JP4149190B2 - 高炉水砕スラグの処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉水砕スラグの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高炉水砕スラグは、製銑工程において副産する高炉スラグに、加圧水を噴射して急冷、粒状化したもので、年間2000万t以上生産されている。
高炉水砕スラグは、水硬性を持つため、微粉砕し、セメント用原料に使われてきた。また、近年、天然砂が枯渇しつつあるなかで、資源保護の観点から、天然砂の代替として、土木工事用材料や、コンクリート用細骨材として、高炉水砕スラグそのもの、あるいは粉砕して粒度調整した粒度調製物として使用する機会が増えてきている。
【0003】
ところで、高炉水砕スラグは、そのまま用いられる場合も粒度調製物として用いられる場合も、出荷待ち、あるいは使用待ちのため野積み状態または貯槽内で長時間貯蔵されることが多く、さらに船舶等により長期間をかけて輸送される場合もある。高炉水砕スラグの水硬性は、セメント原料として使用する際には必要不可欠な性質であるが、使用前の長期間の貯蔵中あるいは輸送中に既に水和反応を起こすと、セメント用原料としての性能が劣化し、十分な強度を持つコンクリートにならない。さらに、スラグ粒子同士が水和生成物を媒体に強固に固結し塊状になると、もはや細骨材として使えなくなり、その結合強度も高いことから、もとの粒子状に破砕、整粒するのに極めて労力を要する。
【0004】
また、高炉水砕スラグを土木工事用材料として使用する場合、強固な地盤を形成させるという目的には水硬性が有利に働くが、軟弱地盤の表層処理工法のサンドマット材等に使用するには、経過日数によっては施工中に固結するため、次に、このサンドマット材にペーパードレインあるいはプラスチックドレイン等の垂直ドレイン材を打設、貫通させようとしても極めて困難になる。土木用途としては、盛土材、埋め戻し材、裏込め材などとして使用されることもあるが、この場合も、施工をした後に、数日から数年後に、その部分を掘り起こし新たに埋設物を埋める工事をしたり、植裁を施したり、さらに数十年が経過した後に再度掘り起こしたりするケースもある。これらの場合、水砕スラグの固結は、掘り起こし作業に大きな力を必要とし、さらに、配管工事などでは、既埋設物の破損を引き起こす危険性もある。したがって、従来は、この種の用途への高炉水砕スラグの使用が制約されてきた。
【0005】
かかる水和反応および固結現象は、気温の高い夏季に特に顕著であり、以下のような機構で進行すると考えられる。まず、高炉水砕スラグの水和反応は、ガラス質からのカルシウムの溶出とpH上昇から始まり、このアルカリ刺激によりシリコンやアルミニウム等の成分が溶出する。溶出した成分によって、高炉水砕スラグ粒子近傍の液相中のカルシウム、シリコン、アルミニウム等の成分濃度が、各種水和生成物の析出条件まで上昇すると水和物の生成が始まり、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)や、珪酸カルシウム水和物(C−S−H)等の水和物を生成し、次第に層厚を増し、粒子同士の固結へ至る。また、この水和物生成反応は、液相においてのみならず、高炉水砕スラグの表面近傍の粒子内部でも生じる。
【0006】
高炉水砕スラグまたはその粒度調製物の水和反応および固結を防止するために、従来からいくつかの方法が提案されている。例えば、特公昭58−35944号公報には脂肪族オキシカルボン酸、脂肪族オキシカルボン酸塩またはこれらの2種以上の混合物を重要成分とする固結防止剤が示されている。また、特開昭54−71793号公報には、高炉水砕スラグに酸水溶液を散布し、活性なカルシウムを一度中和する固結防止方法が示されている。
【0007】
さらに、高炉水砕スラグ中のCaOに炭酸ガスを接触させ、あるいは、高炉水砕スラグ中のCaOに炭酸ガスをバブリングした水に含まれる炭酸(HCO)等を接触させ、スラグ粒子表面に難溶性のCaCOの皮膜を形成し、この皮膜によって高炉水砕スラグからのカルシウム等の溶出反応を抑制し、水和反応ひいては固結を抑制する方法が示されている。
【0008】
具体的には、特開昭54−112304号公報、特開昭54−127895号公報、特開昭54−131504号公報、特開昭55−162454号公報には、高炉水砕スラグあるいは高炉水砕スラグを軽破砕したものに、気相状態の炭酸ガスを接触させる方法が示されている。
【0009】
また、特開平10−95644号公報には、炭酸ガスを溶解させた炭酸水溶液に高炉水砕スラグを浸漬させる固結防止方法が開示されている。
【0010】
ところが、これら従来技術のうち、特公昭58−35944号公報の固結防止剤による方法では、野積み状態の間に雨が降れば、高炉水砕スラグの表面から固結防止剤が溶離するため十分な固結防止機能を発揮しない。また、水や海水に浸る条件での土木工事用材料として使用する場合も、また同様に、水中や海水中に固結防止剤が流出するため十分に固結防止することができない。
【0011】
また、特開昭54−71793号公報の酸水溶液を散布する方法では、セメント原料またはコンクリート骨材として用いる場合に、残留酸イオンがコンクリートの性状に悪影響を及ぼすため、添加量を十分に管理しなければならない。
【0012】
さらに、特開昭54−112304号公報等の高炉水砕スラグに気相状態の炭酸ガスを接触させる方法の場合、ホッパーまたは野積み状態に充填された粒状の高炉水砕スラグに炭酸ガスを均一に行き渡らせることが困難であり、ガスが行き渡らない箇所においては十分な水和反応抑制効果および固結抑制効果を得ることができない。
【0013】
一方、特開平10−95644号公報の冷却された高炉水砕スラグを炭酸水溶液に浸漬させる方法の場合には、炭酸を高炉水砕スラグに均一に供給することができるのでその点からは望ましい方法であるが、高炉水砕スラグの炭酸化反応により炭酸水溶液中の炭酸イオン濃度が低下し、水和反応防止効果や固結防止効果が減少してしまうおそれがある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、十分な水和反応防止効果および固結防止効果を発揮することができる高炉水砕スラグの処理方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、高炉水砕スラグに炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得る工程と、前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に炭酸ガスを補給する工程とを有することを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法を提供する。
【0016】
このように炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得た後に、この混合物に炭酸ガスを補給することにより、炭酸水溶液中へ炭酸イオンが供給されるので、高炉水砕スラグの炭酸化反応が生じても炭酸水溶液の炭酸イオン濃度が低下するおそれが少なく、十分な水和反応抑制効果および固結防止効果を得ることができる。
【0017】
前記炭酸ガスを補給する工程は、山状に積み付けられた状態または貯槽内に貯蔵された状態の炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に対して行うことができる。
【0018】
本発明の第2の観点では、高炉水砕スラグに炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得る工程と、前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を炭酸ガス雰囲気におく工程とを有することを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法を提供する。
【0019】
このように炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得た後に、この混合物を炭酸ガス雰囲気におくことにより、炭酸ガス雰囲気から炭酸水溶液中へ炭酸イオンが供給されるので、高炉水砕スラグの炭酸化反応が生じても炭酸水溶液の炭素イオン濃度が低下するおそれが少なく、十分な水和反応抑制効果および固結防止効果を得ることができる。
【0020】
前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を炭酸ガス雰囲気におく工程は、密閉空間に前記混合物を装入し、その密閉空間内を炭酸ガス雰囲気にするものであることが好ましい。これにより、容易に炭酸ガス雰囲気を形成することができる。具体的には、吸気管および排気管が設けられた密閉容器に前記混合物を装入し、排気管を介して密閉容器内の密閉空間を排気するとともに、吸気管を介して所定の炭酸ガスを容器内に導入し、前記密閉容器内が所定の雰囲気になった際に前記排気管が閉じられるように構成することが好ましい。この場合に、前記密閉空間内を加圧雰囲気にすることが好ましい。これにより、炭酸水溶液中への炭酸ガスの供給が促進される。また、前記炭酸ガス雰囲気中の炭酸ガス濃度は、10%以上であることが好ましい。
【0021】
上記第1および第2の観点において、前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物の温度を20℃以上とすることが好ましい。炭酸化反応は高温ほど進行し、炭酸イオンの溶解度は高温ほど低下するため、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物の温度が高いほど炭酸ガス供給効果が大きい。炭酸ガスとして、高温排ガスを用いることが好ましい。高温排ガスは炭酸ガスを10%以上含んでおり、反応性も高く、しかも低コストであるから炭酸ガス源として極めて有効である。
【0022】
高炉水砕スラグは、製銑工程で発生する高炉水砕スラグをそのまま用いるか、さらに粒度を調製した粒度調製品として用いるか、またはこれらを混合して用いることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明に係る高炉水砕スラグの処理方法は、高炉水砕スラグに炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得る工程(第1工程)と、前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に炭酸ガスを補給する工程(第2A工程)、または前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を炭酸ガス雰囲気におく工程(第2B工程)とを有する。
【0024】
まず、第1工程について説明する。
第1工程では、高炉水砕スラグに炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得るが、このような処理により、高炉水砕スラグに含まれるCaOと、炭酸水溶液中の炭酸(HCO)とを反応させ、高炉水砕スラグの粒子表面に難溶性の炭酸カルシウム皮膜を形成し、この皮膜により水和および固結を防止する。この処理では、炭酸カルシウムを生成せずに、スラグ粒子表面に吸着する炭酸イオンも存在するが、この表面に吸着した炭酸イオンもその効果は小さいが固結を防止する。
【0025】
炭酸水溶液と高炉水砕スラグとを接触させる手法は特に限定されるものではなく、炭酸水溶液を高炉水砕スラグに散布してもよいし、炭酸水溶液に高炉水砕スラグを浸漬させてもよい。ただし、浸漬させる場合には高炉水砕スラグを浸漬させるのに足りるだけの大量の炭酸水溶液を調整する必要があるが、散布する場合には浸漬の場合よりもより少ない水溶液で高い水和反応抑制効果および固結防止効果を得ることができるので、散布することがより好ましい。
【0026】
高炉水砕スラグへ炭酸水溶液を散布する具体的な方法としては、高炉水砕スラグの貯槽の出口に搬送用のコンベアーを設け、そのコンベアーの上方に炭酸水溶液散布用のシャワーを設け、搬送中している高炉水砕スラグにシャワーから炭酸水溶液を散布する方法を採用することができる。これにより高炉水砕スラグに炭酸水溶液を均一にむらなく散布することができる。また、山状に積み付けられた高炉水砕スラグや、貯槽に貯蔵された高炉水砕スラグ等の上方から炭酸水溶液を散布するようにしてもよい。さらに、散布後の高炉水砕スラグを混合すると、炭酸水溶液の分布がより均一になり、一層の固結防止効果を得ることができる。
【0027】
炭酸水溶液に高炉水砕スラグを浸漬する具体的な方法としては、高炉水砕スラグの貯槽に炭酸水溶液を溜めておき、そこで高炉水砕スラグを炭酸水溶液に浸漬する方法や、高炉水砕スラグの貯槽の出口からコンベアーにより炭酸水溶液が貯留された浸漬槽へ高炉水砕スラグを順次搬送し、スクリューコンベアー等で浸漬槽から外部に順次搬送する方法等を採用することができる。
【0028】
次に、炭酸ガスの製造方法について説明する。
炭酸ガスは水に溶けやすく、その溶解度はCO濃度とガス圧力に比例する。25℃大気圧でのCO100%ガスの飽和溶解度は0.037規定(0.16g/100g水)になる。炭酸ガスの溶解は下記式(1)のように示され、溶解後の形態は、炭酸(HCO)、炭酸水素イオン(HCO )、炭酸イオン(CO 2−)であり、酸性領域で炭酸、中性領域で炭酸水素イオン、アルカリ性領域では炭酸イオンが安定であり、pHによってそれぞれの存在比が変化する。
CO+HO→HCO→H+HCO →2H+CO 2−
……(1)
【0029】
図1は、炭酸水溶液の製造設備の一例を示す概略断面図である。
この製造設備は、内部に水を貯留可能な塔1と、塔1の下部から水を供給する水供給機構2と、塔1内の水に炭酸ガスを吹き込むガス分散器4と、ガス分散器4に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給機構3と、塔1の上部から炭酸水溶液を取り出すための取水管6と、塔1の上部を覆うように設けられたダクト5と、ダクト5から排気するための排気部7と、排気部7からの排気をガス分散器4のガス入側に導く導入管8とを有している。
【0030】
この製造設備で炭酸水溶液を製造する際には、水供給機構2から塔1内に連続的に水を供給しながら、または、水供給機構2から塔1内に所定量の水を供給した後に水供給機構2を停止してから、炭酸ガス供給機構3から供給される炭酸ガスまたは炭酸ガスを含有するガスを、ガス分散器4から塔1内の水に連続的に吹き込み、気泡群として分散させ、塔1内の水に炭酸ガスを吸収させて炭酸水溶液とする。この場合に、炭酸ガス供給機構3から加圧ガスを供給するようにすれば、塔1内の水に加圧ガスを溶解することができる。得られた炭酸水溶液は、取水管6から取り込まれ、高炉水砕スラグへの散布に用いられる。また、ガス分散器4から吹き込まれた過剰分の炭酸ガス等は、ダクト5から排気部7を介して排気される。この際、排気されたガスはそのまま系外に排出することができるが、導入管8を介してガス分散器4で循環再使用することも可能である。また、ガス分散器4から吹き込む炭酸ガスを含有するガスには排ガスを用いることも可能であり、これと塔1上部からの排気を再使用することとを組み合わせることにより、極めて安価に炭酸水溶液を製造することができる。
【0031】
このように水中に炭酸ガスまたは炭酸ガスを含有するガスを吹き込む代わりに、容器内に炭酸ガスまたは炭酸ガスを含有するガスを供給し、その容器内に水を噴霧するようにしても炭酸水を製造することができる。この場合にも炭酸ガスまたは炭酸ガスを含有するガスを加圧した状態で水に溶解させることができる。
【0032】
次に、第2A工程について説明する。
第2A工程では、第1工程で得られた炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に炭酸ガスを補給する。
【0033】
上述したように、第1工程において高炉水砕スラグに炭酸水溶液を接触させることにより得られた混合物は、高炉水砕スラグの炭酸化反応により、炭酸水溶液中の炭酸イオン濃度が低下し、水和反応防止効果や固結防止効果が減少してしまうおそれがあるが、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に炭酸ガスを補給することにより、炭酸水溶液中へ炭酸イオンが供給されるので、炭酸水溶液の炭酸イオン濃度が低下するおそれが少なく、十分な水和反応抑制効果および固結防止効果を得ることができる。
【0034】
炭酸ガスを補給する方法としては、図2に示すように、山状に積み付けられた炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物11に補給してもよいし、図3に示すように、混合物11を貯槽17に装入した状態で補給しても良い。前者の場合には、具体的には図2の(a)に示すように山状に積み付けられた炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物11の上方から配管12およびノズル13を介して炭酸ガスを供給してもよいし、(b)に示すように混合物11を積み付ける床板14に多数のガス吐出孔15を設け、配管16aから床板14内を水平に延びるガス流路16を介して供給された炭酸ガスをこのガス吐出孔15を介して混合物11内部に供給するようにしてもよい。後者の場合には、具体的には図3の(a)に示すように混合物11を貯槽17に装入した状態で、その上方から配管12およびノズル13を介して炭酸ガスを供給してもよいし、(b)に示すように貯槽17の底板17aに多数のガス吐出孔18を設け、配管19aから底板17a内を水平に延びるガス流路19を介して供給された炭酸ガスをこのガス吐出孔18を介して混合物11内部に供給するようにしてもよい。高炉水砕スラグ全体に均一に補給するためには、上方からの補給に加えて、例えば図2の(b)、図3の(b)に示したような手法で、混合物11の内部へ小流量で供給することが望ましい。本実施形態では、炭酸ガスが不足している部分に炭酸ガスが供給されればよいのであって、バブリング等の攪拌をともなったような供給態様は不必要である。このような供給態様は、むしろ炭酸ガスが大量に必要であり、かつ不所望な反応が生じるおそれがあることから好ましくない。
【0035】
次に、第2B工程について説明する。
第2B工程では、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を炭酸ガス雰囲気におくことにより、炭酸ガス雰囲気から炭酸水溶液中へ炭酸イオンが供給されるので、炭酸水溶液の炭酸イオン濃度が低下するおそれが少なく、十分な水和反応抑制効果および固結防止効果を得ることができる。
【0036】
高炉水砕スラグを炭酸ガス雰囲気におく方法としては、図4に示すように、密閉容器21内に炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物11を装入し、密閉容器21の上方に吸気管22と排気管23とを接続し、排気管23から排気しつつ吸気管22から所定濃度の炭酸ガスを供給し、密閉容器21内の密閉空間を所定の炭酸ガス雰囲気に保つ方法を挙げることができる。炭酸ガス雰囲気の形成は、不足した炭酸イオンを供給することが目的であるから、所定の雰囲気が形成された後は、排気管23を閉にしておき、消費された炭酸ガスを雰囲気から補給するようにすることが好ましい。これにより、炭酸ガス供給量を少なくすることができ、高効率となる。この場合に、密閉容器21内の密閉空間を加圧雰囲気にすることが好ましい。これにより反応をより促進することができる。また、雰囲気中に炭酸ガスが含まれていれば炭酸水溶液に炭酸ガスを供給することができるが、炭酸ガス供給効率の観点から、炭酸ガス濃度は10%以上であることが好ましい。各種排ガスは炭酸ガスを10%以上含んでいるから、好適に用いることができる。
【0037】
上記第2A工程および第2B工程のいずれにおいても、反応性の観点から、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物の温度を20℃以上とすることが好ましい。夏期は炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を放置しておいても20℃以上を確保することができるが、冬季は20℃以上の確保が困難であるため、適宜の加熱手段により混合物を加熱することが好ましい。製造直後の高炉水砕スラグは60℃以上であり、反応性の観点から好ましい。炭酸化反応は高温ほど進行し、炭酸イオンの溶解度は高温ほど低下するため、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物の温度が高いほど炭酸ガス供給効果が大きい。ただし、90℃になると炭酸イオンの溶解度が著しく低下してしまうため、事実上80℃程度が上限となる。
上記温度を満たす炭酸ガス源としては、高温排ガスを用いることが好ましい。高温排ガスは炭酸ガスを10%以上含んでおり、反応性も高く、しかも低コストであるから炭酸ガス源として極めて有効である。
【0038】
なお、上記実施形態では高炉水砕スラグをそのまま処理する場合について説明したが、粉砕して粒度調整した高炉水砕スラグを処理するようにしてもよい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
濃度20%の炭酸ガスをガス圧力4kg/cm(ゲージ圧)で水に吹き込んで製造された炭酸水溶液100mに高炉水砕スラグ100tを浸漬した状態の混合物を容器に装入した後、容器を密閉状態とし、次いで排気管から排気しつつ吸気管から同様の炭酸ガスを容器内に導入し、所定の炭酸ガス雰囲気となった時点で排気管を閉にし、炭酸水溶液に対する炭酸イオンの供給を行った。この際に炭酸水溶液の温度を50℃に制御した。この状態で3時間保持後、容器から高炉水砕スラグをスクリューコンベアで搬送した。
【0040】
(実施例2)
高炉水砕スラグの貯槽の出口に設けられた搬送用のコンベアーの上方に炭酸水溶液散布用のシャワーを設け、シャワーから実施例1と同様の条件で炭酸ガスを吹き込んで製造した炭酸水溶液を散布しながら高炉水砕スラグ100tを容器内に搬送した。炭酸水溶液の散布量は高炉水砕スラグの10%とした。その後、容器内を密閉状態とし、次いで排気管から排気しつつ吸気管から同様の炭酸ガスを容器内に導入し、所定の炭酸ガス雰囲気となった時点で排気管を閉にし、炭酸水溶液に対する炭酸イオンの供給を行った。この際に炭酸水溶液の温度を50℃に制御した。この状態で3時間保持後、容器から高炉水砕スラグをスクリューコンベアで搬送した。
【0041】
(比較例1,2,3)
全く未処理の高炉水砕スラグを比較例1とし、容器内に実施例1と同様の条件で炭酸ガスを水に吹き込んで製造された炭酸水溶液100mと高炉水砕スラグ100tとを装入して高炉水砕スラグを炭酸水溶液に浸漬させ、温度を18℃としたものを比較例2とし、容器内に同様にして製造された炭酸水溶液100mと高炉水砕スラグ100tとを装入して高炉水砕スラグを炭酸水溶液に浸漬させ、温度を50℃としたものを比較例3とした。
【0042】
以上のように処理した実施例1、2、比較例2,3と、未処理の比較例1とを、内径100mm、高さ127mm(内容積1リットル)の容器に充填し、容器ごと80℃の恒温水槽中に浸漬し、所定期間養生後の固結状態を観察した(室内規模評価)。また、深さ1.5m、幅4m、1区画の長さ10mの溝に、各処理スラグを約100t装入し、水を張り固結状態を観察した(実施規模評価)。これらの結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004149190
【0044】
表1に示すように、比較例1の未処理のスラグでは80℃の室内規模評価で1ヶ月以内に、常温の実施規模評価でも3ヶ月以内に固結が始まった。18℃の条件で炭酸水溶液に浸漬した比較例2では、室内規模で2〜3ヶ月の間に固結が始まり、実施規模では6ヶ月から1年で固結が始まった。50℃の条件で炭酸水溶液に浸漬した比較例3では、室内規模で1〜2ヶ月の間に固結が始まり、実施規模では3ヶ月から6ヶ月で固結が始まった。これに対して、50℃の炭酸水溶液に浸漬した後、50℃で3時間密閉加熱雰囲気に維持して炭酸ガスの供給を行った実施例1は室内規模で3ヶ月、実施規模で1年間固結しなかった。また、50℃の炭酸水を散布した後、50℃で3時間密閉加熱雰囲気に維持して炭酸ガスの供給を行った実施例2では、室内規模で6ヶ月、実施規模では2年間固結しなかった。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、十分な水和反応防止効果および固結防止効果を発揮することができる高炉水砕スラグの処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭酸水溶液の製造設備の一例を示す概略断面図。
【図2】炭酸ガス補給工程の一例を示す模式図。
【図3】炭酸ガス補給工程の他の例を示す模式図。
【図4】高炉水砕スラグを炭酸ガス雰囲気におく工程の一例を示す模式図。
【符号の説明】
1;塔
2;水供給機構
3;炭酸ガス供給機構
4;ガス分散器
5;ダクト
6;取水管
7;排気部
8;導入管
11;混合物
12,16,19;配管
13;ノズル
14;床板
15,18;ガス供給孔
17;貯槽
21;密閉容器
22;吸気管
23;排気管

Claims (11)

  1. 高炉水砕スラグに炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得る工程と、前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に炭酸ガスを補給する工程とを有することを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法。
  2. 前記炭酸ガスを補給する工程は、山状に積み付けられた炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に対して行われることを特徴とする請求項1に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  3. 前記炭酸ガスを補給する工程は、貯槽内に貯蔵された炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物に対して行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  4. 高炉水砕スラグに炭酸水溶液を接触させて、炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を得る工程と、前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を炭酸ガス雰囲気におく工程とを有することを特徴とする高炉水砕スラグの処理方法。
  5. 前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物を炭酸ガス雰囲気におく工程は、密閉空間に前記混合物を装入し、その密閉空間内を炭酸ガス雰囲気にすることを特徴とする請求項4に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  6. 吸気管および排気管が設けられた密閉容器に前記混合物を装入し、排気管を介して密閉容器内の密閉空間を排気するとともに、吸気管を介して所定の炭酸ガスを容器内に導入し、前記密閉容器内が所定の雰囲気になった際に前記排気管が閉じられることを特徴とする請求項5に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  7. 前記密閉空間内を加圧雰囲気にすることを特徴とする請求項5に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  8. 前記炭酸ガス雰囲気中の炭酸ガス濃度は、10%以上であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  9. 前記炭酸水溶液と高炉水砕スラグとの混合物の温度を20℃以上とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  10. 前記炭酸ガスとして、高温排ガスを用いることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
  11. 前記高炉水砕スラグは、製銑工程で発生した高炉水砕スラグをそのままおよび/またはその粒度を調製した粒度調製品として用いられることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の高炉水砕スラグの処理方法。
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