JP4172191B2 - 光走査装置、光走査装置に用いられる折返しミラーの製造方法、及びカラー画像形成装置 - Google Patents

光走査装置、光走査装置に用いられる折返しミラーの製造方法、及びカラー画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式のカラープリンタやカラー複写機等に用いられる光走査装置、光走査装置に用いられる折返しミラーの製造方法、及びカラー画像形成装置に係り、詳しくは、タンデム方式のカラー画像形成装置に用いる光走査装置の中で単一の偏向器により複数のレーザビームを走査する光走査装置、光走査装置に用いられる折返しミラーの製造方法、及びカラー画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラープリンタやカラー複写機等のカラー画像形成装置において、電子写真方式によりフルカラー画像を形成するものは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーによる4回の画像形成サイクルでフルカラー画像を形成する「4サイクル」と呼ばれる方式を採用しているものが多い。これは、広く普及している白黒(単色)の画像形成装置と、構成を共通化できることによるが、同じサイクルを4回繰り返すため、装置としての画像出力スピードが白黒画像形成装置の1/4に低下してしまう欠点がある。
【0003】
これに対し、帯電、露光、現像、転写機能を備えた画像形成部を4つ並列に配置し、Y、M、C、Kの画像形成を連続して行い、フルカラー画像を白黒の場合と同等のスピードで形成する「タンデム方式」と呼ばれる画像形成装置が開発されている。しかし、初期に開発されたタンデム方式のカラー画像形成装置は、装置が大型であり、また高価であったため、スピードを優先する一部の特定市場にのみ普及している。
【0004】
ところが、近年のインターネット、デジタルカメラの普及により、カラー原稿やカラー画像が一般オフィスで通常に取り扱われるようになり、これまで言われていたドキュメントのカラー化が現実のものとなった今日、4サイクル方式のカラー画像形成装置の出力スピードがオフィスの日常業務におけるストレスとなっている。しかし、従来のタンデム方式カラー画像形成装置では、大型、高価なため、一般オフィスで使用できるカラー画像形成装置、すなわち、白黒画像形成装置並みの設置スペースとオフィスの各所に設置可能な価格のフルカラー画像形成装置が強く望まれるようになっている。
【0005】
このような要求にこたえる装置構成として、本出願人による特開2001−264655号公報記載の画像形成装置がある。図9は、小型化を実現したカラー画像形成装置の構成図である。図示のカラー画像形成装置100では、並列に配置された4つの感光体102Y、102M、102C、102Kの下方に単一の光走査装置104が配置されている。
【0006】
光走査装置を小型化するポイントは、偏向器の単一化(4ビームでの共用)と光走査装置内の空間を複数ビームが共用することである。単一の光走査装置により双方向に2本づつのレーザビームを走査するとともに、各2本のレーザビームは、副走査方向に異なる角度をなしてポリゴンミラーへ入射させる。このような構成により、単一の偏向器に実装された薄型の単一ポリゴンミラーと2セットの結像レンズにより、4本のレーザビームを走査可能としている。また、各2本のレーザビームが角度差をもって偏向されるので、2ビームの間隙が徐々に広がり、そのレーザビームを平面ミラーにより選択的に折り返すことで、ポリゴンミラーの同一偏向面から反射されたレーザビームを異なる感光体上に導くことができる。
【0007】
光走査装置を小型化するために単一の偏向器を使用する例は、ほかに特開平9−179046号公報、特開2001−4948号公報、特開2001−108923号公報などがある。ただし、特開平9−179046号公報に記載の光走査装置は単一の偏向器に加え、結像レンズも1セットとしいるが、レンズが大型になるという問題がある。また、特開2001−4948号公報、特開2001−108923号公報に記載の光走査装置は、複数の平行なレーザビームをポリゴンミラーに入射するため、ポリゴンミラーが厚くなったり、結像レンズがビームごとに必要になったり、厚くなるという問題がある。
【0008】
これらに対し、ポリゴンミラーの単一の偏向面に角度差をなして複数のレーザビームを入射する方法は、部品を大きくすることなく、複数ビーム走査を実現できるという特長をもつが、走査線が湾曲するという問題がある。これは固定方向から副走査方向に角度をなして入射するレーザビームに対して、ポリゴンミラーが回転すると、入射角が連続的に変化するために、副走査方向で見たときに走査線の両側が偏向点から離れる方向に反る走査線軌跡を描くためである。
【0009】
走査線の湾曲量は、偏向ビームが偏向器の回転軸に直交する平面に対して副走査方向になす角度に応じて大きくなるため、角度差をもつ片側2本のレーザビームの湾曲量は異なるものとなる。
【0010】
図10は、画像形成装置の小型化を実現させる光走査装置の内部構成と走査線湾曲を示す図である。図10に示す構成の場合、双方に走査されるレーザビーム106Y、106M、106C、106Kの被走査面108上における湾曲は、偏向器を挟んで反対方向に湾曲することとなり、4本のレーザビームによる走査線110Y、110M、110C、110Kは、向きと量を含め全て異なる湾曲形状を持つことになる。
【0011】
フルカラー画像ではカラーレジストレーションと呼ばれる各色ドットの重なり具合が画質に大きく影響するため、本来同一ラインとして重なるべき画像信号をコントラローラから画像形成装置に送っても、光走査装置の光学特性による走査線湾曲があると、レジずれを起こし著しい画質劣化を招くことになる。この問題を解決するためには、何らかの方法で走査線の湾曲を調整する機能を実装する必要がある。走査線湾曲をメカニカル機構で調整する方式としては、光学部品の姿勢や形状を調整して、入射走査線と逆方向の湾曲を発生させるものが従来より用いられ、例えば、特開2001−228427号公報、特開2000−180778号公報がある。
【0012】
図11は、特開2001−228427号公報に記載されているミラー湾曲量調整機構の例を示す図である。平面ミラー112の両端部近傍を支持する支持ユニット114A、114Bにミラーを湾曲させる調整機構が組み込まれており、調整スクリュー116をねじ込むと、平面ミラー112が主走査方向に沿って湾曲し、走査線を湾曲した状態118Aから湾曲のない状態118Bに調整することができる。
【0013】
図10に示す構成に適用する場合、各レーザビームが光路分割されたあとの単一レーザビームのみに対応する折返しミラー120Y、120M、120C、120Kを独立に調整することで、走査線湾曲を調整して4本の走査線110Y、110M、110C、110Kを重ねることができる。
【0014】
図12は、平面ミラーを主走査方向に湾曲させて走査線湾曲を補正するメカニズムを説明する図である(特開2000−180778号公報参照)。平面ミラー122を主走査方向に沿って湾曲させると((A)の矢印D方向)、ミラー中心で反射されるレーザビームLBcの反射位置が、P2からP2’に移動し、これに応じて被走査面124上のビーム位置もP4からP3に移動して走査線の湾曲が補正される。図12は、平面ミラーの中央部反射面が凸状となるように押し出す場合の説明であるが、図11の場合は、反射面中央部が凹状となるように引く構成となっている。これらは、必要な走査線湾曲の補正方向にしたがって適宜選択する。
【0015】
調整に用いる平面ミラーの光路上の位置としては、特開2001−228427号公報に示されているように、面倒れ補正ミラー(面倒れ補正機能を備えた光学素子)と感光体との間に配置するのが望ましい。これは、面倒れ補正ミラーよりも光路上流側の平面ミラーを湾曲調整しても、面倒れ補正ミラーが光路を元に戻そうと作用するため、平面ミラーの湾曲調整量を過大にしてしまうという問題があるためである。また、入射角が最大の平面ミラーを調整ミラーとすることが望ましい。これは、入射角が大きい平面ミラーほど湾曲調整量に対する走査線湾曲補正量が大きくなる、すなわち高感度に調整可能となり、平面ミラーの湾曲量を抑制できるためである。折返しの平面ミラーは、精度、コストの観点でガラスミラーを用いることが多いため、湾曲調整量の抑制はミラー破壊防止のために重要な要件となる。
【0016】
特に、双方向走査の場合、前述のように角度による湾曲量の違いに加え、双方向で湾曲方向が逆になるため、カラーレジ補正に必要なミラー湾曲量は大きくなり、したがって、高感度調整可能な平面ミラーに調整機構を実装することは、信頼性の観点で有効である。
【0017】
なお、カラーレジ補正においては、複数本の走査線を重ね合せることが重要であり、重ね合わせられた走査線が必ずしも走査線湾曲量ゼロである必要はない。これは、人間の視覚が、ドットがずれることには敏感であるが、画像の歪みに対する認識度は低いためである。200μmのドットずれは容易に認識されるが、A3用紙幅(297mm)に対する200μmの湾曲はまず認識されない。
【0018】
このように単一偏向器の同一偏向面に複数のレーザビームを副走査方向に角度差を持たせて入射して双方向走査を行うことで、光走査装置の小型化、複数レーザビームの部品共用による低コスト化を実現でき、また面倒れ補正ミラーと感光体の間に設けた折り返しミラーにミラー湾曲量調整機構を実装することで、高感度に走査線湾曲補正が可能となり、斜め入射により発生する走査線湾曲差を含むカラーレジ補正が可能となる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成は、ミラー振動による画質ディフェクトが発生しやすいという問題を抱えている。
【0020】
破壊防止のため平面ミラー調整湾曲量を抑制するには、上述のように入射角が大きく、面倒れ補正ミラーの下流にある平面ミラーに湾曲量調整機構を実装することが有効となる。図10に示す構成では、最終の折返しミラー120Y、120M、120C、120Kが湾曲量調整ミラーに適している。最終折返しミラーは、偏向点から徐々に走査幅が広がるレーザ走査方式では、通常最大長のミラーとなる。このような長尺ミラーは、固有値が低くなり、光走査装置外部から侵入する振動や偏向器から発生する振動に共振して画像上に濃淡のむら、所謂バンディングを発生させやすい。バンディングのピッチはプロセススピードとの兼合いで決定されるが、0.3mmピッチ以上のバンディングは、目視で認識される。さらに、湾曲補正に適したミラーは、高感度に走査線補正できるよう構成されているため、ミラーが僅かに振動しても感光体上の揺動振幅が大きくなり、バンディングが視認されてしまう。すなわち、走査線湾曲の補正に適した構成は、同時に振動によるバンディングに対して弱くなる特性を併せ持つことになる。
【0021】
図13は、特開2001−264655号公報に示された双方向走査方式光走査装置の図である。この光走査装置126の例では、4本のレーザビーム128Y、128M、128C、128Kが左斜め上方向に平行に射出している。感光体へのレーザービーム入射位置は、図9に示したように、各ユニットの大きさ、配置と、帯電、露光、現像、転写のタイミングで決まるため光走査装置の都合では決められない。また、画像形成装置内での光走査装置レイアウトも干渉なく配置する必要がある。これらの制約の結果、光走査装置のレーザビーム射出方法は偏向器に対して必ずしも左右対称とはならず、最終折り返しミラーへの入射角も左右非対称となる場合が多い。
【0022】
図13の構成例では、最終の折り返しミラー130Y、130M、130C、130Kで反射される4本のレーザビームが、右側2本の光路では、90°を大きく超える鈍角折返しになり、左側2本の光路では、90°近傍の折返し角度となる。このケースでは、右側2本の光路による画像形成色が振動によるミラー共振でバンディングを視認されやすくなる。
【0023】
次に画像形成装置全体として発生する問題について説明する。図9に示す小型タンデム型のフルカラー画像形成装置は、4つの感光体の上部に複数の張架ロールに掛け渡された中間転写ベルトが配設され、感光体上に形成された現像像を重ね合せて転写したのち、2次転写ポイントで用紙に一括転写し、定着器により画像定着してフルカラー画像を出力する。
【0024】
装置の小型化により各構成部品も小さくなり、上記張架ロールの剛性が不足すると、張架ロールが変形し、中間転写ベルトの周速がロール軸方向で変化するという問題がある。特開2001−228674号公報には、中間転写ベルト上のトナー像の湾曲歪を光走査装置の露光像で逆補正することが記載されている。これを実現するには、光走査装置の走査線湾曲補正量にトナー像の湾曲歪補正量分を加味しなければならない。
【0025】
トナー像の湾曲歪みの逆補正量が、走査線の湾曲調整量を増す方向に加わる場合、湾曲調整によるミラー破壊が懸念され、破壊回避のためにミラーを薄くするとバンディングを発生するという問題がある。
【0026】
本発明は、上記事情を鑑み、単一偏向器により複数ビームを走査する光走査装置において、走査線の湾曲補正機能を備えつつ、バンディングの発生しにくい光走査装置を提供することを第一の目的とする。さらに、中間転写ベルトの張架ロール変形によるトナー像の湾曲歪があっても、バンディングの発生しにくい画像形成装置を提供することを第二の目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、単一の偏向器により複数のレーザビームを走査して複数の感光体を露光する光走査装置において、面倒れ補正機能を備えた光学素子と前記複数の感光体との間の複数光路のそれぞれに、最終折返しミラーと、前記最終折返しミラーのそれぞれに反射面を湾曲調整して走査線湾曲を補正する調整機構を備え、前記感光体へ前記レーザビームを入射させる最終折返しミラー同士で相互のレーザビーム折返し角度を比較して、前記折返し角度の大きい最終折返しミラーの方が前記折返し角度の小さい最終折返しミラーより厚くされると共に、前記調整機構による湾曲補正の目標値は、前記最終折返しミラーのうちミラーが厚い光路のイニシャル走査線湾曲に近いところに設定されることを特徴としている。
【0028】
請求項1に記載の発明では、折返しミラーが振動による共振で起こす反射ビームの揺動に対し、その揺動の振幅がレーザービームの折返し角度に依存することを利用して、折返し角度が大きくビーム揺動の振幅が大きくなりやすい最終折返しミラーを、折返し角度の小さい最終折返しミラーよりも厚くする。
【0029】
これにより、単一の偏向器から複数の感光体にレーザビームを導く場合に、複数のレーザビームの光路レイアウトが異なり、同一機能を持つ複数の折返しミラーの折返し角度が異なることで発生するミラー共振に対しての反射ビームの揺動感度差が相殺され、バンディングが抑制される。
【0031】
請求項に記載の発明において、複数のレーザビームが偏向器の偏向面に対し副走査方向に角度をなして入射させる構成では、偏向器の薄型化、複数偏向ビームを各感光体上に結像させる結像レンズの共用化が可能となる利点がある。ただし、斜め入射に起因する走査線の湾曲を伴うため、ミラー(平面ミラー)の反射面を湾曲させて走査線湾曲を補正する調整機構を備えた最終折返しミラーを、複数の光路上に設ける。
【0032】
この調整機構を備えた最終折返しミラーは、破壊を防止しつつある程度の湾曲調整量を確保するため薄いことが望ましいが、調整性(湾曲性)を優先して薄くしすぎると、ミラーの共振によるバンディングが大きくなる。そこで、調整機構を備えた複数の最終折返しミラーの折返し角度が異なることで発生する、ミラー共振に対する反射ビームの揺動感度差を、ミラー板厚に差を設けることで相殺する。これにより、バンディングの抑制と走査線の湾曲調整性との両立が図られる。
【0034】
請求項に記載の発明では、面倒れ補正機能を備えた光学素子と感光体との間の光路上にある最終折返しミラー(平面ミラー)を湾曲させることで、高感度に走査線湾曲を補正可能として最終折返しミラーの破壊を抑制している。
このため、調整機構による湾曲補正の目標値を、最終折返しミラーのうちミラーが厚い光路のイニシャル走査線湾曲に近いところに設定している。
【0035】
そしてこの調整機構を備えた複数の最終折返しミラーに対し、折返し角度の大きい最終折返しミラーを折返し角度の小さい最終折返しミラーよりも厚くすることで、ミラー共振による反射ビームの揺動振幅の感度差を相殺してバンディングを抑制する。さらに、ドットずれに比べ画像歪みが視認されにくいことを利用して、画像としては僅かに歪むが、ミラー破壊回避とバンディング抑制をより確実に両立する。すなわち、バンディング感度の高くなる折返し角度の大きい最終折返しミラーを厚肉としてバンディングを抑制し、同時に調整後の被走査面上の走査線湾曲を僅かに残存させることで最終折返しミラーの湾曲調整量を小さくする。
【0036】
このように、カラーレジストレーションを補正するための調整量を最終折返しミラーの厚さに応じて設定し、ミラー厚の厚いものほど小さくすることで、湾曲調整によるミラー破壊が抑制され、バンディング抑制との両立が図られる。
【0037】
請求項に記載の発明は、単一の偏向器に副走査方向に角度をなして入射する複数のレーザビームを走査して複数の感光体を露光する光走査装置において、面倒れ補正機能を備えた光学素子と前記複数の感光体との間の複数光路のそれぞれに反射面を湾曲調整して走査線湾曲を補正する調整機構を備えるとともに前記感光体へ前記レーザビームを入射させる最終折返しミラーを有し、前記複数の最終折返しミラー同士で相互のレーザビーム折返し角度を比較して、前記折返し角度の大きい最終折返しミラーの方が前記折返し角度の小さい最終折返しミラーより厚くされ、且つ、その厚くされた最終折返しミラーは未調整状態で前記反射面が走査線湾曲を補正する方向に主走査方向に沿った湾曲形状とされていることを特徴としている。
【0038】
請求項に記載の発明では、面倒れ補正機能を備えた光学素子と感光体との間の光路上にある最終折返しミラー(平面ミラー)を湾曲させることで、高感度に走査線湾曲を補正可能としてミラーの破壊を抑制している。
【0039】
そしてこの調整機構を備えた複数の折返しミラーに対し、折返し角度の大きい最終折返しミラーを折返し角度の小さい最終折返しミラーよりも厚くすることで、ミラー共振による反射レーザビームの揺動振幅の感度差を相殺してバンディングを抑制する。さらに、厚く設定した最終折返しミラーの反射面はミラーの未調整状態(自然状態)で既に湾曲しており、その形状が走査線湾曲を補正する方向に主走査方向に沿った湾曲形状であるため、走査線湾曲補正に必要な調整量が減らされ、共振抑制のために厚くされた最終折返しミラーの湾曲量が低減される。これにより、破壊リスクを回避した状態での走査線湾曲調整が可能となる。
【0040】
請求項の発明は、請求項3記載の光走査装置において、前記複数の最終折返しミラーのそれぞれが前記反射面を湾曲調整してカラーレジストレーションを補正する調整量は前記複数の最終折返しミラーの厚さに応じて設定されていることを特徴としている。
【0041】
請求項に記載の発明では、斜め入射により発生する走査線湾曲差をミラー(平面ミラー)の湾曲調整により補正するにあたり、バンディング感度が高くなる折返し角度の大きい最終折返しミラーを折返し角度の小さい最終折返しミラーに比較して厚くすることで、バンディングを抑制する。このとき、厚いミラーの調整湾曲による破壊を防止するため、厚いミラーには反射面が予め湾曲したミラーを用いることにより、調整前の走査線間湾曲差を小さくし、調整量を軽減する。加えて、ミラー反射面を湾曲させて調整するカラーレジストレーション補正に対し、調整狙い値を走査線湾曲ゼロから、厚いミラーによる調整量が小さくなる方向にオフセットする。
【0042】
このように、カラーレジストレーションを補正するための調整量を最終折返しミラーの厚さに応じて設定し、ミラー厚の厚いものほど小さくすることで、厚いミラーの調整量がより低減されミラー破壊が抑制される。
【0043】
請求項に記載の発明は、請求項又は請求項記載の光走査装置において、未調整状態で前記反射面が走査線湾曲を補正する方向に主走査方向に沿った湾曲形状とされている前記最終折返しミラーは、ミラー素材を前記走査線湾曲を補正する方向の逆方向に湾曲して保持し、その保持状態で反射面側が平面加工され製造されていることを特徴としている。
【0044】
請求項に記載の発明では、反射面を湾曲させることで走査線湾曲を補正する最終折返しミラーを製造する際、ミラー素材を走査線湾曲を補正する方向とは逆方向に湾曲して保持し、その状態で反射面側を平面加工することにより、ミラーの未調整状態で反射面が走査線湾曲を補正する方向に主走査方向に沿った湾曲形状となる。これにより、走査線湾曲補正に必要な湾曲形状の最終折返しミラーが得られ、その製造も容易となる。
【0045】
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項の何れか1項記載の光走査装置において、前記複数のレーザビームが前記単一の偏向器により双方向に2本づつ走査されることを特徴としている。
【0046】
請求項に記載の発明では、副走査方向に斜め入射するレーザビームは、ポリゴンミラーの対向する2面によりそれぞれ2本づつ双方向に走査する。これにより、複数レーザビームの副走査方向斜め入射による光偏向器の薄型化及び結像レンズの共用化に加え、双方向に2本づつ振り分けられたレーザビーム間の副走査方向における入射角度差が最小限に抑えられ、複数レーザビーム間の結像特性の均一化が容易となる。
【0047】
請求項に記載の発明は、請求項〜請求項の何れか1項記載の光走査装置において、前記複数の最終折返しミラーの少なくとも1つは前記調整機構を備えず、前記調整機構を備えない最終折返しミラーが光路に設けられたレーザビームを基準に、前記調整機構を有する最終折返しミラーが光路に設けられたレーザビームの走査線湾曲を補正することを特徴としている。
【0048】
請求項に記載の発明では、複数の最終折返しミラーの少なくとも1つに調整機構を設けないことで、低コスト化が実現するとともに、装置構成が簡素化し、カラーレジストレーションの維持性向上や光路レイアウト上の制約を排除することができる。また調整機構の削除は、調整狙い値からの隔たりが最小のレーザビームを対象とすることで、画質に実質的な影響を与えずに実施可能である。
【0051】
請求項に記載の画像形成装置は、請求項1〜請求項の何れか1項記載の光走査装置と、前記光走査装置により走査された複数のレーザビームが照射される複数の感光体と、複数の張架ロールに張架されて無端状に構成され前記複数の感光体のそれぞれに形成された静電潜像の現像像が順次重ねられて一次転写されたのち画像形成媒体に一括して二次転写する中間転写体と、を備えたカラー画像形成装置において、走査線湾曲の未補正状態で前記複数のレーザビームが前記複数の感光体上に形成する露光像の中で走査線湾曲方向が逆方向とされて隣接する露光像同士では、走査中央間距離が走査端間距離に比べ大きくされていることを特徴としている。
【0052】
請求項に記載の発明では、無端状の中間転写体を掛け渡した張架ロールの変形による転写体周速のロール軸方向むらを考慮した光走査装置を搭載することで、カラーレジストレーション性能が高く、バンディングの発生しない画像形成装置を実現するもので、中間転写体は、装置小型化により張架ロールの剛性不十分による変形が原因で、転写体中央に比べ端部の周速が早くなる。この結果、最初に転写された現像像が最後に転写される現像像の転写位置に到達した時点で、現像像両端が転写体進行方向に対して進んだ向きに湾曲した現像像形状となる。
【0053】
したがって、この湾曲量を逆補正する露光像を形成すれば画像形成装置からはカラーレジずれのない画像出力が得られる。そして、逆補正する方向の露光像湾曲方向を光走査装置が斜め入射により発生する走査線湾曲の方向に一致させることで、すなわち、走査線湾曲の未補正状態で複数のレーザビームが複数の感光体上に形成する露光像の中で走査線湾曲方向が逆方向とされて隣接する露光像同士では、走査中央間距離を走査端間距離に比べ大きくすることで、走査線湾曲の調整量が低減され、高精度なカラーレジストレーションとバンディングの無い高画質画像を得ることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0055】
[第1の実施形態]
図1には、本発明の第1の実施形態に係る光走査装置が示されており、図2には、その光走査装置を搭載したタンデム方式のカラー画像形成装置が示されている。
【0056】
図1に示すように、光走査装置10は単一の筐体12を備えており、装置中央部に図示しないモータに搭載された単一のポリゴンミラー14が配置され、双方向に2本づつのレーザビーム(AY及びAM、AC及びAK)を走査する。ポリゴンミラー14により偏向されたレーザビームは、それぞれ共通のfθレンズ16(16A、16B及び16A’、16B’)を通過して、筐体12の両端部近傍に配置された折返しミラー18Y、18M、18C、18Kによりポリゴンミラー14側に折返されたのち、シリンドリカルミラー20Y、20M、20C、20Kで略逆方向に折返され、最後に最終折返しミラー22Y、22M、22C、22Kにより折返されて、斜め上方に配置された感光体24Y、24M、24C、24Kにそれぞれ到達し結像される。
【0057】
感光体24の上を走査する方向は、単一のポリゴンミラー14の対向する2面で偏向を行うため、ポリゴンミラー14を挟んで2本づつ逆向きとなる。また、レーザビームは、右から順にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)に対応した画像信号により変調されている。
【0058】
ポリゴンミラー14は12面の反射面を備え、fθレンズ16は、主走査方向にのみ屈折力を有し、凹シリンドリカル面と平面(16A、16A’)、平面と凸シリンドリカル面(16B、16B’)で構成される2枚組である。シリンドリカルミラー20は、各光路上でポリゴンミラー14の反射面と感光体24の表面を略共役な結像関係とすることで、面倒れ補正機能を実現している。この構成では、シリンドリカルミラー20が面倒れ補正機能を備えた光学素子にあたる。
【0059】
筐体12は、上方に開口をもつ無穴構造とされ、画像形成装置への取付けや温度変化による歪が最小化されている。筐体12の上側には、4枚のウインドウガラス26Y、26M、26C、26Kを装着したカバー28が取付けられて、筐体12の内部を密閉構造としている。
【0060】
レーザビームAY、AM、AC、AKは、ポリゴンミラー14の回転軸に直交する平面に対して、上側に離れる方向に角度をもって偏向される。偏向ビームは、走査中心に対し、走査両端がより上方に位置する走査線湾曲を有し、その湾曲量は、シリンドリカルミラー20の反射面上で最大となり、徐々に湾曲が小さくなって感光体24に到達するが、感光体24上に走査される4本の走査線には湾曲が残存する。
【0061】
図3は、光走査装置10により走査された被走査面(感光体24の表面位置)における走査線湾曲を示す図である。4本の走査線(露光像)LY、LM、LC、LKは、ポリゴンミラー14を挟んで外側に凹形状として湾曲しており、走査線間の距離は、走査中心間距離L1に対し、走査端間距離L2が大きくなっている。なお、湾曲量は説明のため誇張して表現しているが、最大で130μm程度である。この湾曲量は、単色の画像形成であればほとんど視認されない大きさであるが、4色を重ね合せるフルカラー画像形成では、許容できない量であり、走査線の湾曲補正が必要となる。また、外側の感光体24Y、24Kを走査するレーザビームは、内側の感光体24M、24Cを走査するレーザビームに比べて、ポリゴンミラー14の回転軸と直交する平面に対して偏向ビームが成す角が大きいため、湾曲量が大きくなる。レーザビームがポリゴンミラー14の直交面となす角度は、1.2°(M、C)及び2.4°(Y、K)である。
【0062】
次に、ポリゴンミラーへの入射レーザビームについて説明する。レーザ光源30Y(図示せず)、30M、30C、30Kは、筐体12の片側(図1(B)では上側)に配置されている。独立した4つの光源から射出されたレーザビームAY、AM、AC、AKは、そのうち2本(AM、AC)が折返しミラー32M(図示せず)、32Cにより折返されたのち、共通ミラー34YM、34CKで2本づつ折返しされてポリゴンミラー14に入射する。ポリゴンミラー14への入射は、fθレンズ16を透過して行い、偏向ビームが再びfθレンズ16を透過するダブルパス入射方式としている。ポリゴンミラー14への入射は、主走査方向ではfθレンズ16の光軸を挟んで両側から、副走査方向では筐体12の底面側から上方に煽る方向に角度をなして行う。また、ポリゴンミラー14への入射方式は、入射ビームを主走査方向で偏向面の面幅よりも幅広とするオーバーフィルド方式としている。これにより、内接円直径25mmの12面ポリゴンミラーで60μmのビーム径を生成し、高速高解像走査を実現している。
【0063】
図1(A)に示す構成では、感光体24Y、24M、24C、24Kへ向かうレーザビームAY、AM、AC、AKは左側に傾いた方向に光走査装置10から射出する。これは、画像形成装置の構成により決まるが、小型タンデム方式の画像形成装置の構成上、光走査装置を左右対称な構成にできることは少ない。このため、最終の折返しミラー22は、折返しミラー22Y、22Mの折返し角度が小さく、折返しミラー22C、22Kの折返し角度が大きくなる。
【0064】
最終の折返しミラーは、図1(B)を見ても明らかなように、感光体上の走査幅に近い長さを必要とする。本実施の形態における最終折返しミラー22は、両端の支持点間距離で280mmとなる。このような長尺ミラーは固有値が低く、400Hz以上とするのは困難である。そのため、光走査装置の外部から伝播される振動や、装置内のポリゴンモータから発生する振動に共振しやすい。ミラーの共振は反射ビームの揺動となるが、最終ミラーは、面倒れ補正機能を備えたシリンドリカルミラーの後段に設けられているため、その揺動が光学系により縮小されることなく感光体上に到達するため、バンディングとして視認されやすい。
【0065】
図4は、ミラーのレーザビーム折返し角度と感光体上におけるビームの揺動振幅の関係を示した図である。振動モードは、ミラーの細かな支持条件の違いを除けば、梁としてのパラメータにより決定される。しかし、同一のミラーを使用し同一の共振を起こしたとしても、レーザビームの折返し角度が異なると、感光体上のレーザビーム揺動幅(振幅)は異なるものとなる。
【0066】
図示のように、折返し角度がα>βの場合、二つのミラー36A、36Bが同じ振動(振幅Aは同一量)を起こすと、感光体上(被走査面38)のビーム揺動幅Bは、B1>B2となる。したがって、図1に示す光路レイアウトの場合、感光体24Y、24Mに対して、感光体24C、24K上のレーザビーム揺動が大きくなり、シアン、ブラックの画像上のバンディングが視認されやすくなる。
【0067】
この問題を解決するために、第1の実施形態では、折返し角度の大きい、シアン、ブラックの光路上にある最終折返しミラー22C、22Kの厚さが、イエロー、マゼンタの光路上にあり相対的に折返し角度の小さい最終折返しミラー22Y、22Mよりも厚くされている。板厚の数値例としては、折返しミラー22Y、22Mを8mm、折返しミラー22C、22Kを10mmなどに設定できる。折返しミラー22Yと折返しミラー22M、折返しミラー22Cと折返しミラー22Kの間でも微妙に折返し角度が異なるが、ここでは、部品の共通化、効果の差から2種類の板厚のミラーを配置している。また、斜め入射による走査線湾曲は、画像データを予め逆補正することで補正している。
【0068】
次に、上記構成の光走査装置が搭載されたカラー画像形成装置について説明する。図2に示すように、カラー画像形成装置40は、感光体24Y、24M、24C、24Kが光走査装置10の上方に配置されて横方向に並列されており、各感光体の上部は複数の張架ロール41A、41B、41Cに張架された中間転写ベルト42と接している。そして光走査装置10からの光ビームAY、AM、AC、AKにより、感光体24Y、24M、24C、24Kが走査露光され静電潜像を形成すると、各静電潜像は図示せぬ現像装置により現像され、1次転写ポイント44で中間転写ベルト42上に転写される。中間転写ベルト42上には、ベルトが図中の矢印C方向に駆動することでイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に現像像が重ね合わせられる。さらにその像は、2次転写ポイント46で、給紙カセット48から送り出された用紙50上に一括転写され、用紙50が上方の定着装置52に送られることで転写像から定着像となる。以上のプロセスにより、カラー画像形成装置40によってカラー画像が用紙50に印刷され、装置上部の排紙トレイ54に印刷された用紙50が排出される。
【0069】
以上の構成により、本実施形態の光走査装置10では、共振による反射ビームの揺動幅が大きくなりやすい折返し角度の大きい折返しミラー22C、22Kの厚さが、相対的に折返し角度の小さい折返しミラー22Y、22Mよりも厚くされていることで、バンディングが抑制される。
【0070】
なお、本実施の形態では、レーザビームが斜め入射する場合を例に説明したが、ポリゴンミラーに平行ビームを入射する構成でも同様である。またそれであれば、光学特性による走査線湾曲が生じないため、折返し角度の大小に対応したミラー板厚の決定により、画像データを予め逆補正することなくバンディングのない高画質画像を得ることができる。
【0071】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ただし、光学レイアウトは上記第1の実施形態と共通であるため、図1の光走査装置10を用いて説明する。第1の実施形態との違いは、最終折返しミラーにミラー湾曲調整機構を備えていることである。
【0072】
本実施の形態では、4つの最終折返しミラー22Y、22M、22C、22Kに、ミラーの反射面を湾曲させて走査線湾曲を補正するミラー湾曲調整機構が設けられている。調整機構としては、例えば、図11に示すような構成が使用されている。各ミラーの厚さは、第1の実施形態と同じく、折返し角度の大きい折返しミラー22C、22Kが、折返し角度の小さい折返しミラー22Y、22Mに対して厚くされている。
【0073】
これにより、副走査方向に角度差をなしたレーザビームAY、AM、AC、AKを入射させる構成で発生する走査線湾曲(図3の走査線LY、LM、LC、LK)が折返しミラー22Y、22M、22C、22Kを湾曲調整することで補正可能となり、画像データを予め逆補正するような複雑な構成が不要となり、カラーレジストレーション補正とバンディング抑制を両立できる。
【0074】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施の形態は光走査装置の構成が第2の実施形態と同じである。すなわち、4つの最終の折返しミラー22Y、22M、22C、22Kに図11に示す様なミラー湾曲調整機構が実装されているとともに、折返し角度の大きい折返しミラー22C、22Kが折返しミラー22Y、22Mに対して厚く構成されている。第2の実施の形態との違いは、走査線湾曲の補正における調整目標値をオフセット設定することである。
【0075】
図5は、図1の構成で発生する走査線湾曲と調整狙い値の関係を示した図である。上述したように、折返し角度が大きくバンディングが発生しやすいC、Kに対して、ミラーを厚くすることにより、バンディング発生のリスクは回避される。しかし、ミラー湾曲調整機構をもつミラーの厚さを増すことは、調整によるミラー破壊のリスクを抱えることになる。この問題を回避するため、カラーレジストレーションの調整狙い値をオフセットさせる。
【0076】
具体的には、図5に示すように、ミラーが厚い光路のイニシャル走査線湾曲に近いところに湾曲補正の目標値を設定する(調整狙い値走査線LS)。イニシャルの走査線湾曲の最大量は、本実施形態では130μm程度であるから、CとKの中間あたりを狙ったとしても、調整された状態での画像歪は、100μm以下となり、実用上問題ないレベルとなる。
【0077】
これにより、ミラーの厚い光路に対して調整量が低減され、ミラー破壊のリスクを回避でき、カラーレジストレーション補正とバンディング抑制を両立できる。
【0078】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。光走査装置の構成は第2の実施形態とほぼ同じである。違いは、厚いミラーは反射面が走査線湾曲を補正する方向に予め主走査方向に沿って湾曲加工されていることである。
【0079】
図6は、反射面が主走査方向に沿って湾曲したミラーの製造工程を説明するための概略図である。まず、(A)に示すように、フロートガラスを割断して作成した加工用のミラー素材56を、凸湾曲形状を倣い面58として形成した加工治具60に倣わせて装着する。(B)は、ミラー素材56が加工治具60に装着された状態である。次に、ミラー素材56のうち加工治具60から凸状にせり出した部分62を、研削、研磨等により平面加工する。(C)は、加工後の状態であり、ミラー素材56の加工面64が加工治具60の上面66と同一平面状になっている。そしてミラー素材56を加工治具60から取外すと、(D)に示すように、加工面64が凹湾曲した形状のミラー素材56ができあがる。
【0080】
この凹湾曲面にアルミニウム等を蒸着することで、反射面が予め主走査方向に沿って湾曲した折返しミラーを製作できる。このような製造方法で製作した折返しミラーを最終折返しミラー22C、22Kとして実装することで、感光体24C、24K上における未調整状態の走査線湾曲は、湾曲量が低減され、走査線湾曲調整によるミラー破壊のリスクをより確実に回避した上で、画像歪のない高画質画像を得ることができる。
【0081】
なお、図6では凹湾曲面を製作する方法を説明したが、光走査装置の光路設計によっては、凸湾曲面が必要な場合もある。その場合は、加工治具60の倣い面58を凹形状とすることにより同様に製作可能である。また、予め主走査方向に沿って湾曲加工された折返しミラーを実装した光走査装置に、第3の実施形態として説明したカラーレジストレーションの調整狙い値をオフセットする方法を組合わせて実施することも可能である。この場合、バンディング抑制、ミラー破壊リスクの回避がより確実に行える。また、確保したマージンを設計自由度として使用し、副走査方向の入射角度や、光路折返し角度の選択範囲を広げて、より小型、高性能な光走査装置をレイアウトすることも可能である。
【0082】
さらに、図5に示した例では、走査線湾曲の調整狙い値をCとYの中間に設定したが、例えばCを狙い値とし、Y、M、KがCに重なるように走査線湾曲調整を行ってもよい。この場合、Cは走査線調整を行わないため、その光路上に調整機構を設ける必要がなく、装置の構成を簡素化でき低コスト化を実現できる。また、構造が簡略化されるため、変動要因が少なくなり、カラーレジストレーションの維持性向上に繋がる。
【0083】
[第5の実施形態]
最後に、本発明の第5の実施形態として、上記の光走査装置を用いた小型タンデム型フルカラー画像形成装置について説明する。
【0084】
図14は、中間転写ベルトの張架ロール変形によるトナー像の湾曲歪を説明するための図である。(A)に示すように、張架ロール68A、68Bの変形により、中間転写ベルト70のベルト中央部間隔L3がベルト端部間隔L4より短くされるため(L3<L4)、ロール軸方向にベルト周速差が生じる。その結果、(B)に示すように、T1の位置で走査線湾曲なく形成された第1色のトナー像72Aは、第4色が転写される下流側T4の位置に至るとベルト進行方向に凹形状の湾曲をもつことになる(トナー像72B)。
【0085】
また、(C)、(D)に示すように、T2の位置で走査線湾曲なく形成された第2色のトナー像74A、T3の位置で走査線湾曲なく形成された第3色のトナー像76Aについても、T4の位置に到達するに従い、同様にベルト進行方向に凹形状湾曲する(トナー像74B、76B)。ただし、各トナー像の湾曲量の大きさは、72B>74B>76Bであり、特に、走査線湾曲量差の大きくなる第1色と第4色のレジずれが問題となる。
【0086】
これを補正するには、第1色を逆方向に湾曲させるか、第4色を、歪を生じた第1色に合わせて、予め湾曲させればよい。いずれにしても、第1色と第4色を比較したときに、走査中心間距離が走査端間距離よりも短くなる相互関係のトナー像を形成すればよいことになる。
【0087】
図7は、露光、現像、転写の関係を示す図である。下側に示した露光潜像の湾曲プロファイルは、第1の実施形態として説明した図1に示す光走査装置10のものである。ここで、露光から中間転写ベルト42への転写までに感光体24Y、24M、24C、24Kは約半周回転するため、転写されたトナー像は、4本の走査線LY’、LM’、LC’、LK’が外向きに凸となるプロファイルに反転される。そして、感光体24Yの転写トナー像に中間転写ベルト42の張架ロール変形によるトナー像湾曲が加わると、感光体24Kのトナー像と重ね合わされるタイミングでは、ベルト進行方向両端が進行方向に大きく進んだ湾曲トナー像となり、感光体24Kのトナー像とは逆方向の反りとなって著しいカラーレジずれを起こしてしまう。
【0088】
このメカニズムから、図1に示した構成の光走査装置とは逆の露光状態、すなわち、露光潜像の状態で走査線が外側に凸となるプロファイルの光走査装置を搭載すれば、中間転写ベルトの張架ロール変形によるトナー像湾曲と打消しあう方向の組合わせとなり、それによって、走査線湾曲の補正量が低減され、高精度なカラーレジストレーションとバンディングの無い高画質画像を得られる。
【0089】
図8は、イニシャルの走査線湾曲が外向きに凸となる光走査装置の具体例を示す図である。被走査面上(感光体上)の走査線の湾曲方向は、ミラーによる折返し回数により決まる。図1に示した光走査装置10は3回(奇数回)反射であるのに対し、図8に示した光走査装置80は、各光路上に4枚づつ設けられた折返しミラー82、84、86、88による4回(偶数回)反射であるために、走査線の湾曲方向が反転する。
【0090】
また光走査装置80は、最終の折返しミラー88Y、88M、88C、88Kのうち、Y、Mの折返し角度が、C、Kに比べて大きい。したがって、この光走査装置80を、図に示すような実装レイアウトで画像形成装置に実装し、折返しミラー88Y、88Mを折返しミラー88C、88Kに対して厚くすれば、ミラー破壊のリスクを回避しつつ、バンディングの発生しない良好な画像を出力する画像形成装置が得られる。そして、第2〜第4の実施形態として説明した内容についても、図1に示した光走査装置の場合と同様に実施可能である。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、単一の偏向器から複数の感光体にレーザビームを導く場合に、複数のレーザビームの光路レイアウトが異なり、同一機能を持つ複数の折返しミラーの折返し角度が異なることで発生するミラー共振に対しての反射ビームの揺動感度差が相殺され、バンディングが抑制される。
【0092】
請求項2記載の発明によれば、調整機構を備えた複数の折返しミラーの折返し角度が異なることで発生する、ミラー共振に対する反射ビームの揺動感度差を、ミラー板厚に差を設けることで相殺することにより、バンディングの抑制と走査線の湾曲調整性との両立が図られる。
【0093】
請求項3記載の発明によれば、ドットずれに比べ画像歪みが視認されにくいことを利用して、ミラー破壊回避とバンディング抑制をより確実に両立できる。
【0094】
請求項4記載の発明によれば、厚く設定した折返しミラーの反射面はミラーの自然状態で既に湾曲しており、その形状が走査線湾曲を補正する方向に主走査方向に沿った湾曲形状であるため、走査線湾曲補正に必要な調整量が減らされ、共振抑制のために厚くされたミラーの湾曲量が低減されて、破壊リスクを回避した状態での走査線湾曲調整が可能となる。
【0095】
請求項5記載の発明によれば、ミラー反射面を湾曲させて調整するカラーレジストレーション補正に対し、調整狙い値を走査線湾曲ゼロから、厚いミラーによる調整量が小さくなる方向にオフセットすることで、厚いミラーの調整量がより低減されミラー破壊が抑制される。
【0096】
請求項6記載の発明によれば、特別の素材、加工技術を用いることなく製造可能な湾曲形状ミラーを使用できるので、コストアップを抑制して、高性能な光走査装置を提供できる。
【0097】
請求項7記載の発明によれば、請求項2から請求項6記載の発明の効果に加え、双方向に2本づつ振り分けられたレーザビーム間の副走査方向における入射角度差が最小限に抑えられ、複数レーザビーム間の結像特性の均一化を容易とした光走査装置を提供できる。
【0098】
請求項8記載の発明によれば、調整機構の少なくとも1つを削除することで、低コスト化を実現するとともに、装置構成を簡素化し、カラーレジストレーションの維持性向上や光路レイアウト上の制約を排除できる。
【0099】
請求項9記載の発明によれば、特別な素材、加工技術を用いることなく、走査線湾曲補正に必要な湾曲形状の折返しミラーを容易且つ安価に製作できる製造方法を実現できる。
【0100】
請求項10記載の発明によれば、中間転写体の張架ロール変形によるトナー像湾曲方向と光走査装置が斜め入射により発生する走査線湾曲の方向を打消す組合わせとすることで、走査線湾曲の調整量を低減でき、高精度なカラーレジストレーションとバンディングの無い高画質画像を両立した画像形成装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1〜第4の実施形態に係る光走査装置の構成図である。
【図2】 図1の光走査装置を搭載したカラー画像形成装置の構成図である。
【図3】 図1の光走査装置における感光体上での走査線湾曲を示す図である。
【図4】 ミラーの折返し角度と感光体上のビーム揺動振幅の関係を示した図である。
【図5】 走査線湾曲と調整狙い値の関係を示した図である。
【図6】 予め主走査方向に沿って湾曲したミラーの製造工程を説明するための図である。
【図7】 本発明の第5の実施形態に係る露光、現像、転写の関係を示す図である。
【図8】 本発明の第5の実施形態に係る光走査装置の構成図である。
【図9】 小型化を実現した従来のフルカラー画像形成装置の構成図である。
【図10】 図9の光走査装置の内部構成と走査線湾曲を示す図である。
【図11】 ミラー湾曲調整機構の例を示す図である。
【図12】 平面ミラーを主走査方向に湾曲させて走査線湾曲を補正するメカニズムを説明する図である。
【図13】 従来の双方向走査方式光走査装置の構成を示す図である。
【図14】 中間転写ベルトの張架ロール変形によるトナー像湾曲を説明するための図である。
【符号の説明】
10...光走査装置
14...ポリゴンミラー(単一の偏向器)
16、16’...走査レンズ(面倒れ機能を備えた光学素子)
22Y、22M、22C、22K...折返しミラー
24Y、24M、24C、24K...感光体
40...カラー画像形成装置
41A、41B...張架ロール
42...中間転写ベルト(中間転写体)
50...用紙(画像形成媒体)
56...ミラー素材
60...加工治具(保持手段)
64...加工面(反射面)
80...光走査装置
88Y、88M、88C、88K...折返しミラー
AY、AM、AC、AK...レーザビーム
α、β...折返し角度

Claims (7)

  1. 単一の偏向器により複数のレーザビームを走査して複数の感光体を露光する光走査装置において、
    面倒れ補正機能を備えた光学素子と前記複数の感光体との間の複数光路のそれぞれに、最終折返しミラーと、
    前記最終折返しミラーのそれぞれに反射面を湾曲調整して走査線湾曲を補正する調整機構を備え、
    前記感光体へ前記レーザビームを入射させる最終折返しミラー同士で相互のレーザビーム折返し角度を比較して、前記折返し角度の大きい最終折返しミラーの方が前記折返し角度の小さい最終折返しミラーより厚くされると共に、
    前記調整機構による湾曲補正の目標値は、前記最終折返しミラーのうちミラーが厚い光路のイニシャル走査線湾曲に近いところに設定されることを特徴とする光走査装置。
  2. 単一の偏向器に副走査方向に角度をなして入射する複数のレーザビームを走査して複数の感光体を露光する光走査装置において、
    面倒れ補正機能を備えた光学素子と前記複数の感光体との間の複数光路のそれぞれに反射面を湾曲調整して走査線湾曲を補正する調整機構を備えるとともに前記感光体へ前記レーザビームを入射させる最終折返しミラーを有し、前記複数の最終折返しミラー同士で相互のレーザビーム折返し角度を比較して、前記折返し角度の大きい最終折返しミラーの方が前記折返し角度の小さい最終折返しミラーより厚くされ、且つ、その厚くされた最終折返しミラーは未調整状態で前記反射面が走査線湾曲を補正する方向に主走査方向に沿った湾曲形状とされていることを特徴とする光走査装置。
  3. 前記複数の最終折返しミラーのそれぞれが前記反射面を湾曲調整してカラーレジストレーションを補正する調整量は前記複数の最終折返しミラーの厚さに応じて設定されていることを特徴とする請求項2記載の光走査装置。
  4. 請求項2又は請求項3記載の光走査装置において、
    未調整状態で前記反射面が走査線湾曲を補正する方向に主走査方向に沿った湾曲形状とされている前記最終折返しミラーは、
    ミラー素材を前記走査線湾曲を補正する方向の逆方向に湾曲して保持し、その保持状態で反射面側が平面加工され製造されていることを特徴とする光走査装置。
  5. 前記複数のレーザビームが前記単一の偏向器により双方向に2本づつ走査されることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の光走査装置。
  6. 前記複数の最終折返しミラーの少なくとも1つは前記調整機構を備えず、前記調整機構を備えない最終折返しミラーが光路に設けられたレーザビームを基準に、前記調整機構を有する最終折返しミラーが光路に設けられたレーザビームの走査線湾曲を補正することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項記載の光走査装置。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか1項記載の光走査装置と、前記光走査装置により走査された複数のレーザビームが照射される複数の感光体と、複数の張架ロールに張架されて無端状に構成され前記複数の感光体のそれぞれに形成された静電潜像の現像像が順次重ねられて一次転写されたのち画像形成媒体に一括して二次転写する中間転写体と、を備えたカラー画像形成装置において、
    走査線湾曲の未補正状態で前記複数のレーザビームが前記複数の感光体上に形成する露光像の中で走査線湾曲方向が逆方向とされて隣接する露光像同士では、走査中央間距離が走査端間距離に比べ大きくされていることを特徴とする画像形成装置。
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