JP4160318B2 - 耐熱性が改善されたガス発生剤組成物 - Google Patents

耐熱性が改善されたガス発生剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のエアバック拘束システムに適したガス発生剤組成物、その成型体、成型体の製造方法及びガス発生剤組成物を用いたエアバック用インフレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車における乗員保護装置としてのエアバッグ用ガス発生剤として、従来からアジ化ナトリウムを用いた組成物が多用されてきた。しかし、アジ化ナトリウムの人体に対する毒性[LD50(oral−rat)=27mg/kg]や取扱い時の危険性が問題視され、それに替わるより安全ないわゆる非アジド系ガス発生剤組成物として、各種の含窒素有機化合物を含むガス発生剤組成物が開発されている。
【0003】
米国特許4,909,549号には、水素を含むテトラゾール、トリアゾール化合物と酸素含有酸化剤との組成物が開示されている。米国特許4,370,181号には、水素を含まないビテトラゾールの金属塩と酸素を含まない酸化剤とからなるガス発生剤組成物が開示されている。
【0004】
米国特許4,369,079号には、水素を含まないビテトラゾールの金属塩とアルカリ金属硝酸塩、アルカリ金属亜硝酸塩、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属亜硝酸塩及びこれらの混合物からなるガス発生剤組成物が開示されている。
【0005】
米国特許5,542,999号には、GZT,TAGN(トリアミノニトログアニジン),NG(ニトログアニジン)、NTO等の燃料、塩基性硝酸銅、有毒ガスを低減する触媒とクーラント剤からなるガス発生剤が開示されている。
【0006】
特開平10−72273号には、ビテトラゾール金属塩、ビテトラゾールアンモニウム塩、アミノテトラゾールと硝酸アンモニウムからなるガス発生剤が開示されている。
【0007】
特開平10−87390号には、ニトログアニジンなどのグアニジン誘導体と金属硝酸塩とバインダ及びその他の添加剤からなるガス発生剤が開示されている。
【0008】
自動車は10年以上使われるものであるから、インフレータにも10年以上の耐久性が要求されるため、ガス発生剤に対しても長期間分解しないこと、即ち耐熱性の良いことが要求される。耐熱性の規格は、自動車メーカにより若干異なるが、一般的には、107℃、400時間で実質的に分解しないことである。
【0009】
しかし、非アジド系ガス発生剤組成物の分解開始温度は150〜200℃前後であるため、分解温度が低くなると、ガス発生剤の耐熱性が悪くなる傾向があり、特に製造条件や不純物の存在により、その耐熱性が著しく低下することがある。
【0010】
本発明の課題は、耐熱性の良いガス発生剤、その成型体、成型体の製造方法及びガス発生剤を用いたエアバック用インフレータを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、非アジド系ガス発生剤の耐熱性を損なう要因が、ガス発生剤に含まれる水分量、及びガス発生剤組成物の各成分等に起因する不純物、特に燃料成分等に含まれるアルカリ金属等の濃度と関連することを見出し、それらの含有量を低減させることで、ガス発生剤の耐熱性を改善し、熱安定性を向上させることができたものである。
【0012】
即ち本発明は、上記課題を解決するための手段として、(a)燃料及び(b)酸化剤を含み、120℃で2時間保持した後の重量減少率で示される水分含有率が0.5質量%以下であるか、或いは組成物中の各成分に含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量が800ppm以下であるガス発生剤組成物を提供する。
【0013】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量は、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸塩に換算した含有量であり、ppmは重量基準である。
【0014】
更に本発明は、上記のガス発生剤組成物から得られる単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状のガス発生剤組成物成型体を提供する。
【0015】
更に本発明は、上記ガス発生剤組成物成型体の製造方法であり、(a)燃料をイオン交換水又は蒸留水で洗浄する洗浄工程、(a)燃料、(b)酸化剤、更に必要に応じて(c)バインダ及び/又は(d)添加剤に水を加えて湿式混合し、成型して成型体を得る混合及び成型工程、成型体を乾燥する乾燥工程、並びに乾燥後に冷却する冷却工程を具備しており、前記乾燥工程において、ガス発生剤組成物成型体を80℃以上の乾燥雰囲気中で72時間以上保持するガス発生剤組成物成型体の製造方法を提供する。
【0016】
更に本発明は、上記のガス発生剤組成物、ガス発生剤組成物成型体から選ばれる1又は2以上を用いるエアバッグ用インフレータを提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のガス発生剤組成物又はガス発生剤組成物成型体は、(a)燃料及び(b)酸化剤を必須成分とし、必要に応じて(c)バインダ及び/又は(d)添加剤を配合したものである。
【0018】
(a)成分の燃料は、テトラゾール類化合物、グアニジン類化合物、トリアジン類化合物、ニトロアミン類化合物から選ばれる1又は2以上を用いることができる。テトラゾール類化合物は、5−アミノテトラゾール、ビテトラゾールアンモニウム塩が好ましく、グアニジン類化合物は、グアニジン硝酸塩、アミノグアニジン硝酸塩、ニトログアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩等が好ましく、トリアジン化合物は、メラミン、シアヌル酸、アンメリン、アンメリド、アンメランド等が好ましい。
【0019】
(b)成分の酸化剤は含酸素酸化剤が好ましく、含酸素酸化剤は、硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸、塩基性金属硝酸塩、硝酸アンモニウムから選ばれる1又は2以上を用いることができる。硝酸塩は、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム等のアルカリ類金属硝酸塩、硝酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属硝酸塩等が好ましく、過塩素酸塩類は、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸アンモニウム等が好ましく、塩基性金属硝酸塩は、塩基性硝酸銅等が好ましい。
【0020】
ガス発生剤組成物が(a)燃料及び(b)酸化剤の2成分からなる場合は、(a)成分が10〜70質量%、(b)成分が30〜90質量%が好ましく、(a)成分15〜60質量%、(b)成分が40〜85質量%がより好ましい。
【0021】
(c)成分のバインダは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)、カルボキシメチルセルロースカリウム塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート(CAB)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのアミノ化物、ポリアクリルヒドラジド、アクリルアミド・アクリル酸金属塩共重合体、ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸エステル化合物の共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルゴム、グアガム、デンプン、シリコーンから選ばれる1又は2以上を用いることができる。これらの中でも、バインダの粘着性能、価格、着火性等を考えると、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMCNa)、グアガムが好ましい。
【0022】
(d)成分の添加剤は、酸化銅、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化ビスマス、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;炭酸コバルト、炭酸カルシウム、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸銅等の金属炭酸塩又は塩基性金属炭酸塩;酸性白土、カオリン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、ヒドロタルサイト等の金属酸化物又は水酸化物の複合化合物;ケイ酸ナトリウム、マイカモリブデン酸塩、モリブデン酸コバルト、モリブデン酸アンモニウム等の金属酸塩;二硫化モリブデン、ステアリン酸カルシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素から選ばれる1又は2以上を用いることができる。
【0023】
ガス発生剤組成物が(a)燃料、(b)酸化剤及び(c)バインダ又は(d)添加剤の3成分からなる場合は、(a)成分が5〜60質量%、(b)成分が30〜90質量%、(c)又は(d)成分が0.1〜15質量%が好ましく、(a)成分10〜50質量%、(b)成分が40〜80質量%、(c)又は(d)成分が3〜12質量%がより好ましい。
【0024】
ガス発生剤組成物が(a)燃料、(b)酸化剤、(c)バインダ及び(d)添加剤の4成分からなる場合は、(a)成分が5〜60質量%、(b)成分が30〜85質量%、(c)成分が0.1〜15質量%、(d)成分が0.1〜10質量%が好ましく、(a)成分10〜50質量%、(b)成分が40〜80質量%、(c)が3〜12質量%、(d)成分が1〜10質量%がより好ましい。
【0025】
ガス発生剤組成物は、(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c)グアガムを含有するもの、(a)ニトログアニジン、(b)硝酸ストロンチウム、(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)酸性白土を含有するものが好ましい。
【0026】
上記した(a)及び(b)成分、或いは(a)成分、(b)成分並びに(c)成分及び/又は(d)成分を含むガス発生剤組成物は、120℃で2時間保持した後の重量減少率で示される水分含有率が0.5質量%以下であるか、或いは組成物中の各成分に含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量が800ppm以下である。
【0027】
水分含有率は、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.25質量%以下が更に好ましい。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量は、組成物を構成する各成分中の量として800ppm以下が好ましく、200ppm以下がより好ましい。
【0028】
次に、ガス発生剤組成物成型体の製造方法を説明し、合わせてガス発生剤組成物成型体について説明する。ガス発生剤組成物成型体の製造方法は、洗浄工程、混合及び成型工程、乾燥工程及び冷却工程を備えるものであるが、当業者により通常なされる工程の追加及び変更ができる。
【0029】
まず、洗浄工程において、(a)燃料、又は(a)燃料と共に、(b)酸化剤、(c)バインダ及び(d)添加剤から選ばれる1、2又は3をイオン交換水又は蒸留水で洗浄する。特に、燃料成分を水洗することにより、大きな効果が得られる。
【0030】
ガス発生剤組成物には、原料成分又は湿式混合時に添加した水等に起因して、金属イオン、例えばNa、K、Li等のアルカリ金属のイオン、Mg、Ca等のアルカリ土類金属のイオン、その他の金属イオンを生じさせる不純物が混入することがある。例えば、Naイオンを生じさせる炭酸ナトリウムのような不純物が混入した場合、それがガス発生剤組成物中に残存すると、ガス発生剤組成物自体の熱安定性が低下する恐れがある。このため、洗浄処理により、炭酸ナトリウム等の不純物の含有量を低減させることが好ましい。
【0031】
洗浄工程においては、(a)成分の燃料100質量部、又は(a)成分の燃料を含む洗浄対象100質量部に対して、イオン交換水又は蒸留水を100〜1000質量部用いることが好ましく、200〜700質量部用いることがより好ましく、300〜500質量部用いることが更に好ましい。
【0032】
洗浄方法は特に制限されるものはなく、適当な容器中に(a)成分の燃料等の洗浄対象を入れ、更に所定量のイオン交換水又は蒸留水を添加した後、0.5〜2時間静置する方法、100〜1000r/分で5〜50分間攪拌する方法等を適用できる。
【0033】
次に、混合及び成型工程において、(a)燃料、(b)酸化剤、更に必要に応じて(c)バインダ及び/又は(d)添加剤に水を加えて湿式混合し、成型する。
【0034】
混合工程では、洗浄工程と同じ理由から、イオン交換水又は蒸留水を用いることが好ましく、加温状態で混合することで、成型に適した水分量に調節することができる。なお、加温状態で混合したときは、成型工程に移行する前に冷却することが好ましい。
【0035】
混合条件は、好ましくは20〜100℃、より好ましくは40〜80℃で、混合時間は、好ましくは10〜120分、より好ましくは30〜60分である。
【0036】
成型工程においては、圧伸成形しやすい温度に調温するため、混合と成型の間に熟成工程を設けることが好ましい。熟成処理は、好ましくは30〜50℃、より好ましくは35〜45℃で、好ましくは8時間以上、より好ましくは16時間以上保持することにより行う。
【0037】
成型方法は特に制限されるものではないが、原料成分と水との混合物を、圧伸機により圧伸成型し、裁断機により裁断する方法を適用できる。
【0038】
圧伸成型は、1段で成型する方法、予備成型を含む2段以上に分けて行う方法を適用できる。1段で行う場合は、成型圧力が好ましくは70MPa以下、より好ましくは60MPa以下であり、2段で行う場合は、成型圧力が好ましくは70MPa以下、より好ましくは60MPa以下で予備成形し、更に成型圧力が好ましくは70MPa以下、より好ましくは60MPa以下で成形する。
【0039】
裁断処理では、裁断機又は圧伸機に接続された裁断機により、要求される規格に合致した寸法に裁断する。
【0040】
ガス発生剤組成物は所望の形状に成型することができ、単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット状等の成型体にすることができる。
【0041】
次に、前工程で得られた成型体を、乾燥工程において乾燥する。なお、乾燥工程の後に、更に篩い分けにより、ガス発生剤組成物の大きさを揃える分級処理する工程を付加することができる。
【0042】
ガス発生剤組成物成型体に含まれる水分は、乾燥工程の乾燥温度と乾燥時間、保管時の温度、湿度、保管期間及びガス発生剤組成物成分の性質(吸湿性)により左右されるが、乾燥工程の乾燥温度と乾燥時間が最も重要となる。特に、ガス発生剤組成物成型体の製造工程では、安全上の理由から湿式混合方法を使うため、含水率が高くなることが避けられず、乾燥温度が低く、乾燥時間が短ければ、乾燥後もガス発生剤組成物に少量の水分が残存することがある。この傾向は、5−アミノテトラゾールのような吸湿性のある燃料、吸湿性のあるバインダを含む場合に顕著となる。更に、製品出荷前のインフレータの耐熱性試験は107℃で行なわれるが、ガス発生剤組成物に過剰の水分が含まれていると、加熱時に水分が水蒸気となり、この水蒸気が単独又はインフレータに存在する微量のアンモニアガスと共にガス発生剤組成物成型体の劣化を引き起こし、インフレータ内部の金属部品を腐食する恐れもある。このため、以下のとおり、乾燥工程における適正な乾燥方法が重要となる。
【0043】
乾燥方法は、成型体を乾燥機内に入れ、80℃以上で72時間以上保持する1段階の乾燥処理を適用する。乾燥温度は、80〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましく、乾燥時間は72〜168時間が好ましく、72〜120時間がより好ましい。
【0044】
次に、冷却工程において、乾燥した成型体を冷却する。冷却方法は特に制限されるものではなく、放置して自然冷却する方法、送風により冷却する方法等を適用できる。
【0045】
以上の製造方法により得られたガス発生剤組成物成型体は、120℃で2時間保持した後の重量減少率で示される水分含有率が0.5質量%以下であり、かつアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量が800ppm以下のものである。
【0046】
本発明の製造方法で得られるガス発生剤組成物及びガス発生剤組成物成型体は、例えば、各種乗り物の運転席のエアバック用インフレータ、助手席のエアバック用インフレータ、サイドエアバック用インフレータ、インフレータブルカーテン用インフレータ、ニーボルスター用インフレータ、インフレータブルシートベルト用インフレータ、チューブラーシステム用インフレータ、プリテンショナー用インフレータに適用できる。
【0047】
本発明の製造方法で得られるガス発生剤組成物及びガス発生剤組成物成型体は、インフレータ用のガス発生剤組成物として使用することができるほか、雷管やスクイブのエネルギーをガス発生剤組成物に伝えるためのエンハンサ剤(又はブースター)等と呼ばれる着火剤として使用することもできる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0049】
実施例1、2
〔洗浄工程〕
ニトログアニジン2kgをステンレス容器内に入れ、更にニトログアニジン2kgに対して6kgのイオン交換水を加えた後、300r/分で30分間攪拌した。その後、濾過器(ガラスロート)により濾過し、2kgのイオン交換水により、計2回(計4kgのイオン交換水を使用)洗浄した。
【0050】
〔混合及び成型工程〕
ニトログアニジン39.5質量%、硝酸ストロンチウム55.5質量%、グアガム5質量%の合計5kgに対して、イオン交換水2.25kgを添加し、捏和機により、温度70℃で、30分間混合した。混合後、捏和機内の温度を80℃で3時間保持し、捏和機のベント口から水蒸気を揮発除去した。
【0051】
その後、捏和機内で攪拌しながら混合物の温度を40℃まで低下させた。次に、捏和機から混合物を取り出して圧伸機に供給し、成形圧力63MPaで成形し、単孔を有するストランドを得た。このストランドを裁断機に供給して裁断し、単孔円柱状のガス発生剤組成物成型体を得た。
【0052】
〔乾燥及び冷却工程〕
ガス発生剤組成物成型体を乾燥機内に入れ、実施例1は80℃で96時間保持し、実施例2は110℃で96時間保持して乾燥させた後、常温で放置して冷却した。得られたガス発生剤組成物成型体の耐熱性を下記の耐熱性試験1により評価し、水分含有量を測定した。結果を表1に示す。
【0053】
〔耐熱性試験1〕
ガス発生剤組成物40gをアルミニウム製容器に入れ、総重量を測定し、(総重量−アルミニウム製容器重量)を試験前のサンプル重量とした。サンプルの入ったアルミニウム製容器を、SUS製厚肉容器(内容積118.8ml)に入れて蓋をした後、110℃の恒温槽に入れた。この時、テフロンパッキンを使用して容器が密閉状態になるようにした。400時間経過後にSUS製厚肉容器を恒温槽から取り出し、容器が室温にもどってから蓋を開け、中からアルミニウム製容器を取り出した。アルミニウム製容器ごとの総重量を測定し、(総重量−アルミニウム製容器重量)を試験後のサンプル重量とした。そして、試験前後の重量変化を比較して重量減少率を求めることにより耐熱性を評価した。重量減少率は、〔(試験前のガス発生剤組成物重量−試験後のガス発生剤組成物重量)/試験前のガス発生剤組成物重量〕×100から求めた。
【0054】
〔ナトリウム含有量の測定法〕
洗浄工程が終了した時点のニトログアニジンを濾過器から取り出し、0.5gを秤量した後、90℃の熱水25mlに溶解した。その後、塩酸で0.05Nに調整し、1晩放置した後、冷却してニトログアニジンの再沈殿物を除去した。残りの溶液をイオン交換水で1000倍希釈(質量基準)し、原子吸光分析法でナトリウム量を測定した。
【0055】
比較例1
乾燥工程の条件を80℃で24時間としたほかは実施例1、2と同様にして、ガス発生剤組成物成型体を得た。得られたガス発生剤組成物成型体について、耐熱性試験1により評価した。結果を表1に示す。
【0056】
実施例3、4
実施例1、2と同様にして、ガス発生剤組成物成型体を得た。但し、実施例3は80℃で90時間保持し、実施例4は110℃で120時間保持して乾燥させた。得られたガス発生剤組成物成型体について、耐熱性試験1により評価した。結果を表1に示す。
【0057】
比較例2
乾燥工程の条件を80℃で16時間としたほかは実施例3、4と同様にして、ガス発生剤組成物成型体を得た。得られたガス発生剤組成物成型体について、耐熱性試験1により評価した。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004160318
【0059】
水分含有率が低いほど重量減少率が小さく、重量減少率が小さいほど熱安定性が高く、実施例1〜4のものは、長期間(例えば10数年)経過する過程でも分解が殆どないことを示している。
【0060】
実施例5
ガス発生剤組成物の成分として、炭酸ナトリウムを842ppm(質量基準)含むニトログアニジン39.5質量%を用いたほかは実施例1と同様にして、ガス発生剤組成物成型体を得た。得られたガス発生剤組成物成型体の耐熱性を下記の耐熱性試験2により評価した。結果を表2に示す。
【0061】
〔耐熱性試験2〕
ガス発生剤組成物40gをアルミニウム製容器に入れ、総重量を測定し、(総重量−アルミニウム製容器重量)を試験前のサンプル重量とした。サンプルの入ったアルミニウム製容器をSUS製厚肉容器(内容積118.8ml)に入れ、SUS容器の開口部分に径70mm、厚さ2mmのアルミニウム破裂板を付けて固定した後、110℃の恒温槽に入れた。この時、テフロンパッキンを使用して容器が密閉状態になるようにした。その後、この状態で保持し、破裂板が破裂するまでの時間を測定した。
【0062】
比較例3
洗浄工程を行わなかったほかは実施例5と同様にして、ガス発生剤組成物成型体を得た。得られたガス発生剤組成物成型体を用い、実施例5と同じ耐熱性試験をした。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
Figure 0004160318
【0064】
比較例3のガス発生剤組成物成型体は、洗浄工程の処理がなされていないので、ニトログアニジン中に含まれるナトリウムがそのまま残存している。このため、洗浄処理をした実施例5に比べてナトリウム含有量が多いので、ニトログアニジンが非常に早く熱分解して、110℃でも燃焼が開始されたため、内圧に抗し切れなくなった破裂板が実施例5に比べて非常に短い時間で破裂したものである。なお、破裂時間に幅があるのは、破裂は目視にて確認しているが、常時チェックするのではなく、時間間隔をおいてチェックするためである。
【0065】
【発明の効果】
本発明のガス発生剤組成物及びガス発生剤組成物成型体は、水分含有率及びアルカリ金属等の含有量が小さいので、耐熱性が優れており、長期間にわたる熱安定性が優れている。

Claims (9)

  1. (a)燃料及び(b)酸化剤を含み、120℃で2時間保持した後の重量減少率で示される水分含有率が0.5質量%以下であるか、或いは組成物中の各成分に含まれるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量が800ppm以下であるガス発生剤組成物を押出し成型して得られる、単孔円柱状、多孔円柱状又はペレット形状のガス発生剤組成物成型体の製造方法であって、
    前記ガス発生剤組成物に含まれる成分のうち、少なくとも(a)燃料をイオン交換水又は蒸留水で洗浄した後に濾過する洗浄工程、
    (a)燃料、(b)酸化剤、更に必要に応じて(c)バインダ及び/又は(d)添加剤に水を加えて湿式混合し、成型して成型体を得る混合及び成型工程、
    成型体を乾燥する乾燥工程、並びに乾燥後に冷却する冷却工程を具備しており、
    前記洗浄工程において、(a)燃料100質量部に対して100〜1000質量部のイオン交換水を用い、
    前記乾燥工程において、ガス発生剤組成物成型体を80℃以上の乾燥雰囲気中で72時間以上保持するガス発生剤組成物成型体の製造方法。
  2. 前記ガス発生剤組成物が更に(c)バインダ及び/又は(d)添加剤を含むものである請求項1記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法
  3. 前記ガス発生剤組成物に含まれる(a)成分の燃料が、テトラゾール類化合物、グアニジン類化合物、トリアジン類化合物、ニトロアミン類化合物から選ばれる1又は2以上である請求項1又は2記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法
  4. 前記ガス発生剤組成物に含まれる(b)成分の酸化剤が含酸素酸化剤であり、硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸、塩基性金属硝酸塩、硝酸アンモニウムから選ばれる1又は2以上である請求項1〜3のいずれか1記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法
  5. 前記ガス発生剤組成物に含まれる(c)成分のバインダが、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースカリウム塩、カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドのアミノ化物、ポリアクリルヒドラジド、アクリルアミド・アクリル酸金属塩共重合体、ポリアクリルアミド・ポリアクリル酸エステル化合物の共重合体、ポリビニルアルコール、アクリルゴム、グアガム、デンプン、シリコーンから選ばれる1又は2以上である請求項2〜4のいずれか1記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法
  6. 前記ガス発生剤組成物に含まれる(d)成分の添加剤が、金属酸化物、金属炭酸塩又は塩基性金属炭酸塩、金属水酸化物、金属酸化物又は水酸化物の複合化合物、金属酸塩、シリコーン、二硫化モリブデン、ステアリン酸カルシウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素から選ばれる1又は2以上である請求項1〜5のいずれか1記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法。
  7. 前記ガス発生剤組成物が(a)ニトログアニジン、(b)塩基性硝酸銅及び(c)グアガムを含有する請求項1〜6のいずれか1記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法
  8. 前記ガス発生剤組成物が(a)ニトログアニジン、(b)硝酸ストロンチウム、(c)カルボキシメチルセルロースナトリウム塩及び(d)酸性白土を含有する請求項1〜7の いずれか1記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法。
  9. 混合及び成型工程においてイオン交換水又は蒸留水を添加する請求項1〜8のいずれか1記載のガス発生剤組成物成型体の製造方法。
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