JP4169672B2 - エアバッグカバー - Google Patents

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本発明は、エアバッグカバーに関する。
エアバッグ装置は、自動車が衝撃を受けたときにその衝撃を感知してエアバッグを膨張、展開させて車体と乗員との間に介在させ、これによって乗員を保護するというものである。
近年急速に普及し、その配設箇所も運転席用のステアリングホイール、助手席用のインストルメントパネルだけでなく、乗員を側面部の衝撃から保護する側部用エアバッグが車体側部窓上部に配設されるようになった。
これらの中で、インストルメントパネルの内部に配設される助手席用エアバッグ装置においては、それをカバーするエアバッグカバーをインストルメントパネルとは別体として用意し、これをインストルメントパネルに設けた開口部に組みつけるというのが普通であったが、近年ではこれらを一体化してモジュール化して製造、組み立て作業の合理化を図ると共に、内装部品としてのインストルメントパネルの外観を向上させることが要望されている。
そして、このようにエアバッグカバー体をインストルメントパネルに一体化したものもすでに提案されており、例えば特開平11−291069号(特許文献1)に記載のものは、インストルメントパネルをエアバッグ用開口部を設けずに射出成形し、このパネル裏面のエアバッグ収納位置に対応する箇所にレーザー加工を施し破断予定線を形成するというものである。
また、このようにパネル成形後にエアバッグカバー体を展開するための破断予定線を後加工することなく、成形時にこの破断予定線も形成するという成形方法の提案もされている(特開2002−234413、特許文献2)。
しかしながら、前者の破断予定線を後加工する方法は、このためのレーザー加工機を必要とする上に、成形後に微妙な加工作業を要する等コスト的にも、生産性の観点からも問題がある。
また、後者の成形方法は、後加工を要しない点で合理的な方法であるが、成形型内に破断予定線を形成するためのコアを進退自在に設けることが必要であり、金型も複雑となり、また成形方法も煩雑となる。
また、インストルメントパネルは、内装部品であるので、その外観や触感も重要である。そのため、このパネルの表面層を軟質でソフト感のある材料で構成し、これを基材層の上に積層した2層構造のものも各種提案されている。
しかし、このような2層構造とした場合においては、所定の破断特性を安定的に得るのは技術的に難しい。すなわち、本発明者は、従来技術の教示するところに基づいた種々の試行結果から、基材層に設けた溝部の真上に向かって表皮層の破断を安定的に生起させるための技術手段が必要であるとの知見を得ている。これは、エアバッグカバーが下方のエアバッグから均一に押し上げられるとは限らず、段違い隆起による剪断力が掛かることで、真上方向に対して傾斜した方向に破断が起こりやすくなるからであると推定される。例えばシングルフラップ型(片開き型)のカバーでは、扉形成部とその周縁との関係において、ツインフラップ型(両開き型)のカバーではさらに隣り合うフラップ同士の関係において、不均一に押し上げられる関係がある。この破断角度はところにより真上方向にも類似した方向にもなり得、また、傾斜する場合の角度も一定とはなりにくい。そのため、所望の破断特性を得るための材料の選定、その特定材料の物性を安定的に利用できる成形加工条件の特定と厳密な品質管理を要することとなり、著しいコストアップが懸念されるところである。
こうした2層構造のエアバッグカバーにおいて、より小さい力で破断予定ラインを確実に破断させるための提案もされている。すなわち、特表2000−512953(特許文献3)には、滑らかな表面のカバー層を有するエアバッグのカバー体に、意図した破断ラインの端部を超えてカバー体が破れ続けることなく、カバー体がより小さい力により破断でき、視覚的及び/又は機械的特性を変更することなく、開く力及び破れる力を変えられるように構成した2層エアバッグカバー体の構成が提案されている。
これによれば、基材層の溝部において表面層と基材層とが互いの層の中に延びる部分の間のエッジで破断ラインを形成するとしている。
このような構成とすれば、この2層の接触面で破断されることになり、より確実に破断予定線に沿った設計どおりの破断が可能となるものと思われる。
特開平11−291069号 特開2002−234413 特表2000−512953
しかしながら、前述のようにエアバッグカバーは、自動車の内装部品であり、その外観や触感もまた重要である。
前記の表面層と基材層とが互いに延びる接触面を破断ラインとする場合には、表面層側にも薄肉部が形成されることとなるが、その結果、もともと肉厚の薄い表面層に更に薄肉部を設けるのであるから、その部分の表面側にも視覚的な影響が及び破断予定線が視覚的に認識されることとなる。また、手、指で触れたときにも周囲の感触と異なることとなり、見栄えや触感に問題が生じる。
更に、溝を設けた基材層上のもともと薄肉とされるソフト感のある表面層に更に薄肉部を設けるのであるから、エアバッグの作動時には破断しやい反面、通常時にも、当該部分が機械的に弱く損傷することも懸念される。
本発明は、こうした状況の下、基材層の上に軟質の装飾的表面層を設けたインストルメントパネル一体化に好適なエアバッグカバーであって、エアバッグ装置の作動時には破断予定線に沿って確実に破断することができ、安全装置としての信頼性の高いエアバッグカバーであり、かつ、通常時においては、その表面外観が周辺部の外観と何らの相違もなく、視覚的にも触感的にも一体化されるエアバッグカバーを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、成形後加工を要せず、また成形に複雑な金型や成形法を要せずに、簡易に成形できるインストルメントパネル一体化に好適なエアバッグカバーを提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意検討した結果、軟質表面層を基材層の上に設けた構造のインストルメントパネル一体化に好適なエアバッグカバーにおいて、その破断予定線の構成として、基材層側に有底溝を設け、この溝の壁部に沿って表面層側から隆起部を形成することが有効であることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(1)収納されたエアバッグを組み込んだエアバッグ装置の膨出方向を覆いエアバッグの展開によって扉部を形成する破断予定部が形成されたエアバッグカバーであって、
エアバッグ装置側に配置される硬質樹脂製の基材層と、この基材層に積層されるポリウレタン樹脂からなる軟質樹脂製の表面層を有し、
破断予定部は基材層のエアバッグ装置対向側に設けた有底溝とし、該溝に対応する表面層側には該溝の壁部に沿う隆起部を形成し、破断予定部における基材層と表面層との間を、遊離のイソシアネート基を有する接着剤により表面層との間でウレタン結合により、エアバッグカバー破断時に積層状態を維持するのに十分な接着強度をもって接着していることを特徴とするエアバッグカバー、
(2)隆起部が溝部の左右両側に形成されている前記(1)記載のエアバッグカバー、
(3)インストルメントパネルに一体化された前記(1)または(2)記載のエアバッグカバー、
)表面層の引張強度は70kgf/cm以下であり、基材層と表面層との接着強度より小である、前記()記載のエアバッグカバー、
に関するものである。

本発明は、エアバッグカバーの破断予定線を形成する基材層の溝部に対応する表面層側から溝部の壁部に沿う隆起部を設けたことにより、エアバッグ装置が作動してエアバッグが下方からエアバッグを押し上げる際に、その破断予定部に剪断力が生じた場合であっても、破断予定位置のずれを極力抑制することができ、実質上破断予定位置にてエアバッグカバーを破断し、エアバッグを展開することができる。しかも、薄い軟質の表面層には実質的な薄肉部がないため、表面側の外観、触感を損ねることなく周辺と一体化することができる。
更に、本発明のエアバッグカバーは、成形後の後加工を要せずに成形工程のみにより製造するすることができ、かつその成形にも複雑な金型を必要とせず、一般的なインサート成形型で対応することができる。
本発明のエアバッグカバーは、上記のように、基材層とその上に積層された表面層から構成されている。
基材層は、厚み2.5〜4.0mmで、比較的硬質な材料、例えばポリプロピレンをタルクなどで補強したPPC樹脂で構成することが好ましい。また、その上に積層される表面層は、厚み0.5〜3.0mmで、軟質の材料、例えばポリウレタンで構成することが好ましい。無論これらの材料に制限されるというものではない。要は、基材層がより硬質でエアバッグカバーとしての必要な強度を保持でき、また表面層はより軟質で、好ましくは弾性を有し、表面外観、触感を向上させる材料であればよい。
本発明のエアバッグカバーは、その破断予定線を形成する有底の溝部の周辺の構造が重要である。
すなわち、まず、有底溝とすることにより、エアバッグ膨出によるエアバッグカバー破断時における段違い隆起の抑制に寄与させ、また、成形時に表面層用の成形材料が溝内に入り込むのを防止させる。
また、該溝部は、基材層においてエアバッグ装置側から、好ましくは溝残厚0.4〜0.8mmとなるように設けられ、その上方の壁部に沿って、表面層が厚肉部を形成し、表面層がその部分で、好ましくは0.5〜1.5mmの隆起部を形成していることが重要である。表面層は、溝部周辺で特に実質的な薄肉部を形成しない。
破断予定線をこのような構造とすることにより、エアバッグ装置の作動時に下方から膨出しようとするエアバッグの押し上げによる剪断力がかかる場合においても、そのために基材層の溝部から斜め方向、あるいは横方向に破断する場合であっても、わずかなずれで薄肉で軟質の表面層に達することができるので、破断予定線のずれをわずかなずれに抑えることができ、実質的に破断予定線に沿ってエアバッグカバーを展開することができる。
このことに加えて、破断予定部における基材層と表面層とを破断時に積層状態を維持するに十分な接着力を持って接着することにより、表面層が剥離しながら、破断する場合に生じる破断予定部位のずれも防止することができる。
一方、表面層には、溝部に対応する周辺において、特に実質的な薄肉部を形成していないので、エアバッグカバーの表面外観を損なうことはなく、これが一体化されたインストルメントパネルの周辺ともよく融和して視覚的にも触感的にも一体化されて、インストルメントパネルにおいてエアバッグカバーが認識されることはない。
もちろん、本発明の目的の範囲内において、すなわち、表面側へ視覚的、触感的に影響が及ばない限度において、必要に応じて、表面層に周囲に比して薄肉とした部分を設けることも可能である
また、前記破断予定線は、エアバッグカバーの扉部の形状に従い、片開き扉の場合にはコの字型、両開き扉の場合にはH型の形に設けることができる。
本発明のエアバッグカバーは特にインストルメントパネル一体化に好適であるが、これに制限されるものではない。
本発明のエアバッグカバーは、常法により、予定破断線を形成する溝部を有する基材層を射出成形により成形し、この上に表面層をポリウレタンの反応射出成形法により容易に形成することができる。
以下に、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、一体に成形したエアバッグカバーを搭載したインストルメントパネルの斜視図である。図1中、Bはその裏面に設けた破断予定線で、AとCとは開裂する扉のヒンジ部を形成する。図2は、図1の矢印を付した箇所の断面であり、図示しないステアリングメンバーに固定されたリアクションカン8のフック9に係合する係合孔部22が穿設された壁部21を含むTPO樹脂製のインナー部材20を振動溶着などして基材1の裏面に貼着したエアバッグカバーを示している。
ドア部5がエアバッグ10の膨張により押し上げられて開裂し、それにより形成される開口を通ってエアバッグ10が車室内に展開する。ドア支持部23はヒンジ24を介して壁部21に結合され、エアバッグ10の展開時にはヒンジ部A、Cに重層するように位置してドア部5を支持する。エアバッグカバーはいわゆるシームレスインパネであり、インストルメントパネル上面についてその略全幅に亘って覆うパネルであり、エアバッグモジュールの搭載位置が容易に認識されないシンプルで周囲とよく融和した外観になっている。
図2及び3において、1は基材層、2は基材層に設けた有底の溝部、3は表面層、4は表面層隆起部をそれぞれ示す。
表面層隆起部4の形状は、図2のB部に示すように略半円状であっても、同図A部などにあるように、矩形リブ状であってもよく、これらは溝部2の一側(例えばA部)にあってもよいし、両側に設けてもよい(例えばB部)。また、表面隆起部は、溝部2に沿って連続的に設けるほか、適宜間隔をあけて間欠的に設けてもよい。
次に成形法について述べると、1はあらかじめ射出成形された基材層でタルクを添加して強度を上げたポリプロピレン樹脂で構成されている。2は基材層に設けた有底の弱部であり、この弱部に対応する部位には遊離のイソシアネート基を有する接着剤が塗布されている(塗布面は図3において有底の弱部2のセンター対応部位を中心に40mm幅、すなわち左右に20mm幅であり、両側の隆起部を少し越える範囲まで塗布される)。3は無発泡ポリウレタン樹脂からなる表面層で、該ポリウレタンは平均分子量2000〜6000のポリオールとイソシアネートからなる成形材料を使用し、イソシアネートはMDI、例えばポリオール変性MDIと非変性MDIを1:1の重量比で混合したものを用い、インサートされた前記基材上に反応射出成形で積層成形され、かつ前記接着剤との間でウレタン結合により破断時においてもこの間で層剥離が生じないように強く接着されている。4は表面層隆起部を示す。こうした隆起部を設けることにより、接着面積を大きくする効果も発現でき、そのことによる接着力の強化も加味されて、エアバッグカバーが段違いに隆起するような場合であっても、破断部位の位置ずれを極力抑制するでき、実質上破断予定線どおりに開裂することができる。この場合、より一層所望の破断特性を得るために図3に示すような構成において、基材層の弱部を表面層側に突きだし、表面層を薄肉とすることもできる。
なお、表面層の隆起部4は、弱部に沿って、連続的に設けても、また、適宜間隔をあけて間欠的に設けてもよく、さらに弱部の両側に、また片側だけに設けることもできる。
本発明の一体に形成したエアバッグカバーを搭載したインストルメントパネル一体化エアバッグカバーの斜視図。 図1における矢印箇所の断面説明図。 図2に示す溝部詳細図で、本発明のエアバッグカバーの破断予定線を形成する溝部の断面説明図。
符号の説明
1:基材層
2:溝部
3:表面層
4:表面層隆起部

Claims (4)

  1. 収納されたエアバッグを組み込んだエアバッグ装置のエアバッグ膨出方向を覆いエアバッグの展開によって扉部を形成する破断予定部が形成されたエアバッグカバーであって、
    エアバッグ装置側に配置される硬質樹脂製の基材層と、該基材層に積層されるポリウレタン樹脂からなる軟質樹脂製の表面層を有し、
    破断予定部は基材層のエアバッグ装置対向側に設けた有底溝とし、該溝に対応する表面層には該溝の壁部に沿う隆起部を形成し、破断予定部における基材層と表面層との間を、遊離のイソシアネート基を有する接着剤により表面層との間でウレタン結合により、エアバッグカバー破断時に積層状態を維持するのに十分な接着強度をもって接着していることを特徴とするエアバッグカバー。
  2. 隆起部が溝部の左右両側に形成されている請求項1記載のエアバッグカバー
  3. インストルメントパネルに一体化された請求項1または2記載のエアバッグカバー。
  4. 表面層の引張強度は70kgf/cm以下であり、基材層と表面層との接着強度より小である、請求項記載のエアバッグカバー。
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