JP4163364B2 - エンジン用送りねじ式テンショナー - Google Patents

エンジン用送りねじ式テンショナー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン、たとえば自動二輪車用エンジンの調時伝動装置に用いられるテンショナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車用等のエンジンでは、クランク軸により動弁カム軸を調時駆動するための調時伝動装置の伝動チエンに所定の張力を付与するためのテンショナーとして、送りネジ式のものが、屡々採用されており、かかる送りネジ式テンショナーは、たとえば、特開平10−110795号公報に開示されるものが既によく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる、送りねじ式テンショナーでは、図10に示すように、エンジンの運転により調時伝動装置が作動したとき、伝動チエンCの張力変動により、該伝動チエンCの緩み側に添設されるスリッパーSは、伝動チエンCの変動方向すなわち図10の矢印A方向に撓み振動し、これにより、テンショナーTの、スリッパーSへの押圧点Pが、スリッパーSの長手方向すなわち図10の矢印B方向に変位し、これにより、テンショナーTの押圧部材は、その径方向に揺すられて、テンショナーTの押圧部材とこれを支持する軸受部材間に存するクリアランスにより、それらが衝突し合い、これに起因して騒音を発生するという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、前記テンショナーに改良を加えて前記騒音の発生を可及的に低減できるようにした、新規なエンジン用送りねじ式テンショナーを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため、本請求項1記載の発明によれば、エンジンブロックに固定されるケーシングに回転止め部材を嵌合し、この回転止め部材に押圧部材を、その軸線まわりには回転しないが、その軸線方向に移動できるように支持し、この押圧部材に、前記ケーシングに回転自在にスラスト支持される回転軸を螺合し、前記ケーシングと回転軸間には、前記押圧部材をケーシングから突出する方向に付勢するばねを設け、押圧部材の先端を、エンジンブロックに軸支されるスリッパーを介して調時伝動装置の伝動帯に当接し、その伝動帯に張力を付与するようにした、送りねじ式テンショナーにおいて、前記押圧部材は、ケーシング内に設けられる円筒体と、その突出端にスプリングピンをもって結合されるキャップとからなり、前記スプリングピンは前記スリッパーの長手方向に対して略直交方向に設置され、前記キャップは、前記スリッパーに当接する先端を有すると共にこの先端とは反対側の面の周縁に前記円筒体の端面と向かい合う段部を有し、前記押圧部材と回転止め部材間の相対回転止め部に形成される平坦面および円周面のうちの平坦面を前記スリッパーの長手方向に沿わせる一方、前記円周面(26b,26b,30b,30b)間および前記ケーシング(15)と前記回転止め部材(29)との嵌合面間に、0.02mm以上0.15mm未満の第1,第2の間隙(Ca,Cb)をそれぞれ設け、前記回転止め部材は、前記ケーシングとの嵌合部に、前記平坦面と円周面とにそれぞれ対向して半径方向外方に突出する各一対の係合爪を有し、前記平坦面に対向する係合爪の幅を前記円周面に対向する係合爪の幅よりも大きく形成したことを特徴としており、かかる特徴によれば、押圧部材の揺すり振動を、該押圧部材と回転止め部材間の、旋盤等による高精度な加工が可能な円周面で受けることができ、テンショナーの押圧部材の揺すり振動を抑制して、騒音の発生を可及的に低減することができる。
【0006】
また、前記目的達成のため、本請求項2記載の発明によれば、エンジンブロックに固定されるケーシングに、回転止め部材を介して押圧部材を、その軸線まわりには回転しないが、その軸線方向に移動できるように支持し、この押圧部材に、前記ケーシングに回転自在にスラスト支持される回転軸を螺合し、前記ケーシングと回転軸間には、前記押圧部材をケーシングから突出する方向に付勢するばねを設け、押圧部材の先端を、エンジンブロックに軸支されるスリッパーを介して調時伝動装置の伝動帯に当接し、その伝動帯に張力を付与するようにした、送りねじ式テンショナーにおいて、前記押圧部材の先端には栓部材が固着されると共に、前記スリッパーに当接する円弧状のトップ部を有するキャップが設けられ、前記キャップはその底面中央に形成した膨出部を前記栓部材に当接し、該膨出部を支点として前記スリッパーの長手方向に回動可能であることを特徴としており、かかる特徴によれば、伝動帯の張力変動に起因するスリッパーの撓み振動で、テンショナーの押圧部材が、スリッパーの長手方向に沿う揺すり力を受けたときには、キャップが回動して、その揺すり力を吸収することができ、これにより、前記押圧部材の、スリッパーの変位に起因する揺れを抑制し、押圧部材の、他の部品との衝突による騒音の発生を可及的に低減することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】
まず、図1〜5を参照して本発明の第1実施例について説明する。
【0009】
図1は、本発明テンショナーを備えたエンジンの調時伝動装置の側面図、図2は、図3の2−2線に沿うテンショナーの縦断側面図、図3は、図2の3−3線に沿う断面図、図4は、図2の4−4線に沿う端面図、図5は、図2の一部拡大図である。
【0010】
図1において、全体を符号Eで示される、自動二輪車用の走行用エンジンEは、DOHC型の四サイクルエンジンであり、そのエンジンブロックBeは、シリンダブロック1と、そのデッキ面上に固定されるシリンダヘッド2と、その下面に固定されるオイルパン3とを備えており、シリンダヘッド2の上面は、ヘッドカバー4により被覆される。シリンダブロック1の下部には、燃料の爆発燃焼により、往復駆動されるピストン(図示せず)を介して回転駆動されるクランク軸5が回転自在に支承され、また、シリンダヘッド2の上部には、動弁機構(図示せず)に連動される一対の動弁カム軸6,6が回転自在に支承される。
【0011】
前記クランク軸5と、一対の動弁カム軸6,6とは、調時伝動装置Tiを介して連動、連結されており、以下に、その調時伝動装置Tiの構造について説明するに、クランク軸5の一端には、駆動輪としての駆動スプロケット7が固定され、また、一対の動弁カム軸6,6の一端には、従動輪としての従動スプロケット8,8がそれぞれ固定されており、前記駆動および従動スプロケット7,8,8間には、伝動帯としての無端状伝動チエン9が巻き掛けられている。そして、クランク軸5の回転は、前記調時伝動装置Tiを介して1/2の変速比をもって一対の動弁カム軸6,6に調時伝動される。
【0012】
前記無端状伝動チエン9の緩み側において、駆動スプロケット7と、一方の従動スプロケット8との間で、伝動チエン9の外側をガイドする弓形のスリッパー10の一端が支持軸11を介してシリンダヘッド2に揺動可能に支承されている。
【0013】
シリンダブロック1には、本発明に従うテンショナーTが取り付けられている。このテンショナーTは、前記伝動チエン9の緩み側を、前記スリッパー10を介して押圧し、その伝動チエン9に一定の張力を付与するものである。
【0014】
つぎに、図2〜5を参照して、テンショナーTの構造を詳細に説明する。
【0015】
このテンショナーTは、基端部を一対の結合ボルト12をもってシリンダブロック1の側部に固定される円筒状のケーシング15と、このケーシング15に軸線まわりの回転を不能とするが軸線方向の移動を可能となるように支承される押圧部材16と、押圧部材16と同軸に配置されて該押圧部材16に螺挿される回転軸17と、ケーシング15に固定されて回転軸17をスラスト支持するスラスト軸受部材18と、回転軸17およびケーシング15間に設けられて回転軸17を回転付勢する捩りばね19とを備え、前記押圧部材16の先端は、前記スリッパー10の自由端部側の外面に当接される。
【0016】
前記ケーシング15は、径方向に張り出したフランジ15aを先端寄りの部分(図2の右端寄りの部分)に有して全体が円筒状に形成されており、該フランジ15aが一対の結合ボルト12によりシリンダブロック1に締結される。
【0017】
前記ケーシング15内には、その先端側(図2右端側)から順に、円筒状の収納孔21と、その収納孔21よりも小径の取付孔22と、その取付孔22よりも小径のねじ孔23とが同一軸線上に設けられる。そして前記ねじ孔23の端部には、栓部材24が螺合される。また図4に示すように、ねじ孔23の開口縁には、4つの係止凹部25が90°の間隔をあけて形成されている。
【0018】
押圧部材16は、前記収納孔21内に同軸に配置されると共に先端部がケーシング15の先端から突出される円筒体26と、その円筒体26の先端に前記スリッパー10の長手方向に対して略直交方向に設置されるスプリングピン20をもって結合されるキャップ27とからなり、そのキャップ27が、前記スリッパー10の自由端部外面に当接される。また、押圧部材16の後端側すなわち円筒体26の後端側の内周面には、雌ねじ28が刻設されている。
【0019】
押圧部材16の円筒体26は、ケーシング15に嵌合された回転止め部材29を介して軸方向には移動可能であるが、回転はできないように支持される。図3に示すように、前記回転止め部材29は、皿状に形成されて、後に述べる固定構造により、ケーシング15の先部に固定され、その中央部に開口した挿通孔30に、円筒体26の先部が、その軸方向に移動可能であるが、相対的な回転ができないように支持される。円筒体26は、その軸線に沿って平行に延びる一対の平坦面26a,26aと、円筒体26の外周面よりなる一対の円周面26b,26bとより、横断面小判状に形成され、一方、この円筒体26に挿通される、前記回転止め部材29の挿通孔30もその円筒体26の外面形状に対応して一対の平坦面30a,30aおよび円周面30b,30bを有して小判形状に形成される。そして、円筒体26は、回転止め部材29を介してケーシング15に、その軸線に沿う方向への移動を可能とするが、その軸線まわりの回転を阻止するように支持され、これにより、円筒体26と回転止め部材29との実質的な支持面は、後に述べるように、円周面26b,26bおよび30b,30bとなるので、それらの支持面の加工精度を高めることができ、図5に示すように、それらの支持面間の隙間Caを、0.02mm〜0.15mmとすることができる。
【0020】
しかして、後に述べるように、本発明に従うテンショナーTをエンジンEに組み付けるときは、図3に示すように、前記円筒体26および回転止め部材29の挿通孔30間の一対の平坦面26a,26aおよび30a,30aをスリッパー10の長手方向に沿わせ、それらの円周面26b,26bおよび30b,30bをスリッパーの長手方向を横切るように配置することにより、後に述べるように、テンショナーTの作動時における、スリッパー10の挙動により、押圧部材16がその軸線と直交方向に揺すられても、押圧部材16と回転止め部材29との衝突に起因する打音、振動音の発生が低減される。
【0021】
つぎに、回転止め部材29の、ケーシング15に対する固定構造について説明すると、図2,3,5に示すように、前記回転止め部材29の周縁部には、その周方向に180°に間隔をあけた一対の係合爪29a,29aと、それらの係合爪29a,29aとは周方向に90°の間隔をあけると共にその係合爪29a,29aよりも周方向に幅狭に形成された一対の他の係合爪29b,29bとが半径方向外方に突出するように連設され、一方、前記ケーシング15の先端部には、それらの係合爪29a,29a,29b,29bを係合させる4つの係合凹部31a,31a,31b,31bが形成されている。而して、各係合凹部31a,31a,31b,31bにそれぞれ係合された係合爪29a,29a,29b,29bには、ケーシング15に先端部外周に嵌着された止め輪32が共通に係合され、これにより、回転止め部材29がケーシング15の先端に着脱可能に固定されることになる。すなわち回転止め部材29に対して軸線まわりの相対回転が不能である押圧部材26は、その軸線まわりの回転を不能とするが、その軸線方向の移動を可能としてケーシング15に支承される。
【0022】
前記回転止め部材29の、各係合爪29a,29b間の4つの円周部29cは、ケーシング15の収納孔21先端部の内周面に嵌合され、それらの嵌合面は、円周面であることにより、それらの嵌合面の加工精度を高めることが可能となり、その嵌合面間の間隙Cbを狭めることができ、具体的には、図3,5に示すように、その間隙Cbを0.02mm〜0.15mmとすることができる。
【0023】
図2に示すように、前記回転軸17は、その先端側(図2右端側)から順に、押圧部材16の雌ねじ28に螺合する雄ネジ部17aと、この雄ねじ部17aよりも大径である連結部17bと、その連結部17bよりも大径にして円筒体26の外形と略同径に形成される嵌合部17cと、その嵌合部17cよりも大径である大径部17dと、その大径部17dよりも小径の支持部17eとが同軸上に一体に連設されてなるものであり、一方、ケーシング15における取付孔22には、前記スラスト軸受部材18が圧入、固定され、回転軸17の基端すなわち支持部17aの端面がそのスラスト軸受部材18でスラスト支持される。すなわち、スラスト軸受部材18は、取付孔22に圧入されると共に回転軸17の基端部すなわち支持部17aを回転自在に挿入させる円筒部18aと、その円筒部18aの一端から半径方向内方に延びる内鍔部18bとからなり、この内鍔部18bに支持部17eの端面が摺接、支持される。
【0024】
さらに、図2に示すように、ケーシング15内には、前記円筒体26を囲繞して中空円筒状のスペーサ33が設けられ、このスペーサ33は、その一端を、皿状の回転止め部材29の内面に当接させる一方、その他端部を、回転軸17の嵌合部17cに嵌合させ、その他端を、回転軸17における嵌合部17cおよび大径部17d間の段部に当接させる。したがって、押圧部材16の先端すなわちキャップ27がスリッパー10に接触していない状態で、回転軸17および押圧部材16が前進移動することは、スペーサ33により阻止される。
【0025】
回転軸17における支持部17eには、その支持部17eの端面に開口する係止スリット34が設けられており、回転軸17における支持部17eの一部および大径部17dと、スペーサ33の大部分を囲繞する捩りばね19の一端が、その係止スリット34に係合される。また、ケーシング15の先端側には、4つの係止凹部31a,31a,31b,31bの一つ、たとえば係止凹部31aに連なって軸方向に延びる係止溝35が設けられると共に、回転止め部材29の係合爪29aとの間で係止溝35に通じる孔を形成する凹部36が設けられており、捩りばね19の他端は、前記孔を通って係止溝35に係合される。
【0026】
そして、この捩りばね19のばね力により回転軸17が回転付勢されるが、その回転付勢方向は、回転軸17の雄ねじ部17aが、押圧部材16の雌ねじ28に螺合していることに伴って押圧部材16を前進させる方向、すなわち、前記キャップ27をスリッパー10に押し付ける方向に設定されている。
【0027】
ところで、押圧部材16の先端がスリッパー10に接触していない状態では、回転軸17の係止スリット34には、板状のストッパ37の一端が係合されており、そのストッパ37の他端は、ねじ孔23の後端開口縁に設けられた4つの係止凹部25…(図4)のうちの2つに係合される。これにより、捩りばね19の付勢力によっても回転軸17は回転することなく、押圧部材16が前進することもない。
【0028】
つぎに、この第1実施例の作用について説明する。
【0029】
前述のように構成されるテンショナーTを、エンジンに組み付けるには、図1に示すように、そのテンショナーTのケーシング15を、シリンダブロック1の所定の位置に結合ボルト12により固定すると共にその押圧部材16の前端のキャップ27を、伝動チエン9の緩み側の外面に沿って設けられるスリッパー10の自由端側の外側に当接配置させる。この場合、図3に示すように、押圧部材16の先端部の、回転止め部材29による挿通支持部において、それらの相対回転止め用の、一対の平坦面26a,26a,30a,30aをスリッパー10の長手方向に沿わせ、その平坦面26a,26a,30a,30aを挟んで対向する一対の円周面26b,26b,30b,30bを、スリッパー10の長手方向を横切る方向に向くように、スリッパー10および伝動チエン9に対するテンショナーTの相対位置を決定する。
【0030】
ここで、前記板状のストッパ37を回転軸17から外すと、その回転軸17が捩りばね19のばね力により回転駆動され、それに応じて押圧部材16が、その先端のキャップ27をスリッパー10に当接させるまで前進してスリッパー10に、テンショナーTの推進力を作用させることになり、これにより、無端状の伝動チエンに一定の張力が付与される。
【0031】
そして、調時伝動装置Tiの運転により、伝動チエン9に伸びが生じたときは、捩りばね19のばね力による回転軸17の回転で、押圧部材16が伝動チエン9の伸びに相当して軸方向に前進し、伝動チエン9に付与する張力を一定に維持する。
【0032】
ところで、エンジンEの運転により、調時伝動装置Tiが作動されているとき、通常弾性体により構成される弓形のスリッパー10は、伝動チエン9の張力変動をうけて、図10の矢印Aに示すように、撓み振動し、この撓み振動に起因してスリッパー10の、テンショナーTによる押圧点が、図10の矢印Bに示すように、そのスリッパー10の長手方向に変位する。これによりテンショナーTの押圧部材16は、スリッパー10の長手方向に揺すられるが、押圧部材16は、その回転止め部において、平坦面26a,26a,30a,30aは、スリッパー10の長手方向に沿う方向にあり、かつ、円周面26b,26b,30b,30bはスリッパー10の長手方向、すなわち押圧部材16の揺すり方向に対して直交する方向にあって、その揺すり力を受ける。
【0033】
しかして、前記押圧部材16と回転止め部材29との、平坦面26a,26a,30a,30aと円周面26b,26b,30b,30bとを有する断面小判状の回り止め挿通支持部を、仕上げ加工するにあたっては、円周面の方が旋盤等により加工精度を出し易い上に加工がし易く、しかも、それら間の隙間を縮小することが可能であり、さらに円周面26b,26b,30b,30bの方が、平坦面26a,26a,30a,30aよりも受圧面積を大きくとり易いことから、前記押圧部材16と回転止め部材29との回り止め挿通支持部では、スリッパー10から受ける押圧部材16の揺すり振動を、円周面26b,26b,30b,30bで受けるようにしたことにより、該押圧部材16の揺すり振動が軽減され、その振動に起因する打音、振動音の発生を大幅に低減することができる。
【0034】
つぎに、本発明に従うテンショナーの参考例を、図6,7を参照して説明する。
【0035】
図6は、テンショナーの先端部の縦側面図、図7は、図6の7線矢視平面図であり、前記第1実施例と同じ要素には同じ符号が付される。
【0036】
テンショナーTの、ケーシング15より突出する押圧部材16の先端部に、スプリングピン20を介して結合されるキャップ127の前面には、ホーク部127aが形成され、このホーク部127aに、回動部材としてのローラー140が支持軸141を介して、スリッパー10の長手方向に回動転自在に軸支され、このローラー140の外周面は、スリッパー10の外面に当接される。そして、このローラー140は、スリッパー10の長手方向の変位に追従するように回転する。
【0037】
テンショナーTの押圧部材16に伝達される推進力は、ローラー140を介してスリッパー10に伝達され、これにより伝動チエン9に一定の張力を付与することができる。
【0038】
しかして、伝動チエン9の張力変動に起因するスリッパー10の撓み振動で、テンショナーTの押圧部材16が、スリッパーの長手方向に沿う揺すり力を受けたときには、ローラー140が回動して、その揺すり力を吸収することができ、これにより、前記押圧部材16の、スリッパー10の変位に起因する揺れを抑制し、押圧部材16の、他の部品との衝突による騒音の発生を可及的に低減することができる。
【0039】
つぎに、本発明に従うテンショナーの第2実施例を、図8,9を参照して説明する。
【0040】
図8は、テンショナーの先端部の縦断面図、図9は、図8の9−9線に沿う断面図であり、前記第1実施例と同じ要素には、同じ符号が付される。
【0041】
テンショナーTの、ケーシング15より突出する押圧部材16の先端の内周部には、栓部材240が固着され、また、押圧部材16の先端部外周面には、180°の位相差をもって一対の係合凹部241が形成されている。一方、回動部材としてのキャップ227は、鍛造、プレス等により帽状に形成され、その径大な基部内周面に同じく180°の位相差をもって一対の突部227cが突設され、そして、突部227cは、前記係合凹部241に、キャップ227の、後述する回動を許容するように遊合保持される。キャップ227の底面中央部に形成した膨出227bは、前記栓部材240に当接され、キャップ227は、この膨出部227bを支点としてスリッパー10の長手方向に回動可能である。キャップ227の円弧状のトップ部227aは、スリッパー10に当接される。そして、キャップ227は、前記膨出部227bを支点として、スリッパー10の長手方向の変位に追従するように回動する。
【0042】
しかして、伝動チエン9の張力変動に起因するスリッパー10の撓み振動で、テンショナーTの押圧部材16が、スリッパーの長手方向に沿う揺すり力を受けたときには、キャップ227が回動して、その揺すり力を吸収することができ、これにより、前記押圧部材16の、スリッパー10の変位に起因する揺れを抑制し、押圧部材16の、他の部品との衝突による騒音の発生を可及的に低減することができる。
【0043】
なお、この第2実施例に基づく発明は、前記第1実施例の、押圧部材16の支持構造をもつテンショナーに実施した場合を説明したが、押圧部材16の支持構造は従来公知のものを採用してもよい。
【0044】
以上、本発明の実施例及び参考例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。たとえば、前記実施例では、本発明ねじ式テンショナーを、自動二輪車用エンジンに実施した場合を説明したが、これを他の車両用等のエンジンにも実施でき、また、前記実施例では、本発明ねじ式テンショナーを、チエン式調時伝動装置に実施した場合を説明したが、これをベルト式、その他の調時伝動装置にも実施できるることは勿論である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本請求項1記載の発明によれば、送りねじ式テンショナーにおいて、スリッパーに推進力を付与する押圧部材の、スリッパーへの押圧点の変位に起因する騒音の発生を可及的に低減することができる。また、請求項2の発明によれば、伝動帯の張力変動に起因するスリッパーの撓み振動で、テンショナーの押圧部材が、スリッパーの長手方向に沿う揺すり力を受けたときには、キャップが回動して、その揺すり力を吸収することができ、これにより、前記押圧部材の、スリッパーの変位に起因する揺れを抑制し、押圧部材の、他の部品との衝突による騒音の発生を可及的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明テンショナーを備えたエンジンの調時伝動装置の側面図(第1実施例)
【図2】 図3の2−2線に沿うテンショナーの縦断側面図(第1実施例)
【図3】 図2の3−3線に沿う断面図(第1実施例)
【図4】 図2の4−4線に沿う端面図(第1実施例)
【図5】 図2の一部拡大図(第1実施例)
【図6】 テンショナーの先端部の縦側面図(参考例)
【図7】 図6の7線矢視平面図(参考例)
【図8】 テンショナーの先端部の縦側面図(第2実施例)
【図9】 図8の9−9線に沿う断面図(第2実施例)
【図10】 伝動帯の張力変動によるスリッパーの撓み振動の状態を示す図
【符号の説明】
1・・・・・・・・シリンダブロック
9・・・・・・・・伝動帯(伝動チエン)
10・・・・・・・スリッパー
15・・・・・・・ケーシング
16・・・・・・・押圧部材
17・・・・・・・回転軸
19・・・・・・・捩りばね
26・・・・・・・円筒体
26a・・・・・・平坦面
26b・・・・・・円周面
27・・・・・・・キャップ
29・・・・・・・回転止め部材
29a・・・・・・係合爪
29b・・・・・・係合爪
30・・・・・・・挿通孔
30a・・・・・・平坦面
30b・・・・・・円周面
227・・・・・・キャップ
227a・・・・・トップ部
227b・・・・・膨出部
240・・・・・・栓部材
・・・・・・・調時伝動装置
Ca・・・・・・・間隙
Cb・・・・・・・間隙

Claims (2)

  1. エンジンブロック(Be)に固定されるケーシング(15)に回転止め部材(29)を嵌合し、この回転止め部材(29)に押圧部材(16)を、その軸線まわりには回転しないが、その軸線方向に移動できるように支持し、この押圧部材(16)に、前記ケーシング(15)に回転自在にスラスト支持される回転軸(17)を螺合し、前記ケーシング(15)と回転軸(17)間には、前記押圧部材(16)をケーシング(15)から突出する方向に付勢するばね(19)を設け、押圧部材(16)の先端を、エンジンブロック(Be)に軸支されるスリッパー(10)を介して調時伝動装置(Ti)の伝動帯(9)に当接し、その伝動帯(9)に張力を付与するようにした、送りねじ式テンショナーにおいて、
    前記押圧部材(16)は、ケーシング(15)内に設けられる円筒体(26)と、その突出端にスプリングピン(20)をもって結合されるキャップ(27)とからなり、前記スプリングピン(20)は前記スリッパー(10)の長手方向に対して略直交方向に設置され、前記キャップ(27)は、前記スリッパー(10)に当接する先端を有すると共にこの先端とは反対側の面の周縁に前記円筒体(26)の端面と向かい合う段部を有し、
    前記押圧部材(16)と回転止め部材(29)間の相対回転止め部に形成される平坦面(26a,26a,30a,30a)および円周面(26b,26b,30b,30b)のうちの平坦面(26a,26a,30a,30a)を前記スリッパー(10)の長手方向に沿わせる一方、前記円周面(26b,26b,30b,30b)間および前記ケーシング(15)と前記回転止め部材(29)との嵌合面間に、0.02mm以上0.15mm未満の第1,第2の間隙(Ca,Cb)をそれぞれ設け、
    前記回転止め部材(29)は、前記ケーシング(15)との嵌合部に、前記平坦面(30a,30a)と円周面(30b,30b)とにそれぞれ対向して半径方向外方に突出する各一対の係合爪(29a,29a,29b,29b)を有し、前記平坦面(30a,30a)に対向する係合爪(29a,29a)の幅を前記円周面(30b,30b)に対向する係合爪(29b,29b)の幅よりも大きく形成したことを特徴とする、エンジン用送りねじ式テンショナー。
  2. エンジンブロック(Be)に固定されるケーシング(15)に、回転止め部材(29)を介して押圧部材(16)を、その軸線まわりには回転しないが、その軸線方向に移動できるように支持し、この押圧部材(16)に、前記ケーシング(15)に回転自在にスラスト支持される回転軸(17)を螺合し、前記ケーシング(15)と回転軸(17)間には、前記押圧部材(16)をケーシング(15)から突出する方向に付勢するばね(19)を設け、押圧部材(16)の先端を、エンジンブロック(Be)に軸支されるスリッパー(10)を介して調時伝動装置(Ti)の伝動帯(9)に当接し、その伝動帯(9)に張力を付与するようにした、送りねじ式テンショナーにおいて、
    前記押圧部材(16)の先端には栓部材(240)が固着されると共に、前記スリッパー(10)に当接する円弧状のトップ部(227a)を有するキャップ(227)が設けられ、前記キャップ(227)はその底面中央に形成した膨出部(227b)を前記栓部材(240)に当接し、該膨出部(227b)を支点として前記スリッパー(10)の長手方向に回動可能であることを特徴とするエンジン用送りねじ式テンショナー。
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