JP4169254B2 - 点火プラグ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、内燃機関その他の燃焼装置で用いられる点火プラグ、特に貴金属放電電極を用いた点火用プラグ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
貴金属放電電極を用いた点火用プラグについては、従来から多数の提案がなされている。例えば、特許第2921524号では、Ir含有する融点が2,200℃以上のイリジュウム材から成る貴金属チップを、融点が1,500〜2,200℃、線膨張係数が8〜11×10 6/℃の貴金属を1%以上含有する溶融固着層を介して電極保持部材に溶着して成るプラグが開示されており、特許第3000955号には、70〜99wt%のIrと、Irより耐酸化性に優れ、Irと全率個溶可能な金属材料とからなるIr合金チップを用いる技術が開示されており、このチップを断面積が0.2mm2以上、1.2 mm2以下、長さ0.5mm以上、2.0mm以下とすることも開示されている。更に、特許第2877035号では、貴金属チップとしてRh添加量が3〜30wt%のIr−Rh合金を用いることが開示されている。
【0003】
又、特開平11−3765号にはチップの溶接にレーザー溶接を用いる技術が開示されており、その他、特開平10−32076号、特開平09−7733号、特開平06−68956号、特開平04−329286号、特開平02−49388号、特開平01−319284号、特開昭平57−130384号等により様々な提案がなされている。
【0004】
一方、例えば自動車用ガソリンエンジンの点火プラグには、走行距離10万km以上20万km程度の耐久力が要求されているが、現在達成されているのは、3〜5万kmにとどまっている。
IrRu合金は、通常のガソリンエンジン用の点火プラグに採用される条件下で、放電一回毎に3.4×10 8g消耗する。直径2mmの電極チップの場合、エンジン4,000rpmで400hr運転すると0.753mm消耗することになる。これは走行距離約52,000kmに相当する。従って厚み1.5mmの電極チップを用いれば10万kmの走行が可能となる筈であるが、実際には5万km以下に止まるのが実情であり、このため点火プラグはかなり頻繁に交換しなければならないこととなる。
走行距離10万km以上20万km程度の耐久力を有する点火プラグが要求されており、このような点火プラグが提供されれば大変好都合である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題とするところは、走行距離10万km以上20万km程度の耐久力を有する点火プラグ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明は、点火プラグに用いられるIr合金が高い耐火花特性を有するにも拘わらず、充分な耐久力を実現できない理由が、放電がIr合金製の電極チップの対向面からだけではなく、溶接部の電極チップ材と支持部材の接合部合金層の表面や、支持部材の側面からも一定の頻度で発生し、その放電により点火プラグの寿命が損なわれると言う知見に基づいてなされたものである。
【0007】
この問題は、充分な厚みを有する電極チップを用いれば解決できるが、IrRu合金は高価である上、希少な資源であるため、この方法は採用できない。
本発明は、希少なIrやRuの使用を最小限度に抑えた、長寿命の点火プラグ及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
叙上の課題は、点火プラグの少なくとも一方の放電面に少なくとも一つの微小穴を設け、これにより放電発生点を電極チップの表面に集中させるよう構成することにより達成される。
【発明の実施の形態】
【0009】
望ましい実施例においては、この放電面に設ける微小穴は、支持部材の端部に電極チップを溶接する際、細く絞った高エネルギービームを、軸方向に電極チップを貫通して支持部材に達するよう照射し、電極チップに微小穴を穿つと共に、電極チップを支持部材の短部に溶接することにより形成される。
高エネルギービームとしては、レーザービーム又は電子ビームを用いることが推奨されるが、他のビームであっても良いこと勿論である。
【0010】
又この溶接に際しては、支持部材と、電極チップの溶着部に生じる合金層が接合部側面に露出しない様にして溶接することが推奨される。
電極チップは、Pt、Ir、Os、Ta、W、Ni及びNi系合金から成る群の中から選ばれる少なくとも一種の金属により構成されることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面により本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用し得る公知の点火プラグの構成を示す一部破断側面図、
図2は、本発明が適用された点火プラグの要部を示す拡大図、
図3は、図3に示した微小穴部分の拡大図である。
【0012】
而して図1において、1は取付金具、2は絶縁体、3は中心電極の支持体、4は接地電極の支持体である。
本発明に係る点火プラグも基本的構造はこの図1に示したものと変わらないが、その放電電極の構造が図2に示すようになっているものである。
【0013】
図2において、10及び20は、それぞれ耐アーク性合金からなる電極チップ12及び22を支持するであり、30は取付金具、40は絶縁体である。
電極チップ12は、接地電極支持部材10の先端にレーザービーム、電子ビームなどで溶接されている。溶接時、ビームは電極チップ12の放電面122となる表面に直角に照射され、これにより放電面に微小穴124が穿たれると共に、接地電極支持部材10と電極チップ12の溶着部に両者の構成金属の融合体からなる合金層14を生じさせ、これにより両者が溶接される。
【0014】
同様にして、電極チップ22は、接地電極支持部材20の先端にレーザービーム、電子ビームなどで溶接される。溶接時、ビームは電極チップ22の放電面222となる表面に直角に照射され、これにより放電面に微小穴224が穿たれると共に、接地電極支持部材20と電極チップ22の溶着部に両者の構成金属の融合体からなる合金層24が生じ、これにより両者が溶接される。図面では、微小穴224は2箇所に示されている。
【0015】
これらの溶接を行なう際には、合金層14、24の外縁部が、支持部材10、20と電極チップ12、22の接合部側面に露出しないように、溶接エネルギーを設定するこことが望ましい。
上記のように微小穴124、224を設けると、放電面122、222からの放電は、図3に示すようにそれぞれの穴のエッジEに集中して発生するようになる。そのため、支持部材10、20の表面や、合金層14、24の外縁部からは放電が発生することが少なくなり、点火プラグとしての耐久力が向上する。
【0016】
このような穿孔を行い、電極チップに放電を集中させるため、チップの放電面積を広くし、厚みを薄くすることが望ましい。
微小穴の個数は、最低で1箇所であるが3ないし6ヶ所設けることが望ましく、これによりできるだけ放電エッジEの総延長を長くする。又、相対向する放電面が穴も相対向する位置に設けるのが良い。
このようにすると、放電電極対向面に放電が集中し、その部分の温度が上昇するので放電は更に放電電極対向面に集中するようになる。
【0017】
電極表面の温度をTKとし、電極彪面よりの熱電子による飽和電流密度をJとすれば、
J=AT2exp(W/kT)
ここで、
J:電流密度 A/cm2
T:電極温度 K
k:ボルツマン常数 1.38×10 23J/K
A:定数 ≒600
W:仕事関数 eV
従って、電極面温度の二乗に比例して電流密度は増大することになる。
この場合放電ギャップ内の圧力は10atm程度となり、フレーム温度は1500〜2000°K程度となる。このとき電子なだれが生じ、火花放電が発生する。最低放電開始電圧は、放電ギャップ内の温度と圧力、電極間距離により変化するが、いずれにしても電極の温度が高いほど放電開始は容易となり、放電は高音部に集中することになる。
【0018】
又電極表面の曲率が大きいほど電界強度が大きくなり、放電の発生が容易となる。
E=κρ 0.5
ここで、
E:放電開始電界強度 kV/cm
κ:形状と放電ギャップで定まる定数 cm
ρ:電極表面の曲率半径 cm
即ち、電極の放電点における曲率半径が小さいほど同じ電圧が印加されたとき電界強度が高くなるので、放電が発生し易くなる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の係る点火プラグと公知の点火プラグの消耗比較試験結果を示す。下表は、溶接方法と電極面に微小穴があるか否かの点を除き、同一条件で製作された点火プラグの比較試験結果である。
即ち、何れも同一の組成、寸法の電極チップを、Ni製の支持部材に溶接してテストに供した。
【0020】
使用した電極材は、表に示されているように、比較例1及び実施例1、2には98Ir2Rhが用いられ、比較例1、2及び実施例3、4には97Ir3Ta、比較例4及び実施例5、6には、96Ir2Ta2Nbが用いられた。
比較例では、溶接は電極チップの側面から行なわれ、実施例では、電極チップの上面から穿孔加工を兼ねてビームを照射することによって行なわれた。
電極チップの寸法は、中心電極用が、直径D=0.4mmφ、厚みt=0.5mm、接地電極用が直径D=2mmφ、厚みt=0.3mmであった。
溶接は、10JのTAGレーザー及び電子ビームによって行なわれた。
実施例で設けた微小穴の直径は0.2mm、深さは0.15ないし0.45mmであり、数は、中沈殿曲側で1個、接地側で1ないし2個である。
【0021】
Figure 0004169254
【0022】
放電消耗テストには、繰り返し周波数1KHzのパルスを用い、1秒間1,000パルスの放電を1ショットとし、空気を入れ替えて、10ショットを繰り返して行い、1回のテストとし、消耗量を計測した。このテストを25回繰り返し、平均値を算出した。表中の消耗量はこの平均値である。
このテスト終了後、溶接強度を計測した。
【0023】
この表に示した結果から、比較例の平均消耗量が、放電1万回当り6.7grであるのに対し、実施例では、平均3.4grと半減していることが判明する。即ち、この穿孔により、寿命が2倍に延長されることになる。
これは、放電が微小穴周辺に集中するため、溶接部や、支持部材からの異常放電、異常消耗がなくなること、及び、放電電圧が低下するためであると考えられる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は上場の如く構成されるので、本発明によるときは、電極チップの消耗が少ないので、15〜20万kmの耐久力を有する点火プラグを提供することができる。又本発明に係る点火プラグでは、放電が生じ易く、多点放電を生じる確率が高まるので、着火性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る放電プラグの構成を示す一部破断側面図
【図2】本発明が適用された電極部分を示す拡大図
【図3】図3に示した微小穴部分の拡大図である。
【符号の説明】
10 支持部材
12 電極チップ
14 合金層
20 接地電極支持部材
22 電極チップ
24 合金層
122 放電面
124 微小穴
222 放電面
224 微小穴
E 放電エッジ

Claims (4)

  1. 一対の接地電極支持部材(10、20)の端部に溶接した耐アーク性合金から成る電極チップ(12、22)を、微小間隙(G)を介して相対向させるよう支持して成る点火プラグ(1)を製造する方法において、電極チップ(12、22)を接地電極支持部材(10、20)の端部に溶接する際、高温のビームを、電極チップ(12、22)を軸方向に貫通するよう照射し、電極チップ(12、22)を接地電極支持部材(10、20)の端部に溶接すると共に、放電面(122又は222)に少なくとも一つの微小穴(124、224)を形成することを特徴とする上記の点火プラグを製造する方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法により製造された点火プラグ。
  3. 支持部材(10、20)と、放電電極(12、22)の溶着部に生じる合金層(14)が支持部材(10、20)と放電電極(12、22)の接合部側面に露出していないことを特徴とする請求項2に記載の点火プラグ。
  4. 電極チップが、Pt、Ir、Os、Ta、W、Ni及びNi系合金から成る群の中から選ばれる少なくとも一種の金属からなる、請求項1ないし3の何れか一に記載の点火プラグ。
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