらすことによって、汚れや不具合の生じやすい固定管板の裏側を観察したり洗浄したりすることができる。
そして、この継手部の三角溝のパッキンとしては、Oリング9を用いることが好ましい。このようなパッキンとしては従来十字型パッキン等が用いられることがあったが、本発明ではOリング9を用いることによりこの継手部の密閉性を飛躍的に向上させたものである。これにより、この継手部に空隙ができることがなく、熱媒として飲料を用いたとしてもこの継手部の洗浄不良による雑菌等の繁殖を効果的に防止することができる。
ここで、Oリングとは、合成ゴム等の弾性体でできたリング状の封止材である。なお、図1、図3および図4において、Oリング9はその断面形状が模式的に円形状に表されているが、実際にはその断面形状は円形を呈するものではなく押し潰されていて三角溝に空隙が生じないように該溝部を密閉充填されたものとなっている。
このような固定管板4は、複数の開口部6を備えることにより、その開口部6に上記伝熱管3を接続することによって伝熱管3を支持する作用を有するものである。
このような固定管板4は、その外形が円筒胴2の外形とほぼ等しくなるものであり、その厚みが2cm〜10cmの形状を有する。また、その材質は、特に限定されるものではないが好ましくはステンレス鋼である。
<遊動管板>
本発明の遊動管板5は、上記円筒胴2において上記固定管板4が取り付けられている端部とは異なる側の端部に取り付けられている。しかし、この遊動管板5は上記の固定管板4とは異なり円筒胴2に対して固定して取り付けられるものではなく、その遊動管板5の厚み方向の両端部の各々の外周に沿って第1溝部7と第2溝部8とを有するとともに、この第1溝部7と第2溝部8とに各々Oリング9を挿入することによって、上記円筒胴2内の内壁10と接触しながら任意方向に移動可能な状態とされている。
図3は、この遊動管板5の取り付け位置を拡大した概略断面図である。ここで、遊動管板5の厚み方向の両端部とは、円筒胴2の内壁10に平行な方向の両端(図3においてA、Bと表示した部分)であり、その両端部A、Bの各々の外周に沿って(すなわち外周に平行して周囲を1周するように)第1溝部7と第2溝部8とが形成されており、この第1溝部7と第2溝部8とに各々Oリング9を挿入することによって、遊動管板5は上記円筒胴2内の内壁10と接触しながら任意方向(図3においては内壁10に沿って左右両方向)に移動することができる。
このように遊動管板5は、円筒胴2内で移動可能な状態で取り付けられていることにより、円筒胴2内を流れる液体と伝熱管3内を流れる液体の温度差が大きくても、円筒胴2と伝熱管3との伸縮差による応力の発生を防止することができ、以って応力腐食割れ等の不具合を有効に防止することができる。すなわち、このように遊動管板5を移動可能とすることにより、円筒胴内を流れる液体として高温のものや低温のものを使用することが可能となった。
このような遊動管板5は、その外径が円筒胴2の内径とほぼ等しくなるものであり、その厚みが2cm〜10cmの形状を有する。また、その材質は、特に限定されるものではないが好ましくはステンレス鋼である。
また、上記第1溝部7と第2溝部8は、好ましくは遊動管板5の厚み方向のそれぞれの端部から0.5cm〜1cmの位置で、深さ1mm〜5mmの溝状に形成されることが好ましい。また、その溝部の形状は、上記のような三角溝とすることが好ましい。
このような本発明の遊動管板5は、上記のように溝部を2箇所設け(第1溝部7、第2溝部8)、しかもこれらの溝部を遊動管板5の両端外周部に可能な限り近接させて設けるとともにそこにOリングを挿入させる構造としたことにより、遊動管板5と円筒胴2との間の空隙部分(図3における空隙20であって液体が浸入し得る部分)を可能な限り低減させたことを特徴としている。この点、遊動管板5における溝部を上記のような2箇所ではなく1箇所のみに形成すると、遊動管板自体を移動可能なものにすることはできるものの、非常に大きな空隙部分がこの遊動管板と円筒胴との間に形成されることになるため好ましくない。
さらに、このように溝部を2箇所設けたことにより後述のような空隙部13を形成することができ、円筒胴2内を流れる液体(図3においては遊動管板5の左側に存在する液体)と伝熱管内を流れる液体(図3においては遊動管板5の右側に存在する液体であって、隣接する配管内に存在する液体)とをこの空隙部13により隔てることができるため、これらの両液体が混合することを極めて有効に防止することができる。
<空隙部>
本発明の遊動管板5は、上述のように円筒胴2との間に生じる、液体が浸入する空隙20を可能な限り低減させたものであるが、図3に示したようにこの遊動管板5と、上記第1溝部7に挿入されたOリング9と、上記第2溝部8に挿入されたOリング9と、上記円筒胴2とにより囲まれた空隙部13を形成することにより、次のような効果を示すことができる。
すなわち、まず上述のように円筒胴2内を流れる液体と伝熱管内を流れる液体とをこの空隙部13により隔てることができるため、これらの両液体が混合することを極めて有効に防止することができる。
また、この空隙部13において図1に示したように外部に通じる1または複数の孔14を前記円筒胴2に形成することにより、その孔14より温水または水蒸気を導入することによって、その周辺部で雑菌等が繁殖することを有効に防止することができ衛生的見地より極めて有効なものとなる。この場合、温水または水蒸気の温度は、80℃〜140℃とすることが好ましい。
また、この空隙部13における上記孔14を通して液体(飲料)の漏れ(浸入)を検知することができ、万一のOリング9の破損をすぐに発見することが期待できる。
<固定管板/遊動管板と伝熱管との接続>
本発明の伝熱管3は、上述のように上記固定管板4の開口部6と上記遊動管板5の開口部6とにその両端が接続されることにより支持される構造となっている。このような接続構造として好ましくは次のような態様を示すことができるが、このような態様のみに限られるものではない。
すなわち、固定管板4と遊動管板5の各々に複数形成されている開口部6の各々は、上記伝熱管3と接続される側の上記開口部6の周縁部においてガイドを備えた突起部が形成され、上記伝熱管3は上記突起部に挿入されるとともに上記突起部との間に空隙が生じることのないように上記ガイドを含む突起部と溶接されることにより上記開口部と接続することが好ましい。
この構造について、図2を用いてより具体的に説明する。なお図2は、伝熱管3の接続部を拡大した概略断面図であり、固定管板4の開口部6と伝熱管3との接続部を図示しているが、遊動管板5側でも同様である。
まず、開口部6の伝熱管3と接続される側の周縁部12には、ガイド21を備えた突起部11が形成されている。ここで、開口部6の直径は、その構造上伝熱管3の内径と同一となることが好ましい(なお、開口部の形状は、円形であることを前提として説明しているが、その形状はこれのみに限定されるものではなく伝熱管の断面形状に一致するものである)。また、突起部11の高さhは、2mm〜10mmとすることが好ましく、さらに好ましくは5mm〜7mmである。またガイド21の深さdは、0.5mm〜3mmとすることが好ましく、さらに好ましくは0.5mm〜1.5mmであり、その肉厚tは0.5mm〜3mmとすることが好ましく、さらに好ましくは0.5mm〜1mmである。
そして、上記伝熱管3はこのような突起部11に挿入されるとともにこの突起部11との間に空隙が生じることのないように上記ガイド21と溶接されることにより開口部6と接続される。ここで、上記溶接方法としては、IBW(インターナルボアウェルディング)法を採用することが好ましい。すなわち、上記伝熱管3内に溶接ヘッドを挿入し溶接トーチを伝熱管3の内側から当てることにより、接続部における上記ガイド21を含む突起部11と伝熱管3との両者が実質的に完全に溶け合うようにして溶接接合させることが好ましい。これにより、伝熱管3の管壁の肉厚が溶接により減少することが防止されるとともに伝熱管3と突起部11との間に空隙が生じることを有効に防止することができる。
なお、固定管板/遊動管板と伝熱管との接続方法は、上記のような溶接法のみに限られるものではなく、たとえば拡管(セートル)法を採用することもできる。この拡管法を採用する場合は、固定管板/遊動管板の開口部の内径を伝熱管の外径より極僅か大きくし、その開口部に伝熱管の端部を挿入し、該伝熱管が各管板と接している部分を伝熱管の内側より押し広げる(拡管する)ことにより伝熱管を管板に接合することができる。この場合、固定管板/遊動管板には、上記のような突起部を形成する必要はないが、上記の溶接法に比し伝熱管と開口部との間に空隙が生じ易いため注意が必要である。なお、この拡管法を採用する場合には、所望により伝熱管の挿入部の端部に対してシール溶接を行なうことができる。
<ノズル>
本発明のノズル18は、上記円筒胴に配置され、上記円筒胴内に液体を供給し、または上記円筒胴内から液体を排出するものであり、たとえば図1に示したように上記円筒胴2の両端付近に各々1箇所ずつ計2個形成されるものである。すなわち、このように2個のノズルのうち、その一のノズルにより円筒胴2内に液体が供給され、他の一のノズルによりその液体は排出されることになる。
そして、このようなノズルの各々は、上記円筒胴2の両端付近であって、特に固定管板と遊動管板の各々に近接させて配置させることが好ましい。円筒胴の長手方向において各ノズルが配置される位置よりもさらに端側に固定管板と遊動管板とは配置されることになるが、各ノズルとこれらの固定管板/遊動管板との間に一定の距離をもった空間が形成されるとその部分に円筒胴内を流れる液体が淀むことになるからである。
このため、各ノズルを配置させる位置は、図5に示した距離Dが0.5mm〜1mmとなることが好ましい。図5は、ノズルが配置される箇所の概略拡大断面図であるが、この距離Dは円筒胴2に角をとって(アールをもって)取り付けられているノズルに対して、アールを伴わない水平状の円筒胴部分の該ノズルの取り付け箇所から遊動管板5(該遊動管板5が該ノズル側に最も近づいた状態)までの距離を示すものである。なお図5は、遊動管板5側の拡大断面図であるが、固定管板4側でも同様である。
<円筒胴の分割>
本発明の上記円筒胴2は、上記遊動管板が取り付けられている側において上記ノズルの一を含む部分を短管状に分割することができる。このように上記ノズルの一を含む部分を短管状に分割することにより、遊動管板部を容易に観察したり洗浄したりすることができ、汚れや不具合を有効に防止することができる点、衛生的見地からも極めて好ましいものである。
なお、このように短管状に分割する部分がノズルの一を含むのは、仮にこのノズルの一と遊動管板との間に接合部を形成するとこの接合部の形成に伴い円筒胴内に不必要な空間を生じることになり、この空間に円筒胴内の液体が淀むことを防止するためである。
一方、上記のように短管状に分割する部分と円筒胴との接合部25には、上記円筒胴と固定管板との接合部19において説明したのと同様に、ヘルール構造の三角溝を有する継手部が用いられ、この継手部にはパッキンとしてOリングが用いられていることが好ましい。ここで、このヘルール構造の継手部およびOリングについては、上記図4に示したものと同様のものであるのでその説明は省略する。
<補助支持材>
本発明の上記伝熱管は、図6および図7に示されているような補助支持材によりさらに支持されたものとすることができる。図6は、上記補助支持材22により伝熱管3が支持されている様子を示す概略斜視図であり、図7は上記補助支持材22により伝熱管3が支持されている様子を示す概略断面図である。なお、図6においては円筒胴2が省略されている。
すなわち、上記円筒胴2内に配置される上記伝熱管3用の補助支持材22は、複数の棒状サポート部23とそれに接合される複数の棒状ループ部24とを有してなり、この棒状サポート部23の各々は前記伝熱管3と実質的に平行して配置されており、上記棒状ループ部24の各々は上記棒状サポート部23と直交しかつ所定の間隔を隔てて配置されているとともに互いに異なる2以上の上記棒状サポート部23と接合されている。そして、この棒状ループ部24の各々はそのループの内側に上記複数本の伝熱管3のうちの一部の一群の伝熱管3を通すことにより該伝熱管3を支持している。
このように上記補助支持材22は、伝熱管3を支持する作用を示すものであるが、それと同時に円筒胴2内を流れる液体に対してバッフルのような作用を示すことにより、該液体の流速を速める作用をも示し得るものである。
このような補助支持材22は、その長手方向において棒状サポート部23に対する棒状ループ部24の取り付け位置を徐々に変化させる(各々の棒状ループ部の相対的位置が所定の角度毎にずれて配置される)ようにし、かつ所定の間隔、好ましくは略等間隔で棒状サポート部23の2以上のものに接合させることが好ましい。そしてこれにより、上記複数本の伝熱管3の全てのものが、いずれかの棒状ループ部24により支持されるようにすることが好ましい。
なお、本発明の多管式熱交換器1は、予め円筒胴2内にこのような補助支持材22を配置させた後に伝熱管3を挿入し、その後この伝熱管3を固定管板4および遊動管板5に接続することにより製作することができる。
ここで、このような補助支持材22の長手方向の長さは、円筒胴の長手方向の長さ、より正確には固定管板から遊動管板までの距離とほぼ同等のものとすることが好ましい。また棒状サポート部および棒状ループ部を構成する各棒状体の外径は、互いにほぼ等しい外径であってもよいし、異なる外径であってもよい。通常、その棒状体の外径は、伝熱管の外径より細くなるように大略2mm〜10mmの範囲内のものを選択することができる。また、棒状サポート部23の長手方向の長さは、上記の通り、その構造上補助支持材22の長手方向の長さとなり、棒状ループ部24のループの大きさは、伝熱管3を数本〜十数本通すことができる程度の大きさとすることが好ましい。
<熱交換方法>
本発明の多管式熱交換器1は、上述のように、円筒胴2内と伝熱管3内とを互いに温度の異なる液体が流れることにより、伝熱管3の管壁を介して間接的にそれらの液体間で熱交換を行なうものである。この場合、円筒胴2内を流れる液体の方向と、伝熱管3内を流れる液体の方向は、互いに対向させることが好ましいが、並行させることもできる。
そして、特に本発明の多管式熱交換器1は、上述の通りの構成を有することにより、上記円筒胴2内と上記伝熱管3内との双方において飲料を流すことが可能であるため、これらの飲料間での熱交換を行なうことができるようになった。このため、従来のように円筒胴内は熱媒たる飲料以外の液体を流し、伝熱管内にのみ熱交換の対象となる飲料を流す場合に比べ、加熱操作と冷却操作の両者を含む飲料の通常の処理工程において該工程全体の熱エネルギーの損失を飛躍的に低減させることに成功したものである。
このように、複数の本発明の多管式熱交換器1を組み合せて用いることにより、伝熱管3内を流れる飲料と円筒胴2内を流れる飲料とが保有している熱エネルギーを有効に利用するようなプラントを構築すれば、プラントそのものをコンパクト化することができ、飲料の加熱殺菌消毒等の用途においてその産業上の利用性を飛躍的に向上させることができる。なお、円筒胴2内を従来のように飲料以外の熱媒を流すことも勿論可能であり、これと上記のように円筒胴2内を熱媒として飲料を流すものとを組み合せてプラントを構築することもできる。
このように伝熱管3内だけでなく円筒胴2内にも飲料を流すことができるようになったのは、本願発明の多管式熱交換器1が上述の通りの構成を有するからに他ならず、円筒胴2内の空隙を可能な限り低減させ優れた洗浄性が得られるようになったからである。
なお、本発明の多管式熱交換器1を用いて熱交換される飲料は、特に限定されるものではなく、広範囲のものに適応することができる。たとえば、牛乳、乳性飲料、果汁飲料、コーヒー、紅茶、緑茶、炭酸飲料、アルコール、ミネラルウォーター、栄養ドリンク、だし、たれ、麺汁、あるいはこれらの飲料の製造過程で用いられる調合用や抽出用の水等を挙げることができる。なお、各種液状医薬品(目薬等も含む)も含まれる。
<熱交換の好適な条件>
本発明の多管式熱交換器1は、上記円筒胴の内径の断面積をS1、上記複数の伝熱管の外径の断面積の総和をS2、上記複数の伝熱管の内径の断面積の総和をS3とした場合、
0.45≦S3/(S1−S2)≦0.7
という関係が成立し、かつ上記円筒胴内を流れる液体の流速が、0.4m/秒以上2.0m/秒以下とすることが好ましい。
このような条件を採用することにより、円筒胴内を流れる液体の流速と伝熱管内を流れる液体の流速との間でバランスがとれ、上記補助支持材を設置した場合であっても500W/(m2・℃)〜5000W/(m2・℃)という総括伝熱係数を得ることができるという優れた効果を達成することができる。
このS3/(S1−S2)が0.45未満となる場合、円筒胴内を流れる液体の流速が遅くなり、上記のような熱交換率(総括伝熱係数)を得るためには円筒胴内にバッフル(邪魔板)を設置することにより円筒胴内の液体の流速を速める必要がある。しかし、このようなバッフルを設置する場合は空隙や流れの淀みを多数生じる可能性があり好ましくない。また、S3/(S1−S2)が0.7を超えると、構造上各伝熱管の間隔が非常に狭くなり、多管式熱交換器自体の製作に困難を伴う場合がある。
また、上記流速が0.4m/秒未満となる場合、円筒胴内を流れる液体の流速が遅くなることによりもたらされる上記と同様の問題を生じる可能性がある。また、上記流速が2.0m/秒を超えると伝熱管内を流れる液体の流速も速める必要があり、これに伴う圧力損失が大きくなるため、特にこの多管式熱交換器同士を複数連結させて使用する場合に問題となる可能性がある。
<その他>
本発明の多管式熱交換器1は、上記のように円筒胴2と、伝熱管3と、固定管板4と、遊動管板5と、ノズル18とを備えたものである限り、これら以外の任意の構成を付加することができる。また、上記ノズル18を介して複数の多管式熱交換器と接続することにより、多段の熱交換システムを構築することが可能である。
このように本発明の多管式熱交換器1は、複数の本発明の多管式熱交換器1と組み合せて用いることができるとともに、加熱装置や冷却装置または熱媒供給装置や冷媒供給装置、あるいはこれらとポンプとを組み合せて用いることができる。
また、本発明の多管式熱交換器1は、これら以外の他の配管と組み合せて用いることも当然可能である。たとえば、上記の円筒胴2と同一の内径を有する配管を上記固定管板4側および/または遊動管板5側に接続することにより、上記伝熱管3内を流れる液体を供給または排出することができる。また、上記ノズル18と同一の内径を有する配管を上記ノズル18に接続することにより、上記円筒胴2内を流れる液体を供給または排出することができる。このような他の配管を本発明の多管式熱交換器に接続する場合は、図4に示したようなヘルール構造の継手部により接続することが好ましい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の多管式熱交換器の概略断面図である。 固定管板と伝熱管との接続部を拡大した概略断面図である。 遊動管板の取り付け位置を拡大した概略断面図である。 ヘルール構造の継手部を拡大した概略断面図である。 ノズルが配置される箇所を拡大した概略断面図である。 補助支持材により伝熱管が支持されている様子を示す概略斜視図である。 補助支持材により伝熱管が支持されている様子を示す概略断面図である。
符号の説明
1 多管式熱交換器、2 円筒胴、3 伝熱管、4 固定管板、5 遊動管板、6 開口部、7 第1溝部、8 第2溝部、9 Oリング、10 内壁、11 突起部、12 周縁部、13 空隙部、14 孔、15 フランジ、16 クランプ、18 ノズル、19,25 接合部、20 空隙、21 ガイド、22 補助支持材、23 棒状サポート部、24 棒状ループ部。

Claims (9)

  1. 円筒胴と、伝熱管と、固定管板と、遊動管板と、ノズルとを備えた多管式熱交換器であって、
    前記固定管板と前記遊動管板とは、前記円筒胴の両端部に各々取り付けられており、
    前記伝熱管は、複数本存在し、その各々の一端が前記固定管板に複数形成されている開口部の一に接続され、他端が前記遊動管板に複数形成されている開口部の一に接続されており、
    前記遊動管板は、その厚み方向の両端部の各々の外周に沿って第1溝部と第2溝部とを有するとともに、前記第1溝部と前記第2溝部とに各々Oリングが挿入されており、
    前記ノズルは、前記円筒胴に配置され、前記円筒胴内に液体を供給し、または前記円筒胴内から液体を排出するものであり、
    前記円筒胴内には、前記伝熱管用の補助支持材が配置されており、前記補助支持材は複数の棒状サポート部とそれに接合される複数の棒状ループ部とを有してなり、前記棒状サポート部の各々は前記伝熱管と実質的に平行して配置されており、前記棒状ループ部の各々は前記棒状サポート部と直交しかつ所定の間隔を隔てて配置されているとともに互いに異なる2以上の前記棒状サポート部と接合されており、前記棒状ループ部の各々はそのループの内側に前記複数本の伝熱管のうちの一部の一群の伝熱管を通すことにより前記伝熱管を支持することを特徴とする多管式熱交換器。
  2. 前記遊動管板は、前記円筒胴内の内壁と接触しながら任意方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
  3. 前記ノズルは、前記円筒胴の両端付近に各々1箇所ずつ計2個形成されていることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
  4. 前記円筒胴は、前記遊動管板が取り付けられている側において前記ノズルの一を含む部分を短管状に分割することができることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
  5. 前記遊動管板と、前記第1溝部に挿入されたOリングと、前記第2溝部に挿入されたOリングと、前記円筒胴とにより囲まれた空隙部において、外部に通じる1または複数の孔が前記円筒胴に形成されていることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
  6. 前記固定管板と前記遊動管板の各々に複数形成されている前記開口部の各々は、前記伝熱管と接続される側の前記開口部の周縁部においてガイドを備えた突起部が形成され、前記伝熱管は前記突起部に挿入されるとともに前記突起部との間に空隙が生じることのないように前記ガイドを含む突起部と溶接されることにより前記開口部と接続されていることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
  7. 前記円筒胴と前記固定管板との接合部および前記円筒胴と前記短管状に分割する部分との接合部には、ヘルール構造の三角溝を有する継手部が用いられ、前記継手部にはパッキンとしてOリングが用いられていることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
  8. 前記円筒胴の内径の断面積をS1、前記複数の伝熱管の外径の断面積の総和をS2、前記複数の伝熱管の内径の断面積の総和をS3とした場合、
    0.45≦S3/(S1−S2)≦0.7
    となり、かつ
    前記円筒胴内を流れる液体の流速が、0.4m/秒以上2.0m/秒以下となることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
  9. 前記円筒胴内と前記伝熱管内との双方を飲料が流れることにより、その飲料間で熱交換がされることを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
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