JP4160696B2 - 帯域通過フィルタ回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は通信装置等で妨害信号や雑音の除去に使用される、複数のライン共振器を結合させて構成される帯域通過フィルタ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、2分の1波長型の線路導体パターンから成る共振線路(1/2λ共振器)で構成されるフィルタ回路においては、1/2λ共振器同士を電界もしくは磁界結合により結合して信号を授受させるため、各1/2λ共振器はお互いに平行に配置され線路端面からの垂直の電界もしくは磁界結合によって信号を授受する結合面を有している。
【0003】
従来、このような1/2λ共振器を2N個(Nは2以上の整数)有し、これらを結合させて構成される帯域通過フィルタ回路においては、1/2λ共振器は2列にN個ずつ互いに対応させて配置され、各1/2λ共振器は全て他の1/2λ共振器と電界結合もしくは磁界結合をするための単位結合部を有している。これら単位結合部は2つの1/2λ共振器の線路の2つの側面を互いに平行にかつ等距離で対向させて構成されており、単位結合部を構成する2つの1/2λ共振器の特定の2つの側面は、その側面間に他の1/2λ共振器が存在しない組合せとされる。各1/2λ共振器は同じ列内の隣接する1/2λ共振器と結合するための第1の単位結合部を少なくとも1ヵ所以上有しているとともに、もう一方の列の対応する位置の1/2λ共振器と結合するための第2の単位結合部を1ヵ所有している。そして、同じ列内で隣接する2つの1/2λ共振器間の単位結合部の線路の側面と、その2つの1/2λ共振器に対応するもう一方の列の2つの1/2λ共振器間の単位結合部の側面との相対角度は0度すなわち一直線状または平行となるように配置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように1/2λ共振器同士を結合させて構成された帯域通過フィルタ回路においては、各列間の対応する1/2λ共振器間の第2の単位結合部同士の相対角度が0度となるように配置されていたことから、一方の列内でのライン共振器同士を電界もしくは磁界結合することを目的とする第1の単位結合部の電界もしくは磁界方向ともう一方の列内でのライン共振器同士を電界もしくは磁界結合することを目的とする第2の単位結合部の電界もしくは磁界方向が同一方向となるため、この2つの単位結合部が電界もしくは磁界結合を起こしてしまい、そのために、フィルタ回路の設計上不必要な、第2の単位結合部で結合されるものとは異なる1/2λ共振器同士の結合面の電界もしくは磁界結合も生じてしまうという問題点があった。そして、その結果、高度な性能を必要とするフィルタ回路、例えば高周波信号の振幅の減衰特性を急峻に制御する帯域通過フィルタ回路等では、フィルタ回路の電気特性において急峻な減衰特性を得られないという問題点があった。
【0005】
特に、上記のように1/2λ共振器をN個ずつ2列に並べて構成され、第1および第2の単位結合部により列内で隣接するライン共振器間および列間で対応するライン共振器間で電界もしくは磁界結合をしており、列間で対応する第2の単位結合部同士の相対角度を0度としている帯域通過フィルタ回路では、第1の単位結合部と第2の単位結合部とが電界もしくは磁界結合しやすいため、フィルタ回路の設計通りの電気特性を得るのが困難であるという問題点があった。
【0006】
本発明は上記従来技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、列間で対応する1/2λ共振器間における不要な電界もしくは磁界結合を解消して、フィルタ特性を正確に設計し作製することが可能な、1/2λ共振器を用いた帯域通過フィルタ回路を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の帯域通過フィルタ回路は、高周波信号の中心周波数の波長の略2分の1の長さの共振線路をN個(Nは2以上の整数)ずつそれぞれ対応させて2列に配置するとともに各列の前記共振線路の1個ずつにそれぞれ入出力用線路を電磁界結合させて成り、前記各共振線路は、各列内で隣接する前記共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第1単位結合部と、各列間の対応する前記共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第2単位結合部とを有し、かつ各列間の対応する前記共振線路における前記第1単位結合部間で互いの線路の方向が45度〜90度の角度をなすように配設されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の帯域通過フィルタ回路によれば、通過帯域の中心周波数の約1/2波長のライン共振器をN個(Nは2以上の整数)ずつそれぞれ対応させて2列に配置するとともに、各列のライン共振器の1個ずつにそれぞれ入出力線路を電磁界結合させて成り、各ライン共振器は全て他のライン共振器と電界結合もしくは磁界結合をするための特定の2つの側面によって構成された互いに平行でかつ等距離である単位結合部を有し、各ライン共振器は列内の隣接するライン共振器と結合するための第1単位結合部を1ヵ所以上有しており、各列間の対応するライン共振器同士を結合するための第2単位結合部を1ヵ所有している帯域通過フィルタ回路において、各列間の対応するライン共振器における第2単位結合間で互いの線路の側面の方向がなす相対角度を45度〜90度となるように配置したことにより、第1単位結合部の電界もしくは磁界方向と第2単位結合部の電界もしくは磁界方向が45度〜90度異なるため、この2つの単位結合部は電界もしくは磁界結合をほとんどしないものとなり、その結果、不要な電界もしくは磁界結合が生じることのない帯域通過フィルタ回路となり、急峻なフィルタ特性を正確に設計し作製することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の帯域通過フィルタ回路を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1は通過帯域における振幅の減衰特性を急峻に制御する一般的な帯域通過フィルタ回路の構成を示すフィルタ回路網図である。
【0011】
図1において、11・12・13・14・15および16はそれぞれ高周波信号の中心周波数の波長の略2分の1の長さの共振線路(1/2λ共振器)、17・18・19・20・21・22・23および25は1/2λ共振器11〜16同士の電界結合を現すコンデンサ、24は磁界結合を現すコイル、26はアース、27・28は入出力端子である。
【0012】
このような構成のフィルタ回路網において、まず入出力端子27より高周波信号が入力されたものと考える。この入力信号は電界結合17を介して1/2λ共振器11に入る。また入力信号は、1/2λ共振器11から、電界結合18を介して1/2λ共振器12に入る信号と、磁界結合24を介して1/2λ共振器16に入る信号とに分岐する。次に、1/2λ共振器12に入った信号は、1/2λ共振器12から、電界結合19を介して1/2λ共振器13に入る信号と、電界結合25を介して1/2λ共振器15に入る信号とに分岐する。次に、1/2λ共振器12より1/2λ共振器13に入った信号は、電界結合20、1/2λ共振器14および電界結合21を通って1/2λ共振器15に入り、1/2λ共振器15において電界結合25を介した信号と合流する。この1/2λ共振器15に入った信号は、電界結合22を介して1/2λ共振器16に入り、1/2λ共振器16において磁界結合24を介した信号と合流する。
【0013】
そして、1/2λ共振器16に入った信号は電界結合23を介して入出力端子28に出力される。
【0014】
このフィルタ回路網によって実現できるフィルタ特性の回路シミュレーション結果例を図2に示す。図2において、横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は透過係数(単位:dB)を表しており、特性曲線は透過係数の周波数特性を示している。なお、この例においては、中心周波数は2GHz、通過帯域幅は約20MHzである。
【0015】
図2より、フィルタの実軸上に極(透過係数がある周波数で急激に減少する現象)がこの減衰域上の周波数である1.975 GHz付近と2.025 GHz付近の2ヵ所にあることが分かる。この極は図1に示すような分岐回路を有するフィルタ回路網により始めて実現できるものであり、この極により減衰域で非常に急峻な減衰特性を有する帯域通過フィルタ特性を得ることができる。このフィルタ特性により、通過帯域に他の信号の周波数帯域が接近していても、このフィルタ回路でその信号を除去できるので、各種信号間の帯域ならびにそれらの間隔を狭くでき、周波数のより有効な利用が可能となる。
【0016】
次に、図3に本発明の帯域通過フィルタ回路の実施の形態の一例を概略構成図で示す。本発明は図1に示すフィルタ回路網通りに機能して図2に示す帯域通過フィルタ特性を満足する帯域通過フィルタ回路を得ることを目的としている。
【0017】
図3において、31・32・33・34・35および36はそれぞれ高周波信号の中心周波数の波長の略2分の1の長さの共振線路(1/2λ共振線路)であり、N個、ここではN=3個ずつそれぞれ対応させて31・32・33の列と34・35・36の列との2列に配置されている。38・39・41および42はそれぞれ各列内で隣接する共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第1単位結合部を示しており、38は共振線路31と32とを、39は共振線路32と33とを、41は共振線路34と35とを、42は共振線路35と36とをそれぞれ電界結合により結合している。また、40・44および45はそれぞれ各列間の対応する共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第2単位結合部を示しており、40は共振線路33と34とを電界結合により、44は共振線路31と36とを磁界結合により、45は共振線路32と35とを電界結合によりそれぞれ結合している。
【0018】
また、各列の共振線路の1個ずつにはそれぞれ入出力用線路を電磁界結合させており、この例では共振線路31に入出力線路46を電界結合37により、共振線路36に入出力線路47を電界結合43によりそれぞれ結合させている。
【0019】
このようなフィルタ回路の各共振線路31〜36および入出力線路46・47は、例えばマイクロストリップ線路で構成される。その場合、これらのマイクロストリップ線路は、図1においてアース26の役割をする接地導体が裏面に形成された誘電体基板の表面に形成される。
【0020】
図3に示す本発明の帯域通過フィルタ回路に対して、まず給電線としての入出力線路46より高周波信号が入力されると、この入力信号は電界結合37を介して共振線路31に入る。次にこの入力信号は、共振線路31から、電界結合の第1単位結合部38を介して同じ列内の共振線路32に入る信号と、磁界結合の第2単位結合部44を介して他方の列の共振線路36に入る信号とに分岐する。共振線路32に入った信号は、この共振線路32から、電界結合の第1単位結合部39を介して同じ列内の共振線路33に入る信号と、電界結合の第2単位結合部45を介して他方の列の共振線路35に入る信号とに分岐する。共振線路32より共振線路33に入った信号は、電界結合の第2単位結合部40から他方の列の共振線路34・電界結合の第1単位結合部41を通って共振線路34と同じ列内の共振線路35に入り、共振線路35において第2単位結合部45を介した共振線路32からの信号と合流する。この共振線路35に入った信号は、電界結合の第1単位結合部42を介して同じ列内の共振線路36に入り、共振線路36において第2単位結合部44を介した共振線路31からの信号と合流する。そして、共振線路36に入った信号は電界結合43を介して出力線としての入出力線路47に出力される。
【0021】
ここで、共振線路31と入出力線路46との電界結合37を行なう線路側面の結合面37aと37bは、主として線路導体側面の端面からの垂直の電界により結合している。この電界結合を最も効率的に行なうため、結合面37aと37bとは平行に対向して互いに向き合う構造になっている。実際には作製精度やレイアウトの問題によって厳密に見れば多少平行でない場合もあるが、このようなわずかに平行でない構造は本発明の要旨を逸脱しないものである。同様に、共振線路36と入出力線路47との電界結合43を行なう線路側面の結合面43aと43bも、主として線路導体側面の端面からの垂直の電界により結合し、結合面43aと43bは平行に対向して互いに向き合う構造になっている。
【0022】
これらの構造は他の共振線路同士の第1および第2単位結合部における電界結合も同様であり、電界結合である第1単位結合部38の結合面38aと38b、第1単位結合部39の結合面39aと39b、第2単位結合部40の結合面40aと40b、第1単位結合部41の結合面41aと41b、第1単位結合部42の結合面42aと42bも同様に、線路導体側面の端面からの垂直の電界により結合し、結合面同士は平行に対向して互いに向き合う構造になっている。また、第2単位結合部45の結合面45aと45bにおいては、線路導体端部の端面からの垂直の電界により結合し、結合面45a・45b同士は平行に対向して互いに向き合う構造になっている。さらに、共振線路31・36間の磁界結合の第2単位結合部44においても、結合面44aと44bは主として線路導体側面の端面からの垂直の磁界により結合し、この磁界結合を最も効率的に行なうため結合面44aと44bは平行に対向して互いに向き合う構造になっている。
【0023】
図3に示すような構成の本発明の帯域通過フィルタ回路によれば、高周波信号が磁界結合の第2単位結合部44を介して結合する分岐点上の共振線路31と合流点上の共振線路36において、共振線路31から共振線路32に信号が分岐するための第1単位結合部38の線路の方向すなわち電界結合面38aもしくは38bと、これに対応する共振線路36に共振線路35から信号が合流するための第1単位結合部42の線路の方向すなわち電界結合面42aもしくは42bとの相対角度が45度〜90度であることから、電界結合38と電界結合42の電界方向が異なることにより、電界結合38と電界結合42が互いに結合することはほとんどなくなる。
【0024】
また、高周波信号が電界結合の第2単位結合部45を介して結合する分岐点上の共振線路32と合流点上の共振線路35において、共振線路32から共振線路33に信号が分岐するための第1単位結合部39の線路の方向すなわち電界結合面39aもしくは39bと、共振線路35に共振線路34から信号が合流するための第1単位結合部41の線路の方向すなわち電界結合面41aもしくは41bとの相対角度が45度〜90度であることから、電界結合39と電界結合41のそれぞれの電界方向が異なることにより、電界結合39と電界結合41とが互いに結合することはほとんどなくなる。
【0025】
このように各列内の共振線路間を結合する第1単位結合部の対応するもの同士の相対角度を特定したことにより、フィルタ回路内における分岐回路の回路設計上不要な電界結合を抑えることができる。また、第1単位結合部の対応する結合面がお互いに磁界結合である場合においては、分岐回路の回路設計上不要な磁界結合を抑えることができる。
【0026】
そのため、本発明の帯域通過フィルタ回路によれば、本来の単位結合部で結合されていない共振線路間で不要な電界結合もしくは磁界結合が生じることがなく、同一分岐回路内の共振線路同士の不要な分岐回路を形成しないため、不要な電界もしくは磁界結合のないフィルタ回路を設計することが可能となり、急峻なフィルタ特性を正確に設計し作製することが可能となる。
【0027】
なお、各列間の対応する共振線路における第1単位結合部間で互いの線路の方向の相対角度が45度未満となると、各列間の対応する共振線路における第1単位結合部間同士で電界もしくは磁界結合を起こす傾向がある。これは、アースに接地された金属で遮断しない限り、電界方向もしくは磁界方向が近い結合は遠くに離れていても結合しようとする傾向があるからである。他方、その相対角度が90度を超えて135 度までは、相対角度が45度から90度と同じ意味となり、同様に、相対角度が135 度から180 度までは、相対角度が0度から45度と同じ意味となる。これは、電界もしくは磁界結合のしやすさは、その電界方向もしくは磁界方向の角度のずれの絶対値だけが影響するからである。従って、本発明の帯域通過フィルタ回路においては、各列間の対応する共振線路における第1単位結合部間で互いの線路の方向が45度〜90度の角度をなすように各共振線路を配設することが必要である。
【0028】
【実施例】
次に、本発明の帯域通過フィルタ回路について具体例を説明する。
【0029】
まず、LaAl3 O単結晶基板上にYBa2 Cu3 Oy (y≒7)から成る超電導薄膜を0.5 μm積層し、物理エッチングによってその薄膜の不要な部分をエッチングすることにより、図2にフィルタ回路網図で示した中心周波数2GHz・通過帯域幅約20MHzの帯域通過フィルタ特性の回路シミュレーション結果を実現するための、1/2λ共振線路から成る図3に示した構成の本発明の帯域通過フィルタ回路を作製した。このとき、各列間の対応する共振線路間における第1単位結合部間で互いの線路の方向が90度の角度をなすように構成した。
【0030】
次に、比較例として、同じく1/2λ共振線路を組み合わせて作製した、図4に概略構成図で示す構成の帯域通過フィルタ回路を作製した。この例において、51・52・53・54・55および56はそれぞれ高周波信号の中心周波数の波長の略2分の1の長さの共振線路(1/2λ共振線路)であり、N個、ここではN=3個ずつそれぞれ対応させて51・52・53の列と54・55・56の列との2列に配置されている。58・59・61および62はそれぞれ各列内で隣接する共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第1単位結合部を示しており、58は共振線路51と52とを、59は共振線路52と53とを、61は共振線路54と55とを、62は共振線路55と56とをそれぞれ電界結合により結合している。また、60・64および65はそれぞれ各列間の対応する共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第2単位結合部を示しており、60は共振線路53と54とを電界結合により、64は共振線路51と56とを磁界結合により、65は共振線路52と55とを電界結合によりそれぞれ結合している。
【0031】
また、各列の共振線路の1個ずつにはそれぞれ入出力用線路を電磁界結合させており、この例では共振線路51に入出力線路66を電界結合57により、共振線路56に入出力線路67を電界結合63によりそれぞれ結合させている。
【0032】
図4に示した比較例の帯域通過フィルタ回路に対して、まず給電線としての入出力線路66より高周波信号が入力されると、この入力信号は電界結合の第1単位結合部57を介して共振線路51に入る。この入力信号は、共振線路51より、電界結合の第1単位結合部58を介して共振線路52に入る信号と、磁界結合の第2単位結合部64を介して共振線路56に入る信号とに分岐する。共振線路52に入った信号は、共振線路52より、電界結合の第1単位結合部59を介して共振線路53に入る信号と、電界結合の第2単位結合部65を介して共振線路55に入る信号とに分岐する。
【0033】
共振線路52より共振線路53に入った信号は、電界結合の第2単位結合部60から他方の列の共振線路54・電界結合の第1単位結合部61を通って共振線路54と同じ列内の共振線路54に入り、共振線路55において第2単位結合部65を介した共振線路52からの信号と合流する。この共振線路55に入った信号は、電界結合の第1単位結合部62を介して共振線路56に入り、共振線路56において磁界結合の第2単位結合部64を介した信号と合流する。そして、共振線路56に入った信号は電界結合63を介して出力線としての入出力線路67に出力される。
【0034】
ここで、電界結合57を行なう結合面57aと57b、電界結合の第1単位結合部58を行なう結合面58aと58b、電界結合の第1単位結合部59を行なう結合面59aと59b、電界結合の第2単位結合部60を行なう結合面60a、60b、電界結合の第1単位結合部61を行なう結合面61aと61b、電界結合の第1単位結合部62を行なう結合面62aと62b、電界結合63を行なう結合面63aと63b、電界結合の第2単位結合部65を行なう結合面65a・65bと65c・65d、磁界結合の第2単位結合部64を行なう結合面64aと64bは、それぞれ線路側面または線路端部を平行に対向して互いに向き合う構造になっている。そして、結合面57aと57b、結合面58aと58b、結合面59aと59b、結合面61aと61b、結合面62aと62b、結合面63aと63b、結合面64aと64bの相対角度はすべて0度である。
【0035】
さらに、これら図3および図4に示したものと同様にして、2列の共振線路の互いに対応する共振線路間における第1単位結合部間で互いの線路の方向の相対角度を15度・30度・45度・60度・75度と変化させた帯域通過フィルタ回路を作製した。この相対角度の変化は、それぞれ三角形状またはコの字状に屈曲させた各共振線路の折り曲げ角度と相対位置とを変化させることにより実現した。
【0036】
そして、以上の帯域通過フィルタ回路についてそれぞれフィルタの伝送特性を冷凍機で60Kに冷却し、ネットワークアナライザにより求めるとともに、その伝送特性における減衰域の極の数を評価した。ここでフィルタの伝送特性の減衰域の極の数を評価したのは、この極は分岐回路によって形成されるものであり、不要な分岐が生じると不要な極が発生するため、不要な分岐の発生の有無を評価することができるからである。
【0037】
図5に、図3に示した構成の、第1単位結合部間の相対角度が90度のときの本発明の帯域通過フィルタ回路の通過特性を結果を線図で示す。図5において横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は透過係数(単位:dB)を表わし、特性曲線は透過係数の周波数特性を示している。この結果より分かるように、減衰域での極の数は2つであり、図2に示した目標とするフィルタ特性とほぼ同等のフィルタ特性を有している。
【0038】
これに対し、図4に示した構成の、第1単位結合部間の相対角度が0度のときの比較例の帯域通過フィルタ回路の通過特性の結果を図6に同様の線図で示す。
【0039】
この結果より分かるように、減衰域での極の数は3つであり、また、通過帯域においても目標とするフィルタ特性に対して透過量が大きく減っている。
【0040】
次に、第1単位結合部間の相対角度を15度・30度・45度・60度・75度と変化させた特の減衰域の極の数の変化を0度および90度の場合と共に表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
これより、相対角度が0度・15度・30度では極が3つあることが分かる。
【0043】
図7にこれら相対角度が0度・15度・30度のときの結合状態における図2と同様のフィルタ回路網図を示す。
【0044】
図7のフィルタ回路網は、図2のフィルタ回路網に、相対角度0度・15度・30度による不要結合である電界結合71・72・73・74・75が加わったものである。これら電界結合71〜75について、図4を参照して説明すると、図4において、第1単位結合部58の電界結合面58aもしくは58bと第1単位結合部62の電界結合面62aもしくは62bとの相対角度と、第1単位結合部59の電界結合面59aもしくは59bと第1単位結合部61の電界結合面61aもしくは61bとの相対角度は0度である。このとき、共振線路51の電界結合面58aと共振線路56の電界結合面62bとが結合して、図7の結合71となる。同様に、共振線路51の電界結合面58aと共振線路55の電界結合面62aとが結合して図7の結合72となり、共振線路52の電界結合面58bと共振線路56の電界結合面62bとが結合して図7の結合73となり、共振線路52の電界結合面59aと共振線路54の電界結合面61aとが結合して図7の結合74となり、共振線路53の電界結合面59bと共振線路55の電界結合面61bとが結合して図7の結合75となる。そして、相対角度が0度・15度・30度のときは、これらの不要結合が有効に働くため、極が設計値以上の数になると考えられる。
【0045】
これに対し、相対角度が45度・60度・75度・90度のときは、電界結合する互いの電界方向が著しく異なるため、互いの電界結合がさらに結合することなくそれぞれ閉じた電界・磁界分布を持つことから、これらの不要結合の発生が抑制されるため、極が設計値通りの数になっており、また、通過特性も所望の設計値に近い良好な特性であった。
【0046】
これにより、本発明の帯域通過フィルタ回路によれば、各列間の対応する第1単位結合部間の結合面を制御することにより、所定の各単位結合部以外の不要な電磁界結合が抑制でき、その結果、良好な透過特性を有する帯域通過フィルタ回路となることが確認できた。
【0047】
なお、以上はあくまで本発明の実施の形態の例示であって、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を加えることは何ら差し支えない。例えば、それぞれの列の共振線路を別々の基板に形成し、互いの共振線路を対面させる構造としてもよい。また、フィルタ回路と電界もしくは磁界によって入出力する部分は、回路構成の結果3ヵ所以上になってもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明のフィルタ回路によれば、高周波信号の中心周波数の波長の略2分の1の長さの共振線路をN個(Nは2以上の整数)ずつそれぞれ対応させて2列に配置するとともに各列の共振線路の1個ずつにそれぞれ入出力用線路を電磁界結合させて成り、各共振線路は、各列内で隣接する共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第1単位結合部と、各列間の対応する共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第2単位結合部とを有し、かつ各列間の対応する共振線路における第1単位結合部間で互いの線路の方向が45度〜90度の角度をなすように配設されていることにより、所定の各単位結合部以外における不要な電界もしくは磁界による結合がなくなり、同一分岐回路内の共振線路同士の不要分岐回路がない理想的フィルタ回路を構成することができ、その結果、共振線路を組み合わせて構成され内部に分岐を有する急峻なフィルタ特性の帯域通過フィルタ回路を正確に設計し作製することが可能となる。
【0049】
以上により、本発明によれば、列間で対応する1/2λ共振器間における不要な電界もしくは磁界結合を解消して、フィルタ特性を正確に設計し作製することが可能な、1/2λ共振器を用いた帯域通過フィルタ回路を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】通過帯域における振幅の減衰特性を急峻に制御する一般的な帯域通過フィルタ回路の構成を示すフィルタ回路網図である。
【図2】図1のフィルタ回路網によって実現できるフィルタ特性の回路シミュレーション結果の例を示す線図である。
【図3】本発明の帯域通過フィルタ回路の実施の形態の一例を示す概略構成図である。
【図4】比較例の帯域通過フィルタ回路の例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の帯域通過フィルタ回路の通過特性の結果を示す線図である。
【図6】比較例の帯域通過フィルタ回路の通過特性の結果を示す線図である。
【図7】第1単位結合部間の相対角度が0度・15度・30度のときの結合状態におけるフィルタ回路網図である。
【符号の説明】
31、32、33、34、35、36・・・・・共振線路
46、47・・・・・・・・・・・・・入出力線路
38、39、41、42・・・・・・・・・第1単位結合部
40、44、45・・・・・・・・・・・第2単位結合部
Claims (1)
- 高周波信号の中心周波数の波長の略2分の1の長さの共振線路をN個(Nは2以上の整数)ずつそれぞれ対応させて2列に配置するとともに各列の前記共振線路の1個ずつにそれぞれ入出力用線路を電磁界結合させて成り、前記各共振線路は、各列内で隣接する前記共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第1単位結合部と、各列間の対応する前記共振線路間で線路同士を平行に対向させて電磁界結合する第2単位結合部とを有し、かつ各列間の対応する前記共振線路における前記第1単位結合部間で互いの線路の方向が45度〜90度の角度をなすように配設されていることを特徴とする帯域通過フィルタ回路。
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-
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