JP4172011B2 - 耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、点火プラグ用電極等の自動車部品、ガスタービンノズル等の発電設備用の部品、熱処理炉内用部品及び燃料電池用部品等の高温で酸化雰囲気に曝されて使用される部品及び部材に適した耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、高温で酸化雰囲気に曝される部材には、耐酸化性に優れるNi-18Cr-7Fe(Alloy600)合金が用いられている。
耐酸化性は高温大気またはガス雰囲気中で使用される時に、酸化による滅失や脆化を防ぐために必要であり、Alloy600は高温でCr2O3被膜が生成して母材を保護することにより耐酸化性を保持している。
近年では様々な部品で、従来の使用環境よりも高い温度における耐酸化性が要求されるようになり、Alloy600を改良した合金について検討がなされている。Alloy600の耐酸化性を改善したものとしては特開昭63-153236号(特許文献1参照)及び特開2000-336446号(特許文献2参照)が提案されている。
また、高温において強度を要求される部材もあり、Alloy600の高温強度を改善した合金として特開平7-268522号(特許文献3参照)及び特開平11-12670号(特許文献4参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−153236号公報
【特許文献2】
特開2000−336446号公報
【特許文献3】
特開平7−268522号公報
【特許文献4】
特開平11−12670号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特開昭63-153236号ではAlloy600にY、Ce、Zr、Sc及び/又はLaを添加し、耐酸化性を改善させている。しかし、この合金は熱間加工性に問題があり熱間加工中に割れが発生した。そこで本発明者等の提案による特開2000-336446号ではAlloy600にMgを添加して熱間加工性を改善し、更にTiを無添加として耐酸化性を改善した合金をベースとして、希土類元素、Y、Hf及び/又はZrを添加することにより、良好な耐酸化性を得ている。これらの特開昭63-153236号や特開2000-336446号に記載される合金は高温においても基本的に良好な耐酸化性を示していた。しかしながらこれらの合金は高温強度の点では不十分であった。
【0005】
前述の特開平7-268522号ではWとMoを一定量以上添加することにより高温強度を改善した提案がなされている。しかし、熱間加工性に問題があり熱間加工中に割れが発生した。特開平11-12670号ではNb、Mo、Wを少量添加することにより高温強度が改善されているが、同じくこの合金も熱間加工性に問題があり熱間加工中に割れが発生した。
これら高温強度と熱間加工性の問題は点火プラグ用電極等の自動車部品、ガスタービンノズル等の発電設備用の部品、熱処理炉内用部品及び燃料電池用部品等の高温で酸化雰囲気に曝されて使用される部品及び部材を実用化する上で大きな問題となる。
本発明の目的は、耐酸化性、高温強度を向上し、さらに良好な熱間加工性を兼備する点火プラグ用電極等の自動車部品、ガスタービンノズル等の発電設備用の部品、熱処理炉内用部品及び燃料電池用部品等の高温で酸化雰囲気に曝されて使用される部品及び部材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上述した高温強度の問題を検討した結果、Nb、Ta及びVの一種または二種以上を少量添加することで熱間加工及び熱処理時の結晶粒粗大化を防ぎ、微細な結晶粒とすることにより高温使用中での強度低下を抑制できることを知見した。
しかし、Nb、Ta及びVを一種または二種以上含むことによって、これらを含まないNi基合金よりマトリックスの変形抵抗が増すため、粒界の強度が低下すると容易にキズ・割れが発生しやすくなる。そこで熱間加工性の問題について検討したところ、キズ・割れ等の欠陥のない合金をつくるためには粒界強化作用によって熱間加工材改善に効果のあるMg添加が必須であることを見出した。
更に、高温強度を維持するためには析出強化機構を利用することも考えられる。そこでNb、Ta及びVを一種または二種以上含み、Mgを添加した合金に対し、Al添加を行なったところ、耐酸化性を更に改善することができた。
【0007】
即ち本発明は、質量%でC:0.003〜0.1%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、Mg:0.001〜0.04%を必須で含み、選択元素として(Nb、Ta及びV)から選ばれる一種または二種以上を、 Nb を 0.01 〜 1.5 %を必須で含んだ合計で2.5%以下、不純物であるSは0.01%以下(但しMg/S≧1)、Ti0.02%以下(0を含む)であり、残部はNi及び上記以外の不可避的不純物からなり、且つ Nb 、 Ta 及び V の化合物の平均円相当径が 2.0 μ m 以下の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金である。
【0008】
本発明においては、延性を重視して耐酸化性を高めるためには、質量%でAl:2.0%未満の範囲で含有させることができる。
また耐酸化性を特に重視する場合には、質量%でAl:2.0〜5.0%の範囲で含有させることができる。
また本発明においては、MoとWの一種または二種をMo+1/2Wで0.5%を超え4.0%未満含有させることができる。
更に本発明においては、質量%でHf:1.5%以下及びZr:1.0%以下のうち一種または二種を含み、且つそれらの合計が2.0%以下の範囲で含有させることができる。
【0009】
更に本発明においては、質量%で希土類元素:0.2%以下、Y:0.5%以下、Sc:0.2%以下のうち一種または二種以上を含み、且つ希土類元素、Y、Scの合計が0.6%以下含有させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の重要な特徴は、Alloy600の化学組成をベースに、少量のNb、Ta及びVを添加し、更にMgを微量添加必須としてSを固定し、優れた耐酸化性、高温強度と優れた熱間加工性を兼備することが可能な最適化学組成にある。
以下に各元素の作用について説明する。
CはNb、Ta及びV等と結びついて炭化物を形成し、結晶粒粗大化を防止することにより高温強度を向上させる作用があり、少量添加が必要である。しかし、過度の添加は多量の炭化物形成により冷間加工性を低下させ、またマトリックス中のCrと結びついて炭化物を形成し、Crの欠乏を招くため耐酸化性をも低下させる。従って、Cは0.003〜0.1%に限定する。
【0011】
Siは溶湯に対して強力な脱酸作用を発揮するほか、鋳造性を向上させる作用がある。また、SiO2は酸化被膜と母材の中間に形成され、
酸化被膜の剥離を阻止する。これらの理由でSiを添加するが、過度の添加は耐酸化性の低下を招くためSiの上限は1.0%である。なお、上述するSiの効果を得るための望ましい下限は0.1%である。
MnはSiと同じく脱酸作用を発揮する他、鋳造性を向上させる作用があるが、過度の添加は耐酸化性の低下を招くためMnの上限は2.0%である。なお、上述するMnの効果を得るための望ましい下限は0.1%である。
【0012】
Crはマトリックス中に存在することにより高温において材料表面にCr酸化被膜を形成し耐酸化性を向上させる。700℃〜1100℃程度の高温での十分な耐酸化性を付与させるためには、下限を12%以上とすることが必要である。しかし、過度の添加は熱間加工性を低下させ、かつ高温酸化雰囲気においてCr2O3被膜の剥離を引き起こし、耐酸化性を低下させることから、Crの上限は32%とする。望ましくは12〜20%の範囲である。
【0013】
Feは高温強度を低下させるマイナスの作用を有する元素である一方で、Feは本発明鋼の優れた熱間加工性に寄与する元素でもあり、製造上必要な元素である。そのため過度の添加は高温での強度を低下させ、また耐酸化性もやや低下させるが、熱間加工性をも考慮すると、Feの添加量は20%以下に制限することが必要である。望ましくは12%以下である。
また、好ましいFeの下限としては、2%以上の添加であれば、優れた熱間加工性を維持することができる。
【0014】
Ti添加によりCr酸化膜の内側にTiを含んだ酸化層が生成し、酸化膜の成長が促進され、その結果耐酸化性を悪くするので無添加が望まれ、0%としても良い。この結果耐酸化性を悪くする傾向はTiの含有量が0.02%を超えると顕著になるため、Tiの上限を0.02%以下とし、望ましいTiの上限は0.01%以下である。
【0015】
Nb、Ta及びVはCと結びついて炭化物を形成して、熱間加工及び熱処理中に結晶粒粗大化を防止することにより製品の結晶粒を微細化し、高温強度を上昇させる本発明における最も重要な元素である。特にNb、Ta及びVを添加した場合にはマトリックスの変形抵抗が高くなるため必須である。
しかし、過度の添加は熱間加工性及び冷間加工性を阻害するため、添加量はNb、Ta及びVの一種または二種で2.5%以下である。好ましくは2.0%以下である。また、添加による効果を得るために好ましい下限としては0.01%である。
【0016】
なお、本発明で規定する選択元素(Nb、Ta及びV)のうち、特に結晶粒微細化に効果があるのはNbである。そのため、Nb、Ta、Vのうち、Nbを必須として添加する。
但し、過度の添加は熱間加工性及び冷間加工性を阻害する。一方で、少な過ぎると、Nbによる結晶粒微細化の効果が期待できない。そのため、Nb含有量を0.01〜1.5%の範囲とした。好ましくは0.03〜1.0%の範囲とすると良い。
【0017】
SはNi中の固溶限が非常に小さいため微量含有するだけで結晶粒界にNi3S2が偏析し、NiとNi3S2の共晶が発生する。この共晶の融点は非常に低く、熱間加工の温度範囲において非常に脆弱になる。それゆえSは熱間加工時に粒界を脆弱にし、割れなどを引起こし、熱間加工性を低下させる不純物元素であるため、Sの含有量を0.01%以下に制限する。
【0018】
Mgは、Sと結びついて化合物を形成し、Sを除去または固定する効果があるので、本発明では添加すべき必須元素としている。しかしながら、MgはNi中の固溶限が小さいため過度に添加すると粒界にNi2Mgを形成する。このためNiとNi2Mgの共晶が粒界において発生し、熱間加工時には粒界が脆弱になり、熱間加工性が低下するため、Mgの添加は0.001〜0.04%とする。
【0019】
また、本発明においては、単にSとMgを上述の範囲内に調整するのみでは、Sを起因とした割れの発生を防ぐことが出来ない場合がある。そこで、Sを確実に除去または固定するために、SとMgの比率を特定の範囲内に制御する手法をとると良い。具体的には、Mg/Sの値が1以上であれば、MgによってSを除去・固定が可能であり、Sを起因とした割れの発生を防ぐことができる。
【0020】
Alは材料表面に酸化被膜を生成するため主に耐酸化性向上に有効な元素であり、また、脱酸剤としての効果もある一方で、過度の添加は冷間加工性を低下させる元素であり、必要に応じて添加する。
そのため、Alの添加量は二つの場合を想定して、添加量を調整することが重要である。
その第一は、例えばCr酸化物のみによって、耐酸化性が十分に確保できる場合は、冷間加工性を阻害するAlの積極添加は制限すべきであり、また、Alの多量添加はマトリックス中にNi3Alの微細析出物を形成させ、高温強度を高める一方、延性を大きく低下させるので高い延性が必要とされる場合にはAl添加量を低く制限すべきである。このような場合には、Alは2.0%未満の範囲に調整すると良く、さらに望ましくは0.5%以下が良く、無添加レベルに制限しても良い。
一方、第二として、より過酷な環境に曝される場合はCr酸化物より保護被膜としての効果が大きいAl酸化物を形成させて、耐酸化性を確保しなければならない。そのため、積極的なAl添加は下限を2.0%とし、上限を5.0%迄の範囲とすると良く、特に好ましい範囲は2.0〜4.0%の範囲である。
【0021】
MoとWはマトリックスに固溶することにより高温強度を向上させる元素であり、その効果はMo+1/2Wで整理することができる。高温強度を向上させるためにはその値は0.5%を超えると効果がある。しかしながら、過度の添加は冷間加工性を低下させる。この冷間加工性を確実に確保するためにMoとWとの上限をMo+1/2Wの値で4.0%未満とした。
なお、冷間加工性を低下させるMoとWを添加する場合には、同じく冷間加工性を低下させるAlについては、2.0%未満(好ましくは0.5%未満)の範囲の添加とすることが望ましいが、2.0〜5.0%のAlを添加して耐酸化性を確保した上で、更に高温強度を得ようとすると、冷間加工性を著しく低下させないようにMoとWの添加をMo+1/2Wの値で上限2.0%以下(好ましくは1.0%以下)とすることができる。
【0022】
Hf及びZrもCと結びついて炭化物を形成し、熱間加工及び熱処理中に結晶粒の粗大化を防止する。つまり製品の結晶粒を微細に保持し、高温強度を維持させる元素である。また、一部マトリックス中に固溶することで、酸化膜の密着性を向上させて膜の剥離を防止し、結果的に耐酸化性を向上させる効果もある。しかし、過度の添加は熱間加工性及び冷間加工性を阻害するため、Hfの上限は1.0%以下とし、Zrの上限は0.5%以下とした。
【0023】
希土類元素、Y及びScは微量添加することにより耐酸化性が向上する。本発明で添加できる種々の希土類元素のうち、好ましい希土類元素はLa、Ceであり、これは主に酸化膜の密着性を向上させることによると考えられる。
しかしながら、過度の添加は熱間加工性を低下させる。従って、添加量は希土類元素0.2%以下、Y0.5%以下、Sc0.2%以下のうち一種または二種の合計を0.6%以下とする。
なお、保護被膜としての効果が大きいAl酸化物を形成するAlを併用して添加することにより、さらに耐酸化性を向上させることが出来る。
【0024】
なお、以下の元素は質量%で下記の範囲内で本発明鋼に含まれても良い。
P≦0.04、Cu≦0.30、Ca≦0.02、Co≦2、N≦0.03、O≦0.005
【0025】
また、本発明では、結晶粒微細化に効果のあるNb、Ta及びVの化合物(化合物とは炭化物、窒化物を意味する。)の平均円相当径が2.0μm以下と規定した。理由は以下の通りである。
Nb、Ta及びVの化合物は、微細に材料内部に分散させることで、本発明合金を例えば1050℃程度に加熱した際に結晶粒の粗大化をピン止め効果により抑制し、結果として結晶粒微細化の効果を発揮する。
そのための望ましいNb、Ta及びVの化合物のサイズは平均円相当径で2.0μm以下である。この範囲であれば、Nb、Ta及びVの化合物が微細に分散した形態となり、結晶粒微細化の効果を十分に得ることができる。なお、平均円相当径が2.0μmを超えてしまうと、ピン止めするNb、Ta及びVの化合物の量が少なくなる場合があり、ピン止めの効果が不十分となり易く、高温の加熱時に結晶粒が一部で粗大化してしまう。そのため、本発明ではNb、Ta及びVの化合物のサイズは平均円相当径で2.0μm以下と規定した。
また、上述のピン止め効果を最大限に発揮するための好ましい下限は平均円相当径で1.0μmである。
なお、本発明で言う平均円相当径とは、化合物の面積を円の面積に換算し、その円の直径を指す。化合物の平均円相当径を調べるには、例えば材料の断面を走査型電子顕微鏡を用いて、倍率3000で少なくとも10視野以上の観察を行い、画像解析にて平均円相当径を求めることができる。
【0026】
ところで、本発明で規定するNb、Ta及びVの化合物の平均円相当径が2.0μm以下とするための方法としては、例えば、塑性加工によってNb、Ta及びV化合物を破砕、分散させ、Nb、Ta及びV化合物の数量を増やし、さらに材料内部における均一分散化を行なうと良い。
より具体的に説明すると、鍛造比9以上(=加工前断面積/加工後断面積 ただし断面積は加工によって材料が伸びてゆく方向の横断面)の加工を施すことで、確実に塑性加工によってNb、Ta及びV化合物を破砕、分散させることが可能である。
【0027】
【実施例】
以下に実施例として本発明を詳しく説明する。
真空溶解により、10kgインゴット(W:90mm×L:90mm×H)を溶製し、このインゴットをW:26mm×T:26mm×L(No.3)、W:29mm×T:29mm×L(No.4)、W:30mm×T:30mm×L(No.1,2,5〜33,35,36,38)、W:40mm×T:40mm×L(No.34)、W:52mm×T:52mm×L(No.37)の棒材に熱間鍛造し、鍛造した棒材に950℃×1hr空冷なる溶体化処理を施した。この時、熱間加工性の評価として、鍛造した棒材における割れの有無を確認した。
また、結晶粒が成長する高温環境下(1050℃、50時間)で熱処理した後、結晶粒度番号(ASTM)を調べた。後述する表3にその結果を示す。
【0028】
化学組成を表1に示す。表1のNo.1〜8 ,No.10 〜23が本発明合金であり、表2のNo.30〜No.38は比較合金である。No.9 及び 10 は Nb 無添加の参考例である。なお、特開昭63-153236号、特開2000-336446号、特開平7-268522号及び特開平11-12670号で示されるAlloy600の改良合金をそれぞれNo.35,36,37及び38として示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
次に、表1及び2に示す材料から引張試験片及び耐酸化試験片を切出し、それぞれ試験に供した。高温強度の評価として、800℃の高温引張試験をASTM:E21に定められた試験法により行い、高温引張強度を求めた。高温強度は、800℃の高温引張強さで200MPa以上であれば良好と言える。
また、耐酸化試験は直径10×20mmの試験片を用いて1050℃×100h加熱後の平均酸化増量により耐酸化性を評価した。単位表面積あたりの酸化増量が25g/m2以下であれば耐酸化性が良好である。またこの耐酸化試験片の、耐酸化試験前後の結晶粒度番号をASTM:E112に定められた試験法により観察し、結晶粒度番号の変化を調べた。結晶粒度番号の変化=耐酸化試験前結晶粒度番号−耐酸化試験後結晶粒度番号であり、値がプラス側に大きいほど結晶粒が成長していることを表している。
更に耐酸化試験後の試験片を、鍛伸方向の縦断面に相当する面について電子顕微鏡を使い、Nb、Ta及びV化合物の10視野分を3000倍にて観察し、平均円相当径を求めた。
【0032】
鍛造割れが発生した材料もあったが、その材料については、割れの無い部分を切出し、溶体化処理して試験片を採取した。
これら、高温引張試験結果、耐酸化試験結果、結晶粒度番号の変化、鍛造比、Nb、Ta及びV化合物の平均円相当径及び上述の熱間加工性(割れ)の結果を表3に纏めて示す。
【0033】
【表3】
【0034】
表3から、本発明合金(No.1〜8 , No.10 〜23)は高温(800℃)における引張強さも高く(200MPa以上)、高温強度が優れており、1050℃×100hにおける耐酸化試験の酸化増量が25g/m2以下と耐酸化性が良好であり、鍛伸による割れもないことから優れた熱間加工性をも兼備する合金であることが分かる。
特に、Alを積極添加したNo.18合金、21及び22合金は、耐酸化性が5g/m2以下であり、他の本発明合金と比べて優れた耐酸化性を有することが分かり、高いAlとLaとを添加したNo.21、22合金では酸化増量が4g/m2と、最も優れた耐酸化性を有していることも分かる。
また、本発明No.7合金の断面電子顕微鏡写真を図1に示す。図1に示すように、顕微鏡写真のほぼ中央部で見られるように、Nb炭化物(Nb化合物)が塑性加工により破砕されているのが分かる。なお、この破砕された炭化物(化合物)は、本発明合金の全てで観察することができた。
結晶粒度番号の変化と高温強度の間には相関関係を見つけることができ、つまり、この分散したNb炭化物が、高温における結晶粒の成長を抑止して、高温強度の低下を防ぐ効果を現していると考えられる。
【0035】
一方、比較材において、Cが0.1%より多くなると(No.30)Crの欠乏を招き、耐酸化性が劣化する。Crが12%より少なくなると(No.31)、酸化増量が増加し、耐酸化性が著しく悪くなる。Crが32%より多くても(No.32)、酸化膜が剥離し易くなるため酸化増量が増加し、耐酸化性が悪くなる。
Feが20%より多くなると(No.33)、800℃での引張強さが著しく低下してしまい、高温強度が低くなる。耐酸化性もやや低下する。Tiが1.0%より多くなると(No.34)、酸化膜の成長を促進するため酸化増量が多くなり、耐酸化性が悪くなる。
【0036】
特開昭63-153236号に開示されているNb、Ta及びVとMgが添加されていない合金(No.35)は800℃における引張強さが200MPa未満と高温強度が低く、また熱間加工時に割れが発生している。特開2000-336446号に開示されているNb、Ta及びVが添加されていない合金(No.36)も結晶粒度番号の変化が大きく800℃における引張強さが200MPa未満と鍛造比が高いにもかかわらず高温強度がきわめて低い。特開平7-268522号に開示されているMo+1/2Wが4%以上でMgが添加されていない合金(No.37)は熱間加工時に著しい割れが発生した。特開平11-12670号に開示されているMgが添加されていない合金(No.38)も熱間加工時に割れが発生した。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば高温強度と熱間加工性の問題を改善することができ、点火プラグ用電極等の自動車部品、ガスタービンノズル等の発電設備用の部品、熱処理炉内用部品及び燃料電池用部品等の高温で酸化雰囲気に曝されて使用される部品及び部材として用いたときにその寿命向上に大きく寄与することができる。
特には、点火プラグ用電極用材料及び燃料電池のカプセル用材料として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合金の断面顕微鏡写真である。
Claims (6)
- 質量%でC:0.003〜0.1%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:12〜32%、Fe:20%以下、Mg:0.001〜0.04%を必須で含み、選択元素として(Nb、Ta及びV)から選ばれる一種または二種以上を、 Nb を 0.01 〜 1.5 %を必須で含んだ合計で2.5%以下、不純物であるSは0.01%以下(但しMg/S≧1)、Ti0.02%以下(0を含む)であり、残部はNi及び上記以外の不可避的不純物からなり、且つ Nb 、 Ta 及び V の化合物の平均円相当径が 2.0 μ m 以下であることを特徴とする耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金。
- 質量%でAl:2.0%未満の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金。
- 質量%でAl:2.0〜5.0%の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金。
- MoとWの一種または二種をMo+1/2Wで0.5%を超え4.0%未満含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金。
- 質量%でHf:1.5%以下及びZr:1.0%以下のうち一種または二種を含み、且つそれらの合計が2.0%以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金。
- 質量%で希土類元素:0.2%以下、Y:0.5%以下、Sc:0.2%以下のうち一種または二種以上を含み、且つ希土類元素、Y、Scの合計が0.6%以下であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の耐酸化性、高温強度及び熱間加工性に優れたNi基合金。
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