JP4163821B2 - オリゴヌクレオチドの修飾方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸同士のハイブリッド形成を利用して相同な塩基配列を検出するための分子であるプローブを製造する方法であって、プローブとして有用な導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子技術の一つである遺伝子クローニング法は、相同性クローニング、機能発現クローニング、機能相補クローニングおよびポジショナルクローニングに大別されるが、これらの方法の基本原理は、何れも遺伝子ライブラリーの中から、標識物質で標識された核酸断片等(以下、「プローブ」という)とハイブリッドを形成するクローンを選び出すことである。プローブは、そのほとんどが標識DNA断片、標識RNA断片あるいは標識オリゴヌクレオチドであるが、標識抗体や標識ペプチドもプローブとして利用することができる。ハイブリッドを形成するクローンの検出方法としては、使用する標識物質の種類によって蛍光法、ラジオアイソトープ法、化学発光法等があり、特に蛍光法は、感度や迅速性の点で優れており、最も有用されている方法である。
【0003】
一方、導電性化合物で標識したプローブを用いる電気化学的方法も知られている(Analytical Biochemistry 218,436-443,1994)。電気化学的方法は、励起光による褪色が起こらない点や測定に専用の装置を必要としない点で、蛍光法と比べて優れている。
【0004】
オリゴヌクレオチドを導電性化合物で修飾して電気化学活性なプローブを調製する方法は、上記記載の文献に記載されている。即ち、その調製方法は、オリゴヌクレオチドを含む緩衝液に、フェロセンカルボン酸とN−ヒドロキシスクシンイミドとで得られるフェロセンカルボン酸エステルのDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液を加え、オリゴヌクレオチドとフェロセンカルボン酸エステルとを反応させ、フェロセン化オリゴヌクレオチドを得るものである。しかし、この方法では、反応中、水分子のフェロセンカルボン酸エステルへの攻撃が副反応として起こるため、フェロセン化オリゴヌクレオチドの収率がかなり低下するという問題点を有する。
【0005】
また、DMSO等の有機溶媒と緩衝液との混合溶液を用いて行う上記記載の反応系は、導電性化合物でオリゴヌクレオチドを標識する場合に限らず、蛍光物質やビオチンによってオリゴヌクレオチドを標識する場合においても一般的に使用されている反応系であり、低い収率は従来から問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、遺伝子技術において、プローブとして有効に利用することができる導電性を有するオリゴヌクレオチドを得るべく、オリゴヌクレオチドを導電性化合物で収率良く修飾する方法を提供することを、その課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、実質的に水を含まない有機溶媒中にて、炭素原子数7乃至50の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有する四級アンモニウム塩、三級スルホニウム塩および四級ホスホニウム塩からなる群より選ばれる油溶性化合物のイオン対との形成によって該有機溶媒に可溶化された少なくとも一方の端部に反応性基を有するオリゴヌクレオチドと、反応性基を有する導電性化合物とを反応させることにより、該導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを得る方法にある。
【0009】
本発明はまた、実質的に水を含まない有機溶媒中にて、少なくとも一方の端部に反応性基を有するオリゴヌクレオチドと炭素原子数7乃至50の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有する四級アンモニウム塩、三級スルホニウム塩および四級ホスホニウム塩からなる群より選ばれる油溶性化合物とを混合し、該オリゴヌクレオチドと油溶性化合物とのイオン対を形成させることにより該有機溶媒に該オリゴヌクレオチドを可溶化させ、次いで、該オリゴヌクレオチドを溶解状態で含む該有機溶媒中に反応性基を有する導電性化合物を加え、該オリゴヌクレオチドと該導電性化合物とを反応させることからなる導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを得る方法にもある。
【0010】
本発明の修飾されたオリゴヌクレオチドを得る方法の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)導電性化合物が、フェロセンである。
(2)有機溶媒としてクロロホルムを用いる。
(3)炭素原子数7乃至50の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有する四級アンモニウム塩が、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドである。
(4)得られた導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを含む反応混合物をアニオン界面活性剤を含む緩衝液で振とうすることにより、該導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを水相中に分離する。
【0011】
【発明の実施の形態】
オリゴヌクレオチドは、その極性基を何らかの保護基で保護した誘導体に変換しない場合には、実質的に水を含まない有機溶媒、特に極性が比較的低い有機溶媒には一般的に不溶性である。従って、極性基が未保護のオリゴヌクレオチドを、実質的に水を含まない有機溶媒にて導電性化合物で修飾するには、該オリゴヌクレオチドを該有機溶媒に可溶化させる工夫が必要である。本発明のオリゴヌクレオチドの修飾方法では、該オリゴヌクレオチドと油溶性化合物とのイオン対(該オリゴヌクレオチドのリン酸エステル基のアニオンと、油溶性化合物のカチオンとの対イオン)の形成により、該オリゴヌクレオチドを該有機溶媒に可溶化させることを特徴とする。
【0012】
本発明のオリゴヌクレオチドの修飾方法を、下記式に示す修飾されたオリゴヌクレオチドの調製経路を参照しながら説明する。
【0013】
【化1】
【0014】
本発明のオリゴヌクレオチドの修飾方法は、上記反応式に示すように、実質的に水を含まない有機溶媒中にて、少なくとも一方の末端部に反応性基Yを有するオリゴヌクレオチド(1)と、油溶性化合物(2)とを混合し、該オリゴヌクレオチド(1)と油溶性化合物(2)とのイオン対(3)を形成させることにより、該有機溶媒に該オリゴヌクレオチド(1)を可溶化させ、次いで可溶化された該オリゴヌクレオチド(1)と反応性基Xを有する導電性化合物(4)とを反応させる方法であることが好ましい。上記式中、−リン酸エステル基−NNNN・・・NNは、オリゴヌクレオチドを表わし、−NNNN・・・NNは、下記式で表されるオリゴヌクレオチド部分とする。Baseは、核酸塩基(チミジン、ウリジン、アデノシン、グアノシンもしくはシチジン)を、Rは、HもしくはOHをそれぞれ表わす。
【0015】
【化2】
【0016】
オリゴヌクレオチドは、一種類のデオキシリボヌクレオチドあるいはリボヌクレオチドからなるものであっても、二種類以上のデオキシリボヌクレオチドあるいはリボヌクレオチドからなるものであってもよく、一種類以上のデオキシリボヌクレオチドおよび一種類以上のリボヌクレオチドを組み合わせてなるものであってもよい。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、あるいはデオキシオリゴヌクレオチドとリボオリゴヌクレオチドとの2〜50量体であることが好ましく、10〜25量体であることが特に好ましい。
【0017】
前記式で例示したオリゴヌクレオチド(1)は、その5’末端部のリン酸エステル基に、反応性基を有する導電性化合物(4)と反応する反応性基Yを有するものであるが、その3’末端部、あるいはその両末端部のリン酸エステル基に反応性基Yを有するものであってもよい。即ち、導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドが、その両末端部に導電性化合物が結合してなるものであってもよい。オリゴヌクレオチドは、その5’末端部のみのリン酸エステル基に反応性基Yを有する、例示したオリゴヌクレオチド(1)であることが特に好ましい。
【0018】
L+Q-は、油溶性化合物(2)を表し、反応性基Xを有する導電性化合物(4)のAは、反応性基を有しない導電性化合物そのものを、X1は、オリゴヌクレオチド(1)のリン酸エステル基と導電性化合物Aとの間に新たに形成された結合基をそれぞれ表わす。
【0019】
以下、導電性化合物A、反応性基X、反応性基Yおよび油溶性化合物についてそれぞれ説明する。まず、導電性化合物について説明する。
【0020】
導電性化合物としては、酸化還元活性を有するものであれば何れのものも用いることができる。導電性化合物としては、有機金属化合物と金属原子を含まないが導電性を有する物質とを挙げることができる。
【0021】
有機金属化合物としては、配位子から中心金属原子の電子供与に加えて、中心金属原子の軌道から配位子の原子の空軌道へ電子がπ結合を通じて供与されるタイプのπ錯体を用いることが好ましい。また、有機金属化合物としては、繰り返し単位どうしが配位結合によって結合している配位高分子も好ましく用いることができる。π錯体は、金属原子に対する配位が、単座配位、二座配位、多座配位もしくは架橋配位の何れの配位によるものであってもよい。π錯体の具体例としては、下記式に示すメタロセン錯体をあげることができる。Mは、金属原子を表す。
【0022】
【化3】
【0023】
上記式で表されるメタロセン錯体の金属原子は、Fe、Ni、Co、Mo、Zn、Cr、Tl、Ta、Ti、Cu、Mn、W、V、RuもしくはOsであることが好ましく、Fe、Co、Ni、Ru、Os、VもしくはCrであることがさらに好ましく、Fe(このとき、メタロセン錯体は、フェロセンである)であることが特に好ましい。
【0024】
π錯体としては、下記式で表されるシクロブタジエン錯体、シクロペンタジエニル錯体、フェナントロリン錯体、ビピリジン錯体もしくはトリフェニルホスフィン錯体も好ましく用いることができる。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
ビピリジン錯体としては、[Pd(bpy)2]2+、[CoCl2(bpy)2]+、[Fe(bpy)3]n、もしくは[Cr(bpy)3]nであることが好ましい。但し、bpyは2,2’−ビピリジンを表し、nは、−1〜3の整数を表わす。トリフェニルホスフィン錯体としては、CoCH3(PPh3)3、CoH(N2)(PPh3)3、RuH2(PPh3)4もしくはRhH(PPh3)4であることが好ましい。Phは、フェニル基を示す。
【0028】
導電性化合物としては、クロロクルオロヘム、クロロフィリド、クロロフィル、ヘム、ビタミンB12等のポルフィリン系錯体も好ましく用いることができる。
【0029】
金属原子を含まない導電性化合物としては、下記式で表されるビオロゲン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、カテコールアミン等を挙げることができる。但し、RA、RBは、互いに独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、並びにN、OおよびSからなる群より選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む炭素原子数2〜12の複素環基からなる群より選ばれる基であることが好ましい。上記のアルキル基、アルコキシ基、アリール基および複素環基は、何れも炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基および炭素原子数6〜10のアリール基からなる群より選ばれる基で置換されていてもよい。RA、RBは、何れも、炭素原子数1〜6のアルキル基もしくは炭素原子数6〜12のアリール基であることがさらに好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。
【0030】
【化6】
【0031】
【化7】
【0032】
また、導電性を有することが知られている(M.Prato et al.,Tetrahedron,24,5221
-5234)フラーレン誘導体も好ましく使用することができる。本発明の修飾方法では、上記文献に記載のフラーレン誘導体のみならず、下記一般式で表される新規な水溶性フラーレン誘導体(特願平11−096831号の明細書)も導電性化合物として好ましく用いることができる。
【0033】
【化8】
【0034】
上記式中、R1およびR3は、それぞれ独立に、カチオン性基、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、および炭素原子数1〜6のアルコキシ基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表す。但し、R1およびR3の内、少なくとも一つは該カチオン性基を表すが、R1およびR3の内の何れか一方が該カチオン性基を表し、他方が水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基、およびメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜6のアルコキシ基からなる群より選ばれる原子もしくは基を表すことが特に好ましい。
【0035】
カチオン性基は、N、SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む炭素原子数2〜10の複素環基、あるいはN、SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子を鎖式部分に1〜4個含む炭素原子数1〜12の炭化水素基であって、N、SおよびPからなる群より選ばれる1〜4個のヘテロ原子の内の何れか一つが、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されていてもよいビニル基、およびベンジル基からなる群より選ばれる基を有することによってカチオン性となっているカチオン性基である。
【0036】
炭素原子数2〜10の複素環基を構成する複素環として好ましくは、SもしくはNを、1もしくは2個含む炭素原子数3〜9の複素環であり、さらに好ましくは、チオフェン、ピロール、チアゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、2−ピロリン、ピロリジン、2−イミダゾリン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、チオラン、1,3−チアゾール、インドール、ベンゾ[b]チオフェン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、もしくはキノキサリンであり、特に好ましくは、ピリジンである。
【0037】
前記記載の炭素原子数1〜12の炭化水素基として好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜6の炭化水素基であって、かつその炭化水素基の鎖式構造部分にSもしくはNを1もしくは2個含む炭化水素基であり、さらに好ましくは、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオメチレン基もしくはエチルチオメチレン基であり、特に好ましくは、メチルアミノ基もしくはメチルチオ基である。
【0038】
SもしくはNが有する基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基、ビニル基、当該炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されているビニル基およびベンジル基からなる群より選ばれる基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0039】
よって、カチオン性基として好ましくは、N−メチルピリジルカチオン、−メチルイミダゾリルカチオン、N−メチルピリミジルカチオン、N−メチルチアゾリルカチオン、N−メチル−2−ピロリニルカチオン、N−メチルピロリジニルカチオン、N−メチルピペリジニルカチオン、S−チオフィニルカチオンもしくはS−チオラニルカチオンであり、特に好ましくは、N−メチルピリジルカチオンである。また、R1およびR3の内、カチオン性基でない他方が表す原子もしくは基として好ましくは、水素原子もしくはメチル基であり、特に好ましくは、水素原子である。
【0040】
R2は、水素原子、アセチル基等の炭素原子数2〜7のアシル基、および−(CH2)n−R4からなる群より選ばれる原子もしくは基を表す。ここでR4は、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオピキシ基等の炭素原子数1〜6のアルコキシ基、および置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基もしくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を1〜5個有していてもよいフェニル基、ナフチル基等の環構成炭素原子の数が6〜12のアリール基からなる群より選ばれる基を表す。nは、1〜3の整数を表し、好ましくは、1である。R4として好ましくは、水素原子、メチル基もしくはフェニル基であり、特に好ましくは水素原子である。
よって、R2として好ましくは、メチル基、アセチル基もしくはベンジル基であり、特に好ましくは、メチル基である。
【0041】
X-は、前記カチオン性基の対アニオンを表す。X-は、好ましくは、トリフルオロメタンスルホニルアニオン、メチルスルフェートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、過塩素酸アニオン、フルオロアニオン、クロロアニオンもしくはブロモアニオンであり、特に好ましくは、トリフルオロメタンスルホニルアニオンである。
【0042】
導電性を有するフラーレン誘導体は、下記式で表される化合物を用いることが特に好ましい。TfO-は、トリフルオロメタンスルホニルアニオンを示す。
【0043】
【化9】
【0044】
本発明のオリゴヌクレオチドの修飾方法は、前記反応式で示すように、オリゴヌクレオチドの末端部と導電性化合物とが縮合できる方法であれば、何れの有機反応を用いる方法であってもよい。該縮合反応としては、第一アミンあるいは第二アミンと反応活性基を有する導電性化合物A−Xとの縮合方法を用いることが好ましい。そのような縮合反応に使用するA−Xとしては、導電性化合物Aの活性エステル体、無水物体、塩化スルホニル体、イソシアン酸体、もしくはアルデヒド体であることが好ましく、導電性化合物Aの活性エステル体、無水物体もしくは塩化スルホニル体であることがさらに好ましく、活性エステル体であることが特に好ましい。導電性化合物Aの活性エステル体としては、導電性化合物Aに導入したカルボン酸を、ヒドロキシスクシンイミド、ヒドロキシキシマレイミド、ヒドロキシフタルイミド等のヒドロキシイミド、あるいは塩化チオニル、オキサリルクロリド等の塩化物で処理して得られたものであることが好ましい。
【0045】
反応性基Xは、下記式で表される基であることが好ましい。
【0046】
【化10】
【0047】
反応性基Xは、例えば、導電性化合物がメタロセン錯体である場合には、一方のシクロペンタンの何れの位置の炭素原子に結合していてもよい。また、特に反応性基Xが、−CO−O−CO−(このとき、A−Xは、導電性化合物Aの無水物体となる)である場合には、無水物体は、一方のシクロペンタンとのみ無水物を形成するものであっても、二つのシクロペンタンと一つの無水物を形成するものであってもよい。R5は、炭素原子数1〜6のアルキレン基−、−NH−、−NH−炭素原子数1〜6のアルキレン基−、炭素原子数1〜6のアルキレン基−NH−もしくは−O−であることが好ましく、メチレン基もしくはエチレン基であることが特に好ましい。mは、0または1であることが好ましい。pは、0〜4の整数であることが好ましく、2であることが特に好ましい。上記アルキレン基は、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアルカノイル基、ハロゲン原子、アミノ基、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基、アミノアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基およびホルミル基からなる群より選ばれる基で置換されていてもよい。R5の構造は、導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチド(5)の酸化還元電位の変化に主に影響を与えると考えられている。
【0048】
反応活性基Yとしては、本発明の修飾方法で好ましく用いられる縮合反応が、第一アミンあるいは第二アミンと反応性基を有する導電性化合物の誘導体A−Xとの反応であるため、H2N−、H2N−アルキレン基−、N−アルキルアミノ−アルキレン基−あるいは−NH−と共同して形成する一価の脂環式炭化水素基−であることが好ましく、H2N−ヘキシレン基−、N−メチルアミノ−ヘキシレン基−もしくは4−ピペリジニル基−であることがさらに好ましく、H2N−ヘキシレン基−であることが特に好ましい。
【0049】
結合基X1は、反応活性基を有するオリゴヌクレオチド(1)と反応活性基を有する導電性化合物(4)との縮合反応の結果形成される基であり、上記記載の反応性基Xと反応性基Yとによって決定される基である。
【0050】
本発明の修飾方法で用いられる油溶性化合物としては、下記式で表される四級アンモニウム塩、三級スルホニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩であることが好ましい。
【0051】
【化11】
【0052】
R6、R7、R8およびR9は、互いに独立に、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基、並びにN、SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む炭素原子数2〜10の複素環基からなる群より選ばれる基を含んでいてもよい、炭素原子数1〜50の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、R6、R7、R8およびR9の内の少なくとも一つは、炭素原子数7〜50の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
【0053】
炭素原子数7〜50の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数10〜20の鎖式脂族炭化水素基であることが好ましく、ペンタデシル基もしくはヘキサデシル基であることが特に好ましい。Q-は、対アニオンを表す。対アニオンとしては、ハロゲンイオン(フッ素、塩素、臭素等のイオン)、トリフルオロメタンスルホニウムイオン、メチルスルフェートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、過塩素酸イオン等を挙げることができる。
【0054】
四級アンモニウム塩、三級スルホニウム塩および四級ホスホニウム塩は、N、SおよびPからなる群より選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む炭素原子数2〜10の複素環基であって、ヘテロ原子が炭素原子数7〜50の脂肪族炭化水素基を有する塩、あるいは該複素環基の何れかの炭素原子が炭素原子数7〜50の脂肪族炭化水素基によって置換されている塩であってもよい。
【0055】
従って、本発明の修飾方法で用いられる油溶性化合物は、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドもしくはN−ヘキサデシルピリジニウムクロリドであること好ましく、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドであることが特に好ましい。
【0056】
実質的に水を含まない有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ヘキサン、ベンゼン、フルオロベンセン、クロロベンセンもしくはトルエンを用いることが好ましく、クロロホルムを用いることが特に好ましい。
【0057】
本発明は、また、該有機溶媒中に生成している導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチド(5)を分離する方法にもある。即ち、導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチド(5)を含む該有機溶媒を、アニオン界面活性化剤を含む緩衝液によって処理することにより、(5)を水相へ逆抽出する方法である。アニオン界面活性剤としては、スルホコハク酸ジ−(2−エチル)ヘキシルナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、オクタンスルホン酸ナトリウム、デカンスルホン酸ナトリウムもしくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることが好ましく、スルホコハク酸ジ−(2−エチル)ヘキシルナトリウムを用いることが特に好ましい。
【0058】
【実施例】
[実施例1]
本発明のオリゴヌクレオチドの修飾方法を、修飾オリゴヌクレオチドの調製経路によって表すこととし、その調製経路を下記式に示す。式中の−リン酸エステル基−TTTT・・・TTは、チミジン−5’−リン酸の20量体を表わす。
【0059】
【化12】
【0060】
(イ)オリゴヌクレオチド誘導体および導電性化合物の合成
オリゴヌクレオチド誘導体(6)、およびフェロセンモノカルボン酸 N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(8)を文献(Analytical Biochemistry 218,436-443,1994)に記載の方法に従って調製した。
【0061】
(ロ)フェロセン化オリゴヌクレオチド誘導体(9)の調製
上記(イ)で得たオリゴヌクレオチド誘導体(6)(95ナノモル)を、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド(7)(10mM)のクロロホルム溶液(285μL)に加え、その反応混合液を室温で3時間振とうした。次いで、該混合液のUV分析を行い、クロロホルム中で(6)と(7)との複合体が形成されていることを確認した。次に、該混合液からクロロホルムを留去した後、その複合体(30ナノモル)のクロロホルム溶液(50μL)に、上記(イ)で得たフェロセン誘導体(8)(0.8mg、2.5μmol)およびトリエチルアミン(1μL、7.0μmol)を加え、30℃の恒温槽中で20時間放置した。このものに、Aerosol OT(スルホコハク酸ジ−(2−エチル)ヘキシルナトリウムからなるアニオン界面活性剤)(20mM)のクロロホルム溶液(107μL、2.14μmol)および0.5Mリン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素ナトリウム緩衝液(pH6.94)(150μL)を加え振とうした後、フェロセン化オリゴヌクレオチド誘導体(9)を含む水相を分取した。
【0062】
(ニ)逆相HPLCによるフェロセン化オリゴヌクレオチド誘導体(9)の収量の確認
上記(ロ)で得たフェロセン化オリゴヌクレオチド誘導体(9)を含む水相(a)、およびオリゴヌクレオチド誘導体(6)を0.5Mリン酸水素二ナトリウム−リン酸二水素ナトリウム緩衝液に溶解させた水溶液(b)を、それぞれ、逆相HPLC(HPLC:高速液体クロマトグラフィー)(日立製作所(株)製)に付した。逆相HPLCによる分析条件は以下の通りである。カラム:Lichrospher 100PR−18(e)(カラムサイズ;直径4.6mm、長さ15cm、Cica−Merck社製)、流速:1mL/分、検出蛍光波長:260nm、および分析温度:25℃。また、直線グラジュエント操作は、A:0.1Mトリエチルアミン−酢酸緩衝液:アセトニトリル=3:2、B:0.1Mトリエチルアミン−酢酸緩衝液:アセトニトリル=1:4、およびC:0.1Mトリエチルアミン−酢酸緩衝液を順次用いて、30分間で、溶離液中のアセトニトリルの濃度を10容量%から80容量%に変化させる条件で行った。水相(a)および水溶液(b)より得られた各ピーク面積を比較することによって、フェロセン化オリゴヌクレオチド誘導体(8)の収率を求めたところ、60%であった。
【0063】
[比較例1]
フェロセン化オリゴヌクレオチド(8)を文献(Analytical Biochemistry 218,436-443,1994)に記載の方法に従って調製し、同文献に記載の分析条件にて、フェロセン化オリゴヌクレオチド(8)の収率を求めたところ、29%であった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の修飾方法によれば、文献(Analytical Biochemistry 218,436-443,1994)に記載の方法と比べて高い収率で導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを得ることができる。本発明の修飾方法によって得られた導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドは、遺伝子クローニング用のプローブとして有効に使用できる。また、本発明の修飾方法は、蛍光物質やビオチンによるオリゴヌクレオチドの修飾にも利用することができる。
Claims (6)
- 実質的に水を含まない有機溶媒中にて、炭素原子数7乃至50の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有する四級アンモニウム塩、三級スルホニウム塩および四級ホスホニウム塩からなる群より選ばれる油溶性化合物のイオン対との形成によって該有機溶媒に可溶化された少なくとも一方の端部に反応性基を有するオリゴヌクレオチドと、反応性基を有する導電性化合物とを反応させることにより、該導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを得る方法。
- 実質的に水を含まない有機溶媒中にて、少なくとも一方の端部に反応性基を有するオリゴヌクレオチドと炭素原子数7乃至50の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有する四級アンモニウム塩、三級スルホニウム塩および四級ホスホニウム塩からなる群より選ばれる油溶性化合物とを混合し、該オリゴヌクレオチドと油溶性化合物とのイオン対を形成させることにより該有機溶媒に該オリゴヌクレオチドを可溶化させ、次いで、該オリゴヌクレオチドを溶解状態で含む該有機溶媒中に反応性基を有する導電性化合物を加え、該オリゴヌクレオチドと該導電性化合物とを反応させることからなる導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを得る方法。
- 導電性化合物が、フェロセンであることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の方法。
- 有機溶媒としてクロロホルムを用いることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の方法。
- 炭素原子数7乃至50の脂肪族炭化水素基を少なくとも一つ有する四級アンモニウム塩が、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミドであることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の方法。
- 実質的に水を含まない有機溶媒中に可溶化された少なくとも一方の端部に反応性基を有するオリゴヌクレオチドと反応性基を有する導電性化合物とを反応させた後、その反応混合物をアニオン界面活性化剤を含む緩衝液で振とうすることによって得られた導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを含む反応混合物をアニオン界面活性剤を含む緩衝液で振とうすることにより、該導電性化合物で修飾されたオリゴヌクレオチドを水相中に分離する操作を含むこと特徴とする請求項1もしくは2に記載の方法。
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